(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、外気温が前記所定温度未満である場合に、弱給気モードおよび強給気モードを含む複数段階の給気運転モードのいずれかで、前記機械給気装置の運転を行う、請求項1に記載の換気システム。
前記制御手段は、前記弱給気モードで前記機械給気装置の運転を開始する場合に、前記強給気モードに対応した第1電圧の電源を前記機械給気装置に供給した後で、前記弱給気モードに対応した第2電圧の電源を前記機械給気装置に供給する、請求項6〜9のいずれかに記載の換気システム。
前記障壁部としての前記仕切り部材には、前記収納空間に取り入れられた外気を前記居住空間に送り込むための室内給気口が設けられている、請求項11に記載の換気システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第三種換気システムは、第一種換気システムよりも、コスト(イニシャルコストおよびランニングコスト)面において有利である一方で、建物の上階(2階以上)においては、重力換気による給気が望み難い。このような問題に対処するために、特許文献1では、上述のように、建物の1階部分を第三種換気方式、2階部分を第一種換気方式とする複合型換気システムが提案されている。しかしながら、ランニングコストや省エネルギー化の観点などから、上階においてもできるだけ自然給気によって換気することが望ましい。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数階建ての建物においても、自然給気を基本としつつ、一年を通じて適切に屋内の換気を行うことのできる換気システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面に従う換気システムは、複数階建ての建物における換気システムであって、給気開口部と、ハイブリッド給気ユニットとを備える。給気開口部は、建物の1階の居室に設けられ、居室内に外気を自然給気する。ハイブリッド給気ユニットは、建物の上階の居室に位置する給気口から外気を居室内に強制的に送り込むための機械給気装置を含み、暖期に自然給気を行い、寒期にのみ前記機械給気装置による機械給気を行う。
【0009】
好ましくは、換気システムは、外気温を検知するための外気温センサと、外気温センサにより検知された外気温が所定の温度以上であれば機械給気装置を停止し、外気温が所定の温度未満である場合に機械給気装置を運転する制御手段とをさらに備える。
【0010】
好ましくは、ハイブリッド給気ユニットの給気口は、上階の居室の天井に設けられている。
【0011】
居室には、人体に対する給気風を遮るための障壁部が設けられていてもよい。
【0012】
換気システムは、上階の他の居室の床面または壁面下部に位置する給気口から、外気を自然給気するための自然給気ユニットをさらに備えていてもよい。この場合、障壁部は、他の居室に設けられていることが望ましい。
【0013】
好ましくは、制御手段は、外気温が所定温度未満である場合に、弱給気モードおよび強給気モードを含む複数段階の給気運転モードのいずれかで、機械給気装置の運転を行う。
【0014】
換気システムは、上階の非居室に設けられた吸い込み口から強制的に空気を吸い込んで排気するための機械排気装置を含む、排気ユニットをさらに備え、制御手段は、排気ユニット内に設けられていることが望ましい。
【0015】
好ましくは、換気システムは、ユーザからの指示を入力するための操作手段をさらに備えている。この場合、制御手段は、操作手段を介したユーザからの指示に応じて、弱排気モードと強排気モードとを含む複数段階の排気運転モードのいずれかで機械排気装置を運転するとともに、外気温が所定温度未満の場合に、機械排気装置の排気運転モードと連動した給気運転モードで、機械給気装置を運転することが望ましい。
【0016】
好ましくは、換気システムは、建物の室内の温度を検知するための室温センサをさらに備えている。この場合、制御手段は、室温センサにより検知された室温が一定温度以上の場合に、機械排気装置を急速排気モードで運転してもよい。
【0017】
好ましくは、制御手段は、弱給気モードで機械給気装置の運転を開始する場合に、強給気モードに対応した第1電圧の電源を機械給気装置に供給した後で、弱給気モードに対応した第2電圧の電源を機械給気装置に供給する。
【0018】
この発明の他の局面に従う換気システムは、複数階建ての建物における換気システムであって、給気開口部と、給気ユニットと、障壁部とを備える。給気開口部は、建物の1階の居室に設けられ、居室内に外気を自然給気する。給気ユニットは、建物の上階の居室の床面または壁面下部に設けられた給気口から、外気を自然給気する。障壁部は、上階の居室に設けられ、給気ユニットの給気口からの給気風を遮る。
【0019】
好ましくは、障壁部は、給気ユニットの給気口から取り入れた外気を貯留するための貯留空間を形成するものであり、障壁部は、貯留空間の空気を居室内に送り込むための室内給気口を含む。
【0020】
この発明のさらに他の局面においては、換気制御装置を提供してもよい。換気制御装置は、暖期に自然給気を行い、寒期にのみ機械給気装置による機械給気を行うためのハイブリッド給気ユニットと、常時、機械排気装置による機械排気を行うための排気ユニットと、外気温を検知するための外気温センサとを備えた換気システムにおいて、機械給気装置および機械排気装置の運転を制御するための制御装置である。換気制御装置は、外気温センサにより検知された外気温が所定温度以上であれば、弱排気モードと強排気モードとを含む複数段階の排気運転モードのいずれかで機械排気装置を運転する排気制御手段と、外気温センサにより検知された外気温が所定温度未満である場合に、機械排気装置の排気運転モードと連動した給気運転モードで、機械給気装置を運転する連動制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数階建ての建物においても、自然給気を基本としつつ、一年を通じて適切に屋内の換気を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0024】
<実施の形態1>
(概要について)
本発明の実施の形態1に係る換気システムは、第三種換気方式をベースとしている。はじめに、
図5および
図6を参照しながら、一般的な第三種換気方式を採用した建物100における空気の流れについて、簡単に説明する。
【0025】
建物100は、たとえば2階建てであり、1階に居室111および非居室112、2階(上階)に居室121および非居室122,123を有している。建物100の1階には、居室111に給気開口部21が設けられ、非居室112に排気ファン(機械排気装置)22が設けられている。2階にも同様に、居室121に給気開口部300が設けられ、非居室123に排気ファン400が設けられている。各給気開口部21,300は、建物100の外壁を貫通するように設けられており、外気を取り入れて居室111,121内に自然給気する。給気開口部21,300は、一般的に居室111,121を構成する壁体(外壁)の上部に設けられている。
【0026】
このような第三種換気システムでは、排気ファン22,400を常時作動させ、室内側を負圧とすることで、理想的には、各階の居室111,121に外気が自然給気される。また、
図5の矢印F1,F2で示すように、居室111,121内の空気はそれぞれ非居室112,122へと流動し、非居室112,122から機械排気される。
【0027】
建物100において、排気ファン22,400の作動によって壁体にかかる圧力は、
図6(B)に示されるように、季節を問わず1階も2階も等しい。一方で、内外温度差は季節によって異なるため、季節によって壁体にかかる圧力も異なる。
図6(A)に示されるように、冬期においては、建物100の1階部分では下方へいくほど屋内側へ大きな圧力がかかり、2階部分では上方へいくほど屋外側へ圧力がかかっている。
【0028】
冬期に壁体にかかる圧力は、
図6(A)に示す圧力と
図6(B)に示す圧力との合成である。したがって、冬期には、公知の建物100の2階においては、
図5の矢印F3で示すように、非居室122の空気が居室121へ逆流する現象が発生する。このような場合、給気開口部300から2階居室121に新鮮な外気が供給され難い。
【0029】
これに対し、本実施の形態に係る換気システムでは、第三種換気方式のように自然給気をベースとしつつ、冬期の2階居室121にも新鮮な外気を供給可能としている。
図1には、本実施の形態に係る建物1の換気システムが模式的に示されている。
図1を参照して、建物1自体の基本的な構造は、
図5に示した公知の建物100と同様である。つまり、建物1は、1階に居室111および非居室112、2階(上階)に居室121および非居室122,123を有している。2階の非居室122はたとえば廊下であり、1階の非居室112および2階の非居室123はたとえばトイレである。
【0030】
図1に示されるように、建物1の1階の換気には、公知の建物100と同様に、居室111に設けられた給気開口部21と、非居室112に設けられた排気ファン22とが用いられる。建物1の1階は、第三種換気方式であっても、一年を通じて適切に換気が行えるからである。給気開口部21は、たとえばサッシ113の上部に設けられている。
【0031】
なお、給気開口部21の開度は、たとえば特開2000−356384号公報(特許文献1)に示されるように、屋内外の温度差によって調整されてもよい。この場合、給気開口部21の開度は、屋内外の温度差が大きい冬期に小さくなり、屋内外の温度差の小さい夏期や中間期に大きくなるように、調整される。
【0032】
これに対し、建物1の2階の換気には、ハイブリッド給気ユニット3と、排気ユニット4とが用いられる。ハイブリッド給気ユニット3は、2階に複数の居室121がある場合、典型的には居室121ごとに設けられる。排気ユニット4は、たとえば親子換気扇により実現され、複数の非居室122,123に対して1つ設けられる。
【0033】
ハイブリッド給気ユニット3は、外気を吸い込むための吸い込み口31と、居室121に位置する給気口32と、これらを連結する通気管33と、給気口32から外気を居室121内に強制的に送り込むための給気ファン(機械給気装置)34とを含む。ハイブリッド給気ユニット3は、居室121の天井裏空間、すなわち屋根裏空間130に設けられている。この場合、吸い込み口31は、たとえば居室121近くの軒裏天井部に位置し、給気口32は、居室121の天井に位置している。給気ファン34は、たとえば給気口32付近に設けられている。給気口32は、居室121の天井に設けられるため、窓124の位置や大きさに依存しない。
【0034】
排気ユニット4は、本体部(筐体)40に排気ファン44(
図1において不図示)を内蔵し、非居室122,123それぞれに位置する複数の吸い込み口41a,41bを有している。排気ユニット4は、排気ファン44が駆動されることによって、吸い込み口41a,41bから空気を吸い込み、吸い込まれた空気を排気口42から機械排気する。排気口42は、たとえば、非居室123近くの軒裏天井部に設けられている。
【0035】
排気ユニット4の本体部40は、屋根裏空間130であって、非居室122の天井裏空間に設けられている。そのため、非居室123の天井に位置する吸い込み口41bは、副吸い込み口として機能している。排気ユニット4は、吸い込み口41bと本体部40とを連結する通気管43aと、本体部40と排気口42とを連結する通気管43bとをさらに含む。
【0036】
排気ユニット4は、1階の排気ファン22と同様に、常時作動される。これに対し、ハイブリッド給気ユニット3は、季節に応じて、自然給気と機械給気とのいずれかを選択的に行う。具体的には、ハイブリッド給気ユニット3は、暖期に自然給気を行い、寒期にのみ機械給気を行う。なお、「寒期」とは、屋外が寒い時期を表わし、少なくとも冬期を含む。「暖期」とは、屋外が暖かいまたは暑い時期を表わし、夏期を含む。中間期である春および秋は、「寒期」に含まれてもよい。
【0037】
排気ユニット4の制御は、制御装置5によって行われる。制御装置5は、複数段階の運転強度のうちのいずれかで排気ファン44を運転する。
図1では、制御装置5は、屋根裏空間130内であって本体部40近傍に設けられた例が示されているが、本体部40内に設けられていてもよい。本実施の形態では、排気ユニット4を制御する制御装置5によって、ハイブリッド給気ユニット3の制御も行われる。つまり、制御装置5は、建物1の2階部分の換気を行うために、給気ファン34および排気ファン44の運転を制御する換気制御装置として機能する。ハイブリッド給気ユニット3および制御装置5(排気ユニット4)は、屋根裏空間130に設けられるため、給気ファン34と制御装置5とをケーブルによって接続することができる。
【0038】
以下に、本実施の形態に係る換気システムの機能構成および動作について、詳細に説明する。
【0039】
(機能構成および動作について)
図2は、本実施の形態に係る換気システムの機能構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る換気システムは、上記構成に加え、室温センサ61、外気温センサ62および操作部63をさらに含む。
【0040】
室温センサ61は、室温(屋内の温度)を検知する。室温センサ61は、
図1に示されるように、たとえば、本体部40の吸い込み口41a近傍、または、非居室122の天井に設けられる。外気温センサ62は、外気温を検知する。外気温センサ62は、
図1に示されるように、たとえば屋根裏空間130の本体部40に設けられ、屋根裏空間130の温度を外気温として検知する。屋外の実際の温度と屋根裏空間130の温度とは相関があることが、実験により判明しているためである。操作部63は、ユーザから、排気ユニット4に関する指示の入力を受け付ける。操作部63は、たとえば2階の非居室122の壁面に設けられている。
【0041】
制御装置5は、これら室温センサ61、外気温センサ62および操作部63と、有線または無線にて接続されている。制御装置5は、各種演算および処理を行う制御部51と、各種データおよびプログラムを記憶する記憶部52と、計時動作を行う計時部53とを含む。制御部51は、たとえばCPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置により実現される。記憶部52には、排気ファン44の駆動を制御するためのプログラム、および、給気ファン34の駆動を制御するためのプログラムが予め記憶されている。記憶部52は、たとえばフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置により実現される。計時部53は、制御部51からの指示に応じて時間を計測するタイマである。なお、計時部53は、常に日時を計測するクロックであってもよい。
【0042】
上述のように、制御装置5は、排気ユニット4を制御するとともに、居室121ごとに設けられたハイブリッド給気ユニット3を制御する。そのため、制御部51は、その機能として、排気制御部54と、給気制御部55とを含んでいる。なお、室温センサ61および外気温センサ62からの検知信号は、デジタル信号に変換された後に、制御部51に入力される。
【0043】
排気制御部54は、排気ファン44を常時作動し、室温センサ61が検知した室温に基づいて、排気ファン44の運転状態を制御する。排気制御部54は、通常は、排気ファン44を弱運転し、室温が高温(たとえば35℃以上)の場合に、排気ファン44の運転モードを強運転に切り替える。排気制御部54は、操作部63が受け付けたユーザからの指示に応じて、排気ファン44の運転状態を制御してもよい。
【0044】
給気制御部55は、季節が寒期か否かによって、給気ファン34の運転を制御する。具体的には、外気温センサ62が検知した外気温に基づいて、給気ファン34の運転および停止を切り替える。なお、給気ファン34の運転および停止は、電源供給のオン/オフ信号を送信することによって実現されてもよいし、給気ファン34の運転信号を送信することによって実現されてもよい。
【0045】
給気制御部55が行う給気切替処理の一例について、
図3のフローチャートを参照しながら説明する。
図3に示す給気切替処理は、制御部51が記憶部52に記憶されたプログラムを読出して実行することで実現される。
図3を参照して、給気制御部55は、外気温が所定温度(たとえば20℃)未満であるか否かを判定する(ステップS2)。外気温が20℃以上であれば(ステップS2にてNO)、給気ファン34を停止する(ステップS4)。これに対し、外気温が20℃未満であれば(ステップS2にてYES)、給気ファン34を運転する(ステップS6)。なお、この給気切替処理は、所定時間(たとえば30分)ごとに実行されてよい。
【0046】
このように、外気温が20℃未満である場合にのみ、給気ファン34を運転するため、重力換気が可能な暖期には、自然給気により屋内を換気することができる。したがって、2階居室121に常時機械給気するよりも、ラニングコストを低減させることができ、省エネルギー効果も得られる。
【0047】
なお、本実施の形態では、排気制御部54および給気制御部55の機能は、1つの制御部51がソフトウェアを実行することで実現されるものとしたが、これらの機能は、それぞれ異なるハードウェアによって実現されてもよい。その場合、制御装置5を排気ユニット4専用とし、ハイブリッド給気ユニット3専用の給気制御装置(図示せず)を別途設けてもよい。さらに、このような場合には、ハイブリッド給気ユニット3ごとに給気制御装置が設けられてもよい。この場合、外気温センサ62も、ハイブリッド給気ユニット3ごとに設けられてもよい。
【0048】
なお、外気温センサ62は、屋根裏空間130に配置することとしたが、たとえば排気口42の近傍など、屋外に配置してもよい。また、外気温が20℃未満の場合に機械給気が行われることとしたが、外気温が少なくとも10℃未満である場合に機械給気が行われればよい。
【0049】
また、本実施の形態では、外気温のみによって、給気ファン34を制御したが、内外温度差によって、給気ファン34を制御してもよい。この場合、排気ファン44の制御に用いられる室温センサ61を利用して、内外温度差を検出してもよい。たとえば、内外温度差が所定値(たとえば5℃)以上である場合に、寒期として判断してもよい。
【0050】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2に係る換気システムについて説明する。本実施の形態においても、建物の基本構造は実施の形態1と同様である。したがって、ここでは、実施の形態1と異なる点のみ詳細に説明する。
【0051】
図4には、本実施の形態に係る建物1Aの換気システムが模式的に示されている。
図4を参照して、建物1Aにおいては、実施の形態1のハイブリッド給気ユニット3に代えて、自然給気ユニット3Aが設けられている。自然給気ユニット3Aは、
図1に示した給気ファン34を含まず、一年を通じて自然給気を行う。本実施の形態では、1階および2階ともに、第三種換気方式が採用されているため、制御装置5Aは、排気ユニット4の制御のみを行う。
【0052】
自然給気ユニット3Aは、建物1Aの2階居室121の床下に設けられ、給気口32は、居室121の床面に位置している。
図6(A)に示したように、2階居室121の壁体において屋外側へかかる圧力は、床面付近が最も小さい。そのため、2階の床下に自然給気ユニット3Aを設けることで、一年を通して自然給気が行えるようにしている。
【0053】
ただし、居室121の床面から空気が供給される場合、人体に直接、冷たい空気が当たってしまう。そのため、本実施の形態では、居室121内に、人体に対する給気風を遮るための障壁部7が設けられている。障壁部7は、給気口32から居室121に取り入れた外気を貯留するための貯留空間を形成するものであり、本実施の形態では、収納空間121aを形成している。つまり、給気口32は、居室121の収納空間121a内における床面に設けられている。この場合、障壁部7は、主に、収納空間121aと居室121内の居住空間とを仕切る仕切り部材として形成される。
【0054】
障壁部7は、収納空間121aの空気を居住空間に送り込むための室内給気口70を含んでいる。室内給気口70は、障壁部7を貫通する貫通穴であってもよいし、仕切り部材と居室121を構成する構造体(床、天井または壁体)との間の隙間であってもよい。
【0055】
このように、収納空間121aに給気口32を設けることで、冷たい空気が一旦、収納空間121a内に拡散された後で、居室121の居住空間に給気される。そのため、居住空間にいる居住者の冬期における冷感を防止することができる。また、収納空間121a内の乾燥を促進することもできる。
【0056】
なお、本実施の形態では、自然給気ユニット3Aを2階床下に設け、収納空間121aの床面に給気口32を設置することで、内外温度差により居室121内の空気が外に出ようとする力を抑えるようにした。しかし、給気口32の位置は、居室121の低位置であればよく、たとえば壁面下部に設けられてもよい。この場合、自然給気ユニット3Aの通気管33は居室121の壁体を貫通するように設けられていてもよい。
【0057】
また、実施の形態1において、1階居室111の給気開口部21の開度調整について述べたが、自然給気ユニット3Aの吸い込み口31あるいは給気口32についても、開度調整が行われてもよい。この場合、2階居室121の開口の開度の方が、1階居室111の給気開口部21の開度よりも大きくなるように調整されることが望ましい。
【0058】
なお、実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせてもよい。つまり、同じ建物内の2階において、ある居室にはハイブリッド給気ユニット3を設け、他の居室には給気ユニット3Aを設けてもよい。
【0059】
また、実施の形態1に示した建物1においても、障壁部7を設けてもよい。つまり、ハイブリッド給気ユニット3の給気口32を、たとえば収納空間内の天井に配置してもよい。あるいは、いずれの実施形態においても、障壁部7は、収納空間121aの仕切り部材を構成するものでなくてもよい。
【0060】
また、実施の形態1では、ハイブリッド給気ユニット3は、外気温に応じてON/OFFが切り替えられるのみであったが、ハイブリッド給気ユニット3も、排気ユニット4と同様に、ON状態の場合には、複数段階の運転強度のいずれかで運転されることとしてもよい。このような換気システムを、実施の形態3として以下に説明する。
【0061】
<実施の形態3>
本実施の形態に係る換気システムの基本構成は、
図1に示した実施の形態1の換気システムと同様である。したがって、ここでも
図1を参照しながら、実施の形態1と異なる点のみ詳細に説明する。なお、本実施の形態では、制御装置5が、排気ユニット4内に設けられており、各ハイブリッド給気ユニット3は、排気ユニット4と電気的に接続されているものとする。
【0062】
制御装置5の制御部51は、常時、排気ファン44を弱運転または強運転するとともに、必要な場合にのみ、給気ファン34を弱運転または強運転する。すなわち、排気ファン44の運転モード(以下「排気運転モード」という)には、弱排気モードおよび強排気モードが含まれ、給気ファン34の運転モード(以下「給気運転モード」という)には、弱給気モードおよび強給気モードが含まれる。なお、排気ファン44の排気運転モードは、操作部63を介したユーザからの指示に応じて切替えられるものとする。
【0063】
図7は、本発明の実施の形態3に係る換気システムの機能構成を示す図である。
図7を参照して、排気ユニット4の制御装置5には、商用電源と電気的に接続された電源供給部57が含まれている。電源供給部57は、排気ユニット4の電源がON状態の場合に、排気ユニット4内の各部に電源を供給する。また、制御部51からの信号に基づき、給気ファン34を運転する必要がある場合にのみ、ハイブリッド給気ユニット3に電源を供給する。本実施の形態に係る換気システムの電源供給イメージが、
図8に模式的に示されている。
【0064】
電源供給部57は、たとえば、強給気モードで給気ファン34を運転する際に必要な電圧(以下「電圧A」という)を発生するための高電圧発生部と、電圧Aよりも低く、弱給気モードで給気ファン34を運転する際に必要な電圧(以下「電圧B」という)を発生するための低電圧発生部とを有している。
【0065】
排気ユニット4内の制御部51は、電源供給部57を介して、給気運転モードに応じた電圧(電圧Aまたは電圧B)を、各ハイブリッド給気ユニット3の給気ファン34に印加して電源を供給する制御を行う。より具体的には、給気ファン34は、モータと、モータにより駆動されるファンとを含み、モータに電源が供給されることで、ファンが回転する。電圧Aの電源が給気ファン34に供給されると、ファンは高速回転し、電圧Bの電源が給気ファン34に供給されると、ファンは低速回転する。なお、排気ファン44も、モータと、モータにより駆動されるファンとを含むものとする。
【0066】
図7に示されるように、本実施の形態における制御部51は、実施の形態1で示した排気制御部54および給気制御部55に代えて、排気制御部54Aおよび連動制御部56を含んでいる。
【0067】
排気制御部54は、外気温が20℃以上の場合に作動し、排気ファン44の運転のみを制御する。具体的には、ユーザからの指示に応じた排気運転モード(弱排気モードまたは強排気モード)で、排気ファン44を運転する。
【0068】
連動制御部56は、外気温が20℃未満の場合に作動し、排気ファン44と給気ファン34とを連動制御する。具体的には、ユーザからの指示に応じた排気運転モード(弱排気モードまたは強排気モード)で、排気ファン44を運転するとともに、排気ファン44の排気運転モードと連動した給気運転モード(弱給気モードまたは強給気モード)で、給気ファン34を運転する。
【0069】
ここで、停止状態の給気ファン34を弱給気モードで運転させる場合、強給気モードよりも給気ファン34の回転数が少ないため、起動トルクが不足する。そのため、連動制御部56は、給気ファン34の状態を停止状態から弱給気モードに移行させる際には、一旦電圧を上げて給気ファン34を高速回転させ、その後、電圧を下げて低速回転に落ち着かせる制御を行う。
【0070】
以下に、本実施の形態において、排気ユニット4の制御部51により実行される、建物1の2階部分の換気処理について、具体的に説明する。
【0071】
図9は、本発明の実施の形態3に係る換気処理を示すフローチャートである。
図9に示す換気処理は、制御部51が記憶部52に記憶されたプログラムを読出して実行することで実現される。また、この換気処理は、操作部63の操作により、排気ユニット4の電源が投入された場合に開始される。排気ユニット4の電源投入時には、排気ユニット4の運転強度(排気運転モード)がユーザより選択されているものとする。排気ユニット4の運転強度を示す情報は、たとえば記憶部52に一時記憶される。
【0072】
図9を参照して、制御部51は、はじめに、外気温が20℃未満であるか否かを判定する(ステップS11)。外気温が20℃以上であれば(ステップS2にてNO)、ステップS12に進み、排気制御部54Aによる排気ファン44の運転制御のみが行われる。一方、外気温が20℃未満であれば(ステップS2にてYES)、ステップS21に進み、連動制御部56による排気ファン44および給気ファン34の連動制御が行われる。
【0073】
ステップS12では、排気制御部54Aは、排気ファン44の運転強度の選択状況を判断する。排気制御部54Aは、「強」が選択されていれば、排気ファン44を強排気モードで運転し(ステップS13)、「弱」が選択されていれば、排気ファン44を弱排気モードで運転する(ステップS14)。各運転は一定時間(たとえば10分)継続された後(ステップS32)、S11に戻り、外気温の判断が再度行われる。
【0074】
ステップS21においても、まず、連動制御部56は、排気ファン44の運転強度の選択状況を判断する。連動制御部56は、「強」が選択されていれば、排気ファン44を強排気モードで運転する(ステップS22)。また、ハイブリッド給気ユニット3の給気運転モードは強給気モードであると判断する(ステップS23)。この場合、強給気モードに対応した電圧Aの電源を、各給気ファン34に供給する(ステップS24)。これにより、各給気ファン34は高速回転し、強給気モードで運転を開始する。
【0075】
これに対し、「弱」が選択されていれば、連動制御部56は、排気ファン44を弱排気モードで運転し(ステップS25)、ハイブリッド給気ユニット3の給気運転モードは弱給気モードであると判断する(ステップS26)。この場合、連動制御部56は、まず、強給気モードに対応した電圧Aの電源を給気ファン34に供給する(ステップS27)。電圧Aの電源の供給は一定時間(たとえば10秒)継続される。その後、連動制御部56は、電源電圧を電圧Aから電圧Bに切り替え、弱給気モードに対応した電圧Bの電源を給気ファン34に供給する(ステップS28)。
【0076】
各運転は一定時間(たとえば10分)継続された後(ステップS29)、連動制御部56は、再び、外気温が20℃未満であるか否かを判断する(ステップS30)。外気温が20℃以上となるまで、給気ファン34と排気ファン44との連動運転が継続される(ステップS30にてYES)。
【0077】
給気ファン34と排気ファン44との連動運転中に、外気温が20℃以上となった場合には(ステップS30にてNO)、連動制御部56は、給気ファン34への電源供給を停止する(ステップS31)。その後、一定時間が経過すると(ステップ32)、ステップS11に戻り、上記処理を繰り返す。
【0078】
なお、給気ファン34と排気ファン44との連動運転中に、ユーザより運転モードが変更された場合には、ステップ11に戻り、上記処理が繰り返されてもよい。ただし、給気ファン34の給気運転モードが強給気モードから弱給気モードに切り替えられる場合には、ステップS27の処理(電圧Aの印加)をスキップしてもよい。
【0079】
本実施の形態によれば、給気ファン34は、排気ファン44の排気運転モードと連動した給気運転モードで運転されるため、建物1の上階の換気を良好に行うことができる。また、排気ユニット4の制御部51において、ハイブリッド給気ユニット3への電源供給および給気ファン34の運転制御が行われるため、ハイブリッド給気ユニット3の構成を簡易にすることができる。
【0080】
また、弱給気モードで給気ファン34の運転を開始する場合には、給気ファン34の電源電圧は、一定時間、強給気モードに対応した電圧Aとしてから、弱給気モードに対応した電圧Bに切り替えられる。そのため、給気ファン34を低速回転させる場合でも、遅れることなく適切に機械給気を開始することができる。
【0081】
なお、本実施の形態では、排気ファン44の排気運転モードの判断に室温を利用しないため、
図7に示した換気システムの機能構成に、室温センサ61が含まれなくてもよい。
【0082】
(変形例)
実施の形態3では、排気ファン44は、ユーザからの指示に基づき、弱排気モードおよび強排気モードのいずれかで運転されることとしたが、本変形例では、夏期の室温上昇時など室温が高温の場合には、強排気モードよりも回転数の多い「急速排気モード」で運転される。なお、室温センサ61は、排気ユニット4への吸い込み空気の温度を検出するように、排気ユニット4内に設けられてもよい。
【0083】
以下に、本実施の形態の変形例において、排気ユニット4の制御部51により実行される、建物1の2階部分の換気処理について、具体的に説明する。
【0084】
図10は、本発明の実施の形態3の変形例に係る換気処理を示すフローチャートである。
図10では、
図9に示した換気処理と同じ処理については同じステップ番号を付してある。したがって、それらについての説明は繰り返さない。
【0085】
図10を参照して、本変形例では、ステップS11において外気温が20℃以上と判断された場合に(ステップS11においてNO)、排気制御部54Aにおいて実行される処理(ステップS41〜S43)が追加されている。
【0086】
まず、排気制御部54Aは、ステップS41において、排気運転モードの決定方法についての選択状況を判断する。すなわち、排気運転モードの決定方法として、自動と手動とのいずれが選択されているかを判断する。排気運転モードの決定方法は、換気処理の開始時にユーザにより選択される。なお、ここでの「自動」は、全ての排気運転モード(弱排気モード、強排気モード、急速排気モード)を自動で決定することを意図しておらず、急速排気モードのみ自動で決定することを意図している。
【0087】
手動決定が選択されている場合(ステップS41にて「手動」)、ステップS12に進み、実施の形態3と同様の処理が行われる。これに対し、自動決定が選択されている場合には(ステップS41にて「自動」)、ステップS42において、室温が高温(たとえば35℃以上)であるか否かが判断される。排気制御部54Aは、室温が高温であると判断した場合(ステップS42にてYES)、ステップS43に進み、排気ファン44を急速排気モードで運転する。その後、上記ステップS32に進む。一方、室温が高温でないと判断した場合には(ステップS42にてNO)、ステップS12に進み、実施の形態3と同様の処理を実行する。
【0088】
このように、本変形例では、高温時には、ユーザの運転強度の選択状況に関わらず、排気ファン44を急速排気運転することができる。したがって、建物1の上階に熱気が滞留してしまうことを防止することができる。
【0089】
なお、本実施の形態およびその変形例では、排気ファン44の強排気モードおよび弱排気モードは手動により定められることとしたが、これらについても自動で決定されてもよい。その場合、外気温と室温との組み合わせによって、排気運転モードが決定されてもよい。
【0090】
また、本実施の形態では、給気ファン34および排気ファン44ともに、基本的に弱運転および強運転のいずれかを行うこととしたが、中運転など他の運転モードを追加してもよい。
【0091】
また、本実施の形態では、制御装置5は、排気ユニット4内に設けられることとしたが、排気ユニット4とは別に、単独の換気制御装置として設けられてもよい。この場合、排気ユニット4の電源投入時に、排気ファン44を弱排気モードで運転する場合には、給気ファン34と同様に、一旦、強排気モードに対応した電圧の電源を供給した後で、弱排気モードに対応した電圧の電源を供給してもよい。
【0092】
また、本実施の形態およびその変形例では、排気ファン44と給気ファン34とが連動運転されることとしたが、これらは連動していなくてもよい。この場合、給気ファン34の給気運転モードが、ユーザにより直接選択されてもよい。また、ハイブリッド給気ユニット3専用の制御装置(給気制御装置)によって、建物1の上階の給気が制御されてもよい。
【0093】
また、実施の形態3およびその変形例で示した制御装置5により実行される換気方法は、建物1の1階にハイブリッド給気ユニット3および排気ユニット4が配置される場合にも適用できる。
【0094】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。