(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態に係る表皮材は、車両内装用表皮材、特には、表皮材を成形加工して使用する車両のインストルメントパネル用又はドア用に好適な表皮材であり、少なくとも多孔質断熱層と着色層とを順次積層した表皮材であって、表皮材の150℃条件下における50%伸長時の抗張力が0.20〜12.00N/cmであることを特徴とするものである。
【0011】
本実施形態の表皮材は、その150℃条件下における50%伸長時の抗張力が0.20〜12.00N/cmであることが肝要であり、該抗張力は0.20〜6.00N/cmであることが好ましく、より好ましくは0.30〜3.50N/cmである。このような伸び特性を持つことにより、インストルメントパネルやドアに配設するに際し、表皮材を真空成形等の熱成形により成形加工するときに、複雑な立体形状を持つ成形型に表皮材が追従しやすく、加工品表面に表皮材の皺や歪みが残留するのを抑制することができるので、貼り映えのよい表皮材とすることができる。
【0012】
上記抗張力は、150℃条件下における表皮材の50%伸張時の単位幅(1cm)当たりの引張力であり、次のように測定される。
【0013】
測定に使用される装置として、表皮材の試験片を150℃に温度調整しながら測定が可能な引張試験機(島津製作所製「島津オートグラフAG−IS」)を用いる。表皮材を幅30mm、長さ150mmにカットして試験片とし、引張試験機のつかみ間隔を100mmに調整して試験片を固定し、150℃の測定環境下、つかみ幅30mm、引張速度100mm/minにて引張試験を行う。つかみ間隔が150mmになった時点の引張力(N)を測定値とし、試験片の幅(0.3cm)で割ることにより、50%伸長時の抗張力(N/cm)を算出する。
【0014】
図1は、一実施形態に係る表皮材1の断面構造を模式的に示したものである。この表皮材1は、多孔質断熱層2と、該多孔質断熱層2上に積層された着色層3と、を備えてなる。図示の例では、着色層3の上に保護層4が積層されており、表皮材1のオモテ面5に凹凸(すなわち、でこぼこ模様)が設けられている。但し、
図2のような基材を有しない態様である。
【0015】
図2は、他の実施形態に係る表皮材1Aの断面構造を模式的に示したものである。この表皮材1Aでは、多孔質断熱層2の裏面(着色層3と反対の面)に基材6が積層されている。すなわち、表皮材1Aは、基材6の一方の面に、多孔質断熱層2および着色層3が順に積層されている。図示の例では、着色層3の上に保護層4積層され、表皮材1Aのオモテ面5に凹凸が設けられている。
【0016】
本実施形態における多孔質断熱層は、多数の閉塞孔(すなわち、貫通していない閉じた孔)を有している断熱層である。多孔質であることにより、熱が伝わりにくくなり、表皮材が外気温による影響を受けにくく、接触冷温感の低い表皮材とすることができる。
【0017】
多孔質断熱層は、その軟化温度が110〜250℃であることが好ましく、より好ましくは130〜220℃であり、更に好ましくは130〜180℃である。多孔質断熱層がこのような軟化温度を持つことにより、150℃条件下における50%伸長時の抗張力を上記の範囲内に設定しやすく、表皮材を成形加工するときに複雑な立体形状への追従性を向上することができる。また、多孔質断熱層の軟化温度が110℃以上であることにより、成形加工時に高温に曝された場合でも閉塞孔の潰れを防ぐことができるので、接触冷温感の保持効果(成形前の低い接触冷温感を、成形後にも保持する効果)を高めることができ、外観の変形を抑えることができる。軟化温度が250℃以下であることにより、得られる表皮材の風合いや耐屈曲性を良好なものとすることができる。
【0018】
多孔質断熱層の軟化温度は、JIS K7196に準拠した方法により測定される。後記の実施例では、試験機として熱機械的分析装置(型式EXSTAR TMA−SS6100、日立ハイテクサイエンス株式会社製)を用い、圧子として形状が針入プローブ、針先直径が1.0mmのものを使用した。
【0019】
多孔質断熱層における閉塞孔の形状は、特に限定されず不定形状であってもよいが、表皮材の成形加工時の高温処理によって閉塞孔の膨張や収縮による形状変化がしにくいという観点から真球状であることが好ましい。また、閉塞孔の大きさは、特に限定されず、例えば、閉塞孔の長径が10〜200μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは15〜100μmの範囲である。長径が10μm以上であることにより、接触冷温感の効果を高めることができる。また、長径が200μm以下であることにより、成形加工時の高温処理による多孔質断熱層の閉塞孔の形状の安定性を確保することができる。
【0020】
多孔質断熱層の閉塞孔面積率、すなわち、多孔質断熱層の垂直断面における閉塞孔の占める割合は、特に限定されず、例えば75〜95%であることが好ましく、より好ましくは80〜90%である。閉塞孔面積率が75%以上であることにより、接触冷温感の効果を高めることができる。閉塞孔面積率が95%以下であることにより、耐久性、特には、耐摩耗性や耐屈曲性、引張強度や引裂き強度が損なわれることを防ぐことができる。
【0021】
閉塞孔面積率の算出方法としては、電子顕微鏡やマイクロスコープ等による層の垂直断面の観察および画像処理等により、垂直断面の多孔質断熱層全体が占める面積に対する閉塞孔部分の面積率を求めることである。
【0022】
多孔質断熱層に多数の閉塞孔を形成する手段としては、特に限定されず公知の方法を採ることができる。例えば、機械の撹拌による物理的発泡、発泡剤添加による化学的発泡、または、中空微粒子の添加による閉塞孔形成が挙げられる。あるいはまた、ポリウレタン樹脂の湿式コーティングによる孔形成の後、その層表面を無孔質層で被覆することにより、閉塞孔を形成してもよい。好ましくは、閉塞孔の形状や大きさ、及び閉塞孔の面積比率が調整しやすいという観点から、中空微粒子の添加による閉塞孔形成がよい。すなわち、一実施形態において、多孔質断熱層は、マトリックス(即ち、母材ないし主剤)となる樹脂に中空微粒子を配合してなるものであり、多孔質断熱層中に多数の中空微粒子を含有しており、該中空微粒子により多数の閉塞孔が形成されていることが好ましい。
【0023】
中空微粒子とは、内部の微小な空隙を、各種材料からなる皮膜(外殻、外壁などと呼ばれる)で覆った球形のものをいう。なかでも熱処理しても体積膨張を起こさないものであることが好ましい。このような中空微粒子を用いることにより、製造時における多孔質断熱層の体積変動を最小限に抑え、品質のばらつきを少なくすることができるとともに、中空微粒子周辺の樹脂が引き延ばされて薄くなるのを防止し、外観や風合い、耐摩耗性を良好ならしめることができる。
【0024】
中空微粒子としては、前記条件を満足する種々のものを用いることができる。例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂または尿素樹脂などの熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂または塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂からなる外殻を有する有機系中空微粒子を挙げることができる。あるいはまた、ガラス、シラス、シリカ、アルミナまたはカーボンなどからなる外殻を有する無機系中空微粒子を挙げることもできる。また、有機系中空微粒子の表面を、炭酸カルシウム、タルクまたは酸化チタンなどの無機微粉末で被覆したものを用いることもできる。なかでも、耐熱性、耐摩耗性、強度の観点から、熱可塑性樹脂からなる外殻を有する有機系中空微粒子、または、表面を無機微粉末で被覆した有機系中空微粒子が好ましい。
【0025】
ここで、好ましく用いられる熱可塑性樹脂からなる外殻を有する中空微粒子とは、典型的には、マイクロカプセル型発泡剤をあらかじめ発泡させたものである。マイクロカプセル型発泡剤自体は、熱処理により軟化かつ膨張可能な熱可塑性樹脂からなる外殻中に、低沸点炭化水素などの揮発型発泡剤を内包するものであり、本発明においては、これを発泡させて用いることができるほか、あらかじめ発泡させて得られた既発泡体として用いることができる。
【0026】
外殻を形成する熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)は、耐熱性の観点から50〜150℃であることが好ましく、より好ましくは60〜90℃である。熱可塑性樹脂のガラス転移点が50℃以上であることにより、表皮材の成形加工時における中空微粒子の潰れを抑制して、接触冷温感の改善効果を保持することができる。また、ガラス転移点が150℃以下であることにより、表皮材の成形加工時での中空微粒子の外殻が適度に変形されることによって、成形型の微細形状にも追従した柄転写が可能となる。
【0027】
また、外殻を形成する熱可塑性樹脂の軟化温度は、110〜250℃であることが好ましく、より好ましくは130〜220℃である。これを満たすことにより、表皮材の成形加工時に高温に曝された場合でも中空微粒子の外殻の過度の変形を抑制し、ひいては多孔質断熱層の閉塞孔が潰れにくくなるので、接触冷温感性能の保持効果を高めることができる。
【0028】
ここで、外殻を形成する熱可塑性樹脂のガラス転移点及び軟化温度は以下のように測定される。ガラス転移点は、JIS K7121に準拠した方法で測定され、後記の実施例では、試験機として、高感度型示差走査熱量計(型式EXSTAR−DSC6200、日立ハイテクサイエンス株式会社製)を用いた。軟化温度は、試験機として、熱機械的分析装置(型式TMA2940、TA instruments社製)を用い、中空微粒子(熱膨張性の場合は、既発泡状態のものを用いる)250μgを直径7mm、深さ1mmのアルミカップに入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、80℃から300℃まで、5℃/分の昇温速度で加熱した際の印加圧子の垂直方向の変位を連続的に測定し、最大変位量を示した温度を中空微粒子外殻の軟化温度とした。
【0029】
本実施形態においては、かかる中空微粒子を1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】
多孔質断熱層に主剤として用いられる樹脂、即ちマトリックスとなる樹脂は、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリアミノ酸樹脂、塩化ビニル樹脂、SBR樹脂、NBR樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、およびこれらの共重合体など、公知の合成樹脂を挙げることができ、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、耐摩耗性、風合いなどの観点からポリウレタン樹脂やその共重合体、またはポリウレタン樹脂を主成分とする混合樹脂(これらをまとめてポリウレタン系樹脂という。)を選択することが好ましく、ポリカーボネート系ポリウレタン系樹脂がより好ましい。樹脂のタイプは、無溶剤系、溶剤系、水系など特に限定されない。
【0031】
上記マトリックスのガラス転移点(Tg)は、−100〜50℃であることが好ましく、より好ましくは−70〜−10℃である。ガラス転移点が−100℃以上であることで耐熱性が良好となり、表皮材の成形加工時に高温に曝された場合でも閉塞孔の潰れを防ぐことができるので、接触冷温感の保持効果を高めることができ、また外観の劣化を抑えることができる。ガラス転移点が50℃以下であることで風合いが柔軟で、耐屈曲性に優れた表皮材とすることができる。ここで、マトリックスとは、多孔質断熱層のうち中空微粒子を除いた部分のことであり、上記主剤と、任意成分としての架橋剤やレベリング剤などの添加剤で構成されている。
【0032】
上記マトリックスの軟化温度は、110〜250℃であることが好ましく、より好ましくは130〜220℃である。これを満たすことにより、多孔質断熱層の軟化温度を110〜250℃の範囲に設定しやすい。
【0033】
ここで、マトリックスのガラス転移点及び軟化温度は以下のように測定される。ガラス転移点は、JIS K7121に準拠した方法で測定され、後記の実施例では、試験機として、高感度型示差走査熱量計(型式EXSTAR−DSC6200、日立ハイテクサイエンス株式会社製)を用いた。軟化温度は、JIS K7196に準拠した方法で測定され、後記の実施例では、試験機として熱機械的分析装置(型式EXSTAR TMA−SS6100、日立ハイテクサイエンス株式会社製)を用い、圧子は形状が針入プローブ、針先直径が1.0mmのものを使用した。
【0034】
多孔質断熱層には、架橋剤、レベリング剤、顔料、艶消し剤などの添加材を用いることができる。
【0035】
多孔質断熱層の厚みは、特に限定されず、例えば20〜300μmであることが好ましく、より好ましくは50〜200μmであり、さらに好ましくは100〜200μmである。厚みが20μm以上であることにより、表皮材の成形加工時に成形型の微細形状にも追従した柄転写が可能であり、且つ、接触冷温感の改善効果を高めることができる。また、厚みが300μm以下であることにより、風合いの低下を抑えることができる。多孔質断熱層の厚みは、着色層の厚みよりも大きく、また、着色層と保護層の厚みの合計よりも大きいことが好ましい。
【0036】
多孔質断熱層は、150℃条件下における50%伸長時の抗張力が0.10〜6.00N/cmであることが好ましく、より好ましくは0.20〜3.00N/cmであり、0.20〜1.00cm/Nでもよい。多孔質断熱層の抗張力が0.10N/cm以上であることにより、成形加工時であっても多孔質断熱層の厚みを均一に保ちつつ、成形による型転写効果を高めることができる。抗張力が6.00N/cm以下であることにより、成形加工時に表皮材が伸長することで成形型に沿った成形性を向上することができる。
【0037】
多孔質断熱層の抗張力は、150℃条件下における50%伸張時の単位幅あたりの引張力であり、以下のように測定される。表皮材にしたときの層厚みに相当する厚みを持つ多孔質断熱層単体のフィルムを作成し、該フィルムを幅30mm、長さ150mmにカットして試験片とする。150℃に温度調整しながら測定が可能な引張試験機(島津製作所製「島津オートグラフAG−IS」)を用いて、つかみ間隔を100mmに調整して試験片を固定し、150℃の測定環境下、つかみ幅30mm、引張速度100mm/minにて引張試験を行う。つかみ間隔が150mmになった時点の引張力(N)を測定値とし、試験片の幅(0.3cm)で割ることにより、50%伸長時の抗張力(N/cm)を算出する。
【0038】
本実施形態における着色層は、多孔質断熱層を隠蔽し、且つ、所望の色に着色するための層である。
【0039】
着色層を構成する樹脂としては、多孔質断熱層の主剤と同様の樹脂を用いることができる。なかでも、汎用性、耐摩耗性、風合いなどの観点から、ポリウレタン樹脂やその共重合体、またはポリウレタン樹脂を主成分とする混合物(これらをまとめてポリウレタン系樹脂という。)が好ましく、ポリカーボネート系ポリウレタン系樹脂がより好ましい。樹脂のタイプは、無溶剤系、溶剤系または水系など特に限定されない。
【0040】
着色層には着色剤として無機顔料および有機顔料が添加される。顔料の添加量としては、特に限定されず、例えば、固形分換算で1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜15質量%である。添加量が1質量%以上であることにより、成形加工による伸長によって着色層の厚みが薄くなったときでも、隠蔽性を確保して意匠性を維持することができる。また、20質量%以下であることにより、耐摩擦堅牢度が損なわれることがない。
【0041】
着色層には、顔料のほか、必要に応じて、公知の添加剤、例えば、充填剤、平滑剤、架橋剤、艶消し剤、レベリング剤等を用いることができる。なかでも、得られる皮膜の伸び特性が向上するという観点から、充填剤を用いることが好ましい。充填剤としては、シリカ、アルミナ、ウレタン樹脂やアクリル樹脂等の樹脂ビーズなどが挙げられる。
【0042】
着色層の厚みは、特に限定されず、例えば1〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜40μmである。厚みが1μm以上であることにより、耐摩耗性を向上することができ、かつ成形加工での伸長によって厚みが薄くなったとしても多孔質断熱層の隠蔽性や、意匠として十分な着色性を高めることができる。厚みが100μm以下であることにより、接触冷温感の改善効果を高めることができる。
【0043】
着色層は、その150℃条件下における50%伸長時の抗張力が0.10〜6.00N/cmであることが好ましく、より好ましくは0.20〜3.00N/cmであり、0.20〜1.00cm/Nでもよい。着色層の抗張力が0.10N/cm以上であることにより、成形加工時であっても着色層の厚みを均一に保ちつつ、成形による型転写効果を高めることができる。抗張力が6.00N/cm以下であることにより、成形加工時に表皮材が伸長することで成形型に沿った成形性を向上することができる。
【0044】
着色層の抗張力は、150℃条件下における50%伸張時の単位幅あたりの引張力であり、以下のように測定される。表皮材にしたときの層厚みに相当する厚みを持つ着色層単体のフィルムを作成し、該フィルムを幅30mm、長さ150mmにカットして試験片とする。150℃に温度調整しながら測定が可能な引張試験機(島津製作所製「島津オートグラフAG−IS」)を用いて、つかみ間隔を100mmに調整して試験片を固定し、150℃の測定環境下、つかみ幅30mm、引張速度100mm/minにて引張試験を行う。つかみ間隔が150mmになった時点の引張力(N)を測定値とし、試験片の幅(0.3cm)で割ることにより、50%伸長時の抗張力(N/cm)を算出する。
【0045】
本実施形態に係る表皮材は、その伸び特性を損なわない範囲で、多孔質断熱層の裏面(着色層と反対の面)に基材を積層してもよい。基材としては、繊維質基材や発泡シートが挙げられる。
【0046】
繊維質基材としては、織物、編物または不織布等の布帛や、天然皮革を挙げることができる。布帛には、公知の溶剤系または水系の高分子化合物、例えば、ポリウレタン樹脂やその共重合体を塗布または含浸し、乾式凝固または湿式凝固させたものを用いることができる。繊維の種類は特に限定されず、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維等、公知の繊維を用いることができ、これらの繊維を2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、強度や加工性の点から、合成繊維、特にはポリエステル繊維が好ましい。なお、繊維質基材は、染料または顔料により着色されたものであってもよい。
【0047】
発泡シートとしては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂からなる発泡シートが挙げられる。好ましくは、成形性の観点から、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン製樹脂からなる発泡シートが好ましい。
【0048】
基材の厚みは、特に限定されず、例えば0.2〜20mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.2〜10mmの範囲であり、更に好ましくは0.5〜2mmの範囲である。厚みが0.2mm以上であることにより、外気温の影響を受けにくくなって接触冷温感の改善効果を高めることができ、またボリュームのある風合いとして商品性を高めることができる。厚みが20mm以下であることにより、成形加工時に凹凸形状の浮きあがりを抑えて、均一な仕上がり(良好な外観)になりやすい。
【0049】
基材の比重は、特に限定されず、例えば0.005〜0.1g/cm
3であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.05g/cm
3である。比重が0.005g/cm
3以上であることにより、外気温の影響を受けにくくなって接触冷温感の改善効果を高めることができ、また、破断強度、引裂き強度、風合いが損なわれたりすることを防ぐことができる。また、比重が0.1g/cm
3以下であることにより、高温環境下で接触したときに熱く感じたり、風合いが損なわれたりすることを防ぐことができる。
【0050】
基材は、その150℃条件下における50%伸長時の抗張力が0.10〜11.80N/cmであることが好ましく、より好ましくは0.20〜5.00N/cmである。基材の抗張力が0.10N/cm以上であることにより、成形加工時であっても基材の厚みを均一に保ちつつ、成形による型転写効果を高めることができる。抗張力が11.80N/cm以下であることにより、成形加工時に表皮材が伸長することで成形型に沿った成形性を向上することができる。
【0051】
基材の抗張力は、150℃条件下における50%伸張時の単位幅あたりの引張力であり、以下のように測定される。表皮材にしたときの層厚みに相当する厚みを持つ基材単体を、幅30mm、長さ150mmにカットして試験片とし、150℃に温度調整しながら測定が可能な引張試験機(島津製作所製「島津オートグラフAG−IS」)を用いて、つかみ間隔を100mmに調整して試験片を固定し、150℃の測定環境下、つかみ幅30mm、引張速度100mm/minにて引張試験を行う。つかみ間隔が150mmになった時点の引張力(N)を測定値とし、試験片の幅(0.3cm)で割ることにより、50%伸長時の抗張力(N/cm)を算出する。
【0052】
本実施形態に係る表皮材は、耐摩耗性の観点から、着色層上に更に保護層を設けてもよい。
【0053】
保護層を構成する樹脂としては、多孔質断熱層と同様の樹脂を用いることができる。なかでも、耐摩耗性、風合いなどの観点からポリウレタン樹脂やその共重合体、またはポリウレタン樹脂を主成分とする混合物(これらをまとめてポリウレタン系樹脂という。)が好ましく、ポリカーボネート系ポリウレタン系樹脂がより好ましい。樹脂のタイプは、無溶剤系、溶剤系、水系など特に限定されない。
【0054】
保護層の厚みは、特に限定されず、例えば1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。厚みが1μm以上であることにより、耐摩耗性を高めることができる。厚みが50μm以下であることにより、接触冷温感の改善効果の低下を抑えることができる。
【0055】
また、着色層と保護層の厚みの合計は、特に限定しないが、接触冷温感の観点から、2〜150μmであることが好ましく、さらには10〜60μmであることが好ましく、また20〜50μmであってもよい。厚みの合計が2μm以上であることにより、耐摩耗性を高めることができる。また、厚みの合計が150μm以下であることにより、接触冷温感の改善効果の低下を抑えることができる。
【0056】
本実施形態に係る表皮材は、そのオモテ面に凹凸を有していることが好ましい。また、凹凸により表皮材のオモテ面における接触面積割合が65%以下であることが好ましい。ここで、表皮材のオモテ面とは、表皮材をインストルメントパネルやドア等の表皮材として用いたときに、オモテ側(車室内側)に現れる意匠面であり、人等が接触することができる面である。
【0057】
オモテ面における接触面積割合とは、人が表皮材に触れた場合に、表皮材のオモテ面に皮膚が密着する面積の割合を、後述する方法にて簡易的に算出した値である。一般に、凹凸のあるオモテ面に触れた場合、凸部頂点から50μmまでの深部に皮膚が密着すると考えられることに基づいて、表皮材のオモテ面における接触面積割合の算出を以下の方法により行う。
【0058】
表皮材のオモテ面において、タテ2.5mm、ヨコ2.0mmの長方形の領域を無作為に抽出し、レーザー顕微鏡を用いて、XY座標10μm毎における深さを計測する。上記領域内に存在する最も高い凸部の頂点(即ち、領域内の最高点)から50μmまでの深さを示すXY座標の個数の、全体のXY座標個数に対する割合を、表皮材のオモテ面における接触面積割合とする。上記領域の抽出は無作為に10箇所で行い、これら10箇所で算出した接触面積割合の平均値を、表皮材のオモテ面における接触面積割合とする。
【0059】
これにより算出された表皮材のオモテ面における接触面積割合が65%以下であることにより、極端な温度に曝された場合でもその影響を受けにくく、皮膚に接触しても皮膚と表皮材間の急激な熱の移動が少ない。そのため、温度変化を感じにくい、接触冷温感の低い表皮材を提供することができる。接触面積割合は、好ましくは40%以下である。一方、接触面積割合は5%以上であることが意匠性の観点で好ましい。より好ましくは、接触面積割合は10%以上であり、より好ましくは20%以上である。一実施形態において、接触面積割合は、30〜50%であってもよい。
【0060】
なお、表皮材のオモテ面には、凹部を設けること、凸部を設けること、凹部と凸部を組み合わせて設けること等によって凹凸を形成することができる。凹凸の形成方法としては、凹凸模様を有する離型性基材に樹脂を塗布する方法や、エンボス加工による方法が挙げられる。
【0061】
表皮材の各層の積層は、例えば、次の方法で行われる。(A)着色層を形成する樹脂液を離型性基材に塗布後、乾式凝固させることにより着色層を形成し、その後、着色層上に、多孔質断熱層を形成する樹脂液を塗布後、乾式凝固して、離型性基材上に着色層、多孔質断熱層を形成する。他の方法としては、(B)多孔質断熱層を形成する樹脂液を離型性基材に塗布後、乾式凝固させることにより多孔質断熱層を形成し、その後、多孔質断熱層上に、着色層を形成する樹脂液を塗布後、乾式凝固して、離型性基材上に多孔質断熱層、着色層を形成する。
【0062】
また、上述のように繊維質基材や発泡シート等の基材を多孔質断熱層の裏面に積層する場合は、例えば、次の方法で行われる。(C)多孔質断熱層を形成する樹脂液を基材の片面に塗布後、乾式凝固させることにより、多孔質断熱層を基材に積層した後、着色層を形成する樹脂液を多孔質断熱層上に塗布後、乾式凝固させて、多孔質断熱層上に着色層を形成する。他の方法として、(D)着色層を形成する樹脂液を離型性基材に塗布後、乾式凝固させることにより着色層を形成し、その後、着色層上に、多孔質断熱層を形成する樹脂液を塗布後、粘着性を有するうちに、これを基材の片面に圧着することにより、基材と着色層の間に多孔質断熱層を形成する。他の方法として、(E)着色層を形成する樹脂液を離型性基材に塗布後、乾式凝固させることにより着色層を形成し、その後、着色層上に、多孔質断熱層を形成する樹脂液を塗布後、乾式凝固して、離型性基材上に着色層と多孔質断熱層を形成する。次いで、多孔質断熱層と基材を接着剤にて貼り合わせることにより、接着層を介して多孔質断熱層と着色層を積層する。
【0063】
保護層を設ける場合、その積層は、例えば次の方法で行われる。上記(A)〜(E)の方法により、(基材と)多孔質断熱層と着色層とを積層した後、着色層上に、保護層を形成する樹脂液を塗布し乾式凝固して保護層を形成する。ここで、表皮材のオモテ面に凹凸を付与する場合であって、エンボス加工によって凹凸を付与する場合、着色層の形成後かつエンボス加工前に、着色層上に、保護層を形成する樹脂液を塗布し乾式凝固して保護層を形成し、その後、エンボス加工によりオモテ面に凹凸模様を形成してもよい。また、凹凸模様を有する離型性基材によって凹凸を付与する場合、離型性基材上にまず、保護層を形成する樹脂液を塗布し乾式凝固して保護層を形成した後に、着色層を形成する樹脂液を塗布して着色層を形成してもよい。また、凹凸模様を有する離型性基材を用いて着色層に凹凸を付与した後、該着色層上に保護層を形成する樹脂液を塗布し凝固乾燥して保護層を形成してもよい。
【0064】
なお、各樹脂液の塗布方法は、ナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、またはスプレーコーティング等公知の方法が挙げられる。
【0065】
本実施形態に係る表皮材の最表面になる層(詳細には、保護層を設けた場合には該保護層、保護層を設けない場合には着色層)は、多孔質でないこと、すなわち無孔質であることが好ましい。なぜなら、最表面層が無孔質であれば耐摩耗性の面で有利であるためである。
【0066】
本実施形態が対象とする表皮材は、多孔質断熱層と着色層とを必須の構成部材とするものであるが、必要に応じて、各層の間に、1層または2層以上の層を備えていてもよい。
【0067】
本実施形態に係る表皮材の用途は、自動車内装材などの車両内装材、特には、真空成形等の熱成形による成形加工が施される、インストルメントパネルの表皮や、ドアの内張材などに好適に用いることができる。
【実施例】
【0068】
[実施例1]
[処方1(着色層用)]
主剤:水系ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(Bayer株式会社製、バイヒドロール UH2952、固形分40質量%):90質量部
充填剤含有主剤:シリカ入り水系ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(LANXESS株式会社製、HYDRHOLAC UD−2、固形分25質量%):10質量部
架橋剤:イソシアネート系架橋剤(Bayer株式会社製、バイヒジュール3100、固形分100質量%):1質量部
顔料:カーボンブラック系黒色顔料(LANXESS株式会社製、EUDERM Black B−N、固形分25質量%):20質量部
水:20質量部
レベリング剤:シリコーン系レベリング剤(LANXESS株式会社製、AQUADERM Fluid H、固形分100質量%):1質量部
調製法:粘度を5,000cps(B型粘度計、ローター:No4、12rpm、23℃)に調製した。調整した塗料で作成したフィルム(厚み=30μm)の150℃での50%伸び時の抗張力は0.32N/cmであった。
【0069】
[処方2(多孔質断熱層用)]
主剤:水系ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(Bayer株式会社製、バイヒドロール UH2952、固形分40質量%):100質量部
中空微粒子:既発泡マイクロカプセル(松本油脂製薬株式会社製、マツモトマイクロスフェアFN−100S(熱処理により既発泡状態にして使用)、平均粒径50μm、固形分100質量%、粉末状、外殻:アクリロニトリル系ポリマー(軟化温度:150℃、Tg:70℃)、内包物:イソペンタン、既発泡品):2.5質量部
架橋剤:イソシアネート系架橋剤(Bayer株式会社製、バイヒジュール3100、固形分100質量%):1質量部
レベリング剤:シリコーン系レベリング剤(LANXESS株式会社製、AQUADERM Fluid H、固形分100質量%):1質量部
水:20質量部
調製法:粘度を5,000cps(B型粘度計、ローター:No4、12rpm、23℃)に調製した。調整した塗料で作成したフィルム(厚み=150μm)の150℃での50%伸び時の抗張力は0.31N/cmであった。調製した塗料で作製したフィルムの軟化温度は150℃であった。また、処方2から中空微粒子を除いた処方で作製したフィルムの軟化温度(即ち、マトリックスの軟化温度)は175℃、Tgは−60℃であった。
【0070】
[処方3(保護層用)]
主剤:水系ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(BAYDERM Finish 61UD 固形分35質量%):90質量部
充填剤含有主剤:シリカ入り水系ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(HYDRHOLAC UD−2、固形分25質量%):10質量部
架橋剤:イソシアネート系架橋剤(AQUADERM XL−50、固形分50質量%):1質量部
レベリング剤:シリコーン系レベリング剤(AQUADERM Fluid H、固形分100質量%):1質量部
水:20質量部
原料は、水を除き全てランクセス株式会社製である。
調製法:粘度を200cps(B型粘度計、ローター:No.1、12rpm、23℃)に調製した。
【0071】
上述の処方1に従い調製した着色層用ポリウレタン樹脂組成物を、シボ調の凹凸模様を有する離型紙(アサヒロール株式会社製、AR−96M)に、コンマコーターにて塗布厚さが平均100μmになるようにシート状に塗布し、乾燥機にて100℃で3分間処理して、着色層を形成した。次いで、上述の処方2に従い調製した多孔質断熱層用ポリウレタン樹脂組成物を、離型紙上に形成された着色層表面に、コンマコーターにて塗布厚さが平均300μmになるようにシート状に塗布し、乾燥機にて100℃で3分間処理して、多孔質断熱層を形成した。層の厚さは、着色層が30μm、多孔質断熱層が150μmであった。多孔質断熱層における閉塞孔の大きさ(長径)は50μm、閉塞孔面積率は90%であった。
【0072】
得られた着色層と多孔質断熱層の積層体を100℃で1分間熱処理して予備乾燥し、次いで40℃で12時間エージングした後、離型紙を剥離した。次いで、上述の処方3に従い調製した保護層用ポリウレタン樹脂組成物を、離型紙を剥離した後の着色層表面に、リバースコーターにて厚さが平均50μmになるようにシート状に塗布し、乾燥機にて100℃で3分間処理して、厚さ10μmの保護層を形成し、実施例1の表皮材を得た。
【0073】
[実施例2〜6、9〜16及び比較例1〜2]
実施例2〜6、9〜16及び比較例1〜2の表皮材は、着色層及び多孔質断熱層の処方を表1に示す通りとした以外は、実施例1と同様にして作製した。なお、表1中の原料は、以下の通りである。
・主剤:BAYDERM Bottom DLV(ランクセス株式会社製、水系ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、固形分40質量%)
・主剤:BAYDERM 51UD(ランクセス株式会社製、水系エーテル系ポリウレタン樹脂、固形分35質量%)
・主剤:LCC Binder UB−1770(DIC株式会社製、水系ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、固形分30質量%)
・中空微粒子:F−30の既発泡品(松本油脂製薬株式会社製、マツモトマイクロスフェアF−30(熱処理により既発泡状態にして使用)、平均粒径50μm、固形分100質量%、外殻:塩化ビニル−アクリロニトリル系ポリマー(軟化温度:100℃、Tg:20℃)、内包物:イソペンタン)
・中空微粒子:F−48の既発泡品(松本油脂製薬株式会社製、マツモトマイクロスフェアF−48(熱処理により既発泡状態にして使用)、平均粒径50μm、固形分100質量%、外殻:アクリロニトリル系ポリマー(軟化温度:120℃、Tg:50℃)、内包物:イソペンタン)
・中空微粒子:F−2800Dの既発泡品(松本油脂製薬株式会社製、マツモトマイクロスフェアF−2800D(熱処理により既発泡状態にして使用)、平均粒径50μm、固形分100質量%、外殻:アクリロニトリル系ポリマー(軟化温度:245℃、Tg:150℃)、内包物:イソペンタン)
・中空微粒子:F−2860Dの既発泡品(松本油脂製薬株式会社製、マツモトマイクロスフェアF−2860D(熱処理により既発泡状態にして使用)、平均粒径50μm、固形分100質量%、外殻:アクリロニトリル系ポリマー(軟化温度:260℃、Tg:170℃)、内包物:イソペンタン)
【0074】
[実施例7〜8]
多孔質断熱層の裏面(着色層と反対の面)に基材を積層した態様である。実施例1において、離型紙上に形成された多孔質断熱層の表面に、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC株式会社製、クリスボンTA−205)にジメチルホルムアミドを加え粘度5000cps(B型粘度計、ローター:No4、12rpm、23℃)に調製した接着剤を、ナイフコーターを用いて塗布厚さが平均200μmとなるように塗布した後、100℃で1分間熱処理して予備乾燥し、表1に記載の基材A又はBと重ねて39.2N/cm
2で1分間加圧した後、離型紙を剥離した。次いで、上述の処方3に従い調製した保護層用ポリウレタン樹脂組成物を、離型紙を剥離した後の着色層表面に、リバースコーターにて厚さが平均50μmになるようにシート状に塗布し、乾燥機にて100℃で3分間処理して、厚さ10μmの保護層を形成し、実施例7〜8の表皮材を得た。
【0075】
基材A、Bは以下の通りである。
・基材A:ポリエステル製スパンレース不織布(LMW−9003、バイリーン株式会社製、厚み1.0mm、比重0.040g/cm
3、150℃での50%伸び時の抗張力2.40N/cm)
・基材B:ポリプロピレン製発泡シート(25020−AP17、東レ株式会社製、厚み20mm、比重0.040g/cm
3、150℃での50%伸び時の抗張力0.40N/cm)
【0076】
上記で作製した各表皮材について、150℃での50%伸び時の抗張力およびオモテ面の接触面積割合を測定するとともに、成形加工前後の接触冷感(Qmax)の測定、接触冷感の官能評価及び接触温感の官能評価を行い、更に、成形加工性の評価を行い、結果を表2に記載した。各測定・評価方法は以下の通りである。なお、表皮材の各樹脂層の厚さ、多孔質断熱層の閉塞孔の大きさ、及び、閉塞孔面積率の各測定方法についても以下に示す。
【0077】
[樹脂層の厚さ]
表皮材の垂直断面をマイクロスコープ(キーエンス株式会社製、デジタルHFマイクロスコープVH−8000)で観察し、任意の10カ所についての厚さを測定し、これらの平均値を算出した。
【0078】
[閉塞孔の大きさ]
表皮材の垂直断面をマイクロスコープ(キーエンス株式会社製、デジタルHFマイクロスコープVH−8000)で観察し、最大値を閉塞孔の大きさとした。
【0079】
[閉塞孔面積率]
表皮材の垂直断面をマイクロスコープ(キーエンス株式会社製、デジタルHFマイクロスコープVH−8000)で観察し、多孔質断熱層部分の画像をパソコンに読み込み、閉塞孔を白色に塗り潰した後、該閉塞孔と、そうでない部分の色を白と黒に二値化して、白ドット部分を積分により集計することにより、閉塞孔の面積率を算出した。
【0080】
[接触面積割合]
レーザー顕微鏡として、VK−8500(株式会社キーエンス製)を用い、上記の方法により、表皮材のオモテ面の接触面積割合を算出した。
【0081】
[接触冷感(Qmax)]
精密迅速熱物性測定装置(KES−F−M7サーモラボII型、カトーテック株式会社製) を用いて、Qmax を測定した。測定は、後述する成形加工前の表皮材(成形前)と、成形加工後の表皮材(成形後)の双方について行った。使用した装置は、試料となる表皮材を貼り付ける試料台と、検出器とを備えている。検出器の一面には銅薄板が貼られており、銅薄板の裏面には温度センサーが取り付けられている。試料台及び検出器にはヒーターが取り付けられており、それぞれ独立して制御装置によって温度を設定することが可能となっている。試料台に表皮材を貼り付け、制御装置によって試料台を20℃ に設定し、検出器の銅薄板の温度を30℃ に設定する。次いで、20℃×60RHの雰囲気で、試料台上の表皮材のオモテ面と検出器の銅薄板とを接触させると同時に、温度センサーからのセンサー出力を記録する。このとき、銅薄板は表皮材を介して試料台に熱を奪われ、温度が低下する。このときの最大熱吸収速度(Qmax)を測定した。Qmaxの値が大きいほど、人が触ったときの冷感が大きく感じられる。
【0082】
[接触冷感の官能評価]
試験片を0℃で30分間放置した後、被験者が表皮材のオモテ面に手のひらを接触させた際に、被験者が感じた接触冷感を下記の基準に従って判定した。評価は、後述する成形加工前の表皮材(成形前)と、成形加工後の表皮材(成形後)の双方について行った。なお、被験者による官能評価は、10人の被験者による評価の平均を算出した。
6…急激な温度変化が全く感じられない
5…急激な温度変化をごくわずかに感じるが、不快感はない
4…急激な温度変化をわずかに感じるが、不快感はない
3…急激な温度変化を感じ、わずかに不快感がある
2…急激な温度変化をかなり感じ、不快感がある
1…急激な温度変化を強く感じ、かなり不快感がある
【0083】
[接触温感の官能評価]
試験片を70℃で30分間放置した後、被験者が表皮材のオモテ面に手のひらを接触させた際に、被験者が感じた接触温感を下記の基準に従って判定した。評価は、後述する成形加工前の表皮材(成形前)と、成形加工後の表皮材(成形後)の双方について行った。
6…急激な温度変化が全く感じられない
5…急激な温度変化をごくわずかに感じるが、不快感はない
4…急激な温度変化をわずかに感じるが、不快感はない
3…急激な温度変化を感じ、わずかに不快感がある
2…急激な温度変化をかなり感じ、不快感がある
1…急激な温度変化を強く感じ、かなり不快感がある
【0084】
[成形加工性(真空成形の適性)]
表皮材を、簡易型真空成形機(Formech International Limited製、商品名「Compac Mini」)を用いて、真空成形を行った。すなわち、表皮材を遠赤外線加熱装置にて表面・裏面両側から表面温度150℃付近になるまで加熱した。加熱した表皮材を80℃に加熱した成形型にセットし、真空ポンプにて空気圧0.01mPa以下になるまで減圧して表皮材が成形型に密着するようにした。10秒後、成形型から表皮材を取り外すことで、真空成形された成形品を得た。得られた成形品の外観を、被験者が下記の基準に従って評価した。
○…成形品表面にシワが発生せず、良好な品位
△…成形品表面に若干シワが発生している
×…成形品表面に多数のシワが発生している
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
表2に示すように、比較例1,2では、接触冷温感の改善効果は得られたものの、成形加工時における成形面の立体形状に表皮材が追従することができず、成形品表面に多数のシワが発生していた。これに対し、実施例1〜16であると、成形品表面へのシワの発生が抑えられ、貼り映えの良好な状態で使用できる表皮材が得られた。特に、実施例1〜10、13及び14では、成形加工後の接触冷温感の優れた保持効果を発揮しながら、成形加工性にも優れていた。なお、実施例16では、中空微粒子の外殻のガラス転移点が高いことから、成形品表面に中空微粒子による微凹凸が生じ、そのため、実施例1に比べて品位が若干劣っていた。