(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの電子機器から構成される通信システムと、地上端末を有し、前記地上端末を使って前記通信システムとの間で無線回線を介して交信を行う地上通信システムとから成る無線通信システムの試験システムであって、
前記地上端末は、
試験識別子、試験信号値、要求基準および計測信号値を含む試験情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部の前記試験情報を参照し、前記通信システムの前記電子機器に対して試験データを送出する試験データ送出手段と、
前記電子機器から受信した試験結果情報を元に故障箇所の予測を行う試験データ評価手段と、を備え、
前記電子機器は、前記地上端末から送出された前記試験データに基づいて評価試験を実施し、前記地上端末に対して試験結果情報を送信する試験結果出力手段を備えることを特徴とする試験システム。
請求項2に記載の試験システムにおいて、前記地上端末は、前記試験データ評価手段で、前記試験情報を基に接続経路の判定を行うと共に、前記接続経路判定結果を基に故障箇所の予測を行うことを特徴とする試験システム。
複数の電子機器から構成される通信システムと、地上端末を有し、前記地上端末を使って前記通信システムとの間で無線回線を介して交信を行う地上通信システムとから成る無線通信システムの試験システムであって、
前記地上端末は、
試験識別子、試験信号値、要求基準および計測信号値を含む試験情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部の前記試験情報を参照し、前記通信システムの前記電子機器に対して試験データを送出する試験データ送出手段と、
前記電子機器から受信した試験結果情報を元に故障箇所の予測を行う試験データ評価手段と、を備え、
前記電子機器は、前記地上端末から送出された前記試験データに基づいて評価試験を実施し、前記地上端末に対して試験結果情報を送信する試験結果出力手段を備え、
前記試験結果情報には、前記電子機器から出力される出力先の接続経路情報が含まれ、
前記地上端末は、前記試験データ評価手段で、前記試験情報を基に接続経路の判定を行うと共に、前記接続経路判定結果を基に故障箇所の予測を行うことにより、前記複数の電子機器のうちの何れの電子機器が故障と予測されるかの特定がなされることを特徴とする試験システム。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の機器について電子化が広く及び、特に、航空機においては、姿勢制御系統は勿論、ほとんどの制御機器が電子化されている状況にある。
ところで、どのような機器でも機能に信頼性を要する点に変わりはないが、航空機に搭載して使用される機器の場合、特に高い信頼性が要求されるのは当然のことで、このため航空機用の電子機器(電子器材)には定期的な整備がほとんど不可欠である。これは、整備を行い検査することによって異常が検出でき、故障を未然に防止することができるからである。
【0003】
現在、航空機に搭載されている無線機等の電子機器に対して、機能または性能を確認するための試験装置が開発されている。当該試験装置での試験は、以下のように行われる。
(1)試験対象となる電子機器を航空機から取り外して、試験装置と接続する。
(2)航空機から取り出した単体の電子機器と試験装置とで対向通信を行い、電子機器の通信機能を確認する。
【0004】
例えば、特許文献1には、試験の結果が異常であるときに、その原因が被試験装置の故障によるものであるのか、それ以外であるのかを判定し、早期に異常原因を特定できる装置試験システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来の試験装置では、航空機に搭載されているすべての電子機器の中から、試験対象となる電子機器を取り外して、電子機器単体の試験を行っていた。
つまり、従来の試験装置では、電子機器を単体で試験しており、航空機に搭載されているすべての電子機器および航空機外で使用されている通信機材を含めた総合的な試験が行われていなかった。
その為、電子機器が単体で使用された場合は良好と判断されていても、航空機の通信システム上では正しく動作しない場合があった。
また、航空機の通信システムに異常が見られた時、航空機から電子機器単体を取り外して故障確認をしていたため、故障機器の探求に時間を要していた。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みなされたものであり、航空機に搭載された各々の電子機器に試験機能を埋め込み、通信システム上で各々の電子機器の入出力を確認することにより、航空機から電子機器を取り外すことなく、通信システム上での動作確認が行え、試験の効率化並びに費用の低減を図ることが可能な試験システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る試験システムは、少なくとも1つの電子機器から構成される通信システムと、地上端末を有し、前記地上端末を使って前記通信システムとの間で無線回線を介して交信を行う地上通信システムとから成る無線通信システムの試験システムであって、前記地上端末は、試験識別子、試験信号値、要求基準および計測信号値を含む試験情報を記憶する記憶部と、前記記憶部の前記試験情報を参照し、前記通信システムの前記電子機器に対して試験データを送出する試験データ送出手段と、前記電子機器から受信した試験結果情報を元に故障箇所の予測を行う試験データ評価手段と、を備え、前記電子機器は、前記地上端末から送出された前記試験データに基づいて評価試験を実施し、前記地上端末に対して試験結果情報を送信する試験結果出力手段を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る試験システムは、上記した試験システムにおいて、前記試験結果情報には、前記電子機器から出力される出力先の接続経路情報が含まれていることを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る試験システムは、上記した試験システムにおいて、前記地上端末は、前記試験データ評価手段で、前記試験情報を基に接続経路の判定を行うと共に、前記接続経路判定結果を基に故障箇所の予測を行うことを特徴とする。
【0011】
特に本発明に係わる試験システムにおいて、前記した少なくとも1つの電子機器から構成される通信システムが、複数の電子機器から構成される通信システムである場合に、これら複数の電子機器の各々の試験データ評価手段によって、前記試験情報を基に接続経路の判定を行うことで、前記複数の電子機器のうちの何れの電子機器が故障と予測されるかの特定がされることを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る試験システムは、複数の電子機器から構成される通信システムと、地上端末を有し、前記地上端末を使って前記通信システムとの間で無線回線を介して交信を行う地上通信システムとから成る無線通信システムの試験システムであって、前記地上端末は、試験識別子、試験信号値、要求基準および計測信号値を含む試験情報を記憶する記憶部と、前記記憶部の前記試験情報を参照し、前記通信システムの前記電子機器に対して試験データを送出する試験データ送出手段と、前記電子機器から受信した試験結果情報を元に故障箇所の予測を行う試験データ評価手段と、を備え、前記電子機器は、前記地上端末から送出された前記試験データに基づいて評価試験を実施し、前記地上端末に対して試験結果情報を送信する試験結果出力手段を備え、前記試験結果情報には、前記電子機器から出力される出力先の接続経路情報が含まれ、前記地上端末は、前記試験データ評価手段で、前記試験情報を基に接続経路の判定を行うと共に、前記接続経路判定結果を基に故障箇所の予測を行うことにより、前記複数の電子機器のうちの何れの電子機器が故障と予測されるかの特定がなされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、航空機に搭載された各々の電子機器に試験機能を埋め込み、通信システム上で各々の電子機器の入出力を確認することにより、航空機から電子機器を取り外すことなく、通信システム上での動作確認が行え、試験の効率化並びに費用の低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る試験システムを採用した無線通信システムについて説明する。
本発明の一実施形態に係る試験システムを採用した無線通信システムは、航空機通信システムを構成する各々の電子機器に試験機能を実装し、地上通信システムの地上端末から航空機通信システムの電子機器に試験用データを送信し、航空機通信システムから受信した各電子機器の入出力データを確認することにより、航空機から電子機器を取り外すことなく、航空機通信システム上での動作確認が行え、試験の効率化並びに費用の低減を図ることができるものである。
【0016】
[無線通信システムの制御構成]
本発明の一実施形態に係る試験システムを採用した無線通信システム1の制御構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る試験システムを採用した無線通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す無線通信システムは、例えば、地上にある地上通信システムと航空機等に搭載された航空機通信システムとの間で行われる、無線を介した、音声、映像またはデータ等の情報を送受信するシステムである。
【0017】
図1に示すように、本発明の無線通信システム1は、地上に設置された地上通信システム200と、航空機等に搭載された航空機通信システム100とから構成され、地上通信システム200と航空機通信システム100との間は図示していない無線回線を介して接続されている。
【0018】
[地上通信システムの制御構成]
地上通信システム200は、地上において航空機との間で様々な交信を行う地上端末210と、地上端末210から入力された音声等の情報をHF(High Frequency)またはUHF(Ultra High Frequency)の電波帯で無線送信すると共に、航空機通信システム100のHF/UHF無線機130から無線送信された情報を受信するHF/UHF無線機220と、地上端末210から入力された音声等の情報を図示していない衛星通信回線を介して無線送信すると共に、航空機通信システム100の衛星通信装置140から無線送信された情報を受信する衛星通信装置230とから構成されている。
【0019】
地上端末210は、試験データ送出手段211aと試験データ評価手段211bを備えた制御部211と、試験情報212aと経路評価情報212bと故障箇所予測情報212cを記憶する記憶部212とを含んで構成されている。
制御部211は、地上端末210の信号処理、並びに全制御を行う。また、制御部211は、試験データ送出手段211aによって、記憶部212から試験情報212aの試験信号値を読み出して、HF/UHF無線機220または衛星通信装置230に出力する。また、制御部211は、試験データ評価手段211bによって、航空機通信システム100の各電子機器から送信された試験結果データを記憶部212の試験情報212aに登録する。また、制御部211は、試験情報212aに登録された航空機通信システム100の各電子機器の試験結果情報に基づいて、試験データ評価手段211bによって、航空機通信システム100の各電子機器の経路評価並びに故障箇所予測を行い、経路評価情報212bまたは故障箇所予測情報212cに登録する。
【0020】
ここで、地上端末210の記憶部212に記憶される試験情報212a、経路評価情報212bおよび故障箇所予測情報212cの詳細について、
図2〜
図4を参照して説明する。
図2は、地上端末の記憶部に記憶される試験情報の構成を示す図である。
図3は、地上端末の記憶部に記憶される経路評価情報の構成を示す図である。また、
図4は、地上端末の記憶部に記憶される故障箇所予測情報の構成を示す図である。
【0021】
試験情報212aは、
図2に示すように、試験識別子212a1、試験信号値212a2、要求基準212a3および計測信号値212a4を含む。試験識別子212a1は、試験項目を識別するための識別子である。試験信号値212a2は、航空機通信システム100の各電子機器に送信される試験信号の値を示す数値である。要求基準212a3は、出力信号値が「良」と判定されるための後述する航空機通信システム100の各電子機器間の接続経路毎に定めた基準であり、例えば、要求基準が「9.6W〜14.4W」である場合に航空機通信システム100の所定の接続経路での出力信号値212a4が12Wであるときには、試験結果は「良」と判定される。計測信号値212a4は、航空機通信システム100の電子機器同士を接続する接続経路毎に入出力される計測信号値である。
【0022】
経路評価情報212bは、
図3に示すように、経路ID212b1、検証箇所212b2および判定結果212b3を含み、試験情報212aの試験項目毎に登録されている。経路ID212b1は、航空機通信システム100の電子機器同士を接続する接続経路を識別するための識別子である。検証箇所212b2は、上述した接続経路の入力箇所または出力箇所を示している。判定結果212b3は、試験情報212aを基にして制御部211の試験データ評価手段211bで行われた接続経路毎の判定結果を示している。
【0023】
故障箇所予測情報212cは、
図4に示すように、電子機器名212c1、検証箇所212c2および想定故障レベル212c3を含む。電子機器名212c1は、航空機通信システム100の各電子機器の名称を示している。検証箇所212c2は、航空機通信システム100の電子機器同士を接続する接続経路の入力箇所または出力箇所を示している。想定故障箇所212c3は、試験情報212aおよび経路評価情報212bを基にして制御部211の試験データ評価手段211bで評価した検証箇所毎の故障レベルを示している。
【0024】
HF/UHF無線機220は、試験データ入出力手段221aを備えた制御部221を含んで構成されている。
制御部221は、HF/UHF無線機220の信号処理、並びに全制御を行う。また、制御部221は、試験データ入出力手段221aによって、地上端末210から入力された試験データを航空機通信システム100のHF/UHF無線機130に無線送信する。また、制御部221は、試験データ入出力手段221aによって、航空機通信システム100のHF/UHF無線機130から送信された試験結果データを地上端末210に出力する。
【0025】
衛星通信装置230は、試験データ入出力手段231aを備えた制御部231を含んで構成されている。
制御部231は、衛星通信装置230の信号処理、並びに全制御を行う。また、制御部231は、試験データ入出力手段231aによって、地上端末210から入力された試験データを航空機通信システム100の衛星通信装置140に無線送信する。また、制御部231は、試験データ入出力手段231aによって、航空機通信システム100の衛星通信装置140から送信された試験結果データを地上端末210に出力する。
【0026】
[航空機通信システムの制御構成]
航空機通信システム100は、地上端末210のHF/UHF無線機220との間でHFまたはUHFの電波帯で情報の送受信を行うHF/UHF無線機130と、地上端末210の衛星通信装置230との間で図示していない衛星通信回線を介して情報の送受信を行う衛星通信装置140と、HF/UHF無線機130または衛星通信装置140との間で無線信号または衛星信号の変換処理を行い、電子機器(A)110との間で情報のやり取りを行う電子機器(B)120と、電子機器(A)110とから構成されている。
【0027】
HF/UHF無線機130は、試験データ入出力手段131aと経路ID付与手段131bを備えた制御部131を含んで構成されている。
制御部131は、HF/UHF無線機130の信号処理、並びに全制御を行う。また、制御部131は、地上通信システム200のHF/UHF無線機220から無線送信された試験データを処理し、経路ID付与手段131bによって、処理した試験データに出力先の接続経路C2を示す経路ID(c002)を付加し、試験データ入出力手段131aによって、電子機器(B)120の無線通信信号変換部121に出力する。また、制御部131は、電子機器(B)120の無線通信信号変換部121から入力された試験データを処理し、経路ID付与手段131bによって、処理した試験データに出力先の接続経路C4を示す経路ID(c004)を付加し、試験データ入出力手段131aによって、地上通信システム200のHF/UHF無線機220に無線送信する。
【0028】
衛星通信装置140は、試験データ入出力手段141aと経路ID付与手段141bを備えた制御部141を含んで構成されている。
制御部141は、衛星通信装置140の信号処理、並びに全制御を行う。また、制御部141は、地上通信システム200の衛星通信装置230から無線送信された試験データを処理し、経路ID付与手段141bによって、処理した試験データに出力先の接続経路C3を示す経路ID(c003)を付加し、試験データ入出力手段141aによって、電子機器(B)120の衛星通信信号変換部122に出力する。また、制御部141は、電子機器(B)120の衛星通信信号変換部122から入力された試験データを処理し、経路ID付与手段141bによって、処理した試験データに出力先の接続経路C5を示す経路ID(c005)を付加し、試験データ入出力手段141aによって、地上通信システム200の衛星通信装置230に無線送信する。
【0029】
電子機器(B)120は、変復調部121aを備えた無線通信信号変換部121と、調歩同期部122aを備えた衛星通信信号変換部122と、試験データ入出力手段123aと経路ID付与手段123bを備えた制御部123と、シリアルI/F(インターフェース)124と、入出力切替部125とを含んで構成されている。
【0030】
無線通信信号変換部121は、HF/UHF無線機130から入力された試験データを変復調部121aで復調処理したり、電子機器(A)110からシリアルI/F124および入出力切替部125を介して入力された試験結果データを変調処理し、HF/UHF無線機130へ出力する。
衛星通信信号変換部122は、衛星通信装置140から入力された試験データを調歩同期部122aで調歩同期方式にてデータ送信したり、電子機器(A)110からシリアルI/F124および入出力切替部125を介して入力された試験結果データを調歩同期方式にて衛星通信装置140へ出力する。
入出力切替部125は、制御部123からの指示により、無線通信信号変換部121または衛星通信信号変換部122のシリアルI/F124への接続切り替えを行う。
シリアルI/F124は、電子機器(B)120と電子機器(A)110と間でデータを送受信する際のシリアル転送方式による接続インターフェースである。
【0031】
制御部123は、電子機器(B)120の信号処理、並びに全制御を行う。また、制御部123は、HF/UHF無線機130または衛星通信装置140から入力された試験データが内部で処理された後、経路ID付与手段123bによって、処理された試験データに出力先の接続経路C1を示す経路ID(c001)を付加し、試験データ入出力手段123aによって、電子機器(A)110に出力する。また、制御部123は、電子機器(A)110から入力された試験データが内部で処理された後、経路ID付与手段123bによって、処理された試験データに出力先の接続経路C2またはC3を示す経路ID(c002またはc003)を付加し、試験データ入出力手段123aによって、HF/UHF無線機130または衛星通信装置140に出力する。
【0032】
電子機器(A)110は、試験データ入出力手段111aと経路ID付与手段111bを備えた制御部111を含んで構成されている。
制御部111は、電子機器(A)110の信号処理、並びに全制御を行う。また、制御部111は、電子機器(B)120から入力された試験データが内部で処理された後、経路ID付与手段111bによって、処理された試験データに出力先の接続経路C1を示す経路ID(c001)を付加し、試験データ入出力手段111aによって、電子機器(B)120に出力する。
【0033】
[無線通信システムの動作]
次に、本発明の一実施形態に係る試験システムを採用した無線通信システム1の動作について、
図1〜
図4を参照して説明する。
例えば、無線通信システム1のシステム上での動作確認試験を行うために、オペレータが、地上通信システム200の地上端末210を操作して、
図2の試験情報212aの試験識別子212a1の試験「T1」を選択すると、試験信号値212a2の試験「T1」に該当する試験データが読み出され、HF/UHF無線機220および衛星通信装置230に出力される。
【0034】
HF/UHF無線機220および衛星通信装置230は、地上端末210から入力された試験データをそれぞれHFまたはUHFの電波帯、並びに衛星通信回線を介して航空機通信システム100のHF/UHF無線機130および衛星通信装置140に無線送信する。
HF/UHF無線機130および衛星通信装置140は、HF/UHF無線機220および衛星通信装置230から受信した試験データに出力先の接続経路C2またはC3を示す経路ID(c002またはc003)を付加して電子機器(B)120の無線通信信号変換部121および衛星通信信号変換部122に出力する。
【0035】
電子機器(B)120は、HF/UHF無線機130および衛星通信装置140から入力された試験データをそれぞれ無線通信信号変換部121および衛星通信信号変換部122で信号変換を行った後に内部処理し、入出力切替部125およびシリアルI/F124を介して、内部処理された試験データに出力先の接続経路C1を示す経路ID(c001)を付加して電子機器(A)110に出力する。
なお、電子機器(B)120では、シリアルI/F124を介して電子機器(A)110に試験データを送信するが、無線通信信号変換部121および衛星通信信号変換部122からそれぞれ出力された試験データを同時に電子機器(A)110に送信できないため、タイミングをずらして順次出力するようにする。
【0036】
電子機器(A)110は、電子機器(B)120から入力された試験データを内部処理した後、内部処理した試験データに出力先の接続経路C1を示す経路ID(c001)を付加して電子機器(B)120に出力する。
【0037】
電子機器(B)120は、電子機器(A)110から、シリアルI/F124および入出力切替部125を介して入力された試験データを内部処理した後、それぞれ無線通信信号変換部121または衛星通信信号変換部122で信号変換を行い、出力先の接続経路C2またはC2を示す経路ID(c002またはc003)を付加して、それぞれHF/UHF無線機130または衛星通信装置140に出力する。
【0038】
HF/UHF無線機130または衛星通信装置140は、電子機器(B)120の無線通信信号変換部121または衛星通信信号変換部122から入力された試験データおよび試験結果情報に出力先の接続経路C4またはC5を示す経路ID(c004またはc005)を付加し、それぞれHFまたはUHFの電波帯、並びに衛星通信回線を介して地上通信システム200のHF/UHF無線機220または衛星通信装置230に無線送信する。
HF/UHF無線機220または衛星通信装置230は、HF/UHF無線機130または衛星通信装置140から受信した試験データおよび試験結果情報を地上端末210に出力する。
【0039】
地上端末210では、航空機通信システム100から送信された各電子機器間の接続経路での試験結果情報を基にして、接続経路評価および故障箇所予測を行う。
まず、地上端末210では、
図2の試験情報212aを参照して、航空機通信システム100の各々の電子機器の出力と入力を確認する。つまり、自端末から出力された試験データ(試験信号値)に対応する要求基準と各々の電子機器間の接続経路での出力および入力結果を比較して良否の判定を行う。例えば、
図3に示す経路評価情報212bが接続経路の評価結果を示している。
図3に示すように、無線通信システム1のシステム上での動作確認試験(試験T1)において、接続経路C2およびC4の出力が判定「否」となっている。
【0040】
次に、地上端末210では、
図3の経路評価情報を元に故障箇所予測を行う。例えば、
図4に示す故障箇所予測情報212cが故障箇所予測結果である。
図4に示すように、無線通信システム1のシステム上での動作確認試験(試験T1)を行った結果、電子機器(B)120の変復調部121aの出力に問題があることがわかる。
【0041】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る試験システムによれば、航空機に搭載された各々の電子機器に試験機能を埋め込み、通信システム上で各々の電子機器の入出力を確認することにより、航空機から電子機器を取り外すことなく、通信システム上での動作確認が行え、試験の効率化並びに費用の低減を図ることができる。
【0042】
なお、上記実施形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができる。