特許第6556032号(P6556032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556032
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】分煙装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/00 20060101AFI20190729BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20190729BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20190729BHJP
   B01D 46/00 20060101ALI20190729BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   F24F7/00 A
   F24F7/06 C
   F24F1/02 411C
   B01D46/00 Z
   A61L9/16 F
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-229568(P2015-229568)
(22)【出願日】2015年11月25日
(65)【公開番号】特開2017-96562(P2017-96562A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】593012310
【氏名又は名称】菱熱工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】女屋 哲意
【審査官】 町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−085023(JP,A)
【文献】 特開平04−011914(JP,A)
【文献】 特開平06−159746(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0106522(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/00
A61L 9/16
B01D 46/00
F24F 7/06
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
禁煙区域と喫煙区域とを分割すべき室内に設置可能な分煙装置であって、
内部に前記喫煙区域としての喫煙空間を画成し、上面び底面が開口された箱状に形成され、該喫煙空間の側方を包囲する側壁部と、
内部に清浄空間を画成するように箱状に形成され、吸気口及び排気口が底面に設けられ、該底面が前記側壁部の上面を構成するように側壁部の上方に配置される清浄部と、
前記清浄部内に収容され、清浄空間から吸引した空気を前記排気口から下方の喫煙空間へ送風する送風部と、
前記送風部により清浄空間が降圧されて前記吸気口から上方の清浄空間へ吸引される空気を清浄するフィルタ部と、
前記排気口の下方に位置するように前記側壁部の内壁に設けられ、前記排気口から排出された空気を前記吸気口側へ案内する第1案内部と、
前記吸気口の下方に位置するように前記側壁部の内壁に設けられ、前記第1案内部により案内された空気を前記吸気口へ案内し、前記吸気口からの空気の吸引方向に直交する方向に伸びる平面として形成された直交部と、一端が前記側壁部の内壁に接続され、他端が直交部に接続されるとともに前記一端より下方に位置するように傾斜された平面として形成された傾斜部とを有する第2案内部と
を備える分煙装置。
【請求項2】
前記第1案内部は、前記排気口からの空気の排気方向に直交する方向に伸びる平面として形成され、該平面は、前記直交部より上方に位置することを特徴とする請求項に記載の分煙装置。
【請求項3】
前記側壁部は、該側壁部の下端から所定距離だけ側方に開口されていることを特徴とする請求項に記載の分煙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共、私設の場所や施設等の室内空間を禁煙区域と喫煙区域とに分割する分煙対策のための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、公共、私設の場所や施設等において室内空間を禁煙区域と喫煙区域とに分割するための分煙対策が推進されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、内部に喫煙空間を画成すると共に喫煙空間の側方を包囲する側壁と、喫煙空間の上部を画成する天井と、天井または側壁上部に設けられた煙排気口と、を備え、喫煙空間の収容定員は一名となっており、側壁が室内床面から離隔した状態で側壁の一部が室内壁に固定されて装置全体が室内壁に支持されることを特徴とする壁付けパーソナル分煙装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−245440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の壁付けパーソナル分煙装置には、設置場所に予め排気口が設けられている必要があるために、排気口が設けられていない室内空間に設置することができない、という問題がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、排気口が設けられていない室内空間に設置可能な分煙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、禁煙区域と喫煙区域とを分割すべき室内に設置可能な分煙装置であって、内部に前記喫煙区域としての喫煙空間を画成し、上側及び下側の底面が開口された箱状に形成され、該喫煙空間の側方を包囲する側壁部と、内部に清浄空間を画成するように箱状に形成され、吸気口及び排気口が下側底面に設けられ、該下側底面が前記側壁部の上側底面を構成するように側壁部の上方に配置される清浄部と、前記清浄部内に収容され、清浄空間から吸引した空気を前記排気口から下方の喫煙空間へ送風する送風部と、前記送風部により清浄空間が降圧されて前記吸気口から上方の清浄空間へ吸引される空気を清浄するフィルタ部と、前記排気口の下方に位置するように前記側壁部の内壁に設けられ、前記排気口から排出された空気を前記吸気口側へ案内する第1案内部と、前記吸気口の下方に位置するように前記側壁部の内壁に設けられ、前記第1案内部により案内された空気を前記吸気口へ案内する第2案内部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、排気口が設けられていない室内空間に設置可能な分煙装置を実現できる。本発明のその他の効果については、以下の発明を実施するための形態の項でも説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る分煙装置の構成を示す正面図である。
図2】分煙装置の構成を示す縦断面図である。
図3】側壁部の構成を示す平面図である。
図4】清浄部の構成を示す横断面図である。
図5】送風部の構成を示す概略斜視図である。
図6】フィルタ部の構成を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
まず、図1図4を参照して、本実施形態に係る分煙装置の構成を説明する。図1は、実施形態に係る分煙装置の構成を示す正面図である。図2は、分煙装置の構成を示す縦断面図である。図3は、側壁部の構成を示す平面図である。図4は、清浄部の構成を示す横断面図である。
【0012】
図1及び図2に示す分煙装置1は、禁煙区域と喫煙区域とを分割するべき室内において、床面FLに載置することにより設置されて喫煙区域としての喫煙空間を画成する。図1及び図2に示すように喫煙空間の側方を包囲する側壁部10と、側壁部10の上方に設けられた清浄部20とを備える。また、分煙装置1は、全体として下側の底面が開口された直方体箱状に形成され、室内の壁面近傍において室内床面FLに設置される。この際、分煙装置1は、側壁部10に属する下端部と室内床面FLとの間に滑り止めゴム101が挟まれるとともに、清浄部20に属する上側底面と室内の壁面とがワイヤ201により接続され、地震などの揺れによる分煙装置1の転倒が防止される。
【0013】
図3に示すように、側壁部10は、左右方向に対向する2つの側壁パネル11,12と、これら2つの側壁パネル11,12の後方一端を接続する後方の側壁パネル13とを有し、これら3つの側壁パネルはいずれも距離Pの高さに形成され、その横断面がコの字形状を構成する。更に、側壁部10は、後方の側壁パネルに対向する前方の側壁パネルとしてのドア14及び遮蔽部15を有し、側壁パネル11,12,13及びドア14及び遮蔽部15によって、上側及び下側の底面が開口された直方体箱状に構成されて、その内部に喫煙空間を画成する。この喫煙空間内には、後方の側壁パネル13と接するように灰皿19が設けられる。また、喫煙空間内には後述する第1案内部31及び第2案内部32が設けられる。
【0014】
遮蔽部15は、その高さが側壁パネル11〜13の上端から距離Cの高さに形成され、その幅方向端部が2つの側壁パネル11,12の前方一端に接続される。ドア14は、その高さが遮蔽部15の下端から距離Dだけ喫煙空間の前方を覆うように形成される。ここで、距離Cと距離Dとの合計距離は、距離Pより小さく形成され、これによって、側壁部10は、側壁パネル11〜13の下端から距離Oの高さだけ側方に開口し、この開口によって喫煙空間は外部と連通する。
【0015】
また、ドア11は、蝶番14aによって、その幅方向一端が、左右方向に対向する2つの側壁パネルのいずれかの前方一端に接続され、幅方向他端側にドアハンドル14bを有する。これによって、側壁部10の前方が開放されて喫煙者が喫煙空間内に出入り可能となる。
【0016】
図4に示すように、清浄部20は、直方体箱状に構成されて内部に清浄空間を画成し、清浄空間内に送風部21及びフィルタ部22を収容する。清浄部20の下側底面には、排気口20a及び吸気口20bが設けられる。清浄部20は、その下側底面が側壁部10の上側底面を構成するように側壁部10の上方に配置され、清浄部20の下側底面、側壁部10、室内床面FLによって喫煙空間が画成される。
【0017】
喫煙空間は、排気口20a及び吸気口20bによって清浄空間と連通される。送風部21は、清浄空間の空気を吸引して排気口20aから喫煙空間へ下方に送風するものであり、本実施形態においてはクロスフローファンとして構成される。フィルタ部22は、送風部21により清浄空間が降圧されることにより吸気口20bを介して喫煙空間から吸引される空気をろ過して清浄し、清浄された空気は排気口20aによって下方の清浄空間に排出される。排気口20a及び吸気口20bは、水平方向、具体的には分煙装置1の左右方向に互いに異なる位置に設けられる。
【0018】
側壁部10には、排気口20aから排出された空気を水平方向における吸気口20b側へ案内する第1案内部31と、第1案内部31により案内された空気を吸気口20bへ案内する第2案内部32とが設けられる。
【0019】
第1案内部31は、排気口20aの下方に位置するように側壁部10の前後方向全域に亘って設けられた板状の部材であり、排気口20aの排出方向に直交する方向、即ち水平方向に伸びる平面として形成され、一端が側壁部10の内壁において第2案内部32と対向する位置、具体的には側壁パネル12に接続される。
【0020】
第2案内部32は、吸気口20bの下方に位置するように側壁部10の前後方向全域に亘って設けられ、直交部321と傾斜部322とを有する。直交部321は、吸気口20bの吸引方向に直交する方向、即ち水平方向に伸びる平面として形成される。傾斜部322は、一端が側壁部10の内壁、具体的には側壁パネル11に接続され、他端が直交部321に接続され、水平方向に対して他端が下方に位置するように傾斜する平面として形成される。なお、第2案内部32は、直交部321の位置が遮蔽部15の下端より上方となるように設けられる。これによって、ドア14が操作されて側壁部10の前方が開放された場合に、分煙装置1の外部へ流出する排気口20aからの排気が低減される。
【0021】
第1案内部31及び第2案内部32によれば、清浄部20から排出された空気を再度清浄部20に吸引するように分煙装置1の上方で空気を循環させ、フィルタ部22による清浄能力を向上させることができる。なお、第1案内部31は、第2案内部32の直交部321より上方に位置するように設けられる。これによって、第1案内部31により案内された空気の多くを吸気口20bへ案内することができるとともに、排気口20aより排出された空気のうち、喫煙空間の下方へ向かう空気を低減することができる。また、第2案内部32の傾斜部322によれば、第1案内部31により案内された空気の流動方向を上向かせてより多くの空気を吸気口20bへ案内することができる。また、側壁部10の下端の開口によれば、喫煙空間内の空気の流動性が向上し、この流動性の向上は、分煙装置1における空気の循環に寄与し、したがって、フィルタ部22による清浄能力を向上させることができる。
【0022】
次に、送風部の構成について説明する。図5は、送風部の構成を示す概略斜視図である。
【0023】
図5に示すように、送風部21は、クロスフローファンであり、長尺の直方体箱状に形成され、送風口211及び吸入口212が設けられたケーシング210と、ケーシング210に収納され、図示しないモータにより回転駆動されるランナ213とを備える。ランナ213は、回転駆動されることによって吸入口212からケーシング210外部の空気を吸入し、吸入した空気を喫煙空間に送風する。送風部21は、送風口211が排気口20aに面するように、清浄部20内においてその下側底面に載置され、この際、吸入口212は清浄空間内に向けられるようになっている。これによって、清浄空間の空気が排出されて清浄空間内が降圧される。
【0024】
次に、フィルタ部の構成について説明する。図6は、フィルタ部の構成を示す概略斜視図である。
【0025】
図6に示すように、フィルタ部22は、上側底面が開口された直方体箱状に形成された収容部23と、収容部23に収容されたHEPA(High Efficiency Air)フィルタ24とを備える。収容部23には、その下側底面の中央近傍領域において所定の開口率となるようにパンチング加工された開口部23aが形成される。
【0026】
また、収容部23の下側底面には、その一辺と平行する可動軸を有する蝶番の羽の一方が固定され、この蝶番の他方の羽は側壁部10、具体的には側壁11の内壁に固定される。この構成によれば、収容部23は、吸気口20bの下方から清浄空間内に出し入れ可能となり、したがって、HEPAフィルタ24が交換可能となる。なお、蝶番が固定された側の収容部23の壁部に対向する壁部23bは、他の3つの壁部と比較してその高さが低く形成されており、これによって、HEPAフィルタ24の交換が容易となる。
【0027】
更に、収容部23は、その下側底面が、蝶番が固定された側の辺に対向する辺から所定距離だけ外面に延展する取付け部231を有し、この取付け部231には取付ネジ26を取り付けるための孔231aが設けられる。この取付け部231によれば、収容部23が清浄空間に挿入されて取付け部231が清浄部20の下側底面に接した状態で取付ネジ26によるネジ止めがなされ、収容部23が固定される。
【0028】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0029】
1 分煙装置
10 側壁部
20 清浄部
20a 排気口
20b 吸気口
21 送風部
22 フィルタ部
31 第1案内部
32 第2案内部
図1
図2
図3
図4
図5
図6