特許第6556057号(P6556057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556057カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルからのアミン及びジアミンの製造
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  • 特許6556057-カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルからのアミン及びジアミンの製造 図000020
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556057
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルからのアミン及びジアミンの製造
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/21 20060101AFI20190729BHJP
   C12P 13/00 20060101ALI20190729BHJP
   C12N 15/53 20060101ALN20190729BHJP
   C12N 15/54 20060101ALN20190729BHJP
   C12N 9/02 20060101ALN20190729BHJP
   C12N 9/10 20060101ALN20190729BHJP
【FI】
   C12N1/21ZNA
   C12P13/00
   !C12N15/53
   !C12N15/54
   !C12N9/02
   !C12N9/10
【請求項の数】14
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2015-548476(P2015-548476)
(86)(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公表番号】特表2016-501031(P2016-501031A)
(43)【公表日】2016年1月18日
(86)【国際出願番号】EP2013077069
(87)【国際公開番号】WO2014095986
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年12月12日
(31)【優先権主張番号】12199048.5
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン シャファー
(72)【発明者】
【氏名】ヤスミン コーサルズ
(72)【発明者】
【氏名】ミリヤ ヴェセル
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ゲオルク ヘネマン
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト ヘーガー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フォラント
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ロース
【審査官】 伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−505854(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/025629(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/135624(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/131420(WO,A1)
【文献】 特開2014−121325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00
C12N 15/00
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素をコードする遺伝子が導入された組換えα−ジオキシゲナーゼを過剰発現又は酵素をコードする遺伝子が導入された組換え脂肪酸レダクターゼと前記脂肪酸レダクターゼをホスホパンテテイニル化するホスホパンテテイニルトランスフェラーゼとの組み合わせを過剰発現し、更にトランスアミナーゼを過剰発現し、前記ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ及びトランスアミナーゼは酵素をコードする遺伝子が組み換えによって導入されている、原核細胞触媒。
【請求項2】
前記原核細胞触媒は、更にアミノ酸デヒドロゲナーゼを発現し、前記アミノ酸デヒドロゲナーゼは酵素をコードする遺伝子が組み換えによって導入されている、請求項1に記載の原核細胞触媒。
【請求項3】
前記原核細胞触媒は、更にアルカンヒドロキシラーゼを発現し、前記アルカンヒドロキシラーゼは酵素をコードする遺伝子が組み換えによって導入されている、請求項1又は2に記載の原核細胞触媒。
【請求項4】
前記原核細胞触媒は、更にAlkLファミリーのポリペプチドを発現し、前記ポリペプチドは酵素をコードする遺伝子が組み換えによって導入されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の原核細胞触媒。
【請求項5】
更にアルコールデヒドロゲナーゼを発現し、前記アルコールデヒドロゲナーゼは酵素をコードする遺伝子が組み換えによって導入されている、請求項1から4までのいずれか1項に記載の原核細胞触媒。
【請求項6】
β酸化に関与する少なくとも1種の酵素の活性が、低減されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の原核細胞触媒。
【請求項7】
BioH又はその変異体の活性が、低減又は向上されている、請求項1から6までのいずれか1項に記載の原核細胞触媒。
【請求項8】
FadL又はその変異体の活性が、向上されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の原核細胞触媒。
【請求項9】
次の工程
a) カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルを準備する工程、
b) カルボン酸又はジカルボン酸又はこれらのモノエステルを、アルデヒド生成物の形成下で、ホスホパンテテイニル化された脂肪酸レダクターゼ又はα−ジオキシゲナーゼと接触させる工程、及び
c) 工程a)からのアルデヒド生成物をトランスアミナーゼと接触させる工程
を有する、カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルをアミン又はジアミンに変換する方法であり、
酵素をコードする遺伝子が導入された組換えα−ジオキシゲナーゼを過剰発現又は酵素をコードする遺伝子が導入された組換え脂肪酸レダクターゼと前記脂肪酸レダクターゼをホスホパンテテイニル化するホスホパンテテイニルトランスフェラーゼとの組み合わせを過剰発現し、更にトランスアミナーゼを過剰発現し、前記ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ及びトランスアミナーゼは酵素をコードする遺伝子が組み換えによって導入されている酵素が、請求項1から8までのいずれか1項に記載の原核細胞触媒の形態で準備される、方法。
【請求項10】
工程c)でアミノ酸デヒドロゲナーゼが存在している、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルは、式(I)
1−A−COOR2 (I)
[式中、R1は、−H及びCOOR3を有する群から選択され、
2及びR3は、それぞれ相互に無関係に、H、メチル、エチル及びプロピルを有する群から選択され、ただし、前記基R2及びR3の少なくとも一方はHであり、
Aは、少なくとも4個の炭素を有する、非分枝の、分枝した、線状の、環状の、置換又は非置換の炭化水素基を表す]の化合物である、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
Aは、式−(CH2n−を有し、nは少なくとも4である、請求項9から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルのアミノ化のための、請求項1から8までのいずれか1項に記載の原核細胞触媒又は請求項9から12までのいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項14】
水溶液中の請求項1から8までのいずれか1項に記載の原核細胞触媒並びに、式(I)
1−A−COOR2 (I)
[式中、R1は、−H及びCOOR3を有する群から選択され、
2及びR3は、それぞれ相互に無関係に、H、メチル、エチル及びプロピルを有する群から選択され、ただし、前記基R2及びR3の少なくとも一方はHであり、
Aは、少なくとも4個の炭素を有する、非分枝の、分枝した、線状の、環状の、置換又は非置換の炭化水素基を表す]のカルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルを有する反応混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えα−ジオキシゲナーゼ及び/又は組換え脂肪酸レダクターゼと脂肪酸レダクターゼをホスホパンテテイニル化するホスホパンテテイニルトランスフェラーゼとの組み合わせを発現し、かつ更にトランスアミナーゼを発現し、このホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ及び/又はトランスアミナーゼは好ましくは組み換えられている全細胞触媒;並びにカルボン酸又はジカルボン酸又はこれらのモノエステルをホスホパンテテイニル化された脂肪酸レダクターゼ又はα−ジオキシゲナーゼと接触させかつこの生成物をトランスアミナーゼと接触させる工程を有するカルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルをアミン又はジアミンに変換する方法に関する。
【0002】
ポリアミドは、繰り返すアミド基を特徴とする種類のポリマーである。「ポリアミド」の概念は、化学的に類似するタンパク質とは異なり、通常では合成の、市場で入手可能な熱可塑性プラスチックである。ポリアミドは、従来では分解された炭化水素を介して得られる第1級アミン又は第2級アミンから誘導される。しかしながら、誘導体、正確にはアミノカルボン酸、ラクタム及びジアミンは、ポリマー製造のために使用することもできる。更に、短鎖のガス状のアルカンは、再生可能な原料から出発して生物工学的方法で得ることができる出発材料として重要である。
【0003】
この種のアミン及びジアミンの従来の化学工学的製造は化石原料の使用に依存していて、非効率であり、この場合、この合成の多くの工程で80%までの大量の不所望な副生成物が生じる。このようなプロセスの例はラウリンラクタムの製造である。通常では、これは多工程の方法で行われ、この方法は低い収率が生じるだけでなく、同時に高価な設備を準備する必要がある。
【0004】
この欠点を考慮して、再生可能な原料から出発して生体触媒を使用してアミン及びジアミンを得るための方法が開発された。再生可能な原料として、特に、ナタネ油、ヒゴタイ油(Kugeldisteloel)、パーム核油、ココナッツ油、ヒマワリ種子油及び多くの生物起源の、特に植物由来の類似の天然産物の形で得られる脂肪酸のための供給源が挙げられる。
【0005】
PCT/EP 2008/067447は、一連の適切な酵素活性を有しかつ、カルボン酸を相応するω−アミノカルボン酸に変換することができる細胞を使用して、化学的に類縁の生成物、正確にはω−アミノカルボン酸を製造するための生物工学システムを記載している。この方法は、酵素による触媒反応のカスケード、特に脂肪酸の末端炭素原子のアルデヒドへの酸化及びトランスアミナーゼ及び、アミノ酸デヒドロゲナーゼを介して再生することができるアミン供与体としてのアミノ酸の使用下での引き続くアミノ化を有する。
【0006】
しかしながら、この場合に使用されるプセウドモナス・プチダ(Pseudomonas putida)GPO1由来のAlkBGTオキシダーゼ系の公知の欠点は、脂肪族アルカンから第1級アルコールへの選択的酸化を果たすことができない点にある。それどころか、多数の酸化生成物が生じ、特に反応時間の増加と共に、相応するアルデヒド、ケトン又は相応するカルボン酸のような高度に酸化された生成物の割合が高くなり(C. Grant, J. M. Woodley and F. Baganz (2011), Enzyme and Microbial Technology 48, 480-486)、これが所望のアミンの収率を相応して低下させる。
【0007】
この比較的選択的でない酸化の問題は、生じる酸化生成物が構造的に極めて類似していることにより、より深刻となる。これが、所望の酸化生成物を効率的かつ明らかな収率の損失なしで分離することを極めて困難にしている。
【0008】
この方法の他の欠点は、過剰に酸化された副生成物、例えば出発材料として使用された脂肪酸のジカルボン酸、PCT/EP2011/071491により水性反応混合物から生成物を分離するために使用できる疎水性の溶剤及び疎水性の液状カチオン交換体のリサイクルが、資源利用の効率を損なう点にある。
【0009】
この関連で、PCT/EP 2008/067447に記載されているような、一つの反応が1つの所定の酵素によってそれぞれ触媒される反応のカスケードを有する生物工学的系の複雑性は、この反応条件の最適化を困難にすることを強調しなければならない。よって、生成物として基本的に反応性のω−アミノ脂肪酸の場合には、このω−アミノ脂肪酸が所定の臨界濃度から細胞の内部で生物の必須成分と反応し、従って毒性に作用する可能性がある。この場合、開発者はその毒性を直接認識できないか又は所定の出発物質、中間体又は生成物を全く分類することができずに、この生物の成長能力及び合成能力は細胞が死に至るまで損なわれる。どの生物が化学的に反応性の物質のどの程度の濃度に耐えられるかも同様に予想できない。
【0010】
生成物収率の改善及び副生成物の生成の抑制に関しても、当業者は、PCT/EP2008/067447に記載されているように、一つの系において限定的な及び決定的な要因を型どおりに同定することはできない。生成物の収率が低すぎる場合、これは、考慮の対象となる酵素のどれが問題となるのかを知ることなしに酵素の一つが低すぎる濃度で存在する、つまり出発材料が所定の期間で又は競合する酵素による分解の前で、不十分な合成能力に基づいて反応しないことが要因であることがある。これとは別に、酵素が確かにポリペプチドの形で細胞中で検出可能で存在するが、この細胞中ではこの活性のために必須の折り畳みを示さないか又は今日まで未知であるが、活性のために必須の補因子が欠けていることも十分にあり得る。同様に、既に述べたように、代謝生成物が細胞にとって毒性であるか又は分解されることもあり得る。最後に、内在性の酵素、つまり全細胞触媒として使用される細胞中に天然で存在する酵素との交差する相互作用も考えられる。
【0011】
従って、酵素による触媒反応が選択的に進行しかつ不所望な副生成物の生成が最小化される、脂肪酸からアルキルモノアミン及びアルキルジアミンを製造する方法が必要となる。
【0012】
この背景から、本発明の基礎となる課題は、収率、炭素収支及び/又は窒素収支及び/又は純度に関してできる限り効率的に、脂肪酸からアルキルモノアミン及びアルキルジアミンを生物工学的に製造する方法を提供することである。
【0013】
本発明の基礎となる他の課題は、収率、炭素収支及び/又は窒素収支、使用された薬剤の再使用性及び/又は生成物の純度に関してできる限り効率的に、脂肪酸からアルキルモノアミン及びアルキルジアミンを生物工学的に製造する方法を提供することである。この関連で、有効な炭素収支及び/又は窒素収支とは、好ましくは、カルボン酸又はカルボン酸エステルの反応のために適切な基質の形で細胞に消費された炭素及び/又は窒素のできる限り高い割合が、例えば所望ではない他の生成物に反応する代わりに、所望の最終生成物中に見出されることであると解釈される。
【0014】
本発明の基礎となる他の課題は、脂肪酸からのアルキルモノアミン及び/又はアルキルジアミンの製造から生じる多相反応混合物の後処理性を、特に、後処理のために使用された疎水性溶剤及び液体イオン交換体の再利用性の観点で、並びにカルボン酸又はカルボン酸エステルの反応が進行する水相と、有機溶剤及び/又は液体イオン交換体を有する有機層とを有する二相系の場合の相形成及び相分離の観点で、改善することにある。
【0015】
これらの課題及び他の課題は、本願の主題により、特に添付された独立請求項の主題により解決され、その際、従属請求項から実施態様が生じる。
【0016】
本発明の基礎となる課題は、第1の観点で、組換えα−ジオキシゲナーゼ又は組換え脂肪酸レダクターゼと脂肪酸レダクターゼをホスホパンテテイニル化するホスホパンテテイニルトランスフェラーゼとの組み合わせを発現し、かつ付加的にトランスアミナーゼを発現し、ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ及び/又はトランスアミナーゼは好ましくは組み換えられている全細胞触媒によって解決される。
【0017】
この第1の観点の第1の実施態様の場合、この課題は、付加的に、好ましくは組み換えられているアミノ酸デヒドロゲナーゼを発現する全細胞触媒によって解決される。
【0018】
第1の実施態様の一実施態様でもある第2の実施態様の場合、この課題は、付加的に、好ましくは組み換えられているアルカンヒドロキシラーゼを発現する全細胞触媒によって解決される。
【0019】
第1〜第2の実施態様の一実施態様でもある第3の実施態様の場合、この課題は、付加的に、好ましくは組み換えられているAlkLファミリーのポリペプチドを発現する全細胞触媒によって解決される。
【0020】
第2の実施態様の一実施態様でもある第4の実施態様の場合、この課題は、付加的に、好ましくは組み換えられているアルコールデヒドロゲナーゼを発現する全細胞触媒によって解決される。
【0021】
第1〜第4の実施態様の一実施態様でもある第5の実施態様の場合、この課題は、β酸化に関与する少なくとも1種の酵素の活性が、全細胞触媒の野生型と比べて低減されている全細胞触媒によって解決される。
【0022】
第1〜第5の実施態様の一実施態様でもある第6の実施多様の場合、この課題は、BioH又はその変異体の活性が、全細胞触媒の野生型と比べて低減されているか又は高められている全細胞触媒によって解決される。
【0023】
第1〜第6の実施態様の一実施態様でもある第7の実施態様の場合、この課題は、FadL又はその変異体の活性が、全細胞触媒の野生型と比べて高められている全細胞触媒によって解決される。
【0024】
第2の観点において、本発明の基礎となる課題は、
a) カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルを準備し、ジカルボン酸である場合には、好ましくはカルボン酸のアルカンヒドロキシラーゼ及び/又はアルコールデヒドロゲナーゼとの接触により準備する工程、
b) カルボン酸又はジカルボン酸又はこれらのモノカルボン酸を、アルデヒド生成物の形成下で、ホスホパンテテイニル化された脂肪酸レダクターゼ又はα−ジオキシゲナーゼと接触させる工程、
c) 工程a)からの生成物を、トランスアミナーゼと接触する工程を有する、
カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルをアミン又はジアミンに変換する方法によって解決される。
【0025】
第2の観点の場合、本発明の基礎となる課題は、工程c)においてアミノ酸デヒドロゲナーゼが存在する方法により解決される。
【0026】
第2の観点の第1の実施態様の場合、この課題は、ホスホパンテテイニル化された脂肪酸レダクターゼ、α−ジオキシゲナーゼ、トランスアミナーゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼ及びアルカンヒドロキシラーゼを有する群からの少なくとも1つの酵素が、好ましくは前記群からの、使用される全ての酵素が、1つの全細胞触媒の形で、本発明の第1の観点に提供される方法により解決される。
【0027】
第1の実施態様の一実施態様でもある第2の実施態様の場合に、この課題は、カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルが、式(I)
1−A−COOR2 (I)
[式中、R1は、−H及びCOOR3を有する群から選択され、
2及びR3は、それぞれ及び相互に無関係に、H、メチル、エチル及びプロピルを有する群から選択され、
ただし、基R2及びR3の少なくとも一方はHであり、
Aは、少なくとも4個の炭素原子を有する、非分枝の、分枝した、線状の、環状の、置換された又は非置換の炭化水素基を表す]の化合物である、方法により解決される。
【0028】
第1〜第2の実施態様の一実施態様でもある第3の実施態様の場合、この課題は、Aが式−(CH2n−を有し、nは少なくとも4、好ましくは少なくとも10である、方法により解決される。
【0029】
第3の観点で、本発明の基礎となる課題は、脂肪酸、ω−ヒドロキシ−脂肪酸、ω−オキソ−脂肪酸又はこれらのモノエステルのアミノ化のための、第1の観点による全細胞触媒又は第2の観点による方法の使用により解決される。
【0030】
第4の観点で、本発明の基礎となる課題は、水溶液の形の第1の観点による全細胞触媒及び式(I)
1−A−COOR2 (I)
[式中、R1は、−H、−CHO、−OH及びCOOR3を有する群から選択され、
2及びR3は、それぞれ及び相互に無関係に、H、メチル、エチル及びプロピルを有する群から選択され、
ただし、基R2及びR3の少なくとも一方はHであり、
Aは、少なくとも4個の炭素原子を有する、非分枝の、分枝した、線状の、環状の、置換された又は非置換の炭化水素基を表し、好ましくは式−(CH2n−を表し、nは、少なくとも4であり、特に好ましくは少なくとも10である]の脂肪酸、ω−ヒドロキシ−脂肪酸、ω−オキソ−脂肪酸又はこれらのモノエステルを有する反応混合物により解決される。
【0031】
本発明は、機能的に組み換えられた脂肪酸レダクターゼ又はα−ジオキシゲナーゼが、脂肪酸からアミン及びジアミンを製造するために使用されかつ相応する酵素装備を有する全細胞触媒中で、意外にもアミン及びジアミンの収率を高めるという発明者の知見に基づいている。
【0032】
更に、本発明は、機能的に組み換えられた脂肪酸レダクターゼ又はα−ジオキシゲナーゼが、脂肪酸からアミン及びジアミンを製造するために使用されかつ相応する酵素装備を有する全細胞触媒中で、意外にも、生じた生成物中での有害な副生成物の濃度、特にジカルボン酸及びそのエステルの形の過剰酸化された脂肪酸の濃度を低減するという発明者の知見に基づいている。
【0033】
更に、本発明は、機能的に組み換えられた脂肪酸レダクターゼ又はα−ジオキシゲナーゼが、脂肪酸からアミン及びジアミンを製造するために使用されかつ相応する酵素装備を有する全細胞触媒中で、全細胞触媒を有する発酵溶液からアミン及びジアミンを除去するために使用されるオレイン酸のような液体カチオン交換体の純度及び再使用性を改善するという発明者の知見に基づいている。
【0034】
本発明は、多様な酸化状態にわたる脂肪酸をアミンに変換することを触媒する酵素の他に、脂肪酸レダクターゼ又はα−ジオキシゲナーゼを存在させ、好ましくは、この方法の実施のために全細胞触媒を使用することを特徴とする、カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルをアミン又はジアミンに変換する改善された方法に関する。好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような「脂肪酸レダクターゼ」とは、ATP及びNAD(P)Hを消費しながら、ω−カルボキシル酸(ジカルボン酸又はω−カルボキシ−脂肪酸とも言われる)の相応するω−オキソ脂肪酸への変換を触媒する酵素であると解釈される。先行技術において、例えばWO/2010/135624には、ω−ヒドロキシ脂肪酸の製造のための脂肪酸レダクターゼは記載されているが、ω−アミノ脂肪酸の製造する系の一部としては記載していない。更に好ましい実施態様の場合に、脂肪酸レダクターゼは、アミノ酸配列
これらの変異体を有する脂肪酸レダクターゼの群から選択される。
【0035】
脂肪酸レダクターゼは、その活性のために、ホスホパンテテイニル化、つまり酵素にホスホパンテテイニル補因子の共有結合が必要である酵素群である。従って、本発明により使用される脂肪酸レダクターゼはホスホパンテテイニル化されていて、かつこの脂肪酸レダクターゼを発現する全細胞触媒は、内因性に発現する酵素の装備の一部として又は組み換えられた形で、脂肪酸レダクターゼをホスホパンテテイニル化するホスホパンテテイニルトランスフェラーゼを発現する。好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような「ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ」の概念とは、ホスホパンテテイニル基を、ホスホパンテテイニルCoAから酵素に、好ましくは脂肪酸レダクターゼに移す酵素であると解釈される。特に好ましい実施態様の場合に、ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼは、アミノ酸配列
及びこれらの変異体を有するホスホパンテテイニルトランスフェラーゼの群から選択される。特に好ましい実施態様の場合に、これは、データバンクコードABI8356.1を有するホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ又はその変異体である。
【0036】
これとは別に又は脂肪酸レダクターゼとホスホパンテテイニルトランスフェラーゼとの組み合わせに対して更に、全細胞触媒は、α−ジオキシゲナーゼを有することもできる。好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような「α−ジオキシゲナーゼ」の概念とは、酸素分子を消費しかつ二酸化炭素分子を脱離しながら、カルボン酸及び/又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルから、末端のω−炭素原子について、出発材料として使用されたカルボン酸及び/又はジカルボン酸又はこれらのモノエステルと比べて炭素1個分短縮された、末端のω−炭素原子にアルデヒド基を有するカルボン酸及び/又はジカルボン酸又はこれらのモノエステルへの変換を触媒する酵素であると解釈される。特に好ましい実施態様の場合に、α−ジオキシゲナーゼは、アミノ酸配列
及びその変異体を有するα−ジオキシゲナーゼの群から選択される。特に好ましい実施態様の場合に、これは、データバンクコードNP_001066718.1を有するα−ジオキシゲナーゼ又はこの変異体である。
【0037】
α−ジオキシゲナーゼ又は脂肪酸レダクターゼとホスホパンテテイニルトランスフェラーゼとの組み合わせの他に、本発明による全細胞触媒は、必然的に、末端のアルデヒド基をアミノ化するトランスアミナーゼを有する。好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような「トランスアミナーゼ」の概念とは、ドナー分子、好ましくはアミノ酸からアクセプター分子、好ましくはα−ケトカルボン酸へのα−アミノ基の移行を触媒する酵素であると解釈される。特に好ましい実施態様の場合に、トランスアミナーゼは、アミノ酸配列
及びその変異体を有するトランスアミナーゼの群から選択される。
【0038】
本発明により使用された脂肪酸レダクターゼ及び好ましくは本発明により使用された他の酵素は、組換え酵素である。好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような「組換え」の概念は、相応する酵素をコードする核酸分子が天然細胞中で生じるのではなく及び/又は遺伝子工学的方法を使用して製造されたことであると解釈される。好ましい実施態様において、相応するポリペプチドが組換えられた核酸によりコードされている場合に、組換えタンパク質という。好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような組換え細胞とは、少なくとも1つの組み換えられた核酸又は組み換えられたポリペプチドを有する細胞であると解釈される。当業者には、組換え分子又は組換え細胞の製造のために適した方法は公知であり、これは例えばSambrook/Fritsch/Maniatis (1989): Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版に記載されている。組換え酵素は、当業者に公知であるpETベクター系又はpGEXベクター系の使用下で、好ましくは過剰発現する。
【0039】
生物の選択に関して、本発明により使用可能な全細胞触媒は、培養可能で、安定でかつ場合により遺伝子工学的に導入可能な修飾、例えば酵素活性を低減するための方法、例えばノックアウトを行うことができる限り、制限はない。これは同様に、原核細胞又は真核細胞であることができる。真核細胞の場合には、単細胞の真核生物が特に好ましく、特に酵母、例えばサッカロミケス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)及びピキア・パストリス(Pichia pastoris)である。原核細胞の場合には、例えば細菌であることができ、この細菌は、マグネトコックス(Magnetococcus)、マリプロフンズス(Mariprofundus)、アセトバクター(Acetobacter)、アセトバクテリウム(Acetobacterium)、アシジフィリウム(Acidiphilium)、アフィピア(Afipia)、アーレンシア(Ahrensia)、アスチッカウリス(Asticcacaulis)、アウランチモナス(Aurantimonas)、アゾリゾビウム(Azorhizobium)、アゾスピリルム(Azospirillum)、バシルス(Bacillus)、バルトネラ・トリボコルム(Bartonella tribocorum)、ベイジェリンキア(Beijerinckia)、ブラジリゾビウム(Bradyrhizobium)、ブレブンジモナス・スブビブリオイデス(Brevundimonas subvibrioides)、ブルセラ(Brucella)、カウロバクター(Caulobacter)、ケラチボランス(Chelativorans)、シトレイセラ(Citreicella)、シトロミクロビウム(Citromicrobium)、クロストリジウム(Clostridium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ジノロセオバクター(Dinoroseobacter)、エリトロバクタ−(Erythrobacter)、フルビマリナ(Fulvimarina)、グルコナセトバクター(Gluconacetobacter)、グラヌリバクター(Granulibacter)、ヒルスクヒア(Hirschia)、ホエフレア(Hoeflea)、ヒポミクロビウム(Hyphomicrobium)、ヒポモナス(Hyphomonas)、ケトグロニシゲニウム(Ketogulonicigenium)、ラブレニジア(Labrenzia)、ロクタネラ(Loktanella)、マグネトスピリルム(Magnetospirillum)、マリカウリス(Maricaulis)、マリチミバクター(Maritimibacter)、メソリゾビウム(Mesorhizobium)、メチロバクテリウム(Methylobacterium)、メチロシスチス(Methylocystis)、メチロシヌス(Methylosinus)、ニトロバクタ−(Nitrobacter)、ノボスピンゴビウム(Novosphingobium)、オセアニブルブス(Oceanibulbus)、オセアニカウリス(Oceanicaulis)、オセアニコラ(Oceanicola)、オクロバクトルム(Ochrobactrum)、オクタデカバクタ−(Octadecabacter)、オリゴトロファ(Oligotropha)、パラコックス(Paracoccus)、パルビバクルム(Parvibaculum)、パルブラルクラ(Parvularcula)、ペラギバカ(Pelagibaca)、ファエオバクター(Phaeobacter)、フェニロバクテリウム(Phenylobacterium)、ポリモルフム(Polymorphum)、プセウドビブリオ(Pseudovibrio)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドミクロビウム(Rhodomicrobium)、ロドプセウドモナス(Rhodopseudomonas)、ロドスピリルム(Rhodospirillum)、ロセイビウム(Roseibium)、ロセオバクター(Roseobacter)、ロセオモナス(Roseomonas)、ロセオバリウム(Roseovarius)、ルエゲリア(Ruegeria)、サギッツラ(Sagittula)、シリシバクター(Silicibacter)、スフィンゴビウム(Sphingobium)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、スフィンゴピキシス(Sphingopyxis)、スタルケイア(Starkeya)、スルフィトバクター(Sulfitobacter)、タラッシオビウム(Thalassiobium)、キサントバクター(Xanthobacter)、ジモモナス(Zymomonas)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、リゾビウム(Rhizobium)、シノリゾビウム(Sinorhizobium)、アナプラスマ(Anaplasma)、エールリキア(Ehrlichia)、ネオリケッチア(Neorickettsia)、オリエンチア(Orientia)、リケッチア(Rickettsia)、ボルバキア(Wolbachia)、ボルデテラ(Bordetella)、ブルクホルデリア(Burkholderia)、クプリアビズス(Cupriavidus)、タイワネンシス(Taiwanensis)、ラウトロピア(Lautropia)、リムノバクター(Limnobacter)、ポリヌクレオバクター(Polynucleobacter)、ラルストニア(Ralstonia)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)、バスフィア(Basfia)、キンゲラ(Kingella)、ラリバクター(Laribacter)、ルチエラ(Lutiella)、ネイッセリア(Neisseria)、シモンシエイラ(Simonsieila)、アクロモバクター(Achromobacter)、アシドボラキス(Acidovorax)、アリシクリフィルム(Alicycliphilus)、アロマトレウム(Aromatoleum)、アゾアルクス(Azoarcus)、コマモナス(Comamonas)、デクロロモナス(Dechloromonas)、デルフチア(Delftia)、ガリオネラ(Gallionella)、ヘルバスピリウム(Herbaspirillum)、ヘルミニイモナス(Herminiimonas)、ヒレモネラ(Hylemonella)、ジャンチノバクテリウム(Janthinobacterium)、レプトトリキス(Leptothrix)、メチリビウム(Methylibium)、メチロバシルス(Methylobacillus)、メチロフィラレス(Methylophilales)、メチロベルサチリス(Methyloversatilis)、メチロボルス(Methylovorus)、ニトロソモナス(Nitrosomonas)、ニトロソスピラ(Nitrosospira)、オキサロバクター(Oxalobacter)、パラスッテレラ(Parasutterella)、ポラロモナス(Polaromonas)、ポラロモナス(Polaromonas)、プシリモナス(Pusillimonas)、ロドフェラキス(Rhodoferax)、ルブリビバキス(Rubrivivax)、シデロキシダンス(Sideroxydans)、スッテリラ・ワドスウォルテンシス(Sutterella wadsworthensis)、タイロレラ(Taylorella)、タウエラ(Thauera)、チオバシルス(Thiobacillus)、チオモナス(Thiomonas)、バリオボラキス(Variovorax)、ベルミネフロバクター(Verminephrobacter)、アナエロミキソバクター(Anaeromyxobacter)、ブデロビブリオ・バクテリオボルス(Bdellovibrio bacteriovorus)、ビロフィラ(Bilophila)、デスルファルクルス(Desulfarculus)、デスルファチバシルム(Desulfatibacillum)、デスルフォバッカ(Desulfobacca)、デスルフォバクテリウム(Desulfobacterium)、デスルフォブルブス(Desulfobulbus)、デスルフォコックス(Desulfococcus)、デスルフォハロビウム(Desulfohalobium)、デスルフィトバクテリウム(Desulfitobacterium)、
デスルフォミクロビウム(Desulfomicrobium)、デスルフォナトロノスピラ(Desulfonatronospira)、デスルフォタレア(Desulfotalea)、デスルフォビブリオ(Desulfovibrio)、デスルフロモナス(Desulfuromonas)、ゲオバクター(Geobacter)、ハリアンギウム(Haliangium)、ヒッペア(Hippea)、ラウソニア(Lawsonia)、ミキソコックス(Myxococcus)、ペロバクター(Pelobacter)、プレシオシスチス(Plesiocystis)、ソランギウム(Sorangium)、スチグマテラ(Stigmatella)、シントロフォバクター(Syntrophobacter)、シントロフス(Syntrophus)、アルコバクター(Arcobacter)、カミニバクター(Caminibacter)、カンピロバクター(Campylobacter)、ヘリコバクター(Helicobacter)、ニトラチフラクトル(Nitratifractor)、ニトラチルプトル(Nitratiruptor)、スルフリクルブム(Sulfuricurvum)、スルフリモナス(Sulfurimonas)、スルフロスピリウム(Sulfurospirillum)、スルフロブム(Sulfurovum)、ウォリネラ(Wolinella)、ブクネラ(Buchnera)、ブロクマニア(Blochmannia)、ハミルトネラ(Hamiltonella)、レギエイラ(Regieila)、リエシア(Riesia)、シトロバクター(Citrobacter)、クロノバクター(Cronobacter)、ジッケイア(Dickeya)、エドワルジシエラ(Edwardsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、エシェリキア(Escherichia)、クレブシエラ(Klebsiella)、パントエア(Pantoea)、ペクトバクテリウム(Pectobacterium)、プロテウス(Proteus)、プロビデンシア(Providencia)、ラーネラ(Rahnella)、サルモネラ(Salmonella)、セラチア(Serratia)、シゲラ(Shigella)、ソダリス(Sodalis)、ウィッグレスウォルチア(Wigglesworthia)、グロッシナ(Glossina)、キセノルハブズス(Xenorhabdus)、イエルシニア(Yersinia)、アシジチオバシルス(Acidithiobacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、アエロモナス(Aeromonas)、アルカニボラキス(Alcanivorax)、アルカリリムニコラ(Alkalilimnicola)、アロクロマチウム(Allochromatium)、アルテロモナダレス(Alteromonadales)、アルテロモナス(Alteromonas)、バウマンニア(Baumannia)、ベッギアトア(Beggiatoa)、ベルマネラ(Bermanella)、カルソネラ(Carsonella)、ルチア(Ruthia)、ベシコミオソシウス(Vesicomyosocius)、カルジオバクテリウム(Cardiobacterium)、クロモハロバクター(Chromohalobacter)、コルウェリア(Colwellia)、コングレギバクター(Congregibacter)、コキシエラ(Coxiella)、ジケロバクター(Dichelobacter)、エンドリフチア(Endoriftia)、エンヒドロバクター(Enhydrobacter)、フェリモナス(Ferrimonas)、フランシセラ(Francisella)、グラシエコラ(Glaciecola)、ハヘラ(Hahella)、ハロモナス(Halomonas)、ハロロドスピラ(Halorhodospira)、ハロチオバシルス(Halothiobacillus)、イジオマリナ(Idiomarina)、カンギエラ(Kangiella)、レジオネラ(Legionella)、マリノバクター(Marinobacter)、マリノモナス(Marinomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコックス(Methylococcus)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、メチロファガ(Methylophaga)、モラキセラ(Moraxella)、モリテラ(Moritella)、ネプツニイバクター(Neptuniibacter)、ニトロコックス(Nitrococcus)、プセウドアルテロモナス(Pseudoalteromonas)、プシクロバクター(Psychrobacter)、プシクロモナス(Psychromonas)、レイネケア(Reinekea)、リケッチエラ(Rickettsiella)、サッカロファグス(Saccharophagus)、シェワネラ(Shewanella)、スッシナチモナス(Succinatimonas)、テレジニバクター(Teredinibacter)、チオアルカリミクロビウム(Thioalkalimicrobium)、チオアルカリビブリオ(Thioalkalivibrio)、チオミクロスピラ(Thiomicrospira)、トルモナス(Tolumonas)、ビブリオナレス(Vibrionales)、アクチノバシルス(Actinobacillus)、アッグレガチバクター(Aggregatibacter)、ガリバクテリウム(Gallibacterium)、ハエモフィルス(Haemophilus)、ヒストフィルス(Histophilus)、マンヘイミア(Mannheimia)、パスツレラ(Pasteurella)、アゾトバクター(Azotobacter)、セルビブリオ(Cellvibrio)、プセウドモナス(Pseudomonas)、アリイビブリオ(Aliivibrio)、グリモンチア(Grimontia)、ホトバクテリウム(Photobacterium)、ホトバクテリウム・ビブリオ(Photobacterium Vibrio)、プセウドキサントモナス(Pseudoxanthomonas)、ステノトロホモナス(Stenotrophomonas)、キサントモナス(Xanthomonas)、キシレラ(Xylella)、ボルレリア(Borrelia)、ブラキスピラ(Brachyspira)、レプトスピラ(Leptospira)、スピロカエタ(Spirochaeta)、トレポネマ(Treponema)、ホドグキニア(Hodgkinia)、プニセイスピリウム(Puniceispirillum)、リベリバクター(Liberibacter)、ペラギバクター(Pelagibacter)、オジッセラ(Odyssella)、アックムリバクター(Accumulibacter)、特に、B.スブチリス(B. subtilis)、B.メガテリウム(B. megaterium)、C.グルタミクム(C. glutamicum)、大腸菌(E. coli)、プセウドモナス種(Pseudomonas sp.)、プセウドモナス・フルオレスセンス(Pseudomonas fluorescens)、プセウドモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、プセウドモナス・スツトゼリ(Pseudomonas stutzeri)、アキネトバクター種(Acinetobacter sp.)、ブルクホルデリア種(Burkholderia sp.)、ブルクホルデリア・タイランデニス(Burkholderia thailandensis)、シアノバクテリア、クレブシエラ種(Klebsiella sp.)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、サルモネラ種(Salmonella sp.)、リゾビウム種(Rhizobium sp.)及びリゾビウム・メリロチ(Rhizobium meliloti)を有する群から選択される。特に好ましい実施態様の場合に、これは腸内細菌、最も好ましくは大腸菌(Escherichia coli)である。
【0040】
トランスアミナーゼにより末端のアルデヒド基のアミノ化の際に消費されたアラニンを無機窒素含有分子から再生するために、本発明による全細胞触媒が、脂肪酸レダクターゼ、ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ及びトランスアミナーゼの他に、アラニンデヒドロゲナーゼを有する場合が好ましい。特に好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような「アラニンデヒドロゲナーゼ」の概念とは、水及びNAD+の消費のもとで、L−アラニンからピルバート、アンモニア及びNADHへの転化又はその逆の反応を触媒する酵素であると解釈される。特に好ましい実施態様の場合に、このアラニンデヒドロゲナーゼは、バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)(データバンクコードL20916)、リゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)(データバンクコードCP001622)、ビブリオ・プロテオリチクス(Vibrio proteolyticus)(データバンクコードAF070716)、マイコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis)(データバンクコードX63069)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)(データバンクコードAB013821)
からのアラニンデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列及びその変異体を有するアラニンデヒドロゲナーゼの群から選択される。アラニンデヒドロゲナーゼにより触媒される反応について、全細胞触媒としてあげられる全ての細胞の一次物質代謝の一部として生成されるピルバートの存在だけでなく、アンモニウムの存在も必要である。後者のアンモニウムは、典型的には、無機窒素塩の形で、例えばアンモニウム塩、硝酸塩などの形で提供される。好ましくは、水性反応媒体に、アンモニウム塩、例えば塩化アンモニウムが添加される。
【0041】
更に、本発明による全細胞触媒は、特にジアミンの製造のための基質として末端カルボキシ官能基を1つだけ有する脂肪酸を使用する場合に、アルカンヒドロキシラーゼ及び任意に他の、アルカンヒドロキシラーゼの活性のために必要な酵素を発現する場合が好ましい。アルカンヒドロキシラーゼ及び/又は付加的に発現されたアルコールデヒドロゲナーゼは、末端の炭素原子を酸化して、アルデヒド基にし、これを引き続きトランスアミナーゼによってアミノ化することができるか、又はカルボキシ基にし、これをα−ジオキシゲナーゼ又は脂肪酸レダクターゼとホスホパンテテイニルトランスフェラーゼとの組み合わせによって末端アルデヒド基に変換し、これを引き続きトランスアミナーゼによってアミノ化することができる。好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような「アルカンヒドロキシラーゼ」の概念は、少なくとも6個、好ましくは12個の炭素材料基(Kohlenstoffstoffreste)を有する非置換の線状アルキル基のヒドロキシル化を触媒する酵素であると解釈される。
【0042】
アルカンヒドロキシラーゼとして、本発明の場合に、特にPCT/EP 2008/067447に記載されているような多数の酸化系が適している。好ましい実施態様の場合に、アルカンヒドロキシラーゼは、CYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼである。好ましい実施態様の場合に、「CYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ」の概念とは、アルカン結合部位を有しかつアルカンをヒドロキシル化する能力を有する細胞質ゾルのオキシダーゼであると解釈され、これは、更にフェレドキシン及びフェレドキシンレダクターゼを有する3成分系の一部である。特に好ましい実施態様の場合には、アルカニボラキス・ボルクメンシス(Alcanivorax borkumensis)SK2由来のCYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ(データバンクコードYP_691921)に対して、少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%又は99%の配列同一性を有する酵素であるか、又はアルカニボラキス・ボルクメンシス(Alcanivorax borkumensis)SK2由来のCYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ(データバンクコードYP_691921)に対して、少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%又は99%の配列同一性を有しかつ更にアルカンヒドロキシラーゼ活性を有するポリペプチド配列を有する酵素である。上述のデータバンクコードは、本願の場合に一貫して、NCBI(National Center for Biotechnology Information, Bethesda, USA)データバンクに関し、正確に言うと2012年11月21日付けのオンラインで使用可能なバージョンに関する。好ましい実施態様の場合に、「CYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ」の概念とは、アルカン、少なくとも5個、好ましくは12個の炭素材料基を有する非置換の線状アルキル基又は単にヒドロキシル化されたアルカンに対する結合部位を有し、かつそのペプチド鎖はモチーフLL(I/L)(V/I)GGNDTTRNを有する、膜結合しないオキシダーゼであると解釈される。好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような「CYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ」は、好ましくはアルカンヒドロキシラーゼ活性を有する、アルカニボラキス・ボルクメンシス(Alcanivorax borkumensis)SK2からのCYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ(データバンクコードYP_691921)又はその変異体である。
【0043】
還元剤、好ましくはNADHから電子をCYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼに最適に供給するために、細胞に、アルカンヒドロキシラーゼを、これと機能的に相互作用するフェレドキシンレダクターゼ及びこれと機能的に相互作用するフェレドキシンと一緒に発現させるのが好ましい。これは、単離されたポリペプチドであるか又は全細胞触媒の使用の際に同時発現するポリペプチドであるか又はN末端又はC末端がCYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼにより官能化されたポリペプチドであることができる。フェレドキシンレダクターゼ又はフェレドキシンが、所与のCYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼと互いに機能的に相互作用するかどうかは、当業者は、還元剤がアルカン基質及びこの3つのポリペプチドの存在で、この3つの内の少なくとも1つが欠ける場合よりも有効に酸化されるかどうかによって容易に確認できる。これとは別に、機能的に相互作用するポリペプチドの場合に反応速度の明らかな向上を示す、Scheps, D., Malca, H., Hoffmann, B., Nestl, B. M,及びHauer, B. (2011) Org. Biomol. Chem., 9, 6727に記載された酵素試験を使用することができる。特に好ましい実施態様の場合に、CYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ、フェレドキシン及びフェレドキシンレダクターゼは、同一の生物に由来する。特に好ましい実施態様の場合に、アルカニボラキス・ボルクメンシス(Alcanivorax borkumensis)SK2由来のフェレドキシンレダクターゼ(データバンクコードYP_691923)又はその変異体、アルカニボラキス・ボルクメンシス(Alcanivorax borkumensis)SK2由来のフェレドキシン(データバンクコードYP_691920)又はその変異体、及びアルカニボラキス・ボルクメンシス(Alcanivorax borkumensis)SK2由来のCYP153ファミリーのシトクロムP450モノオキシゲナーゼ(データバンクコードYP_691921)又はその変異体である。
【0044】
他の好ましい実施態様の場合に、アルカンヒドロキシラーゼは、まず、AlkBモノオキシゲナーゼである。AlkBは、プセウドモナス・プチダ(Pseudomonas putida)Gpo1由来のAlkBGT系から最初に公知となったオキシドレダクターゼであり、これは2つの他のポリペプチドAlkG及びAlkTに依存する。AlkTは、NADHから電子をAlkGへ引き渡すFAD依存性ルブレドキシンレダクターゼとして特徴付けられる。AlkGは、ルブレドキシンであり、これはAlkB用の直接的な電子供与体として機能する鉄含有の酸化還元タンパク質である。好ましい実施態様の場合に、「AlkBモノオキシゲナーゼ」の概念は、アルカンを酸化する能力を有する、プセウドモナス・プチダ(Pseudomonas putida)Gpo1のAlkB(データバンクコード:CAB54050.1;このデータバンクコードは、この明細書に使用されている他の全てと同様に、先行技術から、つまりNCBIデータバンク、より詳細に2012年10月15日のオンラインで使用可能なリリースに由来する)の配列に対して、少なくとも75、80、85、90、92、96、98又は99%(この順序で増大する優位性を示す)の配列相同性を有するポリペプチドであると解釈される。特に好ましい実施態様の場合には、AlkBモノオキシゲナーゼは、プセウドモナス・プチダ(Pseudomonas putida)Gpo1由来のAlkG(CAB54052.1)ポリペプチド及びAlkT(CAB54063.1)ポリペプチドと機能的に相互作用する、アルカンを酸化するオキシドレダクターゼである。AlkBアルカンヒドロキシラーゼに電子を最適に供給するために、細胞に、アルカンヒドロキシラーゼを、これと機能的に相互作用する補助タンパク質、好ましくはAlkG及び/又はAlkT又はこれらの変異体と一緒に発現させるのが好ましく、特に好ましい実施態様の場合に、これは、プセウドモナス・プチダ(Pseudomonas putida)Gpo1由来のAlkG(CAB54052.1)ポリペプチド又はAlkT(CAB54063.1)ポリペプチドである。
【0045】
全細胞触媒を使用する場合に、基質を細胞内に局在化された酵素と接触させ、それによって所望の反応を引き起こさなければならないという課題が課せられることがある。長鎖アルカン及びその誘導体の場合には、全細胞触媒がAlkLファミリーのポリペプチドを有することが好ましい。AlkLは、プセウドモナス・プチダ(Pseudomonas putida)由来の膜タンパク質であり、これは、長鎖脂肪酸及びその誘導体を細菌細胞内へ取り込むことができる。好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような「AlkLファミリーのポリペプチド」は、プセウドモナス・プチダ(Pseudomonas putida)由来のAlkL(データバンクコードCAB69081)又はプセウドモナス・プチダ(Pseudomonas putida)由来のAlkLの変異体に対して、230の互いに連続するアミノ酸の長さにわたり、少なくとも80%、好ましくは90%、更に好ましくは90%の配列同一性を有し、かつ好ましくは長鎖アルカンの細胞内部への取り込みを支援する能力を有するポリペプチドである。他の実施態様の場合に、ここで使用されるような「AlkLファミリーのポリペプチド」は、グラム陰性細菌の外側の膜中に局在する、配列モチーフDXWAPAXQ(V/A)GXR(この場合、Xは、タンパク質構成アミノ酸を表す)を有するポリペプチドであり、好ましくは更にプセウドモナス・プチダからのAlkL(データバンクコードCAB69081)又はその誘導体である。AlkLファミリーの例示的な構成員は、プセウドモナス・プチダ(Pseudomonas putida)からのAlkL(データバンクコードCAB69081)、マリノバクター・アクアエオレイ(Marinobacter aquaeolei)VT8(データバンクコードYP_957722)、オセアニカウリス・アレクサンドリイ(Oceanicaulis alexandrii)HTTCC2633(データバンクコードZP_00953584)、マリノバクター・マンガノキシダンス(Marinobacter manganoxydans)Mnl7−9(データバンクコードZP_09158756)、カウロバクター種(Caulobacter sp.)K31(データバンクコードYP_001672217)、プセウドモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)(データバンクコードQ00595)及びこれらの変異体を有する。
【0046】
本発明の教示は、ここで関連する正確なアミノ酸配列又は核酸配列を有するマクロ分子の使用下だけでなく、又はここで関連する正確なアミノ酸配列を有するポリペプチドの、それぞれの野生型と比べて低減された活性を有する細胞の使用下だけでなく、この種のマクロ分子の変異体の使用下、又は1つ又はそれ以上のアミノ酸又は核酸の欠失、付加又は置換により得られるポリペプチドの変異体の、それぞれの細胞のそれぞれの野生型と比べて低減された活性を有する細胞の使用下でも行うことができる。好ましい実施態様の場合には、核酸配列又はアミノ酸配列の「変異体」の概念は、以後、ここで使用されるような「相同体」の概念と同じ意味又は交換可能に使用され、相応する当初の野生型核酸配列又はアミノ酸配列に関して、70、75、80、85、90、92、94、96、98、99%又はそれ以上のパーセントの相同性(ここでは同一性と同じ意味で使用される)を有する配列を有するか又は配列である他の核酸配列又はアミノ酸配列を意味し、この場合、好ましくは触媒活性中心を形成するアミノ酸又は構造及び折り畳みのために重要なアミノ酸とは異なるアミノ酸が欠失又は置換されているか、又は単に同類置換されている、例えばアスパルタートに代えてグルタマート、又はバリンに代えてロイシンで置換されている。先行技術は、2つの配列の相同性の程度を計算するために使用することができるアルゴリズムを記載している、例えばArthur Lesk (2008), Introduction to bioinformatics、第3版。本発明の他の好ましい実施態様の場合に、アミノ酸配列又は核酸配列の変異体は、好ましくは上述の配列相同性に加えて更に、主に野生型分子又は当初の分子と同じ酵素活性を有する。例えば、プロテアーゼとしての酵素活性のポリペプチドの変異体は、このポリペプチド酵素と同じ又はほぼ同じタンパク質分解活性、つまりペプチド結合の加水分解を触媒する能力を有する。特に好ましい実施態様の場合に、「ほぼ同じ酵素活性」の概念は、野生型ポリペプチドの基質に関して、バックグラウンド活性を明らかに越える及び/又は同じ基質に関して野生型ペプチドが有するKM値及び/又はkcat値の3桁未満異なる、好ましくは2桁未満異なる、更に好ましくは1桁未満異なる活性を意味する。他の好ましい実施態様の場合に、核酸配列又はアミノ酸配列の「変異体」の概念は、この核酸配列又はアミノ酸配列の少なくとも1つの活性部分/又は断片を有する。他の好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような「活性部分」の概念は、このアミノ酸配列の完全な長さよりは短い長さを有する又はアミノ酸の完全な長さよりは短い長さをコードするアミノ酸配列又は核酸配列を意味し、この場合、野生型アミノ酸配列よりも短い長さを有するアミノ酸配列又はコードされたアミノ酸配列は、野生型ペプチド又はその変異体、例えばプロテアーゼとほぼ同じ酵素活性を有する。特別な実施多様の場合に、核酸の「変異体」の概念は、その相補的な鎖が、好ましくはストリンジェントな条件下で、野生型核酸と結合する核酸を有する。ハイブリダイズ反応のストリンジェンシーは、当業者に容易に決定でき、かつ一般にプローブの長さ、洗浄時の温度及び塩濃度に依存する。一般に、比較的長いプローブはハイブリダイゼーションのために比較的高い温度を必要とし、比較的短いプローブは比較的低い温度で十分である。ハイブリダイゼーションが行われるかどうかは、一般に、変性されたDNAの、その周囲に、しかも融点未満で存在している相補的鎖にアニーリングする能力に依存する。ハイブリダイズ反応のストリンジェンシー及び相応する条件は、F M Ausubel (1995), Current Protocols in Molecular Biology. John Wiley & Sons, Inc.に詳細に記載されている。ハイブリダイズを用いてDNA配列を同定するための手引きについて、当業者は、特にFirma Boehringer Mannheim GmbH (Mannheim,ドイツ国, 1993)社のハンドブック「The DIG System Users Guide for Filter Hybridization」及びLiebl et al.著(International Journal of Systematic Bacteriology 41: 255-260 (1991))で得られる。このハイブリダイズは、好ましい実施態様の場合に、ストリンジェントな条件下で、つまり、このプローブと目標配列、つまりプローブで処理されるべきポリヌクレオチドとが少なくとも70%同一である場合にだけハイブリッドを形成する条件下で行われる。洗浄工程を含めたハイブリダイズのストリンジェンシーとは、緩衝剤組成、温度及び塩濃度の変更により影響されるか又は決定されることは公知である。このハイブリダイズ反応は、一般に、洗浄工程と比較して、比較的低いストリンジェンシーで実施される(Hybaid Hybridisation Guide, Hybaid Limited, Teddington, UK, 1996)。このハイブリダイズ反応のために、例えば5×SSC緩衝剤に相応する緩衝液が、約50℃〜68℃の温度で使用することができる。この場合、プローブは、プローブの配列に対して70%未満の同一性を有するポリヌクレオチドともハイブリダイズすることができる。このようなハイブリッドはあまり安定でなく、ストリンジェントな条件下で洗浄により除去される。これは、例えば塩濃度を2×SSCに低下させかつ場合により引き続き0.5×SSC(The DIG System User's Guide for Filter Hybridisation, Boehringer Mannheim, Mannheim、ドイツ国、1995)に低下させることによって達成することができ、その際、約50℃〜68℃、約52℃〜68℃、約54℃〜68℃、約56℃〜68℃、約58℃〜68℃、約60℃〜68℃、約62℃〜68℃、約64℃〜68℃、約66℃〜68℃の温度(この順序で優位性が増大する)に調節される。約64℃〜68℃又は約66℃〜68℃の温度範囲が好ましい。場合により、塩濃度を相応して0.2×SSC又は0.1×SSCの濃度にまで低下させることもできる。ハイブリダイズ温度を、約1〜2℃の段階で段階的に50℃から68℃まで高めることにより、使用した核酸分子の配列に対して、少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の同一性(例えば、この順序で優位性が増大する)を有するポリヌクレオチドフラグメントを単離することができる。ハイブリダイズの他の手引きは、いわゆるキットの形で市場で入手できる(例えば、Roeche Diagnostics GmbH社のDIG Easy Hyb, Mannheim, ドイツ国, カタログ番号: 1603558)。好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような核酸の「変異体」の概念は、当初の核酸と同じアミノ酸配列又はこのアミノ酸配列の、遺伝子コードの縮重の範囲内での変異体をコードする任意の核酸配列を有する。
【0047】
好ましい実施態様の場合に、本発明により使用される細胞は、その野生型と比べて少なくとも1つの酵素の低減された活性を有し、この酵素は、脂肪酸のβ酸化の反応の一つを触媒し、好ましくは、脂肪酸CoAリガーゼ、アシルCoAデヒドロゲナーゼ、2,4−ジエノイルCoAレダクターゼ、エノイルCoAヒドラターゼ及び3−ケトアシルCoAチオラーゼ、脂肪酸インポーター又はこれらの変異体を有する群からなる酵素である。脂肪酸のβ酸化は広く知られた物質代謝経路であり、この物質代謝経路は、原核生物及び真核生物が同様に脂肪酸を酸化しかつその中に含まれる化学エネルギーを物質代謝に使用することを可能にしている。広い意味範囲では、これは脂肪酸の細胞内への取り込みから始まる。そこで、脂肪酸は、条件を必要とする限り、まずCoA脂肪酸エステルのβ位置でアシルCoAデヒドロゲナーゼによって、大腸菌(E.coli)の場合にはFadEによって酸化される。類似の分子が、これとは別に、二価不飽和脂肪酸から、2,4−ジエノイルCoAレダクターゼ、大腸菌(E.coli)の場合にはFadHによる還元によって形成することもできる。多機能性酵素、エノイルCoAヒドラターゼ/3−ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼ、大腸菌(E.coli)の場合にはFadBは、引き続き、第2級アルコールの形成下での水和、及びその引き続くケトンへの酸化を触媒する。最後の段階で、3−ケトアシルCoAチオラーゼ、大腸菌(E.coli)の場合にはFadAは、アセチルCoA及び出発分子と比べて炭素原子2個分短縮された脂肪酸のCoAエステルを遊離する結果を伴って、ケトアシルCoAの分解を触媒する。同様にアセチルCoAが問題とならない場合には、後者は新たにβ酸化回路に供給され、酸化下で短縮される。脂肪酸のβ酸化の調節についてはFadRも関与し、これは脂肪酸分解のために必要な遺伝子を有するFadオペロンのレギュレータであり、FadRはβ酸化の反応を触媒することはない。好ましい実施態様の場合に、「脂肪酸のβ酸化の反応の一つを触媒する酵素」の概念とは、脂肪酸基質又はアセチルCoAへの経路でその基質から生じる分子と直接相互作用する、好ましくはこれを基質として認識し、かつその分解経路で詳細にはアセチルCoAでの分解経路にある物質代謝産物への変換を触媒する、好ましくは脂肪酸の細胞内への取り込みを行うことを含むあらゆる酵素であると解釈される。例えば、この酵素には、先行する定義により、アセチルCoAデヒドロゲナーゼが挙げられる、というのも、これは脂肪酸CoAエステルと相互作用し、かつ詳細にはアセチルCoAでのβ酸化の物質代謝経路で脂肪酸CoAエステルとして存在するエニオールCoAへの変換を触媒するためである。特に好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような「脂肪酸のβ酸化の反応の一つを触媒する酵素」の概念とは、大腸菌(E. coli)由来の遺伝子産物FadA、FadB、FadD、FadL及びFadE及び/又はその変異体又は他の生物由来の相同体を含む群からなるあらゆる酵素であると解釈される。大腸菌(E. coli)由来の遺伝子産物FadA、FadB、FadD、FadL及びFadE、同様にその変異体及び多数の他の生物工学的に利用可能な生物由来の同族体及びその核酸配列及びポリペプチド配列は、先行技術に記載されていて、例えばFadAはアクセス番号AP009048.1で、FadBは、アクセス番号BAE77457.1で、FadDは、アクセス番号BAA15609.1で、及びFadEは、アクセス番号BAA77891.2で記載されている。この先行技術は、脂肪酸のβ酸化の反応の一つを触媒する酵素の活性を測定するために特に適している多数の試験を、例えば、K Kameda & W D Nunn (1981) J. Biol. Chem. 256, 5702-5707, Hi Marrakchi, W E DeWolf, C Quinn, J West, B J Polizzi, C Y So et al. (2003) Biochem. J. 370, 1055-1062, Lobo et al. (2001 )及びX Yu, T Liu, F Zhu, and C Khosla (2011) PNAS、印刷前の電子公開版に開示している。
【0048】
本発明による全細胞触媒の効率にとって、反応させる基質、好ましくはカルボン酸又はジカルボン酸又はそのモノエステルが、全細胞触媒の内部に局在している本発明による必要な酵素と容易に接触することができる場合が好ましい。従って、基質が細胞の内部にまで到達できることが重要である。これを容易にするために、全細胞触媒は、脂肪酸インポーターを、細菌性の、特にグラム陰性の全細胞触媒の場合には、特に好ましくは脂肪酸インポーターFadL(データバンクコード:BAA16205.1)又はその変異体を発現する、好ましくは相応する全細胞触媒の野生型の活性と比べて高められた濃度でかつ活性で発現することが好ましい。細胞の野生型と比べてポリペプチドの活性を高めることは、当業者に日常的に用いられる多様な方法、例えば、プロモータと機能的に結合する、ポリペプチドをコードする核酸配列の付加的なコピーの組み込み又は天然のプロモータをより強いプロモータに交換することで達成することができる。
【0049】
全細胞触媒中で内因性で発現される酵素に関する背景が、本発明による方法の又は本発明による細胞の使用下での出発物質、中間体及び生成物、好ましくはω−アミノカルボン酸、ω−ヒドロキシカルボン酸、ω−オキソカルボン酸及びジカルボン酸のメチルエステルを物質代謝経路で分解するか又は他の方法で修飾し、所望な生成物の生成を妨げる内因性酵素の活性を低減又は停止するように最適化されている場合に、アミン及びジアミンが本発明により比較的高い収率でかつ比較的高い純度で生産されることが明らかになった。この背景を前提として、本発明による全細胞触媒は、野生型と比較して、エステラーゼBioH[データバンクコードYP_492020.1]又はその変異体の低減された活性を有する細胞である場合が好ましい。低減されたBioH活性を有するこの種の細胞、その製造及び活性を決定する試験は、欧州特許出願EP 12007663.3に記載されている。
【0050】
カルボン酸、ジカルボン酸又はこれらのモノエステルとして、例えばこれらの基質の有用性の改善又は遊離カルボン酸又はジカルボン酸の毒性の理由から、末端のカルボキシル基が高い程度で、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、95又は99パーセントまでエステルの形で存在するこれらの化合物の混合物を使用する場合について、モノエステルは、完全にエステル化されたジカルボン酸の部分的又は完全な加水分解により又は遊離カルボン酸は完全にエステル化されたカルボン酸の部分的又は完全な加水分解により準備されていてもよい。この場合について、細胞のエステル加水分解のための能力を適切なエステラーゼの過剰発現により高めることが好ましい。好ましい実施態様の場合には、このために、エステルヒドロラーゼBioH又はその変異体の活性を、使用された全細胞触媒の野生型と比べて、特に好ましくは過剰発現によって高める。相応するモノエステル及び/又はエステル化されていないカルボン酸又はジカルボン酸は、次いでエステルヒドロラーゼによってin situで準備される。完全にエステル化されたジカルボン酸の部分的又は完全な加水分解は、例えば低いpH値の場合に、化学的に触媒される加水分解によって行うこともできる。
【0051】
本発明による全細胞触媒は、カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルを相応するアミン又はジアミンに反応させる方法において好ましくは使用することができ、この場合カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルは、一般式(I)
1−A−COOR2 (I)
であり、R1は、−H及びCOOR3を有する群から選択され、R2及びR3は、それぞれ相互に無関係に、H、メチル、エチル及びプロピルを有する群から選択され、ただし、基R2及びR3の少なくとも一方はHであり、Aは、少なくとも4個の炭素原子を有する、非分枝の、分枝された、線状の、環状の、置換又は非置換の炭化水素基である。好ましい実施態様の場合に、Aは式−(CH2n−の構造であり、nは、好ましくは4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30である。最も好ましい実施態様の場合に、カルボン酸又はジカルボン酸は、ラウリン酸又はω−カルボキシラウリン酸である。他の最も好ましい実施態様の場合に、このカルボン酸は、式CH3−(CH2n−COOHのカルボン酸であり、nは、好ましくは4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30であり、好ましくはヘキサン酸又はデカン酸である。他の最も好ましい実施態様の場合に、カルボン酸又はジカルボン酸は、式HOOC−(CH2n−COOHのジカルボン酸であり、nは、好ましくは4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30であり、好ましくはω−カルボキシヘキサン酸又はω−カルボキシデカン酸である。他の最も好ましい実施態様の場合に、カルボン酸又はジカルボン酸は、ω−カルボキシテトラデカン酸である。相応して、本発明により製造されたアミン又はジアミンは、好ましくは式CH3−(CH2n−NH2又はNH2−(CH2n−NH2の化合物であり、nはそれぞれ、好ましくは4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30である。
【0052】
カルボン酸又はジカルボン酸又はそれらのモノエステルに関して、本願明細書で記載された全ての化合物と同様に、それぞれ示された式は、それぞれの化合物の全ての塩、プロトン化された化合物又は脱プロトンされた化合物を含むことが当てはまる。例えば、ラウリン酸は、プロトン化された形だけではなく、全てのカチオンとのラウリン酸塩、例えばラウリン酸ナトリウムも含む。
【0053】
本発明による方法は、本発明による方法のために使用される酵素が、任意に本発明による全細胞触媒の形で準備されて、カルボン酸又はジカルボン酸又はこれらのモノエステルと水溶液中で接触することを必要とする。好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような「接触」の概念とは、特に物理的なバリア、例えば透過膜等が介在することなくそれぞれの酵素がその基質と直接接触する状態になることであると解釈される。この接触は、最も簡単な場合には、基質を、酵素又は全細胞触媒が存在する水溶液中に添加することにより生じる。
【0054】
本発明による教示の実施のために、水溶液中の本発明による全細胞触媒8並びに式(I)のカルボン酸、ジカルボン酸又はそのモノエステル(式中、R1は、−H、COOR3を含む群から選択され、R2及びR3は、それぞれ互いに無関係に、H、メチル、エチル及びプロピルを有する群から選択され、ただし、基R2及びR3の少なくとも一方はHであり、Aは、少なくとも4個の炭素原子を有する非分枝の、分枝した、線状の、環状の、置換又は非置換の炭化水素基、好ましくは式−(CH2n−であり、nは少なくとも4、特に好ましくは少なくとも10である)を含む反応混合物が適している。この水溶液は、例えば組成、pH値及び温度に関して、この場合、全細胞触媒の生存能力又は少なくとも触媒能力を少なくとも一時的に支援するように作製されていなければならない。当業者には、細胞、特に生物工学的に重要な細胞の維持及び培養のために適している、水溶液として適した多数の水性培養基は公知である。その中には、LB培地のような均質な完全培地、M9培地のような最少培地、並びに選択培地、例えば高い塩濃度を有し、従って好塩性生物又は少なくとも耐塩性生物の成長だけが可能な選択培地が該当する。好ましい実施態様の場合に、ここで使用されるような「水性培養基」の概念は、全体で重要なファクタ、特にpH値、塩含有量及び温度に関して、この水性培養基中に含まれる細胞、好ましくは微生物の生存性が維持又は促進され、かつ水性培養基も疎水性有機相も液状の形態で存在するように作製されている水を基礎とする反応媒体であると解釈される。多様な生物工学的に重要な細胞の温度要求は、微生物学及び分子生物学の教書、例えばFuchs/Schlegl, 2008から推知することができる。好ましい実施態様の場合に、水性培養基のpH値は、接触の時点で、4〜9、好ましくは4.5〜8.5、最も好ましくは6.5〜7.5である。他の好ましい実施態様の場合に、温度は0〜45℃、好ましくは15〜40℃、最も好ましくは20〜37℃である。この反応混合物は、典型的には発酵槽に含まれている。発酵槽として、滅菌でき、好ましくはオートクレーブ処理でき、かつ全細胞触媒の育成、通気及び反応条件の制御、例えば酸素含有率及び温度の制御が可能であるすべての反応容器が機能することができる。
【0055】
好ましい実施多様の場合に、この反応混合物は、水溶液に対して付加的に、疎水性有機相を有する。この有機相は、有機溶剤及び/又はω−アミノ脂肪酸を水溶液から除去するための疎水性液状カチオン交換体を含むことができる。適切な溶剤及びカチオン交換体は、EP 11191520.3に記載されている。
【0056】
本発明は、更に次の図面及び限定するものではない実施例によって具体的に示され、これらから、本発明の他の特徴、実施態様、観点及び利点を推知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】菌株大腸菌(E. coli)W3110 pACYC{Placuv5}[carA_Ms−npt_Noc]/pJ281_alaDH_B.s._TA_C.v.(ct)の、21.75時間のプロセス時間後の発酵液中でのモノアミン及びジアミンの検出を示す。
【0058】
実施例1
ミコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)由来の遺伝子MSMEG_2956及びノカルジア種(Nocardia sp.)由来の遺伝子nptの発現のための発現ベクターの製造
ミコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)由来の、脂肪酸レダクターゼ(YP_887275.1)をコードするMSMEG_2956(carA、配列番号1)を、ノカルジア種(Nocardia sp.)由来の、前記脂肪酸レダクターゼをホスホパンテテイニル化するホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ(ABI83656.1)をコードするnpt(配列番号2)と共に同時発現するためのベクターを製造するため、両方の遺伝子をPCRによって、相同の範囲を取り入れながら組換えクローニングのために増幅した。この場合、遺伝子MSMEG_2956の増幅のためのドナー生物のゲノムDNA及び遺伝子nptの増幅のための合成DNA断片を原型として利用した。これらの遺伝子は、lacuv5プロモータ(配列番号3)の制御下にあり、このプロモータも同様にPCRによって存在するベクターから出発して組換えクローニングのために相同の範囲を取り入れながら増幅した。この場合、次のオリゴヌクレオチドを使用した:
Plac_H1_fw: 5'-TTATGCGACTCCTGCTGGCTATGGTGGGATTTCC-3'(配列番号4)
Plac_H2_rv: 5'-GATCGTCATATGCCACTCTCCTTGGTTCC-3'(配列番号5)
carA_H2_fw: 5'-TGGCATATGACGATCGAAACGCGCG-3'(配列番号6)
carA_H3_rv: 5'-TCCTTCTCTTACAGCAATCCGAGCATCT-3'(配列番号7)
npt_H3_fw: 5'-GCTGTAAGAGAAGGAGTTCTATCATGATCGAG-3'(配列番号8)
npt_H4_rv: 5'-GCAGCCTAGGTTAATTTATCAGGCGTACGCGATCG-3'(配列番号9)
【0059】
次のパラメータを、Placuv5及び遺伝子nptの増幅するPCRのために使用した:1×:初期の変性、98℃、0:30min;35×:変性、98℃、0:10min、アニーリング、55℃、0:20min;伸長、72℃、0:15min;1×:終端伸長、72℃、10min。遺伝子MSMEG_2956の増幅のために次のパラメータを使用した:1×:初期の変性、98℃、0:30min;35×:変性、98℃、0:10min、アニーリング、65℃、0:20min;伸長、72℃、1min;1×:終端伸長、72℃、10min。増幅のために、製造元の推奨に応じてNew England Biolabs(Frankfurt)のPhusionTM High-Fidelity Master Mixを、使用した。このPCR反応のそれぞれ50μlを、引き続き、1%のTAEアガロースゲル上で分離した。PCRの実施、アガロースゲル電気泳動、DNAのエチジウムブロミド染色及びPCR断片サイズの決定は、当業者に公知の手法によって行った。全ての場合に、期待されたサイズのPCR断片を増幅することができた。Placuv5は325塩基対、MSMEG_2956は3.5キロ塩基対、及びnptは718塩基対であった。アガロースゲルからのDNAの単離のために、目的DNAをメスでゲルから切り出し、QiaQuick Gel extraction Kitを用いて製造元(Qiagen, Hilden)の手引きに従って精製した。この精製されたPCR産物を、EcoNI切断及びPacI切断されたベクターpACYCDuet−1(Merck, Darmstadt)中へGeneart(登録商標)Seamless Cloning and Assembly Kitを使用して製造元(Life Technologies, Carlsbad, CA, USA)の手引きに従って組換えを用いてクローニングした。ケミカルコンピテント大腸菌(E. coli)DH10β(New England Biolabs, Frankfurt)の形質転換は、当業者に公知の手法によって行った。目的遺伝子の正確な挿入は、制限分析によって調査し、導入された遺伝子の信頼性をDNA配列決定によって確認した。製造し終えた発現ベクターを、pACYC{Placuv5}[carA_Ms−npt_Noc](配列番号10)とした。
【0060】
実施例2
バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)由来の遺伝子ald及びクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)由来の遺伝子Cv2025の同時発現のための発現ベクターの製造
バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)由来の、アラニンデヒドロゲナーゼ(NP_391071.1)をコードする遺伝子ald(配列番号11)及びクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)由来の、トランスアミナーゼ(NP_901695.1)をコードする遺伝子Cv_2025(配列番号12)のための大腸菌(E. coli)発現ベクターの製造のために、バシルス・スブチリス由来の遺伝子aldを、大腸菌(E. coli)発現ベクター中のバシルス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)由来の遺伝子aldに代えて、大腸菌(E. coli)発現ベクターpJ281_alaD_Bsp_TA_C.v.(ct)中にクローニングした(配列及び製造は、WO/2013/024114の実施例1及びそこに記載された配列番号17を参照)。バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)由来の遺伝子aldは、PCRによって菌株バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)str.168の染色体DNAから増幅した。この場合、次のオリゴヌクレオチドを使用した:
alaDH_pCR22_fw: 5'-ATGATCATAGGGGTTCCTAAAGAG-3'(配列番号13)
alaDH_pCR22_rev: 5'-TTAAGCACCCGCCACAGATG-3'(配列番号14)。
【0061】
次のパラメータをPCRのために使用した:1×:初期の変性、98℃、0:30min、35×:変性、98℃、0.10min、アニーリング、65℃、0:30min;伸長、72℃、0:20min;1×:終端伸長、72℃、10min。増幅のために、製造元の推奨に応じてNew England Biolabs(フランクフルト)のPhusionTM High-Fidelity Master Mixを、使用した。このPCR反応のそれぞれ50μlを、引き続き、1%のTAEアガロースゲル上で分離した。PCRの実施、アガロースゲル電気泳動、DNAのエチジウムブロミド染色及びPCR断片サイズの決定は、当業者に公知の手法によって行った。PCR断片は、1137塩基対の期待されたサイズを示し、Qiagen(Hilden)のQuick PCR Purification Kitで製造元の手引きに従ってPCRバッチから精製した。このPCR産物のベクターとのリゲーションのために、5′−ホスファートをポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs, Frankfurt)によってこのPCR産物に取り付けた。この場合、製造元の推奨を遵守した。
【0062】
ベクターを、制限エンドヌクレアーゼHindIII及びNdeIで消化し、それにより含まれるバシルス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)由来の遺伝子aldを除去した。制限消化したバッチを、1%のTAEアガロースゲル上で分離した。サイズ5696bp及び1124を有する2つのバンドが同定できた。アガロースゲルからベクターDNAを単離するために、5696bpのDNAバンドを、メスでゲルから切り出し、Qiagen(Hilden)のQuick Gel Extraction Kitを用いて製造元の手引きに従って精製した。平滑化された末端を作製するために、精製されたベクターDNAの5′−突出部をDNAポリメラーゼI(New England Biolabs, Frankfurt)のクレノウ断片で埋めた。この場合、製造元の説明を遵守した。5′−ホスファート基を有するバシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)由来のaldのDNA断片を、平滑化された末端を有するベクターにリゲーションした。この仕上げられた大腸菌(E. coli)発現ベクターを、pJ281_alaDH_B.s._TA_C.v.(Ct)(配列番号15)とした。
【0063】
実施例3
ミコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)由来の遺伝子MSMEG_2956及びノカルジア種(Nocardia sp.)由来の遺伝子npt及びバシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)由来の遺伝子ald及びクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)由来のCv2025を過剰発現する大腸菌(E. coli)株の製造
ミコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)由来の、脂肪酸レダクターゼ(YP_887275.1)をコードする遺伝子MSMEG_2956及びノカルジア種(Nocardia sp.)由来の、脂肪酸レダクターゼをホスホパンテテイニル化するホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ(ABI83656.1)をコードする遺伝子nptを、バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)由来の、アラニンデヒドロゲナーゼ(NP_391071.1)をコードする遺伝子ald及びクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)由来の、トランスアミナーゼ(NP_901695.1)をコードする遺伝子Cv2025と組み合わせて同時発現する大腸菌(E. coli)株の作製のために、大腸菌(E. coli)株W3110を、プラスミドpACYC{Placuv5}[carA_Ms−npt_Noc](配列番号10)及びpJ281_alaDH_B.s._TA_C.v.(ct)(配列番号15)で、エレクトロポレーションによって形質転換し、クロラムフェニコール(50μg/ml)及びカナマイシン(50μg/ml)を有するLB寒天プレート上で平板培養した。形質転換を、プラスミドプレパレーション及び分析的制限分析によって、正しいプラスミドの存在に関して調査した。作製された菌株を、大腸菌(E. coli)W3110 pACYC{Placuv5}[carA_Ms−npt_Noc]/pJ281_alaDH_B.s._TA_C.v.(ct)とした。この菌株を、ドデカン二酸からドデカンジアミンを及びドデカン酸からドデシルアミンを生産する能力を試験するために使用した。過剰発現されたホスホパンテテイニルトランスフェラーゼnptにより活性化された脂肪酸レダクターゼの遺伝子産物CarAが、基質のドデカン酸及びドデカン二酸を、それぞれアルデヒド及びジアルデヒドに変換した。遺伝子産物Cv_2505の機能は、(ジ)アルデヒドを最終的にドデシルアミン又はドデカンジアミンに変換することにある。アミノ化反応のために必要なアミノドナーのアラニンは、ピルバートから遺伝子産物aldによって提供される。
【0064】
実施例4
ミコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)由来の遺伝子MSMEG_2956及びノカルジア種(Nocardia sp.)由来の遺伝子npt用の発現ベクターを、バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)由来の遺伝子ald及びクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)由来のCv2025用の発現ベクターと組み合わせて有する大腸菌(E. coli)株によるドデカンジアミン及びドデシルアミンの生産
ドデシルアミン及びドデカンジアミンを生産する能力を試験するために、実施例3で作製した菌株を使用した。ドデカン酸及びドデカン二酸からそれぞれドデシルアミン及びドデカンジアミンへの生物変換は、DASGIPの8倍のパラレル発酵システムで実施した。この場合、次のように行った:この発酵のために、1L反応器を使用した。pHセンサを、pH4.0及びpH7.0の標準液を用いた二点校正によって校正した。この反応器を、水道水300mlで満たし、滅菌を保証するために121℃で20分間オートクレーブ処理した。引き続き、pO2センサを一晩中(少なくとも6時間にわたり)DASGIPシステムで分極した。翌朝、水をクリーンベンチのもとで抜き出し、クロラムフェニコール50mg/L及びカナマイシン50mg/Lを有する高密度細胞培地300mlに置き換えた。次に、pO2センサを、1点校正(撹拌機:400rpm/通気:10sL/h空気)で校正し、供給手段経路、補正手段経路及び誘導手段経路を定置洗浄(Clean-in-Place)によって清浄化した。このために、ホースを70%エタノールで、引き続き1M NaOHで、次いで滅菌VE水で洗浄し、最後にその都度の媒体で満たした。
【0065】
このドデカンジアミン及びドデシルアミンを産生する大腸菌(E. coli)株を、まず低温培養(Kryokultur)から、上述の抗生物質を有するLB培地(100mLのバッフル付きフラスコ中で25mL)中で、37℃で一晩中かつ200rpmで約18時間培養した。引き続き、この培養2mLを、上述の抗生物質を有する高密度細胞培地(グルコース15g/L(1%のMgSO4・7H2O及び2.2%のNH4Clを有する、別個にオートクレーブ処理した500g/Lの母液30mL/L)、(NH42SO4 1.76g/L、K2HPO4 19.08g/L、KH2PO4 12.5g/L、酵母抽出物6.66g/L、クエン酸三ナトリウム二水和物2.24g/L、クエン酸鉄アンモニウム溶液17mL/L 別個にオートクレーブ処理した1%の母液、微量元素溶液5mL/L 別個にオートクレーブ処理した母液(HCl(37%)36.50g/L、MnCl2・4H2O 1.91g/L、ZnSO4・7H2O 1.87g/L、エチレンジアミン四酢酸二水和物0.84g/L、H3BO3 0.30g/L、Na2MoO4・2H2O 0.25g/L、CaCl2・2H2O 4.70g/L、FeSO4・7H2O 17.80g/L、CuCl2・2H2O 0.15g/L))(100mLのバッフル付きフラスコ中で25mL)中に移し、37℃/200rpmで更に5.5時間インキュベーションした。
【0066】
この反応器は、前培地の相応する容量を5mL注射器(滅菌条件下で)中に取り、反応器にカニューレを用いて、70%のエタノールの上層をなす隔膜を介して接種することにより、0.1の光学密度で接種された。
【0067】
次の標準プログラムを使用した:
【表1】
【0068】
この実施した実験は2つの相に分けることができ、それは、細胞が所定の光学密度に到達する育成と、それに引き続く生物変換であり、生物変換では基質のドデカン酸、オレイン酸又はドデカン二酸の添加後に、発現で形成された酵素によってドデシルアミン、オレイルアミン又はドデカンジアミンへの変換が行われる。pH値は、一方で、アンモニア(12.5%)でpH6.8に調節された。育成及び生物変換の間に、培養中の溶存酸素(DO、dissolved oxygen)は、撹拌機回転数及びガス供給速度によって30%に調節した。この発酵は、流加回分式で実施し、この場合、供給開始、5g/Lhのグルコース供給(1%のMgSO4・H2O及び2.2%のNH4Clを有するグルコース500g/L)は、DOピークによってトリガされた。供給開始によって、温度も、以前の37℃から30℃に低下した。トランスアミナーゼ、アラニンデヒドロゲナーゼ、カルボン酸レダクターゼ及びホスホパンテテイニルトランスフェラーゼの発現は、供給開始の2時間後に、1mM IPTGの自動添加によって誘導された。生物変換の開始前に、培養液の光学密度を測定した。
【0069】
生物変換相の開始は、供給開始後の1h又は12hに行った。このために、ドデカン酸又はドデカン二酸及びオレイン酸(工業的90%)からなる混合物150ml又は75mLをバッチとして発酵液に添加した。トランスアミナーゼのためのアミノ基供与体を提供するために、生物変換開始の30分前に、3M硫酸アンモニウム溶液5mLを発酵液に添加した。試料採取のために、槽から発酵液2mLを取り出し、この1/20の部分を80%のアセトニトリル、20%水及び0.1%ギ酸からなる混合物中で希釈しかつ抽出した。試料は、生物変換の開始後の1.25h、2.75h、4.25h、18.25h及び21.75hですべての反応容器から採取した。酸素についての転化率(OTR=酸素移動速度(oxygen transfer rate))及び炭素についての転化率(CTR=炭素移動速度(carbon transfer rate)は、発酵の間に排ガス分析によってDASGIPシステムで決定された。この発酵は、生物変換の開始後の21.75hで完了した。撹拌、通気、温度調節及びpH調節を停止し、この槽を5〜10分間落ち着かせた。
【0070】
HPLC−ESI/MS−スキャン法
試料の定性評価は、スキャンモードで高分解能MS検出器を用いたHPLC/MSカップリングによって行った。
この場合、次の装置を使用した:
・ オートサンプラー、クォータナリポンプ、PDA−検出器及びカラムオーブンを備えたHPLC装置Accela(Thermo Scientific, Waltham, Massachusetts, USA)
・ ESI源を備えた質量分析計LTQ−FT(Thermo Scientific, Waltham, Massachusetts, USA)
・ HPLCカラム:Kinetex C18、100×2.1mm、粒子サイズ:2.6μm、細孔サイズ100Å(Phenomenex; Aschaffenburg)
【0071】
試料を、溶剤(80%(v/v)アセトニトリル、20%二回蒸留H2O(v/v)+0.1%ギ酸)1950μL及び試料50μLを2mL反応容器中へピペットで入れることによって準備した。この混合物を約10秒間渦動させ、引き続き約13000rpmで5分間遠心分離した。透明な上澄みをピペットで取り出した。
HPLC分離を、上述のHPLCカラムを用いて行った。注入容量は0.5μL、カラム温度は40℃、流動速度は0.3mL/minであった。移動相は、溶離剤A(0.02%(v/v)の水性トリフルオロ酢酸)及び溶離剤B(0.015%(v/v)のトリフルオロ酢酸を有するアセトニトリル)から構成されていた。次の勾配プロフィールを用いた:
時間[min] 溶離剤A[%] 溶離剤B[%]
0 98 2
2 98 2
17 2 98
32 2 98
【0072】
ESI−MS分析を、ポジティブモードで、ESI源の次のパラメータを用いて行った:
・ ESI電圧:4kV
・ キャピラリ温度:300℃
・ シースガスフロー(Sheath Gas Flow)40
・ 補助ガスフロー(Aux Gas Flow)5
・ スイープガスフロー(Sweep Gas Flow)3
この検出は、m/z=100〜1000の質量範囲で行った。質量分析分解能はR=100,000であった。
【0073】
この結果は,次の表に示されている。
【表2】
菌株大腸菌(E. coli)W3110 pACYC{Placuv5}[carA_Ms−npt_Noc]/pJ281_alaDH_B.s._TA_C.v.(ct)の、21.75時間のプロセス時間後の発酵液中でのモノアミン及びジアミンの定性検出(n.n.=検出不能、LS=ラウリン酸、DDS=ドデカン二酸)。
【0074】
他のデータを、図1が明確に示す。
【0075】
1,12−ドデカンジアミン及びドデシルアミンの定量測定は、HPLC/UV測定によって、オルト−フタルジアルデヒドによる誘導化の後に行った。メタノール性の上澄みを測定した。最も重要なクロマトグラフィーパラメータは、次の表中にまとめられている。
【表3】
【0076】
この結果は、次の表に示されている。
【表4】
菌株大腸菌(E. coli)W3110 pACYC{Placuv5}[carA_Ms−npt_Noc]/pJ281_alaDH_B.s._TA_C.v.(ct)の、21.75時間のプロセス時間後の発酵液中でのモノアミン及びジアミンの定量化(n.n.=検出不能、*)測定限界未満、DDS=ドデカン二酸、LS=ラウリン酸)。
【0077】
この菌株は、ドデカン酸、ドデカン二酸及びオレイン酸からそれぞれのアミンのドデシルアミン、ドデカンジアミン及びオレイルアミンを製造できることが示された。
【0078】
実施例5
オリザ・サチバ(Oryza sativa)由来のα−ジオキシゲナーゼをコードする遺伝子αDOXの発現のための発現ベクターの製造
オリザ・サチバ(Oryza sativa)由来の、α−ジオキシゲナーゼ(NP_001066718.1)をコードするαDOX(Os12g0448900、配列番号16)の発現のためのベクターを製造するために、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)中での発現のための遺伝子をコドン最適化し、合成しかつ同時にNdeI切断部位を上流に及びAvrII切断部位を下流に導入した。合成されたDNAフラグメントを、制限エンドヌクレアーゼNdeI及びAvrIIで消化し、相応して切断されたベクターpACYC{Placuv5}[carA_Ms−npt_Noc](配列番号10)に、遺伝子carA_Ms及びnpt_Nocの除去下にリゲーションした。このベクター中に含まれるLacuv5プロモータ(配列番号3)はこの場合に維持した。製造し終えたベクターを、pACYC{Placuv5}[DOX_Os(co_Ec)](配列番号17)とした。このベクターpACYCは、クロラムフェニコール耐性を媒介し、p15A複製起点を有し、従って低コピー数(1細胞当たり10〜15コピー)を示す大腸菌(E. coli)ベクターである。
【0079】
実施例6
オリザ・サチバ(Oryza sativa)由来の遺伝子αDOX、バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)由来の遺伝子ald及びクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)由来の遺伝子Cv2025を過剰発現する、遺伝子bioHに欠失を有する大腸菌(E. coli)菌株の製造
オリザ・サチバ(Oryza sativa)由来の、α−ジオキシゲナーゼ(NP_001066718.1)をコードする遺伝子αDOXを、バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)由来の、アラニンデヒドロゲナーゼ(NP_391071.1)をコードする遺伝子ald(配列番号11)及びクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)由来の、トランスアミナーゼ(NP_901695.1)をコードする遺伝子Cv2025(配列番号12)と組み合わせて同時発現する大腸菌(E. coli)菌株の作製のために、菌株大腸菌(E. coli)W3110 ΔbioH(製造はEP12007663の実施例1を参照)を、プラスミドpACYC{Placuv5}[DOX_Os(co_Ec)](配列番号17)及びpJ281_alaDH_B.s._TA_C.v.(ct)(配列番号15)でエレクトロポレーションによって形質転換し、クロラムフェニコール(50μg/ml)及びカナマイシン(50μg/ml)を有するLB寒天プレート上で平板培養した。形質転換を、プラスミドプレパレーション及び分析的制限分析によって、正しいプラスミドの存在に関して調査した。作製された菌株を、大腸菌(E.coli)ΔbioH pACYC{Placuv5}[DOX_Os(co_Ec)]/pJ281_alaDH_B.s._TA_C.v.(ct)とした。この菌株を、ドデカン二酸メチルエステルから出発してアミノウンデカン酸メチルエステルを生産する能力を調査するために使用した。
【0080】
実施例7
オリザ・サチバ(Oryza sativa)由来の遺伝子αDOX用の発現ベクターを、バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)由来の遺伝子ald及びクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)由来の遺伝子Cv_2025用の発現ベクターと組み合わせて有する大腸菌(E. coli)菌株による、ドデカン二酸メチルエステルから出発するアミノウンデカン酸メチルエステルの生産
アミノウンデカン酸メチルエステルを生産する能力を試験するために、実施例8に記載した菌株を使用した。この場合、次のように行った:
試験されるべき菌株を、まず、クロラムフェニコール50μg/ml及びカナマイシン50μg/mlを有するLB寒天プレート上に塗りつけ、37℃で一晩中インキュベーションした。対照として、付加的に、菌株大腸菌(E. coli)W3110 ΔbioHを、抗生物質なしのLB寒天プレート上に塗りつけた。これらの菌株を、次いで、クロラムフェニコール50μg/ml及びカナマイシン50μg/ml(プラスミドを有する菌株用)を有するMiller(Merck, Darmstadt)によるLuria-Bertaniブロス中に、それぞれ個々のコロニーからなる20ml前培養として接種した。主培養として、クロラムフェニコール50μg/ml及びカナマイシン50μg/mlを有するLBブロス100mlをバッフル付き500mlエルレンマイヤーフラスコ中に装入し、予備培養から2mlと共にインキュベートした。この培養は、まず37℃でかつ200rpmでインキュベーション振盪器中で行った。0.5〜0.7の光学密度(600nm)が達成された場合に、遺伝子発現を、1mM IPTGの添加により誘導した。更なる培養を、22℃及び200rpmで一晩中行った。翌日に、この培養を4℃でかつ5525×gでの10分間の遠心分離によって収穫した。上澄みを廃棄し、細胞ペレットを200mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)中で洗浄した。この細胞ペレットを、最終的に塩化アンモニウム50mM及び0.5%(w/v)グルコースを有するリン酸カリウム緩衝液200mM中に取り、20のOD(600nm)が達成された。この細胞懸濁液に、エタノール中のドデカン二酸メチルエステル12.5mM(abcr, Karlsruhe)を添加し、30℃で300rpmで4時間軽度に振盪させた。インキュベーションの間に、0min、60min、120min、180min及び240minの時点で試料を取り出し、80%のアセトニトリル、20%の水及び0.1%のギ酸からなる混合物中で抽出した。上澄みを、HPLC/MS分析で分析した。この結果は,次の表に示されている。
【0081】
【表5】
オリザ・サチバ(Oryza sativa)由来のαDOX、バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)由来のald及びクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)由来のCv_2025を過剰発現する大腸菌(E. coli)W3110ΔbioHを用いたアミノウンデカン酸メチルエステルメチルエステルの生産。ピーク面積が示されている(n.n.=検出不能)。
【0082】
菌株大腸菌(E. coli)W3110 ΔbioH pACYC{Placuv5}[DOX]/pJ281_alaDH_B.s._TA_C.v.(ct)は、ドデカン二酸メチルエステルから出発してアミノウンデカン酸メチルエステルを生成する能力があることを示すことができた。
図1
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]