(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更新プログラムのインストールに関するプログラム更新方法を、コンピュータによって実行することが可能なプログラムとして実施するプログラム更新用プログラムであって、
インストールしようとする前記更新プログラムのインストール所要時間を算出するインストール時間測定機能と、
CPU(Central Processor Unit)の現在の温度を示すCPU温度を検出し、CPUの現在のクロック値を示すCPUクロック値を検出し、CPUの現在のコア電圧値を示すCPUコア電圧値を検出し、前記検出したCPU温度、前記検出したCPUクロック値、及び前記検出したCPUコア電圧値に基づいて現状のCPU負荷状況を算出し、該算出された現状のCPU負荷状況を判定するCPU負荷判定機能と、
CPUが複数のコアからなるマルチコア構成であった場合、前記更新プログラムをインストールするために使用すると予測される所要コア数を判定するコア数判定機能と、
前記インストール時間測定機能において算出された前記インストール所要時間と、前記CPU負荷判定機能において算出された現状の前記CPU負荷状況と、前記コア数判定機能において判定された前記所要コア数とに基づいて、前記更新プログラムをインストールするために要するインストールコストを算出するコスト算出機能と、
稼動予定を示す稼動スケジュールをあらかじめ登録し、登録した該稼動スケジュールと、前記コスト算出機能において算出された前記インストールコストとに基づいて、前記更新プログラムをインストールするための最適なインストール時間帯を算出するインストール制御機能と
を有することを特徴とするプログラム更新用プログラム。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理分野においては、情報処理装置を安全に使っていく上で、情報処理装置への更新プログラムのインストール(例えば、セキュリティの強化やバグの修正等のための更新プログラムのインストール)が非常に重要になっている。
【0003】
一般に、情報処理装置のOS(Operating System)の初期状態においては、更新プログラムの自動更新が有効な状態に設定されている。したがって、情報処理装置がインターネットに接続されていると、あらかじめ設定した時刻に達する都度、インターネットのサーバから情報処理装置に対して重要な更新プログラムを自動的にダウンロードしてインストールする動作が行われている。しかしながら、かくのごとき自動更新の方式においては、情報処理装置が稼動中の状態にあって、何らかの作業を実施中であっても、何の通知もなく、勝手に更新作業が始まり、作業途中の状態にある作業内容が破棄されてしまう可能性がある。
【0004】
また、現状の情報処理技術では、プログラムの更新にはかなりの時間を要する場合があり、更新作業中の状態にある限り、情報処理装置を操作することができず、更新が終了するまで待たされることになる。通常、OSの更新動作の設定を変更することは可能であるが、このような設定の変更は、インストールを行うタイミングやインストールするプログラムを任意に選択することはできるものの、前述のように、更新作業中においては、情報処理装置を操作することができず、結果的には、更新が終了するまで待たされる状態を回避することができない。
【0005】
情報処理装置の運用に影響を与えることなく、プログラムを自動的にインストールすることを可能にしようとする技術として、例えば、特許文献1の特開2016−85687号公報「プログラムインストールコスト算出装置、プログラムインストール装置および記録媒体」に記載された技術がある。該特許文献1には、プログラムのインストールに要する所要時間を推測し、インストールに最適な時間帯を算出するという技術が開示されている。
【0006】
図7は、本発明に関連する現状の技術として前記特許文献1に開示された情報処理装置の構成を示す構成図(特許文献1の
図3)であり、更新用のプログラムのインストール先となるクライアントPC(Personal Computer)に対してプログラムをインストールする際のコストを算出するための関連部位を抽出して示している。つまり、マルチコア構成のクライアントPC対してプログラムをインストールする際に必要とするコストを算出するために、情報処理装置は、
図7に示すようなプログラムインストールコスト算出装置50を備えている。プログラムインストールコスト算出装置50は、インストール時間測定部51とコア数判定部52とコスト算出部53とから構成されている。ここで、プログラムインストールコスト算出装置50は、インストールするプログラムを管理するプログラム管理サーバに内蔵され、もしくはその外部サーバに内蔵されていてもよいし、または、プログラムのインストール先のクライアントPC側に内蔵されていてもよいが、典型的には、プログラム管理サーバに内蔵されている。
【0007】
インストール時間測定部51は、マルチコア構成のクライアントPCに対してインストールしようとするプログラムのサイズに基づいて、該クライアントPCに当該プログラムをインストールするために要する所要時間を算出する。コア数判定部52は、当該プログラムの種類に基づき、該クライアントPCに当該プログラムをインストールするために使用される該クライアントPCのCPU(Central Processor Unit)における所要コア数を判定する。コスト算出部53は、算出されたインストール所要時間と所要コア数とに基づき、該クライアントPCに当該プログラムをインストールするために要するコストすなわちインストールコスト(言い換えると、当該プログラムのインストールに実際にかかると推測される時間)を算出する。
【0008】
その結果として、プログラムインストールコスト算出装置50を備えた情報処理装置は、プログラムのインストール先となるクライアントPCの経時的なCPUの使用率とインストールコストとに基づいて、該クライアントPCの運用に影響を与えない時間帯を特定し、該クライアントPCにプログラムを自動的にインストールすることを可能にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記特許文献1に記載された技術を始め、本発明に関連する現状の技術においては、以下に記載するような解決するべき課題がある。
【0011】
第1の課題は、インストール先となるクライアントPCに対してプログラムのインストールを実施する最適な時間帯を算出する際の算出精度が低いことである。その理由は、該クライアントPCの稼動状況を経時的なCPU使用率だけで判断しているからである。
【0012】
第2の課題は、インストール先となるクライアントPCに対してプログラムをインストールするために要するコストの算出精度が低いことである。その理由は、該クライアントPC側のCPUの処理能力を該クライアントPCのCPU所要コア数だけで判断しているからである。
【0013】
[本発明の目的]
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、更新プログラムをインストールするために要するコストの算出精度と、更新プログラムのインストールの実施に最適な時間帯の算出精度とを高め、インストール実施による運用上の影響を確実に軽減することが可能な情報処理装置、プログラム更新方法およびプログラム更新用プログラムを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述の課題を解決するため、本発明による情報処理装置、プログラム更新方法およびプログラム更新用プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0015】
(1)本発明による情報処理装置は、
インストールしようとする更新プログラムのインストール所要時間を算出するインストール時間測定手段と、
現状のCPU(Central Processor Unit)の負荷状況を判定するCPU負荷判定手段と、
前記インストール時間測定手段において算出された前記インストール所要時間と、前記CPU負荷判定手段において判定された現状の前記CPU負荷状況とに基づいて、前記更新プログラムをインストールするために要するインストールコストを算出するコスト算出手段と、
稼動予定を示す稼動スケジュールをあらかじめ登録し、登録した該稼動スケジュールと、前記コスト算出手段において算出された前記インストールコストとに基づいて、前記更新プログラムをインストールするための最適なインストール時間帯を算出するインストール制御手段と
を有することを特徴とする。
【0016】
(2)本発明による情報処理装置は、
クライアントPC(Personal Computer)に対する更新プログラムのインストールを管理する機能を有する情報処理装置において、
前記クライアントPCにインストールしようとする前記更新プログラムのインストール所要時間を算出するインストール時間測定手段と、
前記更新プログラムのインストール先の前記クライアントPCにおける現状のCPU(Central Processor Unit)の負荷状況を判定するCPU負荷判定手段と、
前記インストール時間測定手段において算出された前記インストール所要時間と、前記CPU負荷判定手段において判定された現状の前記CPU負荷状況とに基づいて、前記更新プログラムをインストールするために要するインストールコストを算出するコスト算出手段と、
前記クライアントPCの稼動予定を示す稼動スケジュールをあらかじめ登録し、登録した該稼動スケジュールと、前記コスト算出手段において算出された前記インストールコストとに基づいて、前記更新プログラムをインストールするための最適なインストール時間帯を算出するインストール制御手段と
を有することを特徴とする。
【0017】
(3)本発明によるプログラム更新方法は、
インストールしようとする更新プログラムのインストール所要時間を算出するインストール時間測定ステップと、
現状のCPU(Central Processor Unit)の負荷状況を判定するCPU負荷判定ステップと、
前記インストール時間測定ステップにおいて算出された前記インストール所要時間と、前記CPU負荷判定ステップにおいて判定された現状の前記CPU負荷状況とに基づいて、前記更新プログラムをインストールするために要するインストールコストを算出するコスト算出ステップと、
稼動予定を示す稼動スケジュールをあらかじめ登録し、登録した該稼動スケジュールと、前記コスト算出ステップにおいて算出された前記インストールコストとに基づいて、前記更新プログラムをインストールするための最適なインストール時間帯を算出するインストール制御ステップと
を有することを特徴とする。
【0018】
(4)本発明によるプログラム更新用プログラムは、
更新プログラムのインストールに関するプログラム更新方法を、コンピュータによって実行することが可能なプログラムとして実施するプログラム更新用プログラムであって、
インストールしようとする前記更新プログラムのインストール所要時間を算出するインストール時間測定機能と、
現状のCPU(Central Processor Unit)の負荷状況を判定するCPU負荷判定機能と、
前記インストール時間測定機能において算出された前記インストール所要時間と、前記CPU負荷判定機能において判定された現状の前記CPU負荷状況とに基づいて、前記更新プログラムをインストールするために要するインストールコストを算出するコスト算出機能と、
稼動予定を示す稼動スケジュールをあらかじめ登録し、登録した該稼動スケジュールと、前記コスト算出機能において算出された前記インストールコストとに基づいて、前記更新プログラムをインストールするための最適なインストール時間帯を算出するインストール制御機能と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の情報処理装置、プログラム更新方法およびプログラム更新用プログラムによれば、以下のような効果を奏することができる。
【0020】
第1の効果は、プログラムのインストール先となるクライアントPCにおいてプログラムのインストール実施に最適な時間帯を算出する際に、該最適な時間帯の算出精度を高くすることができることである。その理由は、インストール先のクライアントPCにおける経時的なCPU使用率だけでなく、あらかじめ登録された該クライアントPCの稼動スケジュールを加味して、該クライアントPCの稼動状況を判断しているからである。
【0021】
第2の効果は、プログラムのインストール先のクライアントPCに対してプログラムをインストールするために要するコストの算出精度を高くすることができることである。その理由は、前記特許文献1の場合とは異なり、該クライアントPCのCPU負荷状況を加味して、該クライアントPCのCPUの処理能力を判断しているからである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による情報処理装置、プログラム更新方法およびプログラム更新用プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による情報処理装置およびプログラム更新方法について説明するが、かかるプログラム更新方法をコンピュータにより実行可能なプログラム更新用プログラムとして実施するようにしてもよいし、あるいは、プログラム更新用プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしてもよいことは言うまでもない。また、以下の各図面に付した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではないことも言うまでもない。
【0024】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、更新プログラムのインストール先となる情報処理装置の稼動状況として、該情報処理装置のCPU負荷状況を加味して、更新プログラムをインストールするために要するコストを算出する手段を備え、かつ、更新プログラムのインストールを行う最適な時間帯を算出する際においても、あらかじめ登録された稼動スケジュールを加味して、稼動状況を判断する手段を有していることを主要な特徴とする。つまり、本発明は、更新プログラムをインストールするために要するインストールコストを、少なくとも、インストールに要する所要時間と現状のCPU負荷状況とに基づいて算出し、インストールする最適な時間帯を、前記インストールコストと稼動スケジュールとに基づいて算出することを主要な特徴としている。
【0025】
[第1の実施形態]
次に、本発明に係る情報処理装置およびプログラム更新方法の第1の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
(第1の実施形態の構成例)
まず、本発明の第1の実施形態における情報処理装置の構成例について、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における情報処理装置の構成例を示す構成図であり、更新用のプログラムのインストール先となるクライアントPC(Personal Computer)に対してプログラムをインストールするための構成部位を抽出して示している。ここで、当該情報処理装置は、更新プログラムのインストール先のクライアントPCであってもよいし、該クライアントPCに接続された外部処理装置であってもよいし、あるいは、インストールする更新プログラムを管理するプログラム管理サーバもしくは該プログラム管理サーバの外部サーバであってもよいが、以下の説明においては、クライアントPCを想定している。
【0027】
つまり、本発明の第1の実施形態における情報処理装置10は、更新プログラムのインストール先のクライアントPCそのものであり、当該クライアントPCへの更新プログラムのインストール用の機能として、
図1に示すように、インストール時間測定部11、コア数判定部12、コスト算出部13、CPU負荷判定部14、インストール制御部15を有して構成される。
【0028】
ここで、インストール時間測定部11およびコア数判定部12は、本発明に関連する現状の技術として
図7に示したインストール時間測定部51およびコア数判定部52とほぼ同様の機能をそれぞれ有している。すなわち、インストール時間測定部11は、当該情報処理装置10(クライアントPC)にインストールしようとする更新プログラムのプログラムサイズを検出して、検出した該プログラムサイズに基づいて、当該情報処理装置10(クライアントPC)に該更新プログラムをインストールするために要する所要時間を算出する機能を有している。また、コア数判定部12は、当該情報処理装置10(クライアントPC)のCPUが複数のコアからなるマルチコア構成であった場合、当該情報処理装置10(クライアントPC)にインストールしようとする更新プログラムのプログラム種別等に基づいて、該更新プログラムをインストールするために使用すると予測される当該情報処理装置10(クライアントPC)におけるCPUの所要コア数を判定する機能を有している。
【0029】
他方、コスト算出部13は、
図7に示したコスト算出部53とは異なる。コスト算出部13は、インストール時間測定部11において算出されたインストール所要時間と、後述するCPU負荷判定部14において判定されたCPU負荷状況と、当該情報処理装置10(クライアントPC)のCPUがマルチコア構成であった場合には、コア数判定部12において判定された所要コア数と、に基づいて、当該情報処理装置10(クライアントPC)に該更新プログラムをインストールするために要するコスト(言い換えると、該更新プログラムのインストールに実際にかかると推測されるインストール時間)を算出する機能を有している。本発明に関連する現状の技術として
図7に示した情報処理装置50におけるコスト判定部53はインストール所要時間と所要コア数とに基づき、インストールに要するコスト(すなわちインストールコスト)を算出したが、
図1に示した本第1の実施形態の情報処理装置10におけるコスト算出部13は、インストール所要時間および所要コア数の情報に加えて、さらにCPU負荷状況の情報をも加味して、インストールコストを算出している。
【0030】
なお、当該情報処理装置10(クライアントPC)のCPUがマルチコア構成ではなかった場合には、当然のことながら、コア数判定部12を備えている必要はなく、コスト算出部13は、インストール時間測定部11において算出されたインストール所要時間と、後述するCPU負荷判定部14において判定されたCPU負荷状況と、に基づいて、当該情報処理装置10(クライアントPC)に該更新プログラムをインストールするために要するコスト(すなわちインストールコスト)を算出する。
【0031】
CPU負荷判定部14は、当該情報処理装置10(クライアントPC)の経時的なCPUの負荷量、すなわち、当該情報処理装置10(クライアントPC)における現状のCPU負荷状況を検出する機能を有している。また、インストール制御部15は、あらかじめ登録された当該情報処理装置10(クライアントPC)の稼動予定を示す稼動スケジュールを保持し、該稼動スケジュール情報とコスト算出部13において算出された前記コスト(すなわちインストールコスト)とに基づいて、更新プログラムをインストールするために当該情報処理装置10(クライアントPC)において最適なインストール時間帯を算出し、算出した該最適なインストール時間帯において前記更新プログラムをインストールするための制御を行う機能を有している。
【0032】
(第1の実施形態の動作の説明)
次に、本発明の第1の実施形態として
図1に示した情報処理装置10の動作の一例について、
図2のフローチャートを参照しながら説明する。
図2は、
図1に示した情報処理装置10の動作の一例を説明するためのフローチャートであり、例えばインターネット上のプログラム管理用サーバからダウンロードした更新プログラムを、当該情報処理装置10にインストールする際の動作の一例を、本発明に係るプログラム更新方法例として示している。
【0033】
図2のフローチャートにおいて、情報処理装置10は、まず、インストール時間測定部11を起動して、インストールしようとしている更新プログラムのプログラムサイズを検出して、検出した該プログラムサイズに基づいて、当該情報処理装置10に該更新プログラムをインストールするために要するインストール所要時間を算出する(ステップS1)。しかる後、当該情報処理装置10がマルチコア構成であった場合には、コア数判定部12を起動して、インストールしようとする該更新プログラムの種別等に基づいて、前記更新プログラムをインストールするために使用すると予測される当該情報処理装置10の所要コア数を判定する(ステップS2)。さらに、CPU負荷判定部14を起動して、当該情報処理装置10の現状のCPU負荷状況を判定する(ステップS3)。
【0034】
以上の算出・判定処理を終了すると、コスト算出部13を起動する。コスト算出部13は、インストール時間測定部11において算出されたインストール所要時間と、コア数判定部12において判定された所要コア数と、CPU負荷判定部14において判定されたCPU負荷状況と、に基づいて、当該情報処理装置10に前記更新プログラムをインストールするために要するコストすなわちインストールコスト(言い換えると、該更新プログラムのインストールに実際にかかると推測されるインストール時間)を算出する(ステップS4)。
【0035】
前記更新プログラムをインストールするために要するインストールコスト(言い換えるとインストール時間)がステップS4で算出されると、次に、インストール制御部15を起動する。ここで、インストール制御部15には、当該情報処理装置10の稼動予定を示す稼動スケジュール情報があらかじめ格納されている。インストール制御部15は、該稼動スケジュール情報とコスト算出部13において算出された前記インストールコストとに基づいて、前記更新プログラムをインストールする際の当該情報処理装置10における最適なインストール時間帯を算出する(ステップS5)。そして、インストール制御部15は、算出した該最適なインストール時間帯において、前記更新プログラムのインストールを実施する(ステップS6)。
【0036】
以上のように、
図1に示した情報処理装置10においては、CPU負荷判定部14を備えているので、インストール所要時間(更新プログラムのインストール先となる当該情報処理装置10がマルチコア構成であった場合には、CPUの所要コア数も追加する)だけでなく、当該情報処理装置10(クライアントPC)のCPU負荷状況をも加味して、当該情報処理装置10(クライアントPC)に更新プログラムをインストールするために要するコスト(インストールコスト)を算出している。而して、前記更新プログラムのインストール先の当該情報処理装置10(クライアントPC)に該更新プログラムをインストールするために要するコストの算出精度を高くすることができる。
【0037】
さらに、インストール制御部15に、更新プログラムのインストール先となる当該情報処理装置10(クライアントPC)の稼動予定を示す稼動スケジュール情報をあらかじめ登録しているので、インストール先の当該情報処理装置10(クライアントPC)における経時的なCPU負荷状況だけでなく、当該情報処理装置10(クライアントPC)にあらかじめ登録された稼動スケジュールをも加味して、当該情報処理装置10(クライアントPC)の稼動状況を判断している。而して、当該情報処理装置10(クライアントPC)において更新プログラムのインストール実施に最適な時間帯を算出する際に、該最適な時間帯の算出精度を高くすることができる。
【0038】
なお、以上に説明した第1の実施形態においては、情報処理装置10が更新プログラムのインストール先となっている場合について説明したが、
図1の情報処理装置10にクライアントPCを外部接続し、外部接続したクライアントPCを更新プログラムのインストール先として、情報処理装置10が該クライアントPCに対する更新プログラムのインストールを制御するようにしてもよい。さらに、インターネットを介してクライアントPCに接続することができ、該クライアントPCの更新プログラムを管理し、該クライアントPCに対して更新プログラムの配布を制御するプログラム管理用サーバあるいは該プログラム管理用サーバの外部サーバに、
図1の情報処理装置10を備えるようにしても差し支えない。
【0039】
例えば、情報処理装置10が更新プログラムのインストール先(すなわちクライアントPC)であった場合には、本第1の実施形態における情報処理装置10は、インストールしようとする更新プログラムのインストール所要時間を算出するインストール時間測定部11と、現状のCPUの負荷状況を判定するCPU負荷判定部14と、少なくとも、前記インストール所要時間と現状の前記CPU負荷状況とに基づいて、更新プログラムをインストールするために要するインストールコストを算出するコスト算出部13と、稼動予定を示す稼動スケジュールをあらかじめ登録し、登録した該稼動スケジュールと前記インストールコストとに基づいて、更新プログラムをインストールするための最適なインストール時間帯を算出するインストール制御部15と、を有して構成される。さらに、コア数判定部12も備え、CPUがマルチコア構成であった場合には、更新プログラムをインストールするために使用すると予測される所要コア数を判定し、コスト算出部13による前記インストールコストをより正確に算出する。
【0040】
これに対して、情報処理装置10が更新プログラムのインストール先(すなわちクライアントPC)ではなく、例えば、プログラム管理サーバであった場合には、インストール時間測定部11でインストール所要時間を算出する対象のPC、CPU負荷判定部14でCPUの負荷状況を判定する対象のPC、コスト算出部13でインストールコストを算出する対象のPC、およびインストール制御部15で稼動スケジュールを把握する対象のPCは、いずれもインストール先のPC、すなわちライアントPCであり、プログラム管理サーバではない。
【0041】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る情報処理装置およびプログラム更新方法の第2の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0042】
(第2の実施形態の構成例)
まず、本発明の第2の実施形態における情報処理装置の構成例について、
図3を参照して説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態である情報処理装置の構成例を示す構成図である。
図3に示す第2の実施形態は、CPU負荷判定部が
図1の第1の実施形態と相違している。
図3には、そのCPU負荷判定部14Aの内部構成例が具体的に示してある。このCPU負荷判定部14Aは、
図1の第1の実施形態におけるCPU負荷判定部14の変形例である。なお、
図3に示す情報処理装置10Aにおいて、CPU負荷判定部14A以外の他の手段(すなわち、インストール時間測定部11、コア数判定部12、コスト算出部13およびインストール制御部15)は、第1の実施形態における
図1の情報処理装置10の場合と同じ構成である。
【0043】
また、
図3に示す情報処理装置10Aは、第1の実施形態の場合と同様、更新プログラムのインストール先のクライアントPCであってもよいし、該クライアントPCに接続された外部処理装置であってもよいし、あるいは、インストールする更新プログラムを管理するプログラム管理サーバもしくは該プログラム管理サーバの外部サーバであってもよいが、以下の説明においては、クライアントPCを想定している。
【0044】
図3に示すように、本発明の第2の実施形態における情報処理装置10AのCPU負荷判定部14Aは、更新プログラムのインストール先のクライアントPCである当該情報処理装置10Aに関して、CPUの負荷状況を判定するために、CPU温度/CPUクロック/コア電圧を用いている場合を示しており、CPU温度検出部141と、CPUクロック制御部142と、コア電圧制御部143と、CPU負荷算出部144と、を有して構成されている。
【0045】
図3のCPU温度検出部141は、更新プログラムのインストール先の当該情報処理装置10A(クライアントPC)のCPUの現在のCPU温度を検出する機能を有し、CPUクロック制御部142は、当該情報処理装置10A(クライアントPC)のCPUの現在のCPUクロック値(すなわちCPU動作周波数)を検出する機能を有している。また、コア電圧制御部143は、当該情報処理装置10A(クライアントPC)のCPUの現在のCPUコア電圧値を検出する機能を有している。また、CPU負荷算出部144は、CPU温度検出部141、CPUクロック制御部142およびコア電圧制御部143それぞれで検出したCPU温度、CPUクロック値およびCPUコア電圧値のいずれか1ないし複数に基づいて、CPUの現状の負荷量すなわち現状のCPU負荷状況を算出する機能を有している。
【0046】
(第2の実施形態の動作の説明)
次に、本発明の第2の実施形態として
図3に示した情報処理装置10AのCPU負荷判定部14Aの動作の一例について、
図4のフローチャートを参照しながら説明する。
図4は、
図3に示した情報処理装置10AのCPU負荷判定部14Aの動作の一例を説明するためのフローチャートであり、第1の実施形態として
図2に示した更新プログラムのインストール動作例のステップS3の具体的な変形例を示している。つまり、本第2の実施形態における更新プログラムのインストール動作は、
図2のステップS3のCPU負荷判定に関する動作を、
図4に示す各ステップに置き換えて行うものであり、その他の各ステップの動作については、
図2のステップS1,S2およびS4〜S6と同様であり、ここでは重複する説明は省略する。
【0047】
図4のフローチャートにおいて、情報処理装置10AのCPU負荷判定部14Aは、まず、CPU温度検出部141を起動して、更新プログラムのインストール先の当該情報処理装置10AのCPUに関する現在の温度すなわちCPU温度を検出する(ステップS31)。しかる後、CPUクロック制御部142を起動して、当該情報処理装置10AのCPUに関する現在のクロック値(動作周波数)すなわちCPUクロック値を検出する(ステップS32)。さらに、コア電圧制御部143を起動して、当該情報処理装置10AのCPUのコアに関する現在の電圧値すなわちCPUコア電圧値を検出する(ステップS33)。
【0048】
以上のCPU温度、CPUクロック値およびCPUコア電圧値の検出動作が終了すると、CPU負荷算出部144を起動して、CPU温度検出部141、CPUクロック制御部142およびコア電圧制御部143それぞれで検出したCPU温度、CPUクロックおよびCPUコア電圧値のいずれか1ないし複数に基づいて、更新プログラムのインストール先となる当該情報処理装置10A(クライアントPC)のCPUの現状の負荷量すなわちCPU負荷状況を算出する(ステップS34)。
【0049】
以上のように、
図3に示した情報処理装置10Aにおいては、更新プログラムのインストール先となる当該情報処理装置10(クライアントPC)におけるCPUの稼動状況を判断するために、検出したCPU温度、CPUクロック値およびCPUコア電圧値のいずれか1ないし複数(すべても含む)に基づいて、現状のCPUの負荷状態を算出するCPU負荷判定部14Aを備えているので、当該情報処理装置10A(クライアントPC)のCPU負荷量の算出精度をより高くすることができる。
【0050】
なお、以上に説明した第2の実施形態においては、第1の実施形態の場合と同様、情報処理装置10Aが更新プログラムのインストール先となっている場合について説明したが、
図3の情報処理装置10AにクライアントPCを外部接続し、外部接続した該クライアントPCを更新プログラムのインストール先として、情報処理装置10Aが該クライアントPCに対する更新プログラムのインストールを制御するようにしてもよい。さらに、インターネットを介してクライアントPCに接続することができ、該クライアントPCの更新プログラムを管理し、該クライアントPCに対して更新プログラムの配布を制御するプログラム管理用サーバあるいは該プログラム管理用サーバの外部サーバに、
図3の情報処理装置10Aを備えるようにしても差し支えない。
【0051】
[第3の実施形態]
次に、本発明に係る情報処理装置およびプログラム更新方法の第3の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0052】
(第3の実施形態の構成例)
まず、本発明の第3の実施形態における情報処理装置の構成例について、
図5を参照して説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態である情報処理装置の構成例を示す構成図である。
図5に示す第3の実施形態は、インストール制御部が
図1の第1の実施形態と相違している。
図5には、そのインストール制御部15Aの内部構成例が具体的に示してある。このインストール制御部15Aは、
図1の第1の実施形態におけるインストール制御部15の変形例である。なお、
図5に示す情報処理装置10Bにおいて、インストール制御部15A以外の他の構成部位(すなわち、インストール時間測定部11、コア数判定部12、コスト算出部13およびCPU負荷判定部14)については、第1の実施形態における
図1の情報処理装置10の場合と同じ構成である。また、
図5に示す情報処理装置10BのCPU負荷判定部14については、第2の実施形態として
図3に示したCPU負荷判定部14Aを用いて構成するようにしても差し支えない。
【0053】
また、
図5に示す情報処理装置10Bは、第1の実施形態の場合と同様、更新プログラムのインストール先のクライアントPCであってもよいし、該クライアントPCと接続された外部処理装置であってもよいし、あるいは、インストールする更新プログラムを管理するプログラム管理サーバもしくは該プログラム管理サーバの外部サーバであってもよいが、以下の説明においては、クライアントPCを想定している。
【0054】
本発明の第3の実施形態における情報処理装置10Bのインストール制御部15Aは、更新プログラムのインストール先のクライアントPCである当該情報処理装置10Bに関して、更新プログラムの最適なインストール時間帯として推奨する時間帯(すなわち推奨時間帯)を表示して、ユーザに提示し、該推奨時間帯を確認したユーザが、インストールを実施する実際の時間帯を最適な時間帯として指定する(具体的には、インストールを開始すべき開始時刻を指定する)場合を示している。そのため、インストール制御部15Aは、
図5に示すように、インストール管理部151と、スケジュール管理部152と、表示部153と、入力部154と、を有して構成されている。
【0055】
図5のスケジュール管理部152は、稼動予定としてあらかじめ登録された情報処理装置10Bの稼動スケジュールに関する情報を格納し、管理する機能を有している。また、インストール管理部151は、コスト算出部13において情報処理装置10Bに更新プログラムをインストールするために要するコストとして算出したインストールコストと、スケジュール管理部152にて管理されている情報処理装置10Bの稼動スケジュールに関する情報と、に基づいて、更新プログラムのインストールに最適な時間帯としてユーザに提示する推奨時間帯を算出する機能を有している。
【0056】
また、表示部153は、インストール時間測定部11において算出されたインストール所要時間と、インストール管理部151において算出された推奨時間帯と、を表示して、ユーザに提示する機能を有している。また、入力部154は、表示部153において表示された情報に基づいて、ユーザが、更新プログラムのインストールを実際に開始する時刻を決定して、決定した時刻を入力した際に、該時刻をインストール開始時刻として受け付ける機能を有している。そして、インストール管理部151は、前述の機能の他に、入力部154が受け付けた該インストール開始時刻から始まる時間帯を、インストールを実施するための最適な時間帯として設定する機能を有しており、該インストール開始時刻に達すると、更新プログラムのインストール動作を開始する機能も有している。
【0057】
(第3の実施形態の動作の説明)
次に、本発明の第3の実施形態として
図5に示した情報処理装置10Bのインストール制御部15Aの動作の一例について、
図6のフローチャートを参照しながら説明する。
図6は、
図5に示した情報処理装置10Bのインストール制御部15Aの動作の一例を説明するためのフローチャートであり、第1の実施形態として
図2に示した更新プログラムのインストール動作例のステップS5の具体的な変形例を示している。つまり、本第3の実施形態における更新プログラムのインストール動作は、
図2のステップS5の更新プログラムの最適なインストール時間帯の算出に関する動作を、
図6に示す各ステップに置き換えて行うものであり、該更新プログラムの実際のインストールの実施時間帯をユーザ自身が最適な時間帯として指定する動作を行っている。なお、その他の各ステップの動作については、
図2のステップS1〜S4およびS6と同様であり、ここでは重複する説明は省略する。
【0058】
図6のフローチャートにおいて、情報処理装置10Bのインストール制御部15Aは、まず、スケジュール管理部152を起動して、当該スケジュール管理部152に当該情報処理装置10Bの稼動予定としてあらかじめ登録されている稼動スケジュール情報を取得する(ステップS51)。しかる後、インストール管理部151を起動して、コスト算出部13において算出されたインストールコストと、スケジュール管理部152から取得した稼動スケジュールとに基づいて、更新プログラムのインストールに最適な時間帯としてユーザに提示するための推奨時間帯を算出する(ステップS52)。
【0059】
更新プログラムのインストールに最適な時間帯としてユーザに提示するための推奨時間帯を算出すると、更新プログラムを実際にインストールする時間帯をユーザ自身に決定してもらうために、インストール制御部15Aの表示部153を起動する。そして、インストール時間測定部11において算出されたインストール所要時間と、インストール管理部151において算出された推奨時間帯と、を表示して、ユーザに提示する(ステップS53)。ユーザが、表示されたインストール所要時間と推奨時間帯とに関する情報を確認して、更新プログラムのインストールを実際に開始すべき時刻を決定して、決定した時刻を入力すると、入力された該時刻をインストール開始時刻として入力部154において受け付ける(ステップS54)。
【0060】
そして、入力されたインストール開始時刻が、更新プログラムのインストールを開始するための最適な時間帯の開始時刻であると見做して、当該インストール開始時刻においてインストールを開始することを、インストール管理部151に対して指示する(ステップS55)。その結果、インストール管理部151は、ユーザが指示したインストール開始時刻から始まる時間帯をインストールに最適な時間帯として設定し、該インストール開始時刻に達すると、インストール管理部151は、更新プログラムのインストールを開始する。つまり、
図2のステップS6に示すように、最適な時間帯(本第3の実施形態においては、ユーザ自身が指示した最適な時間帯)において、インストールを実施することになる。なお、ユーザが入力したインストール開始時刻については、表示部153において最適なインストール時間帯としてユーザに対して提示した推奨時間帯の開始時刻と全く同じ時刻である場合も、もちろん、あり得る。
【0061】
以上のように、
図5に示した情報処理装置10Bにおいては、更新プログラムのインストールを実際に実施する時間帯をユーザ自身によって決定するインストール制御部15Aを備えているので、当該情報処理装置10(クライアントPC)の今後のCPU負荷量の変動をより正確に織り込むことが可能であり、インストールを実際に行うインストール時間帯(すなわち最適な時間帯)の算出精度をより高くすることができる。
【0062】
なお、以上に説明した第3の実施形態においても、第1の実施形態の場合と同様、情報処理装置10Bが更新プログラムのインストール先となっている場合について説明したが、
図5の情報処理装置10BにクライアントPCを外部接続し、外部接続した該クライアントPCを更新プログラムのインストール先として、情報処理装置10Bが該クライアントPCに対する更新プログラムのインストールを制御するようにしてもよい。さらに、インターネットを介してクライアントPCに接続することができ、該クライアントPCの更新プログラムを管理し、該クライアントPCに対して更新プログラムの配布を制御するプログラム管理用サーバあるいは該プログラム管理用サーバの外部サーバに、
図5の情報処理装置10Bを備えるようにしても差し支えない。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。