特許第6555713号(P6555713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ケーブル株式会社の特許一覧

特許6555713チェアリフト搬器のセーフティーバーロック装置
<>
  • 特許6555713-チェアリフト搬器のセーフティーバーロック装置 図000002
  • 特許6555713-チェアリフト搬器のセーフティーバーロック装置 図000003
  • 特許6555713-チェアリフト搬器のセーフティーバーロック装置 図000004
  • 特許6555713-チェアリフト搬器のセーフティーバーロック装置 図000005
  • 特許6555713-チェアリフト搬器のセーフティーバーロック装置 図000006
  • 特許6555713-チェアリフト搬器のセーフティーバーロック装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555713
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】チェアリフト搬器のセーフティーバーロック装置
(51)【国際特許分類】
   B61B 11/00 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   B61B11/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-130183(P2015-130183)
(22)【出願日】2015年6月29日
(65)【公開番号】特開2017-13563(P2017-13563A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 孝宏
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第00808757(EP,A1)
【文献】 特開平07−215172(JP,A)
【文献】 実開昭58−180751(JP,U)
【文献】 国際公開第2008/020021(WO,A1)
【文献】 特開2006−168725(JP,A)
【文献】 特開2009−057040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸垂されたシートフレームに対して回動自在に取り付けられているセーフティーバーを備えたチェアリフトの搬器において、該搬器のセーフティーバー支持部付近に固着され、前記セーフティーバーの回動中心を中心とする円弧形状に形成された、厚板状のロックプレートと、前記セーフティーバーに固着したブラケットと、該ブラケットに回転自在に支持されたフックと、該フックを前記ロックプレートに掛合する方向に付勢するばねと、を備え、前記セーフティーバーが閉状態のときに前記ロックプレートの前記円弧形状の一部と前記フックとが前記ばねのバネ力によって掛合して前記セーフティーバーがロックされ、前記ばねの前記バネ力に抗して前記フックを回転させると、前記ロックプレートとの掛合状態が解除されて、前記セーフティーバーを開く方向に回動可能となり、前記セーフティーバーが開状態のときに、前記フックが前記ロックプレートの前記円弧形状の他の部分に乗り上げた状態で摺動することを特徴とするチェアリフト搬器のセーフティーバーロック装置。
【請求項2】
前記フックの一端部に形成された爪状突起と、前記ロックプレートの前記円弧形状の前記一部に形成された掛止溝と、を備え、前記爪状突起と前記掛止溝とが掛合して前記セーフティーバーがロックされることを特徴とする請求項1に記載のチェアリフト搬器のセーフティーバーロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェアリフトの搬器に備えたセーフティーバーが、線路中において開くことのないようにするためのセーフティーバーロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チェアリフトは、山麓側の停留場と山頂側の停留場とに設けた滑車間に索条を無端状に張架し、この索条に椅子式の搬器を定間隔で懸垂して両停留場間を循環して運行する輸送設備であって、スキー場等の傾斜地において多く利用されている。このチェアリフトに用いられる搬器は、乗車人員が1〜8人乗りの搬器が実用化されている。このうち1〜2人乗りの搬器では、座席シートの側端に備えた肘掛けを掴むことにより、乗客は体を安定させることができるが、それ以上の乗車人員の搬器においては、両端の乗客以外の乗客は掴まるところがないので不安定であり転落してしまう虞がある。
【0003】
このようなことから大型の搬器には、乗客の転落を防止するためにセーフティーバーを備えている。このセーフティーバーは、コの字状またはロの字状に座席シートの前面を囲むように丸鋼管等で形成されており、略垂直位置と略水平位置との間で回動自在に備えられている。セーフティーバーは、乗客が乗車する前には略垂直状態にあって乗車に支障のない位置にあり、乗客が乗車した後には、水平状態へと回動して乗客を囲んだ状態となる。このようにして、乗車中の乗客の前方にはセーフティーバーが横方向に延びて位置し、乗客はこれを掴むことにより体を安定させることができる。
【0004】
セーフティーバーは、搬器に乗客が乗車しているときには線路中において常時閉じていることが望ましいが、時にはセーフティーバーを閉じずに出発したり、線路中で乗客自らがセーフティーバーを開けてしまうことがある。このようなことを防止するために、セーフティーバーの回動中心付近にセーフティーバーのロック装置を備え、このロック装置にロッドないしケーブル及びローラーを連結し、停留場内に備えたレールを通過することによりローラーが移動し、この結果セーフティーバーのロック及び解除をする技術が従来提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−57040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような技術は、確実にセーフティーバーの開閉が行われるとともにロック及び解放も自動で行われるので好ましいが、構成する要素が多く、また停留場側にもレール等を設けねばならないため高価になってしまう難点があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、少ない部品で構成され組み付けも容易であり、したがって安価に構成することのできるチェアリフト搬器のセーフティーバーロック装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、懸垂されたシートフレームに対して回動自在に取り付けられているセーフティーバーを備えたチェアリフトの搬器において、該搬器のセーフティーバー支持部付近に固着され、前記セーフティーバーの回動中心を中心とする円弧形状に形成された、厚板状のロックプレートと、前記セーフティーバーに固着したブラケットと、該ブラケットに回転自在に支持されたフックと、該フックを前記ロックプレートに掛合する方向に付勢するばねと、を備え、前記セーフティーバーが閉状態のときに前記ロックプレートの前記円弧形状の一部と前記フックとが前記ばねのバネ力によって掛合して前記セーフティーバーがロックされ、前記ばねの前記バネ力に抗して前記フックを回転させると、前記ロックプレートとの掛合状態が解除されて、前記セーフティーバーを開く方向に回動可能となり、前記セーフティーバーが開状態のときに、前記フックが前記ロックプレートの前記円弧形状の他の部分に乗り上げた状態で摺動することを特徴としている。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のロック装置において、前記フックの一端部に形成された爪状突起と、前記ロックプレートの前記円弧形状の前記一部に形成された掛止溝と、を備え、前記爪状突起と前記掛止溝とが掛合して前記セーフティーバーがロックされることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、部品点数が少なく取付も容易であるので、安価にセーフティーバーのロック装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】搬器の正面図
図2】搬器の側面図
図3】フランジ部へのセーフティーバーの取付部を示した図
図4】ロック装置の側面図
図5】ロック装置の平面図
図6】セーフティーバーが開状態のときの側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。図1及び図2は、チェアリフトの搬器10の正面図及び側面図である。搬器10は、索条11を握索する握索機12と、この握索機12に進行方向前後へ回動自在に枢着したサスペンダー13と、サスペンダー13の下部に緩衝材を介して懸垂されたシートフレーム14とを備えており、シートフレーム14の下部において、左右の部材間に座板15bと背板15aとを備えている。図に示した搬器10は、4人乗り用の搬器10であって、4席の座席18を備えている。
【0014】
背板15aの左右両側面の上部には、フランジ部17を上方へ延出して形成し、このフランジ部17にセフティーバー16が回動自在に取り付けられている。セフティーバー16は、鋼管を円環状に形成したものであって、図2において実線で示した閉状態と、2点鎖線で示した開状態との間で回動するように構成されている。このセフティーバー16は、停留場内の乗降時には開状態となっており、乗客が乗車した線路中においては手動にて閉状態にすることによって、フロントバー19が乗客の腹部付近に位置し、乗客が座席18から落下するのを防止する。
【0015】
図3は、背板15aのフランジ部17へのセーフティーバー16の取付部を示した図である。フランジ部17には、貫通孔が形成されており、ここに丸フランジ形の軸受ユニット20が取り付けられている。一方、セーフティーバー16の両側部には、略L字形状に折り曲げた板材からなる取付部材23が設けられており、この先端部に貫通孔が形成されている。軸受ユニット20及び取付部材23の貫通孔には、ボルト21を嵌挿するとともにナット22を螺合して、セーフティーバー16は背板15aのフランジ部17に回動自在に支持されている。以上の構成に加えて、片側のセーフティーバー16の取付部には、ロック装置24を備えている。
【0016】
図4及び図5は、それぞれロック装置24の側面図及び平面図である。各図においては、セーフティーバー16が閉じたときの状態を示している。まず、セーフティーバー16の後部には、ブラケット25がセーフティーバー16を挟み込んで固定されている。ブラケット25の上側部材は、搬器10の内側方向へ延出するとともに、この部分に上方へ向けて板状の部材が形成されており、この上部に円筒状のボス部が形成されている。このボス部には、フック26が回転自在に取り付けられる。
【0017】
フック26は、図4に示すように板材を前後方向へ延びるレバー状に形成したものであって、前部下面には段差を付けた爪状突起27を有している。また、フック26の中央位置にはピン28を搬器10の内側方向へ突出して備えており、このピン28をブラケット25のボス部へ嵌挿し、ピン28の端部にC形止め輪を装着してフック26がブラケット25に取り付けられる。ブラケット25のボス部には、ねじりコイルばね29が装着されている。このねじりコイルばね29の一端は、ブラケット25に掛止されるとともに、他端はフック26に掛止されており、これによりフック26に対して前方側が下方へ回動するようにバネ力が付勢されている。
【0018】
次ぎに、背板15aのフランジ部17には、ロックプレート30を固着している。ロックプレート30は厚板状であって、図4に示すように上部から後部にかけてセーフティーバー16の回動中心を中心とする円弧形状に形成されており、この円弧形状の斜め前方上部に凹状の掛止溝31が形成されている。セーフティーバー16が閉状態のときには、この掛止溝31にフック26の爪状突起27が掛合し、セーフティーバー16が開状態方向へ回動しないようにロックされる。この状態からフック26の後部を押し下げれば、掛止溝31とフック26との掛合が解かれてロックが解除し、セーフティーバー16の開状態方向への回動が可能になる。なお、この実施形態においては、ロックプレート30を背板15aのフランジ部17に固着する構成としているが、搬器10の形状等によってはシートフレーム14等に固着してもよく、ロックプレート30は固定された位置に取り付けてあればよい。
【0019】
図6は、セーフティーバー16が開状態のときの側面図である。この状態においては、セーフティーバー16に取り付けたブラケット25ないしフック26は、ロックプレート30の後部側へ回動して停止しており、フック26の爪状突起27がロックプレート30の円弧形状部に乗り上げた状態となっている。この状態で搬器10は、停留場内を回送され乗車位置で乗客が着座するとともに、乗客はセーフティーバー16を回動させて閉状態にする。この動作によりブラケット25ないしフック26も前方へ回動し、ねじりコイルばね29の付勢力により爪状突起27が掛止溝31に嵌り込み、セーフティーバー16は図4に示すようにロック状態となる。
【0020】
線路中をロック状態で進行した後、他方の停留場へ搬器10が到着すると、停留場内の係員がフック26の後部を押し下げてロックを解除し、セーフティーバー16を開状態にまで回動させる。これにより乗客は、搬器10から立ち上がることが可能になり、降車して停留場から退出する。
【符号の説明】
【0021】
10 搬器
11 索条
12 握索機
13 サスペンダー
14 シートフレーム
15a 背板
15b 座板
16 セーフティーバー
17 フランジ部
18 座席
19 フロントバー
20 軸受ユニット
21 ボルト
22 ナット
23 取付部材
24 ロック装置
25 ブラケット
26 フック
27 爪状突起
29 ねじりコイルばね
30 ロックプレート
31 掛止溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6