特許第6556039号(P6556039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556039転相乳化による結晶性ポリエステルラテックスの調製のための単一溶媒調合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556039
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】転相乳化による結晶性ポリエステルラテックスの調製のための単一溶媒調合物
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/07 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   C08J3/07CFD
【請求項の数】19
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-238389(P2015-238389)
(22)【出願日】2015年12月7日
(65)【公開番号】特開2016-117886(P2016-117886A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2018年12月6日
(31)【優先権主張番号】14/576,070
(32)【優先日】2014年12月18日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヤンジア・ズオ
(72)【発明者】
【氏名】シゲン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・グエン
(72)【発明者】
【氏名】チー−ミン・チェン
【審査官】 石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−236425(JP,A)
【文献】 特開2012−137730(JP,A)
【文献】 特開2013−221990(JP,A)
【文献】 特開2012−041408(JP,A)
【文献】 特開2013−209433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−3/28、99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一有機溶媒、塩基および水の混合物中にポリエステル樹脂を溶解して樹脂混合物を形成する工程と、
前記樹脂混合物を中和剤で25%から500%の中和比になるように中和して、中和された樹脂混合物を生成する工程と、
転相が起こるまで前記中和された樹脂混合物に水を加えてトナー樹脂乳剤を形成する工程と、
前記単一有機溶媒を除去してポリエステルラテックスを形成する工程とを含むプロセスであって、
ここで、前記単一有機溶媒は、前記プロセス中に使用される唯一の有機溶媒であるプロセス。
【請求項2】
前記単一有機溶媒が非プロトン性溶媒である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記非プロトン性溶媒が、ケトン、エステル、エーテルおよびニトリルからなる群から選択される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記非プロトン性溶媒が、メチルエチルケトンである、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
イソプロピルアルコールは前記プロセスにおいて用いられない、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
ポリエステル樹脂と前記単一有機溶媒の重量比が10:10から10:18である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記プロセスにおいて使用される前記単一有機溶媒と合計量の水の重量比が16:30から11:30である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記ポリエステル樹脂が結晶性樹脂、非晶性樹脂またはその混合物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記ポリエステル樹脂が結晶性樹脂である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記塩基は、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、及びそれらの組合せから成る群より選ばれる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記塩基は、水酸化アンモニウムを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記単一有機溶媒の除去は、溶媒の300ppm未満にまで蒸留によってなされる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記単一有機溶媒の除去は、溶媒の200ppm未満にまで蒸留によってなされる、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
300ppm未満の前記単一有機溶媒への前記単一有機溶媒除去を完成する時間が、800gのトナー樹脂乳剤当たり120分未満である、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
130nmから210nmの範囲のD50粒径を有する結晶性ポリエステルラテックスの調製に結晶性樹脂が用いられる、請求項9に記載のプロセス。
【請求項16】
メチルエチルケトン、塩基および水の混合物中に結晶性ポリエステル樹脂を溶解して樹脂混合物を形成する工程と、
前記樹脂混合物を中和剤で25%から500%の中和比になるように中和して、中和された樹脂混合物を生成する工程と、
転相が起こるまで前記中和された樹脂混合物に水を加えてトナー樹脂乳剤を形成する工程と、
メチルエチルケトンを除去して結晶性ポリエステルラテックスを形成する工程とを含むプロセスであって、
ここで、メチルエチルケトンは前記プロセス中に使用される唯一の有機溶媒であるプロセス。
【請求項17】
300ppm未満の前記単一有機溶媒への前記単一有機溶媒除去を完成する時間が、800gのトナー樹脂乳剤当たり120分未満である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
130nmから210nmの範囲のD50粒径を有する結晶性ポリエステルラテックス粒子を調製するプロセスであって、
メチルエチルケトン、塩基および水の混合物中に結晶性ポリエステル樹脂を溶解して樹脂混合物を形成し、ここで、前記プロセスにおいて使用されるメチルエチルケトンと合計量の水の重量比は、16:30から11:30である工程と、
前記樹脂混合物を所望の温度に加熱する工程と、
前記樹脂混合物を中和剤で25%から500%の中和比になるように中和して、中和された樹脂混合物を生成する工程と、
転相が起こるまで前記中和された樹脂混合物に水を加えてトナー樹脂乳剤を形成する工程と、
メチルエチルケトンを除去して前記結晶性ポリエステルラテックスを形成する工程とを含み、
ここで、メチルエチルケトンは前記プロセス中に使用される唯一の有機溶媒であり、形成された前記結晶性ポリエステルラテックス中の残の前記メチルエチルケトンは300ppm未満であるプロセス。
【請求項19】
300ppm未満の残の前記メチルエチルケトンへの前記メチルエチルケトン除去を完成する時間が、800gのトナー樹脂乳剤当たり120分未満である、請求項18に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラテックス組成物およびその調製の方法に関する。詳細には、本開示の方法は、転相乳化(PIE)による結晶性ポリエステルラテックスの調製のために単一溶媒調合物を用いる。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル樹脂のラテックス乳剤は、現在、樹脂が二元溶媒、すなわちメチルエチルケトン(MEK)、イソプロピルアルコール(IPA)に溶解され、好適な塩基で中和され、水と混合されて均質の油中水(W/O)分散液(水の小滴が連続的な油中に分散している)を作るPIEプロセスを使用して製造されている。続いて、追加の水を加えて、自己安定化した水中油(O/W)ラテックスへこの分散液を反転させる。次いで、ラテックスのエネルギー集約的な加工を、有機溶媒を事実上極微量まで除去するために使用し、最終的に、界面活性剤および他の防腐剤を加えて、比較的高い固体含有率のポリエステルを有する安定なラテックスをもたらすことができる。そのようなラテックス製造において、溶媒除去プロセスは、IPAが水相に非常に可溶性であるので、溶媒IPAの存在により長いサイクル時間がかかる。このことは高い加工費または高いトナー製作経費につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、トナーの特性を同じに維持しつつ製作経費を下げる必要性が存在する。製作工程からIPAの使用を除外する、ラテックスを調製するプロセスを開発する必要性が存在する。
【0004】
このように、トナーの特性を同じに維持しつつ製作経費を下げる必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
幾つかの態様において、本明細書の実施形態は、単一有機溶媒、塩基および水の混合物中にポリエステル樹脂を溶解して樹脂混合物を形成する工程と、樹脂混合物を中和剤で中和して中和された樹脂混合物を与える工程と、転相が起こるまで中和された樹脂混合物に水を加えてトナー樹脂乳剤を形成する工程と、単一溶媒を除去してポリエステルラテックスを形成する工程とを含み、ここで、単一有機溶媒はプロセス中に使用される唯一の有機溶媒であるプロセスに関する。
【0006】
特定の実施形態において、本開示は、プロセスであって、メチルエチルケトン、塩基および水の混合物中に結晶性ポリエステル樹脂を溶解して樹脂混合物を形成する工程と、前記樹脂混合物を中和剤で中和して中和された樹脂混合物を与える工程と、転相が起こるまで前記中和された樹脂混合物に水を加えてトナー樹脂乳剤を形成する工程と、メチルエチルケトンを除去して結晶性ポリエステルラテックスを形成する工程とを含み、ここで、メチルエチルケトンは前記プロセス中に使用される唯一の有機溶媒であるプロセスを提供する。
【0007】
さらなる実施形態において、本開示は、約130nmから約210nmの範囲のD50粒径を有する結晶性ポリエステルラテックス粒子を調製するプロセスであって、メチルエチルケトン、塩基および水の混合物中に結晶性ポリエステル樹脂を溶解して樹脂混合物を形成し、ここで、前記プロセスにおいて使用されるメチルエチルケトンと合計量の水の重量比は、約16:30から約11:30である工程と、前記樹脂混合物を所望の温度に加熱する工程と、前記樹脂混合物を中和剤で中和して中和された樹脂混合物を与える工程と、転相が起こるまで前記中和された樹脂混合物に水を加えてトナー樹脂乳剤を形成する工程と、メチルエチルケトンを除去して前記結晶性ポリエステルラテックスを形成する工程と、ここで、前記形成された結晶性ポリエステルラテックス中の前記残存メチルエチルケトンは300ppm未満であるプロセスを提供する。
【0008】
本開示の様々な実施形態は、本明細書において以下の図を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の方法に従って調製されたラテックス試料1の粒径および粒度分布のプロットを示す。
図2】二元溶媒調合物から調製された対照ラテックス(二元溶媒ラテックスDS)と本実施形態の方法に従って調製された試料ラテックス(単一溶媒ラテックスSS)の残存溶媒を比較した揮発性有機化合物(VOC)の規格を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において使用される場合、用語「Mn」は数平均分子量を意味する。
【0011】
本明細書において使用される場合、用語「Mw」は重量平均分子量を意味する。
【0012】
本明細書において使用される場合、用語「Pd」は、数平均分子量で除した重量平均分子量である多分散性を意味する。
【0013】
本明細書において使用される場合、用語「D50」は、粒子の50%がより小さい粒径を意味し、「D95」は、粒子の95%がより小さい粒径を意味する。
【0014】
結晶性ポリエステル系トナーと関係する経費を下げるために、ポリエステルラテックスは、転相乳化(PIE)による結晶性ポリエステルラテックスの調製のための単一溶媒調合物を用いることにより調製することができる。
【0015】
これらのポリエステルラテックスは、次には、極低融点ポリエステルトナーの調製のために使用されてもよい。本開示は、短い溶媒除去時間(例えば蒸留時間)を有するポリエステル分散液を形成するプロセスを提供する。
【0016】
実施形態において、本開示のプロセスは、酸基を有するポリエステル樹脂を単一有機溶媒と接触させて樹脂混合物を形成する工程と、樹脂混合物を中和剤で中和して中和された樹脂混合物を与える工程と、転相が起こるまで中和された樹脂混合物に水を加えてトナー樹脂乳剤を形成する工程とを含んでもよい。
【0017】
実施形態において、本開示のプロセスは、酸基を有するポリエステル樹脂を単一有機溶媒と接触させて樹脂混合物を形成する工程と、樹脂混合物を所望の温度に加熱する工程と、樹脂混合物を中和剤で中和して中和された樹脂混合物を与える工程と、転相が起こるまで中和された樹脂混合物に水を加えてトナー樹脂乳剤を形成する工程と含んでもよい。
【0018】
本開示は、またトナーの作製に使用されるポリエステル分散液を製造するプロセスを提供する。実施形態において、本開示のプロセスは、ポリエステル樹脂を単一有機溶媒と接触させて樹脂混合物を形成する工程と、樹脂混合物を所望の温度に加熱する工程と、中和剤の水溶液を樹脂混合物と混合する工程と、樹脂混合物を中和剤で中和して中和された樹脂混合物を与える工程と、転相が起こるまで希釈混合物に水を滴加して転相混合物を形成する工程と、乳剤から溶媒を除去してラテックスを形成する工程とを含む。
【0019】
本明細書において使用される場合、「ラテックス」は、液体中に分散したポリマー樹脂粒子を有する前記液体を指す。
【0020】
樹脂混合物の単一有機溶媒は、例えば真空蒸留などの蒸留によって実質的に除去することができる。真空蒸留は、蒸留される液体混合物上の圧力が、最も揮発性の高い液体の蒸発を引き起こす蒸気圧未満に下げられる蒸留の方法である。この蒸留方法は、液体の蒸気圧が周囲圧力を超える場合、沸騰が起こるという原理でうまくいく。真空蒸留は、転相樹脂混合物の加熱の有無を問わず使用されてよい。
【0021】
溶媒除去の後、ある程度の残存溶媒が最終ラテックス中に残ってもよい。最終ラテックス中の残存溶媒は、理想的には、約200ppm未満または100ppm未満など、300ppm未満の溶媒を含んでいる。
【0022】
本実施形態の方法を使用して、単一有機溶媒を300ppm未満の溶媒に完全に除去する時間は、800gのトナー樹脂乳剤当たり120分未満、または800gのトナー樹脂乳剤当たり150分未満かかり得る。一般に、本実施形態の方法を使用して、単一有機溶媒を300ppm未満の溶媒に完全に除去する時間は、複数の有機溶媒を使用する従来のPIE方法と比較して少なくとも30%、幾つかの実施形態において、少なくとも40%または少なくとも50%短縮することができる。
【0023】
本実施形態の単一溶媒調合物を用いて製造されたラテックスからの蒸留液は、さらなる処理をせずその後のバッチに再使用されてもよい。
【0024】
単一有機溶媒
本実施形態は、ポリエステルラテックスを作製するプロセス中にただ1種の有機溶媒を用いる。言いかえれば、他の有機溶媒は本実施形態のプロセス中に使用されない。
【0025】
実施形態において、単一有機溶媒は非プロトン性溶媒である。実施形態において、非プロトン性溶媒は、ケトン、エステル、エーテルまたはニトリルであってもよい。幾つかの実施形態において、本明細書において開示されるプロセスは、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチル、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒を用いてもよい。実施形態において、非プロトン性溶媒はMEKである。
【0026】
特定の実施形態において、単一有機溶媒の量は、樹脂の約0.1重量%から約100重量%、実施形態において樹脂の約2重量%から約50重量%、他の実施形態において樹脂の約5重量%から約35重量%であってもよい。
【0027】
実施形態において、ポリエステル樹脂と単一有機溶媒の重量比は、約10:10から約10:18、約10:12から約10:16または約10:13から約10:14であってもよい。
【0028】
実施形態において、プロセスにおいて使用される単一有機溶媒と合計量の水の重量比は、約16:30から約11:30、約15:30から約12:30または約14:30から約13:30であってもよい。
【0029】
実施形態において、非プロトン性溶媒は、水に部分的に混和性であってもよい。実施形態において、非プロトン性溶媒は水中でほとんど混和性を有していなくてもよい。実施形態において、非プロトン性溶媒は約30℃から約90℃の沸点があってもよい。
【0030】
実施形態において、ポリエステルラテックス粒子は、約130nmから約210nm、約140nmから約200nmmまたは約150nmから約195nmの範囲のD50粒径を有する。
【0031】
樹脂
任意の樹脂が本開示のラテックス乳剤の形成に使用されてもよい。実施形態において、樹脂は非晶性樹脂、結晶性樹脂および/またはその組合せであってもよい。実施形態において、樹脂は、約1mgKOH/gポリマーから約200mgKOH/gポリマー、実施形態において約5mgKOH/gポリマーから約50mgKOH/gポリマーの酸価を有する酸性基を含む結晶性ポリエステル樹脂であってもよい。さらなる実施形態において、樹脂は、米国特許第6,593,049号明細書および第6,756,176号明細書に記載されている樹脂を含むポリエステル樹脂であってもよい。適切な樹脂は、米国特許第6,830,860号明細書に記載されている非晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂の混合物を含んでもよい。
【0032】
実施形態において、樹脂は、ジオールを二酸と任意選択の触媒の存在下で反応させることにより形成されたポリエステル樹脂であってもよい。結晶性ポリエステルの形成について、適切な有機ジオールは、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールなど約2から約36の炭素原子を有する、その構造異性体を含む脂肪族ジオールを含む。脂肪族ジオールは、例えば、樹脂の約40から約60モルパーセント、実施形態において約42から約55モルパーセント、実施形態において約45から約53モルパーセントの量で選択されてもよく、第2のジオールは、樹脂の約0から約10モルパーセント、実施形態において樹脂の約1から約4モルパーセントの量で選択することができる。
【0033】
結晶性樹脂の調製のために選択されるビニル二酸またはビニルジエステルを含む、有機二酸またはジエステルの例には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、cis,1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸およびメサコン酸、そのジエステルまたは無水物が含まれる。有機二酸は、例えば、実施形態において樹脂の約40から約60モルパーセント、実施形態において約42から約52モルパーセント、実施形態において約45から約50モルパーセントの量で選択されてもよく、第2の二酸は、樹脂の約0から約10モルパーセントの量で選択することができる。
【0034】
結晶性樹脂の例には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチラート、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、その混合物などが含まれる。特定の結晶性樹脂は、ポリエステル系、例えば、ポリ(エチレン−アジパート)、ポリ(プロピレン−アジパート)、ポリ(ブチレン−アジパート)、ポリ(ペンチレン−アジパート)、ポリ(ヘキシレン−アジパート)、ポリ(オクチレン−アジパート)、ポリ(エチレン−スクシナート)、ポリ(プロピレン−スクシナート)、ポリ(ブチレン−スクシナート)、ポリ(ペンチレン−スクシナート)、ポリ(ヘキシレン−スクシナート)、ポリ(オクチレン−スクシナート)、ポリ(エチレン−セバカート)、ポリ(プロピレン−セバカート)、ポリ(ブチレン−セバカート)、ポリ(ペンチレン−セバカート)、ポリ(ヘキシレン−セバカート)、ポリ(オクチレン−セバカート)、ポリ(デシレン−セバカート)、ポリ(デシレン−デカノート)、ポリ(エチレン−デカノアート)、ポリ(エチレンドデカノアート)、ポリ(ノニレン−セバカート)、ポリ(ノニレン−デカノアート)、コポリ(エチレン−フマラート)−コポリ(エチレン−セバカート)、コポリ(エチレン−フマラート)−コポリ(エチレン−デカノアート)、コポリ(エチレン−フマラート)−コポリ(エチレン−ドデカノアート)、コポリ(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール−デカノアート)−コポリ(ノニレン−デカノアート)、ポリ(オクチレン−アジパート)であってもよい。ポリアミドの例には、ポリ(エチレン−アジポアミド)、ポリ(プロピレン−アジポアミド)、ポリ(ブチレンアジポアミド)、ポリ(ペンチレン−アジポアミド)、ポリ(ヘキシレン−アジポアミド)、ポリ(オクチレン−アジポアミド)、ポリ(エチレン−スクシンイミド)、およびポリ(プロピレン−セバカミドが含まれる。ポリイミドの例には、ポリ(エチレン−アジポイミド)、ポリ(プロピレン−アジポイミド)、ポリ(ブチレン−アジポイミド)、ポリ(ペンチレン−アジポイミド)、ポリ(ヘキシレン−アジポイミド)、ポリ(オクチレン−アジポイミド)、ポリ(エチレン−スクシンイミド)、ポリ(プロピレン−スクシンイミド)、およびポリ(ブチレン−スクシンイミド)が含まれる。
【0035】
結晶性樹脂は、例えば、トナー成分の約1から約85重量パーセント、実施形態においてトナー成分の約5から約50重量パーセントの量で存在してもよい。結晶性樹脂は、例えば、約30℃から約120℃、実施形態において約50℃から約90℃の様々な融点を有することができる。結晶性樹脂は、例えば、約1,000から約50,000、実施形態において約2,000から約25,000の、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される数平均分子量(Mn)、および、例えば、約2,000から約100,000、実施形態において約3,000から約80,000の、ポリスチレン標準を使用するGPCによって求められる重量平均分子量(Mw)を有していてもよい。結晶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、約2から約6、実施形態において約3から約4であってもよい。
【0036】
非晶性ポリエステルの調製に使用されるビニル二酸またはビニルジエステルを含む二酸またはジエステルの例には、ジカルボン酸またはジエステル、例えばテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、トリメリット酸、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、cis,1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、ドデシル無水コハク酸、グルタル酸、グルタル酸無水物、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、無水フタル酸、フタル酸ジエチル、コハク酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ドデシルコハク酸ジメチルおよびその組合せが含まれる。有機二酸またはジエステルは、例えば、樹脂の約40から約60モルパーセント、実施形態において樹脂の約42から約52モルパーセント、実施形態において樹脂の約45から約50モルパーセントの量で存在してもよい。
【0037】
非晶性ポリエステルの生成に使用されてもよいジオールの例には、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、2,2,3−トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)−ビスフェノールA、ビス(2−ヒドロキシプロピル)−ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレンおよびその組合せが含まれる。選択される有機ジオールの量は変えることができ、例えば、樹脂の約40から約60モルパーセント、実施形態において樹脂の約42から約55モルパーセント、実施形態において樹脂の約45から約53モルパーセントの量で存在してもよい。
【0038】
結晶性または非晶性ポリエステルいずれかの形成において使用されてもよい重縮合触媒には、チタン酸テトラアルキル、ジブチルスズオキシドなどのジアルキルスズオキシド、ジブチルスズジラウラートなどのテトラアルキルスズ、およびブチルスズオキシドヒドロキシドなどのジアルキルスズオキシドヒドロキシド、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズまたはその組合せが含まれる。そのような触媒は、ポリエステル樹脂を生成するのに使用される出発二酸またはジエステルに対して、例えば、約0.01モルパーセントから約5モルパーセントの量で使用してもよい。
【0039】
実施形態において、上で述べたように、非晶性不飽和ポリエステル樹脂はラテックス樹脂として使用してもよい。そのような樹脂の例には、米国特許第6,063,827号明細書に開示されているものが含まれる。例示の非晶性不飽和ポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシ化ビスフェノール−co−フマラート)、ポリ(エトキシ化ビスフェノール−co−フマラート)、ポリ(ブチロキシ化ビスフェノール−co−フマラート)、ポリ(co−プロポキシ化ビスフェノール−co−エトキシ化ビスフェノール−co−フマラート)、ポリ(1,2−プロピレンフマラート)、ポリ(プロポキシ化ビスフェノール−co−マレアート)、ポリ(エトキシ化ビスフェノール−co−マレアート)、ポリ(ブチロキシ化ビスフェノール−co−マレアート)、ポリ(co−プロポキシ化ビスフェノール−co−エトキシ化ビスフェノール−co−マレアート)、ポリ(1,2−プロピレンマレアート)、ポリ(プロポキシ化ビスフェノール−co−イタコナート)、ポリ(エトキシ化ビスフェノール−co−イタコナート)、ポリ(ブチロキシ化ビスフェノール−co−イタコナート)、ポリ(co−プロポキシ化ビスフェノール−co−エトキシ化ビスフェノール−co−イタコナート)、ポリ(1,2−プロピレンイタコナート)およびその組合せを含むがこれらに限定されない。
【0040】
実施形態において、適切なポリエステル樹脂は、下記式(I):
【0041】
【化1】
【0042】
[式中、mは約5から約1000であってもよい。]を有するポリ(プロポキシ化ビスフェノールA−co−フマラート)樹脂などの非晶性ポリエステルであってもよい。そのような樹脂およびその製造のプロセスの例は、米国特許第6,063,827号明細書に開示されているものを含む。
【0043】
実施形態において、適切なポリエステル樹脂は、プロポキシ化ビスフェノールA、エトキシ化ビスフェノールA、テレフタル酸、フマル酸、およびドデセニル無水コハク酸の任意の組合せに基づく非晶性ポリエステルであってもよい。花王株式会社(日本)から入手可能なポリ(co−プロポキシ化ビスフェノールA co−エトキシ化ビスフェノールA co−テレフタラートco−フマラートco−ドデセニルスクシナート)などの非晶性ポリエステルはそのような非晶性エステルの例である。
【0044】
ラテックス樹脂として使用されてもよい直鎖プロポキシ化ビスフェノールAフマラート樹脂の例は、Resana S/A Industrias Quimicas(サンパウロ、ブラジル)から商品名SPARIIで入手可能である。使用されてもよく、市販されている他のプロポキシ化ビスフェノールAフマラート樹脂には、花王株式会社(日本)からのGTUFおよびFPESL−2、およびライヒホールド(リサーチ・トライアングル・パーク、ノースカロライナ)からのEM181635などが含まれる。
【0045】
場合によって上記のような非晶性樹脂と組み合わせて使用してもよい適切な結晶性樹脂は、米国特許出願公開第2006/0222991号明細書番号に開示されているものを含む。実施形態において、適切な結晶性樹脂は、エチレングリコール、および下記式:
【0046】
【化2】
【0047】
[式中、bは約5から約2000であり、dは約5から約2000である。]を有するドデカン二酸およびフマル酸のコモノマーの混合物で形成された樹脂を含んでいてもよい。
【0048】
非晶性樹脂は、例えば、トナー成分の約5から約95重量パーセント、実施形態においてトナー成分の約30から約80重量パーセントの量で存在してもよい。実施形態において、ラテックスに使用される非晶性樹脂または非晶性樹脂の組合せは、約30℃から約80℃、実施形態において約35℃から約70℃のガラス転移温度(Tg)を有していてもよい。さらなる実施形態において、ラテックスに使用される組み合わせた樹脂は、約130℃で約10から約1,000,000PaS、実施形態において約50から約100,000PaSの溶融粘度があってもよい。
【0049】
1または2種以上の樹脂を使用してもよい。実施形態において、2種以上の樹脂が使用される場合、樹脂は、例えば、約1%(第1の樹脂)/99%(第2の樹脂)から約99%(第1の樹脂)/1%(第2の樹脂)、実施形態において約10%(第1の樹脂)/90%(第2の樹脂)から約90%(第1の樹脂)/10%(第2の樹脂)などの任意の適切な比(例えば、重量比)であってもよい。
【0050】
実施形態において、樹脂は、実施形態において樹脂の末端に存在してもよい酸基を有していてもよい。存在してもよい酸基にはカルボン酸基などが含まれる。カルボン酸基の数は、樹脂を形成するために使用される物質および反応条件の調節により制御してもよい。
【0051】
実施形態において、非晶性樹脂は、約2mgKOH/g樹脂から約200mgKOH/g樹脂、実施形態において約5mgKOH/g樹脂から約50mgKOH/g樹脂の酸価を有するポリエステル樹脂であってもよい。酸含有樹脂はテトラヒドロフラン溶液に溶解してもよい。酸価は、指示薬としてフェノールフタレインを含むKOH/メタノール溶液で滴定することによって検出してもよい。次いで、酸価は、滴定の終点として特定された樹脂の酸基をすべて中和するのに必要とするKOH/メタノールの当量に基づいて計算してもよい。
【0052】
中和剤
実施形態において、中和剤は、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、ピリジン誘導体、ジフェニルアミン、ジフェニルアミン誘導体、ポリ(エチレンアミン)、ポリ(エチレンアミン)誘導体、アミン塩基、およびピペラジンおよびその組合せからなる群から選択される。幾つかの実施形態において、本明細書に開示されるプロセスは、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、有機アミン、およびその組合せからなる群から独立して選択される中和剤の第1の部分、および中和剤の第2の部分を用いてもよい。
【0053】
実施形態において、樹脂は弱塩基または中和剤と混合してもよい。実施形態において、中和剤は樹脂中の酸基を中和するために使用されてもよく、そのため、本明細書において中和剤は「塩基性中和剤」と称されてもよい。任意の適切な塩基性中和試薬を本開示に従って使用してもよい。実施形態において、適切な塩基性中和剤は、無機塩基性剤および有機塩基性剤の両方を含んでもよい。適切な塩基性剤は、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、その組合せなどを含んでもよい。適切な塩基性中和剤はまた、少なくとも1個の窒素原子を有する単環式化合物および多環式化合物、例えば、アジリジン、アゼチジン、ピペラジン、ピペリジン、ピリジン、ビピリジン、テルピリジン、ジヒドロピリジン、モルホリン、N−アルキルモルホリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロウンデカン、1,8−ジアザビシクロウンデセン、ジメチル化ペンチルアミン、トリメチル化ペンチルアミン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、ピロリジノン、インドール、インドリン、インダノン、ベンゾインダノン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イミダゾロン、イミダゾリン、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサゾリン、オキサジアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピラゾリン、およびその組合せを含む第二級アミンなどを含んでもよい。実施形態において、単環式および多環式化合物は、環上の任意の炭素位置で非置換または置換であってもよい。
【0054】
塩基性中和剤は、樹脂の約0.001重量%から50重量%、実施形態において樹脂の約0.01重量%から約25重量%、実施形態において樹脂の約0.1重量%から5重量%の量で使用してもよい。実施形態において、中和剤は水溶液の形態で添加してもよい。他の実施形態において、中和剤は固形物の形態で添加してもよい。
【0055】
酸基を有する樹脂と組み合わせて上記の塩基性中和剤を使用して、約25%から約500%、実施形態において約50%から約300%の中和比が達成されてもよい。実施形態において、中和比は、塩基性中和剤が与える塩基性基と樹脂中に存在する酸基の、100%をかけたモル比として計算してもよい。
【0056】
上で述べたように、塩基性中和剤は酸基を有する樹脂に添加してもよい。塩基性中和剤の添加は、それにより、酸基を有する樹脂を含む乳剤のpHを約5から約12、実施形態において約6から約11に上げてもよい。酸基の中和は、実施形態において、乳剤の形成を増強してもよい。
【0057】
界面活性剤
実施形態において、本開示のプロセスは、溶解の前またはその間に、ポリエステル樹脂への界面活性剤の添加を場合によって含んでもよい。実施形態において、界面活性剤は高温でポリエステル樹脂の溶解前に添加してもよい。樹脂乳剤は、使用される場合、1または2種以上の界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤はイオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤から選択してもよい。陰イオン性界面活性剤および陽イオン性界面活性剤は、用語「イオン性界面活性剤」によって包含される。実施形態において、界面活性剤は、固体として、または約5%から約100重量%(純粋な界面活性剤)、実施形態において約10%から約95重量%の濃度を有する溶液として添加してもよい。実施形態において、界面活性剤は、樹脂の約0.01%から約20重量%、実施形態において樹脂の約0.1%から約16重量%、他の実施形態において樹脂の約1%から約14重量%の量で存在するように使用してもよい。
【0058】
使用されてもよい陰イオン性界面活性剤には、硫酸塩およびスルホン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキルスルファートおよびスルホナート、アルドリッチから入手可能なアビエチン酸、第一工業製薬から入手されるネオジェンR(商標)、ネオジェンSC(商標)およびその組合せなどの酸が含まれる。他の適切な陰イオン界面活性剤には、実施形態において、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーからのダウファックス(商標)2A1、アルキルジフェニルオキシド二スルホナートおよび/または分岐ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであるテイカ株式会社(日本)からのテイカパワーBN2060が含まれる。これらの界面活性剤と前述の任意の陰イオン界面活性剤の組合せを、実施形態において使用してもよい。
【0059】
通常正に帯電した陽イオン界面活性剤の例には、例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンザルコニウム、セチルピリジニウムブロミド、C12、C15、C17トリメチルアンモニウムブロミド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハライド塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、Alkali Chemical Companyから入手可能なMIRAPOL(商標)およびALKAQUAT(商標)、花王ケミカルズから入手可能なサニゾール(商標)(塩化ベンザルコニウム)など、およびその混合物が含まれる。
【0060】
本明細書において説明されるプロセスに使用されてもよい非イオン性界面活性剤の例には、例えば、IGEPAL CA−210(商標)、IGEPAL CA−520(商標)、IGEPAL CA−720(商標)、IGEPAL CO−890(商標)、IGEPAL CO−720(商標)、IGEPAL CO−290(商標)、IGEPAL CA−210(商標)、ANTAROX 890(商標)およびANTAROX 897(商標)としてローヌ・プーランから入手可能なポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシ−エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールが含まれる。適切な非イオン性界面活性剤の他の例は、SYNPERONIC PE/F、実施形態においてSYNPERONIC PE/F108として市販されているものを含むポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーを含んでいてもよい。これらの界面活性剤と前述の界面活性剤のいずれかとの組合せを、実施形態において使用してもよい。
【0061】
上で述べたように、本明細書のプロセスは複数のポリエステル樹脂を用いてもよい。幾つかのそのような実施形態において、ポリエステルラテックスはすべて、加工前に一緒に予備ブレンドしてもよい。幾つかの実施形態において、混合樹脂の一つは結晶性ポリエステルラテックスであってもよく、プロセスにおいて結晶性樹脂の結晶化温度を超える温度であってもよい高温を用いてもよい。さらなる実施形態において、樹脂は非晶性および結晶性樹脂の混合物であってもよく、溶解に用いられる温度は、混合物のTgを超えてもよい。
【0062】
幾つかの実施形態において、中和されたポリエステル樹脂の乳化は、転相が起きて転相ラテックス乳剤を形成するまで、中和された樹脂の溶液へ水を添加する工程を含んでもよい。乳化の後、続いて有機溶媒、水または両者の混合物を除去するためにラテックスを蒸留してもよい。
【0063】
実施形態において、本開示のプロセスにおいて使用されてもよい中和剤は、上で言及した薬剤を含む。実施形態において、プロセスにおいて用いられる任意選択の界面活性剤は、適当な樹脂中和が起こり粗大物含有率の少ない高品質のラテックスをもたらすことを保証するいかなる界面活性剤であってもよい。
【0064】
実施形態において、界面活性剤は、任意の混合の前、間または後に、樹脂組成物の1種または複数の原料に添加してもよい。実施形態において、界面活性剤は、中和剤の添加の前、間または後に添加してもよい。実施形態において、界面活性剤は中和剤の添加前に添加してもよい。実施形態において、界面活性剤は溶解前に予備ブレンド混合物に添加してもよい。
【0065】
実施形態において、連続相が反転した乳剤を形成することができる。転相は、アルカリ性水溶液または塩基性薬剤、任意選択の界面活性剤、および/または水組成物を添加し続けて、樹脂組成の溶融原料を有する小滴を含む分散相、ならびに界面活性剤および/または水組成物を含む連続相を含む転相乳剤を生成することにより遂行することができる。
【0066】
撹拌は、必要ではないが、ラテックスの形成を増強するために使用してもよい。任意の適切な撹拌装置を使用してもよい。実施形態において、撹拌は、毎分の回転数(rpm)が約10rpmから約5,000rpm、実施形態において約20rpmから約2,000rpm、他の実施形態において約50rpmから約1,000rpmの速度であってもよい。撹拌は等速である必要がなく、様々であってもよい。例えば、混合物が一様になるにつれて、撹拌速度を増してもよい。実施形態において、転相乳剤を形成するためにホモジナイザー(すなわち、高剪断装置)を使用してもよい。しかし、他の実施形態において、本開示のプロセスはホモジナイザーを使用せずに行ってもよい。ホモジナイザーは、使用する場合、約3,000rpmから約10,000rpmの速度で運転してもよい。
【0067】
転相点は、乳剤の成分、加熱の温度、撹拌速度などに応じて様々であってよいが、結果として得られる樹脂が、乳剤の約5重量%から約70重量%、実施形態において乳剤の約20重量%から約65重量%、他の実施形態において乳剤の約30重量%から約60重量%の量で存在するように、塩基性中和剤、任意選択の界面活性剤および/または水を添加したときに転相が生じてよい。
【0068】
転相に続いて、追加の界面活性剤、水、および/またはアルカリ性水溶液を場合によって添加して転相乳剤を希釈してもよいが、これは必要ではない。加熱を行った場合、転相に続いて、転相乳剤を、室温、例えば約20℃から約25℃に冷却してもよい。
【0069】
実施形態において、蒸留を遂行して、例えば、約50nmから約500nm、実施形態において約120nmから約250nmの平均直径寸法を有するラテックスとして樹脂乳剤粒子を得ることができる。幾つかの実施形態において、留出液は、その後のPIEプロセスに使用するために場合によってリサイクルしてもよい。
【0070】
実施形態において、例えば、本開示のプロセスからの留出液は、小量の水のみを有する、約10%未満、または約25%未満、または約35%未満などのMEKを主に含んでいてもよい。代替実施形態において、水の量は、約50から約60%など、約35%を超えてもよい。実施形態において、MEK−水混合物は、次の転相バッチのために再度使用してもよい。幾つかの実施形態において、非プロトン性溶媒は真空蒸留によって除去してもよい。
【0071】
水性媒体に乳化したポリエステル樹脂粒子は、例えば約1μm以下、実施形態において約500nm以下(約10nmから約500nmなど)、実施形態において約50nmから約400nm、他の実施形態において約100nmから約300nm、幾つかの実施形態において約200nmのサブミクロン寸法を有していてもよい。粒径の調節は、溶媒と樹脂の比、中和比、溶媒濃度および溶媒組成を修正することにより行うことができる。
【0072】
本開示のラテックスの粒径分布は、約30nmから約500nm、実施形態において約125nmから約400nmであってもよい。
【0073】
本開示のラテックスの粗大物含有率は、約0.01重量%から約5重量%、実施形態において約0.1重量%から約3重量%であってもよい。本開示のラテックスの固体含有率は、約10重量%から約50重量%、実施形態において約20重量%から約45重量%であってもよい。
【0074】
PIEを用いるポリエステル乳剤の製造のための本開示のプロセスは、廃棄生成物をなくすかまたは極小化することができ、より効率的な溶媒ストリッピング、溶媒回収の粒子を製造し、溶媒のリサイクルを可能にする。
【0075】
次いで、本開示の乳剤は、トナー粒子の形成に適した粒子を製造するために使用してもよい。
【0076】
トナー
実施形態において、本明細書に開示されるプロセスは、PIEプロセスによって形成されたラテックスからトナー粒子を形成する工程をさらに含む。例えば、ポリエステル樹脂をラテックスに変換したら、当業者の理解範囲内の任意のプロセスによってトナーを形成するために使用してもよい。ラテックスは、色素と、場合によって分散液中で、および他の添加剤と接触させて、適切なプロセスによって、実施形態において、乳剤の凝集および融合のプロセスによって極低融点トナーを形成してもよい。
【0077】
実施形態において、色素、ワックスおよび他の添加剤を含むトナー組成物の任意選択の追加の原料は、乳剤を形成するための樹脂を混合する前、間または後に添加してもよい。追加の原料は、ラテックス乳剤の形成の前、間または後に添加してもよい。さらなる実施形態において、色素は界面活性剤の添加の前に添加してもよい。
【0078】
色素
添加する色素として、様々な公知の適切な色素、例えば染料、顔料、染料の混合物、顔料の混合物、染料および顔料の混合物などが、トナーに含まれてよい。実施形態において、色素は、例えば、トナーの約0.1から約35重量%、またはトナーの約1から約15重量%またはトナーの約3から約10重量%の量でトナーに含まれてよいが、色素の量はこれらの範囲外であってもよい。
【0079】
適切な色素の例として挙げてよいものは、REGAL330(登録商標)(Cabot)のようなカーボンブラック、Carbon Black5250および5750(Columbian Chemicals)、Sunsperse Carbon Black LHD 9303(Sun Chemicals)、Mobayマグネタイト MO8029(商標)、MO8060(商標)などのマグネタイト、コロンビアンマグネタイト、MAPICO BLACKS商標)、および表面処理マグネタイト、PfizerマグネタイトCB4799(商標)、CB5300(商標)、CB5600(商標)、MCX6369(商標)、Bayerマグネタイト、BAYFERROX 8600(商標)、8610(商標)、Northern Pigmentsマグネタイト、NP−604(商標)、NP−608(商標)、MagnoxマグネタイトTMB−100(商標)、またはTMB−104(商標)などである。有色顔料として、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブラウン、ブルーまたはその混合物を選ぶことができる。通常、シアン、マゼンタ、またはイエロー顔料または染料またはその混合物が使用される。顔料(複数可)は、水系顔料分散液として通常使用される。
【0080】
一般に、適切な色素には、Paliogen Violet 5100および5890(BASF)、Normandy Magenta RD−2400(Paul Uhlrich)、Permanent Violet VT2645(Paul Uhlrich)、Heliogen Green L8730(BASF)、アーガイルグリーンXP−111−S(Paul Uhlrich)、Brilliant Green Toner GR 0991(Paul Uhlrich)、Lithol Scarlet D3700(BASF)、Toluidine Red(Aldrich)、Thermoplast NSD PS PA用のScarlet(カナダ、Ugine Kuhlmann)、Lithol Rubine Toner(Paul Uhlrich)、Lithol Scarlet 4440(BASF)、NBD3700(BASF)、Bon Red C(Dominion Color)、Royal Brilliant Red RD−8192(Paul Uhlrich)、Oracet Pink RF(Ciba Geigy)、Paliogen Red 3340および3871K(BASF)、Lithol Fast Scarlet L4300(BASF)、Heliogen Blue D6840、D7080、K7090、K6910およびL7020(BASF)、Sudan Blue OS(BASF)、Neopen Blue FF4012(BASF)、PV Fast Blue B2G01(American Hoechst)、Irgalite Blue BCA(Ciba Geigy)、Paliogen Blue 6470(BASF)、スーダンII、IIIおよびIV(Matheson、Coleman、Bell)、Sudan Orange(Aldrich)、Sudan Orange220(BASF)、Paliogen Orange 3040(BASF)、Ortho Orange OR 2673(Paul Uhlrich)、Paliogen Yellow 152および1560(BASF)、Lithol Fast Yellow 0991K(BASF)、Paliotol Yellow 1840(BASF)、Novaperm Yellow FGL(Hoechst)、Permanerit Yellow YE 0305(Paul Uhlrich)、Lumogen Yellow D0790(BASF)、Sunsperse Yellow YHD 6001(Sun Chemicals)、Suco−Gelb 1250(BASF)、Suco−Yellow D1355(BASF)、Suco Fast Yellow D1165、D1355およびD1351(BASF)、Hostaperm Pink E(商標)(Hoechst)、Fanal Pink D4830(BASF)、Cinquasia Magenta(商標)(DuPont)、Paliogen Black L9984(BASF)、Pigment BlackK801(BASF)、Levanyl Black A−SF(Miles、Bayer)、前述のものの組合せなどを含んでもよい。
【0081】
他の適切な水系色素分散液には、Clariantから入手可能な、例えば、Hostafine Yellow GR、Hostafine Black TおよびBlack TS、Hostafine BlueB2G、Hostafine Rubine F6B、ならびに使用前、水および/または界面活性剤に分散してもよいToner Magenta 6BVP2213およびToner Magenta EO2などのマゼンタ乾燥顔料が含まれる。
【0082】
顔料の特定の例には、Sun Chemicalsからの水系顔料分散液としてのSunsperse BHD 6011X(Blue 15 Type)、Sunsperse BHD 9312X(Pigment Blue 15 74160)、Sunsperse BHD 6000X(Pigment Blue 15:3 74160)、Sunsperse GHD 9600XおよびGHD 6004X(Pigment Gleen 7 74260)、Sunsperse QHD 6040X(Pigment Red 122 73915)、Sunsperse RHD 9668X(Pigment Red 185 12516)、Sunsperse RHD 9365Xおよび9504X(Pigment Red 57 15850:1)、Sunsperse YHD 6005X(Pigment Yellow 83 21108)、Flexiverse YFD 4249(Pigment Yellow 17 21105)、Sunsperse YHD 6020Xおよび6045X(Pigment Yellow 74 11741)、Sunsperse YHD 600Xおよび9604X(Pigment Yellow 14 21095)、Flexiverse LFD 4343およびLFD 9736(Pigment Black7 77226)、Aquatone、その組合せなど、Paul Uhlich & Company,Inc.から入手可能なHeliogen Blue L6900(商標)、D6840(商標)、D7080(商標)、D7020(商標)、Pylam Oil Blue(商標)、Pylam Oil Yellow(商標)、Pigment Blue 1(商標)、Pigment Violet 1(商標)、Pigment Red48(商標)、Dominion Color Corporation,Ltd.、トロント、オンタリオから入手可能なLemon Chrome YellowDCC 1026(商標)、E.D.Toluidine Red(商標)およびBon Red C(商標)、ならびにNovoperm Yellow FGL(商標)などが含まれる。通常、選択することができる色素は、ブラック、シアン、マゼンタ、またはイエローおよびその混合物である。マゼンタの例は、カラーインデックスにおいてCI 60710、CI Dispersed Red 15として特定される2,9−ジメチル−置換キナクリドンおよびアントラキノン染料、カラーインデックスにおいてCI 26050、CI Solvent Red19として特定されるジアゾ染料などである。シアンの例証となる例には、CI 74160、CI Pigment Blue、Pigment Blue15:3としてカラーインデックスにおいてリストされた銅テトラ(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、x−銅フタロシアニン顔料、およびCI 69810、Special Blue X−2137としてカラーインデックスにおいて特定されたAnthrathrene ブルー、などが含まれる。イエローの例証となる例は、CI 12700、CI Solvent Yellow 16としてカラーインデックスにおいて特定されたジアリライド(diarylide)イエロー3,3−ジクロロベンジデン(benzidene)アセトアセトアニリド、モノアゾピグメント、Foron Yellow SE/GLN、CIディスパースイエロー33 2,5−ジメトキシ−4−スルホンアニリドフェニルアゾ−4’−クロロ−2,5−ジメトキシアセトアセトアニリド、およびPermanent YellowFGLとしてカラーインデックスにおいて特定されたニトロフェニルアミンスルホンアミドである。
【0083】
実施形態において、色素は、顔料、染料、その組合せ、カーボンブラック、マグネタイト、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルー、ブラウン、その組合せをトナーに所望の色彩を与えるのに十分な量で含んでもよい。他の有用な色素が本開示に基づいて容易に明らかになることは理解されるはずである。
【0084】
実施形態において、顔料または色素は、固体基準のトナー粒子の約1重量%から約35重量%の、他の実施形態において約5重量%から約25重量%の量で用いてもよい。しかし、これらの範囲外の量も実施形態において使用することができる。
【0085】
ワックス
トナー粒子の形成において、場合によって、ワックスも樹脂および色素と混ぜ合わせてもよい。ワックスは、単一種類のワックスまたは2種以上の異なるワックスの混合物を含んでもよいワックス分散液で付与してもよい。例えば、特定のトナーの特性、例えば、トナー粒子の形状、トナー粒子表面にワックスが存在することおよびその量、帯電特性および/または融解特性、光沢、ストリッピング、オフセット性などを改善するために、単一のワックスをトナー配合物に加えてもよい。代替として、ワックスの組合せを添加してトナー組成物に複数の特性を付与することができる。
【0086】
ワックスは、含まれる場合、例えば、トナー粒子の約1重量%から約25重量%、実施形態においてトナー粒子の約5重量%から約20重量%の量で存在してもよいが、ワックスの量はこれらの範囲外であってもよい。
【0087】
ワックス分散液が使用される場合、ワックス分散液は、乳剤凝集トナー組成物に従来使用される様々なワックスのいずれかを含んでいてもよい。選択してもよいワックスは、例えば、約500から約20,000、実施形態において約1,000から約10,000の平均分子量を有するワックスを含む。使用してもよいワックスには、例えば、ポリオレフィン、例えば、直鎖ポリエチレンワックスおよび分岐ポリエチレンワックスを含むポリエチレン、直鎖状のポリプロピレンワックスおよび分岐ポリプロピレンワックスを含むポリプロピレン、ポリエチレン/アミド、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン/アミド、およびAllied Chemical and Petrolite Corporationから市販のポリブテンワックス、例えば、Baker Petroliteから市販のPOLYWAX(商標)ポリエチレンワックス、Michaelman,Inc.and the Daniels Products Companyから入手可能なワックス乳剤、Eastman Chemical Products,Inc.から市販のEPOLENE N−15(商標)、およびVISCOL 550−P(商標)、三洋化成工業株式会社から入手可能な低重量平均分子量ポリプロピレン、カルナバワックス、ライスワックス、カンデリラろう、ウルシワックス、およびホホバ油などの植物系ワックス、蜜蝋などの動物系ワックス、鉱物系ワックスおよびモンタンろう、オゾケライト、セレシン、パラフィンろうなどの石油系ワックス、原油、シリコーンワックス、メルカプトワックス、ポリエステルワックス、ウレタンワックスの蒸留に由来するワックスなどの微晶質ワックス、変性ポリオレフィンワックス(カルボン酸末端ポリエチレンワックスまたはカルボン酸末端ポリプロピレンワックスなど)、フィッシャー−トロプシュワックス、ステアリン酸ステアリルおよびベヘン酸ベヘニルなどの高級脂肪酸および高級アルコールから得られたエステルワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸プロピル、グリセリドモノステアラート、グリセリドジステアラート、およびペンタエリスリトールテトラベヘナートなどの高級脂肪酸および一価または多価の低級アルコールから得られたエステルワックス、ジエチレングリコールモノステアラート、ジプロピレングリコールジステアラート、ジグリセリルジステアラート、およびトリグリセリルテトラステアラートなどの高級脂肪酸および一価または多価のアルコールマルチマーから得られたエステルワックス、ソルビタンモノステアラート、およびコレステロール高級脂肪族酸エステルワックス、コレステリルステアラートなどのソルビタン高級脂肪酸エステルワックスが含まれる。使用されてもよい官能化ワックスの例には、例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なアミン、アミド、例えばAQUA SUPERSLIP 6550(商標)、SUPERSLIP 6530(商標)、フッ化ワックス、例えばMicro Powder Inc.から入手可能なPOLYFLUO 190(商標)、POLYFLUO 200(商標)、POLYSILK 19(商標)、POLYSILK 14(商標)、極性脂肪族アミド官能化ワックスなどの混合フッ化アミドワックス、ヒドロキシル化不飽和脂肪酸のエステルからなる脂肪族ワックス、例えばまたMicro Powder Inc.から入手可能なMICROSPERSION 19(商標)、SCジョンソンワックス(SC Johnson Wax)からすべて入手可能なイミド、エステル、第四級アミン、カルボン酸またはアクリルポリマー乳剤、例えばジョンクリル(JONCRYL)74(商標)、89(商標)、130(商標)、537(商標)、および538(商標)、およびAllied Chemical and Petrolite CorporationおよびSCジョンソンワックスから入手可能な塩素化ポリプロピレンおよびポリエチレンが含まれる。前述のワックスの混合物および組合せも実施形態において使用してもよい。ワックスは、例えば、融解(fuser)ロール離型剤として含まれてもよい。実施形態において、ワックスは結晶性でも非晶質でもよい。
【0088】
実施形態において、ワックスは、1種または複数の水性乳剤または固体ワックスの水中の分散液の形態のトナーに組み込まれてもよく、ここで、固体ワックスの粒径は約100から約300nmの範囲であってもよい。
【0089】
トナーの調製
トナー粒子は、当業者の理解範囲内にある任意のプロセスによって調製してもよい。トナー粒子の製造に関連する実施形態を乳化凝集プロセスに関して以下に記載するが、そのそれぞれの開示が全体として参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,290,654号および第5,302,486号明細書に開示されている、懸濁およびカプセル化プロセスなどの化学プロセスを含む、トナー粒子を調製する任意の適切なプロセスを用いてもよい。実施形態において、トナー組成物およびトナー粒子は、樹脂の小粒子が好適なトナー粒径に凝集し、次いで、融合して最終のトナー粒子形状およびモルフォロジを達成する、凝集および融合プロセスによって調製してもよい。
【0090】
実施形態において、トナー組成物は、任意選択の色素、任意選択のワックスおよび他の任意の所望のまたは必要とされる添加剤、および、上記ポリエステル樹脂を含む乳剤の、場合によって界面活性剤中の混合物を凝集する工程、次いで、凝集混合物を融合する工程を含むプロセスなどの乳剤凝集プロセスによって調製してもよい。混合物は、場合によって界面活性剤を含む分散液(複数可)中にあってもよい色素、および場合によってワックスまたは他の物質を、樹脂を含有する2種以上の乳剤の混合物であってもよい乳剤に添加することにより調製してもよい。結果として得られた混合物のpHは、例えば、酢酸、硝酸などの酸によって調節してもよい。実施形態において、混合物のpHは約2から約5に調節してもよい。さらに、実施形態において、混合物は均質化してもよい。混合物が均質化される場合、均質化は毎分約600から約6,000回転で混合することにより遂行してもよい。均質化は、例えば、IKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザーを含む任意の適切な手段によって遂行してもよい。
【0091】
上記の混合物の調製に続いて、凝集剤を混合物に添加してもよい。トナーを形成するために任意の適切な凝集剤を使用してもよい。適切な凝集剤は、例えば、二価陽イオンまたは多価陽イオン物質の水溶液を含む。凝集剤は、例えば、無機陽イオン性凝集剤であってもよく、それには、ポリアルミニウムクロリド(PAC)、または対応するブロミド、フルオリド、またはヨージドなどのポリアルミニウムハライド、ポリアルミニウムスルホシリカート(PASS)などのポリアルミニウムシリカート、ならびに、塩化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、臭化マグネシウム、塩化銅、硫酸銅およびその組合せを含む水溶性金属塩が含まれる。実施形態において、凝集剤は樹脂のTg未満である温度で混合物に添加してもよい。
【0092】
有機陽イオン性凝集剤の適切な例には、例えば、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチル臭化アンモニウム、塩化ベンザルコニウム、セチルピリジニウムブロミド、C12、C15、C17トリメチル臭化アンモニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハライド塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、その組合せなどが含まれる。
【0093】
他の適切な凝集剤はまた、チタン酸テトラアルキル、ジアルキルスズオキシド、テトラアルキルスズオキシドヒドロキシド、ジアルキルスズオキシドヒドロキシド、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドヒドロキシド、テトラアルキルスズ、その組合せなどを含むがこれらに限定されない。凝集剤がポリイオン凝集剤である場合、薬剤は、任意の所望の数のポリイオン原子が存在してもよい。例えば、実施形態において、適切なポリアルミニウム化合物には、化合物中に約2から約13、他の実施形態において約3から約8のアルミニウムイオンが存在してもよい。
【0094】
凝集剤は、例えば、混合物中の樹脂の約0%から約10重量%、実施形態において約0.2%から約8重量%、他の実施形態において約0.5%から約5重量%の量のトナーを形成するために使用される混合物に添加してもよい。ここでは、凝集のために十分な量の薬剤を供給するべきである。
【0095】
所定の所望の粒径が得られるまで、粒子を凝集させてよい。所定の所望の寸法とは、形成前に決められる得るべき所望の粒径を指し、粒径はそのような粒径に達するまで成長過程の間モニターする。試料は成長過程の間に得られ、例えば平均粒径をコールターカウンターで分析してもよい。凝集は、このように高温を維持する、または、例えば約40℃から約100℃に徐々に温度を上げ、約0.5時間から約6時間、実施形態において約1時間から約5時間の時間、撹拌を維持しながらこの温度に混合物を保持することにより進めて、凝集した粒子を得てもよい。所定の所望粒径に達したら、次いでシェル樹脂ラテックスを添加する。
【0096】
シェル樹脂
実施形態において、凝集の後であるが、しかし融合の前に、樹脂被膜を凝集した粒子に施してその上にシェルを形成してもよい。実施形態において、コアは、したがって、上記のように結晶性樹脂を含んでもよい。上記の任意の樹脂をシェルとして使用してもよい。実施形態において、上記のような非晶性ポリエステル樹脂ラテックスがシェル中に含まれてもよい。実施形態において、上記の非晶性ポリエステル樹脂ラテックスを異なる樹脂と組合せ、次いで、シェルを形成する樹脂被膜として粒子に添加してもよい。
【0097】
実施形態において、シェルを形成するために使用してもよい樹脂は、上記の結晶性樹脂ラテックス、および/または上記の非晶性樹脂を含むがこれらに限定されない。実施形態において、本開示によるシェルを形成するために使用してもよい非晶性樹脂は、場合によって上記の結晶性ポリエステル樹脂ラテックスとの組み合わせた、非晶性ポリエステルを含む。複数の樹脂を任意の適切な量で使用してもよい。実施形態において、第1の非晶性ポリエステル樹脂、例えば上記式Iの非晶性樹脂は、シェル樹脂の合計の約20重量パーセントから約100重量パーセント、実施形態においてシェル樹脂の合計の約30重量パーセントから約90重量パーセントの量で存在してもよい。したがって、実施形態において、第2の樹脂は、シェル樹脂の合計の約0重量パーセントから約80重量パーセント、実施形態においてシェル樹脂の約10重量パーセントから約70重量パーセントの量でシェル樹脂中に存在してもよい。
【0098】
シェル樹脂は、当業者の理解範囲内の任意のプロセスによって凝集した粒子に塗布してもよい。実施形態において、シェルを形成するために使用される樹脂は、上記の任意の界面活性剤を含む乳剤中にあってよい。この樹脂、場合によって上記の結晶性ポリエステル樹脂ラテックスを有する乳剤は、シェルが凝集した粒子を覆って形成するように上記の凝集した粒子と混ぜ合わせてよい。
【0099】
凝集した粒子を覆うシェルの形成は、約30℃から約80℃、実施形態において約35℃から約70℃の温度に加熱しながら行ってよい。シェルの形成は、約5分から約10時間、実施形態において約10分から約5時間の時間で行ってもよい。
【0100】
シェルは、ラテックス粒子の約1重量パーセントから約80重量パーセント、実施形態においてラテックス粒子の約10重量パーセントから約40重量パーセント、なおさらなる実施形態においてラテックス粒子の約20重量パーセントから約35重量パーセントの量で存在してもよい。
【0101】
トナー粒子の所望の最終粒径が達成されたら、混合物のpHは塩基を用いて約3から約10、実施形態において約5から約9の値に調節してもよい。pHの調節は、トナーの成長を凍結する、すなわち停止するために使用してもよい。トナーの成長を停止するために使用される塩基は、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、その組合せなど)などの任意の適切な塩基を含んでよい。実施形態において、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を、上に示した所望値にpHを調節するのを助けるために添加してもよい。
【0102】
実施形態において、トナー粒子の最終粒径は約2μmから約12μm、実施形態において約3μmから約10μmであってもよい。
【0103】
融合
所望の粒径への凝集および任意選択のシェルの塗布の後、次に粒子を所望の最終形状に融合してもよい。融合は、例えば、トナー粒子を形成するのに使用される樹脂のガラス転移温度以上であってもよい、約45℃から約150℃、実施形態において約55℃から約99℃の温度に混合物を加熱することによって、および/または、例えば約20rpmから約1000rpm、実施形態において約30rpmから約800rpmに撹拌を減少させることによって達成することができる。融合は、約0.01から約9時間、実施形態において約0.1から約4時間の時間にわたって遂行してもよい。
【0104】
凝集および/または融合の後、混合物は約20℃から約25℃などの室温に冷却してもよい。冷却は、所望に応じて、速くても遅くてもよい。適切な冷却のプロセスは、反応器のまわりのジャケットに冷水を導入する工程を含んでもよい。冷却後、トナー粒子は、場合によって水で洗浄し、次いで乾燥してもよい。乾燥は、例えば、凍結乾燥を含む乾燥に適切な任意のプロセスによって達成することができる。
【0105】
添加剤
実施形態において、望ましい場合または必要な場合、トナー粒子は他の任意選択の添加剤も含んでよい。例えば、トナーは、正または負の電荷制御剤を、例えば、トナーの約0.1から約10重量%、実施形態においてトナーの約1から約3重量%の量で含んでもよい。適切な電荷制御剤の例には、アルキルピリジニウムハライドを包括する第四級アンモニウム化合物、重硫酸塩、米国特許第4,298,672号明細書に開示されているものを含むアルキルピリジニウム化合物、米国特許第4,338,390号明細書に開示されているものを含む有機スルファートおよびスルホナート組成物、セチルピリジニウムテトラフルオロボラート、ジステアリルジメチルアンモニウムメチルスルファート、BONTRON E84(商標)またはE88(商標)(オリエント化学工業株式会社(Orient Chemical Industries,Ltd.))などのアルミニウム塩、その組合せなどが含まれる。
【0106】
流動補助添加剤を含む形成の後に、トナー粒子に外部添加剤粒子をブレンドしてもよく、この場合、添加剤は、トナー粒子表面に存在してもよい。これらの添加剤の例には、例えば、酸化チタン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ、その混合物などの金属酸化物、AEROSIL(登録商標)などのコロイド性および非晶性シリカ、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムを包括する脂肪酸の金属塩、またはUNILIN 700などの長鎖アルコールおよびその混合物が含まれる。
【0107】
一般に、トナー流、摩擦の増強、混合制御、現像および転写安定性の改善、およびより高いトナーブロッキング温度のためにシリカをトナー表面に塗布してもよい。TiO2は、相対湿度(RH)安定性の改善、摩擦制御ならびに現像および転写安定性の改善のために塗布してもよい。ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムおよび/またはステアリン酸マグネシウムも、場合によって、トナーとキャリア粒子の間の接触の数を高めることによって、潤滑性、現像剤導電率、摩擦増強、より高いトナー電荷、および電荷安定性を付与するために外部添加剤として使用してもよい。実施形態において、フェロ社から得られZinc Stearate Lとして知られる市販のステアリン酸亜鉛を使用してもよい。外部表面添加剤は、被膜と共に、または被膜なしで使用してもよい。
【0108】
これらの外部添加剤のそれぞれは、トナーの約0.1重量%から約5重量%、実施形態においてトナーの約0.25重量%から約3重量%の量で存在してもよいが、添加剤の量がこの範囲の外側にある場合もある。実施形態において、トナーは、例えば、約0.1重量%から約5重量%のチタニア、約0.1重量%から約8重量%のシリカ、および約0.1重量%から約4重量%のステアリン酸亜鉛を含んでもよい。
【0109】
適切な添加剤は、米国特許第3,590,000号明細書、第3,800,588号明細書および第6,214,507号明細書に開示されているものを含む。
【0110】
本開示の実施形態を説明するために以下の実施例を提出する。これらの実施例は、例証となるようにのみ意図され、本開示の範囲を限定するようには意図されない。また、特に断らなければ、部およびパーセントは重量による。本明細書において使用される場合、「室温」は、約20℃から約25℃の温度を指す。
【0111】
実施例1
この実施例は、本明細書の実施形態による単一溶媒調合物を使用して、ポリエステルラテックスを製造するための転相乳化(PIE)プロセスを記載する。
【0112】
13.3部のメチルエチルケトン(MEK)、0.2部の10wt% NHOHおよび5部の脱イオン化(DI)水を、約150rpmで撹拌することにより混合してアンモニア溶液を形成した。10.4の酸価(AV)を有する10部の結晶性樹脂(FXA−006M)をアンモニア溶液に加え、混合物を溶解するために約250rpmで65℃に加熱した。1時間後、樹脂は完全に溶解され、さらに0.27部の10wt% NHOH溶液を2分以内に混合物に加えて、約1.491(149.1%)の中和比で樹脂を中和した。
【0113】
中和比の量は、樹脂の酸価(AV)と等モルの量を使用して計算した。このようにして、中和比を、樹脂酸性基を中和するのに必要な塩基の量として定義する。1.0の中和比は、樹脂中のすべての酸性部分が塩基(水酸化物イオン)によって中和されることを示唆する。
【0114】
10%NHの量(部)は以下の式に基づいて計算した。
10%NH=中和比樹脂の量(部)AV0.3030.01
【0115】
混合物を10分間撹拌した。続いて、室温の25部のDI水を混合物に、約6.67g/分の流速でゆっくりポンプ輸送した(Fluid Metering Incorporated Model QG20によるポンプ)。DI水の添加後、製造して得られた乳剤は、ナノトラック粒径アナライザーによって測定して191.3nmに粒径D50を有すると記録された(図1)。D50は粒径を比較するために記録し、D95および幅は粒径分布を評価するために使用した。粒径のデータを表1にリスト化する。
【0116】
乳剤の粒径分布は、単一溶媒ラテックス(SS)の好結果の形成を示す。
【0117】
【表1】
【0118】
実施例2
この実施例では、従来の転相乳化(PIE)プロセスを使用する溶媒除去時間と本明細書の実施形態の単一溶媒調合物を用いる方法とを比較する。
【0119】
調製したポリエステルラテックスをMEKの除去のために真空下に蒸留させ、揮発性有機化合物(VOC)規格に達した。実施例1で調製した約881gの単一溶媒ラテックスSSを、50℃、250RPMで混合しながら、凝縮器および2つのコールドトラップと組み合わせた2Lフラスコに装入して、ガスから液体に抽出された溶媒を変換し、環境へのVOCの漏洩を回避するためにそれらを適切に収集した。ラテックスに印加する真空は、溶媒ストリッピング条件に基づいて調節した−安全問題のためにラテックス液体レベルを適切に維持するが、しかしその条件で相対的に最大限の抽出速度を有する必要がある。試料をGCでの特性評価のために15分毎に採取して、VOCの低減を追跡した。約923gの二元溶媒ラテックス(DS)を、同様に同じ装置を有する対照として蒸留した。
【0120】
図2は、蒸留工程中でのラテックス中のMEKおよびIPAの変動を示す。蒸留の初め、SSラテックスは、DSラテックスより高濃度のMEKを含んでいたが、これは、上記リストの調合物に一致している。しかし、蒸留が進むにつれて、SSラテックス中のMEK濃度は著しく減少し、75分でDSラテックスと同じレベル(2,500ppm)に接近した。120分で、SSラテックス中のMEK濃度は90ppmに落ち、これは、MEKのみのために環境規格200ppmより著しく低い。DSラテックスと比較すると、120分の同じ処理時間では、DSラテックスは320ppmのMEKおよび1000ppmのIPAを含んでいた。DSはさらに60分を続いて必要とした(環境規格(すなわちMEKおよびIPAに対して300ppm)に達するのに180分)。この現象は、水とのその不相容性により溶媒MEKをSSラテックスから迅速に除去することができることを示唆する。図2から、本発明者らは、また、蒸留工程によるIPAの除去速度(IPA曲線の傾斜)がMEKより小さいことを観察し、IPAがラテックスからの抽出がより困難であり、その結果、サイクル時間がより長くなることを示す。したがって、調合物中のIPAを完全に除去し、乳化にはMEKのみを使用することが望ましい。
図1
図2