特許第6555959号(P6555959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555959
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】ボルテージレギュレータ
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   G05F1/56 310F
   G05F1/56 310E
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-146796(P2015-146796)
(22)【出願日】2015年7月24日
(65)【公開番号】特開2017-27445(P2017-27445A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小倉 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】坂口 薫
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07109797(US,B1)
【文献】 特開2004−030064(JP,A)
【文献】 特開2001−282372(JP,A)
【文献】 特開2002−184954(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/013692(WO,A1)
【文献】 特開2012−064009(JP,A)
【文献】 特開2004−318235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度係数が正の第一基準電圧を出力する第一基準電圧回路と、
温度係数が負の第二基準電圧を出力する第二基準電圧回路と、
出力トランジスタが出力する出力電圧を分圧した第一帰還電圧と第二帰還電圧を出力する帰還回路と、
前記第一帰還電圧及び前記第二帰還電圧と前記第一基準電圧及び前記第二基準電圧の誤差を増幅して出力し、前記出力トランジスタのゲートを制御する誤差増幅回路と、を備え、
前記誤差増幅回路は、
前記第一基準電圧と前記第一帰還電圧の電圧差に基づく第一出力電流と第二出力電流を出力する第一トランスコンダクタンスアンプと、
前記第二基準電圧と前記第二帰還電圧の電圧差に基づく第三出力電流と第四出力電流を出力する第二トランスコンダクタンスアンプと、
前記第一出力電流と前記第三出力電流を加算した第一加算電流と、前記第二出力電流と前記第四出力電流を加算した第二加算電流と、を出力する加算段と、
前記第一加算電流と前記第二加算電流を電圧に変換し、その差を増幅する増幅段と、を備え
前記第一トランスコンダクタンスアンプ、または前記第二トランスコンダクタンスアンプの電流源の流す電流を調整することで、前記第一基準電圧回路、または前記第二基準電圧回路の温度係数のボルテージレギュレータの出力電圧への影響度を調整する
ことを特徴とするボルテージレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力電圧が周囲温度に依存しないボルテージレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の、出力電圧の温度変動の少ない基準電圧回路である。従来の基準電圧回路10は、温度係数が正の第一基準電圧回路11の出力電圧Vref1と、温度係数が負の第二基準電圧回路12の出力電圧Vref2を、平均化回路13にて平均化した電圧を、所定の電圧に非反転増幅回路14で調整することで、温度変動の少ない基準電圧Vrefを発生する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-30064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基準電圧回路10の平均化回路13の出力端子(ノードA)の電圧VAは、平均化回路13の各抵抗の抵抗値をR、第一基準電圧回路11の出力インピーダンスをRo1、第二デプレッション基準電圧12の出力インピーダンスをRo2とすると、次式で示される。
【0005】
VA={Vref1(R+Ro2)+Vref2(R+Ro1)}/(2R+Ro1+Ro2)
ここで、抵抗値Rが出力インピーダンスRo1、Ro2を無視出来る程度に十分大きくない場合は、出力インピーダンスRo1と出力インピーダンスRo2が異なると、平均化回路13の出力電圧VAに誤差が生じる。
また、抵抗値Rを大きな値にすると、平均化回路13の占有面積が大きくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のボルテージレギュレータは、上述のような課題を解決する為に以下のような構成とした。
温度係数が正の第一基準電圧を出力する第一基準電圧回路と、
温度係数が負の第二基準電圧を出力する第二基準電圧回路と、
出力トランジスタが出力する出力電圧を分圧した帰還電圧を出力する帰還回路と、
前記帰還電圧と前記第一基準電圧及び前記第二基準電圧の誤差を増幅して出力し、前記出力トランジスタのゲートを制御する誤差増幅回路と、を備え、
前記誤差増幅回路は、
前記第一基準電圧と前記帰還電圧の電圧差に基づく第一出力電流と第二出力電流を出力する第一トランスコンダクタンスアンプと、
前記第二基準電圧と前記帰還電圧の電圧差に基づく第三出力電流と第四出力電流を出力する第二トランスコンダクタンスアンプと、
前記第一出力電流と前記第三出力電流を加算した第一加算電流と、前記第二出力電流と前記第四出力電流を加算した第二加算電流と、を出力する加算段と、
前記第一加算電流と前記第二加算電流を電圧に変換し、その差を増幅する増幅段と、を備えた
ことを特徴とするボルテージレギュレータ。
【発明の効果】
【0007】
本発明のボルテージレギュレータによれば、温度係数が正と負の出力をもつ2つの基準電圧を、それぞれ入力インピーダンスの大きなトランスコンダクタンスアンプを介して加算することで、基準電圧回路の出力インピーダンスのバラツキの影響を受けない、出力電圧の温度変動が少ないボルテージレギュレータを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
図2】本実施形態のボルテージレギュレータの誤差増幅回路を示す回路図である。
図3】本実施形態のボルテージレギュレータの誤差増幅回路の他の例を示す回路図である。
図4】従来の基準電圧回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態のボルテージレギュレータを示すブロック図である。
本実施形態のボルテージレギュレータは、第一基準電圧回路20と、第二基準電圧回路21と、第一トランスコンダクタンスアンプ22、第二トランスコンダクタンスアンプ23、加算段30、及び増幅段29を含んだ誤差増幅回路27と、帰還回路25と、MOSFET24を備えている。
【0010】
第一トランスコンダクタンスアンプ22は、非反転入力端子(以下+端子と称す)が帰還回路25の出力端子に接続し、反転入力端子(以下−端子と称す)が第一基準電圧回路20に接続する。第二トランスコンダクタンスアンプ23は、+端子が帰還回路25の出力端子に接続し、−端子が第二基準電圧回路21に接続する。増幅段29は、入力端子に第一トランスコンダクタンスアンプ22の出力端子と第二トランスコンダクタンスアンプ23の出力端子が加算段30を介して接続され、出力端子がMOSFET24のゲートに接続される。MOSFET24は、ソースが電源端子300に接続され、ドレインがボルテージレギュレータの出力端子26に接続される。帰還回路は、ボルテージレギュレータの出力端子26とGND301の間に接続される。
【0011】
第一基準電圧回路20は、負の温度係数をもつ基準電圧Vref1を出力する。第二基準電圧回路21は、正の温度係数をもつ基準電圧Vref2を出力する。帰還回路25は、ボルテージレギュレータの出力端子26に発生する出力電圧Voutを分圧し、出力端子に分圧電圧Vfbを出力する。誤差増幅回路27は、帰還電圧Vfbと基準電圧Vref1及び基準電圧Vref2の誤差を増幅して、出力電圧でMOSFET24のゲートを制御する。
【0012】
図2は、本実施形態のボルテージレギュレータの誤差増幅回路を示す回路図である。
誤差増幅回路27は、第一トランスコンダクタンスアンプ22と第二トランスコンダクタンスアンプ23と加算段30と増幅段29を備えている。第一トランスコンダクタンスアンプ22は、NchMOSFET101、102と電流源114を備えている。第二トランスコンダクタンスアンプ23は、NchMOSFET108、109と電流源115を備えている。増幅段29は、PchMOSFET111、112、203と電流源116を備えている。
【0013】
第一トランスコンダクタンスアンプ22は、入力端子104に第一基準電圧回路20が接続され、入力端子105に帰還回路25の出力端子が接続される。第二トランスコンダクタンスアンプ23は、入力端子107に第二基準電圧回路21が接続され、入力端子108に帰還回路25の出力端子が接続される。第一トランスコンダクタンスアンプ22と第二トランスコンダクタンスアンプ23の出力端子は、加算段30で接続される。加算段30の出力端子は、増幅段29の入力端子に接続される。
【0014】
加算段30は、前段に第一トランスコンダクタンスアンプ22と第二トランスコンダクタンスアンプ23を備えている。入力端子がMOSFETのゲートであるため、第一基準電圧回路20及び第二基準電圧回路21から見た加算段30の入力インピーダンスは高くなる。従って、第一基準電圧回路20及び第二基準電圧回路21の出力インピーダンスの加算段30への影響は無視することができる。
【0015】
第一トランスコンダクタンスアンプ22は、基準電圧Vref1と帰還電圧Vfbの差分電圧から出力電流Io1、Io2を出力する。
第二トランスコンダクタンスアンプ23は、基準電圧Vref2と帰還電圧Vfbの差分電圧から出力電流Io3、Io4を出力する。
【0016】
加算段30は、出力電流Io1と出力電流Io3を加算して加算電流Ia1を出力し、出力電流Io2と出力電流Io4を加算して加算電流Ia2を出力する。加算電流Ia1、Ia2は、増幅段29により電圧に変換及び増幅されて、誤差増幅回路27の出力端子28に出力される。この出力電圧は、MOSFET24のゲートに入力され、ボルテージレギュレータの出力電圧Voutを温度変動の少ない所望の値に制御する。
【0017】
以上に説明したように、本実施形態のボルテージレギュレータによれば、温度係数が正と負の出力をもつ2つの基準電圧を、それぞれ入力インピーダンスの大きなトランスコンダクタンスアンプを介して加算することで、基準電圧回路の出力インピーダンスのバラツキの影響を受けない、出力電圧の温度変動が少ないボルテージレギュレータを実現できる。
【0018】
図3は、本実施形態のボルテージレギュレータの誤差増幅回路の他の例を示す回路図である。
誤差増幅回路27は、第一トランスコンダクタンスアンプ22aと第二トランスコンダクタンスアンプ23aと加算段30と増幅段29aを備えている。第一トランスコンダクタンスアンプ22aと第二トランスコンダクタンスアンプ23aは、PchMOSFETの入力対で構成した。増幅段29aは、トランスコンダクタンスアンプの構成に合わせて、NchMOSFETで構成している。
【0019】
誤差増幅回路27は、このように、第一トランスコンダクタンスアンプ22aと、第二トランスコンダクタンスアンプ23aと、増幅段29aとで構成しても同様の効果が得られる。
【0020】
また、誤差増幅回路27は、図1図2の回路の組合せを適宜選択して構成しても良い。例えば、第一トランスコンダクタンスアンプ22aと第二トランスコンダクタンスアンプ23と加算段30と増幅段29で構成しても良い。
【0021】
なお、帰還回路25は、第一帰還電圧Vfbと第二帰還電圧Vfbを出力する構成としてもよい。第一帰還電圧Vfbは第一トランスコンダクタンスアンプ22に入力され、第二帰還電圧Vfbは第二トランスコンダクタンスアンプ23に入力される。このように構成することで、第一基準電圧回路20と第二基準電圧回路21の基準電圧のバラツキを帰還回路25で補償することが可能となる。
【0022】
また、2つの基準電圧を夫々2つのトランスコンダクタンスアンプを介して加算する構成としたので、トランスコンダクタンスアンプ夫々の電流源114、115の流す電流を調整することで、基準電圧回路20、21の温度係数のボルテージレギュレータの出力電圧への影響度を調整することが出来る。
【0023】
以上に説明したように、本実施形態のボルテージレギュレータによれば、温度係数が正と負の出力をもつ2つの基準電圧を、それぞれ入力インピーダンスの大きなトランスコンダクタンスアンプを介して加算することで、基準電圧回路の出力インピーダンスのバラツキの影響を受けない、出力電圧の温度変動が小さなボルテージレギュレータを実現できる。
【符号の説明】
【0024】
20 第一基準電圧回路
21 第二基準電圧回路
22、22a 第一トランスコンダクタンスアンプ
23、23a 第二トランスコンダクタンスアンプ
25 帰還回路
27 誤差増幅回路
29、29a 増幅段
30 加算段
114、115、116 電流源
図1
図2
図3
図4