(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555618
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】粉末容器を備える飲料注出機及びそれを用いた飲料を調製する方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/40 20060101AFI20190729BHJP
B67D 1/08 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
A47J31/40 104
B67D1/08 Z
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-535089(P2016-535089)
(86)(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公表番号】特表2017-507674(P2017-507674A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】EP2014077235
(87)【国際公開番号】WO2015091162
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年12月7日
(31)【優先権主張番号】13198938.6
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100168734
【弁理士】
【氏名又は名称】石塚 淳一
(72)【発明者】
【氏名】デュビエフ, フラヴィエン
(72)【発明者】
【氏名】スコッラーノ, ルシオ
(72)【発明者】
【氏名】ボーデ, ラリー
(72)【発明者】
【氏名】ジャモリー, ケヴィン
【審査官】
岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/014040(WO,A1)
【文献】
特開2002−263900(JP,A)
【文献】
実開昭57−146998(JP,U)
【文献】
特開2003−290996(JP,A)
【文献】
特開2002−136428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/40
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶性飲料粉末を収容するための少なくとも1つの容器(2)であって、該容器が、
タンク(21)、
前記タンクの出口にある排出口(22)、
1回量の前記可溶性飲料粉末を前記排出口(22)に移動させるように構成された分配装置(23)を備える、容器(2)と、
前記収容された可溶性飲料粉末から飲料を調製するために前記容器に動作可能に連結した少なくとも1つの飲料調製ユニット(3)と、を備える飲料注出機であって、
前記容器の前記排出口(22)は、
内部送出管(221)であって、底部にくり抜き孔(222)を備え、該くり抜き孔に隣接する端部(221a)で閉鎖される、内部送出管(221)と、
外部可動カバー(223)であって、前記内部送出管(221)の少なくとも一部を覆っており、底部にくり抜き孔(224)を備え、並進運動によって、
前記内部送出管の前記くり抜き孔(222)と前記外部可動カバーのくり抜き孔(224)との両方が互いに重なる分配位置と、
前記外部可動カバー(223)の表面が重なって前記送出管の前記くり抜き孔(222)を閉鎖する休止位置との間を移動できる、外部可動カバーと、を備え、
前記飲料注出機は、前記休止位置と前記分配位置との間で前記外部可動カバーを動かすように前記外部可動カバー(223)に力をかけることができるアクチュエータを備え、該アクチュエータはロッド(41)を2本備え、
前記ロッドのそれぞれは、一方の第1の端部(41a)で前記外部可動カバー(223)の側部(223a)と係合するように構成され、
前記ロッドのそれぞれは、前記タンク(21)の側部に沿って延びており、
前記ロッドのそれぞれは、前記ロッドの並進運動を生み出すために、他方の第2の端部(41b)で電動アクチュエータ(43)により係合可能となるように構成される、飲料注出機。
【請求項2】
前記外部可動カバーは、端部に少なくとも1つの開口(228)を備え、該端部は、前記くり抜き孔に隣接する前記内部送出管の端部(221a)を覆っている、請求項1に記載の飲料注出機。
【請求項3】
前記ロッドのそれぞれの前記第1の端部(41a)は、スプリング(226)を介して前記外部可動カバー(223)に間接的に係合している、請求項1又は2に記載の飲料注出機。
【請求項4】
前記電動アクチュエータは、前記分配位置と前記休止位置との間を前後に並進運動するピンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料注出機。
【請求項5】
前記容器は前記飲料注出機から取り外すことができ、前記容器を取り外したとき、前記ピンは前記休止位置にあり、前記飲料注出機の背面パネルを越えて延びていない、請求項4に記載の飲料注出機。
【請求項6】
前記外部可動カバー(223)のそれぞれの側部(223a)は、スリーブ(225)を備え、該スリーブ内に、前記ロッドのうちの一方の前記第1の端部が係合しており、スプリング(226)が配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲料注出機。
【請求項7】
前記排出口(22)は、前記ロッドの前記第1の端部(41a)と前記外部可動カバー(223)の前記側部(223a)との間の係合部を覆う排出口保護装置(5)を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の飲料注出機。
【請求項8】
前記容器は、前記タンク(21)の前記側部に沿って延びる前記ロッドを覆うロッド保護装置(5)を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の飲料注出機。
【請求項9】
前記容器は前記飲料注出機から取り外すことができ、前記容器を取り外したとき、少なくとも一方の前記ロッドの前記第2の端部は前記容器の容積部内にとどまっている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の飲料注出機。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の飲料注出機を用いて飲料を調製する方法であって、
a)前記分配装置(23)を作動させて、1回量の飲料粉末を前記タンクの前記排出口(22)を通して前記飲料調製ユニット(3)内部に送出するステップと、
b)前記1回量の飲料粉末を希釈液と混合して、前記飲料調製ユニット(3)内部で前記飲料を調製するステップと、を含む方法において、
飲料を調製するステップb)の間、前記排出口の前記外部可動カバー(223)の表面は、前記排出口の前記送出管(221)の前記くり抜き孔(222)に重なって前記くり抜き孔(222)を閉鎖している、方法。
【請求項11】
前記内部送出管の前記くり抜き孔(222)と前記外部可動カバーの前記くり抜き孔(224)との両方は、前記分配ステップa)の間にのみ互いに重なっている、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収容された可溶性粉末から飲料を調製し、この容器から1回量の粉末が供給されて飲料を調製する飲料注出機に関する。
【背景技術】
【0002】
エスプレッソ及びその他のコーヒー飲料、ミルク飲料、チョコレート飲料のような多くの飲料は、飲料可溶性粉末を希釈液と混合して調製される。飲料可溶性粉末を水などの希釈液と混合することによりそのような飲料をより迅速に調製するための混合装置が知られている。これらの装置は、溶解チャンバを備えることができ、この溶解チャンバに可溶性成分及び希釈液が供給される。希釈液は、渦を形成して効果的に可溶性粉末を湯に溶解するために、溶解チャンバに導入されてもよいし、あるいは、熱い希釈液が、混合、溶解及び泡立てを行うジェット形態で導入されてもよい。混合物はまた、最終的に溶解チャンバ内のホイッパによって泡立てられて飲料を再構成し、泡を生成することもできる。その後、飲料は通常、飲用容器の中に排出される。これらの装置はまた、飲用カップ、通常は使い捨てのカップ内で、飲料可溶性粉末を希釈液と混合することもできる。その場合、可溶性食品成分はカップ内に導入され、希釈液は、混合、溶解及び/又は泡立てを行うジェット形態で導入される。
【0003】
粉末及び希釈液がどのような方法で一緒に混合されても、飲料可溶性粉末は通常、開口した溶解チャンバの上方に設置された容器に収容され、スクリュー又はオーガのような分配装置が飲料可溶性粉末を分配して送出し、飲料可溶性粉末は溶解チャンバ又は飲用カップ内に落下する。希釈液は、溶解が起こるように溶解チャンバに同時に供給される。このような構成では、いくつかの問題がある。
【0004】
第一に、可溶性粉末は、細かい粒子を含んでいることがよくあり、この粒子は、粉末が容器の出口から溶解チャンバに落下するときに容易に飛ぶことがある。これらの細かい粒子は、注出機の内部ハウジングを汚す。
【0005】
第二に、溶解チャンバ又は飲用カップ内で飲料が調製される間に発生する蒸気及び湿気は、容器の出口から上がって辺りにただよう。別の飲料が別の飲料の後すぐに調製された場合、容器によって送出された粉末の新たな1回量は、一部が湿気と反応し、出口の周囲に不衛生な堆積物を生じる。一定時間の後、このプロセスで容器の排出口に水分が蓄積してしまうおそれがある。時間の経過とともに排出口に蓄積する可溶性粉末の量が増すにつれて、出口はますますすぼまっていく。最後には、これによって出口が完全に詰まってしまうおそれがあり、それによって分配装置が完全に故障してしまう。それに加えて、排出口に接着している可溶性粉末は、上昇する蒸気によって常時湿気を帯びている。これによって可溶性粉末が凝結を起こし、長期間使用した後にはカビが生えるか有害な細菌が繁殖することにもなりかねない。これによって分配装置は粉末原材料を消費不可能にする可能性がある。
【0006】
したがって、粉末を計り取っていないときと、粉末が溶解チャンバで水と混合されているときは、排出口を閉鎖することが提案されてきた。
【0007】
欧州特許第A1−331271号では、電気モータで駆動可能な計量スクリューを備える粉末容器を有する注出機が提供され、計量スクリューは管状部材に包囲されている。容器は、計量スクリュー管の排出端部に閉鎖バルブを備え、該閉鎖バルブは、計量スクリューの長手軸を通って延びる駆動ピンによって作動し、電気モータのスタータに接続されたソレノイドによって移動可能である。しかし、計量スクリューの長手軸を通る駆動ビンの位置は複雑である。駆動ピンを内部に配置するために中心が空洞になっている特定の計量スクリューを製造する必要がある。
【0008】
米国特許第4,610,378号では、食品粉末用、特に自動飲料供給機用の容器が、送出口のついたダクトの内部で回転するスクリュー部材を備え、この送出口は、非稼働状態ではプレート閉鎖部材によって閉鎖される。閉鎖部材は、分配動作時に回転運動する過程で、スクリュー部材の端部によって開けられる。当該分配動作の過程で、送出口は継続的に開閉するが、これでは迅速な液体の分配ができず、粉末は圧縮される。
【0009】
国際公開第2014/115061号では、多湿環境での動作の影響を実質的に受けないばら製品の注出機で使用するための押出機が提供されている。押出機は、穴の長手軸に沿って第1の位置と第2の位置との間を軸沿いに移動できるように、回転と並進運動を両方行って注出機の穴に受け入れられるスクリューを備える。押出機は、シーリング装置を備え、この装置は、スクリューの軸方向の位置に応じて製品の入口と製品の出口とを互いに接続する穴の一部を、取り外し可能なように流体密閉してシールするように構成される。押出機の構成は、上記のスクリューの第1の軸方向位置で、製品の入口と製品の出口とを互いに接続する穴の一部をシーリング装置が流体密閉してシールするようになっている。スクリューの第2の軸方向位置では逆に、シーリング装置は、製品の入口と製品の出口とを互いに接続する穴の一部を流体密閉してシールせず、スクリューの回転により、製品の入口で供給されるばら製品を製品の出口から連続的に押し出す又は排出するように作用する。したがって、飲料調製中は排出口を閉鎖できるため、飲料を調製するのに使用した湯により生じる湿気は押出機の排出口には上がれない。
【0010】
この押出機は、飲料調製中に排出口に湿気が生じる問題を解決するが、この押出機は、粉末のようなばら製品を一定に維持して分配するという課題を考慮していない。更に、飲料を一定に調製することは、飲料注出機に不可欠である。顧客は、異なるときに同じ飲料を同じ注出機で注文する場合、常に同じ飲料を得ることを期待している。飲料を一定に制御する重要な要素は、飲料調製中に可溶性飲料粉末を一定に分配することにある。国際公開第2014/115061号の押出機は、スクリューの逆回転で押出機の出口に空洞ができると思われ、押出機の作動開始時にばら製品が押出機によって供給されないため、これによって次の分配動作に影響を及ぼすという理由から、一定して分配を行うことができない。更に、この押出機は、複雑な機械部品で作製され、これによってその製造費が増す。
【0011】
1つの対策が欧州特許第1176402号で提案されていて、この文献では、容器の出口は、飲料を調製するために粉末を分配及び送出したときのみ開口し、それ以外の時間には閉鎖される。したがって、湿気が粉末容器の出口に達すること、及び容器の出口の内部に入ることが避けられる。容器の出口が詰まるリスクは抑制される。
【0012】
しかし、上記の対策を実施する方法にはいくつかの欠点がある。特に、出口は、噛み合い歯車を備える歯車列によって動作するシーリング要素で閉鎖され、噛み合い歯車は伝達ロッドに接続し、伝達ロッドはモータに接続している。歯車列は、容器の出口の近傍に配置され、溶解チャンバ又は飲用カップから上がってくる湿気からは保護されない。したがって、粉末微粒子が粉末の出口の周りを飛んで歯車列に堆積すれば、粉末微粒子と湿気との反応で歯車列の故障又は詰まりを招くおそれがある。実際、欧州特許第1176402号に記載されている注出機は、比較的小さい注出機であり、一日中飲料を大量に調製するようには想定されていない。
【0013】
今日、清掃は飲料注出機の重要な局面である。実際、清掃は時間のかかる仕事である。注出機を使用できない間の時間を制限するために、清掃作業の時間を削減する必要がある。更に、注出機を操作する人はますます訓練されなくなっているため、ごく簡易な方法で清掃できる注出機が必要である。
【0014】
粉末容器の出口の閉鎖を改良し、注出機の清掃を改良する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、先行技術の注出機の欠点の少なくともいくつかに対処すること、又は少なくともその代案を提供することである。
【0016】
粉末容器を有する飲料注出機であって、この容器の出口が容器内に湿気が上がってくるのを防止する飲料注出機を提供することが有利であろう。
【0017】
粉末容器を有する飲料注出機、及び粉末容器の出口の閉鎖と開放を交互に行う装置を提供することが有利であろう。
【0018】
粉末容器を有する飲料注出機、及び粉末容器の出口の閉鎖と開放を交互に行う装置であって、該装置が湿気から保護される装置を提供することが有利であろう。
【0019】
粉末容器を有する飲料注出機、及び粉末容器の出口の閉鎖と開放を交互に行う装置であって、粉末容器の出口の閉鎖及び開放の機構は注出機の清掃作業を複雑にしない装置を提供することが有利であろう。
【0020】
第1の態様によれば、飲料注出機であって、
−可溶性飲料粉末を収容するための少なくとも1つの容器であって、当該容器が、
・タンク、
・タンクの出口にある排出口、
・1回量の可溶性飲料粉末を排出口に移動させるように構成された分配装置を備える、容器と、
−収容された可溶性飲料粉末から飲料を調製するために容器に動作可能に連結した少なくとも1つの飲料調製ユニットと、を備える飲料注出機において、
容器の排出口は、
−内部送出管であって、その底部にくり抜き孔を備え、くり抜き孔に隣接する端部で閉鎖される、内部送出管と、
−外部可動カバーであって、内部送出管の少なくとも一部を覆っており、底部にくり抜き孔を備え、該外部可動カバーが、
・内部送出管のくり抜き孔と外部可動カバーのくり抜き孔との両方が互いに重なる分配位置と、
・外部可動カバーの表面が重なって送出管のくり抜き孔を閉鎖する休止位置との間を移動できる、外部可動カバーと、を備え、
注出機は、休止位置と分配位置との間で外部可動カバーを動かすように外部可動カバーに力をかけることができるアクチュエータを備え、該アクチュエータはロッドを2本備え、
−該ロッドのそれぞれは、その一方の第1の端部で外部可動カバーの側部と係合するように構成され、
−該ロッドのそれぞれは、タンクの側部に沿って延びており、
−該ロッドのそれぞれは、ロッドの並進運動を生み出すために、他方の第2の端部で電動アクチュエータにより係合可能となるように構成される、飲料注出機が提供される。
【0021】
本発明の飲料注出機は、可溶性飲料粉末を収容するための少なくとも1つの容器を備える。本明細書では、粉末という用語は、可溶性飲料原材料の粉末、ペレット又は顆粒を範囲に含めることができる。好適な態様によれば、飲料原材料は、可溶性のコーヒー粉末、茶粉末、ココア粉末、乳粉末、砂糖粉末、香料粉末などの可溶性原材料である。容器は通常、ハウジング内に配置される。容器は通常、使い捨て式ではなく、補充され得るものである。
【0022】
容器は概して、容器から可溶性飲料粉末を分配するための装置を備える。分配装置は、好ましくは回転式に計量する分配装置であり、
・貯蔵器の底を通って長手方向に延びており、
・ある量の粉末を貯蔵器の底を通して長手方向に移動させるように構成される。
【0023】
タンクの底に設置された、回転式に計量する分配装置であることが好ましい。好ましくは、計量式の分配装置は、スクリューオーガ又はスプリングオーガである。計量式の分配手段は、オーガの後部にあるスクリュー内部に位置している頑丈なインサートを有するスプリングオーガであってもよい。インサートは、スプリングの全長に沿って後端から前端へ断面が縮小していてよい。
【0024】
概して、回転式に計量する分配装置は、モータによって作動する。
【0025】
注出機はまた、容器に収容された少なくとも1つの1回量の可溶性飲料粉末から飲料を調製する少なくとも1つの飲料調製ユニットも備える。飲料調製ユニットも通常は注出機のハウジングに配置される。飲料調製ユニットは通常、1回量の飲料粉末を希釈液と接触させるための手段を1つ備える。この手段は、希釈液のジェットヘッド、混合用ボウル、ホイッパボウルであってもよい。飲料調製ユニットは概して、少なくとも1つの容器に配置されるか動作可能に連結され、それによって、そこから1回量の粉末を受け入れることができ、続いて1回量を希釈液と接触させることができ、飲料を調製できる。飲料粉末の性質に応じて、1つの調製ユニットが、1つの容器のみに接続できる(例えば、その粉末には専用の調製ユニットでの特定の混合が必要な場合、又は2つの粉末を一緒に混合すべきではない場合(交差汚染の問題))か、あるいは1つの調製ユニットを複数の容器に接続できる(例えば、標準のコーヒー及びカフェイン抜きコーヒーに対しては同じ調製ユニットを使用できる)。
【0026】
注出機の少なくとも1つの容器は、容器の出口に配置された排出口を備える。排出口は、容器の出口の閉鎖又は容器の出口の開放ができるように構成される。排出口は、作動しているときに容器の出口を開放し、休止時に容器の出口を閉鎖するように構成される。
【0027】
本発明によれば、少なくとも1つの容器の排出口は、
−底部にくり抜き孔を備える内部送出管と、
−底部にくり抜き孔を備える外部可動カバーであって、該外部可動カバーは、内部送出管の少なくとも一部を覆っており、
・内部送出管のくり抜き孔と外部可動カバーのくり抜き孔との両方が互いに重なる分配位置と、
・外部可動カバーの表面が送出管のくり抜き孔に重なってこれを閉鎖する休止位置との間を移動できる、外部可動カバーとを備える。
【0028】
概して、排出口の内部送出管は固定されている。概して、内部送出管は、容器タンクの出口に取り付けされる。一実施形態によれば、内部送出管は、容器タンクの出口の一部であってもよい。内部送出管は通常、シリンダの形状である。内部送出管の端部にある基部は、分配装置によって移動させられた1回量の可溶性飲料粉末が送出管のくり抜き孔のみによって排出され得るように、出口の先端近辺で閉鎖される。好ましくは、くり抜き孔は、管の端部に隣接する。一実施形態によれば、内部送出管は、くり抜き孔の正面で管の内側下部分を遮る部分的な堰、好ましくは半月型の堰を備えることができる。
【0029】
排出口はまた、外部可動カバーも備える。外というのは、容器タンクから来る粉末を送出する内部送出管をこのカバーが包囲していることを意味する。この外部カバーはまた、その底部にくり抜き孔も備える。この外部カバーは、その位置に応じて、そのくり抜き孔が送出管のくり抜き孔に重なることができるように、又はできないように移動可能であり、それによって粉末を送出するための排出口の開放又は閉鎖が可能になる。
【0030】
好ましくは、外部可動カバーは、その端部に少なくとも1つの開口を備え、この端部は、くり抜き孔に隣接する内部送出管の端部を覆う。この開口は、可動カバーが動いている間に飲料粉末又は微粒子の一部が管の端部とカバーとの間に詰まって残るのを防ぐ。粉末又は微粒子は、開口を通って可動カバーから抜け出すことができる。
【0031】
外部可動カバーは、並進運動によって動く。並進運動は、内部送出管の軸方向に沿うことが好ましい。この方向は、スプリングオーガの軸の方向である。容器とつながった様々な動き(分配装置の動き、排出口の動き)の方向の軸がこのように並んでいることで、容器の容積部をよりよく制御でき、動かすためのモータの最適な配置が可能になる。好ましくは、飲料注出機は、休止位置と分配位置との間で外部可動カバーを動かすように外部可動カバーに力をかけることができるアクチュエータを備える。
【0032】
アクチュエータは、2本のロッドを備え、
−ロッドのそれぞれは、その一方の第1の端部で外部可動カバーの側部と係合するように構成され、
−ロッドのそれぞれは、タンクの側部に沿って延びており、
−ロッドのそれぞれは、他方の第2の端部で電動アクチュエータにより係合するように構成される。
【0033】
両ロッドの電動アクチュエータは、好ましくは両ロッドが同じ並進運動を同時に起こすようにできる。好ましくは、電動アクチュエータは、分配位置と休止位置との間を前後に並進運動するピンである。好ましくは、ピンは、分配動作の過程でロッドを押し、ピンは、休止時にはロッドに作用を起こさない。
【0034】
外部可動カバーの両側部は、スリーブを備えることができ、このスリーブ内に、ロッドのうちの一方の第1の端部が係合しており、スプリングが配置される。スプリングは、スリーブの端部とロッドの第1の端部との間に配置される。ロッドの長さ及びスプリングの力は、休止位置でロッドの第2の端部が容器の長さを越えて延びていないように設定される。したがって、容器を飲料注出機から取り外せる実施形態では、容器を飲料注出機から取り外すと、少なくとも1つのロッドの第2の端部は、容器の容積部内にとどまり、容器の長さの外側には延びていない。
【0035】
排出口は、好ましくは、ロッドの第1の端部と外部可動カバーの側部との間の係合部を覆う排出口保護装置を備える。
【0036】
容器は、タンクの側部に沿って延びるロッドを覆うロッド保護装置も備えることができる。
【0037】
排出口は、タンクの出口から取り外すことができる。
【0038】
第2の態様によれば、前述したような飲料注出機を用いて飲料を調製する方法であって、
a)−1回量の飲料粉末を飲料調製ユニット内部のタンクの排出口を通して送出する分配装置を作動させるステップと、
b)−1回量の飲料粉末を希釈液と混合して、飲料調製ユニット内部で飲料を調製するステップと、を含む方法において、
飲料を調製するステップb)の間、排出口の外部可動カバーの表面は、排出口の送出管のくり抜き孔に重なってくり抜き孔を閉鎖している、方法が提供される。
【0039】
好適な実施形態によれば、内部送出管のくり抜き孔と外部可動カバーのくり抜き孔との両方は、分配ステップa)の間にのみ互いに重なっている。
【0040】
本明細書では、「内」、「外」、「後ろ」、「前」、「底」及び「横」という用語は、本発明の特徴位置関係を説明するために用いられる。これらの用語は、図面に示したように、飲料を生産するための飲料調製注出機内に配置されたときに正常な向きにある容器に関するものであることを理解すべきである。
【0041】
本発明の上記の態様は、任意の適切な組み合わせに組み合わされ得る。更に、本明細書に記載した様々な特徴は、具体的に図示して説明した組み合わせとは異なる組み合わせを提供するために、上記の態様の1つ以上と組み合わされ得る。本発明の更に他の目的及び有利な特徴は、特許請求の範囲、詳細な説明、及び添付の図面から明らかになるであろう。
【0042】
本発明の特徴及び利点は、以下の図と関連して、更に良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】可溶性飲料の粉末容器を示す本発明による注出機の部分図である。
【
図2a】開口位置にある
図1の容器の排出口の断面図である。
【
図2b】開口位置にある
図2aの容器の排出口の斜視図である。
【
図3a】閉鎖位置にある
図1の容器の排出口の断面図である。
【
図3b】閉鎖位置にある
図3aの容器の排出口の斜視図である。
【
図4】
図2aの容器の排出口を下から見た図である。
【
図6a】休止位置にある間の容器の概略断面図である。
【
図6b】分配位置にある間の容器の概略断面図である。
【
図7a】容器の背面及び飲料注出機の内部背面パネルの正面の概略斜視図である。
【
図7b】容器の背面及び飲料注出機の内部背面パネルの正面の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明による飲料注出機の可溶性飲料粉末容器2を示す。容器2は、本発明による排出口22を備える。容器は、可溶性飲料粉末を収容するタンク21を備える。容器の内部の底は、分配装置が見えるように透明で、この分配装置はスプリングオーガ23であり、大量の可溶性飲料粉末をタンクの出口に押し出し、それから排出口22に押し出す。スプリングオーガ23にはインサート25が配置される。このインサートは、以下の
図2a及び3aによりよく示されているように、スプリングの全長に沿って後端から前端へ(つまり1回量の粉末の移動方向によって)断面が縮小している。
【0045】
容器には2つのモータが動作可能に連結されている。モータ24がスプリングオーガ23を回転させ、これにより容器の後ろ側から前側へ排出口22の方向へ粉末が動かされる。もう1つのモータ24は、ロッド41を後ろ側から前側へ並進運動させて排出口22を開ける。
【0046】
図2aは、タンクの出口及び排出口22の拡大断面図である。排出口は、
−底部にくり抜き孔222を備える内部送出管221と、
−底部にくり抜き孔224を備える外部可動カバー223とを備える。
【0047】
内部送出管221は、タンクの出口に固定されて取り付けられる。外部可動カバー223は、内部送出管221を包囲し、2つの位置の間の並進運動によって内部送出管の周囲をスライドすることができる。
【0048】
両くり抜き孔222、224の寸法、及び組み立てたときの内部送出管221と外部可動カバー223との相対的な位置は、外部可動カバー223が内部送出管221の少なくとも一部を覆っており、くり抜き孔222、224が1箇所の第1の位置で互いに重なって他の第2の位置には来られないように構成される。そのため、外部可動カバーのくり抜き孔224の寸法は、少なくとも送出管のくり抜き孔222と重なるように構成される。
【0049】
図2aでは、排出口は、第2の分配位置に示され、この位置では、2つのくり抜き孔222、224は互いに重なり、分配手段23の作動によって押し出される可溶性飲料粉末の供給を可能にする。
【0050】
内部送出管は、粉末が動く方向に従ってくり抜き孔の前で管断面の底部を遮る堰227を有する。
【0051】
図2bは、
図2aと同じ位置のみにある排出口22の斜視図である。排出口22は、排出口の側部を部分的に覆うカバー5を備える。このカバーの役割を、
図4に関連して説明する。
【0052】
図3aは、
図2aのタンクの出口及び排出口22の拡大断面図だが、外部可動カバー223が第1の休止位置にある点が異なり、この位置では、2つのくり抜き孔222、224は互いに重ならず、可溶性飲料粉末を注出できない。
【0053】
図3bは、
図3aと同じ位置のみにある排出口22の斜視図である。
【0054】
図2a、2b、3a、3bは、可動カバー223がスライドして内部送出管のくり抜き孔222を閉鎖するときにカバーが擦れる動きを示している。
【0055】
更に、粉末が内部送出管の端部221aと外部可動カバーの端部との間の空間内でスライドした場合、
図3aに示したように、外部可動カバーが動いて内部送出管のくり抜き孔222を閉鎖するときに、この粉末は開口228を通って排出され得る。粉末は、飲料調製ユニット内を下方へ流れることができる。
【0056】
図4は、
図2a、2bと同じ位置にある排出口22を示し、この図では、カバー5は、外部可動管223が作動する様子を示すために透明に描かれている。外部可動管のそれぞれの側部223aに、外部可動管223はスリーブ225を有し、このスリーブ内でロッドの第1の端部41aを係合できる。したがって、ロッド41の前後運動が、外部可動管223の前後運動を引き起こす。ロッド41は、その第1の端部41aがスリーブの内側の端部に達しないように画定される。実際には、スリーブの端部にはスプリング226を含む空間225aが設けられ、このスプリングはロッドの第1の端部41aに圧力をかける。このスプリング226は、ロッドの第2の端部に力がかからなくなったときにロッドを休止位置に戻すことができる。
図4では、スプリング226は、ロッド41がキャニスタの後ろから前へキャニスタの軸方向に沿って並進運動することによって圧縮される。カバー5は、スリーブ225及びロッド41の第1の端部41aを湿気及び粉末微粒子から保護する。
【0057】
図1に示したように、ロッド41は、容器の底の側部に沿って延びており、及びロッドの第2の端部41bは、モータ42と間接的に係合しており、モータは両方のロッドを同時に前後に押すことができる。
【0058】
各ロッドに関して、第2の端部41bは、キャニスタの軸方向に沿って前後に並進運動させる電動アクチュエータにより係合できる。アクチュエータは、ロッドの端部41bに係合するピンであってもよい。ピンは、モータを例えば歯車、ラックレール、ねじ付き装置及びスクリューと係合させるような公知の方法で並進させることができる。特定の実施形態によれば、分配装置を作動させるのと排出口を開放させるのに同じモータを使用できる。
【0059】
図5では、可溶性飲料粉末容器2は飲料注出機1の内部に示されている。飲料注出機はハウジング16を備え、このハウジング内に少なくとも1つの補充可能な容器2が配置される。容器は、そのタンクの底の一方の端に排出口22を備える。容器2は、1回量の粉末を分配して排出口22を通して動かすための分配装置23を備える。この分配装置23は、モータ24によって作動する。排出口22は、ロッド41及びモータ42の作用を受けて、開放又は閉鎖されるように構成される。
【0060】
排出口22は、1回量の飲料粉末を希釈液と接触させるために飲料調製3に可溶性飲料粉末を送出するような向きになっている。希釈液は、ボイラ13、ポンプ12及びヒータを備える流体システムによって供給される。飲料調製ユニット3は、注出領域17に設置されたカップに飲料を送出する。飲料注出機は、前方のメンテナンス領域を背後の設備領域と分離できる内部背面パネル18を備える。メンテナンス領域は、粉末容器及び飲料調製ユニットを備え、頻繁に清掃しなければならない領域である。設備領域は、流体システム及び飲料注出機の電気装置を備え、特に清掃する必要はない。
【0061】
図6a及び6bは、容器の概略断面図であり、1つのロッド41の動き、ロッド41aの第1の端部と協働するスプリング226の動き、及びロッド41bの第2の端部と協働する電動アクチュエータ43の動きを示している。
【0062】
図7aは、本発明による容器2の概略図である。ロッドの第2の端部41bは、容器の背面2aを越えて延びていないことは明らかである。
【0063】
同じように、
図7bは、本発明による飲料注出機の内部背面壁18の概略図である。ロッドの電動アクチュエータは容器の背面壁を越えて延びていないことは明らかである。したがって、この表面は、容易に清掃できる。
【0064】
本発明の飲料注出機は、飲料が調製されるときに湿気がタンクの出口を通って可溶性飲料粉末容器に流れるのを防止する利点を有する。
【0065】
本発明の別の利点は、容器の出口を閉鎖させる手段を、湿気及び粉末微粒子の堆積から保護できることである。
【0066】
本発明を上記に示した実施形態を参照して説明したが、特許請求した本発明は、示したこれらの実施形態になんら限定されるものではないことが理解されるであろう。
【0067】
特許請求の範囲に記載した本発明の範囲を逸脱しない限り、改変及び修正を加えてよい。更に、周知の同等物が特定の特徴に存在する場合、かかる同等物は、本明細書で具体的に表されるかのように組み込まれる。
【0068】
本明細書で使用するとき、用語「を含む」「を含んでいる」、及び類似の単語は、限定的又は包括的なものとして解釈されるべきではない。換言すれば、これらは「を含むが、これらに限定されない」ことを意味することを目的としている。
【符号の説明】
【0069】
1 飲料注出機
2 容器
2a 容器の背面
21 タンク
22 排出口
221 内部送出管
221a 内管の端部
222 内管のくり抜き孔
223 外部カバー
223a 外部カバーの側部
224 外部カバーのくり抜き孔
225 スリーブ
225a 空間
226 スプリング
227 堰
228 開口
23 分配装置
24 分配装置のモータ
25 インサート
3 溶解チャンバ
41 ロッド
41a ロッドの第1の端部
41b ロッドの第2の端部
42 ロッドのモータ
43 電動ピン
5 排出口カバー
6 容器の底カバー
12 ポンプ
13 ボイラ
14 ユーザインターフェース
15 制御ユニット
16 ハウジング
17 注出領域
18 内部背面パネル