(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の電磁波測定用アンテナポジショナでは、ボールネジ機構を用いているため、重量が増加して測定現場への搬送が困難になると共に、縦方向及び横方向の長さ調節が困難であるという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、軽量化により測定現場への搬送が容易であると共に、長さ調節を容易に行うことができる電磁波測定用アンテナポジショナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の電磁波測定用アンテナポジショナは、滑り止めが施された第一案内面を有する第一レールと、前記第一案内面の上を転がる第一ローラと、前記第一ローラを回転させる第一モータとを有し、前記第一レールに沿って移動する第一スライド部と、平面視にて前記第一レールの長手方向と直交する方向を長手方向として配置されると共に、滑り止めが施された第二案内面を有し、前記第一スライド部と一体に移動する第二レールと、前記第二案内面の上を転がる第二ローラと、前記第二ローラを回転させる第二モータとを有すると共に、電磁波測定アンテナが設置され、前記第二レールに沿って移動する第二スライド部と、を備える。
【0008】
この電磁波測定用アンテナポジショナによれば、電磁波測定アンテナを移動させるために、ボールネジ機構ではなくローラ及びレールを用いている。したがって、ボールネジ機構を用いる場合に比して軽量化することができるので、測定現場への搬送が容易である。
【0009】
また、ボールネジ機構では困難であった長さ調節も、例えば、レールの交換、レールの切断、分割式レールの採用、伸縮式レールの採用等により容易に行うことができる。
【0010】
しかも、第一ローラ及び第二ローラがそれぞれ転がる第一案内面及び第二案内面には、滑り止めがそれぞれ施されている。したがって、第一ローラ及び第二ローラの滑りを抑制することができるので、電磁波測定アンテナの移動精度も確保することができる。
【0011】
なお、
請求項3に記載のように、請求項1に記載の電磁波測定用アンテナポジショナにおいて、前記第一レールを含むフレームを備え、前記第一スライド部、前記第二レール、及び、前記第二スライド部を含む可動部は、前記フレームに対して着脱可能であっても良い。
【0012】
この電磁波測定用アンテナポジショナによれば、第一モータ及び第二モータ等の重量物は、可動部に設けられているので、フレーム自体の重さを軽くすることができる。また、可動部は、フレームに対して着脱可能であるので、可動部をフレームから取り外した状態とすれば、軽量化されたフレームを単体で測定現場への搬送することができる。
【0013】
また、電磁波測定アンテナを移動させるために、ボールネジ機構ではなくローラ及びレールを用いているので、可動部をフレームから容易に取り外すことができ、設置場所に合せたサイズのフレームに交換することができる。
【0014】
また、
請求項4に記載のように、
請求項3に記載の電磁波測定用アンテナポジショナにおいて、前記フレームは、互いに平行に配置された一対の前記第一レールと、前記一対の第一レールにおける長手方向両側の端部同士をそれぞれ連結する一対の連結部材と、前記連結部材を前記第一レールに着脱可能に固定する固定部材とを有していても良い。
【0015】
この電磁波測定用アンテナポジショナによれば、固定部材を取り外せば、連結部材を第一レールから取り外すことができるので、例えば、この連結部材を取り外した箇所を通じて縦配管等をフレームの内側に収容することができる。これにより、縦配管等が設置されるなどにより、測定したい場所が狭い場合でも、電磁波測定用アンテナポジショナを設置することができる。
【0016】
また、
請求項1に記載の発明は、前記第一レールに設けられ、前記第一スライド部が原点にあることを検出する第一原点検出器
、及び、前記第一スライド部が限界点にあることを検出する第一限界点検出器と、前記第二レールに設けられ、前記第二スライド部が原点にあることを検出する第二原点検出器
、及び、前記第一スライド部が限界点にあることを検出する第一限界点検出器とを備えて
いる。
【0017】
この電磁波測定用アンテナポジショナによれば、測定現場における第一原点検出器及び第二原点検出器の絶対位置を測定すれば、この測定現場における第一原点検出器及び第二原点検出器の絶対位置と、第一原点検出器に対する第一スライド部の相対位置、及び、第二原点検出器に対する第二スライド部の相対位置とに基づいて、測定現場における電磁波測定アンテナの絶対位置を検出することができる。
【0018】
また、
請求項5に記載のように、
請求項1に記載の電磁波測定用アンテナポジショナにおいて、前記第一原点検出器は、前記第一レールにおける取付位置を前記第一レールの長手方向に変更可能とされ、前記第二原点検出器は、前記第二レールにおける取付位置を前記第二レールの長手方向に変更可能とされていても良い。
【0019】
この電磁波測定用アンテナポジショナによれば、測定現場において電磁波測定用アンテナポジショナの位置を移動しなくても、第一レールにおける第一原点検出器の取付位置、及び、第二レールにおける第二原点検出器の取付位置をそれぞれ変更することで、測定現場における第一原点検出器及び第二原点検出器の絶対位置を変更することができる。これにより、電磁波測定用アンテナポジショナの使い勝手を向上させることができる。
【0020】
また、
請求項1に記載の発明は、電磁波測定用アンテナポジショナにおいて、前記第一案内面及び前記第二案内面には、前記滑り止めとして滑り止め用シールが貼り付けられている。
【0021】
この電磁波測定用アンテナポジショナによれば、第一案内面及び第二案内面の滑り止めとして、滑り止め用シールを用いており、安価な構成により、第一ローラ及び第二ローラの滑りを抑制することができるので、コストアップを抑制することができる。
【0022】
また、
請求項2に記載の電磁波測定用アンテナポジショナは、前記第一レールには、前記第一レールの長手方向に延びる第一ガイド溝が形成されると共に前記第一ガイド溝の幅方向両側に前記第一案内面が形成され、前記第二レールには、前記第二レールの長手方向に延びる第二ガイド溝が形成されると共に前記第二ガイド溝の幅方向両側に前記第二案内面が形成され、前記第一スライド部には、前記第一ガイド溝に挿入された第一ガイドローラが設けられ、前記第一スライド部には、前記第二ガイド溝に挿入された第二ガイドローラが
設けられている。
【0023】
この電磁波測定用アンテナポジショナによれば、第一スライド部に設けられた第一ガイドローラが、第一レールに形成された第一ガイド溝に挿入されているので、第一スライド部の直進性を向上させることができる。同様に、第二スライド部に設けられた第二ガイドローラが、第二レールに形成された第二ガイド溝に挿入されているので、第二スライド部の直進性を向上させることができる。これにより、第一レール及び第二レールの長手方向に沿った電磁波測定アンテナの移動精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上詳述したように、本発明の電磁波測定用アンテナポジショナによれば、軽量化により測定現場への搬送が容易であると共に、長さ調節を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0027】
図1〜
図3に示されるように、本実施形態の電磁波測定用アンテナポジショナ10は、一対の第一レール12と、一対の連結部材14と、第二レール16と、一対の第一スライド部18,20と、第二スライド部22とを備える。
【0028】
一対の第一レール12は、電磁波測定用アンテナポジショナ10のX方向に沿って延びており、互いに平行に配置されている。一対の連結部材14は、電磁波測定用アンテナポジショナ10のY方向に沿って延びており、一方の連結部材14は、一対の第一レール12における長手方向一方側の端部同士を連結し、他方の連結部材14は、一対の第一レール12における長手方向他方側の端部同士を連結している。
【0029】
この一対の第一レール12、及び、一対の連結部材14は、四角枠状のフレーム24を構成している。第一レール12と連結部材14との固定には、固定部材26が使用されている。固定部材26は、例えばボルトであり、固定部材26にボルトが使用されることにより、一対の連結部材14は、一対の第一レール12に対してそれぞれ着脱可能とされている。
【0030】
第二レール16は、平面視にて第一レール12の長手方向と直交する方向を長手方向として配置されており、電磁波測定用アンテナポジショナ10のY方向に沿って延びている。この第二レール16は、後述する一対の第一スライド部18,20を介して一対の第一レール12に取り付けられており、一対の第一スライド部18,20と一体に移動する。
【0031】
一対の第一レール12の上面には、第一レール12の長手方向に延びる第一ガイド溝28が形成されている。この第一ガイド溝28は、一対の第一レール12の上面の横幅方向の中央部に形成されている。一対の第一レール12の上面において、第一ガイド溝28の両側は、第一案内面30として形成されている。
【0032】
同様に、第二レール16の上面には、第二レール16の長手方向に延びる第二ガイド溝32が形成されている。この第二ガイド溝32は、第二レール16の上面の横幅方向の中央部に形成されている。第二レール16の上面において、第二ガイド溝32の両側は、第二案内面34として形成されている。
【0033】
上述の第一案内面30には、滑り止めの一例として、滑り止め用シール36が貼り付けられており、同様に、第二案内面34には、滑り止めの一例として、滑り止め用シール38が貼り付けられている。滑り止め用シール36,38には、例えば、表面が粗面とされたシリコンゴムシート等が好適に使用される。
【0034】
一対の第一スライド部18,20は、一対の第一レール12に沿って移動する。一方の第一スライド部18は、駆動側であり、第一案内面30の上を転がる一対の第一ローラ40と、一方の第一ローラ40を回転させる第一モータ42と、一対の第一ローラ40及び第一モータ42を支持する第一ブラケット44等を有する。第一モータ42によって回転される第一ローラ40の外周面には、例えば、ローレットなどの凹凸が形成されていると好適である。
【0035】
他方の第一スライド部20は、従動側であり、一方の第一スライド部18から第一モータ42が省かれた構成とされている。この他方の第一スライド部20において、第一モータ42が省かれた以外は、一方の第一スライド部18と同様の構成とされている。つまり、他方の第一スライド部20は、第一案内面30の上を転がる一対の第一ローラ40と、一対の第一ローラ40を支持する第一ブラケット44等を有する。一対の第一スライド部18,20に設けられた各第一ローラ40は、電磁波測定用アンテナポジショナ10のY方向に延びる回転軸を中心に回転する。
【0036】
各第一ローラ40の横幅方向の中央部には、第一ローラ40よりも大径の第一ガイドローラ46が設けられており、この第一ガイドローラ46の外周側の部分は、第一ガイド溝28に挿入されている。第一ガイドローラ46の外周側の部分が第一ガイド溝28に挿入されることにより、第一ローラ40は、第一レール12の長手方向に沿って真っ直ぐに転がるように規制される。
【0037】
また、一対の第一スライド部18,20は、側面ローラ48をそれぞれ有する。側面ローラ48は、上述の第一ローラ40と同様の構成とされており、側面ローラ48よりも大径の側面ガイドローラ50を有する。この側面ガイドローラ50を有する側面ローラ48は、電磁波測定用アンテナポジショナ10のZ方向に延びる回転軸を中心に回転する。
【0038】
一対の第一レール12の側面には、側面溝52がそれぞれ形成されており、側面ローラ48に設けられた側面ガイドローラ50の外周側の部分は、側面溝52に挿入されている。各側面ローラ48に設けられた側面ガイドローラ50の外周側の部分が一対の第一レール12の側面に形成された側面溝52に挿入されることにより、一対の第一レール12に対する一対の第一スライド部18,20のZ方向の位置が規制されている。
【0039】
第二スライド部22は、第二レール16に沿って移動する。この第二レール16は、第二案内面34の上を転がる一対の第二ローラ60と、一方の第二ローラ60を回転させる第二モータ62と、一対の第二ローラ60及び第二モータ62を支持する第二ブラケット64等を有している。各第二ローラ60は、電磁波測定用アンテナポジショナ10のX方向に延びる回転軸を中心に回転する。
【0040】
また、第二モータ62と、上述の第一モータ42には、例えば、ステッピングモータが使用される。第一モータ42及び第二モータ62にステッピングモータが使用されることにより、第一スライド部18及び第二スライド部22をパルス数に応じて高精度に移動させることが可能になる。
【0041】
第一ローラ40と同様に、第二ローラ60の横幅方向の中央部には、第二ローラ60よりも大径の第二ガイドローラ66が設けられており、この第二ガイドローラ66の外周側の部分は、第二ガイド溝32に挿入されている。第二ガイドローラ66の外周側の部分が第二ガイド溝32に挿入されることにより、第二ローラ60は、第二レール16の長手方向に沿って真っ直ぐに転がるように規制される。
【0042】
また、一対の第一スライド部18,20と同様に、第二スライド部22は、側面ローラ68を有する。側面ローラ68は、上述の第一スライド部の側面ローラ48と同様の構成とされており、側面ローラ68よりも大径の側面ガイドローラ70を有する。この側面ガイドローラ70を有する側面ローラ68は、電磁波測定用アンテナポジショナ10のZ方向に延びる回転軸を中心に回転する。
【0043】
第二レール16の側面には、側面溝72が形成されており、側面ローラ68に設けられた側面ガイドローラ70の外周側の部分は、側面溝72に挿入されている。各側面ローラ68に設けられた側面ガイドローラ70の外周側の部分が第二レール16の側面に形成された側面溝72に挿入されることにより、第二レール16に対する第二スライド部22のZ方向の位置が規制されている。
【0044】
この第二スライド部22と、上述の一対の第一スライド部18,20及び第二レール16とは、一対の第一レール12及び一対の連結部材14により構成されたフレーム24に対して移動する可動部74を構成している。
【0045】
可動部74は、一対の第一スライド部18,20に設けられた一対の側面ガイドローラ50と一対の第一レール12の側面に形成された側面溝52との係合状態を解除することにより、フレーム24に対して着脱可能とされている。一対の側面ガイドローラ50と側面溝52との係合状態の解除は、例えば、側面ガイドローラ50を有する側面ローラ48を取り外すことにより可能である。
【0046】
この可動部74に設けられた第二スライド部22の第二ブラケット64には、アンテナ取付部76が設けられており、このアンテナ取付部76には、電磁波測定アンテナ80が設置される。
【0047】
図3に示されるように、電磁波測定アンテナ80は、Z方向に延びる柱状のアンテナ取付サポート治具82と、このアンテナ取付サポート治具82の上端部に設けられた円板状のアンテナ本体取付治具84と、このアンテナ本体取付治具84に取り付けられるアンテナ本体(不図示)とを有する。電磁波測定アンテナ80は、一対の第一スライド部18,20及び第二スライド部22の移動に伴い、電磁波測定用アンテナポジショナ10のX方向及びY方向に移動される。
【0048】
また、
図1〜
図3に示されるように、本実施形態の電磁波測定用アンテナポジショナ10は、電磁波測定アンテナ80の位置を検出するために、第一原点検出器90、第二原点検出器92、第一限界点検出器94、及び、第二限界点検出器96を備える。第一原点検出器90及び第一限界点検出器94は、一方の第一レール12に設けられ、第二原点検出器92及び第二限界点検出器96は、第二レール16に設けられている。
【0049】
第一原点検出器90は、第一スライド部18が原点にあることを検出し、第一限界点検出器94は、第一スライド部18が限界点にあることを検出する。また、第二原点検出器92は、第二スライド部22が原点にあることを検出し、第一限界点検出器94は、第二スライド部22が限界点にあることを検出する。第一原点検出器90、第二原点検出器92、第一限界点検出器94、及び、第二限界点検出器96には、リミットスイッチ(接点スイッチ)が好適に使用される。
【0050】
第一原点検出器90及び第一限界点検出器94は、第一レール12における取付位置を第一レール12の長手方向に変更可能とされており、第二原点検出器92及び第二限界点検出器96は、第二レール16における取付位置を第二レール16の長手方向に変更可能とされている。
【0051】
図1に示されるように、上述の第一原点検出器90、第二原点検出器92、第一限界点検出器94、第二限界点検出器96、第一モータ42、及び、第二モータ62は、ケーブルや中継コネクタ等を介して制御盤100(シーケンサ)に接続される。
【0052】
制御盤100は、第一原点検出器90、第二原点検出器92、第一限界点検出器94、及び、第二限界点検出器96からの出力信号に基づいて、上述の第一モータ42及び第二モータ62を制御する。この制御盤100には、第一モータ42及び第二モータ62を制御するためのプログラムが格納されている。また、制御盤100には、モニタ102を有するパソコン104が接続されており、制御盤100による制御状態は、モニタ102により確認可能となっている。
【0053】
なお、本実施形態の電磁波測定用アンテナポジショナ10と、電磁波測定アンテナ80と、制御盤100と、モニタ102を有するパソコン104とは、電磁波測定装置110を構成する。
【0054】
次に、本実施形態の電磁波測定用アンテナポジショナ10の使用方法について説明する。
【0055】
先ず、
図1に示される電磁波測定用アンテナポジショナ10を測定現場に搬送する。このとき、フレーム24に可動部74を取り付けた状態で電磁波測定用アンテナポジショナ10を測定現場に搬送しても良いが、可動部74は、フレーム24に対して着脱可能であるので、可動部74をフレーム24から取り外した状態として、フレーム24を単体で測定現場へ搬送しても良い。そして、フレーム24を測定現場へ搬送した後に、このフレーム24に可動部74を組み付けても良い。
【0056】
続いて、アンテナ取付部76に電磁波測定アンテナ80(
図3参照)を設置する。また、制御盤100を、第一原点検出器90、第二原点検出器92、第一限界点検出器94、第二限界点検出器96、第一モータ42、及び、第二モータ62等とケーブルや中継コネクタ等を介して接続する。
【0057】
また、第一原点検出器90、第二原点検出器92、第一限界点検出器94、及び、第二限界点検出器96の取付位置を決定し、測定現場における第一原点検出器90及び第二原点検出器92の絶対位置を測定する。
【0058】
また、第一スライド部18を第一原点検出器90の位置(X方向の原点)に移動させると共に、第二スライド部22を第二原点検出器92の位置(Y方向の原点)に移動させる。第一スライド部18を第一原点検出器90の位置に移動させると、第一原点検出器90によって第一スライド部18がX方向の原点にあることが検出され、第二スライド部22を第二原点検出器92の位置に移動させると、第二原点検出器92によって第二スライド部22がY方向の原点にあることが検出される。
【0059】
このように、第一スライド部18及び第二スライド部22がそれぞれ原点にあることが検出されると、第一原点検出器90及び第二原点検出器92から制御盤100に原点検出信号が出力される。
【0060】
制御盤100は、第一原点検出器90及び第二原点検出器92から出力された原点検出信号を検出すると、第一モータ42及び第二モータ62を作動させる。第一モータ42が作動すると、第一レール12に設けられた第一案内面30の上を第一ローラ40が転がることにより一対の第一スライド部18,20が移動し、この一対の第一スライド部18,20と共に電磁波測定アンテナ80が第一レール12に沿ってX方向に移動する。
【0061】
また、第二モータ62が作動すると、第二レール16に設けられた第二案内面34の上を第二ローラ60が転がることにより第二スライド部22が移動し、この第二スライド部22と共に電磁波測定アンテナ80が第二レール16に沿ってY方向に移動する。
【0062】
ここで、第一モータ42及び第二モータ62は、ステッピングモータであるためパルス数に応じて精度良く回転し、しかも、第一案内面30及び第二案内面34には滑り止めが施されることにより第一ローラ40及び第二ローラ60の滑りが抑制されるため、第一スライド部18及び第二スライド部22は、制御盤100からのパルス数に応じて精度良く移動する。
【0063】
また、第一原点検出器90に対する第一スライド部18の相対位置、及び、第二原点検出器92に対する第二スライド部22の相対位置は、制御盤100から第一モータ42及び第二モータ62に出力されたパルス数に基づいて算出される。したがって、第一スライド部18及び第二スライド部22が移動する際の測定現場における電磁波測定アンテナ80の絶対位置は、測定現場における第一原点検出器90及び第二原点検出器92の絶対位置と、第一原点検出器90に対する第一スライド部18の相対位置、及び、第二原点検出器92に対する第二スライド部22の相対位置とに基づいて検出可能である。
【0064】
また、本実施形態では、第一スライド部18及び第二スライド部22が所定距離移動する毎に、電磁波測定アンテナ80を用いた電磁波の測定が行われる。第一スライド部18及び第二スライド部22が原点から限界点に移動されるまでの間の電磁波の測定回数は、任意に設定することが可能である。また、第一スライド部18及び第二スライド部22の各回の移動距離も、任意に設定することが可能である。
【0065】
そして、電磁波の測定が複数回行われて、第一スライド部18が第一限界点検出器94の位置(X方向の限界点)に移動すると、第一限界点検出器94によって第一スライド部18がX方向の限界点にあることが検出される。また、第二スライド部22が第二限界点検出器96の位置(Y方向の限界点)に移動すると、第二限界点検出器96によって第二スライド部22がY方向の限界点にあることが検出される。
【0066】
このように、第一スライド部18及び第二スライド部22がそれぞれ限界点にあることが検出されると、第一限界点検出器94及び第二限界点検出器96から制御盤100に限界点検出信号が出力される。制御盤100は、第一限界点検出器94及び第二限界点検出器96から出力された限界点検出信号を検出すると、第一モータ42及び第二モータ62を停止させる。
【0067】
本実施形態の電磁波測定用アンテナポジショナ10では、以上のようにして、測定現場にて電磁波測定アンテナ80が移動され、この電磁波測定アンテナ80が移動する間、電磁波測定アンテナ80によって測定現場における電磁波が測定される。
【0068】
ここで、
図4〜
図7には、各測定現場での電磁波測定用アンテナポジショナ10のより詳細な使用例が示されている。
図4〜
図7では、上述の電磁波測定用アンテナポジショナ10のうち、一対の第一レール12、一対の連結部材14、及び、第二レール16が簡略化されて示されている。
【0069】
(第一使用例)
図4に示される第一使用例では、例えば、共同集合住宅の共有部分(パイプシャフト)において、メータ120に接続された縦配管122と壁124との間に、測定したい箇所126が存在する。
【0070】
そこで、この第一使用例では、先ず、一方の連結部材14が一対の第一レール12から取り外されると共に、第二レール16が一対の第一レール12から取り外された状態で、一対の第一レール12及び他方の連結部材14が測定現場に設置される。このとき、一対の第一レール12の一端は、壁124に当接され、一対の第一レール12の間には、縦配管122が収容される。
【0071】
また、縦配管122と壁124との間には、第二レール16が配置され、この第二レール16は、一対の第一レール12に取り付けられる。この第一使用例では、以上の要領により、縦配管122との干渉を避けながら、測定現場に電磁波測定用アンテナポジショナ10が設置される。
【0072】
(第二使用例)
また、
図5に示される第二使用例では、壁130に形成された扉132付きの収容空間134が測定現場とされている。このような測定現場では、収容空間134の幅が狭いので、電磁波測定用アンテナポジショナ10のX方向の長さを調節する必要がある。
【0073】
したがって、このような場合には、例えば、収容空間134の幅に合った第一レール12に交換したり、収容空間134の幅に合せて第一レール12を切断したりして、電磁波測定用アンテナポジショナ10のX方向の長さが調節される。
【0074】
また、その他にも、例えば、第一レール12に分割式レールや伸縮式レールを採用することで、電磁波測定用アンテナポジショナ10のX方向の長さが調節される。この第二使用例では、以上の要領により、電磁波測定用アンテナポジショナ10のX方向の長さ(第一レール12の長さ)が調節され、電磁波測定用アンテナポジショナ10が測定現場である収容空間134に設置される。
【0075】
(第三使用例)
また、
図6に示される第三使用例では、壁140の前に段差142が形成されている場所が測定現場とされている。そこで、この第三使用例では、
図7に示されるように、フレーム24の下に足144が設けられ、フレーム24の高さが調節される。また、第二レール16は、フレーム24のY方向の長さよりも長いものに交換され、この第二レール16におけるフレーム24よりも突出された部分16Aは、段差142の上に配置されている。このように、第三使用例では、フレーム24に足144が追加されると共に、第二レール16が長いものに交換されることにより、段差142を有する測定現場における測定が可能とされている。
【0076】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0077】
以上詳述したように、本実施形態の電磁波測定用アンテナポジショナ10によれば、電磁波測定アンテナ80を移動させるために、ボールネジ機構ではなくローラ及びレールを用いている。したがって、ボールネジ機構を用いる場合に比して軽量化することができるので、測定現場への搬送が容易である。
【0078】
また、ボールネジ機構では困難であった長さ調節も、例えば、レールの交換、レールの切断、分割式レールの採用、伸縮式レールの採用等により容易に行うことができる。
【0079】
しかも、第一ローラ40及び第二ローラ60がそれぞれ転がる第一案内面30及び第二案内面34には、滑り止めがそれぞれ施されている。したがって、第一ローラ40及び第二ローラ60の滑りを抑制することができるので、電磁波測定アンテナ80の移動精度も確保することができる。
【0080】
また、第一案内面30及び第二案内面34の滑り止めとして、滑り止め用シール36,38を用いており、安価な構成により、第一ローラ40及び第二ローラ60の滑りを抑制することができるので、コストアップを抑制することができる。
【0081】
また、第一スライド部18,20に設けられた第一ガイドローラ46が、第一レール12に形成された第一ガイド溝28にそれぞれ挿入されているので、第一スライド部18,20の直進性を向上させることができる。同様に、第二スライド部22に設けられた第二ガイドローラ66が、第二レール16に形成された第二ガイド溝32に挿入されているので、第二スライド部22の直進性を向上させることができる。これにより、第一レール12及び第二レール16の長手方向に沿った電磁波測定アンテナ80の移動精度を向上させることができる。
【0082】
また、第一モータ42及び第二モータ62等の重量物は、可動部74に設けられているので、フレーム24自体の重さを軽くすることができる。さらに、可動部74は、フレーム24に対して着脱可能であるので、可動部74をフレーム24から取り外した状態とすれば、軽量化されたフレーム24を単体で測定現場への搬送することができる。
【0083】
また、電磁波測定アンテナ80を移動させるために、ボールネジ機構ではなくローラ及びレールを用いているので、可動部74をフレーム24から容易に取り外すことができ、設置場所に合せたサイズのフレーム24に交換することができる。
【0084】
また、固定部材26を取り外せば、連結部材14を第一レール12から取り外すことができるので、例えば、
図5に示されるように、この連結部材14を取り外した箇所を通じて縦配管等をフレーム24の内側に収容することができる。これにより、縦配管等が設置されるなどにより、測定したい場所が狭い場合でも、電磁波測定用アンテナポジショナ10を設置することができる。
【0085】
また、測定現場における第一原点検出器90及び第二原点検出器92の絶対位置を測定すれば、この測定現場における第一原点検出器90及び第二原点検出器92の絶対位置と、第一原点検出器90に対する第一スライド部18の相対位置、及び、第二原点検出器92に対する第二スライド部22の相対位置とに基づいて、測定現場における電磁波測定アンテナ80の絶対位置を検出することができる。
【0086】
また、第一レール12における第一原点検出器90の取付位置、及び、第二レール16における第二原点検出器92の取付位置は、それぞれ変更可能とされている。したがって、測定現場において電磁波測定用アンテナポジショナ10の位置を移動しなくても、第一原点検出器90及び第二原点検出器92の取付位置をそれぞれ変更することで、測定現場における第一原点検出器90及び第二原点検出器92の絶対位置を変更することができる。これにより、電磁波測定用アンテナポジショナ10の使い勝手を向上させることができる。
【0087】
また、ボールネジ機構ではなくローラ及びレールを用いることで十分に軽量化できるので、軽量化のためにアンテナ取付部76(ステージ)を無理に小さくする必要が無い。これにより、アンテナ取付部76の大きさを確保することができる。
【0088】
また、軽量化のためにフレーム24を無理に小型化する必要も無いので、フレーム24の大きさを確保することができる。これにより、フレーム24を床やコンクリートに固定しなくても、電磁波測定用アンテナポジショナ10を測定現場に設置することができる。
【0089】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0090】
上記実施形態では、第一案内面30及び第二案内面34の滑り止めとして、滑り止め用シール36,38が用いられているが、第一案内面30及び第二案内面34には、例えば、粗面加工などの滑り止め用シール以外の滑り止めが施されていても良い。
【0091】
また、上記実施形態では、第一モータ42及び第二モータ62にステッピングモータが使用されているが、第一モータ42及び第二モータ62に例えばギアモータが使用されても良い。
【0092】
また、上記実施形態では、一方の第一スライド部18は、第一モータ42を有する駆動側とされ、他方の第一スライド部20は、第一モータ42を有しない従動側とされているが、一対の第一スライド部18,20は、両方とも第一モータ42を有していても良い。この場合には、一対の第一スライド部18,20の第一モータ42は、同期して作動し、一対の第一スライド部18,20が同期して移動されることが望ましい。
【0093】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。