【実施例1】
【0019】
図1(a)および
図1(b)は、実施例1に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図である。
図1(a)に示すように、基板20上に機能素子22、配線23、パッド24および金属層25を形成する。機能素子22は、例えば弾性表面波素子または圧電薄膜共振器等の弾性波素子である。配線23は機能素子22間、および/または機能素子22とパッド24との間を電気的に接続する。金属層25は機能素子22を囲むように設けられている。配線23およびパッド24は例えば金層、アルミニウム層または銅層等の金属層である。金属層25は例えば金層、アルミニウム層、銅層またはニッケル層である。配線23およびパッド24と、金属層25と、は同時に形成してもよいし、別々に形成してもよい。
【0020】
図2(a)および
図2(b)は、機能素子の例を示す平面図および断面図である。
図2(a)は、機能素子22として弾性表面波素子の例である。基板20は、例えばタンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板等の圧電基板である。基板20は、サファイア基板、スピネル基板、アルミナ基板またはシリコン基板等の支持基板の上面にタンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板等の圧電基板が接合された基板でもよい。基板10上にIDT(Interdigital Transducer)40と反射器42が形成されている。IDT40は、互いに対向する1対の櫛型電極40aを有する。櫛型電極40aは、複数の電極指40bと複数の電極指40bを接続するバスバー40cとを有する。反射器42は、IDT40の両側に設けられている。IDT40は基板10に弾性表面波を励振する。IDT40および反射器42はアルミニウム層または銅等の金属層により形成される。IDT40および反射器42上に絶縁体からなる保護膜または温度補償膜を設けてもよい。
【0021】
図2(b)は機能素子22として圧電薄膜共振器の例である。基板20上に圧電膜46が設けられている。基板20は、例えばサファイア基板、スピネル基板、アルミナ基板またはシリコン基板等の絶縁基板、またはシリコン基板等の半導体基板である。圧電膜46を挟むように下部電極44および上部電極48が設けられている。下部電極44と基板20との間に空隙45が形成されている。下部電極44および上部電極48は圧電膜46内に、厚み縦振動モードの弾性波を励振する。下部電極44および上部電極48は例えばルテニウム膜等の金属膜である。圧電膜46は例えば窒化アルミニウム膜である。
【0022】
図1(b)に示すように、基板20の下面をダイシングテープ62に貼り付ける。金属層25および基板20をダイシングブレード50を用い切断する。これにより、基板20が個片化され、機能素子22が設けられたデバイスチップ21が形成される。このとき、金属層25は粘性があるため、切断面に沿ってバリ26が形成される。
【0023】
図3(a)はバリの断面図、
図3(b)はチップの斜視図である。
図3(a)に示すように、バリ26は、金属層25からカール状に突出している。バリ26の高さHは、金属層25の厚さTの2倍から3倍程度となる。
図3(b)に示すように、金属層25をデバイスチップ21の周縁に設けることにより、バリ26はデバイスチップ21の周縁に形成される。デバイスチップ21の角に形成されるバリ26bは、デバイスチップ21の辺に形成されるバリ26aより高くなることがある。
【0024】
図4(a)から
図6(b)は、実施例1に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図である。
図4(a)に示すように、基板10は、絶縁層10aおよび10bを含む。基板10の下面には端子11が設けられている。絶縁層10aと10b間には内部配線13が設けられている。各絶縁層10aおよび10bを貫通するようにビア配線12が設けられている。基板10の上面に、パッド14および環状電極15が設けられている。環状電極15は基板10の周縁に設けられている。ビア配線12および内部配線13は、端子11とパッド14とを電気的に接続する。端子11、ビア配線12、内部配線13、パッド14および環状電極15は、例えば銅層、金層、アルミニウム層またはニッケル層等の金属層である。パッド14上にバンプ18が設けられている。バンプ18は、例えば金スタッドバンプである。バンプ18は、銅バンプでもよい。また、バンプ18はメッキバンプでもよい。デバイスチップ21のパッド24がバンプ18上に位置するように、基板10上にデバイスチップ21を配置する。
【0025】
図4(b)に示すように、矢印52のようにデバイスチップ21の上面から超音波を加えかつデバイスチップ21を押圧する。これにより、バンプ18とパッド14および24とが接合する。
【0026】
図5(a)に示すように、基板10上に複数のデバイスチップ21をフリップチップ実装する。
図5(b)に示すように、デバイスチップ21上にAgSu等の半田または樹脂からなる板30aを配置する。板30a上にリッド32を配置する。矢印54のように、板30aの融点以上の温度でリッド32をデバイスチップ21に押圧する。リッド32は、平板状であり、絶縁板または金属板である。
図5(c)に示すように、これにより板30aが溶融した封止部材30がデバイスチップ21を囲むように設けられる。封止部材30と環状電極15との濡れ性がよいため、封止部材30は環状電極15と接合する。バリ26が封止部材30に対し濡れ性が悪ければ、バリ26により、封止部材30がデバイスチップ21下の空隙28に侵入することを抑制できる。
【0027】
図6(a)に示すように、リッド32、封止部材30および基板10を切断する。切断には例えばダイシングブレードを用いたダイシング法を用いる。
図6(b)に示すように、封止部材30およびリッド32を覆うように保護膜34を形成する。保護膜34は金属膜または絶縁膜であり、例えばバレル電解めっき法を用い形成する。
【0028】
次に、実施例1におけるパッド24とバンプ18との接合状態を調べた。
図7(a)から
図7(c)は、実施例1に係る接合方法を示す側面図である。
図7(a)に示すように、基板10の上面にパッド14が設けられている。基板10は例えば樹脂からなる。パッド14は、Auパッドである。パッド14上にバンプ18としてAuスタッドバンプを形成する。バンプ18の下面の直径WB1は約80μmであり、バンプ18の上面の直径WT1は約25μmである。バンプ18の高さH1は約28μmである。バンプ18は、台座18aを有する。基板20の上方にデバイスチップ20を配置する。基板20の下面にパッド24が設けられている。パッド24は、Auパッドであり、60μm×60μmの大きさである。
【0029】
図7(b)に示すように、パッド24の下面をバンプ18の上面に接触させる。基板10を加熱する。矢印52のように、デバイスチップ21を基板10に押圧する。さらに、デバイスチップ21に上面から超音波を加える。これにより、デバイスチップ21は矢印53のように例えば平面方向に振動する。
【0030】
図7(c)に示すように、バンプ18はパッド14および24と接合する。バンプ18の下面の直径WB2は約80μmであり、バンプ18の上面の直径WT2は約60μmとなる。バンプ18の高さH2は15μmとなる。
【0031】
図8(a)から
図8(c)は、比較例1に係る接合方法を示す側面図である。
図8(a)に示すように、バンプ18は、パッド24の下面に設けられている。バンプ18はAuスタッドバンプである。バンプ18の下面の直径WB3は約25μmであり、バンプ18の上面の直径WT3は約60μmである。バンプ18の台座18aの高さH3は約16μmである。パッド24の大きさは、75μm×75μmの大きさである。その他の構成は実施例1と同じである。
【0032】
図8(b)に示すように、バンプ18の下面をパッド14の上面に接触させる。
図7(b)と同様に、基板10を加熱し、矢印52のように、デバイスチップ21を基板10に押圧する。さらに、デバイスチップ21に超音波を加える。これにより、デバイスチップ21は矢印53のように例えば平面方向に振動する。しかし、バンプ18の重さのため、矢印53の振動は
図7(b)より小さくなる。
【0033】
図8(c)に示すように、バンプ18はパッド14および24と接合する。バンプ18の直径W4は約90μmとなる。バンプ18の高さH4は10μmとなる。
【0034】
実施例1および比較例1の接合条件として、基板10の温度、バンプ1個当たりの押圧荷重、超音波パワーおよび処理時間を表1に示す。なお、超音波パワーは任意ユニットである。実施例1および比較例1のバンプ18の形状および接合条件は、最適化後の条件である。
【表1】
【0035】
図9(a)および
図9(b)は、それぞれ実施例1および比較例1の断面SEM(Scanning Electron Microscope)画像である。
図9(a)および
図9(b)に示すように、比較例1は実施例1に比べバンプ18が潰れている。比較例1ではパッド24がバンプ18に埋まっている。
【0036】
図10(a)および
図10(b)は、それぞれ実施例1および比較例1のEBSD(Electron Back Scattering Diffraction)画像である。
図10(a)および
図10(b)において、バンプ18およびパッド24内の構造はAuの結晶粒を示している。すなわち、同じ明るさの領域は1つの結晶粒であることを示している。
図10(a)の範囲54のように、実施例1ではパッド24とバンプ18との界面に大きな1つの結晶粒が存在する。これは、パッド24とバンプ18が強固に結合していることを示している。
図10(b)の範囲54のように、比較例1ではパッド24とバンプ18との界面には多くの結晶粒が存在する。これは、パッド24とバンプ18との接合が弱いことを示している。
【0037】
比較例1では、デバイスチップ21に重いバンプ18が設けられた状態で超音波を加える。これにより、
図8(b)のように、バンプ18の下面に超音波が効率的に加わらない。一方、実施例1では、
図7(b)のように、デバイスチップ21にバンプ18が設けられていない。このため、パッド24とバンプ18の界面に効率的に超音波が加わる。このため、実施例1では、比較例1より接合時の荷重および超音波パワーが小さく、処理時間が短くても、比較例1よりパッド24とバンプ18との接合が強いと考えられる。
【0038】
次にバリ26の効果について説明する。
図11(a)および
図11(b)は、それぞれ比較例1および実施例1に係る製造方法を示す断面図である。
図1(b)における基板20の個片化の工程と、
図4(a)におけるデバイスチップ21を基板10上に配置する工程と、の間にデバイスチップ21の上下を反転する。
図11(a)および
図11(b)に示すように、
図1(b)のダイシング後、デバイスチップ21の機能素子22の反対側の面がダイシングテープ62に貼り付けられている。ダイシングテープ62の下からピン64でデバイスチップ21を突き上げる。コレット60には吸引孔61が設けられている。吸引孔61内を負圧にすることで、コレット60の吸引面はデバイスチップ21の機能素子22側の面を吸引する。その後、機能素子22と反対の面を再度コレットで吸引することにより、デバイスチップ21の上下を反転できる。
【0039】
図11(a)に示すように、比較例1ではコレット60の吸引面は、バンプ18に接する。このため、吸引面が機能素子22に接することを抑制できる。
図11(b)に示すように、実施例1ではコレット60の吸引面は、バリ26に接する。このため、吸引面が機能素子22に接することを抑制できる。このように、実施例1では、デバイスチップ21にバンプ18が設けられていないが、バリ26によりコレット60の吸引面が機能素子22に接することを抑制できる。これにより、機能素子22を破壊することを抑制できる。
【0040】
また、
図5(c)において、バリ26により封止部材30が基板10とデバイスチップ21の間に侵入することを抑制できる。封止部材30として半田を用いる場合、バリ26を半田濡れ性の悪いニッケルとすることが好ましい。
【0041】
実施例1によれば、
図4(a)のように、基板10の上面上に設けられたパッド14上にバンプ18が設けられている。基板10(実装基板)上に下面にバンプ18が設けられていないデバイスチップ21を配置する。
図4(b)のように、デバイスチップ21にデバイスチップ21の上面から超音波を加えることにより、デバイスチップ21の下面に設けられたパッド24(第2パッド)とバンプ18とを接合する。これにより、
図9(a)および
図10(a)のように、パッド24とバンプ18との接合強度を大きくできる、また、接合面積を小さくできる。
【0042】
また、パッド24のバンプ18側の面とバンプ18とは同じ材料からなることが好ましい。これにより、
図10(a)のように、パッド24とバンプ18とのが一体となり接合強度を高めることができる。パッド24の最下層はAu層であり、バンプ18はAuバンプであることが好ましい。これにより、パッド24とバンプ18とをまたいで結晶粒が形成される。よって、パッド24とバンプ18との接合強度を高めることができる。パッド24はCu層であり、バンプ18はCuバンプでもよい。
【0043】
さらに、バンプ18は単一のバンプである(すなわちパッド14と24との間に1つのバンプしかない)。バンプ18とパッド14との接合面積はバンプ18とパッド24との接合面積より大きい。これにより、デバイスチップ21内のバンプ18の面積を小さくできる。よって、デバイスチップ21のチップサイズを小さくできる。バンプ18の上面の直径(幅)WT2は、接合後で100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、60μm以下がさらに好ましい。バンプ18の高さH2は、5μmから20μmが好ましい。
【0044】
デバイスチップ21は、下面に機能素子22と機能素子22を囲み機能素子22より厚さが大きいバリ26を備える。すなわち、デバイスチップ21の表面から機能素子22の表面までの高さよりデバイスチップ21の表面からバリ26の上面までの高さが大きい。これにより、機能素子22が傷つけられることを抑制できる。枠体としてバリ26の例を説明したが、枠体は金属層または絶縁層でもよい。枠体はめっき等により形成されていてもよい。
図1(b)のように、枠体をダイシングブレード50によりデバイスチップ21を切断したときに形成されるバリ26とする。これにより、製造工程を簡略化できる。
【0045】
図11(b)のように、機能素子22の下面(
図11(b)では上面)にコレット60(ツール)が接触せずバリ26の下面にコレット60を接触させることで、コレット60にデバイスチップ21を保持させる。これにより、コレット60が機能素子22を傷つけることを抑制できる。
【0046】
機能素子22として弾性波素子の例を説明したが、機能素子22は弾性波素子以外の受動素子等でもよい。機能素子22として弾性表面波素子を用いる場合、バリ26の厚さは2μm以上が好ましい。機能素子22として圧電薄膜共振器を用いる場合、バリ26の厚さは6μm以上が好ましい。これにより、バリ26を機能素子22より厚くできる。
【0047】
図12(a)から
図12(d)は、実施例1の変形例1におけるバンプ近傍の側面図である。
図12(a)のように、バンプ18の側面はテーパの角度が2段階で変わってもよい。
図12(b)に示すように、バンプ18の側面のテーパ角度は連続的に変化してもよい。
図12(c)のように、バンプ18の側面のテーパ角度は一定でもよい。
図12(d)のように、バンプ18の断面は凸状でもよい。バンプ18としてスタッドバンプを用いることで、バンプ形状を任意に設定できる。
【0048】
図13(a)から
図13(c)は、実施例1の変形例2における平面図および側面図である。
図13(a)から
図13(c)の各々において上の図が平面図であり下の図が断面図である。
図13(a)に示すように、バリ26は基板20の周縁全てに設けられていてもよい。
図13(b)に示すように、バリ26は基板20の角部に設けられ、辺部に設けられていなくてもよい。
図13(c)に示すように、バリ26は基板20の辺部に設けられ、角部に設けられていなくてもよい。このように、バリ26は、基板20の周縁の少なくとも一部に設けられていればよい。これにより、機能素子22が傷つくことを抑制できる。また、基板20を囲む封止部材が空隙28に侵入することを抑制できる。
【0049】
図14(a)は、実施例1の変形例3の断面図、
図14(b)は、平面図である。
図14(a)に示すように、基板20は支持基板20aと支持基板20aの下面に接合された圧電基板20bを有する。機能素子22は圧電基板20bの下面に設けられている。バリ26は支持基板20aの下面に設けられている。
図14(b)に示すように、支持基板20aの下面に圧電基板20bが島状に設けられている。圧電基板20bの下面に機能素子22として弾性表面波素子が設けられている。機能素子22とパッド24とは配線23により接続されている。バリ26は支持基板20aに設けられている。実施例1の変形例3のように、バリ26は支持基板20aに設けられていてもよい。
【0050】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。