特許第6556051号(P6556051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲーの特許一覧

特許6556051アクチュエータを動作させるための、自動車内のデータ交換装置および方法
<>
  • 特許6556051-アクチュエータを動作させるための、自動車内のデータ交換装置および方法 図000002
  • 特許6556051-アクチュエータを動作させるための、自動車内のデータ交換装置および方法 図000003
  • 特許6556051-アクチュエータを動作させるための、自動車内のデータ交換装置および方法 図000004
  • 特許6556051-アクチュエータを動作させるための、自動車内のデータ交換装置および方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556051
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】アクチュエータを動作させるための、自動車内のデータ交換装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20190729BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20190729BHJP
   G06F 8/61 20180101ALI20190729BHJP
【FI】
   B60R16/02 660U
   B60R16/023 P
   G06F8/61
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-520881(P2015-520881)
(86)(22)【出願日】2013年6月21日
(65)【公表番号】特表2015-531713(P2015-531713A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】EP2013063001
(87)【国際公開番号】WO2014009131
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2016年6月17日
【審判番号】不服2017-18310(P2017-18310/J1)
【審判請求日】2017年12月8日
(31)【優先権主張番号】102012212286.9
(32)【優先日】2012年7月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴェアナー シュミット
【合議体】
【審判長】 氏原 康宏
【審判官】 中村 泰二郎
【審判官】 一ノ瀬 覚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−38921(JP,A)
【文献】 特表2011−508859(JP,A)
【文献】 特表平9−505453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
F16D 25/10
F16H 61/00− 61/70
G06F 9/00− 9/54
H04L 12/00− 12/955
G06F 8/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車内のアクチュエータの動作のための識別コード交換方法であって、
前記アクチュエータは、自動化された摩擦クラッチのアクチュエータおよび/または自動化された変速機のアクチュエータであり、
なくとも2つのアクチュエータと外部のテストユニット(6)との間で識別コードを交換し、
前記少なくとも2つのアクチュエータは、第1の制御ユニット(1)を有する第1のアクチュエータおよび第2の制御ユニット(2)を有する第2のアクチュエータを含み、
前記第1および第2の制御ユニット(1、2)の識別のために前記識別コードを使用する方法において、
前記テストユニット(6)は、記第1の制御ユニット(1)第1の問い合わせ識別コード(IDF1)で呼びかけ、それに応じて、前記第1の制御ユニット(1)は、第1の応答識別コード(IDW1)を前記テストユニット(6)に送信し、
記テストユニット(6)は、前記第2の制御ユニット(2)に第2の問い合わせ識別コード(IDF2)で呼びかけ、それに応じて、前記第2の制御ユニット(2)は、第2の応答識別コード(IDW2)を前記テストユニット(6)に送信し、
前記第1および第2の制御ユニット(1、2)の各々は、固有のCAN識別子を有し、前記CAN識別子に対して、前記第1および第2の問い合わせ識別コード(IDF1、IDF2)および前記第1および第2の応答識別コード(IDW1、IDW2)がそれぞれ作成されている、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1および第2の問い合わせ識別コード(IDF1、IDF2)および前記第1および第2の応答識別コード(IDW1、IDW2)の各々は、前記アクチュエータの識別子から形成されており、前記識別子は、前記アクチュエータの製造後に、生産ラインの最後で、前第1および第2の制御ユニット(1、2)内に読み込まれる、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記CAN識別子は、前記第1および第2の制御ユニット(1、2)へのソフトウェアの伝送を知らせるために使用される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記外部のテストユニット(6)は、前記第1および第2の制御ユニット(1、2)へのソフトウェアの格納をトリガする、および/または、実行する、および/または、前記格納の正しい実行を監視する、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
自動車内のアクチュエータの動作のための識別コード交換装置であって、
前記アクチュエータは、自動化された摩擦クラッチのアクチュエータおよび/または自動化された変速機のアクチュエータであり、
なくとも2つのアクチュエータと外部のテストユニット(6)との間で識別コードを交換し、
前記少なくとも2つのアクチュエータは、第1の制御ユニット(1)を有する第1のアクチュエータおよび第2の制御ユニット(2)を有する第2のアクチュエータを含み、
前記第1および第2の制御ユニット(1、2)の各々は、不揮発性記憶ユニット(7、8)を有している装置において、
前記第1の制御ユニット(1)の前記不揮発性記憶ユニット(7)内に、第1の問い合わせ識別コード(IDF1)と第1の応答識別コード(IDW1)とが格納されており、
前記第2の制御ユニット(2)の前記不揮発性記憶ユニット(8)は、第2の問い合わせ識別コード(IDF2)と第2の応答識別コード(IDW2)とを含んでおり、
前記テストユニット(6)は、前記第1の制御ユニット(1)第1の問い合わせ識別コード(IDF1)で呼びかけそれに応じて、前記第1の制御ユニット(1)は、第1の応答識別コード(IDW1)を前記テストユニット(6)に送信し、
記テストユニット(6)は、前記第2の制御ユニット(2)に第2の問い合わせ識別コード(IDF2)で呼びかけ、それに応じて、前記第2の制御ユニット(2)は、第2の応答識別コード(IDW2)を前記テストユニット(6)に送信し、
前記第1および第2の制御ユニット(1、2)の各々は、固有のCAN識別子を有し、前記CAN識別子に対して、前記第1および第2の問い合わせ識別コード(IDF1、IDF2)および前記第1および第2の応答識別コード(IDW1、IDW2)がそれぞれ作成されている、
ことを特徴とする装置。
【請求項6】
記第1および第2の制御ユニット(1、2)は、車両通信接続路(5)を介して前記テストユニット(6)と接続されている、
請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記テストユニット(6)は、車両通信接続路(5)を介して制御機器(4)と接続されており、前記制御機器(4)は、別個の通信線路(3)を介して前記第1の制御ユニット(1)および前記第2の制御ユニット(2)と接続されている、
請求項5記載の装置。
【請求項8】
前記制御機器(4)は、ゲートウェイ機能を含んでいる、
請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記車両通信接続路(5)および/または別個の通信線路(3)は、CANバスとして構成されている、
請求項6または7記載の装置。
【請求項10】
前記制御機器は、変速機制御器(4)として構成されている、および/または、前記第1の制御ユニット(1)は、第1のクラッチ制御ユニットとして構成されている、および/または、前記第2の制御ユニット(2)は、第2のクラッチ制御ユニットとして構成されている、
請求項7または8記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータを動作させるための、自動車内のデータ交換方法に関する。このアクチュエータは有利には自動化された摩擦クラッチおよび/または自動化された変速機である。ここでは、少なくとも2つの、それぞれ1つの制御ユニットを有しているアクチュエータ間で、データが外部のテストユニットによって交換される。ここでは、制御ユニットを識別するために、識別コードが使用される。本発明はさらに、この方法を実行する装置に関する。
【0002】
自動車内では、アクチュエータが使用される。このアクチュエータは例えば、自動化された変速機または自動化された摩擦クラッチとして構成されている。本願ではこの関連において、しばしば、ハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(HCA−Hydrostatic Clutch Actuator)が使用される。これは例えば、自動化された摩擦クラッチに対して、例えば、DE102010047801A1号で開示されている。このようなクラッチシステムおよび/または変速機システムは、実施形態に応じて、1つまたは複数の分散した制御ユニットを有している。ここで、このような分散した制御ユニットは、それぞれ直接的に、アクチュエータの電子機械操作素子に配置されている。アプリケーションソフトウェアを格納するために、各制御ユニット内に1つの記憶ユニットが設けられている。これは有利には、フラッシュメモリとして構成されている。全てのモデルシーケンスのアップデートまたはエラー除去に基づいて、制御ユニットの記憶ユニット内に格納されているアプリケーションソフトウェアの更新が必要とされる。
【0003】
殊に、分散した制御ユニットを有している各クラッチがアクチュエータを形成するのが通常のダブルクラッチシステムの場合には、簡略化するために、2つの制御ユニットの各々に、同じアプリケーションソフトウェアが格納されている。このアプリケーションソフトウェアは、ソフトウェアアップデートの場合に、ダブルクラッチシステムの2つの制御ユニットにおいても更新されなければならない。Flash過程と称される、各制御ユニットの記憶ユニット内のアプリケーションソフトウェアの更新の過程は、外部のテストユニットによってトリガされる。テストユニットによって送出されたデータは、ここで、CANバスを介して、制御ユニットに伝送される。ここでそれぞれ、1つのCAN識別子がデータの送信のために使用され、1つのCAN識別子が制御ユニットの受け取り通知のために使用される。
【0004】
図1には、ダブルクラッチシステムのシステム構造が示されている。第1のクラッチの制御ユニット1と、第2のクラッチの制御ユニット2とが、別個のCANバス3を介して、変速機制御器4と接続されている。この変速機制御器4は、車両CANバス5を介して、外部のテストユニット6に接続されている。図2に示されているように、アプリケーションソフトウェアの新たなバージョンを伝送するために、第2のクラッチの制御ユニット2は、変速機制御器4から分断される。ここでテストユニット6は、命令を車両CANバス5を介して変速機制御器4に送信する。変速機制御器4は、この命令を第1の制御ユニット1に転送する。命令の伝送時には、外部のテストユニット6によって、事前に定められたCAN識別子、例えば0x7F1が使用される。CAN識別子0x7F1は、制御ユニット1に次のことを知らせる。すなわち、アプリケーションソフトウェアのアップデートが行われるべきであることを知らせる。第1のクラッチの制御ユニット1は、相応に、同様に事前に定められた第2のCAN識別子で応答する。これは、例えば0x7F9である。更新されたアプリケーションソフトウェアが、第1のクラッチの制御ユニット1内に伝送された後、第2の制御ユニット2は再び変速機制御器4と接触接続する。
【0005】
次に図3では、第1のクラッチの第1の制御ユニット1が変速機制御器4から分断されている。第1のクラッチの第1の制御ユニット1内への新たなアプリケーションソフトウェアの伝送時に使用されたのと同じCAN識別子0x7F1によって、今度は、第2の制御ユニット2に次のことが知らされる。すなわち、更新されたアプリケーションソフトウェアが、第2のクラッチの第2の制御ユニット2内に伝送されるべきであることが知らされる。この場合にも、第2の制御ユニット2は、同じ第2のCAN識別子0x7F9で、第2の制御ユニットがテストユニット6の命令を受け取ったことを証明する。この伝送が終了した後、第1のクラッチの第1の制御ユニット1は、再び、変速機制御器4と接続される。この時点で、2つのクラッチの2つの制御ユニット1および2には、更新されたアプリケーションソフトウェアが授けられ、クラッチシステムないしは変速機システムの動作のために、これらは再び、変速機制御器4と接続される。このようなプロシージャによって、制御ユニット1および2と外部のテストユニット6との間のデータ伝送中の、衝突およびエラーは阻止されるが、制御ユニット1と2の切断ないしは接続には非常に長い時間がかかってしまう。
【0006】
従って、本発明の課題は、迅速であるにもかかわらず、確実なデータ伝送を可能にするアクチュエータの動作のための、自動車内のデータ交換方法を提供することである。
【0007】
本発明では、この課題は、次のことによって解決される。すなわち、テストユニットが第1のアクチュエータの第1の制御ユニットを第1の問い合わせ識別コードによって起動させ、これに対して、第1のアクチュエータの第1の制御ユニットがテストユニットに第1の応答識別コードで応答する、および/または、テストユニットが第2のアクチュエータの第2の制御ユニットに第2の問い合わせ識別コードで呼びかけ、その後、第2の制御ユニットが第2の応答識別コードをテストユニットに送信することによって解決される。これは次のような利点を有している。すなわち、2つのアクチュエータの2つの制御ユニット内に新たなソフトウェア機能を入れることを、制御ユニットの時間のかかる切断および接続無しに行うことができる、という利点である。さらに、2つのアクチュエータの2つの制御ユニットへのソフトウェアの同時伝送が可能である。2つの制御ユニットに対して異なる問い合わせ識別コードないしは応答識別コードを使用することによって、時間の経過における個々のトレランスに基づいて、および、場合によっては異なる受け取り通知の際に、エラーおよび衝突が生じ得ることが阻止される。これによって、更新されたソフトウェアの確実な伝送および格納が、極めて迅速に実現されることが保証される。
【0008】
有利には、問い合わせ識別コードと応答識別コードは、アクチュエータの識別子から形成される。この識別子は、アクチュエータの製造後に、生産ラインの最後で、アクチュエータの制御ユニット内に読み込まれる。アクチュエータの識別子、例えばシリアルナンバーを使用することによって、問い合わせ識別コードおよび応答識別コードがより明確に相応するアクチュエータおよび属する制御ユニットに割り当てられる。
【0009】
ある実施形態では、問い合わせ識別コードおよび応答識別コードは、それぞれ、CAN識別子に相応する。このCAN識別子は制御ユニットへの新たなソフトウェアの伝送を知らせるために用いられる。このCAN識別子は、テストユニットからアクチュエータの制御ユニットへの、CANバスとして構成された通信接続を介した、更新されたソフトウェアの伝送時に使用され、新たなソフトウェアを知らせるため、および、新たなソフトウェアの記憶のためだけに使用される。ここでこの制御ユニットには、問い合わせ識別コードの伝送によって、次のことが示される。すなわち、制御ユニット内に格納されているソフトウェアのアップデートが行われるべきであることが示される。各制御ユニットはここで、正しい問い合わせ識別コードの受信を、相応する応答識別コードの送信によってコンファームする。
【0010】
1つの形態では、外部のテストユニットは、制御ユニットへのソフトウェアの格納をトリガする、および/または、これを実行する、および/または、正しい実施を監視する。これによって、付加的な監視ユニットを省くことができる。これによって、この方法の実行にかかるコストを下げることができる。
【0011】
本発明の発展形態は、アクチュエータの動作のための自動車内のデータ交換装置に関する。このアクチュエータは有利には、自動化された摩擦クラッチおよび/または自動化された変速機である。この装置は、それぞれ1つの制御ユニットを有している少なくとも2つのアクチュエータを有している。これらのアクチュエータは、外部のテストユニットと接続可能である。ここで各制御ユニットは不揮発性記憶ユニットを有している。この中には、制御ユニットの識別コードが格納されている。極めて迅速であるにもかかわらず、確実な、制御ユニットの不揮発性記憶ユニット内へのデータ伝送が可能である装置では、第1のアクチュエータの第1の制御ユニットの不揮発性記憶ユニット内に、第1の問い合わせ識別コードと第1の応答識別コードが格納されている。また、第2のアクチュエータの第2の制御ユニットの不揮発性記憶ユニットは、第2の問い合わせ識別コードと第2の応答識別コードとを含んでいる。ここで、テストユニットは第1のアクチュエータの第1の制御ユニットを第1の問い合わせ識別コードによって起動させ、これに対して第1のアクチュエータの第1の制御ユニットは、テストユニットに、第1の応答識別コードで応答する、および/または、テストユニットは第2のアクチュエータの第2の制御ユニットに第2の問い合わせ識別コードで呼びかけ、その後、この第2の制御ユニットは第2の応答識別コードをテストユニットに送信する。これによって、どの制御ユニット内に、新たに書き込まれるべきデータが格納されるべきかを一義的に割り当て可能であることが保証される。これによって一方の制御ユニットへのデータ伝送中の、他方の制御ユニット内での切断はなくなる。さらに、制御ユニットへの第1の問い合わせ識別コードの送信時にも、第2の問い合わせ識別コードの送信時にも、ソフトウェアアップデートを、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータの2つの制御ユニット内で同時に行うことができる、という利点が生じる。
【0012】
有利には、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータの第1および第2の制御ユニットは、車両通信接続路を介してテストユニットと接続されている。車両通信接続路を使用することによって、外部のテストユニットは直接的に、第1ないしは第2のアクチュエータの第1の制御ユニットとも第2の制御ユニットとも接続されている。従って、電気的な線路および構成部分を付加的に使用することを省くことができる。これによって、特に低コストかつ簡易な装置を実現することができる。
【0013】
択一的に、テストユニットは車両通信接続路を介して制御機器と接続されている。この制御機器は、別個の通信線路を介して、第1のアクチュエータの第1の制御ユニットと、および第2のアクチュエータの第2の制御ユニットと接続されている。車両通信接続路に対して高い使用率(Auslastung)が生じている場合には、別個の通信線路の使用は殊に有利である。第1の制御ユニットないしは第2の制御ユニットと制御機器との間に別個の通信線路を使用することによって、伝送時間を短くすることができる。テストユニットから、2つのアクチュエータの2つの制御ユニットへのデータ伝送は、車両通信接続路の高い使用率にも関わらず、迅速かつ確実に行われる。
【0014】
1つの形態では、制御機器はゲートウェイ機能を有している。このゲートウェイ機能によって、テストユニットから送出された命令は制御機器を変更せずに通り、第1ないしは第2のアクチュエータの第1ないしは第2の制御ユニットへ転送される。
【0015】
1つの形態では、車両通信接続路および/または別個の通信線路はCANバスとして構成されている。自動車内ではCANバスが使用される必要がある。これによって、別の通信接続のプログラミングを省くことができる。従って、自動車内にデータ線路を形成することを省くことができる。
【0016】
別の実施形態では、制御機器は変速機制御器として、および/または、第1の制御ユニットは第1のクラッチ制御ユニットとして、および/または、第2の制御ユニットは第2のクラッチ制御ユニットとして構成されている。このような構成の場合には、ダブルクラッチシステムを有する変速機システム内への、更新されたソフトウェアの伝送が容易に実行可能である。
【0017】
本発明には、多数の実施形態がある。このうちの1つを、図面に示された図に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来技術の、ダブルクラッチシステムを有する変速機システムのシステム構造
図2】第1の制御ユニットへの更新されたソフトウェアの伝送のための、図1に示された変速機システムのシステム構造
図3】第2の制御ユニットへの更新されたソフトウェアの伝送のための、図1に示された変速機システムのシステム構造
図4】第1の制御ユニットおよび第2の制御ユニットへのソフトウェアの同時伝送のための変速機システム
【実施例】
【0019】
同じ特徴には、同じ参照番号が付与されている。
【0020】
図4は、変速機システムの制御装置の配置を示している。これはクラッチシステムの上位にある。クラッチシステムはここでは、ダブルクラッチシステムとして構成されており、2つのアクチュエータを有する。ここで各アクチュエータは、自動化されたクラッチを1つ有する。ここには、クラッチの電気機械駆動ユニットを駆動制御するための制御ユニットが設けられている。第1の、詳細には示されていないクラッチには制御ユニット1が配置されており、第2の、同様に、詳細に示されていないクラッチには、制御ユニット2が固定されている。これらの制御ユニット1、2は、別個の、CANバスとして構成されている通信線路3を介して、変速機制御器4と接続されている。この変速機制御器4も、同じくCANバスとして構成されている車両通信接続路5によって、外部のテストユニット6と接続されている。外部のテストユニット6はここで、変速機制御器4の診断インタフェース9に影響を及ぼす。変速機制御器4は、ゲートウェイ機能を含んでいる。このゲートウェイ機能は、外部テストユニット6の命令を変速機制御器4を通って、別個の通信線路3を介して、第1および第2のクラッチの2つの制御ユニット1および2に導くことを可能にする。
【0021】
第1の制御ユニット1は、第1の不揮発性記憶ユニット7を有しており、第2の制御ユニット2は第2の不揮発性記憶ユニット8を有している。不揮発性記憶ユニットとは、自身の記憶内容を、記憶ユニットへの電圧供給のオフまたは中止の際にも失わない記憶ユニットのことである。すなわちこの記憶内容は、記憶ユニットに再び電圧が供給された後に再び使用可能である。このような不揮発性記憶ユニットの例は、EEPROMである。
【0022】
第1の制御ユニット1の第1の不揮発性記憶ユニット7内には、CAN識別子として用いられる、第1の問い合わせ識別コードIDF1と、第1の応答識別コードIDW1とが記憶されている。第2の不揮発性記憶ユニット8内には、第2の問い合わせ識別コードIDF2と、同様にCAN識別子として用いられる、第2の応答識別コードIDW2とが記憶されている。例として、第1の制御ユニット1に対して問い合わせ識別コードとしてIDF1=0x7F1が使用され、応答識別コードとしてIDW1=0x7F9が使用される。第2の制御ユニット2は問い合わせ識別コードとしてIDF2=0x7F2を使用し、応答識別コードとしてIDW2=0x7FAを使用する。
【0023】
第1の問い合わせ識別コードIDF1と第2の問い合わせ識別コードIDF2および第1の応答識別コードIDW1と第2の応答識別コードIDW2は主に、制御ユニット1、2に、更新されたアプリケーションソフトウェアが第1ないしは第2の不揮発性記憶ユニット7、8に伝送されるべきことを知らせるために使用される。ここで2つの制御ユニット1、2内で使用されるアプリケーションソフトウェアは同一である。従って、2つの制御ユニット1、2に対して同じソフトウェアパケットが伝送される。アプリケーションソフトウェアのこのような更新は、例えば、記憶されているデータ内でのエラー除去または変速機システムの全てのモデルラインの年次更新時に必要である。
【0024】
第1の制御ユニット1も第2の制御ユニット2も、固有の識別子を有している。これは、生産ラインの最後で、ダブルクラッチシステムの製造時に、第1ないしは第2の制御ユニット1、2の各不揮発性記憶ユニット7、8内に書き込まれる。第1ないしは第2の制御ユニット1、2のこのような第1および第2の識別子に基づいて、それぞれ、問い合わせ識別コードIDF1、IDF2および応答識別コードIDW1、IDW2が、各制御ユニット1、2のCAN識別子に対して作成される。これは、フラッシング(Flashen)、すなわち、不揮発性記憶ユニット7、8内への更新されたアプリケーションソフトウェアの伝送のために使用される。2つの、各制御ユニット1、2毎に異なる識別子を使用することによって、2つの制御ユニット1、2の各々は固有のCAN識別子を、テストユニット6による更新されたアプリケーションソフトウェアの伝送を知らせるために、並びに、制御ユニット1、2による受け取り通知のために有する。
【0025】
更新されたアプリケーションソフトウェアを第1および第2のクラッチの第1の制御ユニット1および第2の制御ユニット2の不揮発性記憶ユニット7、8内に伝送するために、外部のテストユニット6は、変速機制御器4の診断インタフェース9に接続されている。テストユニット6は、ここで問い合わせ識別コードIDF1=0x7F1とIDF2=0x7F2を、CANバスとして構成されている車両通信接続路5を介して、変速機制御器4に送信する。変速機制御器4は、自身の固有のゲートウェイ機能に基づいて、別個の通信線路3を介して、問い合わせ識別コード0x7F1、0x7F2を第1および第2の制御ユニット1、2に転送する。各制御ユニット1、2は、受信した問い合わせ識別コードIDF1、IDF2を、自身の記憶ユニット7、8内に格納されている問い合わせ識別コードIDF1、IDF2と比較し、受信した問い合わせ識別コードIDF1、IDF2と、格納されている問い合わせ識別コードIDF1、IDF2とが一致した場合には、アプリケーションソフトウェアのアップデートが、各不揮発性記憶ユニット7、8内で実施されるべきであることを識別する。この識別後に、第1の制御ユニット1は、応答識別コードIDW1=0x7F9をテストユニット6に送信し、第2の制御ユニット2は応答識別コードとしてIDW2=0x7FAを送出する。この応答識別コードIDW1、IDW2を受け取った後、テストユニット6は、更新されたアプリケーションソフトウェアの2つの制御ユニットへの伝送を行うことができることを知る。問い合わせ識別コード0x7F1、0x7F2と応答識別コード0xF79、0xF7Aとの交換は、図4において、矢印P1とP2に基づいて示されている。
【0026】
この実施に基づいて、ダブルクラッチシステムを有する変速機システムでは、更新されたアプリケーションソフトウェアの伝送時に、時間のかかる接続ないしは切断を省くことができる。付加的に、次のことが可能になる。すなわち、2つの制御ユニット1、2に同時に、更新されたアプリケーションソフトウェアを授けることが可能になる。これによって、更新されたアプリケーションソフトウェアの極めて迅速な伝送が第1および第2のクラッチの第1の制御ユニット1においても、第2の制御ユニット2においても可能になる。ここで、それにもかかわらず、データが確実に伝送され、エラーが阻止される。
【符号の説明】
【0027】
1 制御ユニット、2 制御ユニット、 3 別個の通信線路、 4 変速機制御器、 5 車両通信接続路、6 テストユニット、 7 不揮発性記憶ユニット、 8 不揮発性記憶ユニット、 9 診断インタフェース、 P1 矢印、 P2 矢印、 IDF1 第1の問い合わせ識別コード、 IDF2 第2の問い合わせ識別コード、 IDW1 第1の応答識別コード、 IDW2 第2の応答識別コード
図1
図2
図3
図4