【文献】
中島耕太、外5名,“配列転置データ転送を高速化する10Gb Ethernetインタフェースカードの設計”,先進的計算基盤システムシンポジウム SACSIS2006 論文集,社団法人情報処理学会,2006年 5月22日,Vol.2006, No.5,p.127-134
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
レーダ処理環境において、レーダ源は信号を送出し、センサは帰還信号を検出する。少なくとも1つのアンテナによって、特に複数のアンテナによって、帰還信号を時間領域で取得することができる。ついで高速フーリエ変換(FFT)を実施することにより、帰還信号を周波数領域に変換することができ、その結果、信号スペクトル即ち周波数に関して分布した信号を得ることができる。この場合、周波数ピークを利用して、可能性のあるターゲットを例えば車両の移動方向に沿って検出することができる。
【0012】
数値計算アルゴリズム又は専用ハードウェアによって、離散フーリエ変換(DFT)をコンピュータにおいて実現することができる。この種のインプリメンテーションにおいて、FFTアルゴリズムを利用してもよい。したがって用語「FFT」及び「DFT」を、相互に入れ替え使用することができる。
【0013】
ここで挙げる実施例によれば特に、複数のアンテナを介して測定される帰還信号の方位角を効率的に求めることができる。
【0014】
図1には、レーダ信号102を送出し帰還レーダ信号103を受信するレーダシステム101の一例を含む概略図が示されている。レーダシステム101は帰還レーダ信号103に基づき、距離104と速度105と方位角106とを検出する。
【0015】
複数の受信アンテナを使用することにより、受信した帰還レーダ信号103の位相差を利用し、第3段のFFTを介して、方位角106を求めることができる。受信した帰還レーダ信号(例えば反射した送出レーダ信号)103に基づき、第1段のFFTを利用して、距離104が求められ、距離104に基づき第2段のFFTを利用して、速度105が求められ、速度105に基づき第3段のFFTを利用して、上述の方位角106が求められる。
【0016】
1つの実施形態のシナリオによれば、送出されるレーダ信号102を、例えば1つの対象物体に向けられた2つの送信機アンテナから発せられるものとすることができる。信号102は対象物体において反射し、方位角に応じてそれぞれ異なる位相ポジションで、複数(例えば4つ)の受信アンテナに到達する。したがって、この1つの対象物体と送信機アンテナと受信機アンテナとの間の距離は、それぞれ異なると想定できる。
【0017】
図2には、複数のランプ201から成る1つのランプ信号が略示されている。この場合、各ランプ201は予め定められた期間を有することができ、この期間中、送出されるレーダ信号の周波数を変化させ、例えば上昇させる。換言すれば、各ランプ201は、周波数が上昇する信号を有することができ、一連のランプによって、送信機アンテナを介して送出されるレーダ信号を決定することができる。
【0018】
送出されたレーダ信号は、(遠方の)対象物体において反射し、レーダ信号の反射が、受信アンテナにおいて受信されてサンプリングされる。
【0019】
したがって各アンテナにおいて、各ランプ201に応じてN個のサンプルが検出され、この場合、M個の複数のランプによって、全体としてアンテナごとにN×M個のサンプルが得られることになる。これらのサンプルを生データと呼ぶこともでき、これらのサンプルは処理段例えばFFT段において処理される。
【0020】
ここで言及するレーダ信号には、少なくとも1つの受信アンテナにおいて受信された生データ、暫定的な処理結果、及び/又は、最終的な結果、例えばFFT処理後の結果、を含めることができる。この種のレーダデータを、以下の次元で構造化することができる。即ち、ランプごと、アンテナごと、捕捉ごとに構造化することができる。
【0021】
図3には、レーダ信号処理装置の概略図が示されており、この装置には、メモリ301(サンプリングされたレーダデータを含むレーダメモリとすることができる)と、DMAエンジン302(DMA: direct memory access)と、入力バッファ303と、処理段304とが含まれている。
【0022】
データは、DMAエンジン302を介してメモリ301から読み出され、入力バッファ303に記憶される。処理段304は、入力バッファ303に記憶されたデータを利用して、効率的にオペレーションを実施する。処理段304を、入力バッファ303に記憶された複数のデータに対し線形処理を実施するように構成することができる。例えば処理段304をFFT処理段とすることができ、この処理段は、256個の複数のサンプルに関するFFTの結果を送出し、それらは入力バッファ303により処理された線形順序で供給される。
【0023】
なお、ここで述べておくと、処理段304を以下のうちのいずれかとすることができる。即ち、第1のFFT処理段、第2のFFT処理段、第3のFFT処理段、第4のFFT処理段、ウィンドウィング段、ビーム成形段、コヒーレント積分を行う処理段、ノンコヒーレント積分を行う処理段、局所最大値探索を実施する処理段、又は統計値を供給する処理段。
【0024】
さらにここで述べておくと、2つ以上の入力バッファ303を設けてもよい。この場合、少なくとも2つの入力バッファへ交互に供給されたデータに基づき、処理段304を動作させることができる。
【0025】
オプションとして入力バッファ303を、DMAエンジン302又は処理段304の一部分としてもよい。入力バッファ303を、1つの別個のメモリとしてもよい。
【0026】
DMAエンジン302は特に、少なくとも1つのFIFOメモリ305(FIFO: first-in-first-out)を有することができる。したがってDMAエンジン302によって、メモリ301から読み出されたデータを入力バッファ303へ供給することに関して、つまりは処理段304によって効率的に処理することに関して、高度のフレキシビリティが得られるようになる。例えば、DMAエンジン302のFIFOメモリ305を充填する際に、又は入力バッファ303を充填する際に、データの転置を実施することができる。
【0027】
処理段304における計算結果を、任意のメモリに記憶させることができる。
図3にも示した1つの実施形態によれば、それらの結果をメモリ301に記憶させることができる。特に1つのオプションとして挙げることができるのは、それらの結果が得られるように処理されたデータを読み出したメモリ301内のロケーションに記憶することである。したがってこの場合、処理段によって充填される少なくとも1つの出力バッファ306が設けられている。DMAエンジン307は、DMAエンジン302に関して説明したFIFOコンセプトを利用したFIFOメモリ308を含むことができ、出力バッファ306からメモリ301へデータを書き戻すために用いられる。
【0028】
ここで述べておくと、DMAエンジン302を入力DMAエンジンとみなすことができ、DMAエンジン307を出力DMAエンジンとみなすことができる。両方のDMAエンジン302,307を組み合わせて、DMA(入力及び出力)機能が組み合わせられた1つのブロック309を形成することができる。
【0029】
さらに述べておくと、処理段304の出力を、個々の入力を読み出したメモリ301のまったく同じロケーション(アドレス)に書き込むことができる。このことはレーダの用途に関して効率的になり得るものである。このような用途において、例えば生データは第1段のFFTデータの計算にしか必要とされない(つまり生データは決して再利用されない)。このため、第1段のFFTの結果によって生データが上書きされる。したがってこれを、より高い段のFFT計算のために適用することができる。さらに1つのオプションとして、メモリ301においてデータを上書きせず、特に処理段304による計算結果が、メモリ301の異なるアドレスに書き込まれる。
【0030】
図4には、メモリ301(又はその少なくとも一部)のアロケーションが例示されている。メモリ内の各エントリ(この実施例では例えば64ビット値)によって、第1段のFFTの結果が表されている。
図4において使用されているエントリの参照符号を、以下のように解釈することができる。即ち、
・最初の文字(A〜D)は受信アンテナを表し、この実施例では4つの受信アンテナが用いられている。
・最初の数字はランプの番号(0〜4)を表し、この実施例では全部でM=5個のランプが用いられている。
・2番目の数字は(アンテナごとの各ランプ内での)サンプルの番号を表し、各ランプを例えば8個、16個、32個、64個、128個又は256個のサンプルによってサンプリングすることができる。
【0031】
メモリ301に記憶された第1段のFFTデータに対し、第2段のFFTが実施される。しかしながら、このような第2段のFFTを効率的な手法で実施するためには、第2段のFFTに属するデータを、処理段304へ線形で供給する必要がある。この目的で、メモリ301はDMAエンジン302によってアクセスされ、第2段のFFTを(処理段304によって)効率的に実施するために必要とされる線形のデータが、入力バッファ303に供給される。
【0032】
メモリ301に対する読み出しアクセスは、所定の幅(例えば256ビット)で実施され、
図4に示した実施例ではこれによって、メモリ内の(各々64ビットの)4つのエントリが読み出されることになる。これら4つのエントリはFIFOメモリ305に読み出され、転置された形式で入力バッファ303に記憶される。オプションとしてこのような転置を、メモリ301からFIFOメモリ305を充填する際に実施してもよい。
【0033】
図5には、(ランプ全体にわたる)アンテナAのデータへの256ビット読み出しアクセスが描かれており、入力バッファ303がどのように充填されて、転置されたデータが供給されるのか、が示されている。この実施例によればFIFOメモリ305は、各々256ビットのサイズの4つのFIFOセルを有することができる。つまりメモリ301に対する4つの読み出しアクセスの内容を、(フレーム501によって表された)FIFOメモリ305に記憶することができる。FIFOメモリ305の個々のFIFOセルは、
図5に示されているようにして処理される。この場合、第1のFIFOセルは、エントリA00,A01,A02,A03を含んでいる。これらのエントリは、転置された形式で入力バッファ303に書き込まれる(つまりFIFOセルの行は入力バッファ303の列になる)。FIFOメモリ305の次の行が処理された後、付加的な行をメモリ301からFIFOメモリ305に追加して読み出すことができる(即ちフレーム501は1行下に移動する)。このアプローチは、入力バッファ303が充填されるまで続けられる。処理段304は、入力バッファ303をラインごとに効率的に処理するように構成されている。したがってFIFOメモリ305は、処理段304における効率的な処理がサポートされるように、入力バッファ303を充填するために使用される。
【0034】
なお、空のエントリを充填するために、ゼロパディングを使用することができる。
図4及び
図5の実施例の場合、5つのランプだけしか利用できないのに対し、処理段304によって8つの値が処理される。このケースでは、残りの3つのエントリに対してゼロパディングを使用することができる。
【0035】
メモリ301に対する読み出しアクセスを、後続のエントリ又は予め定められたオフセットを有するエントリを対象にすることができる。
【0036】
図4の実施形態の場合、入力バッファ303は、第2段のFFTを処理段304において効率的に実施できるように、メモリ301からのエントリによって充填される。これを、レーダデータの速度計算の一部分とすることができる。256ビット幅の読み出しオペレーションによって、メモリ301の4つのエントリが、
・アンテナA〜Dごとに
・ランプ0〜4ごとに
読み出される。
【0037】
この場合、ベースアドレスは(4だけインクリメントされて)変更され、後続の256ビット幅の読み出しオペレーションが、次の4つのエントリに対して行われ、上述したものと同様のメカニズムが適用される(即ちアンテナごと、ランプごと)。
【0038】
さらに1つのオプションとして、すべてのランプを処理するのではなく、その代わりにn番目のランプだけを処理する。
【0039】
別のオプションとして、例えば角度計算の目的で、すべてのアンテナを処理してもよい。即ち、256ビット幅の読み出しオペレーションが、メモリ301の4つのエントリに対し、
・ランプ0〜4ごとに
・アンテナA〜Dごとに
行われる。
【0040】
次に、上述のようにベースアドレスを適合させて、メモリ301から次のエントリセットを読み出すことができる。
【0041】
特にここで挙げた解決手法によって、ワイドなメモリアクセスを効率的に利用できるようになり、この場合、2つ以上のオペランド(エントリ)がメモリアクセスごとに読み出される。特にこれは、オペランドの読み出しがメモリの同じロケーションに書き戻されることになるケースで適用される。これは、ECC保護されたロケーション(ECC: Error Correcting Code)であるメモリロケーションへの読み出し、変更及び書き込みのオペレーションを避けなければならないケースにおいて、有利なものとなる可能性がある。
【0042】
処理段304は、メモリ301に記憶されたレーダデータに対し、分散されたアクセスを必要とする。この場合、分散されたアクセスを行うための多くの動機が存在する可能性がある。一例として第2段のFFTは、この第2段のFFTを1つの処理段として効率的に動作させることができるように、線形手法ではまだ順番ではない入力オペランドを、メモリから必要とする。特定の個数の入力オペランド例えば256個の入力オペランドを、バッファを介して連続的に供給すれば、処理段の時間効率を最大にすることができる一方、メモリ全体にわたり分散されたアドレスに向けられた単一の読み出しオペレーション、及びそれら単一の読み出し結果の処理を、処理段が行うとしたならば、かなり非効率的になってしまう。
【0043】
1回の読み出しオペレーションを介して取得されるすべてのオペランドが使われて、それらのオペランドを破棄しなくてもよいように、ここで述べたメモリアクセスを有利な手法で最適化することができる。さらに別の利点は、全幅のメモリ書き込み転送が使用されることであり、これはECCを利用する場合に特に有利である。
【0044】
ここで示した実施例によれば、メモリから複数のオペランドを読み出すことができ、処理段の結果をメモリのその部分(或いは別の選択肢として、そのメモリの別の部分又は別個のメモリ)に書き込むことができる。したがってここで示したアプローチによれば、少なくとも1つのメモリを処理段と組み合わせて利用した場合に、最大限のフレキシビリティを得ることができる。
【0045】
例えば、アドレスDestを次式に基づき計算することができる。
Dest=Base+C
S・O
S+C
R・O
R+C
A・O
A
ただし、
Baseはベースアドレス、
Cはカウンタ、
Oはオフセット、
Sはサンプル(又はbin)ループへの参照、
Rは内側ループへの参照、このループはアンテナループ又は他の任意のループとして利用可能、
Aは外側ループへの参照、このループはランプループ又は他の任意のループとして利用可能。
【0046】
したがってアドレスDestは、ベースアドレスBaseと3つのループ即ちサンプルループとランプループとアンテナループとの組み合わせに基づき決定される。各ループは、カウンタとオフセットとを含む。
【0047】
DMAエンジンは、メモリからの全幅のデータ読み出しオペレーション及び/又はメモリへの全幅のデータ書き込みオペレーションをサポートするために、FIFOメモリを有することができる。
【0048】
データ読み出しにおける転置オペレーションを、メモリからレーダデータを読み出してFIFOメモリに書き込むときに、又はバッファを充填するときに、実行することができる。また、反転転置オペレーションを、FIFOメモリの充填又はバッファの充填によって、レーダデータをメモリに書き込む前に、実行することができる。
【0049】
以前に読み出されたロケーションと同じロケーションに結果を書き戻すために、出力DMAエンジンは、入力DMAエンジンのために用いられたアドレッシングシーケンスを複製することができる。このことによって、メモリスペースが効率的に活用される。DMAエンジンは、少なくとも1つのFIFOメモリを有することができ、特に少なくとも1つのFIFOセルを有することができる。
【0050】
特にここで説明した実施例によれば、(複数のFIFOセルを含む)少なくとも1つのFIFOメモリを利用するDMAエンジンが提案される。少なくとも1つのFIFOメモリを、DMAエンジンと接続することができる。この少なくとも1つのFIFOメモリを、DMAエンジンの一部分としてもよい。
【0051】
ここで開示した解決手段によって、レーダシステムのパフォーマンスを高めることができ、さらにメモリアクセス回数が少なくなることから、電力消費を低減することができる。
【0052】
ここで提案した実施例を、特に以下の解決手段のうち少なくとも1つの解決手段に基づくものとすることができる。特に、望ましい結果を達成するために、以下の特徴の組み合わせを用いることができる。本発明による方法の特徴を、デバイス、装置又はシステムの任意の特徴と組み合わせることができ、又はその逆も可能である。
【0053】
レーダ信号を処理するための装置であって、この装置は、
・DMAエンジンと、
・バッファと、
・処理段と
を含み、
・DMAエンジンは、
・メモリに対し、少なくとも2つのデータエントリを含む読み出しアクセスを実行し、
・少なくとも2つのデータエントリの並べ替えによりバッファを充填する
ように構成されており、
・処理段は、バッファに記憶されたデータを処理するように構成されている。
【0054】
レーダ信号を、少なくとも1つの受信アンテナにより受信された信号に基づく任意の信号(例えばサンプルデータ、生データ、又は処理済みデータ)とすることができる。
【0055】
DMAエンジンによって、メモリに対するダイレクトメモリアクセスが可能となり、このメモリを装置の一部分としてもよいし、装置外部に設けてもよい。バッファは、処理段によってデータを効率的な手法で処理できるように、それらのデータを整列させることのできるメモリである。バッファを、処理段の一部分としてもよいし、処理段の外部に設けてもよい。
【0056】
このため、読み出しアクセスの幅に基づき、複数のデータエントリを一度に読み出すことができる。ただしそれらのデータエントリに対しその順序で、処理段により線形処理を実施しなくてもよい。そうではなくデータエントリが、処理段により処理すべき種々のストリームに属するようにすることができる。したがってDMAエンジンにより、それらのデータエントリが例えば種々のストリームの一部分となるように、それらのデータエントリを並べ替えることができる。各ストリームを、処理段により効率的に処理可能な一連のエントリとなるようにすることができる。このため上述の並べ替えを、少なくとも2つのデータエントリを転置された形式でバッファに記憶させることにより、達成することができる。
【0057】
1つのオプションとして、DMAエンジンにより提供される並べ替えの特徴を、イネーブルにしたりディスエーブルにしたりすることができる。
【0058】
1つの実施形態によれば、DMAエンジンは、少なくとも2つのデータエントリを転置された形式で記憶させることによって、バッファを充填するように構成されている。
【0059】
用語「転置された形式で」とは特に、互いに隣り合っていたデータエントリを、それらのデータエントリがそれぞれ異なる処理ストリームの一部分となるように、記憶させることであり、この場合、各処理ストリームは処理段に別個に供給される。
【0060】
1つの実施形態によれば、DMAエンジンは少なくとも1つのFIFOメモリを含み、この場合、DMAエンジンは、少なくとも2つのデータエントリを少なくとも1つのFIFOメモリを介して並べ替えることによって、バッファを充填するように構成されている。
【0061】
なお、少なくとも2つのデータエントリの転置を、メモリからFIFOメモリを充填するときに、又は、FIFOメモリからバッファを充填するときに、実施することができる。
【0062】
さらにオプションとして、アクティブなFIFOメモリの個数を選択することにより、それぞれ異なる個数のデータエントリを扱うようにしてもよい(又は1つのFIFOメモリのケースであれば、FIFOメモリは選択可能な複数のFIFOセルを有する)。
【0063】
1つの実施形態によれば、処理段は以下のうち少なくとも1つを含む。即ち、
・FFT処理段、
・ウィンドウィング段、
・ビーム成形段、
・コヒーレント積分を行う処理段、
・ノンコヒーレント積分を行う処理段、
・局所最大値探索を実施する処理段、
・統計値を供給する処理段。
【0064】
1つの実施形態によれば、
・DMAエンジンは、入力DMAエンジンと出力DMAエンジンとを含み、
・バッファは、入力バッファと出力バッファとを含み、
・入力DMAエンジンは、
・メモリに対し、少なくとも2つのデータエントリを含む読み出しアクセスを実行し、
・少なくとも2つのデータエントリを並べ替えることにより、入力バッファを充填する
ように構成されており、
・処理段は、入力バッファに記憶されたデータを処理し、処理段の結果を出力バッファに書き込むように構成されており、
・出力DMAエンジンは、
・メモリへの書き込みアクセスを実行し、出力バッファからの少なくとも2つのデータエントリをメモリに記憶させる
ように構成されている。
【0065】
特に1つのオプションとして、処理段により求められた結果は、入力として用いられたデータエントリとまったく同じロケーションに記憶される。
【0066】
1つの実施形態によれば、この装置はメモリを含んでいる。
【0067】
本発明によれば、レーダ信号を処理するための方法も提案される。この方法は、以下のステップを含む。即ち、
a)メモリに対し、少なくとも2つのデータエントリを含む読み出しアクセスを実行するステップ。
b)少なくとも2つのデータエントリを並べ替えることにより、バッファを充填するステップ。
c)処理段によりバッファの内容を処理するステップ。
【0068】
読み出しアクセスのデータエントリを、読み出しアクセスの幅をベースとすることができる。この読み出しアクセスを、4つの隣接する64ビットのデータエントリを含む256ビットに対して行うことができる。
【0069】
1つの実施形態によれば、ステップa)及びステップb)は、出口条件がマッチするまで処理される1つのループの一部分である。
【0070】
1つの実施形態によれば、出口条件は、以下の条件のうち少なくとも1つに基づく。即ち、
・ランプの個数、
・アンテナの個数、
・サンプルの個数。
【0071】
1つの実施形態によれば、ステップa)及びステップb)は、DMAエンジンにより実行される。
【0072】
1つの実施形態によれば、並べ替えによるバッファの充填は、少なくとも2つのデータエントリを転置された形式で記憶させることにより、バッファを充填することを含む。
【0073】
1つの実施形態によれば、この方法は以下のステップを含む。即ち、
d)処理段の結果を出力バッファに書き込むステップ。
e)メモリへの書き込みアクセスを実行し、出力バッファからの少なくとも2つのデータエントリをメモリに記憶させるステップ。
【0074】
1つの実施形態によれば、ステップe)はDMAエンジンによって実行される。
【0075】
本発明によれば、レーダ信号を処理するための装置も提案される。この装置は、以下の手段を含む。即ち、
・メモリに対し、少なくとも2つのデータエントリを含む読み出しアクセスを実行する手段。
・少なくとも2つのデータエントリを並べ替えることにより、バッファを充填する手段。
・処理段によりバッファの内容を処理する手段。
【0076】
さらに、ディジタル処理装置のメモリにダイレクトにロード可能なコンピュータプログラム製品が提供される。このコンピュータプログラム製品には、上述の方法のステップを実行するためのソフトウェアコード部分が含まれている。
【0077】
さらに、上述の少なくとも1つの装置を含むレーダシステムが提案される。
【0078】
1つ又は複数の実施形態によれば、ここで説明した機能を、少なくとも部分的にハードウェアにおいて実現することができ、例えば特定のハードウェアコンポーネント又はプロセッサにおいて実現することができる。もっと一般的にはこれらの技術を、ハードウェア、プロセッサ、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせにおいて実現することができる。ソフトウェアとして実現する場合、これらの機能を、1つ又は複数の命令又はコードとして、コンピュータ読み取り可能媒体に記憶又は転送することができ、ハードウェアベースの処理ユニットにより実行させることができる。コンピュータ読み取り可能媒体には、データ記憶媒体など有形の媒体に相応するコンピュータ読み取り可能記憶媒体を含めることができ、又は、ある場所から別の場所へ例えば通信プロトコルに従い、コンピュータプログラムを容易に転送できるようにする任意の媒体を含む通信媒体を含めることができる。この点からすれば、コンピュータ読み取り可能媒体を、1)非一時的な有形のコンピュータ読み取り可能記憶媒体に相応するものとしてもよいし、又は、2)信号又は搬送波などといった通信媒体に相応するものとしてもよい。データ記憶媒体を、本開示で説明した技術を実現するための命令、コード及び/又はデータ構造を取り出すために、1つ又は複数のコンピュータ或いは1つ又は複数のプロセッサによりアクセスできる入手可能な任意の媒体とすることができる。コンピュータプログラム製品には、コンピュータ読み取り可能媒体を含めることができる。
【0079】
一例を挙げておくと、以下に限定されるものではないが、この種のコンピュータ読み取り可能記憶媒体には、RAM,ROM,EEPROM,CD−ROM又は他の光学ディスク記憶デバイス、磁気ディスク記憶デバイス又は他の磁気記憶デバイス、フラッシュメモリを含めることができ、或いは、望ましいプログラムコードを命令又はデータ構造の形式で記憶させるために利用可能であり、且つ、コンピュータによりアクセス可能である、他の任意の媒体を含めることができる。また、どのようなコネクションであっても、相応にコンピュータ読み取り可能媒体と呼ばれ、つまりコンピュータ読み取り可能な伝送媒体と呼ばれる。例えば、ウェブサイト、サーバ又は他の遠隔ソースから、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア線、ディジタル加入者線(DSL)、又は赤外線、無線、マイクロ波などのワイヤレス技術を利用して、命令が送信されるならば、これら同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア線、ディジタル加入者線(DSL)、又は赤外線、無線、マイクロ波などのワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。ただし自明の通り、コンピュータ読み取り可能な媒体及びデータ記憶媒体には、コネクション、搬送波、信号、又は他の伝送媒体は含まれないが、その代わりにこれらの媒体は、非一時的な有形の記憶媒体のことを指している。ここで用いられるディスクDisk及びdiscには、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光学ディスク、ディジタル多目的ディスク(DVD)、フロッピーディスク、ブルーレイディスクが含まれ、ここでディスクDiskとは通常、磁気的にデータを再生するものである一方、ディスクdiscとはレーザにより光学的にデータを再生するものである。上述のディスクの組み合わせも、コンピュータ読み取り可能媒体の範囲に含まれることになる。
【0080】
命令を、1つ又は複数のプロセッサによって実行することができ、例えば1つ又は複数の中央処理ユニット(CPU)、ディジタル信号プロセッサ(DPS)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、又は他の等価の集積回路又は個別ロジック回路によって、実行することができる。したがってここで用いた用語「プロセッサ」は、上述の構造又はここで述べた技術の実現に適した他の任意の構造のいずれかを表すものとすることができる。さらにいくつかの観点によれば、ここで説明した機能を、コーディング及びデコーディング用に構成された専用のハードウェアモジュール及び/又はソフトウェアモジュール内に設けてもよいし、或いは組み合わせ型のコーデックに組み込んでもよい。さらにこれらの技術を、1つ又は複数の回路又はロジック素子において完全に実現することもできる。
【0081】
本開示の技術を、ワイヤレス送受話器、集積回路(IC)、又は複数のICから成るセット(例えばチップセット)を含む多種多様なデバイス又は装置において、実現することができる。開示された技術を実施するように構成された装置の機能的な観点を強調するために、種々のコンポーネント、モジュール、又はユニットを挙げたが、必ずしも種々のハードウェアユニットにより実現しなくてもよい。むしろ上述のように、様々なユニットを組み合わせて、単一のハードウェアユニットを構成してもよいし、相互運用性のある複数のハードウェアユニットをまとめることによって構成してもよく、それらのハードウェアユニットには、上述のように1つ又は複数のハードウェアユニットを、適切なソフトウェア及び/又はファームウェアと組み合わせたものが含まれる。
【0082】
これまで本発明の様々な実施形態について開示してきたが、当業者に自明の通り、本発明の着想及び範囲を逸脱することなく、本発明の利点の一部を達成することになる種々の変更及び変形を行うことができる。さらに当業者に自明である通り、同じ機能を実施する他のコンポーネントを適切に代用してもよい。さらに述べておくと、明示的に言及しなかったとしても、特定の図面を参照しながら説明した特徴を、他の図面の特徴と組み合わせてもよい。さらに本発明による方法を、適切なプロセッサ命令を用いて、すべてソフトウェアによって実現することで達成してもよいし、又は、同じ結果を達成するために、ハードウェアロジックとソフトウェアロジックとの組み合わせを利用して、ハイブリッドによって実現することで達成してもよい。本発明によるコンセプトに対するこのような変形は、添付の特許請求の範囲によってカバーされるものとする。