特許第6555760号(P6555760)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6555760表示装置、および、表示装置の使用管理方法とそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555760
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】表示装置、および、表示装置の使用管理方法とそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   H04N5/74 Z
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-562147(P2016-562147)
(86)(22)【出願日】2014年12月3日
(86)【国際出願番号】JP2014082009
(87)【国際公開番号】WO2016088225
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2017年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】NECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】吉野 道夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 正和
【審査官】 庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−100376(JP,A)
【文献】 特開2009−098794(JP,A)
【文献】 特開2006−268296(JP,A)
【文献】 特開2008−025988(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0248596(US,A1)
【文献】 特開2013−033174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
G03B 21/00−21/10
H04L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアルタイムクロックと、
前記リアルタイムクロックの状態が有効である場合に、前記リアルタイムクロックの出力に基づいて表示装置の使用期限が切れているか否かを確認する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記リアルタイムクロックの状態が無効である場合に、映像の表示をオンにする映像表示オン信号を受け付けると、入力映像信号に対応する映像を表示させ、
前記リアルタイムクロックが示す日時が初期値の日時に対し所定の第2の時間以上経過した日時を示していないときに、前記リアルタイムクロックの状態が無効である、表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置において、
前記制御部は、取得したセキュアなクロックを前記リアルタイムクロックと同期させ、前記リアルタイムクロックの出力に基づいて前記表示装置の使用期限が切れているか否かを確認する、表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記リアルタイムクロックの状態が有効であり、前記セキュアなクロックと同期がとれており、前記使用期限が切れていない場合、前記制御部は、前記映像表示オン信号を受け付けると、前記入力映像信号に対応する映像を表示させる、表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の表示装置において、
前記表示装置は、記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記使用期限が切れていると、前記使用期限が切れたことを示す情報を前記記憶部に記録する、表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置において、
前記表示装置は、映像処理部をさらに備え、
前記制御部は、前記リアルタイムクロックの状態が無効であり、前記記憶部に、前記使用期限が切れたことを示す情報があると、前記映像表示オン信号を受け付けても、少なくとも前記映像処理部を起動しない、表示装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の表示装置において、
前記制御部は、前記セキュアなクロックを所定の第1の時間以上取得できない場合、前記使用期限が切れたことを示す情報を前記記憶部に記録する、表示装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記制御部は、前記表示装置に電源が供給されると、前記リアルタイムクロックの状態を確認する、表示装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記制御部は、前記入力映像信号に対応する映像を表示させているときに前記使用期限が切れても該入力映像信号に対応する映像を表示させ続ける、表示装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記第2の時間は、前記表示装置に電源が供給されてから前記リアルタイムクロックの状態を確認するまでにかかる時間以上である、表示装置。
【請求項10】
リアルタイムクロックを備える表示装置で行われる使用管理方法であって、
制御部は、前記リアルタイムクロックの状態が有効である場合に、前記リアルタイムクロックの出力に基づいて前記表示装置の使用期限が切れているか否かを確認し、前記リアルタイムクロックの状態が無効である場合に、映像の表示をオンにする映像表示オン信号を受け付けると、入力映像信号に対応する映像を表示させ、前記リアルタイムクロックが示す日時が初期値の日時に対し所定の第2の時間以上経過した日時を示していないときに、前記リアルタイムクロックの状態が無効であるとする、表示装置の使用管理方法。
【請求項11】
リアルタイムクロックを備える表示装置に用いられるプログラムであって、
前記リアルタイムクロックの状態が有効である場合に、前記リアルタイムクロックの出力に基づいて前記表示装置の使用期限が切れているか否かを確認する手順と、前記リアルタイムクロックの状態が無効である場合に、映像の表示をオンにする映像表示オン信号を受け付けると、入力映像信号に対応する映像を表示させる手順と、前記リアルタイムクロックが示す日時が初期値の日時に対し所定の第2の時間以上経過した日時を示していないときに、前記リアルタイムクロックの状態が無効であるとする手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、使用できる期限が定められ、使用の際に使用期限内であることを確認する表示装置、および、表示装置の使用管理方法とそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置であるプロジェクタには、デジタルシネマ等のレンタルで使用される大型のプロジェクタがある。このようなプロジェクタは使用期限(契約期間)が契約で定められている。このようなプロジェクタでは、現在の時刻が使用期限内であることをセキュアなクロックにより確認した後に投写が行われる。
セキュアなクロックとしてプロジェクタに内蔵されているリアルタイムクロック(以下、内蔵RTC)を用いることは以下の点から難しい。
プロジェクタの価格をなるべく低く抑えることやメインテナンスフリーにすること等の目的から、内蔵RTCには電池でのバックアップが行われないものがある。スーパーキャパシタと呼ばれる静電容量の大きなコンデンサによって内蔵RTCのバックアップを行うプロジェクタもあるが、スーパーキャパシタであっても2週間に1度程度の電源投入が必要とされる。2週間以上電源投入が行われないとスーパーキャパシタからの電源供給が途絶え、内蔵RTCの値が初期化されてしまうため、内蔵RTCによる使用期限を確認することは難しいものとなっている。
電源供給が途絶えても、5年以上に亘って値を保持する技術の適用も考えられるが、内蔵RTCの設定変更の管理、つまり、内蔵RTCの月差精度の管理、変更可能権限の管理、セキュアログへの記録、1年間で変更できる限度時間の管理など、コスト負担が多大になる問題があった。
【0003】
上記のような問題があることから、レンタル利用されるプロジェクタについて、内蔵RTCのみで契約期間と照合して、不正なプロジェクタ利用を防止する機能を実現することは困難であった。
このため、セキュアなクロックは外部より供給されるものとし、内蔵RTCはセキュアなクロックと同期することとし、同期状態となるのを待って上述した使用期限内であることの確認動作が行われる。
特許文献1に開示されるプロジェクタは、予め登録した時刻に投写映像のオン・オフを行うために、ネットワーク接続機能とリアルタイムクロック機能を有するとともにネットワークを介してNTP(Network Time Protocol)サーバーより時刻を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−98794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるプロジェクタでは、内蔵RTCの信頼性を確保するために、セキュアなクロックとして外部機器としてのNTPサーバーから正確な日時情報を取得することとしている。
しかしながら、プロジェクタを設置する場所でインターネットにアクセスする環境が用意されていない、また、インターネットにアクセスする環境が用意されていたとしてもNTPサーバーから実際に日時情報を取得するまでに時間がかかることが考えられる。
さらに、起動の度毎に、外部機器から正確な日時情報をアクセスしてから投写の準備を開始する場合には、起動時間が長くなり、利用者にストレスを与えていた。プロジェクタにおける投写の準備として時間を必要とするものとしては、装置内部の状態確認や各種初期設定、各種使用条件などを確認する時間があげられる。
【0006】
本発明は、使用できる期限が定められ、使用の際に使用期限内であることを確認する表示装置において、利便性を向上し、迅速に使用することができる表示装置、および、表示装置の使用管理方法、プログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による表示装置は、
リアルタイムクロックと、
前記リアルタイムクロックが無効である場合に、映像の表示をオンにする映像表示オン信号を受け付けると、入力映像信号に対応する映像を表示させる制御部と、を備える。
本発明によるプロジェクタの使用管理方法は、
リアルタイムクロックを備え、使用期限が定められる表示装置で行われる使用管理方法であって、
制御部は、前記リアルタイムクロックが無効である場合に、映像の表示をオンにする映像表示オン信号を受け付けると、入力映像信号に対応する映像を表示させる。
本発明によるプログラムは、
リアルタイムクロックを備え、使用期限が定められる表示装置に用いられるプログラムであって、
制御部に、前記リアルタイムクロックが無効である場合に、映像の表示をオンにする映像表示オン信号を受け付けると、入力映像信号に対応する映像を表示させる方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成される本発明においては、利便性を向上し、迅速に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明によるプロジェクタの一実施形態の要部構成を示すブロック図である。
図2図1中の使用期限管理部12、制御権限管理部13に格納される制御情報リストを示す図である。
図3図1中の使用期限管理部12に制御情報が格納される際の動作を示すフローチャートである。
図4図3中のステップS43で行われるフラグ決定を行う際に制御部14が用いる真理値表を示す図である。
図5図3中のステップS43において決定されたフラグに応じてプロジェクタ1の動作状態が遷移する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明によるプロジェクタの一実施形態の要部構成を示すブロック図である。
本実施形態のプロジェクタ1は、デジタルシネマなどにレンタルされる大型プロジェクタであって、映像処理部2、記憶部3、状態表示部4、入力部5、ネットワーク接続部6、内蔵RTC7、DMD(Digital Micromirror Device)制御部8、光源駆動部9、シャッター部10、使用期限管理部11、制御権限管理部12、制御部14、および、スーパーキャパシタ16から構成されている。制御部14はプロジェクタ1の外部に設けられたセキュアなクロックを兼ねるメディアブロック部15と接続されている。なお、メディアブロック部15は、STB(セットトップボックス)などの装置でも良いし、プロジェクタ1のオプション端子に接続されるオプションボードなどでも良い。
【0011】
映像処理部2は制御部14から与えられる映像信号に基づいて駆動信号S1を生成しDMD制御部8に供給する。映像処理部2は、例えば、入力映像信号の解像度を表示部の解像度に変換する解像度変換処理、入力映像信号の色を最適に表示するように補正する色変換処理やガンマ補正処理などを行う。DMD制御部8は駆動信号S1に応じて表示素子であるDMD(不図示)を構成する複数のミラー素子を駆動する。DMD制御部8は、DMDとともに映像表示部の一例である。映像表示部は、表示素子である液晶パネルと、液晶パネルを駆動する液晶パネル制御部であってもよい。記憶部3は制御部14を動作させるプログラムを記憶する。状態表示部4は、文字表示用の小型の液晶パネル、警告用のLEDなどから構成され、プロジェクタ1の動作状態を表示する。入力部5は装置利用者による入力、例えば電源オンなどの入力を受け付ける。ネットワーク接続部6はインターネット、LAN(Local Area Network)などと接続する。内蔵RTC7はスーパーキャパシタ16によってバックアップされ外部より供給されるセキュアなクロックと同期するRTC(リアルタイムクロック)であり、プロジェクタ1の電源断の後2週間程度動作可能である。
【0012】
光源駆動部9は制御部14からの制御により光源(不図示)を駆動する。本実施形態において光源はLED(Light Emitted Diode)を用いた固体光源が使用されている。固体光源としてはこの他に半導体レーザを用いたものを使用することができる。また、従来から多く用いられている放電管を用いてもよい。
シャッター部10は上述した光源とDMDとの間に設けられるもので、制御部14の制御により開閉する。開いた状態の時に光源からの光がDMDに照射されて投写が行われ、閉じた状態のときには光が投写されることはない。
使用期限管理部11はネットワーク接続部6、制御部14を介してネットワークより入力された使用期限情報を格納する。これらの情報はネットワーク接続部6に容易に解読できない暗号方式で暗号化された状態で入力され、制御部14により復号されて使用期限管理部11に格納される。
制御権限管理部12は使用期限管理部11に格納された情報に基づいて制御部14が設定する制御権限情報を格納する。
【0013】
制御部14は記憶部3に記憶されているプログラムに応じて各部の制御を行うものである。メディアブロック15はDCI(DCI: Digital Cinema Initiative)仕様書(DCI SpecificatiON, VersiON 1.2 with Errata as of 30 August 2012 Incorpolated)に定義されるもので、以下の各機能を備えている。
(1)映画などの暗号化されたコンテンツを保存する機能。
(2)暗号化されたコンテンツを復号するための暗号キーの使用期限などを判定する機能。
(3)暗号化されたコンテンツを、暗号キーを用いて映像信号に復号して表示装置に出力する機能。
(4)使用期限などを判定するためのセキュアなRTC。
本実施形態はメディアブロック15に備えられたセキュアなRTCをセキュアなクロックとして利用する。セキュアなクロックの他の例としては、NTPサーバーが挙げられ、これを用いることとしてもよい。また、プロジェクタ1は、メディアブロック15から復号された映像信号が入力され、入力された映像信号に対応した映像を投写して表示する。
なお、プロジェクタ1には上記の他に、投写を行うための投写光学系や光源の点灯に連動して動作する冷却機構や、DMDにより得られた映像光を投写するための光学系(ともに不図示)が設けられている。
制御部14は、メディアブロック部15よりセキュアなRTC(以下ではセキュアRTCと呼ぶ)を取得し、取得したセキュアRTCを内蔵RTCに設定する(内蔵RTCに同期させる)。制御部14は、使用期限管理部11および制御権限管理部12に記憶されている使用期限情報および制御権限情報を参照し、内蔵RTC7の出力に応じてプロジェクタ1の動作を制御する。
【0014】
図2は、使用期限管理部11、制御権限管理部12に格納される制御情報リストを示す図である。
先ず、使用期限管理部11が扱う情報について説明する。使用期限管理部11が扱う情報は、使用期限情報、内蔵RTC有効性(BLT_RTC)、内蔵RTCが期限内(TRM_ERR)、セキュアRTCと同期済(SYN_SEC)、期限エラー記録(ALR_ERR)、使用可能判定結果(ACCEPT_USE)である。以下に各情報の内容について説明する。
【0015】
図3は使用期限管理部11に制御情報が格納される際の制御部14の動作を示すフローチャートである。
初期設定:プロジェクタ1に電源が供給されると、制御部14初期設定として、はBLT_RTCおよびSYN_SECをFALSE(無効)とし、TRM_ERRおよびALR_ERRは前回の値とする(ステップS30)。使用期限情報としてはネットワーク接続部6に入力された使用期限情報に含まれる開始日時および終了日時がセットされる。なお、開始日時および終了日時は時刻を含んでもよい。
【0016】
内蔵RTC有効性(BLT_RTC):次に、制御部14は内蔵RTC7の状態を確認する(ステップS31)。内蔵RTC7の初期値を、例えば2000年01月01日00時00分00秒を示す2000/01/01;00:00:00としたときに、内蔵RTC7の出力が示す日時が初期値の日時より大きな値の場合(所定の第2の時間以上経過していた場合)には、TRUE(有効)と判定し(ステップS32)、それ以外の場合には、初期値(2000/01/01;00:00:00)である場合も含め、FALSE(無効)と判定し(ステップS33)、判定結果を格納する。つまり、内蔵RTC7の出力が示す日時が初期値の日時に対し所定の第2の時間以上経過した日時を示していないときに、前記リアルタイムクロックは無効と判定される。所定の第2の時間はプロジェクタ1に電源が供給されてから内蔵RTC7の状態を確認するまでにかかる時間以上にすることが望ましい。
【0017】
内蔵RTCが期限内(TRM_ERR):ステップS32、S33のいずれかの後、制御部14は、内蔵RTC7の出力が示す日時が使用期限情報に含まれる終了日時を超えていないか(使用期限が切れているか否か)を確認する(ステップS34)。内蔵RTC7の出力が示す日時が使用期限情報に含まれる終了日時を超えていない場合にはTRUEと判定し(ステップS35)、内蔵RTC7の出力が示す日時が使用期限情報に含まれる終了日時を超えている場合には、FALSE(期限切れ)と判定し(ステップS36)、判定結果を格納する。また、制御部14は内蔵RTC7の出力が示す日時が使用期限情報の終了日時を超えた場合には下記のような期限エラーを示すエラーログを記録部3に記録する。
2014/09/12 01:00:01(290) THE VALIDITY HAS EXPIRED.
ここで、「2014/09/12 01:00:01」は、FALSEと判定(ステップS36)したとき、つまり期限エラーが発生したときの内蔵RTC7の出力が示す日時である。「290」は、期限エラーに対応するコードである。「THE VALIDITY HAS EXPIRED.」は、期限エラーに対応するメッセージである。期限エラーを示すエラーログは、プロジェクタ1の使用に問題があること、例えば使用期限が切れたことを示す情報の一例である。
【0018】
セキュアRTCと同期済(SYN_SEC):ステップS35、S36のいずれかの後、内蔵RTC7がセキュアRTCに同期しているかを確認する(ステップS37)。セキュアRTCを取得して内蔵RTCを設定すると、制御部14は、セキュアRTCと内蔵RTCが同期していると判定する。内蔵RTC7がセキュアRTCに同期している場合にはTRUEと判定し(ステップS38)、内蔵RTC7がセキュアRTCに同期していない場合にはFALSEと判定し(ステップS39)、その結果を格納する。なお、制御部14は、メディアブロック部15からセキュアRTCを取得できない場合は、所定の第3の時間後にセキュアRTCを取得するRTC取得処理を行う。RTC取得処理は取得するまで繰り返されることが望ましい。また、内蔵RTCで発生する誤差を補正するときなど、所定の第4の時間毎にRTC取得処理を行っても良い。
【0019】
期限エラー記録(ALR_ERR):ステップS38、S39のいずれかの後、制御部14は、エラー記録の有無を確認する。例えば、制御部14は過去に記憶部3に記録されたエラーログの日付と使用期限情報の終了日時とを照合して終了日時以降のエラー記録の有無を確認する。終了日時以降のエラー記録が有る場合にはTRUEと判定し(ステップS41)、終了日時以降のエラー記録が無い場合にはFALSEと判定し(ステップS42)、その結果を格納する。また、期限エラーのエラー記録の有無を確認してもよい。制御部14は期限エラーのエラー記録が有る場合にはTRUEと判定し、期限エラーのエラー記録が無い場合にはFALSEと判定する。
【0020】
使用可能判定結果(ACCEPT_USE):ステップS41、S42のいずれかの後、制御部14は上記の各判定結果からプロジェクタの使用状態を複数の段階に制限するフラグを(TRUE/PENDING1/PENDING2/FALSE)を決定し、その結果を格納する。この後、ステップS31に戻って上記の各ステップを繰り返す。このため、使用期限管理部11、制御権限管理部12に納内される内容の判定は常に行われることとなり、内容は順次書き換えられる。
【0021】
図4はステップS43で行われるフラグ決定を行う際に制御部14が用いる真理値表を示し、図5はステップS43において決定されたフラグに応じてプロジェクタ1の動作状態が遷移する様子を示す図である。
プロジェクタ1は電源が供給されると起動状態となり、動作を開始する。プロジェクタ1は動作状態として、図5に示すようにスタンバイ状態、パワーON状態、表示ON状態、期限切れエラー濃厚状態、期限切れエラー状態があり、これらのいずれの状態であるかが表示部4に表示される。
スタンバイ状態、期限切れエラー状態では、制御部14は、プロジェクタ1を構成する各部のうち、記憶部3、表示部4、ネットワーク接続部6、使用期限管理部11、など、図3に示した判定処理に必要となる箇所を起動する。
【0022】
パワーON状態、期限切れエラー濃厚状態、表示ON状態では、制御部14は、記憶部3、表示部4、ネットワーク接続部6、使用期限管理部11に加え、映像処理部2、DMD制御部8、光源駆動部9、シャッター部10、制御権限管理部12を起動する。なお、パワーON状態および期限切れエラー濃厚状態ではシャッター部10のシャッターは閉じた状態である。
制御権限管理部12は、上述した各状態のうち、パワーON状態、表示ON状態に遷移したときに実行するリストを格納している。パワーON状態に遷移したときには、図2に示すように、プロジェクタ状態チェック、映像処理部初期設定、映像表示可能判定、光源ONの項目があり、表示ON状態に遷移したときにはシャッターOpenの項目がある。
【0023】
プロジェクタ状態チェックでは、プロジェクタが投写を行うための各部の状態、映像処理部2、DMD制御部8、光源駆動部9などの状態チェックが行われる。映像処理部初期設定では、投写に備えるために映像処理部2を初期化することが行われる。映像表示可能判定では、投写を行うコンテンツが表示可能であるかの判定が行われる。メディアブロック部15からの映像を表示する本実施形態では、例えば、メディアブロックマリッジ受付が例としてあげられる。この他にも、信号の種類によっては著作権上、表示可能であるかの判定を行う場合もある。光源ONでは光源駆動部9に光源を駆動させる。シャッターOpenではシャッター部10をオープン状態とする。
制御権限管理部12には上記の各項目についてTRUE/FALSEのいずれかが設定されており、制御部14はTRUEが設定されている項目を実施する。制御部14は、使用期限管理部11の使用可能判定結果に応じて各項目についてのTRUE/FALSEの設定を行う。
【0024】
以下に、図5に示す各動作状態とその遷移について説明する。
スタンバイ状態
電源供給を受けたプロジェクタはスタンバイ状態に入る。図3に示した処理は定期的に実施され、図4の真理値表に示される項目は随時更新される。この処理はスタンバイ状態のみならず、他の状態でも定期的に実施される。
スタンバイ状態では、入力部5が装置利用者によるパワーONの入力を受け付けた場合には、パワーON状態へ遷移する。また、ACCEPT_USEがFALSEと判定された場合には、期限切れエラー状態へ遷移する。
期限切れエラー状態
ACCEPT_USEがTRUE,PENDING1,PENGING2のいずれかに変わるまで、つまり、ACCEPT_USEがFALSEである限りこの状態に留まり、FALSE以外に変化するとスタンバイ状態へ遷移する。
期限切れエラー状態では、入力部5が装置利用者によるパワーONの入力を受け付けた場合でも、他の状態、例えばパワーON状態に遷移しない。つまり、映像処理部2、DMD制御部8、光源駆動部9、シャッター部10、制御権限管理部12などに電源は供給されない(起動されない)。
【0025】
パワーON状態
図2のパワーON状態遷移における4つの制御情報である、プロジェクタ状態チェック、映像処理部初期設定、映像表示可能判定、光源ONのそれぞれへのTRUE/FALSEの設定を確認して、TRUEに設定されている項目を実行する。これは表示に必要とされる処理を予め行っておくものであり、表示ON状態に遷移したときに直ちに表示を行うためのものである。
ACCEPT_USEがFALSEに変化した場合、もしくは、入力部5が装置利用者によるパワーOFFの入力を受け付けた場合には、スタンバイ状態へ遷移し、ACCEPT_USEがPENDING2に変化した場合には期限切れエラー濃厚状態へ遷移する。入力部5が装置利用者による表示ONを行う旨の表示ON命令の入力を受け付けた場合には、投写の準備を行った後、表示ON状態へ遷移する。表示ON命令は、映像の表示をオンにする映像表示オン信号の一例である。
【0026】
期限切れエラー濃厚状態
図2のパワーON状態遷移における4つの制御情報のそれぞれへのTRUE/FALSEの設定を確認して、TRUEに設定されている項目を実行する。なお、パワーON状態で実行されている項目は状態を維持し、再度実行する必要はない。
ACCEPT_USEがTRUE,PENDING1,FALSEのいずれかに変わるまで、つまり、ACCEPT_USEがPENGING2である限りこの状態に留まり、PENGING2以外に変化するとパワーON状態に遷移する。
【0027】
表示ON状態
図2の表示ON状態遷移における制御情報であるシャッターOpenへのTRUE/FALSEの設定を確認して、TRUEに設定されている場合にはシャッター部10をOpen状態とする。この状態で初めて映像が投写されることとなる。つまり、外部から入力された入力映像信号に対応する映像が表示される。
表示ON状態からパワーON状態への遷移はACCEPT_USEの判定の変化に関わらないものとし、入力部5が装置利用者による表示OFFを行う旨の表示OFF命令を受け付けた場合にパワーON状態に遷移する。つまり、期限エラーが発生しても表示ON状態を維持する。これにより、投写(上映)が行われているときに、例えば使用期限の終了日時となり、ACCEPT_USEがFALSEやPENDING2に変化しても、投写(上映)状態が維持され、中断することはない。表示OFF命令は、映像の表示をオフにする映像表示オフ信号の一例である。
また、内蔵RTCとセキュアRTCとの同期がとれていない状態で表示をした場合、セキュアRTCを取得できない状態または同期がとれない状態が所定の第1の時間以上経過すると、制御部14は、所定の第1の時間以上セキュアRTCと同期がとれていないこと(期限エラー)を示すエラーログを記憶部3に記録する。期限エラーを示すエラーログを記録することにより、次回使用するときから、セキュアRTCと同期をとって使用期限の確認を行うまで、表示をすることができなくなるようにすることができる。期限エラーを示すエラーログは、プロジェクタ1の使用に問題があること、例えば使用期限が切れたことを示す情報の一例である。
【0028】
上記のように構成される本実施形態においては、ACCEPT_USEがTRUEもしくはPENDING1のときにプロジェクタ1はパワーON命令によってパワーON状態となり、表示ON状態に遷移すること、すなわち、投写を行うことが可能となる。
ACCEPT_USEがPENDING1と判定される状態では、内蔵RTCが有効である必要はなく、使用期限が切れたことを示す情報がないことが条件となる。このような条件のときに、本実施形態ではパワーON状態に遷移することが可能となる。この後、パワーON命令によってパワーON状態となると投写(映像表示)の準備が行われ、表示ON命令により投写が行われる。
【0029】
投写の準備として具体的には、プロジェクタ状態チェック、映像処理部初期設定、映像表示可能判定の他、映像表示部初期設定、コンテンツの選択入力端子の設定などが事前にできる。また、パワーON状態で光源を駆動する場合は、投写画像の大きさや輝度の設定などが事前にできる。また、光源のエージングが前もってできるので、例えば温度ドリフトなどによる映像の輝度変化や色変化を安定させることを使用期限の確認と平行して行うことができる。
このように、本実施形態では、セキュアなクロックが供給されない状態であっても、内蔵RTCの状態によって準備が行われるため、迅速に使用することができる。
また、投写の停止は、装置利用者による表示OFF命令を受け付けた場合となっているので、投写が突然停止されることがなく、装置利用者にストレスをかけることの無い、プロジェクタに適した管理を行うことができるものとなっている。
さらに、使用期限終了日時以降に期限エラーが有るかの確認を行い、ALR_ERRがTRUEの場合には、ACCEPT_USEはPENDING2もしくはFALSEとなり、外部から入力された映像信号を表示することができなくなるため、プロジェクタを貸し出す側も安心して貸し出すことができるものとなっている。
【0030】
なお、本実施形態においては、パワーON状態で光源ONとすることとしたが、パワーON状態では光源ONとせず、表示ON状態に遷移したときにシャッターOpenとともに光源ONとしてもよい。
パワーON状態において、シャッターを閉じる状態と同様の効果を奏する処理として、入力される映像信号とは異なる、プロジェクタの内部で生成される画像、例えば、全黒の画像や所定の画像(メーカーのロゴなど)を表示映像として表示するようにしても良い。この場合、ランプなどの光源は点灯状態となるので、事前に温度条件など安定した状態にできる。また、光源を点灯してシャッターを閉じた場合、シャッターが高温になり問題が発生することがあるが、このような状態となることを防止することができる。
【0031】
また、本実施形態においては、光源とDMDとの間にシャッター部を設けたが、シャッター部は設けなくても良い。例えば、シャッター部を設けない場合、シャッター部の開状態または閉状態にかえて、光源の点灯状態または消灯状態や、映像表示の表示状態または非表示状態としてもよい。映像表示の表示状態は、入力映像を表示する状態であり、非表示状態は表示しない状態である。
【0032】
また、セキュアRTC情報取得ができない状態での使用期限日を超えていないかの判定方法として、パワーON状態とスタンバイ状態の移行を記録したログを残しておけば、最近に起動した日時と期限切れ日時との差分情報と、電源が供給されないときに内蔵RTCがクリアされる平均時間(本実施形態では2週間)から、使用権限の判定を行うことも可能である。
2014/09/12 01:00:01 POWER OFF
2014/09/12 00:01:12 POWER ON[LAMP:OFF](OK)
内蔵RTCの状態が無効であり、上記のようなログが残っている場合には、現在時刻は、パワーOFFしてから2週間以上経過していることが予想される。この予想時間から現在時刻が使用期限日を超えているかを確認することとしてもよい。
【0033】
また、本実施形態においては、内蔵RTC7はスーパーキャパシタ16によってバックアップされたが、バックアップしなくてもよい。この場合、スーパーキャパシタ16は削除され、表示装置に電源が供給されてからセキュアRTCを取得して内蔵RTCを設定するまで、内蔵RTC7は無効である。
【0034】
また、本実施形態においては、外部から入力される映像の表示をオンまたはオフにする映像表示オン信号または映像表示オフ信号として表示ON命令または表示OFF命令としたが、これに替えて、パワーON命令またはパワーOFF命令としてもよい。この場合、制御部は、スタンバイ状態においてパワーON命令を受け付けるとパワーON状態に遷移し、パワーON状態において表示ON命令を受け付けたときと同様に処理を行えばよい。また、制御部は、表示ON状態においてパワーOFF命令を受け付けると表示OFF命令を受け付けたときと同様に処理を行いパワーON状態に遷移し、パワーON状態においてパワーOFF命令を受け付けたときと同様に処理を行えばよい。
【0035】
なお、表示装置は、プロジェクタではなく、ディスプレイでもよい。この場合、光源は、LEDや蛍光管などのバックライトである。
なお、表示装置は、外部から取得するセキュアRTCと内蔵RTCとを比較してその結果を制御部へ通知する内蔵RTC監視部を、さらに、備えてもよい。この場合、内蔵RCTがセキュアRTCと同期がとれていない期間に発生したエラーログなどの記録を補正することが可能になる。
本発明で最も特徴となる部分は制御部14の動作である。該制御部14は記憶部3に格納されているプログラムに応じて動作を行うもので、プログラムは予め記憶部に格納されているものや、インターフェース接続部を介して記憶部に格納されるものが挙げられ、本願発明にはプログラム、該プログラムを格納する記憶媒体も含まれる。
以上説明した第1から第3の実施形態の照明装置及びプロジェクタは、本発明の一例であり、その構成及び動作は適宜に変更することができる。
【0036】
また、本発明は、以下の付記1〜12のような形態をとり得るが、これら形態に限定されない。
[付記1] リアルタイムクロックと、
前記リアルタイムクロックの状態が無効である場合に、映像の表示をオンにする映像表示オン信号を受け付けると、入力映像信号に対応する映像を表示させる制御部と、
を備える表示装置。
[付記2] 付記1記載の表示装置において、
前記制御部は、取得したセキュアなクロックを前記リアルタイムクロックと同期させ、前記リアルタイムクロックの出力に基づいて前記表示装置の使用期限が切れているか否かを確認する、表示装置。
[付記3] 付記2に記載の表示装置において、
前記リアルタイムクロックの状態が有効であり、前記セキュアなクロックと同期がとれており、前記使用期限が切れていない場合、前記制御部は、前記映像表示オン信号を受け付けると、前記入力映像信号に対応する映像を表示させる、表示装置。
[付記4] 付記3記載の表示装置において、
前記表示装置は、記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記使用期限が切れていると、前記使用期限が切れたことを示す情報を前記記憶部に記録する、表示装置。
[付記5] 付記4に記載の表示装置において、
前記表示装置は、映像処理部をさらに備え、
前記制御部は、前記リアルタイムクロックの状態が無効であり、前記記憶部に、前記使用期限が切れたことを示す情報があると、前記映像表示オン信号を受け付けても、少なくとも前記映像処理部を起動しない、表示装置。
[付記6] 付記4または5に記載の表示装置において、
前記制御部は、前記セキュアなクロックを所定の第1の時間以上取得できない場合、前記使用期限が切れたことを示す情報を前記記憶部に記録する、表示装置。
[付記7] 付記1ないし6のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記制御部は、前記表示装置に電源が供給されると、前記リアルタイムクロックの状態を確認する、表示装置。
[付記8] 付記1ないし7のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記制御部は、前記入力映像信号に対応する映像を表示させているときに前記使用期限が切れても該入力映像信号に対応する映像を表示させ続ける、表示装置。
[付記9] 付記1ないし8のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記リアルタイムクロックが示す日時が初期値の日時に対し所定の第2の時間以上経過した日時を示していないときに、前記リアルタイムクロックの状態が無効である、表示装置。
[付記10] 付記9に記載の表示装置において、
前記第2の時間は、前記表示装置に電源が供給されてから前記リアルタイムクロックの状態を確認するまでにかかる時間以上である、表示装置。
[付記11] リアルタイムクロックを備える表示装置で行われる使用管理方法であって、
制御部は、前記リアルタイムクロックの状態が無効である場合に、映像の表示をオンにする映像表示オン信号を受け付けると、入力映像信号に対応する映像を表示させる、表示装置の使用管理方法。
[付記12] リアルタイムクロックを備える表示装置に用いられるプログラムであって、
制御部に、前記リアルタイムクロックの状態が無効である場合に、映像の表示をオンにする映像表示オン信号を受け付けると、入力映像信号に対応する映像を表示させる方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0037】
1 プロジェクタ
2 映像処理部
3 記憶部
4 状態表示部
5 入力部
6 ネットワーク接続部
7 内蔵RTC
8 DMD制御部
9 光源駆動部
10 シャッター部
11 使用期限管理部
12 制御権限管理部
14 制御部
15 メディアブロック部
16 スーパーキャパシタ
図1
図2
図3
図4
図5