【文献】
西山敏雄ほか1名,“検索属性の優先順位に基づく自然語対話処理の代替案応答手法”,NTT R&D,1990年 5月10日,第39巻, 第5号,pp.793〜802
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入力部は、前記選択された話題が正しくない旨を示す第2の入力を更に入力し、前記経路選択部は、前記話題の候補の中から前記期待値に基づいて未選択の話題を再選択する請求項1に記載の応対支援装置。
前記期待値データ更新部は、前記第2の入力が入力されると、前記入力されたテキストに対する前記選択された話題の期待値が低下するように、前記期待値データを更新する請求項2に記載の応対支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の概要について説明する。
図1は、本発明の応対支援装置を示す。応対支援装置10は、入力部11、候補抽出部12、経路選択部13、及び表示部14を有する。
【0015】
入力部11は、応対員が対応する応対の内容に関連するテキストを入力する。経路データ15は、それぞれが応対の目標に至る複数の経路を定義する。各経路は、複数のステージを含む。経路データ15は、各経路に含まれる複数のステージのそれぞれにおける話題を更に定義する。候補抽出部12は、経路データ15に基づいて、経路において現在のステージから遷移される次のステージにおける話題の候補を抽出する。
【0016】
期待値データ16は、入力されたテキストに対する話題の候補の期待値を記憶する。経路選択部13は、期待値データ16に基づいて、候補抽出部12で抽出された話題の候補の中から次のステージにおける話題を選択する。表示部14は、経路選択部13が選択した話題を、例えばディスプレイ装置などの出力装置に表示することで、オペレータ(応対員)に次のステージにおける話題を通知する。
【0017】
本発明では、複数のステージを含み、かつ複数のステージのそれぞれにおける話題を定義する経路データ15が用いられる。経路データ15と期待値データ16とを用いて決定された話題を表示し、応対員が表示された話題で応対相手との対話を行うことで、応対における話題を経路に沿って目標方向に誘導することが可能である。従って、本発明では、応対員と応対相手との応対において客が期待している成果が得られるまでに要する時間を短縮することが可能である。
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る応対支援装置を示す。応対支援装置100は、入力部101、候補抽出部102、経路選択部103、表示部104、及び期待値データ更新部105を有する。応対支援装置100は、例えばサーバなどのコンピュータ装置(コンピュータシステム)を用いて構成される。応対支援装置100内の各部の機能の少なくとも一部は、例えば、コンピュータシステムに含まれるプロセッサが、メモリから読み出したプログラムに従って処理を実行することで実現される。
【0019】
応対支援装置100は、オペレータ端末200と接続される。オペレータ端末200は、例えばコールセンタにおいて、応対相手(客)との応対を実施するオペレータ(応対員)が使用する端末である。オペレータ端末200は、例えばパーソナルコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク装置、ディスプレイ、キーボード、及びマウスなどを有する。
【0020】
応対支援装置100は、例えばクラウド環境に配置されており、応対支援装置100とオペレータ端末200とは、インターネット、公衆網、専用線、又は移動体通信網などの通信網を通じて相互に接続される。なお、
図2では、オペレータ端末200が1つだけ図示されているが、応対支援装置100には複数のオペレータ端末200が接続されてもよい。
【0021】
入力部101は、オペレータ端末200から、応対の内容に関連するテキストを入力する。オペレータは、例えば応対において客と会話しつつ、キーボードなどを用いて応対の内容に関連するテキストを応対支援装置100に送信する。あるいは、オペレータ端末200に音声認識ソフトウェアなどが実装されており、オペレータ端末200が応対の内容を自動的にテキスト化して応対支援装置100に送信してもよい。さらには、音声認識を用いて自動的にテキスト化されたテキストをディスプレイに表示し、その中から、オペレータが応対支援装置100に送信するテキストを選択することとしてもよい。入力部101は、客との応対に例えば電子メールやチャットシステムなどのテキストベースのコミュニケーションが用いられる場合は、電子メールやチャットシステムからテキストを入力してもよい。入力部101は、
図1の入力部11に対応する。
【0022】
経路データ111は、それぞれが応対の目標に至る複数の経路を定義する経路データである。経路データ111は、各経路に含まれる複数のステージのそれぞれにおける話題を更に定義する。経路データ111は、図示しない記憶装置に記憶される。経路データ111で定義される各経路は、他の経路と重複した区間と、他の経路への分岐とを含み得る。経路データ111において、各経路は、例えば応対の目標を末端ノードとする木構造を有する。経路データ111は、
図1の経路データ15に対応する。
【0023】
候補抽出部102は、経路データ111に基づいて、各経路において現在のステージから遷移される次のステージにおける話題の候補を抽出する。例えば候補抽出部102は、現在のステージが複数の経路で重複したステージである場合、そのステージから遷移可能な分岐先の各ステージに対応する話題を、次のステージにおける話題の候補として抽出する。候補抽出部102は、
図1の候補抽出部12に対応する。
【0024】
期待値データ112は、テキストと対応付けて記憶された、そのテキストが入力された場合における次のステージにおける話題の候補の期待値を示すデータである。期待値は、例えば過去の応対において、現在のステージにおいてあるテキストが入力された場合に、次のステージにおいてそのステージに対応する話題がなされる確率に基づいて求められる。例えば期待値は、確率と確率変数との積で求められる。期待値データ112は、
図1の期待値データ16に対応する。
【0025】
経路選択部103は、入力部101に入力されたテキストと、期待値データ112とに基づいて、候補抽出部102で抽出された話題の候補の中から、次のステージにおける話題を選択する。別の言い方をすると、経路選択部103は、現在のステージを通る経路のうち、選択した話題に対応するステージを通る経路を選択する。経路選択部103は、
図1の経路選択部13に対応する。
【0026】
表示部104は、経路選択部103が選択した話題をオペレータ端末200に表示させる。表示部104は、例えばインターネットなどのネットワークを通じて、選択された話題をオペレータ端末200のディスプレイ上に表示させる。表示部104は、選択された話題に加えて、経路におけるステージの進行をオペレータ端末200に表示させてもよい。表示部104は、
図1の表示部14に対応する。
【0027】
本実施形態において、オペレータは、表示された次のステージの話題が適切であったか否かを示す結果を入力することができる。入力部101は、例えば表示された話題が正しかった場合は、その旨を示す第1の入力として「いいね」を入力する。経路選択部103は、「いいね」が入力された場合は、経路においてステージを1つ目標側に進め、現在の話題を表示された話題に確定する。
【0028】
一方、入力部101は、例えば表示された話題が正しくなかった場合は、その旨を示す第2の入力として「そうではなくて」を入力する。経路選択部103は、「そうではなくて」が入力された場合は、候補抽出部102で抽出された話題の候補の中から、期待値データ112の期待値に基づいて未選択の話題を再選択する。経路選択部103は、未選択の話題が存在しない場合は、経路においてステージを応対の目標とは反対側に1つ戻してもよい。
【0029】
期待値データ更新部105は、入力部101が入力した、選択された話題が適切であったか否かを示す結果に基づいて、期待値データ112における期待値を更新する。期待値データ更新部105は、例えば「いいね」が入力された場合は、入力されたテキストに対する選択された話題の期待値が増加するように、期待値データ112を更新する。このように期待値データ112を更新することで、次に同じテキストが入力された場合に、「いいね」が入力された話題が選択されやすくなる。
【0030】
一方、期待値データ更新部105は、例えば「そうではなくて」が入力された場合は、入力されたテキストに対する選択されていた話題の期待値が低下するように、期待値データ112を更新する。この場合は、期待値を下げることで、次に同じテキストが入力された場合に、「そうではなくて」が入力された話題が選択されにくくなり、正しい話題が選択される確率を上げることが可能である。
【0031】
過渡期データ113は、経路データ111及び期待値データ112と同様なデータを含む。過渡期データ113に含まれる経路データ及び期待値データは、正式運用前の仮データとして使用される。応対の業務において、新たなテキストが出現すると、そのテキストに対応する話題に関するデータが過渡期データ113として生成される。コールセンタにおいて、例えば、特定の権限を有するオペレータが過渡期データ113を使用し、その検証を実施することができるものとする。
【0032】
図3は、経路データ111の一例を示す。
図3に示される例では、経路データ111において、「製品b」について、応対の目標の話題である「型番」に至る経路と、目標の話題である「購入」に至る経路と、目標の話題である「対応」に至る経路とが定義される。例えば経路データ111において、「対応」に至る経路は、最終的な目標である「対応」に至るまでにどのような話題で客から情報を聞き出せばよいかを逆算することで作成される。例えば、使い方ごとに対応方法が異なる場合、
図3に示されるように、「対応」に対応するステージの前に、「使い方」に対応したステージを設けた経路データ111が作成される。
図3では、製品bの使い方ごとに、3つの「対応」に至る経路がそれぞれ定義される。このように、経路データ111において、逆算で各ステージ及びそのステージにおける話題が定義されることで、オペレータは、客との応対を、目標方向へ円滑に誘導することができる。
【0033】
期待値データ112(
図2を参照)は、例えば
図3に示される経路において、あるテキストが入力され、あるステージから次のステージに遷移する場合に、次にどの話題のステージに遷移することが期待されるかを示すデータ(期待値)を含む。期待値データ112は、例えば、「製品b」に対応したステージについて、あるテキストが入力された場合に、次のステージが「種類」である期待値と、次のステージが「使い方」である期待値と、次のステージが「動かない」である期待値とを含む。
【0034】
候補抽出部102は、例えば現在のステージが話題「製品b」に対応したステージである場合は、そのステージから遷移可能なステージに対応する話題「種類」、「使い方」、及び「動かない」を、次のステージにおける話題の候補として抽出する。経路選択部103は、入力されたテキストと期待値データ112とに基づいて、「種類」、「使い方」、及び「動かない」から、次のステージにおける話題を選択する。言い換えると、経路選択部103は、それぞれ「種類」、「使い方」、及び「動かない」に対応したステージの中から、遷移先のステージを選択する。経路選択部103は、例えば期待値が最も高い話題に対応したステージを、遷移先のステージとして選択する。
【0035】
表示部104は、オペレータ端末200に、選択された次のステージにおける話題を表示させる。オペレータは、この表示を見ることで、客とどのような話題で会話をすればよいかを知ることができる。オペレータは、客との応対を進め、表示された話題が適切であった場合は、「いいね」を応対支援装置100に送信する。応対支援装置100は、「いいね」が送信された場合は、現在ステージを選択した話題に対応するステージに確定し、経路データ111に基づいて、次のステージにおける話題の候補を抽出する。
【0036】
例えば、オペレータ端末200に次のステージにおける話題として「動かない」が表示されている場合に、オペレータ端末200から「いいね」が送信された場合、現在ステージは「製品b」に対応したステージから「動かない」に対応したステージに進められる。その場合、経路データ111に基づいて、次のステージにおける話題の候補として「使い方」が抽出され、「使い方」が次のステージにおける話題としてオペレータ端末200に表示される。オペレータ端末200から「そうではなくて」が送信された場合、別の話題の候補が選択されるか、或いはステージが1つ前のステージに戻される。
【0037】
次のステージにおける話題の表示と、「いいね」又は「そうではなくて」の送信とは、経路の末端ノードである目標の話題に対応するステージに到達するまで繰り返し実施される。期待値データ更新部105は、「いいね」が送信された場合は、入力されたテキストと選択された話題との組み合わせの期待値を増加させる。期待値データ更新部105は、「そうではなくて」が送信された場合は、入力されたテキストと選択された話題との組み合わせの期待値を低下させる。最終的に、現在ステージが目標の話題に対応するステージに到達(確定)すると、応対支援装置100を用いたオペレータの支援は終了となる。
【0038】
図4は、オペレータ端末200における画像の表示例を示す。表示画面300は、応対相手である客に関する情報を表示するエリア301と、これまでの応対における話題の履歴を表示するエリア302と、次のステージにおける話題を表示するエリア303とを含む。オペレータは、エリア303に表示される話題で応対を進めることで、客から、応対の目標に到達するまでに聞き出す必要がある事項を順次に聞き出すことができる。表示画面300は、現在進行中の経路において、どのステージまで進行したかを示す情報を表示するエリア304も含む。エリア304の表示を参照することで、オペレータは、応対がどの程度進行しているかを確認できる。
【0039】
図5は、コールセンタにおける組織図を示す。例えば、コールセンタを運用する組織は、センタ長500、マネージャ510、スーパバイザ520、及びコミュニケータ530を含む。センタ長500の配下には複数のマネージャ(MG)510が置かれ、各マネージャ510は、スーパバイザ(SV)520を管理する。スーパバイザ520の配下には、コミュニケータ(CM)530が配置される。
【0040】
センタ長500、マネージャ510、スーパバイザ520、及びコミュニケータ530は、オペレータ端末200のオペレータであり得る。例えば、通常の案件は、コミュニケータ530が応対を担当する。スーパバイザ520は、例えばコミュニケータ530では対処しきれない案件などを担当する。同様に、マネージャ510及びセンタ長500は、下位のものが対処しきれない案件などを担当する。前述の過渡期データ113の使用及び検証は、例えばスーパバイザ520よりも上位の職種のものが実施可能であるとする。
【0041】
期待値データ更新部105は、オペレータ端末200を操作するオペレータの職種(ランク)に応じて、期待値データ112を更新する場合の変化幅を変えてもよい。例えば、コールセンタにおいて、職種に応じてランク(レベル)が設定されているとする。具体的に、コミュニケータ530にはレベル1が設定され、スーパバイザ520にはレベル2が設定され、マネージャ510にはレベル3が設定され、センタ長500にはレベル4が設定されているとする。期待値データ更新部105は、オペレータに設定されたレベルに応じた変動幅で、期待値データ112を更新してもよい。
【0042】
具体的に、期待値データ更新部105は、期待値を増加させる場合は、応対を実施したオペレータのレベルに応じた増加幅で期待値データ112における期待値を増加させてもよい。逆に、期待値データ更新部105は、期待値を低下させる場合は、応対を実施したオペレータのレベルに応じた低下幅で期待値データ112における期待値を低下させてもよい。例えば、レベルが高いほど変動幅が大きくなるようにすることで、より上位の職種が入力した結果が、期待値データ112においてより大きな影響を持つようになる。
【0043】
続いて、応対支援装置100における動作手順を説明する。
図6は、応対支援装置100における動作手順を示す。オペレータが応対を開始すると(ステップS1)、経路選択部103は、経路を初期ステージに設定する(ステップS2)。オペレータは、客との応対を進めつつ、応対における会話の内容を示すテキストをオペレータ端末200から応対支援装置100に送信する。応対支援装置100の入力部101は、オペレータ端末200からテキストを入力する(ステップS3)。
【0044】
候補抽出部102は、経路データ111を参照し、次のステージにおける話題の候補を抽出する(ステップS4)。候補抽出部102は、ステップS4では、経路データ111で定義される経路において現在のステージが複数の分岐先を有する場合は、それら複数の分岐先における話題を、次のステージに対応した話題の候補として抽出する。経路選択部103は、期待値データ112とステップS3で入力されたテキストとに基づいて、ステップS4で抽出した次のステージにおける話題の候補の中から、次のステージにおける話題を選択する(ステップS5)。
【0045】
表示部104は、オペレータ端末200に、ステップS5で選択された次のステージにおける話題を送信する。オペレータ端末200は、応対支援装置100から受信した次のステージにおける話題を、ディスプレイ装置などに表示する(ステップS6)。オペレータは、表示された次のステージにける話題を参照し、その話題で客との応対を進める。
【0046】
オペレータは、客の反応を探りつつ、表示された話題が適切であれば「いいね」をオペレータ端末200から応対支援装置100に送信する。オペレータは、表示された話題が適切でなければ「そうではなくて」をオペレータ端末200から応対支援装置100に送信する。
【0047】
経路選択部103は、オペレータ端末200から「いいね」が送信されたか、又は「そうではなくて」が送信されたかを判断する(ステップS7)。ステップS7で「そうではなくて」が送信されたと判断された場合、期待値データ更新部105は、期待値データ112を更新し、ステップS3で入力されたテキストに対する、ステップS5で選択された話題の期待値を低下させる(ステップS12)。
【0048】
また、経路選択部103は、ステップS4で抽出された次のステージにおける話題の候補の中から、期待値データ112に基づいて未選択のものを再選択する(ステップS13)。その後、処理はステップS6に戻り、再選択された話題が表示される。未選択の話題の候補が存在しない場合、経路選択部103はステージを1つ前のステージに戻し、処理をステップS5に戻して話題の候補の抽出をやり直してもよい。
【0049】
ステップS7で「いいね」が送信されたと判断された場合、経路選択部103は、ステップS5で選択した話題を確定する(ステップS8)。また、期待値データ更新部105は、期待値データ112を更新し、ステップS3で入力されたテキストに対する、ステップS5で選択された話題の期待値を上昇させる(ステップS9)。
【0050】
経路選択部103は、ステージを次のステージに進める(ステップS10)。経路選択部103は、経路が末端ノードに到達したか否か、つまり応対が目標となる話題に到達したか否かを判断する(ステップS11)。ステップS11で経路が末端ノードに到達していないと判断された場合、処理はステップS3に戻り、次のステージにおいてテキストが入力される。経路が末端ノードに到達したと判断された場合、処理は終了となる。
【0051】
図7は、応対の進行を示している。
図7において、縦軸はステージの進行を表し、横軸は時間経過を表す。
図7には、応対支援装置100が使用された場合の応対におけるステージの進行610と、応対支援装置100が使用されていない場合の応対におけるステージの進行620及び630が示されている。
【0052】
応対支援装置100が使用されない場合、各ステージにおける話題は、応対相手任せとなる。その場合、
図7にステージの進行620で示されるように、時間が経過しても思うようにステージが進行せず、応対のステージがなかなか目標(ゴール)に近づかない。話題が迷走し、オペレータが適切な情報を聞き出すことができないと、
図7にステージの進行630で示されるように、応対が目標まで到達しないこともある。
【0053】
一方、本実施形態に係る応対支援装置100が使用された場合、各ステージにおいて、次のステージの話題がオペレータ端末200に表示されることで、オペレータは、応対相手から適切な情報を聞き出すことができる。このため、時間経過に伴ってステージが進行していき、応対の目標に迅速にたどり着くことができる。特に、目標からさかのぼって話題が設定された経路に従って応対をする場合、目標に向かって適切に話題を絞り込むことが可能であり、応対をより効率的に実施できる。
【0054】
また、本実施形態では、オペレータに表示された次のステージにおける話題が適切であった場合、期待値データ更新部105は、期待値データ112において期待値を増加させる。一方、オペレータに表示された次のステージにおける話題が適切ではなかった場合、期待値データ更新部105は、期待値データ112において期待値を低下させる。このようにする場合、装置の運用に伴い、次のステージにおける話題として、適切な話題が選択される確率を向上できる効果がある。
【0055】
なお、上記実施形態ではレベルに応じて期待値データ112の更新の際の変動幅を決定することについて説明したが、これには限定されない。例えば、同じレベル1のコミュニケータ530でも、経験が長く適切な判断が下せる人と、経験が短く判断結果の正確性が低い人とが含まれる場合もある。そのような場合には、オペレータに個人属性を設定し、レベルに応じて定まる変動幅を、個人属性を用いて補正し、補正した変動幅で期待値を増加又は低下させてもよい。
【0056】
上記各実施形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、又はハードディスクなどの磁気記録媒体、例えば光磁気ディスクなどの光磁気記録媒体、CD(compact disc)、又はDVD(digital versatile disk)などの光ディスク媒体、及び、マスクROM(read only memory)、PROM(programmable ROM)、EPROM(erasable PROM)、フラッシュROM、又はRAM(random access memory)などの半導体メモリを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)を用いてコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバなどの有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0057】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に対して変更や修正を加えたものも、本発明に含まれる。
【0058】
例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0059】
[付記1]
応対の内容に関連するテキストを入力する入力部と、
それぞれが前記応対の目標に至る複数の経路を定義する経路データであって、各経路に含まれる複数のステージのそれぞれにおける話題を更に定義する経路データに基づいて、前記経路において現在のステージから遷移される次のステージにおける話題の候補を抽出する候補抽出部と、
前記入力されたテキストに対する前記話題の候補の期待値を記憶する期待値データとに基づいて、前記話題の候補の中から次のステージにおける話題を選択する経路選択部と、
前記選択された話題をオペレータに表示する表示部とを備える応対支援装置。
【0060】
[付記2]
前記期待値は、過去の応対において、現在のステージにおいて前記テキストが入力された場合に次のステージにおいて前記候補の話題がなされる確率と確率変数との積で求められる付記1に記載の応対支援装置。
【0061】
[付記3]
前記入力部は、前記選択された話題が正しい旨を示す第1の入力を更に入力し、前記経路選択部は、前記第1の入力が入力されると、前記経路においてステージを1つ前記目標の方向に進め、話題を前記選択された話題に確定する付記1又は2に記載の応対支援装置。
【0062】
[付記4]
前記第1の入力が入力されると、前記入力されたテキストに対する前記選択された話題の期待値が増加するように、前記期待値データを更新する期待値データ更新部を更に有する付記3に記載の応対支援装置。
【0063】
[付記5]
前記期待値データ更新部は、応対を実施したオペレータのランクに応じた増加幅で前記期待値を増加させる付記4に記載の応対支援装置。
【0064】
[付記6]
前記入力部は、前記選択された話題が正しくない旨を示す第2の入力を更に入力し、前記経路選択部は、前記話題の候補の中から前記期待値に基づいて未選択の話題を再選択する付記4又は5に記載の応対支援装置。
【0065】
[付記7]
前記期待値データ更新部は、前記第2の入力が入力されると、前記入力されたテキストに対する前記選択された話題の期待値が低下するように、前記期待値データを更新する付記6に記載の応対支援装置。
【0066】
[付記8]
前記期待値データ更新部は、応対を実施したオペレータのランクに応じた低下幅で前記期待値を低下させる付記7に記載の応対支援装置。
【0067】
[付記9]
前記経路は、前記目標を末端ノードとする木構造を有する付記1から8何れか1つに記載の応対支援装置。
【0068】
[付記10]
前記表示部は、更に前記経路におけるステージの進行を前記オペレータに表示する付記1から9何れか1つに記載の応対支援装置。
【0069】
[付記11]
応対の内容に関連するテキストを入力し、
それぞれが前記応対の目標に至る複数の経路を定義する経路データであって、各経路に含まれる複数のステージのそれぞれにおける話題を更に定義する経路データに基づいて、前記経路において現在のステージから遷移される次のステージにおける話題の候補を抽出し、
前記入力されたテキストに対する前記話題の候補の期待値を記憶する期待値データとに基づいて、前記話題の候補の中から次のステージにおける話題を選択し、
前記選択された話題をオペレータに表示する応対支援方法。
【0070】
[付記12]
応対の内容に関連するテキストを入力し、
それぞれが前記応対の目標に至る複数の経路を定義する経路データであって、各経路に含まれる複数のステージのそれぞれにおける話題を更に定義する経路データに基づいて、前記経路において現在のステージから遷移される次のステージにおける話題の候補を抽出し、
前記入力されたテキストに対する前記話題の候補の期待値を記憶する期待値データとに基づいて、前記話題の候補の中から次のステージにおける話題を選択し、及び、
前記選択された話題をオペレータに表示するための処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。