(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
柱脚の外縁部に設けられる孔に対応するよう配列されて上下方向に延びる複数のアンカーボルト、前記複数のアンカーボルトを外側から取り囲むように配列されて上下方向に延びる複数の主筋、および上下方向に間隔を空けて複数配設され、前記複数の主筋をさらに外側から取り巻くフープ筋を備え、前記柱脚を下方から支持する鉄筋コンクリート製の柱型において、
前記複数の主筋よりも内側にあって、最も高い位置に配置される前記フープ筋と重なる高さ位置あるいはさらに高い位置となるよう前記柱型に埋設されて、前記アンカーボルトに係合する外側部分と、前記外側部分から前記柱型の内側に向かって延びる内側部分とを有する補強筋をさらに備えることを特徴とする、柱脚の柱型。
前記補強筋は、曲げ形成される中央部および互いに向き合って延びる両端部を含む棒材であり、前記中央部で前記アンカーボルトに係合し、前記両端部が前記中央部よりも前記柱型の内側になるよう埋設される、請求項1に記載の柱脚の柱型。
前記補強筋は、縦方向の辺および横方向の辺からなる方形に配列される前記複数のアンカーボルトに関し、隅に配列される前記アンカーボルトに係合して対角線方向に延びる、請求項1〜3のいずれかに記載の柱脚の柱型。
前記補強筋は、縦方向の辺および横方向の辺からなる方形に配列される前記複数のアンカーボルトに関し、隣り合う隅同士の中間に配列される前記アンカーボルトに係合して縦方向および/または横方向に延びる、請求項1〜3のいずれかに記載の柱脚の柱型。
前記補強筋は、縦方向の辺および横方向の辺からなる方形に配列される前記複数のアンカーボルトに関し、隣り合う隅同士の中間に配列される前記アンカーボルトに係合して斜め方向に延びる、請求項3に記載の柱脚の柱型。
柱脚の外縁部に設けられるボルト孔に対応するよう配列されて上下方向に延びる複数のアンカーボルト、前記複数のアンカーボルトを外側から取り囲むように配列されて上下方向に延びる複数の主筋、および上下方向に間隔を空けて複数配設されて前記複数の主筋をさらに外側から取り巻くフープ筋を備え、前記柱脚を下方から支持する鉄筋コンクリート製の柱型において、
前記複数の主筋の配列よりも内側にあって、最も高い位置に配置される前記フープ筋と重なる高さ位置あるいはさらに高い位置となるよう前記柱型に埋設されて、前記アンカーボルトの配列を外側から取り囲む閉鎖型の補強筋をさらに備えることを特徴とする、柱脚の柱型。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鋼製柱からアンカーボルトに作用する力は、引き抜き力のみならず剪断力もある。従来の柱型を
図13に示す。柱型100はコンクリート100cと、コンクリート100c内部に埋設される立ち上げ筋101、フープ筋102、およびアンカーボルト21を有する。柱脚10からアンカーボルト21の上端部に外側方向(柱型100の内側から外側に向かう方向をいう、以下同じ)の剪断力Fsが作用すると、アンカーボルト21の上端部が柱型100の側面のコンクリートを外側へ押し出し、柱型100の側面部分に水平方向のコーン状破壊が生じる原因となる。参考のため
図13にはコーン状破壊部分Cを模式的に示す。
【0006】
特に、四隅の立ち上げ筋101の上端部を逆U字形状に形成する場合、フープ筋102を立ち上げ筋の上端部よりも下方に配置しなければならない。つまり最も高い箇所に配置されるフープ筋102hは、立ち上げ筋101の直線部分の最上箇所に配置される。そうするとフープ筋102hはコーン状破壊部分Cの下側にずれてしまい、水平方向のコーン状破壊部分Cをフープ筋102hで受け持つことができない。
【0007】
地震時には剪断力Fsが顕著になる。このため従来の鉄筋コンクリート製の柱型100は、水平方向のコーン状破壊を起こさないよう充分な強度を確保する必要があり、複数のアンカーボルトを取り囲むコンクリート容積を大きくするしかなかった。そうすると施工上およびコスト上の負担が大きくなる。
【0008】
本発明は、上述の実情に鑑み、鉄筋コンクリート製の柱型を大きくすることなく、アンカーボルトの剪断力に対する耐力を向上させることができる柱型の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため本発明による柱脚の柱型は、柱脚の外縁部に設けられる孔に対応するよう配列されて上下方向に延びる複数のアンカーボルト、複数のアンカーボルトを外側から取り囲むように配列されて上下方向に延びる複数の主筋、および上下方向に間隔を空けて複数配設され、複数の主筋をさらに外側から取り巻くフープ筋を備え、柱脚を下方から支持する鉄筋コンクリート製の柱型において、複数の主筋よりも内側にあって、最も高い位置に配置されるフープ筋と重なる高さ位置あるいはさらに高い位置となるよう柱型に埋設されて、アンカーボルトに係合する外側部分と、外側部分から柱型の内側に向かって延びる内側部分とを有する補強筋をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
かかる本発明によれば、アンカーボルトの上端部に外側方向の剪断力が作用して、柱型の側面部分が外側に押し出されそうになっても、柱型の上端部に埋設される補強筋が剪断力を受け止める。したがって柱型の側面部分のコーン状破壊を防止することができる。なおアンカーボルトに係合する補強筋の外側部分とは、補強筋のうち外側部分がアンカーボルトに引っ掛かっていることをいう。
【0011】
補強筋の形状は特に限定されず、多種多様な形状を取り得る。補強筋は例えば、平面視において柱脚の内側に向けて開放するとともに柱脚の外側に対して閉鎖する等の形状を有し、アンカーボルトの外側移動を規制する。あるいは補強筋はリングのように、柱脚の外側に対して閉鎖するだけでなく柱脚の内側に対しても閉鎖する形状を有してもよい。本発明の一実施形態として補強筋は、曲げ形成される中央部および互いに向き合って延びる両端部を含む棒材であり、中央部でアンカーボルトに係合し、両端部が中央部よりも柱型の内側になるよう埋設される。かかる実施形態によれば、棒材の中央部を外側部分とし、棒材の両端部を内側部分として、U字形状等、簡易な形状で補強筋を作成することができる。補強筋は異形棒鋼等の棒材を曲げ加工するだけで容易に作成可能である。補強筋の両端部はV字形状に広がっていてもよい。あるいは補強筋は、L字形状のように両端の長さが異なってもよい。他の実施形態として補強筋は、J字形状のような鉤型であってもよい。他の実施形態として短冊状の金物を準備し、金物の長手方向に貫通孔を複数形成し、金物の一端に形成される貫通孔にアンカーボルトを係合してもよい。これにより金物の残りの貫通孔にはコンクリートが充填されて、金物は柱脚のコンクリートに確りと付着する。
【0012】
補強筋は、全てのアンカーボルトに設けられることが望ましい。各アンカーボルトに設けられる補強筋同士は分離してもよいが、結合してもよい。本発明の好ましい実施形態として補強筋は、中央領域および曲げ形状の両端領域を含む棒材であり、両端領域の一方が1本のアンカーボルトに係合し、両端領域の他方が他の1本のアンカーボルトに係合する。かかる実施形態によれば、1本の補強筋で2本のアンカーボルトを補強することができ、補強筋の個数を半分にすることができる。他の実施形態として、1個の補強筋が3本以上のアンカーボルトに係合してもよい。
【0013】
補強筋の姿勢は特に限定されない。本発明の一実施形態として補強筋は、縦方向の辺および横方向の辺からなる方形に配列される複数のアンカーボルトに関し、隅に配列されるアンカーボルトに係合して対角線方向に延びる。かかる実施形態によれば、柱型の隅部に配置されるアンカーボルトを、斜めに延びる補強筋で補強することができる。あるいは補強筋の両端部がアンカーボルトにそれぞれ係合する場合、補強筋の中央領域が柱型の内部を延びることから、補強筋の両端部を外側部分とし補強筋の中央領域を内側部分とすることができる。
【0014】
あるいは他の実施形態として補強筋は、縦方向の辺および横方向の辺からなる方形に配列される複数のアンカーボルトに関し、隣り合う隅同士の中間に配列されるアンカーボルトに係合して縦方向および/または横方向に延びる。かかる実施形態によれば、柱型の隅部同士の中間に配置されるアンカーボルトを、縦方向および/または横方向に延びる補強筋で補強することができる。あるいは補強筋の両端部が柱型の隅部同士の中間に配置されるアンカーボルトにそれぞれ係合する場合、補強筋の中央領域が柱型の内部を延びることから、補強筋の両端部を外側部分とし補強筋の中央領域を内側部分とすることができる。他の実施形態として補強筋は、中央領域の数カ所で折り曲げ形成されて、一部で対角線方向に延び、他の一部で縦方向および/または横方向に延びてもよい。
【0015】
あるいは他の実施形態として補強筋は、縦方向の辺および横方向の辺からなる方形に配列される複数のアンカーボルトに関し、隣り合う隅同士の中間に配列されるアンカーボルトに係合して斜め方向に延びてもよい。
【0016】
補強筋の外側部分は1本のアンカーボルトに係合する。あるいは他の実施形態として補強筋の外側部分は、柱脚の側面に沿って延び、少なくとも2本のアンカーボルトに係合する。
【0017】
上述した実施形態の他、本発明になる柱脚の柱型は、柱脚の外縁部に設けられるボルト孔に対応するよう配列されて上下方向に延びる複数のアンカーボルト、複数のアンカーボルトを外側から取り囲むように配列されて上下方向に延びる複数の主筋、および上下方向に間隔を空けて複数配設されて複数の主筋をさらに外側から取り巻くフープ筋を備え、柱脚を下方から支持する鉄筋コンクリート製の柱型において、複数の主筋の配列よりも内側にあって、最も高い位置に配置されるフープ筋と重なる高さ位置あるいはさらに高い位置となるよう柱型に埋設されて、アンカーボルトの配列を外側から取り囲む閉鎖型の補強筋をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
かかる実施形態によれば、アンカーボルトの配列を外側から取り囲む閉鎖型の補強筋を備えることから、アンカーボルトの上端部に作用する外側方向の剪断力を閉鎖型の補強筋で受け止めることができる。したがって柱型の側面部分のコーン状破壊を防止することができる。閉鎖型の補強筋は、1本の鉄筋を途中の数カ所で曲げ加工することにより、アンカーボルトの配列に合わせて形成される。このとき補強筋の両端部は重なるように曲げ加工される。例えば1本の鉄筋を途中の4カ所で曲げ加工し、両端部を重ねることにより、方形の補強筋が作成される。あるいは閉鎖型の補強筋は、数本の鉄筋の端部同士を重ねるようにして継ぎ足してもよい。例えばL字形状の鉄筋を4本準備し、端部同士を重ねて継ぎ足すことにより、方形の補強筋が作成される。閉鎖型の補強筋はアンカーボルトに直接接触することが好ましい。
【0019】
柱型の隅部に配置される主筋の上端は逆U字形状に形成されることが常套である。あるいは他の実施形態として、主筋の上端には定着金物が設けられ、フープ筋は定着金物の下側に隣接して配置されてもよい。かかる実施形態によれば、逆U字形状の主筋の場合と比較して、フープ筋をより上方に配置可能である。したがって最上段のフープ筋を前述したコーン状破壊部分Cに重ねて配置して、アンカーボルトの上端部に作用する外側方向の剪断力を最上段のフープ筋で受け止めることができる。
【発明の効果】
【0020】
このように本発明によれば、従来のように柱型のコンクリート容積を大きくしなくても、アンカーボルトに作用する外側方向の剪断力に対する耐力を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態になる柱型を示す縦断面図であり、露出柱脚とともに表す。
図2は、第1実施形態になる柱型および露出柱脚を示す平面図であり、
図1中II−IIから矢印方向に見た状態を表す。
図3は、第1実施形態を示す横断面図であり、
図1中III−IIIで切断し断面を矢印方向に見た状態を表す。
図4は、第1実施形態を示す横断面図であり、
図1中IV−IVで切断し断面を矢印方向に見た状態を表す。
【0023】
第1実施形態は本発明としての基本的な構成を備える。柱脚10は、従来と同様の露出柱脚であり、柱材11およびベースプレート12を備える。柱材11は例えば鋼製の角パイプであったり、あるいは図示はしなかったがH型鋼であったりする。上下方向に延びる柱材11の下端には板状のベースプレート12が結合する。ベースプレート12は水平な方形の板材であり、ベースプレート12の四隅には、アンカーボルト21を通すための孔13が穿設される。
【0024】
柱型20は、鉄筋コンクリート製の基礎であり、水平姿勢で縦方向および横方向に延びる基礎梁31と一体結合する。柱型20は
図1に示すように小さな正方形の上段および大きな正方形の下段からなる2段階に形成されるが、段差の無い直方体であってもよい。柱型20の上面の不陸はモルタル22により水平に整えられる。
【0025】
アンカーボルト21は、孔13の配列に対応するよう複数配列されて、上下方向に延びる。アンカーボルト21は、上端部を除き、柱型20のコンクリート20cに埋設される。アンカーボルト21の下端には大きなアンカーボルト21の外径よりも大きな寸法の定着金物26が固定される。モルタル22から上方へ突出するアンカーボルト21の上端部外周には雄ねじが形成されている。
【0026】
柱型20の強度を確保するため、柱型20の側縁部のコンクリート20cには
図1および
図3に示すように、主筋23(立ち上げ筋)およびフープ筋24がさらに埋設される。
【0027】
複数の主筋23は、4本のアンカーボルト21を外側から取り囲むように配列されて上下方向に延びる。本実施形態の主筋23は、柱型の四隅にそれぞれ埋設される。各主筋23の上端部は逆U字形状に形成され、上段のコンクリート20cに確りと定着する。各主筋23の下端はL字形状に折り曲げ形成され、下段のコンクリート20cに確りと定着する。
【0028】
フープ筋24は、正方形の枠状に設置されて、複数の主筋23をさらに外側から取り巻く。またフープ筋24は、上下方向に間隔を空けて複数配設される。フープ筋24から柱型の側面20fまでの距離(かぶり)は必要充分に確保されている。
【0029】
全てのフープ筋24は、主筋23の逆U字形状の上端部よりも下方に配列される。つまり最上段のフープ筋24hは、主筋23上端の円弧状に延びる部分にはかからない。
【0030】
本実施形態では、柱型20のコンクリート20cに補強筋25をさらに埋設する。補強筋25は
図4に示すように、平面視において柱型20の側面20fに近い外側部分25fと、柱型20の中心に近い内側部分25cとを有する。そして外側部分25fがアンカーボルト21に係合する。外側部分25fはアンカーボルト21と直接接触することが望ましいが0mmを超え100mm以下の範囲で離れていてもよい。いずれにせよ外側部分25fはアンカーボルト21よりも外側に配置される。
【0031】
本実施形態の補強筋25は、主筋23およびフープ筋24と同様、異形棒鋼からなり、直線の棒材の中心をU字形状に曲げて形成される。つまり補強筋25は、中央部がU字形状であって、両端部が互いに向き合って延びる棒材であり、U字形状の中央部になる外側部分25fでアンカーボルト21に係合し、両端部になる内側部分25cが中央部よりも柱型20の内側になるよう埋設される。具体的には半円状の外側部分25fはアンカーボルト21の外周に巻き付くように係合して、アンカーボルト21が柱型20の外側へ移動することを防止する。
【0032】
湾曲して延びる外側部分25fの内側の曲率はアンカーボルト21の直径よりも大きいこと勿論であるが、小さいほどよく、好ましくはアンカーボルト21の直径の1〜4倍である。内側部分25cの長さは、柱型20の中心に達するものであっても良いし、あるいはそれより短くてもよく、好ましくは補強筋25の直径の4倍以上で直線状に延びる。
【0033】
平面視において柱型20の側面20fに近い側を外側と規定し、柱型20の中心に近い側を内側と規定すると
図4に示すように、主筋23およびフープ筋24は柱型20の側面20fに近くなるよう外側に配置され、アンカーボルト21は主筋23およびフープ筋24よりも内側に配置され、補強筋25の外側部分25fはアンカーボルト21よりも外側に配置されるとともに補強筋25の内側部分25cはアンカーボルト21よりも内側に配置される。補強筋25の外径は主筋23の外径以下であるのが望ましいが、これに限定されない。また補強筋25の外径はアンカーボルト21の外径以下であるのが望ましいが、これに限定されない。
【0034】
補強筋25は、最も高い位置に配置されるフープ筋24hと重なる高さ位置あるいはさらに高い位置となるよう柱型20のコンクリート20cに埋設される。補強筋25は水平姿勢で埋設されるが、図示しない変形例として外側部分25fがフープ筋24hと重なる高さ位置あるいはさらに高い位置にされ、内側部分25cが外側部分25fよりも低くなってもよい。
【0035】
鉄筋コンクリート製の柱型20が構築されると、柱型20の上方に柱脚10が配置され、柱脚10の各孔13にアンカーボルト21の上端部が挿通される。ベースプレート12の下面および柱型20の上面間にはモルタル22が充填される。そしてナット27がベースプレート12の上側からアンカーボルト21の上端部に螺合して、柱脚10は柱型20に連結固定される。ナット27およびベースプレート12間には座金33が介在するとよいが、座金33は省略可能である。
【0036】
ところで第1実施形態は、柱脚10の外縁部に設けられる複数の孔13(
図2)に対応するよう配列されて上下方向に延びる複数のアンカーボルト21、複数のアンカーボルト21を外側から取り囲むように配列されて上下方向に延びる複数の主筋23(
図1)、および上下方向に間隔を空けて複数配設され、複数の主筋23をさらに外側から取り巻くフープ筋24を備え、柱脚10を下方から支持する鉄筋コンクリート製の柱型20において、柱型20は、複数の主筋23よりも柱型20の内側にあって、最も高い位置に配置されるフープ筋24hと重なる高さ位置あるいはさらに高い位置となるよう柱型20に埋設されて、アンカーボルト21に係合する外側部分25fと、外側部分25fから柱型20の内部に向かって延びる内側部分25cとを有する補強筋25(
図4)をさらに備えることを特徴とする。
【0037】
かかる第1実施形態によれば、地震時等に柱脚10が横揺れして、柱型20の内側から外側に向かう剪断力がアンカーボルト21の上端部に作用しても、補強筋25が剪断力を受け持つ。したがって柱型20の側面20fが外側に向かってコーン状に破壊する虞がなく、柱型20の側方破壊を防止することができる。
【0038】
次に本発明の第2実施形態を説明する。
図5は本発明の第2実施形態になる柱型を模式的に示す図であり、理解を容易にするためコンクリート内部の配筋を上方から見て遠近画法で表す。なお図中においてベースプレート、ナット、および数本のアンカーボルトの上端部を省略して表す。
図6は本発明の第2実施形態になる露出柱脚および柱型を示す図であり、側方から見た状態を遠近法で模式的に表す。第2実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。第2実施形態の柱型20は、前述した第1実施形態の柱型20よりも大型であり、8本のアンカーボルト21と、12本の主筋23と、複数のフープ筋24と、8本のU字形状の補強筋25とを備える。
【0039】
アンカーボルト21は、ベースプレート12の各隅と、隣り合う隅同士の中間に配置される。
図5に示す実施形態でも、前述した
図4に示す実施形態と同様に、主筋23はアンカーボルト21よりも外側に配列される。
図5に示す実施形態において主筋23は、柱型20の各隅に配置される他、隣り合う隅同士の中間に複数配置される。つまりアンカーボルト21は、平面視において縦方向および横方向に配列され、方形の配列を構成する。
【0040】
アンカーボルト21は、各隅のアンカーボルト21および隣り合う隅同士の中間に配置されるアンカーボルト21に設けられる。各隅のアンカーボルト21に設けられる補強筋25は、アンカーボルト21の方形の配列に関し対角線方向に延びる。また隣り合う隅同士の中間のアンカーボルト21に設けられる補強筋25は、アンカーボルト21の方形の配列に関し縦方向および横方向に延びる。
【0041】
図6に示すように全てのフープ筋24は、主筋23のU字形状の上端部よりも下方に配列される。つまり最上段のフープ筋24hは、主筋23上端の円弧状に延びる部分にはかからない。補強筋25は最上段のフープ筋24hよりも高い位置に配置される。
【0042】
第2実施形態によれば、地震時等に柱脚10が横揺れして、柱型20の内側から外側に向かう剪断力がアンカーボルト21の上端部に作用しても、補強筋25が剪断力を受け持つ。したがって柱型20の側面20fが外側に向かってコーン状に破壊する虞がなく、柱型20の側方破壊を防止することができる。
【0043】
次に本発明の第3実施形態を説明する。
図7は本発明の第3実施形態になる柱型を模式的に示す図であり、理解を容易にするためコンクリート内部の配筋を上方から見て遠近画法で表す。また図中においてベースプレートの一部および一部のアンカーボルトの上端を省略して表す。第3実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。第3実施形態の柱型20は、前述した第2実施形態の柱型20と略同一寸法であり、8本のアンカーボルト21と、12本の主筋23と、複数のフープ筋24と、4本のU字形状の補強筋25と、2本の両端U字形状の補強筋28とを備える。
【0044】
各補強筋25は各隅のアンカーボルト21に配置され、アンカーボルト21の方形の配列に関し対角線に沿って延びる。各補強筋28は、隣り合う隅同士の中間のアンカーボルト21に配置され、アンカーボルト21の方形の配列に関し縦方向および横方向に延びる。補強筋25,28は最上段のフープ筋24hよりも高い位置かあるいは重なる高さ位置に配置される。
【0045】
各補強筋28は、直線状の鉄筋の両端領域をU字形状に曲げて形成され、両端領域で2本のアンカーボルト21にそれぞれ係合し、中間領域が直線状に延びる。換言すると1本のアンカーボルト21に係合するU字形状に含まれる片側の鉄筋と、他の1本のアンカーボルト21に係合するU字形状に含まれる片側の鉄筋とが互いに一体結合する。
【0046】
第3実施形態によれば、地震時等に柱脚10が横揺れして、柱型20の内側から外側に向かう剪断力がアンカーボルト21の上端部に作用しても、補強筋25,28が剪断力を受け持つ。したがって柱型20の側面20fが外側に向かってコーン状に破壊する虞がなく、柱型20の側方破壊を防止することができる。
【0047】
次に本発明の第4実施形態を説明する。
図8は本発明の第4実施形態になる柱型を模式的に示す図であり、理解を容易にするためコンクリート内部の配筋を上方から見て遠近画法で表す。なお図中においてベースプレートの一部および一部のアンカーボルトの上端を省略して表す。第4実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。第4実施形態の柱型20は、前述した第2実施形態の柱型20と略同一寸法であり、8本のアンカーボルト21と、12本の主筋23と、複数のフープ筋24と、4本のU字形状の補強筋25と、補強筋29とを備える。
【0048】
各補強筋25は各隅のアンカーボルト21に係合し、アンカーボルト21の方形の配列に関し対角線に沿って延びる。これに対し補強筋29は、各隅のアンカーボルト21に係合するのではなく、隣り合う隅同士の中間に位置するアンカーボルト21に係合し、アンカーボルト21の方形の配列に関し斜め方向に延びる。補強筋25,29は最上段のフープ筋24hよりも高い位置かあるいは重なる高さ位置に配置される。
【0049】
補強筋29は、直線状の鉄筋の両端側を折り曲げてコの字形状に形成され、両端側の折り曲げ部分で2本のアンカーボルト21にそれぞれ係合する。換言すると、2本の腕からなる第1のL字状鉄筋が第1のアンカーボルト21に係合し、第2のL字形状鉄筋が第2のアンカーボルト21に係合し、第1のL字形状鉄筋に含まれる片側の腕と、第2のL字形状鉄筋に含まれる片側の腕とが互いに一体結合する。
【0050】
補強筋29は、4本のコの字形状の鉄筋がダイヤ形状に連なって配置されるとよい。補強筋29は、縦方向の辺および横方向の辺からなる方形に配列される複数のアンカーボルト21に関し、隣り合う隅同士の中間に配列されるアンカーボルト21に係合して斜め方向に延びる。あるいは補強筋29は、直線状の鉄筋を4箇所で折り曲げ、両端部を重ねたダイヤ形状の鉄筋であってもよい。
【0051】
第4実施形態によれば、地震時等に柱脚10が横揺れして、柱型20の内側から外側に向かう剪断力がアンカーボルト21の上端部に作用しても、補強筋25,29が剪断力を受け持つ。したがって柱型20の側面20fが外側に向かってコーン状に破壊する虞がなく、柱型20の側方破壊を防止することができる。
【0052】
次に本発明の第5実施形態を説明する。
図9は本発明の第5実施形態になる柱型を模式的に示す図であり、理解を容易にするためコンクリート内部の配筋を上方から見て遠近画法で表す。第5実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。第5実施形態の柱型20は、前述した第2実施形態の柱型20と略同一寸法であり、8本のアンカーボルト21と、12本の主筋23と、複数のフープ筋24と、4本の補強筋30とを備える。
【0053】
補強筋30は、直線状の鉄筋の中央を折り曲げて形成され、さらに両端部を内側に折り曲げて形成される。各補強筋30の中央部は、各隅部のアンカーボルト21にそれぞれ係合する。補強筋30の両端部は、隅部のアンカーボルト21と隣り合うアンカーボルト21にそれぞれ係合する。つまり補強筋30は、アンカーボルト21の方形の配列に関し各隅に配置され、1個の補強筋が3本のアンカーボルトに係合する。補強筋30は最上段のフープ筋24hよりも高い位置かあるいは重なる高さ位置に配置される。
【0054】
隣り合って配置される2本の補強筋30に関し、一方の補強筋30の一端と他方の補強筋30の他端はオーバーラップして配置される。換言すると隣り合う隅部同士の中間に配置されるアンカーボルト21は、2本の補強筋30,30と係合する。
【0055】
第5実施形態によれば、地震時等に柱脚10が横揺れして、柱型20の内側から外側に向かう剪断力がアンカーボルト21の上端部に作用しても、補強筋30が剪断力を受け持つ。したがって柱型20の側面20fが外側に向かってコーン状に破壊する虞がなく、柱型20の側方破壊を防止することができる。
【0056】
次に本発明の第6実施形態を説明する。
図10は本発明の第6実施形態になる柱型を模式的に示す図であり、理解を容易にするためコンクリート内部の配筋を上方から見て遠近画法で表す。第6実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。第6実施形態の柱型20は、前述した第2実施形態の柱型20と略同一寸法であり、8本のアンカーボルト21と、12本の主筋23と、複数のフープ筋24と、閉鎖型の補強筋32とを備える。
【0057】
補強筋32は、縦方向の辺および横方向の辺からなるアンカーボルト21の方形配列に対応して、方形に配置される。補強筋32は、直線状の鉄筋を4箇所で折り曲げ、両端部を重ねた閉鎖型の鉄筋である。補強筋32は柱型20の側面20fに沿って延びるため、平面視において柱脚20の内側部分および外側部分に区分されるものではないが、補強筋32は全てのアンカーボルト21を取り囲む。補強筋32の各隅は、各隅のアンカーボルト21に係合する。
【0058】
あるいは補強筋32は、4本のコの字形状の鉄筋が方形に連なって配置されるものでもよい。各補強筋32の両端部は、隣り合う2個の隅に係るアンカーボルト21にそれぞれ係合する。各補強筋32の中央部は、隣り合う隅部同士の中間に配置されるアンカーボルト21よりも外側に配置される。つまり各補強筋32は、アンカーボルト21の方形の配列に関し各辺に配置される。補強筋32は最上段のフープ筋24hよりも高い位置かあるいは重なる高さ位置に配置される。
【0059】
第6実施形態によれば、複数の主筋23の配列よりも内側かつ複数のアンカーボルト21の配列よりも外側にあって、最も高い位置に配置されるフープ筋24hと重なる高さ位置あるいはさらに高い位置となるよう柱型20に埋設されて、柱型20の側面20fに沿って延びる補強筋32を備える。全てのアンカーボルト21を閉鎖するよう取り囲む補強筋32を備える柱型20によれば、地震時等に柱脚10が横揺れして、柱型20の内側から外側に向かう剪断力がアンカーボルト21の上端部に作用しても、補強筋32が剪断力を受け持つ。したがって柱型20の側面20fが外側に向かってコーン状に破壊する虞がなく、柱型20の側方破壊を防止することができる。
【0060】
次に本発明の第7実施形態を説明する。
図11は本発明の第7実施形態になる柱型を模式的に示す図であり、理解を容易にするためコンクリート内部の配筋を上方から見て遠近画法で表す。第7実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。第7実施形態の柱型20は、前述した第2実施形態の柱型20と略同一寸法であり、8本のアンカーボルト21と、12本の主筋23と、複数のフープ筋24と、補強筋29と、閉鎖型の補強筋32とを備える。
【0061】
第7実施形態によれば、地震時等に柱脚10が横揺れして、柱型20の内側から外側に向かう剪断力がアンカーボルト21の上端部に作用しても、補強筋29,32が剪断力を受け持つ。したがって柱型20の側面20fが外側に向かってコーン状に破壊する虞がなく、柱型20の側方破壊を防止することができる。
【0062】
次に本発明の第8実施形態を説明する。
図12は本発明の第8実施形態になる柱型を模式的に示す図であり、理解を容易にするためコンクリート内部の配筋を側方から見て遠近画法で表す。第8実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。第8実施形態の主筋23の上端部は、前述した逆U字形状に形成するのではなく、上下方向に直線状に延びる。そして主筋23の上端部には、定着金物23mが取付固定される。最上段のフープ筋24hは定着金物23mの下側に隣接して配置される。補強筋25の高さ位置はフープ筋24hの高さ位置と重なる。あるいは図示はしなかったが補強筋25はフープ筋24hの高さ位置よりも高い位置に配置される。
【0063】
本実施形態の柱型20の上面から定着金物23mの首下箇所までの高度差をLdとする。比較のため
図13に示すように、従来例の柱型100の上面から立ち上げ筋101の直線部分の最上箇所の高さ位置までの距離Lcとする。そうするとLc>Ldの関係が成立する。そして本実施形態ではフープ筋24hを他の実施形態のフープ筋102hよりも高い位置に配置することができる。
【0064】
第8実施形態によれば、主筋23の上端部を、逆U字形状に形成するのに代えて直線とし、定着金物23mを設けたことから、最上段のフープ筋24hの高さ位置を定着金物23mの高さ位置に近づけて、フープ筋24hを柱型20の上面に近づけることができる。したがって
図13に示すコーン状破壊部分Cにフープ筋24hを配置して、アンカーボルト21の剪断力に対する柱型20の強度を一層大きくすることができる。
【0065】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。