特許第6556104号(P6556104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6556104-カラーアレンジメント装置 図000002
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  • 特許6556104-カラーアレンジメント装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556104
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】カラーアレンジメント装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 11/10 20060101AFI20190729BHJP
   B42D 15/00 20060101ALI20190729BHJP
   G09F 5/04 20060101ALI20190729BHJP
   G01J 3/52 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   G09B11/10 C
   B42D15/00 321Z
   G09F5/04 Z
   G01J3/52
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-137005(P2016-137005)
(22)【出願日】2016年7月11日
(65)【公開番号】特開2018-10050(P2018-10050A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2018年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】595034086
【氏名又は名称】株式会社カラ−スペ−ス・ワム
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】菅原 美智子
【審査官】 奈良田 新一
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3138326(JP,U)
【文献】 特開平08−219887(JP,A)
【文献】 特開2015−122659(JP,A)
【文献】 実開昭49−126042(JP,U)
【文献】 米国特許第04966461(US,A)
【文献】 特開2010−128209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 11/10
B42D 15/00
G09F 5/04
G01J 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に表示した12色相であって前記12色相について複数段階の明度差を付けた30度単位の色相区分と同心円状に形成した前記明度差の区分(以下、明度差区分)を台紙上に具備した色相環と、前記台紙上の色相環の色相の中から選択する基準色相のカラー(以下、基準カラー)と選択された前記基準カラーの少なくとも補色のカラーとが見えるようにした縦長扇型の窓孔を設けた色相選択回転板とを具備するカラーアレンジメント装置において、前記色相環における12色相の同心円上の明度差区分を、前記色相環の外周側は高い明度の色相を配置する一方、中心側は低い明度の色相を配置して少なくとも6段階、好ましくは9段階に分けて夫々に記号を含む名前を付けて形成すると共に、前記12色相における黄と赤の色相区分、及び、これらの反対色である青紫と青緑の色相区分を、夫々にさらに2つに等分割して形成し、且つ前記色相環を表示した台紙における当該色相環と重複しない空白部位か、又は別の台紙に、前記色相環の色相の中で、色に青みを多く感じる色(=ブルーアンダートーン)と、色に黄みを多く感じる色(=イエローアンダートーン)を、夫々に、前記色相環の上で抽出し、これらをカラーアンダートーンとして表示したことを特徴とするカラーアレンジメント装置。
【請求項2】
前記カラーアンダートーンの表示に隣接した台紙の空白部位に、前記色相環の上で色相選択回転板の基準カラーの窓孔の回転位置で選択した基準カラーに対して、その基準カラーと同系色相の配色,同じく基準カラーと類系色相の配色,同じく基準カラーと反対色相の配色の仕方を3つの色相配色方法としてイラスト表示した請求項1に記載のカラーアンジメント装置。
【請求項3】
上記色相配色方法のイラスト表示に隣接した空白部位に、3つの色調配色方法として、明度差を縦軸に彩度差を横軸にした複数のマトリックス状区画を前記3つの色調配色方法に対応して形成し、同系色調の配色,類系色調の配色,反対色調の配色の3つの色調配色の夫々について、前記色相環において付与した明度差の記号を含む名称を前記の各マトリックス区画にそれぞれ記入すると共に前記の各マトリックス区画上に前記の色調配色形態を表示した請求項2に記載のカラーアレジメント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙上に色相環に配置した複数のカラー配列の中から基準となるカラーを選択すると、その基準カラーと一定の関係にある他のカラーを自動的に選択できるという基本的機能に加え、色相環状に分類して表示したカラーアンダートーンを視覚的に把握できること、並びに、前記色相環に基づく基本的配色方法として色相配色方法と色調配色方法を知得することができるようにした、カラーアレンジメント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の発明者は、先に特許文献1に記載されているカラーアレジメント用の器具を提案し特許を取得した。
このカラーアレジメント器具は実用化され、現時点においても、特にカラー関連の教育分野を始めとして色彩を利用したり活用するインテリア用品や服飾分野など様々な分野においてなお広範に利用されている。
【0003】
上記のカラーアレジメント器具は、一枚の台紙の上に、12色相のカラーを類色相の順に30度ピッチで環状に配置して色相環に形成し、該色相環上の同じ色相のカラーについて明度が異なる5つカラーに5種の名称を付けて前記色相環の半径上で同心的に配置した色相環を形成する一方、前記色相環の中心に回転可能に軸止めした不透光性の円形の回転板であって、この回転板における前記色相環と同径の円の直径上に、基準とする色相のカラー(以下、基準カラーという)と、該基準カラーの補色又は反対色相の関係にある色相のカラーを見るための細い扇型の窓孔を設けて前記回転板を色相選択回転板に形成し、前記色相環と前記回転板によってカラーアレンジメント器具を構成していた。
【0004】
上記器具は、基準カラーとその基準カラーの補色のカラーが、前記明度差色相環の円周上で180度調隔したところに位置付けられた作りの色相環であるため、基準カラーとその補色のカラーを見るための縦長扇型の窓孔が前記色相選択回転板に180度調隔して形成され、同時に前記補色カラーの扇型の窓孔の左右両側に、補色カラーに近い色を反対色相のカラーとして見るための扇型の窓孔が形成されている。
【0005】
上記カラーアレンジメント器具は、基準カラーとその補色カラー、又はその補色カラーに近い色のカラーを見るためにはきわめて便利で使い勝手も良好な器具であった。
しかし、色相や色調について細かく配色したい場合や各色相の配色関係を知りたい場合などに対しては、上記の色相環の作り(構成)と、色相選択回転板の作り(構成)の組合せ(前記色相環の中心に前記回転板を回転自在に軸止めした構造)だけでは対応することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3134039公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明では、従来のカラーアレンジメント器具で用いられていた12色相と各色相の5段階明度差の色相環における明度差の段階数を6以上に増やすと共に、前記色相環における黄カラーと赤カラー、及び前記黄カラーの補色である青紫カラーと前記赤カラーの補色である青緑カラーを、前後のカラーナンバーにより2分割した色相環を形成する一方、従来のアレンジメント器具と同様に基準カラーとその補色カラー、或は反対色カラーを見ることができることは勿論であるが、従来のアレンジメント器具では不可能であったカラーアンダートーンの色相や、色相,色調について細かい配色アレンジメントを可能にするカラー情報を具備したカラーアレンジメント装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明カラーアレンジメント装置の構成は、環状に表示した12色相であって前記12色相について複数段階の明度差を付けた30度単位の色相区分と同心円状に形成した前記明度差の区分(以下、明度差区分)を台紙上に具備した色相環と、前記台紙上の色相環の色相の中から選択する基準色相のカラー(以下、基準カラー)と選択された前記基準カラーの少なくとも補色のカラーとが見えるようにした縦長扇型の窓孔を設けた色相選択回転板とを具備するカラーアレンジメント装置において、前記色相環における12色相の同心円上の明度差区分を、前記色相環の外周側は高い明度の色相を配置する一方、中心側は低い明度の色相を配置して少なくとも6段階、好ましくは9段階に分けて夫々に記号を含む名前を付けて形成すると共に、前記12色相における黄と赤の色相区分、及び、これらの反対色である青紫と青緑の色相区分を、夫々にさらに2つに等分割して形成したことを第一の特徴とする。
【0009】
本発明カラーアレジメント装置は、上記構成に加え、前記色相環を表示した台紙における当該色相環と重複しない空白部位か、又は別の台紙に、前記明度差色相環の色相の中で、色に青みを多く感じる色(=ブルーアンダートーン)と、色に黄みを多く感じる色(=イエローアンダートーン)を、夫々に、前記色相環の上で抽出し、抽出したブルーアンダートーンとイエローアンダートーンを、別々の色相環の形でカラーアンダートーンとして表示したことを第二の特徴とする。ここで、前記台紙における空白部位とは、当該台紙の余白部または台紙の裏面若しくは別の台紙である。
【0010】
さらに本発明カラーアレジメント装置では、前記カラーアンダートーンの表示に隣接した前記台紙の空白部位に、前記色相環の上で色相選択回転板の基準カラーの窓孔の回転位置で選択した基準カラーに対して、その基準カラーと同系色相の配色,同じく基準カラーと類系色相の配色,同じく基準カラーと反対色相の配色の仕方を、前記基準カラーに対する3つの色相配色方法として前記色相環を用いてイラスト表示したことを第三の特徴とする。
【0011】
加えて本発明カラーアレジメント装置では、上記色相配色方法のイラスト表示に隣接した前記台紙の空白部位に、3つの色調配色方法として、明度差を縦軸に彩度差を横軸にした複数のマトリックス状区画を前記3つの色調配色方法に対応させて形成し、同系色調の配色,類系色調の配色,反対色調の配色の3つの色調配色の夫々について、前記明度差色相環において付与した明度差の記号を含む名称を前記の各マトリックス区画に記入すると共に前記の各マトリックス区画上に配色形態を表示したことを第四の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明カラーアレジメント装置は、公知カラーアレジメント器具において、12色相の同心円上の明度差区分を少なくとも6段階、好ましくは9段階に記号を含む名称を付けて形成すると共に、前記12色相における黄と赤、及び、これらの反対色である青紫と青緑の色相区分をさらに2つに等分割して形成し、前記色相環を表した台紙における当該色相環と重複しない空白部位、又は別の台紙に、前記色相環の色相の中で、色に青みを多く感じる色(=ブルーアンダートーン)と、色に黄みを多く感じる色(=イエローアンダートーン)を、夫々に、前記色相環の上で抽出し、これらを2つのカラーアンダートーンとして表示したから、カラーアンダートーンにおけるブルーアンダートーンとイエローアンダートーンに夫々に属する色相群を、それぞれ視覚的に確認し把握することができる。
【0013】
さらに、本発明カラーアレジメント装置では、前記カラーアンダートーンの分類表示に隣接した台紙の空白部位に、前記色相環の上で色相選択回転板の基準カラーの窓孔の回転位置で選択した基準カラーに対して、その基準カラーと同系色相の配色,同じく類系色相の配色,同じく反対色相の配色の仕方を3つの色相配色方法としてイラスト表示したから、3種類の色相の配色方法を、前記色相環と色相選択回転板を使って容易に、かつ、視覚的に知得することができる。
【0014】
加えて、本発明カラーアレジメント装置では、上記色相配色方法のイラスト表示に隣接した台紙の空白部位に、3つの色調配色方法として、明度差を縦軸に彩度差を横軸にした複数のマトリックス状区画を前記3つの色調配色法に対応させて形成し、同系色調の配色,類系色調の配色,反対色調の配色の3種の色調配色の夫々について、前記色相環において付与した明度差の記号を含む名称を前記の各マトリックス区画に記入すると共に各マトリックス区画上に3種類の色調の配色形態を表示したから、色相配色方法を、同系色,類系色,反対色の夫々について、直観的でありながらも論理的に知得することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明カラーアレジメント装置の一例における一枚の台紙の左半側に表示された色相環と、前記台紙の右半側に表示されたカラーアンダートーンの2種を示す色相環図、及び、色相配色方法の説明と、色調配色方法の説明を示した平面図。
図2図1の明度差色相環の上に、回転自在に軸止めされる色相選択回転板の平面図。
図3図1の台紙の色相環に図2の色相選択回転板を軸止めした使用状態の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明カラーアレジメント装置の実施の形態例について図を参照して説明する。
図1において、1は、本発明カラーアレジメント装置CAの構成部材の一つである台紙であり、図の例では、一例としてB4版〜A3版の天然又は合成の上質厚紙を横向きにした形で、この台紙1の左半と右半を2つの記載欄A,Bとして用いている。ここで、台紙1の大きさや材質は任意である。台紙1の使い方としては、B5版又はA4版の大きさの用紙を縦長にして用い、この用紙の表面と裏面とを2つの記載欄A,Bとしたり、同サイズの用紙2枚を2つの記載欄A,Bとする態様でもよい。
【0017】
図1の台紙1の左半側の記載欄Aには、この記載欄Aにバランス良く収まる大きさの半径による基礎円2が描かれ、この基礎円2が、同心上に位置する複数の第1の区画線3と直径上の複数の第2の区画線4によって囲まれた複数の横長扇型の区画が形成されている。
具体的には、第1の区画線3が、最小径の同心円3aから数えて同心上の9本の第1の区画線3により9つの同心円が描かれ、12本の第2の区画線4が、前記基礎円2の周上に30度のピッチで描かれている。これにより全部で9×12=108個の略横長の扇型区画が形成される。
【0018】
前記の108個の全区画において、90度で変わる直径上に位置した4つの区画は、夫々に、30度をなす第2の区画線4による角度を、補助区画線41によって15度の中心角に2分した分割区画に形成している。
分割区画は、基礎円2の周上に、90度の間隔で4カ所に形成されている。
【0019】
前記段落0017に説明した基礎円2と同心上の9本の第1の区画線3と、当該基礎円2に対して放射状に30度ピッチで配設した12本の第2の区画線4において、基礎円2の上に第2の区画線4によって放射状に区分される12個の縦長の扇型区域は、12色相のカラーを置くためのスペースを形成する。
【0020】
一方、前記12個の縦長扇型区域は、夫々に、基礎円2に対して同心円状に配置される8本の第1の区画線3により9つの横長扇型の区画に区分されている。12色相のカラーが配置される前記12個の縦長扇型区域は、各区域ごとに同心円状に9つの横長扇型の区画に区分されているので、12個の縦長扇型区域の、それぞれの9段階に区分された横長扇型の区画には、各色相のカラーにおける明度の異なるカラーを配置する。
【0021】
各色相の明度差があるカラーの配置において、基準カラーにおける純色は、図示した例では、前記色相環の基礎円2(外周円)の側から中心側(最少径同心円3a)に向かって4番目の横長扇型の区画に配置し、この基準カラーの区画により外周側に位置する3つの横長扇型区画に高明度のカラーを配置し、前記基準カラーを含む中間の3つの横長扇型区画に中明度のカラーを配置し、最少径同心円3aに向かう3つの横長扇型区画には低明度のカラーを配置している。
上記の3区画ごとに明度が異なるカラーは、それぞれ3区画ごとに彩度順に配置されている。即ち、高明度のカラーは、3区画において前記色相環の中心に向かって彩度が低―中―高の順に配置され、中明度のカラーは彩度が高―中―低の順に配置され、
低明度のカラーでは、彩度が低−中―高の順に配置されている
上記のようにして、12の各色相のカラーについて、基準カラーと明度と彩度が異なるカラーが、上記例と同じ要領で配置されて、色相環HCが台紙1における記載欄Aに形成されている。
【0022】
なお、前記色相環HCにおいて、90度ピッチで略十字状に配置された中心角が15度の分割区画2つで形成される区域には、夫々に、黄,青紫,赤,青緑の2種類の色相が配置されている。
【0023】
上記の12個の縦長扇型の区域に配置される12色相の各カラーは、夫々に基準カラーを挟んで同心上で9つの明度と彩度の異なるカラーが配置されて色相環HCを形成しているが、本発明では、前記9つの明度と彩度に差があるカラーに、基礎円2の側から中心に向って順に、次の記号と各称を付けた。この記号と各称は、後で説明する色相配色,色調配色の便宜のためであるから、ここに挙げた記号と各称に限られる訳ではない。
p1 優しい
c1 すっきりした
bt 明るい
vv 鮮やかな
d1 地味な
1g 薄い灰みの
td とても暗い
dk 暗い
dp 濃い
上記において、pl,cl,btは高明度グループ、vv,dl,lgは、中明度グループ、td,dk,dpは低明度グループになっている。また、前記の各グループのカラーは、前記明度による配置と同時に、彩度順にも配置されている。具体的には、高明度グループの3つのカラーは、色相環の外周から中心に向かって、彩度が低−中―高の順で、中明度グループの3つのカラーは、彩度が高―中―低の順で、低明度グループの3つのカラーは、彩度が低−中―高の順に配置されている。上記の記号と各称は、図2によって後に説明する色相選択回転板5に表示して用いられる。
【0024】
上記台紙1の記載欄Aに形成される色相環HCは、各区画に直接印刷したり、カラー見本を貼着すること等で形成すればよい。また、上記基礎円2や区画線3,4,41は、表示される各カラーの境界によっても形成できるから、これらの線3,4,41を描かない場合もある。
【0025】
次に、図2に例示した平面視円形の色相選択回転板5(以下、単に回転板5ともいう)は、次の構成を備えたものである。
色相選択回転板5は、前記12色相の各基準カラーを中間に挟んで色相環HCの基準円2と略同径の円板体で形成されている。この回転板5の中心は、台紙1の色相環HCの中心と回転軸6で軸止めされる(図3参照)。
【0026】
上記回転板5には、前記台紙1の色相環HCにおける同系色相を見るための中心角を20度とする細い扇型状の窓孔7と前記回転軸6挟んで対象になる位置に、前記窓孔7と同じ大きさ、形状の窓孔8とが形域されている。前記窓孔7に見える色相のカラーを基準カラーとすると、前記窓孔8に見えるカラーは、前記基準カラーの反対色(補色)である。7aは窓孔7の上方(外周側)に表示された基準カラーである旨の表示、8aは窓孔8の下方(外周側)に表示された反対色(補色)のカラーである旨の表示である。
【0027】
9,10は、上記窓孔7の左右両側に形域した、窓孔7に見える基準カラーに類似する色が見えるように形成した中心角が50度の細い扇型状の窓孔、11,12は、前記窓孔8の左,右両側に形成した、窓孔8に見える反対色(補色)のカラーに近い色相のカラーが見えるように形成した窓孔8と同じ大きさの反対色相カラー用の窓孔である。
9a,10aは、窓孔9,10が窓孔7に見える基準カラーの類系色相のカラーが見える窓である旨を前記窓孔9,10の外側に示した類系色相の表示、11a,12aは、窓孔8に見える反対色(補色)に近い反対色相のカラーが見える窓孔11,12が、反対色相用の窓である旨を示した反対色相の表示である。
なお、類系色相の窓孔9,10は夫々に2つの色相にまたがる幅(ここでは中心角50度)の扇型状に形成されているが、反対色相の窓孔11,12は、夫々に1つの色相に対応した幅(ここでは中心角20度)の扇型状である。
【0028】
図2に示した実施例において、前記色相選択回転板5における窓孔7〜12に現われる各色相のカラーは、この回転板5の半径上において9段階の明度差を持って各窓孔7〜12から見える。
そこで本発明では、各色相の9段階の明度差を持つカラーの夫々に対して、段落0023に記載した記号13と名称14を付与している。この記号13と名称14が、前記類系色相が見える窓孔9における回転板5の半径方向に沿って表示されている。この記号13と名称14は、段階0023で説明した記号と名称と同じである。
【0029】
以上のように形成された台紙1の色相環HCと、この色相環HCに中心を合せてハト目等の回転軸6によって回転自在に取付けられた色相選択回転板5により、前記回転板5を回転させて基準色の窓孔7を適宜の基準色に合わせると、窓孔8に、前記窓孔7に見える基準カラーの反対色(補色)のカラーを見ることができ、また、前記窓孔7の基準カラーの左右の両側の窓孔9,10に、当該基準カラーの複数の類系色相のカラーを見ることができる。さらに、前記窓孔8に見える反対色(補色)カラーの左右両側の窓孔11,12に前記反対色のカラーに類似する反対色相のカラーを見ることができる。
【0030】
上記台紙1の記載欄Aの色相環HCと窓孔7〜12を形成した回転板5の関係による機能,作用は、公知のカラーアレジメント器具も備えたものであるが、本発明では、上記台紙1の記載欄Bに表示したカラー情報を利用したカラーアレジメント機能が従来のカラーアレジメント器具と全く異なる機能であるから、この点について、以下に図を参照して説明する。
【0031】
図1の台紙1において、右半側の記載欄Bの上部には、台紙1の左半側に表示した色相環HCから抜粋した形の2つの環状の色相図7,8が表示されている。
上記2つの色相図7,8において、左側の色相図7は、前記色相環HCの中で「色に青みを多く感じる色」を「ブルーアンダートーン/Bu」と定義付けて色相環の上に抽出した「Bu色相図7」であり、右側の色相図8が、前記色相環HCの中で「色に黄みを多く感じる色」を「イエローアンダートーン/Yu」と定義付けて色相環の上に抽出した「Yu色相図8」である。
上記2つの色相図7,8は、台紙1の左半側の記載欄Aの色相環HCのすべての色が、青みを多く感じる色か、黄みを多く感じる色かの2群に分けられることを示しており、色彩(カラー)の選択における選択基準になるカラー情報として利用できる。
【0032】
台紙1の右半側の記載欄Bにおいて、上記の「Bu色相図7」と「Yu色相図8」の下方の台紙1の中間から下方にかけての欄には、「基本的な配色テクニック」として、「色相配色方法9」と「色調配色方法10」の2種類の配色方法が例示されている。
【0033】
「色相配色方法9」は、色相環HCと、この色相環HC上の特定カラーに対する回転板5の窓孔7〜12の選択位置によって、3種類の色相配色方法があることを具体的に例示している。即ち、前記色相環HCにおける330度以内にある同じ色相からカラーを選択する「同系色相による配色9a」、前記色相環HCの中で選んだ基準カラーに対して90度の範囲内にある類似した色相の中のカラーで配色する「類系色相による配色9b」、基準カラーに対し反対側の90度の範囲内にある反対色カラーで配色する「反対色相による配色9c」を選択できることが、例示されている。
【0034】
前記台紙1の右半側の記載欄Bにおける最下方の欄には、台紙1の左半側の色相環HCに装着した回転板5に印した9段階の記号13を用いて、3種類の「色調配色方法10」が例示されている。
すなわち、3種類の「色調配色方法10」には、「同系色調の配色10a」,「類系色調の配色10b」,「反対色調の配色10c」があり、いずれも9段階の明度差を表した9個の記号13(段落0023参照)を、縦軸を明度,横軸を彩度とする9個のマトリックス状区画の中に記入し、記号13が記入されたマトリックス状配置の、図の例では4つの記号表11a〜11dによって、3種類の色調配色を把握できるようになっている。具体的には、同じ色調同士のカラーによる同系色調の配色、明度に共通性がある類系色調の配色、明度に共通性があり彩度に差がある反対色調の配色、或は明度,彩度共に差がある反対色調の配色という3種類の色調配色の中から好みの色調配色を選択できるようになっている。
【0035】
以上に説明した台紙1の記載欄Bは、図1に示した台紙1の右半側(又は左半側)の大きさの1枚の用紙を1枚の台紙(図示せず)とし、この図示しない1枚の台紙の表面を記載欄Aとし裏面を記載欄Bとしてもよい。或は、前記台紙1の右半側又は左半側と同じ大きさの別の台紙を2枚用意し、1枚目を記載欄Aに、2枚目を記載欄Bとしてもよい。
【0036】
本発明は、以上の通りであって、台紙1の左半側の記載欄Aの色相環HCと、この色相環HCに回転軸6で取付けた色相選択回転板5とにより形成される装置によるカラーアレジメントだけではなく、台紙1の右半側の記載欄Bに設けた、カラーアンダートーン分類の2つの色相図7,8、並びに、前記色相図7,8の下方に表示した基本的配色テクニックの例として「色相配色方法9」及び「色相配色方法10」のカラー情報の表示を具備するから、従来のカラーアレジメント器具では不可能であったカラーアンダートーンの内容を具体的に確認することができる。また、前記色相環HCを用いた配色テクニックも、色相基調の配色や色調基調の配色を、視覚的に容易にかつ迅速に把握,理解することができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0037】
CA 本発明カラーアレジメント装置
1 台紙
A,B 台紙1の左右の記載欄
2 基礎円
3 同心状区画線
3a 中心円
4 放射状(径方向)区画線
Hc 色相環
5 色相選択回転板
6 回転軸
7〜12 窓孔
図1
図2
図3