(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態に係るBIMシステム及び方法を図面に基づいて説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称で特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によって説明され得る。
【0008】
BIMによる設計方法では、各業者にて建物全体のデータである建築物の3次元モデル(すなわち、建築物のBIMモデル)を共有することができる。このため、各業者は、共通のデータ上でそれらの関連性及び整合性を確認することができる。以下では、このBIMを使用した昇降機客先提案システムについて説明する。
【0009】
以下、実施形態の構成及び処理について、第1の実施形態(機能分散型のBIMシステム)、第2の実施形態(サーバ主導の機能分散型のBIMシステム)、第3の実施形態(スタンドアロン型のBIM装置)の順に、詳細に説明する。なお、以下では、原則として、単に「パーツ」と称する場合は建築物を構成する現実の構成部品を指し、「BIMパーツ」と称する場合はパーツに対応するBIMの仮想的な構成部品を指すものとする。しかしながら、説明の便宜上、「パーツ」が「BIMパーツ」を指す場合や、「BIMパーツ」が「パーツ」を指す場合もあるものとする。
【0010】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、
図1乃至
図6を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係るBIMシステム1の構成の一例を示した例示的なブロック図である。なお、第1の実施形態において実現される各機能モジュールは、以下で例示する構成に限られず、同様の効果や機能を奏し得る範囲において、任意の単位で、論理的又は物理的に分散又は統合して構成され得る。また、第1の実施形態において実現される各機能モジュールは、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されても良いし、ハードウェアのみによって実現されても良い。
【0011】
図1に示すように、第1の実施形態のBIMシステム1は、昇降機の3次元モデル(すなわち、昇降機のBIMパーツ)などの情報を提供可能なサーバ装置200と、単数又は複数のBIMアプリケーションなどが搭載された端末装置100と、を備える。
【0012】
サーバ装置200は、制御部202と、記憶部206と、を少なくとも備える。また、端末装置100は、出力部としての表示部114及び音声出力部116と、入力部118と、制御部102と、記憶部106と、を少なくとも備える。
【0013】
まず、サーバ装置200の構成についてより具体的に説明する。サーバ装置200は、端末装置100から送信される作成条件に対応する建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを、記憶部206に記憶されたパーツ情報を用いて作成する機能を有する。また、サーバ装置200は、作成されたBIMパーツを端末装置100へ送信する等の機能を有する。
【0014】
サーバ装置200は、通信制御インターフェース部204を介してネットワーク300に接続されており、端末装置100は、通信制御インターフェース部104を介してネットワーク300に接続されている。これにより、サーバ装置200と端末装置100とは、ネットワーク300経由で相互に通信可能に接続されている。なお、ここで行われる通信は、有線又は無線による遠隔通信などを含む。
【0015】
サーバ装置200の制御部202は、各種の演算処理などを実行する制御手段である。また、サーバ装置200の通信制御インターフェース部204は、通信回線や電話回線などに接続されるアンテナやルータなどの通信装置に接続可能なインターフェースであり、サーバ装置200とネットワーク300との間で実行される通信の制御を行う機能を有する。すなわち、通信制御インターフェース部204は、ネットワーク300に接続された装置(
図1の例では、端末装置100)とデータ通信を行う機能を有する。
【0016】
また、サーバ装置200の記憶部206は、HDD(Hard Disk Drive)などの固定ディスク装置又はSSD(Solid State Drive)などのストレージ手段であり、データベースやテーブルなどの各種情報(
図1の例では、パーツ情報データベース206a、リソース情報データベース206b、管理情報データベース206c、及びロジックデータベース206d)を格納する。
【0017】
パーツ情報データベース206aは、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段である。なお、ここで言及する昇降機は、エレベータ及び乗客コンベアを含む概念であり、乗客コンベアは、エスカレータ及び動く歩道を含む。また、ここで言及するパーツ情報は、利用者が建築物のBIMモデルに組み込む昇降機のBIMパーツを設計する上で必要となるあらゆる情報を含む。パーツ情報としては、例えば、用途、定員、積載量、動作速度、色、機種などといった昇降機の仕様や、昇降機を建築物に設置する際に必要とされるスペース、寸法、各種付属設備、各種配線配管に関する情報が挙げられる。さらに、パーツ情報としては、例えば、昇降機を構成する機械部品や昇降機の周りに配置される鉄骨部品の、部材強度、価格、寸法、質量、色、素材、材料、固有振動数といった情報の他、納期、在庫状況、据付時間、仕上げ材、耐用年数、メーカ情報、品番型番などが挙げられるが、これら以外の情報も、パーツ情報に含まれ得る。
【0018】
より具体的に、第1の実施形態によるパーツ情報は、例えば、端末装置100の制御部102によりBIMパーツをBIMモデルに組み込む際に参照されるBIMパーツのサイズ情報を含む。ここで、BIMパーツのサイズ情報は、BIMパーツを構成する各ユニット、構成部品のサイズ情報も含む。BIMパーツを構成する各ユニットとしては、例えば、昇降機がエレベータである場合には、昇降路、乗りかご、カウンタウェイト、メインロープ、巻上機、ガイドレール、乗り場ホール関連品、機械室、制御盤、電源設備、各種配線配管などが挙げられる。また、BIMパーツを構成する各ユニットとしては、例えば、昇降機がエスカレータである場合には、トラス、踏段、踏段チェーン、移動手摺、乗降板、欄干、駆動装置、機械室、制御盤、電源設備、各種配線配管などが挙げられる。また、パーツ情報は、例えば、端末装置100の制御部102によりBIMパーツが変更される際に用いられる設定パラメータを含む。ここで、設定パラメータは、BIMパーツを構成する各ユニットのサイズ、色、材質や、上記の各種配線配管などを規定するパラメータを含む。また、パーツ情報は、予め利用者により指定された点検対象物であることを示す情報も含む。なお、BIMパーツは、典型的なBIMモデルと同様に、このBIMパーツ自体に対象の昇降機に関連するパーツ情報などの属性情報を含んでいる。
【0019】
なお、サーバ装置200の記憶部206には、上記のパーツ情報データベース206aの他にも、リソース情報データベース206b、管理情報データベース206c、及びロジックデータベース206dが記憶されているが、これらのリソース情報データベース206b、管理情報データベース206c、及びロジックデータベース206dについては、後で詳細に説明するため、ここでは説明を省略する。
【0020】
次に、サーバ装置200の制御部202についてより具体的に説明する。サーバ装置200の制御部202は、OS(Operating System)などの制御プログラムや、各種の処理手順などを規定したプログラム、所要データを格納するための内部メモリなどを有する。そして、制御部202は、これらのプログラムなどを用いて、各種の演算処理などを実行する。
【0021】
ここで、第1の実施形態におけるサーバ装置200の制御部202は、機能モジュールとして、作成条件受信部202aと、昇降機モデリング部202bと、情報送信部202cと、を備える。
【0022】
作成条件受信部202aは、端末装置100から送信される作成条件を受信する作成条件受信手段である。ここで、作成条件は、利用者が所望する昇降機の仕様を示す条件である。つまり、作成条件は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するための条件を指定する。作成条件としては、例えば、機種、色、素材、希望の価格、納期、利用者の嗜好性などが挙げられる。
【0023】
また、昇降機モデリング部202bは、作成条件受信部202aにより受信された作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する昇降機モデリング手段である。昇降機モデリング部202bは、例えば、エレベータに関する次のような3次元のBIMパーツを作成する。
【0024】
図2は、第1の実施形態によるBIMパーツの具体例を示した例示的な図である。
図2の左側に、昇降路、乗りかご、ガイドレールなどのユニットから構成されるBIMパーツが例示される。
図2の右側に、乗り場ホーム関連品の一例としての乗降口のドアユニットなどから構成されるBIMパーツが例示される。
【0025】
昇降機モデリング部202bは、例えば、作成条件受信部202aにより受信される作成条件としてのBIMモデルの構造情報などに基づいて、建築物の概要、規模、設置位置、電源設備容量などから当該建築物に設置可能な昇降機のBIMパーツを単数又は複数作成する。ここで、昇降機モデリング部202bは、作成条件が納期、価格、又は嗜好性に関する情報を含む場合、当該情報に応じてBIMパーツを最適化して作成するようにしても良い。例えば、昇降機モデリング部202bは、利用者によって昇降機の設置に際し納期優先の選択がなされている場合には、設置可能な昇降機のBIMパーツのうち納期が早いものから順に自動で複数作成するようにしても良い。同様に、昇降機モデリング部202bは、利用者によって価格優先の選択がなされている場合には、設置可能な複数の昇降機のBIMパーツのうち価格が安いものから順に自動で複数作成するようにしても良い。昇降機モデリング部202bは、利用者によって利用者の嗜好性が設定されている場合には、設置可能な複数の昇降機のBIMパーツのうち嗜好性にあったものから順に自動で複数作成するようにしても良い。なお、昇降機モデリング部202bは、作成した昇降機のBIMパーツを記憶部206に格納し、BIMパーツデータベースを構築しても良い。
【0026】
図1に戻り、情報送信部202cは、昇降機モデリング部202bにより作成された昇降機のBIMパーツを端末装置100へ送信するパーツ送信手段である。ここで、情報送信部202cは、複数のBIMパーツを含む計算結果を端末装置100へ送信しても良い。
【0027】
次に、端末装置100の構成についてより具体的に説明する。端末装置100は、サーバ装置200から受信された昇降機のBIMパーツを、端末装置100の記憶部106に記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する機能を有する。また、端末装置100は、BIMモデルから得られる建屋情報と、BIMパーツから得られる機器情報とから、昇降機の据え付け工事の管理に用いられる種々の情報(管理情報)を作成する機能を有する。
【0028】
端末装置100は、例えば、パーソナルコンピュータなどの一般的な情報処理装置や、スマートフォンなどの携帯端末装置などである。なお、端末装置100は、表示部114と音声出力部116とを少なくとも含む出力部を備えていても良いし、利用者の操作入力などを受け付ける入力部118を備えていても良い。
【0029】
表示部114は、アプリケーションなどにより生成される表示画面を表示する表示手段(例えば、液晶又は有機ELなどから構成されるディスプレイ、モニタ、及び、タッチパネルなど)である。また、音声出力部116は、音声を出力する音声出力手段(例えば、スピーカなど)である。また、入力部118は、例えば、キー入力部、タッチパネル、コントロールパッド(例えば、タッチパッド、及び、ゲームパッドなど)、マウス、キーボード、及び、マイクなどである。これら表示部114、音声出力部116、及び入力部118に対する入出力は、端末装置100の入出力制御インターフェース部108によって制御される。
【0030】
端末装置100の通信制御インターフェース部104は、通信回線や電話回線などに接続されるアンテナやルータなどの通信装置に接続可能なインターフェースであり、端末装置100とネットワーク300との間で実行される通信の制御を行う機能を有する。すなわち、通信制御インターフェース部104は、ネットワーク300に接続された装置(
図1の例では、サーバ装置200)とデータ通信を行う機能を有する。
【0031】
また、端末装置100の記憶部106は、HDDやSSDなどの大容量のストレージ手段、及び/又は、SRAM(Static Random Access Memory)などを用いて構成される小容量高速メモリ(例えば、キャッシュメモリ)などのストレージ手段である。記憶部106は、データベースやファイルやテーブルなどの各種情報(
図1の例では、BIMモデルデータベース106a、リソース情報ファイル106b、管理情報ファイル106c、及びロジックファイル106d)を格納する。
【0032】
BIMモデルデータベース106aは、建築物のBIMモデルを記憶するBIMモデル記憶手段である。第1の実施形態におけるBIMモデルデータベース106aには、予め設計者により設計された建築物のBIMモデルが格納されている。BIMモデルは、例えば、建物形状、空間関係、地理情報、建物部材の数量や特性、部材強度、固有振動数、耐用年数、各種付属設備、各種配線配管などの構造情報を含む。構造情報は、建物用途、建物規模、躯体情報、階床数、階床名、階高、各階の使用用途、フロア人員、占有面積などから算出可能な昇降機の利用人数などの情報を含んでいても良いし、対象の建築物を構成する各構造ユニットに関する寸法、位置などを示す情報を含んでいても良い。ここで、BIMモデルを構成する各構造ユニットとしては、例えば、建築物に配置される部屋、壁、通路、非常階段、避難経路、ガス管、水道管、火災報知機、スプリンクラー、梁、安全対策品などが挙げられる。
【0033】
なお、端末装置100の記憶部106には、上記のBIMモデルデータベース106aの他にも、リソース情報ファイル106b、管理情報ファイル106c、及びロジックファイル106dが記憶されているが、これらのリソース情報ファイル106b、管理情報ファイル106c、及びロジックファイル106dについては、後で詳細に説明するため、ここでは説明を省略する。
【0034】
次に、端末装置100の制御部102について、より具体的に説明する。端末装置100の制御部102は、OSなどの制御プログラムや、各種の処理手順などを規定したプログラム、所要データを格納するための内部メモリなどを有する。そして、制御部102は、これらのプログラムなどを用いて、各種の演算処理などを実行する。
【0035】
ここで、第1の実施形態における端末装置100の制御部102は、機能モジュールとして、作成条件送信部102aと、統合モデリング部102bと、建屋情報抽出部102cと、機器情報抽出部102dと、手配用品リスト作成部102eと、手配予定日作成部102fと、据付難易度選定部102gと、担当者選定部102hと、据付工数算出部102iと、管理情報登録部102jと、を備える。
【0036】
作成条件送信部102aは、利用者により入力される作成条件をサーバ装置200へ送信する作成条件送信手段である。前述したように、作成条件は、利用者が所望する昇降機の仕様を示す条件などである。つまり、利用者は、入力部118などを用いて作成条件を入力することで、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するための条件を指定する。なお、作成条件は、予め作成条件が記憶された外部記憶装置から読み込まれたものであっても良い。
【0037】
また、統合モデリング部102bは、サーバ装置200から受信した昇降機のBIMパーツを、BIMモデルデータベース106aに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の統合BIMモデルを作成する統合モデリング手段である。統合モデリング部102bは、例えば、次のような統合BIMモデルを作成する。
【0038】
図3は、第1の実施形態の統合BIMモデルの具体例を示す例示的な図である。
図3に示される統合BIMモデルは、
図2に例示されたようなBIMパーツに対応するエレベータが設置された昇降機組込建築物の完成像(3次元像)を示している。
【0039】
BIMシステム1は、上記のようなBIMパーツ及び統合BIMモデルの作成のみならず、昇降機の据付工事の管理にも利用できる。具体的には、BIMシステム1は、昇降機の据付工数の算出、据付工事のリソース(担当者)の手配、及び据付工事の用品の手配に用いることができる。BIMシステム1は、以下のような構成により、昇降機の据付工事の管理を実現している。
【0040】
図1に戻り、より具体的に、第1の実施形態では、サーバ装置200の記憶部206に、リソース情報データベース206bが記憶されている。リソース情報データベース206bは、据付工事のリソース(担当者)の情報を記憶するリソース情報記憶手段である。
【0041】
担当者の情報は、サーバ装置200の記憶部206のリソース情報データベース206bから、情報送信部202cなどにより予め端末装置100に転送され、端末装置100の記憶部106に、リソース情報ファイル106bとして予め一時的に記憶されている。このように、担当者の情報はサーバ装置200によって一元的に管理されるが、端末装置100で管理されても良い。
【0042】
リソース情報ファイル106b(リソース情報データベース206b)には、据付工事の担当者の名前やIDと、当該担当者のスケジュール、経験年数、担当物件数、資格情報、及び技能レベルと、が互いに関連付けられて記憶される。なお、技能レベルは、担当者の経験年数、担当物件数、及び資格情報などに基づいて予め設定され、点数化又は区分分けされる。
【0043】
第1の実施形態では、サーバ装置200の記憶部206に、据付工事の管理に用いられる管理情報を蓄積する管理情報データベース206cが記憶されている。管理情報データベース206cは、昇降機の据え付け工事の管理に用いられ、工数、リソースの手配のスケジュール、及び用品の手配のスケジュールのうち少なくとも一つを含んだ管理情報を記憶する管理情報記憶手段である。
【0044】
管理情報は、サーバ装置200の記憶部206の管理情報データベース206cから、情報送信部202cなどにより予め端末装置100に転送され、端末装置100の記憶部106に、管理情報ファイル106cとして予め一時的に記憶されている。このように、管理情報はサーバ装置200によって一元的に管理される。
【0045】
管理情報ファイル106c(管理情報データベース206c)には、据付工事の管理番号等と、据付工事の開始予定日と、据付工事の難易度と、建築物に関する建屋情報と、昇降機に関する機器情報と、用品のリストと、用品の手配予定日と、据付工事の担当者と、が互いに関連付けられて記憶される。建屋情報、機器情報、用品のリスト、及び用品の手配予定日については後述する。
【0046】
第1の実施形態の端末装置100の建屋情報抽出部102cは、BIMモデルデータベース106aに記憶されたBIMモデル、又は統合モデリング部102bにより作成された統合BIMモデルから、建築物に関する建屋情報を抽出する建屋情報抽出手段である。建屋情報抽出部102cは、抽出した建屋情報を、据付工事に対応付けて管理情報ファイル106cに登録する。
【0047】
建屋情報は、BIMモデルや統合BIMモデルに含まれ、昇降機の据付工事の管理に用いられる情報であり、例えば、躯体の情報、階床数、階高、客先要求の据付工事の開始日などを示す情報を含む。
【0048】
機器情報抽出部102dは、サーバ装置200から受信したBIMパーツから、昇降機に関する機器情報を抽出する機器情報抽出手段である。機器情報抽出部102dは、抽出した機器情報を、据付工事に対応付けて管理情報ファイル106cに登録する。
【0049】
機器情報は、BIMパーツに含まれ、昇降機の据付工事の管理に用いられる情報であり、例えば、昇降機や昇降機に関連する機械部品情報と、昇降機の周りに配置される鉄骨部品情報と、を含む。機械部品情報は、機械部品の個数や仕様などの情報を含む。なお、機械部品は、電気部品や電子部品を含む。鉄骨部品情報は、鉄骨部品の個数や仕様などの情報を含む。
【0050】
手配用品リスト作成部102eは、機器情報に基づき、昇降機の据付工事に当たって手配される用品のリストを作成する手配用品リスト作成手段である。具体的には、手配用品リスト作成部102eは、機器情報に含まれる機械部品情報及び鉄骨部品情報から、昇降機メーカ側で製作及び発注する用品(機械部品及び鉄骨部品)の個数や仕様をリスト化し、据付工事に対応付けて管理情報ファイル106cに登録する。また、手配用品リスト作成部102eは、用品のリストを、表示部114のような出力部に出力しても良い。
【0051】
手配予定日作成部102fは、機器情報に基づき、昇降機の据付工事に当たって手配される用品の手配予定日を算定する手配予定日作成手段である。別の表現によれば、手配予定日作成部102fは、機器情報に基づき、管理情報としての用品の手配のスケジュール(例えば用品の手配予定日や発注予定日)を作成する管理情報作成手段である。具体的には、手配予定日作成部102fは、機器情報に含まれる機械部品情報及び鉄骨部品情報から、当該機械部品情報及び鉄骨部品情報に含まれる、昇降機メーカ側で製作及び発注する機械部品及び鉄骨部品(用品)の納期や在庫状況を抽出する。手配予定日作成部102fは、納期や在庫状況に基づいて用品の手配予定日を算定し、据付工事に対応付けて管理情報ファイル106cに登録する。なお、手配予定日作成部102fは、建屋情報に含まれる据付工事の開始予定日をさらなる因子として用品の手配予定日を算定しても良い。
【0052】
据付難易度選定部102gは、建屋情報に基づき、昇降機の据付工事の難易度を選定する据付難易度選定手段である。
図4は、第1の実施形態の据付工事の難易度の算定ロジックの具体例を示す例示的な表である。据付難易度選定部102gは、建屋情報に含まれる躯体情報と階床数とを用い、
図4のロジック、又は
図4に準拠したロジックを用いて、据付工事の難易度を点数化又は区分分けする。据付難易度選定部102gは、選定した難易度を、据付工事に対応付けて管理情報ファイル106cに登録する。
【0053】
具体的には、据付難易度選定部102gは、建屋情報から躯体情報と階床数とを読み出し、
図4のロジックに当てはめる。躯体情報は、例えば、RC造、S造1種〜3種のうちいずれかである。階床数は、5階増加する毎にグループ化されている。
図4のロジックは、建屋情報の躯体情報及び階床数に基づき、A〜Iの区分のうちいずれかの難易度を選定する。なお、据付難易度選定部102gは、
図4のロジックに限らず、例えば、記憶部106に記憶され、躯体の種類と階床数との組み合わせ毎に難易度が対応付けられた情報に基づいて、建屋情報から得られる躯体の種類と階床数との組み合わせに対応する難易度を選定しても良い。
【0054】
図1に戻って、担当者選定部102hは、据付工事の開始予定日と担当者のスケジュールとに基づき、据付工事の担当者を選定(手配)する担当者選定手段である。別の表現によれば、担当者選定部102hは、建屋情報に基づき、管理情報としてのリソースの手配のスケジュール(例えば担当者の選定状況や担当者の稼働日数)を作成する管理情報作成手段である。担当者選定部102hは、管理情報ファイル106cから、建屋情報に基づく客先要求の据付工事の開始予定日を読み出す。さらに、担当者選定部102hは、リソース情報ファイル106bから、担当者のスケジュールを読み出す。
【0055】
一例として、担当者選定部102hは、据付工事の開始予定日を全国(全社)単位又は地域単位でまとめるとともに、担当者のスケジュールを一覧化する。管理者は、一覧化されたスケジュールに基づき、据付工事の開始予定日に担当物件が無くスケジュールの空きがある担当者を選定できる。なお、担当者選定部102hは、担当者を自動的に選定したり、経験年数、担当物件数、資格情報、又は技能レベルに基づいて担当者を並び替えて表示部114のような出力部に出力したりしても良い。
【0056】
担当者選定部102hは、選定した担当者を、据付工事に対応付けて管理情報ファイル106cに登録する。また、担当者選定部102hは、据付工事の開始予定日に基づき、担当者のスケジュールをリソース情報ファイル106bに登録する。
【0057】
据付工数算出部102iは、据付難易度と据付工事の担当者とに基づき、据付工事の工数を算出する据付工数算出手段である。別の表現によれば、据付工数算出部102iは、建屋情報に基づく据付難易度に基づき、管理情報としての据付工事の工数を作成する管理情報作成手段である。
【0058】
サーバ装置200の記憶部206に、ロジックデータベース206dが記憶されている。ロジックデータベース206dは、据付難易度及び据付工事の担当者に基づき工数を算定するロジックを記憶するリソース情報記憶手段である。
図5は、第1の実施形態の据付工数の算定ロジックの具体例を示す例示的な表である。ロジックデータベース206dは、昇降機の機種に対応する
図5のような複数のロジックを記憶する。
【0059】
図1に戻り、
図5のような工数の算定ロジックは、サーバ装置200の記憶部206のロジックデータベース206dから、情報送信部202cなどにより予め端末装置100に転送され、端末装置100の記憶部106に、ロジックファイル106dとして予め一時的に記憶されている。工数の算定ロジックは、端末装置100でのみ管理されても良い。
【0060】
据付工数算出部102iは、据付難易度選定部102gが選定した難易度と、担当者選定部102hが選定した担当者の技能レベルとを用い、
図5のロジック、又は
図5に準拠したロジックを用いて、据付工事の工数を算出する。具体的には、据付工数算出部102iは、機器情報から昇降機の機種を読み出し、当該機種に対応する算定ロジックをロジックファイル106dから読み出す。据付工数算出部102iは、難易度及び担当者の技能レベルを
図5の算定ロジックに当てはめ、据付工事の工数を算出する。据付工数算出部102iは、算定ロジックから算出された工数に、例えば工程間の空き日数などに基づく工数を加え、最終的な据付工事の工数を算出する。なお、据付工数算出部102iは、
図5のロジックに限らず、例えば、記憶部106に記憶され、難易度と技能レベルとの組み合わせごとに工数が対応付けられた情報を使って、工数を算出(決定)しても良い。
【0061】
据付工数算出部102iは、据付工事の工数を表示部114のような出力部に出力する。これにより管理者は、問合せがあった場合に据付工数算出部102iが算出した工数を回答することができる。また、据付工事の工数は、据付工事に対応付けて管理情報ファイル106cに登録されても良い。
【0062】
以上の説明では担当者選定部102hが担当者を選定した後、据付工数算出部102iが工数を算出する。しかし、例えば、担当者選定部102hは、難易度と希望の工数とに基づき担当者の技能レベルを算定し、当該又はそれ以上の技能レベルを有するとともにスケジュールの空きがある担当者を選定しても良い。これにより、希望の工数に収まるよう担当者を選定することができる。
【0063】
管理情報登録部102jは、リソース情報ファイル106b及び管理情報ファイル106cをサーバ装置200に転送する。これにより、リソース情報データベース206bと管理情報データベース206cとが更新(同期)され、リソース及び管理情報がサーバ装置200で一元的に管理される。
【0064】
次に、第1の実施形態によるBIMシステム1の動作について説明する。
図6は、第1の実施形態のBIMシステム1において実行される処理の具体例を示した例示的なフローチャートである。
【0065】
図6に示すように、第1の実施形態では、まず、端末装置100が、BIMパーツの作成条件をサーバ装置200に送信する(S1)。そして、サーバ装置200は、S1で端末装置100により送信された作成条件を受信する(S2)。
【0066】
サーバ装置200は、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報を用いて、S2で受信された作成条件に対応するBIMパーツを作成する(S3)。そして、サーバ装置200は、S3で作成したBIMパーツを端末装置100に送信する(S4)。
【0067】
端末装置100は、S4でサーバ装置200により送信されたBIMパーツを受信する(S5)。そして、端末装置100は、S5で受信されたBIMパーツを、BIMモデルデータベース106aに記憶された建築物のBIMモデルに組み込み、統合BIMモデルを作成する(S6)。
【0068】
端末装置100は、BIMモデル又は統合BIMモデルから建屋情報を抽出し、管理情報ファイル106cに登録する(S7)。そして、端末装置100は、S5で受信されたBIMパーツから機器情報を抽出し、管理情報ファイル106cに登録する(S8)。
【0069】
端末装置100は、S8で抽出された機器情報から手配される用品のリストを作成し、管理情報ファイル106cに登録する(S9)。そして、端末装置100は、S8で抽出された機器情報から用品の手配予定日を作成し、管理情報ファイル106cに登録する(S10)。
【0070】
端末装置100は、S7で抽出された建屋情報から据付工事の難易度を選定し、管理情報ファイル106cに登録する(S11)。そして、端末装置100は、S7で抽出された建屋情報と、リソース情報ファイル106bに記憶された担当者のスケジュールとに基づき、据付工事の担当者を選定して、管理情報ファイル106cに登録する(S12)。そして、端末装置100は、S11で選定された据付工事の難易度と、S12で選定された担当者の技能レベルとに基づき据付工事の工数を算出する(S13)。
【0071】
また、端末装置100は、建屋情報及び/又は機器情報が変更されたか否かを判断する(S14)。例えば、建築側の工程遅れが発生した場合、BIMモデルの建屋情報が変更される。また、昇降機の仕様が変更された場合、BIMパーツの機器情報が変更される。なお、工程遅れによるBIMモデルの建屋情報の変更は、建築側により行われても良いし、昇降機メーカ側で行われても良い。
【0072】
建屋情報及び/又は機器情報が変更された場合(S14でYes)、再び建屋情報を抽出し(S7)、機器情報を抽出し(S8)、用品リストを更新し(S9)、手配予定日を更新し(S10)、据付難易度を更新し(S11)、担当者を更新し(S12)、据付工数を更新する(S13)。このため、工程遅れが発生したとしても、リソース(担当者)や用品が柔軟に再手配され、例えば予定が空いた担当者が他の物件の応援に手配されることができる。
【0073】
建屋情報及び/又は機器情報の変更が無ければ(S14でNo)、選定及び算出された担当者や手配予定日に従って据付工事が進行する。建屋情報及び/又は機器情報の変更は、昇降機の据付工事が完了するまで受け付け可能である。
【0074】
以上説明したように、第1の実施形態によるBIMシステム1では、手配予定日作成部102f、担当者選定部102h、及び据付工数算出部102iのような管理情報作成手段が、BIMモデルから抽出された建築物に関する建屋情報と、BIMパーツから抽出された昇降機に関する機器情報と、のうち少なくとも一つに基づき、工数、リソースの手配のスケジュール、及び用品の手配のスケジュールのうち少なくとも一つを含む管理情報を作成する。BIMモデル及びBIMパーツのようなBIMデータは、種々の詳細な情報を含み、各業者で共有される。このようなBIMデータを用いることで、昇降機の据付工事の管理の利便性が向上する。例えば、工数算出の精度向上、リソースのスケジュール管理の最適化、及び用品手配のスケジュール管理の最適化、のうち少なくとも一つの効果を得ることができる。
【0075】
建屋情報は、建築物の躯体の情報を含む。建屋情報はBIMモデルから抽出されるため、躯体の情報の信頼性は高い。これにより、例えば、躯体の情報から昇降機の据え付け工事の難易度を得ることで、工数をより精度良く算出することができる。
【0076】
建屋情報は、据付工事の開始日を含む。建屋情報はBIMモデルから抽出されるため、据付工事の開始日は、建築側で工程遅れが発生した場合も更新され得る。これにより、リソースの管理をより最適化できる。
【0077】
機器情報は、機械部品に関する機械部品情報を含む。機器情報はBIMパーツから抽出されるため、設計者が機械部品に関するリストや手配スケジュールを作成する労力が低減される。これにより、据付工事における機械部品の管理が容易になる。また、建屋情報が据付工事の開始日を含むことで、機械部品の手配スケジュールを据付工事の開始日と連動させ、機械部品の手配をフレキシブルに行うことができる。
【0078】
機器情報は、鉄骨部品に関する鉄骨部品情報を含む。機器情報はBIMパーツから抽出されるため、設計者が鉄骨部品に関するリストや手配スケジュールを作成する労力が低減される。これにより、据付工事における鉄骨部品の管理が容易になる。また、建屋情報が据付工事の開始日を含むことで、鉄骨部品の手配スケジュールを据付工事の開始日と連動させ、鉄骨部品の手配をフレキシブルに行うことができる。
【0079】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態(サーバ主導の機能分散型のBIMシステム)について説明する。この第2の実施形態では、第1の実施形態と異なり、統合BIMモデルの作成、担当者及び用品の手配スケジュール管理、工数算出などが、サーバ装置1200側で行われる。以下では、第1の実施形態と共通する部分については適宜説明を省略する。
【0080】
図7は、第2の実施形態に係るBIMシステム1の構成を示した例示的なブロック図である。
図7に示すように、第2の実施形態によるBIMシステム1は、端末装置1100と、サーバ装置1200と、を備える。端末装置1100とサーバ装置1200とは、ネットワーク300を介して通信可能に接続されている。
【0081】
端末装置1100は、制御部1102と、記憶部1106と、を少なくとも備える。また、サーバ装置1200は、制御部1202と、記憶部1206と、を少なくとも備える。
【0082】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なり、統合BIMモデルを作成する統合モデリング部1202cが、サーバ装置1200に設けられている。なお、統合BIMモデルの作成に必要なBIMモデルは、端末装置1100の記憶部1106のBIMモデルデータベース106aから予めサーバ装置1200に転送され、サーバ装置1200の記憶部1206に、BIMモデルファイル1206eとして予め一時的に記憶されているものとする。
【0083】
第2の実施形態では、サーバ装置1200の建屋情報抽出部1202dは、BIMモデルファイル1206eに記憶されたBIMモデル、又は統合モデリング部1202cにより作成された統合BIMモデルから、建築物に関する建屋情報を抽出し、管理情報データベース206cに登録する。そして、機器情報抽出部1202eは、昇降機モデリング部202bが作成したBIMパーツから、昇降機に関する機器情報を抽出し、管理情報データベース206cに登録する。
【0084】
手配用品リスト作成部1202fは、機器情報に基づき、昇降機の据付工事に当たって手配される用品のリストを作成し、管理情報データベース206cに登録する。手配予定日作成部1202gは、機器情報に基づき、昇降機の据付工事に当たって手配される用品の手配予定日を作成し、管理情報データベース206cに登録する。別の表現によれば、手配予定日作成部1202gは、機器情報に基づき、管理情報としての用品の手配のスケジュールを作成する。
【0085】
据付難易度選定部1202hは、建屋情報に基づき、昇降機の据付工事の難易度を選定し、管理情報データベース206cに登録する。そして、担当者選定部1202iは、据付工事の開始日と担当者のスケジュールとに基づき、据付工事の担当者を選定し、管理情報データベース206cに登録する。別の表現によれば、担当者選定部1202iは、建屋情報に基づき、管理情報としてのリソースの手配のスケジュールを作成する。
【0086】
据付工数算出部1202jは、据付難易度と据付工事の担当者とに基づき、据付工事の工数を算出する。別の表現によれば、据付工数算出部1202jは、建屋情報に基づく据付難易度に基づき、管理情報としての据付工事の工数を作成する。
【0087】
なお、第2の実施形態のその他の構成、及び動作は、第1の実施形態と実質的に同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0088】
以上説明したように、第2の実施形態によるBIMシステムにおいても、第1の実施形態によるBIMシステムと同様に、手配予定日作成部1202g、担当者選定部1202i、及び据付工数算出部1202jのような管理情報作成手段が、BIMモデルから抽出された建築物に関する建屋情報と、BIMパーツから抽出された昇降機に関する機器情報と、のうち少なくとも一つに基づき、工数、リソースの手配のスケジュール、及び用品の手配のスケジュールのうち少なくとも一つを含む管理情報を作成する。BIMデータを用いることで、昇降機の据付工事の管理の利便性が向上する。
【0089】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態(スタンドアロン型のBIM装置)について説明する。この第3の実施形態では、BIMなどに関する種々の機能がネットワーク300を介して接続された2つの装置に分散して設けられた第1の実施形態及び第2の実施形態と異なり、BIMなどに関する種々の機能が単一の装置に設けられる。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と共通する部分については適宜に説明を省略する。
【0090】
図8は、第3の実施形態に係るBIM装置400の構成を示した例示的なブロック図である。
図8に示すように、第3の実施形態によるBIM装置400は、制御部402と、記憶部406と、を少なくとも備える。制御部402は、入出力制御インターフェース部408を介して、表示部414及び音声出力部416を備えた出力部と、入力部418と、に接続されている。
【0091】
第3の実施形態によるBIM装置400は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同等の機能を、単独で実現する。つまり、第3の実施形態によるBIM装置400の記憶部406は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同等の五種類のデータベース(パーツ情報データベース406a、BIMモデルデータベース406b、リソース情報データベース406c、管理情報データベース406d、ロジックデータベース406e)を備える。また、第3の実施形態によるBIM装置400の制御部402は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同等の機能モジュール(作成条件設定部402a、昇降機モデリング部402b、統合モデリング部402c、建屋情報抽出部402d、機器情報抽出部402e、手配用品リスト作成部402f、手配予定日作成部402g、据付難易度選定部402h、担当者選定部402i、及び据付工数算出部402j)を備える。
【0092】
より具体的に、作成条件設定部402aは、利用者による入力などに応じて、BIMパーツの作成条件を設定する。そして、昇降機モデリング部402bは、パーツ情報データベース406aに記憶されたパーツ情報を用いて、作成条件設定部402aにより設定された作成条件に応じたBIMパーツを作成する。そして、統合モデリング部402cは、昇降機モデリング部402bにより作成されたBIMパーツを、BIMモデルデータベース406bに記憶されたBIMモデルに組み込み、統合BIMモデルを作成する。
【0093】
建屋情報抽出部402dは、BIMモデルデータベース406bに記憶されたBIMモデル、又は統合モデリング部402cにより作成された統合BIMモデルから、建築物に関する建屋情報を抽出し、管理情報データベース406dに登録する。そして、機器情報抽出部402eは、昇降機モデリング部402bが作成したBIMパーツから、昇降機に関する機器情報を抽出し、管理情報データベース406dに登録する。
【0094】
手配用品リスト作成部402fは、機器情報に基づき、昇降機の据付工事に当たって手配される用品のリストを作成し、管理情報データベース406dに登録する。そして、手配予定日作成部402gは、機器情報から、昇降機の据付工事に当たって手配される用品の手配予定日を作成し、管理情報データベース406dに登録する。据付難易度選定部402hは、建屋情報に基づき、昇降機の据付工事の難易度を選定し、管理情報データベース406dに登録する。そして、担当者選定部402iは、据付工事の開始日と担当者のスケジュールとに基づき、据付工事の担当者を選定し、管理情報データベース406dに登録する。そして、据付工数算出部402jは、据付難易度と据付工事の担当者とに基づき、据付工事の工数を算出する。以上のように、手配用品リスト作成部402f、手配予定日作成部402g、担当者選定部402i、及び据付工数算出部402jは、建屋情報及び/又は機器情報に基づき、昇降機の据付工事に用いられる管理情報を作成する。
【0095】
以上説明したように、第3の実施形態によるBIM装置400も、第1の実施形態及び第2の実施形態によるBIMシステムと同様に、手配予定日作成部402g、担当者選定部402i、及び据付工数算出部402jのような管理情報作成手段が、BIMモデルから抽出された建築物に関する建屋情報と、BIMパーツから抽出された昇降機に関する機器情報と、のうち少なくとも一つに基づき、工数、リソースの手配のスケジュール、及び用品の手配のスケジュールのうち少なくとも一つを含む管理情報を作成する。BIMデータを用いることで、昇降機の据付工事の管理の利便性が向上する。
【0096】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、上述した実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0097】
例えば、上述した実施形態は、昇降機としてエレベータの例について説明したが、エスカレータ、動く歩道などの乗客コンベアについても同様に適用できる。
【0098】
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0099】
このほか、上述の説明で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件などのパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0100】
また、上述した実施形態の各装置に関して、図に例示した各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0101】
例えば、実施形態の各装置が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)及び当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、後述するような記録媒体に記録されており、必要に応じてCPUにより機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDDなどの記憶部には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0102】
上記のコンピュータプログラムは、端末装置、サーバ装置、及びBIM装置に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0103】
また、上記のコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されてもよく、また、コンピュータプログラムプロダクトとして構成することもできる。ここで、記録媒体とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD、及び、Blu−ray Disc(登録商標)などといった、任意の可搬用の物理媒体を含むものとする。
【0104】
ここで、コンピュータプログラムとは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコードなどの形式を問わない。ここでいうコンピュータプログラムは、必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態の各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順などについては、周知の構成や手順を用いることができる。
【0105】
上述した実施形態の記憶部に格納される各種のデータベースは、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイルなどを格納可能な、RAM、ROMなどのメモリ装置、ハードディスクなどの固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスクなどのストレージ手段であってもよい。
【0106】
また、実施形態の各装置は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置として構成してもよく、また、当該情報処理装置に任意の周辺装置を接続して構成してもよい。また、実施形態の各装置は、上記の情報処理装置に、対応する実施形態の方法を実現させるソフトウェア(コンピュータプログラムやデータなどを含む)を実装することにより実現してもよい。
【0107】
さらに、実施形態の各機能の分散・統合の具体的形態は、図で例示したものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加などに応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態は、任意に組み合わせて実施することも可能であるし、選択的に実施することも可能である。
【解決手段】一つの実施形態に係るBIMシステムは、制御部と記憶部とを少なくとも備える。前記記憶部は、建築物のBIMモデルを記憶するBIMモデル記憶手段と、前記BIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段と、を備える。前記制御部は、作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報を用いて作成する昇降機モデリング手段と、前記BIMモデルから前記建築物に関する建屋情報を抽出する建屋情報抽出手段と、前記BIMパーツから前記昇降機に関する機器情報を抽出する機器情報抽出手段と、前記建屋情報及び前記機器情報のうち少なくとも一つに基づき、工数、リソースの手配のスケジュール、及び用品の手配のスケジュールのうち少なくとも一つを含む管理情報を作成する管理情報作成手段と、を備える。