特許第6555819号(P6555819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555819
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】温度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/02 20060101AFI20190729BHJP
   G01K 7/00 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   G01K7/02 Z
   G01K7/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-26267(P2016-26267)
(22)【出願日】2016年2月15日
(65)【公開番号】特開2017-146125(P2017-146125A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】503227553
【氏名又は名称】イーグルブルグマンジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116506
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 義宏
(72)【発明者】
【氏名】喜藤 雅和
【審査官】 平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−76782(JP,U)
【文献】 実開昭57−177138(JP,U)
【文献】 実開昭61−199638(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間と外部空間とを区画する壁体に装着され、内部空間の温度を測定するための熱電対の異種の金属線を外部空間に導出するための導出孔を有する導出部材と、
前記導出孔の外部空間側に設けられ、弾性を有し中空筒状をした弾性筒状部材と、
前記弾性筒状部材の外部空間側の端面と当接するように設けられ、弾性を有しシート状をした弾性シート部材と、
前記弾性シート部材を前記弾性筒状部材に対して押圧するための締付け保持手段と、を具備することを特徴とする温度測定装置。
【請求項2】
前記弾性筒状部材は、前記導出部材の外部空間側の端面より外部空間側に突出して設けられることを特徴とする請求項1に記載の温度測定装置。
【請求項3】
前記導出孔は複数設けられ、複数の導出孔には、それぞれ、前記弾性筒状部材が設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の温度測定装置。
【請求項4】
前記弾性筒状部材の材質はゴム又は樹脂からなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の温度測定装置。
【請求項5】
前記弾性シート部材は、前記弾性筒状部材の外部空間側の端面と当接可能な大きさを有し、中心部には孔が設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の温度測定装置。
【請求項6】
前記締付け保持手段は、前記弾性シート部材の外部空間側に当接可能な金属ワッシャーと、前記弾性シート部材及び前記金属ワッシャーを貫通するボルトとから構成され、前記ボルトは前記導出部材に設けられた雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の温度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度測定装置に関する。さらに詳しくは、例えば真空槽内部の温度を測定する温度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の温度測定装置として、真空槽の側壁に設けられたフランジ孔に、内部に熱電対の2種の金属線が絶縁性の充填剤によって封入された熱電対導出管をOリングなどの密閉部材を備えた管体と該管体に螺合する蓋体を介して取付け、熱電対導出管を通して熱電対の金属線を真空槽の外部に引き出すようにしたものが知られている(以下、「従来技術1」という。例えば、特許文献1参照。)。
また、真空環境に連通される連結管に固定された真空側フランジ部材と大気側フランジ部材の接合面にそれぞれOリングを対向して配し、この真空側及び大気側フランジ部材を、互いのOリング同士を熱電対の中間部を挟んで対向させた状態で、螺子部材を用いて締結してOリング同士を圧接させることにより、その弾性力により真空環境の真空シールを保ちつつ、熱電対の真空環境と大気環境との間の配線を行うようにしたものが知られている(以下、「従来技術2」という。例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
しかしながら、従来技術1においては、熱電対の2種の金属線の固定及び真空シールを図るため、樹脂、接着剤及びセラミックス等が充填された熱電対導出管を別途準備する必要があると共に、熱電対が複数設けられる場合には、熱電対の数だけ熱電対導出管、管体及び蓋体を設ける必要があり、装置構成が複雑かつ高価になるおそれがあった。
【0004】
また、従来技術2においては、真空側フランジ部材と大気側フランジ部材の接合面には、周方向に延びるOリング溝と直交するように、熱電対の中間部を真空環境から外部の温度検出部に導出するための径方向の隙間を機械加工により設ける必要があり、また、熱電対が複数設けられる場合は単一の連結管の内部に複数の熱電対が存在することとなり、熱電対同士が接触して正確な温度測定ができないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−221692号公報
【特許文献2】特開2004−45283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡単な構成により、温度測定部である内部空間と外部空間との密封性を保持しつつ、熱電対の絶縁及び外力からの保護を図ることができる温度測定装置を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、熱電対の外部への取出し部における取出し空間を特別な加工を行うことなく確保できるようにした温度測定装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の温度測定装置は、第1に、内部空間と外部空間とを区画する壁体に装着され、内部空間の温度を測定するための熱電対の異種の金属線を外部空間に導出するための導出孔を有する導出部材と、
前記導出孔の外部空間側に設けられ、弾性を有し中空筒状をした弾性筒状部材と、
前記弾性筒状部材の外部空間側の端面と当接するように設けられ、弾性を有しシート状をした弾性シート部材と、
前記弾性シート部材を前記弾性筒状部材に対して押圧するための締付け保持手段と、を具備することを特徴としている。
この特徴によれば、簡単な構成で、温度測定部である内部空間と外部空間との密封性を保持しつつ、熱電対の絶縁及び外力からの保護を図ることができる。
また、測定する温度範囲に応じて熱電対を交換したり、測定点を増やすために熱電対を増設したりする際には、締付け保持手段を操作するだけ、作業を容易に行うことができる。
【0008】
また、本発明の温度測定装置は、第2に、第1の特徴において、前記弾性筒状部材は、前記導出部材の外部空間側の端面より外部空間側に突出して設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、熱電対の外部への取出し部における取出し空間を特別な加工を行うことなく確保することができる。
【0009】
また、本発明の温度測定装置は、第3に、第1又は第2の特徴において、前記導出孔は複数設けられ、複数の導出孔には、それぞれ、前記弾性筒状部材が設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、複数の熱電対同士の接触を防止でき、絶縁性を確保することができる。
【0010】
また、本発明の温度測定装置は、第4に、第1ないし第3のいずれか1つの特徴において、前記弾性筒状部材の材質はゴム又は樹脂からなることを特徴としている。
この特徴によれば、より一層、密封性を保持しつつ、熱電対の絶縁及び外力からの保護を図ることができる。
【0011】
また、本発明の温度測定装置は、第5に、第1ないし第4のいずれか1つの特徴において、前記弾性シート部材は、前記弾性筒状部材の外部空間側の端面と当接可能な大きさを有し、中心部には孔が設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、弾性筒状部材が複数設けられる場合でも、簡単な構成で、すべての弾性筒状部材の外部空間側の端面との間の密閉性を確保することができる。
【0012】
また、本発明の温度測定装置は、第6に、第1ないし第5のいずれか1つの特徴において、前記締付け保持手段は、前記弾性シート部材の外部空間側に当接可能な金属ワッシャーと、前記弾性シート部材及び前記金属ワッシャーを貫通するボルトとから構成され、前記ボルトは前記導出部材に設けられた雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、弾性シート部材を弾性筒状部材の外部空間側の端面に確実に当接させることができ、密閉性を向上させることができる。また、締付け及び解除の操作が容易な締付け保持手段を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以下のような優れた効果を奏する。
(1)内部空間と外部空間とを区画する壁体に装着され、内部空間の温度を測定するための熱電対の異種の金属線を外部空間に導出するための導出孔を有する導出部材と、導出孔の外部空間側に設けられ、弾性を有し中空筒状をした弾性筒状部材と、弾性筒状部材の外部空間側の端面と当接するように設けられ、弾性を有しシート状をした弾性シート部材と、弾性シート部材を弾性筒状部材に対して押圧するための締付け保持手段と、を具備することにより、簡単な構成で、温度測定部である内部空間と外部空間との密封性を保持しつつ、熱電対の絶縁及び外力からの保護を図ることができる。また、測定する温度範囲に応じて熱電対を交換したり、測定点を増やすために熱電対を増設したりする際には、締付け保持手段を操作するだけ、作業を容易に行うことができる。
【0014】
(2)弾性筒状部材は、導出部材の外部空間側の端面より外部空間側に突出して設けられることにより、熱電対の外部への取出し部における取出し空間を特別な加工を行うことなく確保することができる。
【0015】
(3)導出孔は複数設けられ、複数の導出孔には、それぞれ、弾性筒状部材が設けられることにより、複数の熱電対同士の接触を防止でき、絶縁性を確保することができる。
【0016】
(4)弾性筒状部材の材質はゴム又は樹脂であることにより、より一層、密封性を保持しつつ、熱電対の絶縁及び外力からの保護を図ることができる。
【0017】
(5)弾性シート部材は、弾性筒状部材の外部空間側の端面と当接可能な大きさを有し、中心部には孔が設けられることにより、弾性筒状部材が複数設けられる場合でも、簡単な構成で、すべての弾性筒状部材の外部空間側の端面との間の密閉性を確保することができる。
【0018】
(6)締付け保持手段は、弾性シート部材の外部空間側に当接可能な金属ワッシャーと、弾性シート部材及び金属ワッシャーを貫通するボルトとから構成され、ボルトは導出部材に設けられた雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部を備えることにより、弾性シート部材を弾性筒状部材の外部空間側の端面に確実に当接させることができ、密閉性を向上させることができる。また、締付け及び解除の操作が容易な締付け保持手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例に係る温度測定装置の組立状態を示す断面図である。
図2】本発明の実施例に係る温度測定装置を構成する要素部材を分解して示す説明図である。
図3図2のA−A矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置などは、特に明示的な記載がない限り、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の実施例に係る温度測定装置の組立状態を示す断面図であり、真空槽などを形成する壁体1の右側が内部空間、左側が外部空間である。
【0022】
本発明の温度測定装置は、二種の異なる金属、例えば、クロメル・アルメルあるいは銅・コンスタンタンなどの異種金属を測温接点と基準接点との間に接続し、両接点間の温度差に比例して発生する起電力を電圧計で測ることにより温度差を検知できるという原理を利用した温度センサー、すなわち、熱電対を用いたものである。
【0023】
図1において、壁体1の右側の内部空間に熱電対2の測温接点3が配設され、壁体1の左側の外部空間に熱電対2の基準接点4及び電圧計5が配設されている。
測温接点3、基準接点4及び電圧計5は公知の配線方法でもって接続されるが、内部空間に位置する測温接点3と外部空間に位置する基準接点4及び電圧計5との間の接続は、例えば、測定素線を絶縁性の樹脂で被覆した導線6が壁体1を貫通するように配設されることで行われている。
なお、本発明においては、上記導線には、絶縁性の樹脂で被覆した導線に限らず、熱電対の素線自体、あるいは、補償導線である場合も包含されるものである。
【0024】
内部空間と外部空間とは、通常、温度及び圧力が異なるため、導線6の壁体1を貫通する部分には、密閉性が要求される。
また、導線6の絶縁状態を維持するためには導線6の外力からの損傷を防止し保護を図る必要がある。
さらに、測定する温度範囲に応じて熱電対2を交換したり、測定点を増やすために熱電対2を増設したりする必要があるため、これらの作業を容易に行うことができることが要求される。
さらに、熱電対2を複数設ける場合には、導線6同士の接触を防止する必要がある。
【0025】
このため、本発明において温度測定装置は、図1に示すように、内部空間と外部空間とを区画する壁体1に装着され、内部空間の温度を測定するための熱電対2の異種の金属線を絶縁性樹脂で被覆した導線6を外部空間に導出するための導出孔11を有する導出部材10と、導出孔11の外部空間側に設けられ、弾性を有し中空筒状をした弾性筒状部材12と、弾性筒状部材12の外部空間側の端面と当接するように設けられ、弾性を有しシート状をした弾性シート部材13と、弾性シート部材13を弾性筒状部材12に対して押圧するための締付け保持手段14と、を具備するものである。
【0026】
導出部材10は、壁体1に装着され、導線6を安全に導出する役割を有するものであり、材質及び形状は特に限定されないが、図1に示すものは、断面形状が略T字形の中実円筒状をなし、内部に導線6を導出するための導出孔11が設けられており、ネジ部10aを介して壁体1に着脱自在に固定されている。
【0027】
弾性筒状部材12は、導出部材10の外部空間側の端面10bより外部空間側に一部が突出するようにして導出部材10の導出孔11内に設けられる。このため、導出部材10の外部空間側の端面10bと弾性筒状部材12の外部空間側の端面12aに当接する弾性シート部材13の内部空間側の面13aとの間には隙間αが存在することになる。
【0028】
導線6は、内部空間側から導出部材10の導出孔11内に導かれ、中空筒状の弾性筒状部材12の内部を通って弾性筒状部材12の外部空間側の端面12aと弾性シート部材13の内部空間側の面13aとの間に挟まれるようにして内径側から外径側に導かれ、隙間αを経て外部空間に導かれる。
【0029】
弾性シート部材13は、締付け保持手段14により弾性筒状部材12に押圧されるため、弾性筒状部材12と弾性シート部材13との間の密封性は確保されると共に、これら両者は弾性を有するため、両者の間に導線6が挟まれた状態で存在しても導線6の周囲の密閉性を確保することができる。
【0030】
次に、図2及び図3を参照しながら、各部材について詳細に説明する。
【0031】
導出部材10は、例えば、金属あるいは樹脂により形成され、断面形状が略ボルトのような形状をなし、壁体1と嵌合する内部空間側の軸部分の外周には雄ネジ部10aが設けられている。また、外部空間側に突出する部分10cは、ボルトの頭部のような形状に形成されており、この部分10cを工具で回動するなどして壁体1に取り付けられる。
【0032】
また、導出部材10の内部には、軸方向に導線6を導出するための導出孔11が複数設けられている。図3に示すように、複数の導出孔11は、例えば、中心から一定距離を有する円上に等配で設けられている。導出孔11は図3では4個設けられているが、特にこれに限定されることなく、1個以上あればよい。
さらに、導出孔11の外部空間側には弾性筒状部材12を収納するため、内部空間側の導出孔11の径よりも径大の収容部11aが設けられている。弾性筒状部材12は内部空間側の導出孔11の径と収容部11aの径差により形成された段差に係合し、位置決めされる。収容部11aの軸方向の長さは、弾性筒状部材12の長さに応じて適宜決定される。
尚、収容部11aの内部空間側端部よりも弾性筒状部材12の内部空間側端部の方が内部空間側に配置され、それにより熱電対の導出部材10と弾性筒状部材12との間への挟み込みを防止する。つまり、熱電対2が弾性筒状部材12から出る箇所が導出部材10と弾性筒状部材12との当接位置よりも内部空間側に配置されるため、熱電対2が撓んだ状態で設置されても導出部材10と弾性筒状部材12との間に挟み込み難くすることが出来る。
【0033】
さらに、導出部材10の中心部には、後記する締付け保持手段14のボルトと螺合可能な雌ネジ孔10dが設けられている。
【0034】
弾性筒状部材12は、導出孔11の収容部11aに設けられ、内部孔12b内に導線6を導くと共に、外部空間側の端面12aと弾性シート部材13との間で内部空間と外部空間とを密閉する機能を奏するものであるり、絶縁性、弾力性及び機械的強度などが要求される。そのため、弾性筒状部材12の材質としては、ゴム又は樹脂、例えば、ウレタンゴムが適している。
弾性筒状部材12の形状は、中空かつ筒状であればよく、その断面形状は円形、多角形など特に限定されない。
弾性筒状部材12は、導出孔11が複数設けられる際には、それぞれの導出孔11に設けられるから、導出孔11の数だけ用意される。
【0035】
弾性シート部材13は、弾性筒状部材12の外部空間側の端面12aと当接し、当該当接部の間に導線6を挟んだ状態で、内部空間と外部空間とを密閉する機能を奏するものであり、絶縁性及び弾力性などが要求される。弾性シート部材13の材質としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、或いは、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂が好ましい。
また、弾性シート部材13は、導出孔11及び弾性筒状部材12が複数設けられる場合にも、すべての弾性筒状部材12の外部空間側の端面12aと当接する必要があり、すべての弾性筒状部材12の外部空間側の端面12aをカバーできる大きさが必要である。
また、弾性シート部材13の中心部には孔13bが設けられる。
【0036】
締付け保持部材14は、弾性シート部材13の外部空間側の面13cに当接可能な金属ワッシャー15と、弾性シート部材13及び金属ワッシャー15を貫通するボルト16とから構成される。
金属ワッシャー15は、弾性シート部材13と略同じ大きさを有し、中心部には孔15aが設けられる。
ボルト16は導出部材10に設けられた雌ネジ孔10dに螺合可能な雄ネジ部16aを備えている。
【0037】
熱電対2を設置する際は、弾性筒状部材12を、導出部材10の導出孔11の収容部11aに、図1に示すように、導出部材10の外部空間側の端面10bより外部空間側に一部が突出するようにして設け、導出孔11及び弾性筒状部材12の内部孔12b内に導線6を導通させた状態で、導出部材10を壁体1に装着する。
次に、弾性シート部材13に金属ワッシャー15を当接させ、これらの中心部にボルト16を貫通させた状態で、弾性シート部材13の内部空間側の面13aを弾性筒状部材12の外部空間側の端面12aに当接させ、当該当接部の間に導線6を挟むようにしてボルト16の雄ネジ部16aを導出部材10の雌ネジ孔10dに螺合する。
ボルト16を締め込み具合に応じて、弾性シート部材13の内部空間側の面13aと弾性筒状部材12の外部空間側の端面12aとは圧接され、導線6を挟んだ状態で密閉された状態となる。
【0038】
上記した実施例の温度測定装置は、 以下のような優れた効果を奏する。
(1)内部空間と外部空間とを区画する壁体1に装着され、内部空間の温度を測定するための熱電対2の異種の金属線を絶縁性樹脂で被覆した導線6を外部空間に導出するための導出孔11を有する導出部材10と、導出孔11の外部空間側に設けられ、弾性を有し中空筒状をした弾性筒状部材12と、弾性筒状部材12の外部空間側の端面と当接するように設けられ、弾性を有しシート状をした弾性シート部材13と、弾性シート部材13を弾性筒状部材12に対して押圧するための締付け保持手段14とを具備することにより、簡単な構成で、温度測定部である内部空間と外部空間との密封性を保持しつつ、熱電対の絶縁及び外力からの保護を図ることができる。
また、測定する温度範囲に応じて熱電対2を交換したり、測定点を増やすために熱電対2を増設したりする際には、締付け保持手段14を操作するだけで、作業を容易に行うことができる。
(2)弾性筒状部材12は、導出部材10の外部空間側の端面10bより外部空間側に突出して設けられることにより、熱電対2の導線6の外部への取出し部における取出し空間を特別な加工を行うことなく確保することができる。
(3)導出孔11は複数設けられ、複数の導出孔11には、それぞれ、弾性筒状部材12が設けられることにより、複数の導線6同士の接触を防止でき、絶縁性を確保することができる。
(4)弾性筒状部材12の材質がゴム又は樹脂であることにより、より一層、密封性を保持しつつ、熱電対の絶縁及び外力からの保護を図ることができる。
(5)弾性シート部材13は、弾性筒状部材12の外部空間側の端面12aと当接可能な大きさを有し、中心部には孔が設けられることにより、弾性筒状部材12が複数設けられでも、簡単な構成で、弾性筒状部材12の外部空間側の端面12aとの間の密閉性を確保することができる。
(6)締付け保持手段14は、弾性シート部材13の外部空間側に当接可能な金属ワッシャー15と、弾性シート部材13及び金属ワッシャー15を貫通するボルト16とから構成され、ボルト16は導出部材10に設けられた雌ネジ孔10dに螺合可能な雄ネジ部16aを備えることにより、弾性シート部材13を弾性筒状部材12の外部空間側の端面12aに確実に当接させることができ、密閉性を向上させることができる。また、締付け及び解除の操作が容易な締付け保持手段14を提供することができる。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0040】
前記実施例では、内部空間に位置する測温接点3と外部空間に位置する基準接点4及び電圧計5との間の接続が絶縁性の樹脂で被覆された導線6が壁体1を貫通するように配設されることで行われる場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されず、例えば、熱電対の金属素線が壁体1を貫通する場合にも適用可能である。
【0041】
また、前記実施例では、導出部材10について、断面形状が略T字形の中実円筒状をなし、内部に導線6を導出するための導出孔11が設けられ、外周部のネジ部10aを介して壁体1に着脱自在に固定される場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、中実円筒部材の軸方向に複数の貫通孔を設けたものでよく、要は、熱電対の線状部材を保護しつつ案内できる部材であればよい。
【符号の説明】
【0042】
1 壁体
2 熱電対
3 測温接点
4 基準接点
5 電圧計
6 導線
10 導出部材
10a ネジ部
10b 外部空間側の端面
10c 外部空間側に突出する部分
10d 雌ネジ孔
11 導出孔
11a 弾性筒状部材収容部
12 弾性筒状部材
12a 外部空間側の端面
12b 内部孔
13 弾性シート部材
13a 内部空間側の面
13b 孔
13c 外部空間側の面
14 締付け保持部材
15 金属ワッシャー
15a 孔
16 ボルト
16a 雄ネジ部

















図1
図2
図3