(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、加算平均処理を伴う心電図検査においては、ノイズ成分を確実に除去し、微小な成分を確実に検出しやすくするために、多数の心拍(例えば、200拍)の心電図信号を加算する必要があるため、加算平均処理を伴わない通常の心電図検査に比べて著しく所要時間が長い。しかも、すべての心拍の心電図信号が加算対象とされるわけではなく、加算に適した心電波形の形態が予め指定されており、その形態に類似した心電波形に相当する心拍の心電図信号のみが加算対象となる。したがって、通常の心電図検査は数10秒程度で終了させることができるのに対し、加算平均処理を伴う心電図検査では、少なくとも数分、場合によっては例えば10分以上と、非常に長時間となる場合がある。
【0006】
また、加算平均処理を実行して加算平均心電図の計測結果を得る従来の心電図検査装置では、心電図検査を終了し、加算平均処理の全てが完了して初めて、加算平均心電図の計測結果を確認することができるようになっている。そのため、例えば10分以上かけて検査を行ったとしても、加算に適した心電波形の形態に類似しない心電波形が多い場合には、加算平均処理が進行しにくい。その結果、操作者が強制的に検査を終了した場合や、検査を終了した後の計測結果が正確ではないと判断された場合には、始めから検査をやり直せねばならず、さらに数分、場合によっては10分以上の時間がかかり、検査の所要時間が著しく増大してしまう。一方、検査にエラーが生じていないか計測結果を確認しようとしてその検査を短時間のうちに終了させてしまうと、たとえエラーが生じていないとしても加算平均処理が不十分であるため、有効な計測結果を得ることができない。
【0007】
本発明の目的は、加算平均処理を伴う心電図検査における利便性を向上させることができる心電図処理装置および心電図処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の心電図処理装置は、
被検者の
、加算対象とされた心電図信号から
、それぞれ平均化されたX誘導X(i)、Y誘導Y(i)及びZ誘導Z(i)を得て、さらにこれらの誘導を式(1)により合成した合成加算平均心電図を計測する
加算平均処理を実行する心電図処理装置であって、
前記式(1)は、
であり、
前記心電図信号に対して、
前記加算平均処理を、心拍毎に、所定のテンプレートに合致する前記心電図信号を加算対象とする一方で前記所定のテンプレートに合致しない前記心電図信号を加算対象外とするように実行して、前記
合成加算平均心電図を得ると共に、前記加算平均処理において加算対象外とされた前記心電図信号の心拍数を計数する処理部と、
前記加算平均処理において得られた前記
合成加算平均心電図、及び、前記加算平均処理において加算対象外とされた前記心電図信号の心拍数を表示する表示部と、
を有する構成を採る。
【0009】
本発明の心電図処理プログラムは、
被検者の
、加算対象とされた心電図信号から
、それぞれ平均化されたX誘導X(i)、Y誘導Y(i)及びZ誘導Z(i)を得て、さらにこれらの誘導を式(1)により合成した合成加算平均心電図を計測する
加算平均処理を実行する心電図処理装置であって、
前記式(1)は、
であり、
前記心電図信号に対して、
前記加算平均処理を、心拍毎に、所定のテンプレートに合致する前記心電図信号を加算対象とする一方で前記所定のテンプレートに合致しない前記心電図信号を加算対象外とするように実行して、前記
合成加算平均心電図を得ると共に、前記加算平均処理において加算対象外とされた前記心電図信号の心拍数を計数する処理部と、
前記加算平均処理において得られた前記
合成加算平均心電図、及び、前記加算平均処理において加算対象外とされた前記心電図信号の心拍数を表示する表示部と、
を実行させるようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加算平均処理を伴う心電図検査における利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る心電図検査装置の外観を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態の心電図検査装置100は、CPU(Central Processing Unit)101等を内蔵する本体に、入力キー104、プリンター105、およびタッチパネル106を一体化した構成を有している。ただし、心電図検査装置100の構成はこれに限られず、例えば、いずれも本体とは別体として構成された入力キー104、プリンター105、およびタッチパネル106が、それぞれ接続ケーブルを介して接続された構成であってもよい。
【0014】
図2は、心電図検査装置100の構成を示すブロック図である。心電図検査装置100は、CPU101、受信インタフェース(以下「I/F」と略記する)102、記憶部103、入力キー104、プリンター105、およびタッチパネル106を有する。
【0015】
受信I/F102は、例えば標準12誘導などの心電図信号を計測する電極(図示せず)と、心電図検査装置100と、を通信可能に接続するI/Fである。電極と心電図検査装置100との間で授受される心電図信号は、受信I/F102を経由する。
【0016】
記憶部103は、ハードディスクドライブや半導体記憶装置などの記憶装置により構成される。記憶部103は、CPU101が実行した演算の結果等のデータまたはCPU101に実行させる心電図検査プログラムなどを記憶することができる。
【0017】
入力キー104は、例えば心電図検査装置100の本体上に配置されたボタンであり、ボタンが押されることで操作者による操作を受け付ける。入力キー104がボタン操作されたとき、その操作の内容に従って心電図検査装置100を動作させるための操作信号が生成され、CPU101に供給される。
【0018】
タッチパネル106は、表示機能と入力機能とを有している。タッチパネル106はCPU101により得られた表示波形データまたは演算の結果のデータなどを表示する。一方、タッチパネル106が操作者による操作を受け付けたとき、つまりタッチ操作されたとき、その操作の内容に従って心電図検査装置100を動作させるための操作信号が生成され、CPU101に供給される。
【0019】
プリンター105は、レーザ式またはサーマルヘッド式などのプリンターであればよく、CPU101により得られた表示波形データまたは演算の結果などのデータを印字する。
【0020】
なお、入力キー104またはタッチパネル106は、本発明の入力部を構成する。また、タッチパネル106またはプリンター105は、本発明の出力部を構成する。
【0021】
本発明の処理部を構成するCPU101は、心電図検査装置100内の上記各部の動作を制御する。CPU101は、心電図検査プログラムを実行することで、後述する動作の各工程を心電図検査装置100において実現させる。
【0022】
次いで、上記構成を有する心電図検査装置100において実行される動作の一例として、心室遅延電位を検出するLP(Late Potential)検査を行う場合の動作について説明する。
【0023】
心電図検査装置100の起動後、例えばメニュー画面において検査を実行するためのメニューを選択すると、例えば
図3に示すように、誘導波形を表示するための画面(誘導波形表示画面)がタッチパネル106に表示される。すなわち、被検者から計測された心電図信号が心電検査装置100に供給されると、CPU101は、その信号に基づく心電波形をリアルタイムでタッチパネル106に表示させる。
【0024】
なお、本実施の形態では、標準12誘導(特に、I誘導、aVF誘導、V1誘導、およびII誘導)の心電図信号を計測する。具体的には、I誘導心電図信号はX誘導の加算平均心電図を得るのに適しており、aVF誘導心電図信号はY誘導の加算平均心電図を得るのに適しており、V1誘導心電図信号はZ誘導の加算平均心電図を得るのに適している。II誘導心電図信号は、リズム波形を表示させるために用いられる。なお、標準12誘導を計測する代わりに、フランク誘導または双極XYZ誘導などの心電図信号を計測してもよい。
【0025】
図4は、心電図検査装置100により実行される心電図検査処理を説明するためのフローチャートである。ここでは、操作者による操作がいずれもタッチパネル106上で受け付けられる場合を例にとって説明する。なお、この心電図検査処理の実行中、心電図信号の計測は継続的に行われているものとする。
【0026】
図4に示す心電図検査処理は、操作者による開始操作が受け付けられたときに開始する。ここで、開始操作は、加算平均処理を開始させる操作である。本実施の形態では、開始操作は、2ステップの操作を含む。開始操作の第1のステップは、
図3に示す誘導波形表示画面上のフリーズボタン110のタッチ操作である。フリーズボタン110をタッチ操作すると、タッチパネル106には、
図5に示すようにテンプレート波形指定画面が表示される。この画面は、加算平均処理において加算に適した心電波形(テンプレート波形)の形態を指定するための画面である。
図5の例では、8つの(8拍分の)テンプレート波形候補が表示される。よって、開始操作の第2のステップでは、操作者はテンプレート波形指定画面上の1〜8の指定ボタン111〜118のうちいずれか1つをタッチ操作することでいずれか1つの波形をテンプレート波形として指定する。
【0027】
なお、フリーズボタン110のタッチ操作時にCPU101が自動的にテンプレート波形を指定できるよう設定されている場合には、開始操作は、フリーズボタン110のタッチ操作のみを含む1ステップの開始操作であってもよい。この場合、CPU101は、開始操作の時点から一定時間前(例えば10秒前)までの数拍分の心電波形の中から標準的な1つの波形をテンプレート波形として指定する。
【0028】
上記の開始操作が受け付けられると、CPU101は、心電図信号に対する加算平均処理を開始する(ステップS1)。加算平均処理では、順次計測される心電図信号から、テンプレート波形に類似した波形形態をもつ心拍の心電図信号を抽出し、抽出した心電図信号を誘導ごとに平均化することで、誘導ごとの加算平均心電図を得る。本実施の形態では、I誘導、aVF誘導およびV1誘導の心電図信号からそれぞれ得た加算平均心電図が、X誘導、Y誘導およびZ誘導の加算平均心電図となる。
【0029】
上記3誘導の加算平均心電図が得られると、CPU101は、これらの加算平均心電図を例えば以下の式により合成することにより、合成加算平均心電図を得る。
【数1】
【0030】
このようにしてCPU101は、被検者の心電図信号に対して加算平均処理を行うことにより、加算平均心電図(本実施の形態では合成加算平均心電図)を得る。なお、テンプレート波形に類似した波形形態をもつ心拍の心電図信号抽出、誘導ごとの加算平均心電図を得ること、および合成加算平均心電図を得ることは、最新の心拍の心電図信号が計測されるたびに行われる。
【0031】
また、開始操作が受け付けられると、タッチパネル106には、
図6に示すように、合成加算平均心電図を表す波形(マグニチュード波形)を表示するための画面(マグニチュード波形表示画面)が表示される。この画面には、上記3誘導のテンプレート波形が画面領域Aに表示され、最新のマグニチュード波形が画面領域Bに表示され、加算平均情報が画面領域Cに表示される。
【0032】
ここで、画面領域Bには2つのマグニチュード波形が表示されている。上側に表示されるマグニチュード波形は、Backwardフィルタリング処理がされた波形であり、下側に表示されるマグニチュード波形は、Forwardフィルタリング処理がされた波形である。Backwardフィルタリング処理およびForwardフィルタリング処理はいずれも、マグニチュード波形において微小な遅延電位が存在する場合にその遅延電位を顕在化させることができるフィルタリング処理であるが、前者は、波形データに対するフィルタリング処理を時間軸の逆方向で適用するものであり、後者は、波形データに対するフィルタリング処理を時間軸の順方向で適用するものである。
【0033】
また、画面領域Cに表示される加算平均情報としては、心電図信号を加算する心拍数の目標値(
図6の例では「200」)、および開始操作の受け付けから現時点までで加算された(つまりテンプレート波形に類似した波形形態に相当する)心電図信号の心拍数(
図6の例では「52」)が含まれる。そのほかにも、開始操作の受け付けから現時点までで加算されなかった(つまりテンプレート波形に類似していない波形形態に相当する)心電図信号の心拍数(
図6の例では「10」)、および開始操作の受け付けから現時点までの総心拍数(
図6の例では「62」)も含まれる。この加算平均情報の表示により、加算平均処理の進捗状況を確認することができる。
【0034】
次に、CPU101は操作者による一時停止操作が行われたかを判断する(ステップS2)。ここで、一時停止操作は、加算平均処理を一時停止させる操作である。本実施の形態では、一時停止操作は、マグニチュード波形表示画面に表示された一時停止ボタン119をタッチ操作することで受け付けられる。一時停止操作が行われた場合には(ステップS2:Yes)、CPU101は加算平均処理を一時停止する(ステップS4)。一方、一時停止操作が行われない場合には(ステップS2:No)、CPU101は操作者による停止操作が行われたかを判断する(ステップS10)。ここで、停止操作は、加算平均処理を停止させる操作である。本実施の形態では、停止操作は、マグニチュード波形表示画面に表示された停止ボタン120をタッチ操作することで受け付けられる。停止操作が行われた場合には(ステップS10:Yes)、CPU101は加算平均処理を停止する(ステップS11)。一方、停止操作も行われない場合には(ステップS10:No)、CPU101は加算平均処理を継続する(ステップS3)。
【0035】
CPU101は、ステップS4で加算平均処理を一時停止した後に、開始操作の受け付け時点から一時停止操作の受け付け時点までの加算平均心電図に計測処理を行い、得られた計測結果をタッチパネル106への表示により出力する(ステップS5)。本実施の形態では、開始操作の受け付け時点から一時停止操作の受け付け時点までの期間における計測結果は、当該期間に得られたマグニチュード波形の計測値(パラメーター値)、およびその計測値と基準値との比較結果に基づく遅延電位の有無の判定結果を含む。よって、加算平均処理の一時停止中に計測結果を表示するための画面(一時停止画面)には、
図7に示すように、上記期間に得られたマグニチュード波形の計測値、およびその計測値と基準値との比較結果に基づく遅延電位の有無の判定結果が、表示される。
【0036】
計測値のパラメーターは、遅延電位に関連するものであり、具体的には以下のとおりである。
・fQRSd:Forwardフィルタリング処理後またはBackwardフィルタリング処理後のマグニチュード波形における各々のQRS波の開始時点から終了時点までの時間(単位:ms)
・c−fQRSd:Forwardフィルタリング処理後のマグニチュード波形におけるQRS波の開始時点から、Backwardフィルタリング処理後のマグニチュード波形におけるQRS波の終了時点までの時間(単位:ms)
・RMS40:Forwardフィルタリング処理後またはBackwardフィルタリング処理後のマグニチュード波形におけるQRS波の終了時点から前40msecまでの区間の各電位を、それぞれ二乗して平均化した値の平方根(単位:μV)
・LAS40:Forwardフィルタリング処理後またはBackwardフィルタリング処理後のマグニチュード波形におけるQRS波の終了時点からQRS波の開始時点に向けて、電位が40μV以下の持続時間(単位:ms)
【0037】
また、判定結果を導き出すための判定項目は、具体的には以下のとおり3項目である。右辺の数値は、個々の判定項目のために予め設定された基準値であり、予め記憶部103に記憶されているものであるが、これらは適宜変更可能である。なお、下記のRMS40およびLAS40の基準値は、Backwardフィルタリング処理後のマグニチュード波形から得られた計測値と比較するために予め設定された基準値である。
・RMS40<15.0μV
・LAS40>39msec
・c−fQRSd>105msec
【0038】
本実施の形態では、上記判定項目のうち2つ以上を満たす場合には、陽性(+)、つまり遅延電位があるという判定結果となり、そうでない場合は、陰性(−)、つまり遅延電位がない、という判定結果となる。
【0039】
なお、遅延電位についての計測値は、Forwardフィルタリング処理後のマグニチュード波形から求められてもよく、
図7から分かるようにBackwardフィルタリング処理後のマグニチュード波形から求められてもよい。
【0040】
ところで、一時停止画面には、上下それぞれのマグニチュード波形において上記計測値を得るための区分位置を表す縦線Lb1、Lb2、Lb3、Lf1、Lf2、Lf3が各マグニチュード波形に重ねて表示される。この縦線Lb1、Lb2、Lb3、Lf1、Lf2、Lf3が表示されることで、操作者はマグニチュード波形の区分位置を確認できる。なお、区分位置は、QRS波の開始時点および終了時点を検出する従来周知の方法を用いて自動検出されるが、例えば
図8に例示する区分位置調整画面において操作者の操作により個々の区分位置を手動で調整することもできる。区分位置を調整した場合、調整後の区分位置を基に新たな計測結果を得て、これを表示させることができる。
【0041】
このように、計測処理により遅延電位についての計測結果を得て、出力部であるタッチパネル106に計測結果を表示することで、操作者は一目で遅延電位の有無を確認することができる。
【0042】
次いで、CPU101は操作者による再開操作が行われたかを判断する(ステップS6)。ここで、再開操作は、加算平均処理を再開させる操作である。再開操作は、
図7に示す一時停止画面に表示された加算再開ボタン121をタッチ操作することで受け付けられる。再開操作が行われた場合には(ステップS6:Yes)、CPU101は加算平均処理を再開する(ステップS7)。
【0043】
なお、本実施の形態では、一時停止操作が行われてから再開操作が行われるまでの期間に被検者から計測された心電図信号を加算平均処理の対象から除外することが検査の信頼性を確保する観点から好ましい。その理由は以下のとおりである。加算平均処理を伴う心電図検査は、突然死や致死性心室不整脈(VF/VT)の予測をするだけではなく、ICDを埋め込む判断材料やBrugada症候群のリスク評価・診断補助などにも用いられるため、検査の信頼性を確保することが特に重要である。よって、この検査は、操作者が加算平均処理中にタッチパネル106の表示画面及び被検者の状態を常に確認できる状態で進行させることが望ましい。しかしながら、操作者、例えば検査技師は、複数の被検者に対し異なる検査作業を同時に行っていることがあり、特定の被検者のみの検査のためのタッチパネル106の表示画面及び被検者の状態を常に確認することは困難である。本実施の形態では、例えば操作者がその検査の場所から離れなければならなくなった場合に、前述の一時停止操作および再開操作を利用することで、検査場所から離れている期間に計測された心電図信号を加算させないようにすることができる。すなわち、操作者がタッチパネル106の表示画面を確認しているときに計測された心電図信号のみが加算平均処理の対象となる。そのため、加算平均処理を伴う心電図検査の信頼性を確保できる。
【0044】
一方、操作者による再開操作が行われない場合には(ステップS6:No)、CPU101は操作者による終了操作が行われたかを判断する(ステップS8)。ここで、終了操作は、加算平均処理を終了させる操作である。終了操作は、
図7に示す一時停止画面に表示された検査終了ボタン122をタッチ操作することで受け付けられる。終了操作が行われていない場合には(ステップS8:No)、心電図検査処理はステップS6に戻る。一方、終了操作が行われた場合には(ステップS8:Yes)、CPU101は、検査終了の処理として、加算平均処理の一時停止時点までの計測結果をプリンター105による記録紙への印刷によって出力する(ステップS9)。最後に、タッチパネル106の表示を誘導波形表示画面に戻して、この心電図検査処理が終了となる。なお、ステップS9での、加算平均処理の一時停止時点までの計測結果の出力方法は、記録紙への印刷に限られず、例えば計測結果のデータをハードディスクドライブ、書き込み可能な光ディスクドライブ、または不揮発性メモリ等への保存であってもよい。この場合、記録紙への印刷は、計測結果が得られた後であれば任意のタイミングで、操作者による操作に従って実行させることができるようにしてよい。
【0045】
ところで、ステップS11で加算平均処理が停止した後、CPU101は、ステップS5で説明した一時停止の場合と同様、
図7に示すように、その操作受け付け時点までの加算平均心電図に計測処理を行い、得られた計測結果を示す画面をタッチパネル106に表示させることができる(ステップS12)。
【0046】
その後、CPU101は、終了操作が行われるのを待機して(ステップS13)、ステップS9で説明した検査終了の処理を実行する。
【0047】
以上のように本実施の形態によれば、加算平均処理を完全に停止させたり終了させたりしなくても、操作者の任意のタイミングで加算平均処理を一時停止させたり再開させたりすることができる。そして、一時停止操作の受け付け時点に得られた計測結果を、一時停止操作の受け付けから再開操作の受け付けまでの期間において表示することができる。そのため、操作者は、加算平均処理の途中経過として、一時停止時点での計測結果を適宜確認することができ、また、その都度、心電図検査処理を続行(つまり加算平均処理を再開)させるか中断(つまり加算平均処理の終了)させるかを判断することができる。したがって、操作者にとっての利便性を著しく向上させることができる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。よって、上記実施の形態は、種々変更して実施可能である。