特許第6555736号(P6555736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555736
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/00 20180101AFI20190729BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20190729BHJP
   B32B 7/06 20190101ALI20190729BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   C09J7/00
   C09J201/00
   B32B7/06
   B32B27/00 M
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-27172(P2015-27172)
(22)【出願日】2015年2月16日
(65)【公開番号】特開2016-56339(P2016-56339A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2018年1月11日
(31)【優先権主張番号】特願2014-181999(P2014-181999)
(32)【優先日】2014年9月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150348
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 信一
(72)【発明者】
【氏名】中村 操
(72)【発明者】
【氏名】野田 真由美
(72)【発明者】
【氏名】林 昌子
(72)【発明者】
【氏名】近藤 淳子
(72)【発明者】
【氏名】湯面 蓉子
(72)【発明者】
【氏名】東 広樹
(72)【発明者】
【氏名】三田 真己
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 啓太
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 純也
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−105962(JP,U)
【文献】 特開2014−129499(JP,A)
【文献】 特開2004−258089(JP,A)
【文献】 実開昭59−001077(JP,U)
【文献】 実開昭62−083838(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 7/06
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着物に粘着させるための粘着層と、
印刷層と、
前記印刷層を表面側から透視できる透明性を備えた基材とを裏面側から表面側にこの順で有し、
幅方向に容易に切断できる易切断構造と、
前記被着物に貼り付けられた後に剥離させたときに前記印刷層を該被着物に残留させるための印刷層残留構造とを更に備え、
前記印刷層残留構造は幅方向における両端部を除いた領域に配置され、
前記易切断構造は前記両端部の領域に配置され、
貼り付けられた被着物を表面側から透視して認識できる粘着シート。
【請求項2】
前記印刷層残留構造は、前記印刷層と前記基材との間に該印刷層を該基材から剥離させるための印刷剥離層を設けることにより形成されている請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
前記易切断構造は、幅方向における脆弱構造である請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記脆弱構造は、幅構造における両端部またはその近傍に設けた略幅方向への切込みである請求項3に記載の粘着シート。
【請求項5】
前記基材の更に表面側に前記粘着層に対して剥離性を備える剥離層を更に備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着シート。
【請求項6】
前記印刷層より表面側に、該印刷層とは別段の第二印刷層を更に備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着シート。
【請求項7】
前記印刷層より表面側に、加熱することにより発色する感熱発色層を備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着シート。
【請求項8】
前記印刷層残留構造を配置された部分の面積が、印刷層残留構造を配置されていない部分の面積より大きい請求項1〜8のいずれか1項に記載の粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封確認が可能な粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
貼り付けられた粘着テープを剥離した際に、その痕跡が残ることにより、粘着テープで封じられた容器が開封されたことを確認することができる粘着テープが、開封確認機能を有するテープとして広く用いられている。
【0003】
こうした開封確認機能を有する粘着テープには、剥離の際、粘着テープ自身が破壊される物、粘着テープ自身に痕跡が残る物、粘着テープが貼り付けられた被着物に痕跡が残る物などが存在する。特に被着物に痕跡が残る物は偽造が困難である。
【0004】
被着物に痕跡を残す方法としては、例えば、特許文献1には、基材と印刷層の間に剥離層を入れた構造のラベルが記載されている。ラベルを剥がすと剥離層・印刷層・粘着層が被着物に残留して、開封されたことが確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−80590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、被着物に剥離層・印刷層・粘着層が残留していても、その上から更に粘着テープを重ね張りされた場合に、残留した痕跡が隠されるため、開封確認効果は完全ではない。また、貼り付け時に手指に剥離層・印刷層・粘着層が付着してしまうことがある。また、粘着テープが巻回体として供給された場合に、巻回体から剥がす際に、幅方向の端部にはみ出した粘着剤の影響により、粘着テープ表面に剥離層が設けられているにもかかわらず、一層内側の粘着テープの表面に剥離層・印刷層・粘着層が残留することがある。
【0007】
本発明は上記課題を解決することを目的としてなされたものであって、貼り剥がしの痕跡の上から再度貼り付けられた状態でも痕跡を確認することができ、また、剥離させる際のトラブルが抑制された、被着物に貼り剥がしの痕跡を残しやすい粘着テープとして使用できる粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の粘着シートは、被着物に粘着させるための粘着層と、印刷層と、前記印刷層を表面側から透視できる透明性を備えた基材とをこの順で有する。また、幅方向に容易に切断できる易切断構造と、前記被着物に貼り付けられた後に剥離させたときに前記印刷層を該被着物に残留させるための印刷層残留構造とを更に備えている。前記印刷層残留構造は幅方向における両端部を除いた領域に配置されている。前記易切断構造は前記両端部の領域に配置されている。さらに、この粘着シートは、貼り付けられた被着物を表面側から透視して認識できる。
【0009】
上記構成によると、被着物に貼り付けられた後に剥離させたときに印刷層を被着物に残留させるための印刷層残留構造を有しているため、被着物に貼り剥がしの痕跡を残すことができる。また、剥離させた粘着シートは印刷層が剥離しているので、貼り剥がしをした粘着シートであることが確認できる。従って、被着物からも、剥がした粘着シートのいずれからも開封確認をすることが可能となる。
【0010】
また、貼り付けられた被着物を表面側から透視して認識できる粘着シートであるため、残留した印刷層、すなわち貼り剥がしを行った痕跡の上から更に同粘着シートを貼り付けた場合に、同痕跡を確認できる。
【0011】
また、幅方向に容易に切断できる易切断構造を有しているため、手指などにより自在に切断して使用することができる。
【0012】
更に、印刷層残留構造は幅方向における両端部を除いた領域に配置されているため、粘着シートの切断を手指にて行う際に粘着層に手指が触れても、印刷層が剥離されて手指につくことがない。また、被着物への貼り付け時に幅方向の端部への貼り付けが不十分のため、被着物から剥がす際に、印刷層残留構造が機能しないことを原因として、印刷層が被着物に残留しない可能性を小さくできる。更に幅方向の端部に粘着層がはみ出し互いに癒着した場合であっても、癒着した粘着層が影響を与える幅方向の端部に印刷層残留構造が設けられていないため、印刷層残留構造の意図しない剥離が生じることがない。
【0013】
(2)前記印刷層残留構造は、前記印刷層と前記基材との間に剥離層を設けることにより形成されていることが好ましい。
かかる構成により、被着物から粘着シートを剥離する際に、剥離層から印刷層が剥離して被着物に残留する。よって、印刷層残留構造を容易に形成することができる。
【0014】
(3)易切断構造は、幅方向における脆弱構造であることが好ましい。脆弱構造が幅方向にあるため、容易に幅方向に切断できる。
【0015】
(4)脆弱構造は、幅構造における両端部またはその近傍に設けた略幅方向への切込みであることが好ましい。略幅方向への切込みを設けることで、脆弱構造を容易に形成することができる。また、この切れ込みは幅方向への切断を誘発するために形成されているのであるから、かかる機能を有する程度であれば、正確に、幅方向に形成されている必要はない。すなわち、略幅方向とは、上記機能を有する程度に幅方向からずれた場合も含む概念である。
【0016】
(5)本発明の粘着シートは、最も表面側に前記粘着層に対して剥離性を備える剥離層を更に備えることが好ましい。かかる構成によると最も表面側に剥離層が備えるため、粘着シートを巻回した場合に粘着層が剥離層に接するため、粘着シート同士が固着することがない。従って、別段の剥離紙がなくても、巻回した形状で粘着シートを供給することができる。
【0017】
(6)本発明の粘着シートは、前記印刷層より表面側に該印刷層とは別段の第二印刷層を更に備えることが好ましい。例えば、第二印刷層によって、注意書を表示して開封者に注意を促すことや、ロゴマーク等を表示することにより、使用者を見た者に示すこと等が可能となる。
【0018】
(7)本発明の粘着シートは、前記印刷層より表面側に加熱することにより発色する感熱発色層を備えることが好ましい。感熱発色層を加熱により発色させることで、使用者が任意な内容を表示することが可能となる。
【0019】
(8)本発明の粘着シートは、前記印刷層残留構造を配置された部分の面積が、印刷層残留構造を配置されていない部分の面積より大きいことが好ましい。印刷層残留構造を大面積に設けることにより、印刷剥離層および基材間の剥離強度と、粘着層および被着物間の剥離強度の差が小さいときであっても、印刷剥離層および基材間の界面剥離が生じやすく、貼り剥がしの痕跡が残りやすい。また、被着物に残留する貼り剥がしの痕跡が大きいため、同痕跡が一見して目立つ。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、貼り剥がしの痕跡の上から更に貼り付けても、同痕跡が確認できるとともに、貼り付け時に手指に貼り剥がしの痕跡が付着することを抑制できる粘着シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施形態に係る粘着テープの概略断面図である。
図2】同実施形態に係る粘着テープの巻回された状態を示す斜視図である。
図3】同実施形態に係る粘着テープを被着物から剥がす際の変化を示す概略断面図である。
図4】被着物の開口部に貼り付けられた粘着テープを剥がした後の被着物の開口部近傍図である。
図5】同実施形態に係る粘着テープの表面図である。
図6】被着物から粘着テープを貼り剥がした後に、更に粘着テープを貼ったときの被物の開口部近傍図である。
図7】第2の実施形態に係る粘着テープの概略断面図である。
図8】同実施形態に係る粘着テープの表面図である。
図9】第3の実施形態に係る粘着テープの概略断面図である。
図10】第1の実施形態に係る粘着テープの変形例の表面図である。
図11】第1の実施形態に係る粘着テープの他の変形例の表面図である。
図12第1の実施形態に係る粘着テープの上記いずれとも異なる変形例を示す図であって、粘着テープを剥がした後の被着物の開口部近傍図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1の実施形態〕
以下に、図1図6を参照し、本発明の粘着シートを開封確認用の粘着テープとして用いた実施形態について説明する。なお、以下の説明において、表面側および裏面側とは図中に矢印で記した向きをいう。
【0023】
図1は、本実施形態に係る粘着テープの概略断面図である。この粘着テープは、被着物に粘着させるための粘着層50と、印刷層40と、前記印刷層を表面側から透視できる透明性を備えた基材20とを厚み方向において裏面側から順に有している。また、粘着層50に対して剥離性を備える剥離層10を最も表面側に更に備えている。
【0024】
以下、粘着テープの各層の構成について、より詳細に説明する。
【0025】
(粘着層50)
粘着層50は、粘着剤を含み形成されている。粘着剤としては、公知のもの、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが使用できる。粘着剤は、溶剤型粘着剤、無溶剤型粘着剤、エマルション型粘着剤のいずれであってもよい。
【0026】
粘着層50は、印刷層40の裏面側に直接塗布しても良い。また、粘着剤に対して剥離性を有する部材上に粘着層を形成するための薬剤を塗り広げた面に、印刷層40を形成した基材20の印刷層40側を重ね合わせてた後に、同剥離性を有する部材を剥がし取ることにより形成しても良い。
【0027】
基材20の単位面積当たりの粘着層50の重量は、乾燥重量で、例えば、1〜20g/m2、好ましくは5〜15g/m2とすることができる。粘着層50の重量がこのような範囲である場合、適度な粘着性と透明性とを確保し易い。
【0028】
(基材20)
基材20は、透明材料、例えば、透明の樹脂フィルムで構成できる。基材20を構成する樹脂としては、フィルムが柔軟性を有し、透明性が高いものであれば特に制限されない。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロプレンなどのポリオレフィン樹脂;ポリスチレンなどのスチレン樹脂;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ポリカーボネートなどのカーボネート系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
【0029】
基材20を構成する樹脂フィルムは、未延伸フィルムであってもよく、延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムは、一軸延伸フィルムおよび二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。また、基材20は、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。
【0030】
透明性、取り扱い性、他の層の形成し易さ、強度などの観点から、基材20の厚みは、例えば、5〜150μm、好ましくは10〜100μm、更に好ましくは20〜70μmである。
【0031】
(剥離層10)
粘着テープは、最も表面側に粘着層50に対して剥離性を備える剥離層10を更に備えている。そのため、粘着テープを図2に示すように巻回した場合に、粘着層50が剥離層10に接しても、粘着テープ同士が固着することがない。従って、別段の剥離紙がなくても、巻回した形状で粘着テープを供給することができる。
【0032】
この剥離層10は、剥離剤または離型剤を含み形成されている。剥離剤または離型剤としては、剥離剤またはプラスチック成型用の離型剤などとして知られる公知のもの、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが例示できる。これらの剥離剤は、粘着剤の種類に対応させて、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。また、必要に応じて、公知の添加剤を含んでもよい。
【0033】
剥離層10は、最表面側に剥離剤を塗布し、塗膜を乾燥することにより形成できる。剥離層10の重量は、乾燥重量で、例えば、0.1〜5g/m2、好ましくは0.1〜2.5g/m2とすることができる。剥離層10の重量がこのような範囲である場合、剥離性と透明性とを確保し易い。
【0034】
(印刷層40)
印刷層40は、通常印刷に用いるインクを含んで形成されている。インクの構成は、顔料系であっても、染料系であっても、両者を含んでいても良い。また、水性であっても溶剤系であっても良い。
【0035】
また構成方法も通常印刷として用いる方法であれば特に限定されない。例えばグラビア印刷であっても、凸版・凹版・平板・インクジェット印刷等通常用いられているいかなる方法であっても良い。目的に応じて用いれば良い。
【0036】
この粘着テープは、貼り付けられた被着物を透過して認識できる構成であるため、印刷層40を形成後に遮光する構成であってはならない。但し、完全透過する必要はなく、被着物に貼り付けたときに、被着物が目視できる程度に透過すれば良い。また、有色であっても無色であってもよく、色彩についても特に限定されない。
【0037】
(印刷剥離層30)
基材20と印刷層40との間には、基材20から印刷層40を剥離させるための印刷剥離層30が備えられている。印刷剥離層30および基材20の界面の剥離力が、粘着層50および被着物の界面の剥離力より小さくなる材料で印刷剥離層30は形成されている。具体的には、印刷剥離層30は、例えばワックス類や、基材20との密着性の低いインク類を用いて形成される。より具体的には、TM−LAC透明剥離剤(大日本精化工業株式会社製)などを用いることができる。
【0038】
この基材20および印刷剥離層30,印刷層40,粘着層50に至る構造が、被着物に貼り付けられた後に剥離させたときに印刷層40が被着物に残留する印刷層残留構造として機能する。印刷剥離層30および基材20の界面の剥離力が、粘着層50および被着物60の界面の剥離力より小さいため、図3に示すように、被着物60に貼り付けられた粘着テープが被着物60から剥離される際に、印刷層残留構造が設けられた部分において、印刷剥離層30および基材20の界面が剥離する。図4は被着物60の開口部61に粘着テープを貼り剥がした状態を示した図である。この図4に示すように、印刷層残留構造が設けられた部分の印刷層40が粘着層50および印刷剥離層30とともに被着物60に残留する。
【0039】
図5に示すように、印刷層残留構造31は幅方向における両端部を除いた領域に配置されている。具体的には、印刷層残留構造31は幅方向の両端部E,Eには設けられておらず、幅方向の中央部Mにのみ設けられている。そのため例えば手指にて被着物に貼り付ける際に、手指が両端部E,Eのみを触れるようにすれば、手指に粘着層50が触れ張り付いた場合であっても、粘着テープを剥がしたときに、手指上に印刷層40が剥離して残留することはない。
【0040】
また、手指が触れた結果、両端部E,Eの粘着層50に手指を介して水・油等が付着して粘着力が低下することがある。このような場合、両端部E,Eに印刷層残留構造31が設けられていても、粘着層50および被着物60の界面の粘着力が、印刷剥離層30および基材20の界面の剥離力より弱くなり、印刷層40が被着物60に残留しない場合がある。この場合、端部Eにおいて印刷剥離層30の剥離が生じないことがきっかけとなり、ひきずられるように中央部Mにおいても同剥離が生じないか不十分となることがある。本実施形態においては、両端部E,Eに印刷層残留構造31がないため、両端部E,Eの粘着力が低下していても特に問題なく印刷層残留構造31が機能し、印刷層40が被着物に残留する。
【0041】
また、本実施例の粘着テープは、図2に示すように巻回体であるため、端縁E1より更に外側にはみ出した粘着層50が、巻回体の端面Sにおいて、融合・一体化することがある。このような場合、粘着テープの巻回体の一番外側を剥離させようとする際に、最も外側の粘着層50が一層内側の粘着層50に引かれることがある。かかる際に、印刷層残留構造31が端部Eに形成されていると、この印刷層残留構造31が引かれた粘着層50とともに剥離するために、一層下の粘着テープの表面に残ることがある。本実施形態においては、印刷層残留構造31が端部Eに形成されていないためこのような意図しない印刷層残留構造31の剥離は抑制されている。
【0042】
なお、図5において、印刷層残留構造31は粘着テープの表面側から目視できているが、例えば、印刷剥離層30に透明の材料を用いた場合等には、目視による視認ができない場合もある。
【0043】
この粘着テープは、貼り付けられた被着物60を表面から透過して認識できる。具体的には、基材20のみならず、印刷層40、粘着層50、印刷剥離層30および剥離層10についても透明なものを使用するとともに、各層の界面についても乱反射が生じないように滑らかなものとする等により粘着テープ全体としての透過性を確保することができる。なお、粘着テープを透過して被着物を確認できれば良いのであるから、必ずしも粘着テープが完全に透明である必要はなく、濁りや曇りがあっても良い。また、無色透明である必要はないのであるから、着色されていても良い。特に印刷層40に用いる染料や顔料は、完全遮光するものでなければ、公知のものを広く用いることができる。またその他の層についても、完全に遮光するものでなければ用いることができる。粘着テープ全体として透過するのであれば、濁りや曇りが生じていても良い。
【0044】
また、この粘着テープは、幅方向に容易に切断できる易切断構造を有している。具体的には、易切断構造は幅方向における脆弱構造としての幅方向への切込み80が形成されている。より具体的には、この切込み80は幅方向の両端部E,Eに形成されているが、端縁E1には達していない。この幅方向への切込み80が存在することにより、手指にて容易に切断できるため、別途にはさみやカッターを用いる必要がない。また、切込み80が端縁E1に達していないことにより、製造工程や使用時に誤って粘着テープが切断されるリスクを低減することができる。
【0045】
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0046】
(1)本実施形態の粘着テープは、最も表面側に粘着層50に対して剥離性を備える剥離層10を備えるため、粘着テープを巻回した場合に、粘着層が剥離層に接するため、粘着テープ同士が固着することがない。そのため、別段の剥離紙を用いることなく、ロール状の形態で透明粘着テープを供給することができる。
【0047】
(2)本実施形態の粘着テープは、幅方向に容易に切断できる易切断構造を有しているため、別段の用具がなくても手指によって幅方向に切断して使用することができる。
【0048】
(3)また、易切断構造が幅方向における脆弱構造としての幅方向への切込み80であるため、製造時に刃型を入れる等により容易に形成できるため、製造が容易である。
【0049】
(4)また、切込み80が端縁E1に達していないことにより、製造工程や使用時に誤って粘着テープが切断されるリスクを低減することができる。
【0050】
(5)本実施形態の粘着テープは、被着物に貼り付けられた後に剥離させたときに印刷層40が被着物60に残留する印刷層残留構造31を有しているため、貼り剥がしがあったことが被着物60を見ることで、確認できる。
【0051】
(6)本実施形態の粘着テープは、被着物に貼り付けられた後に剥離させたときに印刷層40が被着物60に残留する。そのため、印刷層残留構造31を設けられていた部分の印刷層40は貼り剥がしした粘着テープから脱落する。その結果、貼り剥がしした粘着テープには、印刷層40が脱落した痕跡が形成されるため、貼り剥がしがあったことが剥がした粘着テープにおいても確認できる。
【0052】
(7)本実施形態の粘着テープは、貼り付けられた被着物60を表面側から透視して認識できる粘着テープであるため、残留した印刷層40、すなわち貼り剥がしを行った痕跡の上から更に同粘着テープを貼り付けた場合に、同痕跡を確認できる。具体的には、図6に示すように、貼り剥がしによって被着物60上に残留した粘着層50・印刷層40・印刷剥離層30が積層した痕跡の上から粘着テープを貼った場合には、同痕跡を粘着テープの表面側から視認することができる。よって、現状貼られている粘着テープが貼られる前に、被着物60はすでに他の粘着テープを剥離して開口部61が開封されていることを確認することができる。
【0053】
(8)本実施形態の粘着テープは、印刷層残留構造は幅方向における両端部E,Eを除いた領域すなわち幅方向における中央部Mに配置されているため、粘着テープの切断を手指にて行う際に粘着層50に手指が触れても、印刷層40が剥離されて手指につく可能性が小さい。
【0054】
(9)また、被着物60への貼り付け時に幅方向の両端部E,Eの貼り付けが不十分のであっても、被着物60から剥がす際に、印刷層残留構造31が機能しないことを原因として、印刷層40が被着物に残留しない可能性を抑制できる。
【0055】
(10)また、粘着層50が、端縁E1より更に外側にはみ出し一層下の粘着層50と一体化した場合であっても、両端部E,Eに印刷層残留構造が配置されていないため、巻回された粘着テープの一番上の層を引きはがす際に、一層下の粘着層50に引かれて印刷層残留構造31が剥離することがない。
【0056】
〔第2の実施形態〕
以下に、図7および図8を参照し、本発明の粘着シートを開封確認用の粘着テープとして用いた第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、第二印刷層を備える以外は、第1の実施形態と同様であるので、同等の機能を有する部分については、同一符号を付すとともにその説明を省略し、異なる部分のみ詳説する。
【0057】
(第二印刷層70)
図7に示すように、基材20と剥離層10との間に第二印刷層70を備えている。この印刷層40は、通常印刷に用いるインクを含んで形成されている。インクの構成は、顔料系であっても、染料系であっても、両者を含んでいても良い。また、水性であっても溶剤系であっても良い。
【0058】
また構成方法も通常印刷として用いる方法であれば特に限定されない。例えばグラビア印刷であっても、凸版・凹版・平板・インクジェット印刷等通常用いられているいかなる方法であっても良い。目的に応じて用いれば良い。また、印刷層40とは異なり、図7のように第二印刷層70を部分的に形成する場合であって、被着物を透過して認識することができる程度の範囲のみに積層するのであれば、第二印刷層70が遮光性を有していても良く、色彩についても特に限定されない。
【0059】
この第二印刷層70を設けることにより、粘着テープに表示を行うことが可能となる。例えば、図8に示すように、注意書71を行うことにより、開封者が不用意にこの粘着テープを剥がすことに対して注意を促すことができる。また、粘着テープに、使用者の名称やマーク、ロゴなどを表示することにより、この粘着テープを貼った者に対する情報を与えることも可能となる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態において説明した(1)〜(10)の効果に加え以下の効果を得ることができる。
【0061】
(11)本実施形態の粘着テープは、第二印刷層70を備えるため、粘着テープに表示を行うことが可能となる。この表示は、印刷層40とは異なり、貼り剥がしを行う前から表示される。そのため、例えば、この粘着テープを商品の包装に用いる場合には、ロゴや商標等の包装者の情報を表示させれば、包装者の宣伝等を行うことができる。また包装者の表示を行うとともに開封確認ができるテープを用いることにより、包装者の安全に対する姿勢を消費者にアピールすることができ得る。
また、たとえば、免税品の包装にこの粘着テープを使用する場合においては、第二印刷層70を用いて注意書71を表示することにより、不用意な開封を抑制することができる。
【0062】
〔第3の実施形態〕
以下に、図9を参照し、本発明の粘着シートを開封確認用の粘着テープとして用いた第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、感熱発色層を備える以外は、第1の実施形態と同様であるので、同等の機能を有する部分については、同一符号を付すとともにその説明を省略し、異なる部分のみ詳説する。
【0063】
(感熱発色層90)
図9に示すように、基材20と剥離層10との間に感熱発色層90を備えている。この感熱発色層90は、加熱により発色する構成であれば、公知のものを、広く適用することができる。一般的には、発色剤、顕色剤およびその他の成分を含んで形成されている。また積層方法もバーコーターやカーテンコータにより積層しても良いし、印刷方式を応用して積層しても良い。
【0064】
この粘着テープは、貼り付けられた被着物を透過して認識できる構成であるため、感熱発色層90が発色前に完全に遮光する構成であってはならない。但し、完全に透過する必要もなく、被着物に貼り付けたときに、被着物が目視できる程度に透過すれば良い。また、全面発色させるような特殊な使い方をする場合を除き、発色後に遮蔽されるのは粘着テープの一部であるため、発色部分が遮光することは特に問題とはならない。
【0065】
使用者は、例えば、サーマルプリンタなどを用いてこの感熱発色層90を発色させることにより、粘着テープに任意の表示を行うことが可能となる。第2の実施形態と同様に、図8に示すように、注意書71を行うことにより、開封者が不用意にこの粘着テープを剥がすことに対して注意を促すことができる。また、粘着テープに、使用者の名称やマーク、ロゴなどを表示することにより、この粘着テープを貼った者に対する情報を与えることも可能となる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態および第2の実施形態において説明した(1)〜(11)の効果に加え以下の効果を得ることができる。
【0067】
(12)本実施形態の粘着テープは、感熱発色層90を備えるため、粘着テープに使用者の任意の表示を行うことが可能となる。従って、この粘着テープの供給の際に、顧客ごとに個別の表示を行う必要がない。例えば、ロゴなどの包装者を示す表示を予め印刷する必要がない。また、複数の国にこの粘着テープを供給する際にも、各国の言語で注意書などを印刷する必要がなく、製造コストを削減できる可能性が大きい。
【0068】
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
【0069】
・上記実施形態において、本発明の粘着シートは巻回された粘着テープの形態で使用されているが、他の形態で使用されていても良い。例えば、毎葉状のラベル形態で使用されていても良いし、巻回されて供給されるラベル連続体として使用されていても良い。
【0070】
・上記実施形態において、最も表面側に粘着層50に対して剥離性を備える剥離層10を備えるが、必須ではない。例えば、粘着層50に対して剥離性を有する剥離紙を粘着層50の更に裏面側に備えるのであれば、最も表面側に剥離層10がなくても良い。例えば、上述のラベル形態やラベル連続体として使用される場合には剥離紙を用いることが有用である場合がある。
【0071】
・上記実施形態において、脆弱構造として、端縁E1に達していない幅方向への切込み80を用いているが、製造時および使用時における誤切断のリスクが小さければ、図10に示すように、端縁E1に達した切込み81であっても良い。かかる構成によると、切込みが端縁E1に達しているために、手指による切断が一層容易となる。
【0072】
・また、脆弱構造として、図11に示すようなノッチ構造82を用いても良い。図11においては、端縁E1に連続的にノッチ構造82を形成しているが、間隔を開けてノッチ構造82を端縁E1に形成しても良い。
【0074】
・上記実施形態において、基材20および印刷剥離層30間の剥離が貼り剥がしの際に生じる構造となっているが、印刷剥離層30および印刷層40間に剥離が生ずる構造としても良い。また、両者の剥離が併存あるいは貼り剥がし条件によって選択的に生ずる構成であっても良い。要は、貼り剥がしによって印刷層40が被着物60に残留する構成であれば、いかなる構成であっても良い。
【0075】
・上記実施形態において、印刷層残留構造31は印刷剥離層30を用いて形成されているが、他の形式であっても良い。貼り剥がしによって印刷層40が残留する公知の構造を広く用いることができる。
【0076】
・上記実施形態において、印刷層残留構造31の設けられている部分は設けられていない部分に比して小面積となっている。そのため、図4に示すように、被着物60に残留する粘着層50・印刷層40・印刷剥離層30が積層した痕跡も比較的小面積であり、具体的には、「開封済」と読み取れる文字部分のみとなっている。しかしながら、印刷層残留構造31の設けられている部分を設けられていない部分に比して大面積としてもよい。その場合、粘着層50・印刷層40・印刷剥離層30が積層した痕跡も比較的大面積となり、具体的には、例えば図1に示すように、「開封済」と読み取れる文字部分を中抜き文字で形成することができる。かかる構成にすれば、貼り剥がしの痕跡が一見して目立つとともに、残留部分が大きいため、印刷剥離層30および基材20間の剥離強度と、粘着層50および被着物60間の剥離強度の差が小さいときであっても、印刷剥離層30および基材20間の界面剥離が生じやすく、貼り剥がしの痕跡が残りやすい。
【0077】
・第2の実施形態において、第二印刷層70は基材20と剥離層10との間に積層されているが、印刷層40より表面側であれば、他の場所に積層されていても良い。例えば基材20の裏面側に基材20に接するように設けられていてもよい。この場合であっても基材20や剥離層10が透明であるため、表面側から問題なく視認できる。また、粘着層50による剥離が問題とならないのであれば、剥離層10の更に表面側に設けても良い。
【0078】
・第3の実施形態において、感熱発色層90は基材20と剥離層10との間に積層されているが、印刷層40より表面側であれば、他の場所に積層されていても良い。例えば、加熱が困難にならないのであれば、基材20の裏面側に基材20に接するように設けられていてもよい。この場合であっても、基材20や剥離層10が透明であるため、表面側から問題なく視認できる。また、粘着層50による剥離が問題とならないのであれば、剥離層10の更に表面側に設けても良い。
【0079】
・また、第二印刷層70および感熱発色層90を合わせて用いても良い。例えば、感熱発色層90が基材20と剥離層10との間に積層され、かつ、第二印刷層70が基材20の裏面側に基材20に接するように積層されていてもよい。両者を併用することで、例えば、注意書を第二印刷層70により共通して表示させるとともに、使用者を示すロゴ等は、使用者が感熱発色層90を発色させることにより独自に表示しても良い。
【0080】
・また、上記実施形態のいずれにも記載されていない層を更に備えていても良い。例えば、耐水性・耐油性・耐光性・耐候性などを向上させる目的や、感熱発色層90を保護する目的で、保護層や中間層を更に備えても良いし、粘着層と印刷層の密着性を高めるためのアンカー層を有していても良い。
【0081】
・またその他の部分においても、請求項に記載の範囲内で構成を変えても良いことは、当然のことである。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の粘着シートは、貼り剥がしを確認することができる粘着シートであるため、開封確認をするための開封確認用の粘着テープやラベルとして、好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0083】
10…剥離層
20…基材
30…印刷剥離層
31…印刷層残留構造
40…印刷層
50…粘着層
60…被着物
61…開口部
70…第二印刷層
71…注意書
80,81…切込み
82…ノッチ構造
83…ミシン目
90…感熱発色層
E…端部
E1…端縁
M…中央部
S…端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12