(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圃場に給水用水門並びに排水用水門並びに水位計測用指標を設置し、所定の空路を飛行する無人飛行体から圃場及び水位計測指標を撮影する手段と、撮影された画像を無人飛行体から送信する手段と、送信された画像を解析して水位を算出する手段と、所定の基準水位と算出された前記水位情報とを比較し、無線モジュールを有した給水用水門若しくは排水用水門に対して開閉指示を送信する手段を有することを特徴とする水位管理システム。
前記給水用水門は、機構部と、通信部と、制御部と、モーターと、動力源と、からなり、少なくとも機構部と、動力源とがそれぞれ単体ユニットであることを特徴とする請求項1に記載の水位管理システム。
【背景技術】
【0002】
近年、農業従事者の高年齢化、就農人口の減少に伴い、農場経営が大規模化し、経営耕地が大型化してきている。そこで、インターネットなどの電気通信回線を用いた情報通信技術を農業経営に利用する試みが行われている。特許文献1によれば、環境情報を収集するデータ収集装置を遠隔地に設置して、このデータ収集装置により収集した環境情報を電気通信回線を介して集計して一元的に管理したり、データ収集装置により収集した環境情報を自宅の端末にて閲覧できるようにすることが、情報通信技術の利用により実現可能となる。
【0003】
また、特許文献2のデータ処理装置によれば、カメラユニットにより、水田の設置された目盛り付き水位板を被写体とした画像を影像し、このカメラユニットにより影像した画像の画像データを水位データとして外部端末であるセンターサーバや農家側端末に送信して、農家側端末にて閲覧できることが可能となる。
【0004】
さらに、特許文献3の水田水位調整装置によれば、無線によって、操作され、送信器から、水田水位設定の信号が送られると、その信号を受信器で受信し、制御器に設定水位の信号を送りモーターを回転させ、溢水口の高さを変化させ、水位を調整することが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に係る発明では、水田の水位管理(深水管理ともいう。)のためにその水門がある場所まで出向いて水門開閉に係る作業を行う必要があるため、大型経営耕地を有する生産者(以下、単に生産者ということもあるが、生産者には、このような規模以外の経営耕地を持つ生産者も含まれる。)にとって大きな負担となっている。また、前記特許文献2に係る発明のデータ収集装置では、カメラユニットにより撮影できる範囲は限られているため前記生産者にとって、その管理する水田すべてをカバーするためにデータ収集装置が必要となるため、大きなコスト負担となる。さらに、前記特許文献3に係る水田水位調整装置では、制御箱に受信部,制御部,バッテリ,モータ,駆動機構部とが一体となって格納されているため、いずれか一つが故障した場合に、迅速な対応を取ることが難しい。
【0007】
また、一般的に、水稲の栽培リスクとして、鼠やモグラ等により、水が抜けて水田が干上がるということがある。かかる状況を把握し、即座に解決するためには水田を監視する必要があるが、生産者にとっては容易ではない。また、所定の時刻に各圃場に水を供給したいという欲求があるが生産者にとって同時刻に各圃場に水を給水するということは困難である。
【0008】
以上の従来技術における問題に鑑み、本発明の目的は、各圃場における水門の管理を省力化すること及び各圃場に最適となる水の管理をすることができる水位情報管理システムを提供することにある。
【0009】
また、本発明の別の目的としては、前記水位情報管理システムに利用することもでき、誰にでも容易にメンテナンスをすることが可能となる水門を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の水位管理システムは、 圃場に給水用水門並びに排水用水門並びに水位計測用指標を設置し、所定の空路を飛行する無人飛行体から圃場乃至水位計測指標を撮影する手段と、撮影された画像を無人飛行体から送信する手段と、送信された画像を解析して水位を算出する手段と、所定の基準水位と算出された前記水位情報とを比較し、無線モジュールを有した給水用水門若しくは排水用水門に対して開閉指示を送信する手段を有することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の水位管理システムは、圃場に給水用水門並びに排水用水門並びに温湿度センサ、地温センサ、地中水分センサ、pH、電気伝導率センサ、溶存酸素センサ、濁度センサ、日射量センサ、又は炭酸ガスセンサから選ばれる1以上のセンサを設置し、前記各種センサから各種環境情報を取得する手段と、取得された前記環境情報を通信機器を介して送信する手段と、前記環境情報を解析して水位を算出する手段と、所定の基準水位と算出された前記水位情報とを比較し、無線モジュールを有した給水用水門若しくは排水用水門に対して開閉指示を送信する手段を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の水門は、機構部2と通信部5と制御部6とモーター4と動力源7とからなり、少なくとも機構部2と、動力源7がそれぞれ単体ユニットであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各圃場に設置されたセンサー、水門に設置されたセンサー又は無人飛行体が、水位等に関する環境情報を取得し、クラウド上に情報を送信し、水田の開閉指示を自動又は生産者の情報端末で行うことができるので、大型経営耕地を有する生産者であっても、全ての水田を見回る必要がなくなり、労力の低減が期待できる。また、環境情報はクラウド上のアプリケーションに保存されるため、生産者はそのシーズンにおける水田に関する情報を容易に入手することができ、これらと収穫量等の分析を行うこともできる。
【0014】
また、本発明によれば、所定の時間に一斉に生産者側端末によって水門を調整することができるため、同時間に水を給水することができる。また、所定の時間ごとに前記端末に環境情報を送信することが可能であり、前記端末から水門へ直接開閉指示を行うことができるので、水田の予測不可能な変化に対応することができる。
【0015】
さらに、本発明によれば、水門を構成するユニットがそれぞれ別ユニットとなっているから、例えば、バッテリーに故障が発生した場合、バッテリーのユニットのみを交換すれば良く、誰にでも容易にメンテナンスを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムに用いる水門1の全体図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムに用いる水門の他の実施の形態である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムに用いる機構部の実施の形態である。
【
図4】
図4(a)(b)は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムに用いる水門を設置した断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムに用いる無人飛行体13が撮影する水位計測指標5の全体図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムに用いるセンサー10の全体図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る水位情報システムに用いる水門1を各水田(図示せず)に設置し、クラウド上のアプリケーション及び生産者側端末から前記水門へ開閉指示を送る場合の構成図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムの無人飛行体を利用した場合の断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムの無人飛行体を利用した場合の他の断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムの無人飛行体を利用した場合の他の概念図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態に係る水位情報システムに用いるセンサーを各水田(図示せず)に設置し、ソーラーシステムを備えたゲートウェイに送信し、前記ゲートウェイからクラウド上のアプリケーションに送信する構成図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムのセンサーを利用した場合の概念図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムの無人飛行体を利用した場合のフローチャートである。
【
図14】
図14は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムの無人飛行体を利用した場合の他の実施のフローチャートである。
【
図15】
図15は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムのセンサーを利用した場合のフローチャートである。
【
図16】
図16は、本発明の実施の形態に係る水位情報管理システムの水門の設置したセンサーを利用した場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に用いる水門1の概略図である。本水門1は、無線モジュール、制御装置、乾電池を備えた半自動制御の水門である。
【0019】
本願発明に係る給水用水門を
図2を用いてさらに詳細に説明する。調整用アタッチメント3は、水口の幅、長さが各圃場によって異なるものであることから、水口に機構部を設置する際に、水口の大きさに対応するために用いる。モーター4の動力源7としては、乾電池、ソーラー電池、風力、水力、地熱等の自然エネルギーを用いることができる。通信部5は、3G回線等の電気通信回線を用いることができ、後述するクラウド上のアプリケーションとの通信を行う。制御部6は、通信部5からの指令をモーター4へ伝達する。
【0020】
機構部の形態について
図3を用いて説明する。まず、機構部の第一の形態は(a)、機構部2の下部に、水の通気口が突設され、前記通気口に直径が略等しい円筒様ホース10が延設されている。前記ホース10の先端には、剛体棒8からワイヤー9が連結されている。図(a)上図は、水田へ水を給水している状態であるが、給水を停止する際には、モーター4により、ワイヤー9を巻き上げ水田への給水を停止する。
また、機構部の第二の形態(b)について説明する。機構部2の下部に、水の通気口が突設され、前記通気口に直径が略等しい円筒13が延設されている。円筒13の略中間の位置にワイヤー12が巻回されている。給水を停止する際には、ワイヤー12を絞り上げ水田への給水を停止する。かかる両実施の形態に係る円筒13は、軟質塩ビ樹脂製等の材質からなり、変形することができるホースを使用するとよい。。
さらに、機構部の第三の形態(c)について説明する。機構部2の下部に、水の通気口が突設され、上下方向に移動する剛体棒14及び固定された剛体棒15が設置されている。
前記剛体棒14には、中空棒とそれに設置された板が取り付けられている。モーター4により、剛体棒14を上下方向に移動させ、給排水を行う。前記板の材質については特に制限されないが、耐久性等を考慮して、ステンレス等を使用するとよい。
【0021】
また、図示していないが、別ユニットとして、カメラ等の撮影機器を取り付けることもできる。かかる撮影機器により、水位等を撮影し、リアルタイムの状況を把握することができる。また、各種試験紙等を測定するユニットを設置し、水位、pH等の測定結果を送付することもできる。さらに、環境情報測定センサーを取り付け、各種環境情報を取得することができる。各種センサーにより取得する環境情報には、温湿度、地温、地中水分、pH、電気伝導率、溶存酸素、濁度、日射量、炭酸ガス等が含まれる。これらの中から一種又は二種以上を組み合わせて所望の各種環境情報を取得できる。
【0022】
温湿度を測定する温湿度センサは、温度および湿度を検出するセンサであり、白金測温抵抗体型(温度)および静電容量式高分子ポリマー型(湿度)などを用いることができ、その場所の温度および湿度を検出する。地温を測定する地温センサは、水田における土壌温度を検出するセンサである。また、地中御水分を測定する地中水分センサは、水田における土壌水分を検出するセンサであり、例えば、電気抵抗型のセンサを用いることができる。pHを測定するpHセンサは、水田における水素イオン濃度を検出するセンサである。電気伝導率を測定する電気伝導率センサは、電気伝導度を用いて、水田の土壌中に存在している肥料分の含有傾向又は農薬等を検出するセンサである。当該電気伝導率センサは、各種イオン(F
-、Cl
-、NO
3-、Ca
2+、K
+、NH
4+ 等)をも測定できる。日射量を測定する日射量センサは、地表面上の全天日射量を検出するセンサであり、熱電対型などを用いることができる。炭酸ガスを測定する炭酸ガスセンサは、CO
2濃度を検出するセンサであり、個体高分子型などを用いることができる。
【0023】
図4(a)及び(b)は、水門を水田に設置した状態を表した図である。水田と水路とを仕切る畦に水量調整板17を備えた給水用水門1(a)と排水用水門1(b)を設置する。水量調整板17の動力は、バネ等の非電力とすることもできるし、太陽電池等も使用することができる。
【0024】
図5は、無人飛行体(図示せず)が読み取る四角錐18にボール19を入れたものからなる水位計測指標20である。これを水田に設置し、水面に接したボールの面積を無人飛行体が撮影し、画像処理を行うことによって水位情報を獲得する。なお、無人飛行体とは、遠隔操作や無線操縦で動く飛行体をいい、一例としてドローンが挙げられる。
【0025】
図6は、本発明に係るセンサー部について示したものである。設置部材21にモバイル通信機能22を有した計測部23(乾電池等(図示せず)を動力とすることができる。)乃至センサ部(超音波センサー、温度センサー等各種センサーが含まれる。(図示せず))を取り付けるものである。本センサー24によって、各種環境情報を取得することができる。ここで、センサには、温湿度センサ、地温センサ、地中水分センサ、pH、電気伝導率センサ、溶存酸素センサ、濁度センサ、日射量センサ、又は炭酸ガスセンサが含まれ、これらの中から一種又は二種以上を組み合わせて所望の各種環境情報を取得することができる。なお、前述したセンサと同様の物を使用することができる。
【0026】
図7は、クラウド上のアプリケーション25から水門1へ開閉指示を送信した模式図である。また、本願発明に係る水位情報システムは、クラウド上アプリケーション25を介さず、生産者側端末26からも水門1へ開閉指示を送信することができる。ここで、生産者側端末とは、スマートフォン、タブレット又はパソコン等の各種情報処理端末のことをいう。
このように、生産者側端末から水門へ直接開閉指示を送信することができることによって、急に水門の開閉作業が必要となった場合に、各圃場に出向くことなく、行うことが可能となる。
【0027】
クラウド上のアプリケーション25は、水田の水位の値が所定値となるように、水田の水門の制御部に対して制御指令を出力するものである。前記クラウド上のアプリケーション25は、無人飛行体により撮像された水田の画像又はセンサーの値を解析処理することで、水田の水位を算出する。算出された水田の水位の値を予め設定された所定の基準水位と比較して、水田の水位の値が所定の基準水位未満であれば、給水側水門の制御部6に対して機構部2を水門の開度を増加させる制御指令を出力する。一方、水田の水位の値が所定の基準水位を越えていれば、排水側水門1aに対して水門の開度を増加させる制御指令を出力する。
ここで、所定の基準水位とは、圃場の地面から水の表面までの目標となる距離のことをいう。かかる所定の基準水位の設定は、栽培する米の品種、稲の発育過程、稲の栽培地域における土壌、気候、気象条件、各圃場の地形、高低差、形状、水温又は前記各種環境情報等を総合的に考慮して、経験的又は統計的な観点から決定される。
一例をあげると、田植えから2カ月程度の時期の所定の基準水位は、栽培する米の品種などによるが、概ね約10cm〜15cmである。
また、クラウド上のアプリケーション25は、各種センサーから集められた環境情報を記憶する機能をも担っている。例えば、その環境情報を取得した時間や日付などの情報が環境情報に対応付けて記憶される。
【0028】
以下、本願発明に係る実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
図8は、無人飛行体27を利用した場合の水位情報管理システムの実施の第一の実施の形態である。
図13と合わせて詳細に説明する。
図8に示されるように各圃場に給水用水門1a並びに排水用水門1b並びに水位計測用指標20を設置する。あらかじめ空路を設定した無人飛行体27による飛行により4、5枚の圃場乃至水位計測指標20を撮影する。この場合、撮影に要する時間は、約15〜20分である。基地(図示せず)に戻った無人飛行体27は、画像を送信し、画像解析ソフトから水位を計算しクラウド上のアプリケーション25に保存する。あらかじめ設定された水位と無人飛行体から送信され解析された水位情報とを比較し、無線モジュールを有した給水用水門1aへ若しくは排水用水門1bに対して開閉指示をクラウド上のアプリケーション25から信号を送信する。前記各水門1は信号を受け取ると開閉を行う。生産者側端末26からも水門1へ開閉指示を送信することができる。
【0030】
(第2の実施の形態)
図9は、無人飛行体27を利用した場合の水位情報管理システムの第2の実施の形態である。
図11と合わせて詳細に説明する。
図6に示されるように各圃場に給水用水門1a並びに排水用水門1bを設置する。あらかじめ空路を設定した無人飛行体27による飛行により各圃場を撮影する。この場合、撮影に要する時間は、約15〜20分である。基地(図示せず)に戻った無人飛行体27は、画像を送信し、画像解析ソフトから三次元データを作成し、水位情報に加えて、圃場の高低差及び/又は作物の葉緑素を算出しこれらの情報をクラウド上のアプリケーション25に保存する。あらかじめ前記各種情報を基に設定された水位と無人飛行体から送信され解析された前記各種情報とを比較し、情報通信機器を有した給水用水門1aへ若しくは排水用水門1bに対して開閉指示をクラウド上のアプリケーション25から信号を送信する。前記各水門1は信号を受け取ると開閉を行う。また、クラウド上のアプリケーション25を生産者側端末26から参照し、水門1へ開閉指示を送信することができる。
【0031】
画像解析ソフトから圃場の高低差を算出する一つの方法として、以下の方法がある。写真撮影は、飛行コースでラップさせて撮影する。画像解析により各写真の特徴点抽出と写真間の対応付けを行うことで、カメラ位置(X、Y、Z、Yaw、Pitch、Roll)を推定し、、三次元座標をもった点(ポイントクラウドともいう。)を大量に得ることができる。これらを解析することで、オルソフォト、点群データ、DSM、三次元モデル等を出力データとして得ることができる。
【0032】
圃場の高低差を算出することの第一の効果として、稲の倒伏を防ぐことができる。具体的には、台風や発達した低気圧が接近した場合等の急激な気象条件の変化による稲の倒伏を防ぐためには、水田を深水させる必要がある。そこで、事前に無人飛行機により圃場の高低差を解析し、各圃場の低い箇所にセンサーを設置する。次いで、前記箇所の水位を測定する。そして、あらかじめ稲の倒伏を防ぐべく設定された基準水位と比較して、水門の開閉指示を行い、水位を基準水位とすることで、稲の倒伏を防ぐことができる。また、稲の発育を行っていない時期に圃場の高低差を測定することにより、圃場を均す対策を講ずることができる。
【0033】
圃場の高低差を算出することの第二の効果として、農薬を適切に散布、管理することができる。圃場の低い箇所には、散布した農薬が長期間滞留することになるから、土壌の微生物を死滅させてしまう。また、高低差が大きいと、散布した農薬は単に流出することとなり、農薬の効果を得ることができない。さらに、農薬が十分に散布されていない場合には、稲作の生育に悪影響を及ぼし、収穫時期に稲を倒伏させることになる。したがって、圃場内の高い箇所並びに低い箇所に
水位計測用指標を設置し、これらの箇所の測定結果から、農薬が滞留していると判断される場合には、水門の開閉作業により水位を調節して、農薬を排斥することで、適切な量へと調整することができる。これを生産者の各圃場毎に実施することにより最適となる水の管理を行うことができる。
【0034】
圃場の作物の葉の色を解析して葉緑素を算出することにより、稲の発育過程におけるその解析時点の状態を把握することができる。すなわち、稲の葉緑素を測定することで、各圃場の水量及び/又は肥料が稲の発育に十分足りているか否かを判断し、対策を講ずるすることができる。一例としては、水量が足りていない箇所には、
水位計測用指標を事後的に設置して、所定の基準値となるように水位調整をすることができる。したがって、単に水田の水位、温度等の情報だけではなく、直接的に各圃場の稲の発育状態を考慮しつつ、各圃場ごとに最適となる水の管理を行うことができる。
【0035】
(第3の実施の形態)
図10は無人飛行体27を利用した場合の水位情報管理システムの第3の実施の形態である。
図13と合わせて詳細に説明する。本実施例では、通信機器(図示せず)乃至センサー(図示せず)を搭載した無人飛行体27を使用する。各圃場に給水用水門1a並びに排水用水門1b並びに水位計測用指標20を設置する。あらかじめ空路を設定した無人飛行体27の飛行により、水位計測指標20を撮影する。搭載されたセンサー(図示せず)によって水位情報を獲得し、あらかじめ設定しておいた水位設定値と得られた情報から解析を行い無線モジュールを有した給水用水門1a若しくは排水用水門1bに対してへ通信機器(図示せず)を介して開閉指示を行う。前記各水門1は信号を受け取ると開閉を行う。生産者側端末26からも水門1へ開閉指示を送信することができる。
【0036】
(第4の実施の形態)
図11は
図6に記載のセンサー24を利用した場合の水位情報管理システムの第4の実施の形態である。
図15と合わせて詳細に説明する。センサー24を各圃場毎(図示せず)に設置し、圃場10枚単位に1台のソーラーパネル電池を備えたゲートウェイ28を設置する。各圃場毎に設置されたセンサー24は、水田の水位、水温、温度、湿度等を所定時間毎に測定し、これらのデータを無線にてソーラーパネルを備えたゲートウェイ28を経由しクラウド上のアプリケーション25に保存する。あらかじめ設定された水位とセンサー10から送信され解析された水位情報とを比較し、無線モジュールを有した給水用水門1a若しくは排水用水門1bに対して開閉指示をクラウド上のアプリケーションから送信する。前記各水門1は信号を受け取ると開閉を行う。生産者側端末26からも水門1へ開閉指示を送信することができる。
【0037】
(第5の実施の形態)
図12は
図4に記載のセンサー24を利用した場合の水位情報管理システムの第5の実施の形態である。
図15と合わせて詳細に説明する。センサー24を各圃場毎に設置し、水門1を各圃場毎に設置する。各圃場毎に設置されたセンサー24は、水田の水位、水温、温度、湿度等の各種環境情報を所定時間毎に測定し、これらのデータを情報通信手段によりクラウド上のアプリケーション25に保存する。あらかじめ各種環境情報等に対応して設定された水位とセンサー10から送信され解析された水位等の各種環境情報とを比較し、情報通信手段を有した給水用水門(図示せず)若しくは排水用水門(図示せず)に対して開閉指示をクラウド上のアプリケーション26から送信する。前記各水門は信号を受け取ると開閉を行う。また、生産者側端末12からも給水用水門又は排水用水門へ開閉指示を送信することもできる。
【0038】
(第6の実施の形態)
図12は水門1を利用した場合の水位情報管理システムの第6の実施の形態である。
図16と合わせて詳細に説明する。水門1を各圃場毎に設置する。各水門に設置されたセンサー(図示せず)は、水田の水位、水温、温度、湿度等を所定時間毎に測定し、これらのデータを各種情報通信手段によりクラウド上のアプリケーション25に保存する。あらかじめ各種環境情報等に対応して設定された所定の基準水位とセンサーから送信され解析された水位等の各種環境情報とを比較し、各種通信機能を有した給水用水門1a若しくは排水用水門1bに対して開閉指示をクラウド上のアプリケーション25から送信する。前記各水門1は信号を受け取ると開閉を行う。また、生産者側端末26からクラウド上の前記データを送受信し、給水用水門1a 又は排水用水門1b へ開閉指示を送信することもできる。