特許第6555957号(P6555957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社湘南合成樹脂製作所の特許一覧

<>
  • 特許6555957-管更生工法 図000002
  • 特許6555957-管更生工法 図000003
  • 特許6555957-管更生工法 図000004
  • 特許6555957-管更生工法 図000005
  • 特許6555957-管更生工法 図000006
  • 特許6555957-管更生工法 図000007
  • 特許6555957-管更生工法 図000008
  • 特許6555957-管更生工法 図000009
  • 特許6555957-管更生工法 図000010
  • 特許6555957-管更生工法 図000011
  • 特許6555957-管更生工法 図000012
  • 特許6555957-管更生工法 図000013
  • 特許6555957-管更生工法 図000014
  • 特許6555957-管更生工法 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555957
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】管更生工法
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20190729BHJP
   E03F 7/00 20060101ALI20190729BHJP
   E21D 11/40 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   F16L1/00 Q
   F16L1/00 P
   E03F7/00
   E21D11/40 B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-143259(P2015-143259)
(22)【出願日】2015年7月17日
(65)【公開番号】特開2017-25976(P2017-25976A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】592057385
【氏名又は名称】株式会社湘南合成樹脂製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100075292
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】神山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 武司
(72)【発明者】
【氏名】石田 誠
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−265070(JP,A)
【文献】 特開2005−308100(JP,A)
【文献】 特開2003−286742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00
E03F 7/00
E21D 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面板と、該内面板の周方向に延びる両側に立設された側板と、側板の内側で内面板の上面に立設された内部板を複数有し、各内部板の管長方向の板厚がそれぞれ等しいセグメントを周方向と管長方向に連結して既設管内に更生管を組み立て既設管を更生する管更生工法であって、
セグメントを周方向に連結して管ユニットを組み立てる工程と、
前記管ユニットを組み立てる前、あるいは管ユニットを組み立てた後に、既設管と更生管の間に挿入される更生管の位置調整用スペーサーをスペーサー保持部材を用いてセグメントに取り付ける工程と、
管ユニットを所定長さ管長方向に連結する毎に、前記スペーサーを取り付けたセグメントの管ユニットを連結済みの管ユニットに連結する工程と、
前記各スペーサーにより更生管を既設管に対して位置決めする工程と、
更生管を既設管内に敷設した後、更生管と既設管の間に充填材を注入する工程と、を備え、
前記スペーサー保持部材は、セグメントの内部板の延びる方向に内部板の板厚と同じ幅の溝を有し、該溝内に内部板を圧入することによりセグメントに取り付けられ
前記スペーサーは管長方向に延びる側壁を両側に有し、また前記スペーサー保持部材は、該側壁と同じ厚さの溝を両側に有し、該両側の溝内にスペーサーの側壁を圧入することによりスペーサーがスペーサー保持部材に保持されることを特徴とする管更生工法。
【請求項2】
スペーサー保持部材をセグメントに取り付けてからスペーサーをスペーサー保持部材に保持することを特徴とする請求項1に記載の管更生工法。
【請求項3】
前記スペーサーをスペーサー保持部材に保持した後、スペーサーを保持したスペーサー保持部材をセグメントに取り付けることを特徴とする請求項1に記載の管更生工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内周面を構成する内面板と、該内面板の周縁に立設された側板並びに端板とをプラスチックによって一体に形成してなるセグメントを、周方向並びに管長方向に連結して既設管内に更生管を敷設する管更生工法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設された下水管等の大口径既設管が老朽化した場合、既設管を地中から掘出することなく、その内周面にライニングを施して管路を補修する補修工法が実用化されている。このような工法では、上述したようなセグメントを周方向に連結して管ユニットを組み立て、該管ユニットを連結部材を介して管長方向に連結し管路内に更生管を組み立てている。既設管内に更生管を組み立てた後、既設管と更生管間にグラウトなどの充填材を充填して硬化させ複合管が構築される。
【0003】
このような工法で、既設管と更生管間に充填材を注入するとき、更生管はプラスチック材からなることから比重が充填材より小さく、充填材上に浮いてしまう。これを防止するために、更生管を所定長さ(例えば1m位)組み立てる毎に、既設管と更生管の間に、下記特許文献1に記載のようなスペーサーを挿入し、更生管を下方に押し付け、更生管の位置調整を行って充填材を注入するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−265070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スペーサーは、更生管と既設管間に押し込み突っ張った状態にして設置しているので、設置状態が良好でないと、スペーサーが落下したり、位置がずれたりして、更生管の位置調整を良好に行うことができない、という問題があった。また、スペーサーを各所に適正に設置することは作業工数を増加させることになる、という問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、更生管の位置調整用スペーサーが落下したり、あるいは位置ずれを起こすことなく、既設管の更生を行うことができる管更生工法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
内面板と、該内面板の周方向に延びる両側に立設された側板と、側板の内側で内面板の上面に立設された内部板を複数有し、各内部板の管長方向の板厚がそれぞれ等しいセグメントを周方向と管長方向に連結して既設管内に更生管を組み立て既設管を更生する管更生工法であって、
セグメントを周方向に連結して管ユニットを組み立てる工程と、
前記管ユニットを組み立てる前、あるいは管ユニットを組み立てた後に、既設管と更生管の間に挿入される更生管の位置調整用スペーサーをスペーサー保持部材を用いてセグメントに取り付ける工程と、
管ユニットを所定長さ管長方向に連結する毎に、前記スペーサーを取り付けたセグメントの管ユニットを連結済みの管ユニットに連結する工程と、
前記各スペーサーにより更生管を既設管に対して位置決めする工程と、
更生管を既設管内に敷設した後、更生管と既設管の間に充填材を注入する工程と、を備え、
前記スペーサー保持部材は、セグメントの内部板の延びる方向に内部板の板厚と同じ幅の溝を有し、該溝内に内部板を圧入することによりセグメントに取り付けられ
前記スペーサーは管長方向に延びる側壁を両側に有し、また前記スペーサー保持部材は、該側壁と同じ厚さの溝を両側に有し、該両側の溝内にスペーサーの側壁を圧入することによりスペーサーがスペーサー保持部材に保持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、更生管の位置調整用スペーサーは、スペーサー保持部材を介してセグメントに取り付けられるので、更生工事中に、スペーサーが落下したり、あるいは位置ずれを起こすことはなく、更生管が既設管に対して適切に位置決めされ、既設管と更生管間に充填材を確実に注入することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】更生管の組み立てに使用されるセグメントの構造を示した斜視図である。
図2】セグメントを周方向に連結して管ユニットを組み立てた状態を示す斜視図である。
図3】管ユニットのセグメントを連結部材を用いて管長方向に連結する状態を示した説明図である。
図4】既設管内に更生管を敷設する状態を示す説明図である。
図5】既設管内に組み立てられた更生管を示す斜視図である。
図6】更生管の外周と既設管の内壁面の隙間に充填材を注入する様子を示す断面図である。
図7】(a)はスペーサーを構成する第1のクサビ状部材の構造を示す斜視図、(b)はスペーサーを構成する第2のクサビ状部材の下面側の斜視図である。
図8】スペーサーを用いて更生管の外周と既設管の内壁面の隙間を調整する状態を示した説明図である。
図9】(a)はスペーサー保持部材60の斜視図、(b)はその上面図、(c)はその正面図、(d)はその底面図、(e)はその側面図である。
図10】スペーサーをセグメントに取り付ける状態を示した説明図である。
図11】セグメントに取り付けられたスペーサー保持部材の斜視図である。
図12】セグメントに取り付けられたスペーサーの斜視図である。
図13図12のA−A線に沿った断面図である。
図14】スペーサーにより更生管の位置を調整する状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明を、添付図面に示す実施例に基づいて説明する。本発明は、下水管、上水管、トンネル、あるいは農業用水路等の大口径の既設管を更生あるいは修復するのに適している。本実施例では、更生管は、管長方向に直交する断面形状が円形として説明されるが、矩形等円形以外の形状の更生管にも本発明を適用できることは勿論である。更に、断面形状が管として閉じた形状でなく、例えば馬蹄形や半円形、凹字形等片側が開いた形状である場合にも管と見なして本発明を適用することができるものである。
【実施例】
【0011】
図1には、更生管用セグメント1(以下、単にセグメントという)の構造が図示されている。セグメント1は、更生管の内周面を構成する内面板101と、該内面板101の周方向に延びる両側に垂直に立設された同形状の側板102、103と、内面板101の管長方向に延びる両端に垂直に立設された同形状の端板104、105とからなるプラスチックでできた一体成形のブロック状の部材である。
【0012】
セグメント1は、本実施例では、円周を複数等分する所定角度、例えば6等分する60度の円弧状に湾曲した形状となっている。ただし、セグメントは円弧形ないし扇形に限定されず、既設管の断面形状、あるいはその大きさ、あるいは既設管の補修箇所に応じて、直方体あるいは直角に丸みを付けて折り曲げた形等にすることもできる。
【0013】
内面板101の上面にはセグメント1の機械的強度を補強するために、側板102、103の内側に、側板と同様な形状の複数、本実施例では4個の内部板106、107が側板102、103と平行に等間隔に立設される。側板102、103、内部板106、107の管長方向板厚はそれぞれ等しくなっている。
【0014】
側板102、103には、セグメント1を管長方向に連結するためにボルトとして構成された連結部材11及びナット12(図3)を通すための円形の挿通穴102a、103aが周方向に等間隔に複数形成される。内部板106にも、連結部材11を通すための円形の挿通穴106aが等間隔に複数形成され、内部板107には、連結部材が挿入できる切り欠き107aが等間隔に複数形成される。これらの挿通穴102a、挿通穴103a、挿通穴106a、並びに切り欠き107aは、それぞれ周方向の位置が一致している。
【0015】
端板104、105は、側板102と側板103の間に配置される部材で、端板104、105には、セグメント1を周方向に連結するボルト等の連結部材を通すための円形の挿通穴104a、105aが複数形成される。
【0016】
内面板101、側板102、103、端板104、105、内部板106、107は、何れも透明、半透明あるいは不透明な同じプラスチックでできており、公知の成形技術を用いて一体に成形される。
【0017】
セグメントはその端板105と他のセグメントの端板104を当接させ、ボルト6とナット7を側板102と103に形成された作業穴102b、103bを介して挿入し、ボルト6、ナット7を螺合させることにより周方向に連結させることができる(図3)。
【0018】
セグメントを順次周方向に一周分連結させると、図2に示すようなリング状の管ユニット10を組み立てることができる。管ユニット10は、円管を管長方向Xに垂直に所定幅Dで輪切りに切断したときに得られる形状となっており、その外径が更生すべき既設管の内径より少し小さな値となっている。セグメントは、この管ユニット10を、径方向Rに沿った切断面で周方向Cに複数個に分割(好ましくは等分)したときに得られる部材に相当する。
【0019】
なお、図3では、セグメント1の主要な構造部材である内面板101、側板102、103、端板104、105が図示されていて、内部板106、107等の補強構造は、煩雑さを避けるために、図示が省略されている。
【0020】
このような管ユニット10の各セグメントは、図3に示したように、管長方向に延びる連結部材11とナット12を用いて他の管ユニットのセグメントと連結され、管ユニット10が順次管長方向に連結される。
【0021】
セグメントを管長方向に連結する際には、セグメントの一方側の側板に複数の金属製ナット12がボルト13を用いて固定される。ナット12の管長方向の長さは、側板102と内部板106の間隔より長く、側板102からはみ出て他のセグメントの側板103の厚さと同等あるいはそれ以上となっている。連結部材11は、一端にナット12と螺合するネジ部11aが形成され、他端につば14aを有する頭部14が固定された金属製のボルトとして構成される。
【0022】
図3に示したように、セグメント1bにセグメント1aを連結する場合、セグメント1bの側板102からはみ出ているナット12を、セグメント1aの側板103の穴103aに通過させ、両セグメント1a,1bの側板103、102を突き合わせる。続いて、連結部材11を、セグメント1aの側板102の挿通穴102a、内部板106の挿通穴106a、内部板107の切り欠き107aに通し、ネジ部11aをセグメント1bに固定されているナット12にねじ込む。これにより、連結部材11とナット12が連結される。その後、頭部14のつば14aがセグメント1aの最左端の内部板106に圧接するまで連結部材11をナット12にねじ込み、両セグメント1a、1bをボルト締めして固定する。
【0023】
このようにして、管ユニットのセグメントを、他の管ユニットのセグメントと管長方向に連結することにより、管ユニットを管長方向に任意の長さに連結することができる。
【0024】
このように構成されたセグメント1を用いて既設管を更生するために、まず、図4に示すように、マンホール20を介して既設管21内にセグメント1を搬入し、セグメントを周方向に順次連結して管ユニット10を組み立てる。続いて、管ユニット10を、図3に示す方法で、連結部材11とナット12を用いて順次管長方向に連結し、既設管21内に更生管40を敷設する。既設管21と更生管40間には、グラウトなどの充填材30が注入され、充填材30が硬化した後には、図5に示したような、既設管21、充填材30、更生管40からなる複合管が構築される。
【0025】
上述した更生工事において、更生管40が既設管21内に敷設された後、図6に示したように、セグメント1に注入孔41aが穿孔され、この注入孔41aを介して注入ホース41を用いて充填材30が更生管40と既設管21間の隙間に注入される。このとき、更生管40の位置調整を行うために、更生管40と既設管21間にスペーサー50が設置される。
【0026】
スペーサー50は、図7(a)に上面側を示す第1のクサビ状部材51と図7(b)に下面側を示す第2のクサビ状部材52を図8に示すように上下に重ねて構成される。なお、スペーサー50の高さが不足である場合には、スペーサー50全体の高さを高くするために、かさ上げ部材53が用いられる。
【0027】
このようなスペーサー50は、特許文献1に記載されたものと同様であり、第1のクサビ状部材51には、中央部に溝51aが形成され、その底部には多数の歯51bが傾斜線方向に沿って例えば数mm程度の短い所定ピッチで鋸歯状に形成されている。また、溝51aと両側の側壁51e、51f間には6個の長穴51cが形成される。
【0028】
第2のクサビ状部材52には、溝51aと嵌合する凸部52aとそれに続く弾性変形片52bが形成される。弾性変形片52bの下面には複数(図7(b)の例では2つ)の歯52cが第1のクサビ状部材51の歯51bのピッチの整数倍の大きなピッチ(例えば10〜20mm程度)で形成されている。また、歯51bと52cは、それぞれ傾斜面と垂直面を有する鋸歯状であり、傾斜面同士が係合すると移動できるが、垂直面が係合すると移動できなくなる、いわゆる一方向クラッチとなるような歯面となっている。また、凸部52aと両側の側壁間には、長穴51cと位置が合う6個の長穴52dが形成される。
【0029】
第1と第2のクサビ状部材51、52は逆クサビ形状となっているので、第1のクサビ状部材の溝51aに第2のクサビ状部材52の凸部52aを嵌合させて重ねると、図8(a)、(b)に示したように、それぞれの底面51dと上面52eは平行になる。
【0030】
また第2のクサビ状部材52をA方向に押すと、歯51b,52cは傾斜面が係合してA方向には移動するが、逆方向には垂直面が係合して移動が阻止される。それにより、第2のクサビ状部材52をA方向に押すことにより、両部材の高さをH1〜H2のように小さなピッチで段階的に増大させることができる。また弾性変形片52bは弾性変形するので、それを持ち上げると、歯51bと52cの係合がはずれるので、第2のクサビ状部材52をA方向とは逆方向に移動させることができる。
【0031】
このようなスペーサー50の設置状態が良好でないと、スペーサー50が落下したり、位置がずれたりして、更生管の位置調整を良好に行うことができない。そこで、本実施例では、図9に示したような、スペーサー保持部材60が設けられる。図9において、(a)はスペーサー保持部材60の斜視図、(b)はその上面図、(c)はその正面図、(d)はその底面図、(e)はその側面図である。
【0032】
スペーサー保持部材60は直方体形状のプラスチックからなるブロック部材で、管長方向(前後方向)に平面60a、60bを有し、その下方で中央部に幅t1の溝60cが周方向(左右方向)全長に渡って形成される。溝60cの幅t1は、セグメント1の側板102、103、内部板106、107の各板厚と同じ値に設定される。このような設定により、図11に図示したように、スペーサー保持部材60の溝60cに、例えば内部板107を圧入することによりスペーサー保持部材60を内部板107に取り付けることができる。圧入を容易にするために、スペーサー保持部材60の圧入端部には傾斜面が形成される。
【0033】
また、スペーサー保持部材60の左右方向の両端部には、幅t2の溝60d、60eが形成される。溝60d、60eの幅t2は、第1のクサビ状部材の側壁51e、51fの壁厚と同じ値に設定され、スペーサー保持部材60の溝60d、60eの外側面間の距離t3は、スペーサー50の第1のクサビ状部材51の横幅に等しく設定される。このような設定により、第1のクサビ状部材51は、図12図13に示したように、スペーサー保持部材60の溝60d、60e内に圧入することができる。圧入を容易にするために、溝60d、60eの圧入端部には傾斜面が形成される。
【0034】
このような構成において、管ユニット10を組み立てるときに、図11に図示したように、スペーサー保持部材60を、例えばセグメントの内部板107に取り付ける。この取り付けは、スペーサー保持部材60の溝60cにセグメントの内部板107を圧入することにより行われる。内部板107は湾曲しているので、取り付けたときその湾曲面107bは溝60cから僅かに上方に突出する。
【0035】
このようなスペーサー保持部材60は、スペーサー50の設置数に応じて内部板107に複数個取り付ける。なお、スペーサー保持部材60は、他方の内部板107、内部板106あるいは側板102に取り付けるようにしてもよい。
【0036】
スペーサー保持部材60を内部板107に取り付けた後に、図12に図示したように、スペーサー50の第1のクサビ状部材51をスペーサー保持部材60に保持する。この保持は、第1のクサビ状部材51の側壁51e、51fをスペーサー保持部材60の溝60d、60e内に圧入することにより行われる。なお、第1のクサビ状部材51のセグメントへの取り付けは、図14に示したように、第1のクサビ状部材51の下方に突出する突起51gが内部板106の外側面と係合するように、行われる。
【0037】
第1のクサビ状部材51のスペーサー保持部材60への保持は、セグメントを周方向に連結して管ユニットを組み立てる前に、あるいは管ユニットを組み立てた後に行われる。管ユニットを所定長さ(例えば1m位)連結する毎に、上述した第1のクサビ状部材51とスペーサー保持部材60を取り付けた管ユニット10を、第1のクサビ状部材51が上方の位置にくるように、連結する。この状態が図14に図示されている。第2のクサビ状部材52の凸部52aを第1のクサビ状部材51の溝51aに嵌合させて、第2のクサビ状部材52をA方向に押圧することにより、スペーサー50の高さが増大し、第2のクサビ状部材52の上面52eが既設管21の内面に押圧され、その反力により更生管40が下方に押圧されて既設管21の底部に当接し更生管の位置決めが行われる。このような更生管の位置調整は、管ユニットを所定長さ(例えば1m位)連結する毎に行われ、更生管40が既設管21の更生すべき全長に渡って敷設された後には、すべての管ユニット10が既設管21の底部に当接した状態になっている。
【0038】
なお、本実施例において、スペーサー保持部材60に直接保持されるのは、第1のクサビ状部材51であるが、第2のクサビ状部材52が第1のクサビ状部材51から外れて落下しないように、第2のクサビ状部材52の凸部52aを第1のクサビ状部材51の溝51aに嵌合させることができる場合には、第1のクサビ状部材51をスペーサー保持部材60に取り付けた後、両部材51、52を嵌合させてスペーサー保持部材60に保持することができる。このように、本実施例では、スペーサー保持部材60に保持されるスペーサーはスペーサーの一部(第1のクサビ状部材51)あるいは全体(第1のクサビ状部材51と第2のクサビ状部材52)を意味する。
【0039】
このようにすべての管ユニット10を管長方向に連結し、更生管40が既設管21の更生すべき全長に渡って敷設された後、図6に示したように、セグメント1に注入孔41aが穿孔され、この注入孔41aを介して注入ホース41を用いて充填材30が更生管40と既設管21間の隙間に注入される。このように、更生管40はスペーサー50により下方に押圧されて既設管21の底部に当接しているので、更生管40は、注入された充填材30上に浮かぶことなく、既設管21内に適切に位置決めされており、充填材30が硬化した後には、図5に示したような、既設管21、充填材30、更生管40からなる堅固な複合管が構築される。
【0040】
上述した実施例では、スペーサー保持部材をセグメントに取り付けてからスペーサーをスペーサー保持部材に取り付けたが、スペーサーをスペーサー保持部材に取り付けた後、スペーサーを取り付けたスペーサー保持部材をセグメントに取り付けるようにしてもよい。
【0041】
このように、スペーサーは、スペーサー保持部材を介してセグメントに取り付けられるので、更生工事中に、スペーサーが落下したり、あるいは位置ずれを起こすことはなく、更生管が既設管に対して適切に位置決めされ、既設管と更生管間に充填材を確実に注入することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 セグメント
10 管ユニット
21 既設管
30 充填材
40 更生管
50 スペーサー
51 第1のクサビ状部材
52 第2のクサビ状部材
60 スペーサー保持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14