(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555961
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】エンジン作業機
(51)【国際特許分類】
F02B 63/00 20060101AFI20190729BHJP
F02B 63/02 20060101ALI20190729BHJP
F01P 5/04 20060101ALI20190729BHJP
F01P 5/06 20060101ALI20190729BHJP
F02N 3/02 20060101ALI20190729BHJP
F02F 7/00 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
F02B63/00 D
F02B63/02
F01P5/04 D
F01P5/06 501
F01P5/06 510A
F01P5/06 510B
F02N3/02 P
F02F7/00 301Z
F02B63/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-149752(P2015-149752)
(22)【出願日】2015年7月29日
(65)【公開番号】特開2017-31820(P2017-31820A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆広
(72)【発明者】
【氏名】白井 健
(72)【発明者】
【氏名】上田 峻輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健太
【審査官】
金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−307690(JP,A)
【文献】
特開平08−210134(JP,A)
【文献】
特開2012−002143(JP,A)
【文献】
特開2012−021465(JP,A)
【文献】
実開平02−135202(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 63/00−63/02
F01P 5/04− 5/06
F02F 1/00− 1/42, 7/00
F02N 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン作業機(1)であって、
エンジンユニット(2)と、ハウジング(4)と、羽根付きロータ(6)と、を有し、 前記エンジンユニット(2)は、クランクケース(10)と、前記クランクケース(10)のドライブ側から延びるドライブ側シャフト(16a)と、前記クランクケース(10)のマグネト側から延びるマグネト側シャフト(16b)と、前記クランクケース(10)と前記ドライブ側シャフト(16a)及び前記マグネト側シャフト(16b)との間をシールするオイルシール(18a、18b)を含み、
前記ハウジング(4)は、第1の壁(20)と、ドライブ側において前記クランクケース(10)に隣接して設けられた第2の壁(22a)と、マグネト側において前記クランクケース(10)に隣接して設けられた第3の壁(22b)と、を含み、
前記羽根付きロータ(6)は、前記第3の壁(22b)を越えて延びる前記マグネト側シャフト(16b)に固定され且つ前記第3の壁(22b)を越えたところに配置され、 前記クランクケース(10)と前記第1の壁(20)との間に、空気通路(24)が設けられ、前記空気通路(24)は、前記ドライブ側シャフト(16a)のオイルシール(18a)の周りの前記クランクケース(10)に沿って空気流が流れるように前記ドライブ側シャフト(16a)のオイルシール(18a)の近傍に設けられた入口開口(32)と、前記羽根付きロータ(6)に面するように前記第3の壁(22b)に設けられた出口開口(34)と、を有し、
前記羽根付きロータ(6)の回転により、前記入口開口(32)から前記空気通路(24)を通って前記出口開口(34)に流れる空気流を生じさせることを特徴とするエンジン作業機(1)。
【請求項2】
さらに、前記第2の壁(22a)に取付けられ且つ前記ドライブ側シャフト(16a)を少なくとも部分的に包囲する要素(28)を有することを特徴とする請求項1に記載のエンジン作業機(1)。
【請求項3】
前記要素は、オイルポンプ(28)又はリコイルケースであることを特徴とする請求項2に記載のエンジン作業機(1)。
【請求項4】
前記入口開口(32)は、第1の壁(20)又は第2の壁(22a)に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジン作業機(1)。
【請求項5】
前記入口開口(32)は、第1の壁に設けられ、且つ、前記ドライブ側シャフト(16a)のオイルシール(18a)の軸線方向位置と同じ軸線方向位置に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジン作業機(1)。
【請求項6】
前記出口開口(34)は、前記羽根付きロータ(6)の羽根(6b)と同じ方向に傾斜する細長い孔であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンジン作業機(1)。
【請求項7】
前記第1の壁(20)は、前記入口開口(32)の近くに配置され且つ前記ドライブ側シャフト(16a)を横断する方向に延びるリブ(36)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のエンジン作業機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン作業機に関し、更に詳細には、エンジンユニットのオイルシールを冷却する機能を有するエンジン作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエンジン作業機のエンジンユニットは、クランクケースと、クランクシャフトを有しており、クランクシャフトは、クランクケースのドライブ側から延びるドライブ側シャフトと、クランクケースのマグネト側から延びるマグネト側シャフトとを含んでいる。また、エンジンユニット内の気密性を確保するオイルシールが、クランクケースとドライブ側シャフト及びマグネト側シャフトとの間に設けられている。また、マグネト側シャフトに羽根付きのロータ(例えば,羽根付きフライホイール)が取付けられ、羽根付きロータの回転により、エンジンユニット(特に、エンジンユニットの上部のフィン付きシリンダブロック)を冷却する空気流を生じさせる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−210134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マグネト側シャフトのオイルシールの周りのクランクケースは、羽根付きロータの近くにあるので、羽根付きロータの回転によって生じた空気流により冷却される。一方、マグネト側シャフトと反対側にあるドライブ側シャフトのオイルシールの周りのクランクケースは、羽根付きロータの回転によって生じた空気流が到達しにくく、かかる空気流による冷却は難しい。そのため、ドライブ側シャフトのオイルシールの冷却は、一般に、外気との接触に依存している。しかしながら、ドライブ側シャフトのオイルシールの周りのクランクケースがカバーで覆われる等、オイルシールと外気との接触機会が少なくなると、オイルシールが高温になり、変形しやすくなる。オイルシールの変形により、エンジンユニット内の気密性が保たれなくなり、エンジンの停止を引き起こすことがある。特に、ドライブ側シャフトにオイルポンプやリコイルケースが取付けられる場合、ドライブ側シャフトのオイルシールの冷却が困難になる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、エンジンユニットのドライブ側シャフトのオイルシールを効果的に冷却するエンジン作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によるエンジン作業機は、エンジンユニットと、ハウジングと、羽根付きロータと、を有し、エンジンユニットは、クランクケースと、クランクケースのドライブ側から延びるドライブ側シャフトと、クランクケースのマグネト側から延びるマグネト側シャフトと、クランクケースとドライブ側シャフト及びマグネト側シャフトとの間をシールするオイルシールを含み、ハウジングは、第1の壁と、ドライブ側においてクランクケースに隣接して設けられた第2の壁と、マグネト側においてクランクケースに隣接して設けられた第3の壁と、を含み、羽根付きロータは、第3の壁を越えて延びるマグネト側シャフトに固定され且つ第3の壁を越えたところに配置され、クランクケースと第1の壁との間に、空気通路が設けられ、空気通路は、ドライブ側シャフトのオイルシールの近傍に設けられた入口開口と、羽根付きロータに面するように第3の壁に設けられた出口開口と、を有し、羽根付きロータの回転により、入口開口から空気通路を通って出口開口に流れる空気流を生じさせることを特徴としている。
【0007】
このように構成されたエンジン作業機では、羽根付きロータの回転により、出口開口付近に負圧を生じさせ、大気圧と負圧との間の圧力差を利用して、第1の壁の入口開口から空気通路を通って出口開口に流れる空気流を生じさせる。入口開口が、ドライブ側シャフトのオイルシールの近傍に設けられているので、空気流が、ドライブ側シャフトのオイルシールの周りのクランクケースに沿って流れ、それにより、オイルシールを冷却することができる。
【0008】
本発明によるエンジン作業機の実施形態において、好ましくは、さらに、第2の壁に取付けられ且つドライブ側シャフトを少なくとも部分的に包囲する要素を有し、かかる要素は、オイルポンプであってもよいし、リコイルケースであってもよい。
【0009】
このように構成されたエンジン作業機では、ドライブ側シャフトのオイルシールと外気との接触機会が特に少なくなるので、入口開口から流入した空気流によるドライブ側シャフトのオイルシールの冷却がより効果的になる。
【0010】
本発明によるエンジン作業機の実施形態において、入口開口は、第1の壁に設けられてもよいし、第2の壁に設けられてもよい。
【0011】
入口開口が第1の壁に設けられる実施形態において、好ましくは、入口開口は、ドライブ側シャフトのオイルシールの軸線方向位置と同じ軸線方向位置に設けられる。
【0012】
本発明によるエンジン作業機の実施形態において、好ましくは、出口開口は、羽根付きロータの羽根と同じ方向に傾斜する細長い孔である。
【0013】
このように構成されたエンジン作業機では、羽根付きロータの回転により出口開口付近に生じた負圧を効果的に維持し、それにより、第1の壁の入口開口から空気通路を通って出口開口に流れる空気流を効果的に生じさせる。
【0014】
本発明によるエンジン作業機の実施形態において、好ましくは、第1の壁は、入口開口の近くに配置され且つドライブ側シャフトを横断する方向に延びるリブを有する。
【0015】
このように構成されたエンジン作業機では、入口開口から流入した空気が、リブによってオイルシールの周りのクランクケースの部分に案内され且つ集中させられるので、かかる部分の冷却効果を高めることができる。また、リブにより、入口開口から流入した空気の滞留を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したとおり、本発明によるエンジン作業機により、ドライブ側シャフトのオイルシールを効果的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一部を省略した本発明によるエンジン作業機の斜視図である。
【
図2】本発明によるエンジン作業機の垂直方向断面図である。
【
図3】本発明によるエンジン作業機のハウジングの斜視図である。
【
図4】本発明によるエンジン作業機の水平方向断面図である。
【
図5】一部を省略した本発明によるエンジン作業機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び
図5に示すように、本発明によるエンジン作業機1は、例えば、チェーンソーであり、主に、エンジンユニット2と、ハウジング4と、羽根付きロータ6を有している。
【0019】
図2に示すように、エンジンユニット2は、シリンダブロック8と、クランクケース10を有している。エンジンユニット2は、更に、ピストン12と、コネクティングロッド14と、クランクシャフト16を有している。クランクシャフト16は、クランクケース10のドライブ側から延びるドライブ側シャフト16aと、クランクケース10のマグネト側から延びるマグネト側シャフト16bを含んでいる。ドライブ側シャフト16a及びマグネト側シャフト16bは、軸線方向Aに延びている。エンジンユニット2は、更に、クランクケース10とドライブ側シャフト16aの間をシールする第1のオイルシール18aと、クランクケース10とマグネト側シャフト16bの間をシールする第2のオイルシール18bを有している。クランクケース10の下面は、シャフト16a、16bの軸線を中心とする円筒の一部分を構成するような輪郭を有して湾曲している(図示せず)。
【0020】
図1〜
図3に示すように、ハウジング4は、第1の壁である底壁20と、ドライブ側においてクランクケース10と隣接して設けられた第2の壁であるドライブ側壁22aと、マグネト側においてクランクケース10と隣接して設けられた第3の壁であるマグネト側壁22bを含んでいる。
【0021】
図2に示すように、底壁20は、エンジンユニット2の下方に位置し、すなわち、シリンダブロック8と反対側のクランクケース10の部分に対向するように配置されている。また、
図3に示すように、底壁20は、シャフト16a、16bの軸線を中心とする円筒の一部分を構成するような輪郭を有して湾曲し、エンジンユニット2が取付けられる2つの取付け面20a、20bを有している。取付け面20a、20bは各々、底壁20の隆起部分であり、軸線方向Aに延びている。また、取付け面20a、20bは、軸線方向Aと垂直な方向Bに離間している。後述するように、取付け面20a、20bにエンジンユニット2が取付けられたとき、クランクケース10と底壁20の間に空気通路24が形成される。
【0022】
図1〜
図3に示すように、ドライブ側壁22aは、底壁20からエンジンユニット2に沿ってドライブ側シャフト16aを越えて上方に延びている。ドライブ側壁22aは、ドライブ側シャフト16aが貫通する孔26を有している。
【0023】
図2及び
図4に示すように、本実施形態では、エンジン作業機1は、さらに、ドライブ側シャフト16aを少なくとも部分的に包囲する要素であるオイルポンプ28を有している。オイルポンプ28は、孔26を側方から覆うようにドライブ側壁22aに取付けられ、ドライブ側シャフト16aは、オイルポンプ28を貫通している。
図4に示すように、オイルポンプ28は、チェーンソーのチェーン30aの駆動部30bの潤滑のためのものであり、駆動部30bは、カバー30cによって密封されている。
【0024】
図2及び
図3に示すように、マグネト側壁22bは、底壁20からクランクケース10に沿ってマグネト側シャフト16bの下方まで延びている。すなわち、マグネト側壁22bは、マグネト側シャフト16bよりも上方を覆っていない。それにより、エンジンユニット2のシリンダブロック8は、羽根付きロータ6に対して開放されている。
【0025】
図2に示すように、羽根付きロータ6は、マグネト側壁22bを越えて延びるマグネト側シャフト16bに固定され且つマグネト側壁22bを越えたところに配置されている。羽根付きロータ6は、フライホイール部分6aと、フライホイール6aの外面に設けられた複数の羽根6bを有している。
図5に示すように、羽根6bは、正面から見て、半径方向外方に向かうにつれて反時計回りに傾斜する輪郭を有している。
【0026】
図2に示すように、クランクケース10と底壁20との間に、空気通路24が設けられている。詳細には、エンジンユニット2が底壁20の隆起部分である取付け面20a、20bに取付けられることにより、クランクケース10が底壁20よりも上に位置する。また、取付け面20a、20bのところでの空気の出入りがないので、ドライブ側からマグネト側に軸線方向Aに延びる空気通路24が形成される。空気通路24は、シャフト16a、16bの軸線を中心とする薄肉円筒の一部分を構成するような輪郭を有している。
【0027】
空気通路24は、ドライブ側シャフト16aのオイルシール18aの近傍において底壁20に設けられた入口開口32(
図3参照)と、羽根付きロータ6に面するようにマグネト側壁22bに設けられた出口開口34(
図3及び
図5参照)を有している。入口開口32は、軸線方向Aにおいて、ドライブ側シャフト16aのオイルシール18aの位置と同じ位置に設けられることが好ましい。本実施形態では、入口開口32が、オイルシール18aの下方に設けられている。なお、空気通路24は、本実施形態では、ドライブ側において、ドライブ側壁22a及びオイルポンプ28によって実質的に閉鎖され、マグネト側において、出口開口34以外のマグネト側壁22bによって実質的に閉鎖されている。
【0028】
図2及び
図3に示すように、底壁20は、入口開口32の近くに配置され且つ軸線方向Aと垂直な方向(ドライブシャフト16aを横切る方向)Bに延びるリブ36を有している。リブ36は、クランクケース10と接触せず、空気通路24のための切欠き36aを有している。
【0029】
出口開口34は、羽根付きロータ6の羽根6bと同じ方向に傾斜する1つの細長い孔であり、マグネト側シャフト16bの下方に位置している。かかる孔形状は、羽根付きロータ6の回転により出口開口34付近に生じた負圧を効果的に維持し、それにより、底壁20の入口開口32から空気通路24を通って出口開口34に流れる空気流を効果的に生じさせるのに役立つ。また、出口開口34は、入口開口32と軸線方向Aにおいて実質的に整列している。
【0030】
次に、本発明によるエンジン作業機の作動を説明する。
【0031】
エンジン作業機1を作動させると、羽根付きロータ6の回転により、外気からエンジンユニット2のシリンダブロック8に向かう空気流が形成される。それにより、マグネト側壁22bと羽根付きロータ6との間が負圧になる。その結果、入口開口32から空気通路24を通って出口開口34に流れる空気流を生じさせる。入口開口32が、ドライブ側シャフト16aのオイルシール18aの近傍に設けられているので、空気流が、オイルシール18aの周りのクランクケース10に沿って流れ、それにより、オイルシール18aを冷却することができる。また、入口開口32から流入した空気が、リブ36によってオイルシール18aの周りのクランクケース10の部分に案内され且つ集中させられるので、かかる部分の冷却効果を高めることができる。また、リブ36により、入口開口32から流入した空気の滞留を防止することができる。
【0032】
かかる空気通路24は、オイルポンプ28がドライブ側壁22aに取付けられ且つドライブ側シャフト16aがオイルポンプ28を貫通している場合に特に有用である。すなわち、オイルポンプ28及びカバー30cにより、ドライブ側のオイルシール18aと外気との接触機会が特に少なくなるので、入口開口32から流入した空気流によるドライブ側のオイルシール18aの冷却がより効果的になる。
【0033】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0034】
上記実施形態では、入口開口32は、底壁20において、オイルシール18aの下方に設けられていたけれども、空気流がオイルシール18aの周りのクランクケース10に沿って流れれば、オイルシール18aの斜め下方に設けられていてもよいし、オイルシール18aの側方に設けられていてもよい。また、入口開口32は、ドライブ側シャフト16aのオイルシール18aの軸線方向位置と同じ軸線方向位置に設けられていたけれども、空気流がオイルシール18aの周りのクランクケース10に沿って流れれば、他の位置に設けられてもよい。また、入口開口32の数は任意である。
【0035】
上記実施形態では、出口開口34は、マグネト側シャフト16bの下方に配置されていたけれども、出口開口34は、正面から見て、シャフト16a、16bの軸線を中心とし且つかかる軸線に対して右下に位置する4分の1円内又は左下に位置する4分の1円内に配置されてもよい。好ましくは、出口開口34は、羽根付きロータ6の回転により生じる負圧が比較的高い上記左下に位置する4分の1円内に配置される。
【0036】
入口開口32から空気通路24を通って出口開口34に流れる空気流を効果的に生じさせるために、入口開口32及び出口開口34の配置は、軸線方向Aに整列することが好ましいが、かかる空気流が生じれば、それ以外の配置であってもよい。
【0037】
上記実施形態では、入口開口32は底壁20に設けられていたけれども、空気流がオイルシール18aの周りのクランクケース10に沿って流れれば、入口開口32はドライブ側壁22aに設けられてもよい。
【0038】
上記実施形態では、フライホイール部分6aの外側(エンジンユニット2の側と反対側)に羽根6bが設けられていたが、フライホイール部分6aの内側にも羽根を設けて、空気通路24から積極的に空気を吸引してもよい。
【0039】
上記実施形態では、ドライブ側壁22aに取り付けられ且つドライブ側シャフト16aを少なくとも部分的に包囲する要素として、オイルポンプ28が設けられていたけれども、かかる要素は、エンジンユニット2を始動させるときに使用されるリコイルスタータを収容したリコイルケースであってもよいし、その他の要素であってもよい。
【0040】
上記実施形態では、エンジン作業機は、チェーンソーであったが、それに限らず、その他のエンジン作業機であってもよい。かかるエンジン作業機は、例えば、エンジンカッタ、刈払機、ヘッジトリマ、ブロワである。
【0041】
上記実施形態では、クランクケース10がシリンダブロック8に対して下方に配置されたエンジン作業機1を説明したけれども、クランクケース10がシリンダブロック8に対して斜め下方に配置されていてもよいし、横方向に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 エンジン作業機
2 エンジンユニット
4 ハウジング
6 羽根付きロータ
6b 羽根
10 クランクケース
16a ドライブ側シャフト
16b マグネト側シャフト
18a、18b オイルシール
20 底壁(第1の壁)
22a ドライブ側壁(第2の壁)
22b マグネト側壁(第3の壁)
24 空気通路
28 オイルポンプ(要素)
32 入口開口
34 出口開口
36 リブ