特許第6556114号(P6556114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556114
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   H02M3/28 Y
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-253069(P2016-253069)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-107926(P2018-107926A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2018年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103208
【氏名又は名称】コーセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】児島 正晋
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−193536(JP,A)
【文献】 特開2007−67268(JP,A)
【文献】 特開2008−125249(JP,A)
【文献】 特開2006−269212(JP,A)
【文献】 特開2005−93536(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/053139(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力巻線及び出力巻線を有するトランスと、前記出力巻線の両端に接続される回路であって、前記出力巻線に発生した交流電圧を整流する整流素子を有した整流回路と、前記整流回路の出力端に接続され、前記整流回路が出力する整流電圧を平滑する回路であって、両端に出力電圧を生成する出力コンデンサを有した平滑回路とを備え、前記出力巻線、前記整流回路及び前記平滑回路が金属製のバスバーで連結されたスイッチング電源装置において、
前記出力巻線は、互いに対向する向きに配置された複数の第一基板の各導電層に形成された複数のコイルにより設けられ、
前記整流素子は、前記第一基板上の、前記各コイルの近傍の位置にそれぞれ実装され、
前記バスバーは、前記複数の第一基板の前記各導電層に接続される板状の接続部と、外部負荷が接続される出力部と、前記接続部と前記出力部とを連結する連結部とが一体に形成されたものであり、前記板状の接続部に、スリット状に形成された透孔又は切り込みで成る複数の基板受け部が設けられ、
前記複数の第一基板は、前記バスバーの前記接続部と交差する向きに配置され、前記第一基板の各端部が前記複数の基板受け部内に個別に差し込まれ、前記各導電層が前記基板受け部に半田を介して接続されていることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記平滑回路は出力インダクタを有し、前記出力インダクタは、前記バスバーの連結部の周面に磁性コアを装着することにより設けられている請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記バスバーは、出力電圧のプラス側電位を出力する第一のバスバーとマイナス側電位を出力する第二のバスバーとで構成され、前記第一及び第二のバスバーは、それぞれ、前記接続部、前記出力部及び前記連結部が一体に形成されたものである請求項1又は2記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記第一及び第二のバスバーは、各連結部の特定箇所が樹脂製の連結部材で互いに連結され固定されている請求項3記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記出力コンデンサは、前記第一基板とは異なる第二基板に実装され、
前記第二基板には、前記出力コンデンサのプラス側及びマイナス側を外部接続可能にするスルーホールが一対に設けられ、
前記第一及び第二のバスバーは、各連結部の特定箇所が互いに面一に配置されるとともに、前記各特定箇所から接続端子が一対に起立し、
前記第二基板は、前記各スルーホールに前記接続端子が挿通され、前記特定箇所に位置決めされた状態で、前記スルーホールと前記接続端子とが半田を介して互いに接続されている請求項3又は4記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記接続端子は、前記連結部の一部を切り起こすことによって設けられている請求項5記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記接続端子は、前記連結部に金属ピンを接合することによって設けられている請求項5記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出力がトランスによって絶縁され、出力巻線と整流回路等を金属製のバスバーで連結したスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、一次巻線(入力巻線)及び二次巻線(出力巻線)が設けられたトランスと、二次巻線の電圧を整流する整流回路が実装された複数のプリント基板と、二次巻線、整流回路及び平滑回路を連結する導体フレーム(バスバー)とを備え、複数のプリント基板をトランスの磁性コアを中心に対向するように配置し、二次巻線に各プリント基板を接続したスイッチング電源装置があった。このスイッチング電源装置の構造によれば、トランスの二次巻線に形成される高周波電流ループを小さくなるので、トランスの一次巻線の側からみた寄生インダクタンス成分が小さくなり、高周波電流と寄生インダクタンス成分による損失を低減することができる。また、大電流が流れる経路を抵抗値が低い導体フレームで連結されているので、配線抵抗による損失を低減することができるものである。なお、高周波電流ループや、高周波電流と寄生インダクタンス成分による損失については、特許文献1に詳しく記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−99086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のスイッチング電源装置の構造は、トランスの一次巻線の側からみた寄生インダクタンス成分をある程度小さくできるが、その他のコンパクトで組み立てやすいことや、絶縁性が十分確保されること等についての課題は、未だ十分な性能を得ることが難しいものであった。
【0005】
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、コンパクトで組み立てやすく、トランス及び出力巻線側の不要な寄生インダクタンス成分を大幅に小さくできるスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、入力巻線及び出力巻線を有するトランスと、前記出力巻線の両端に接続される回路であって、前記出力巻線に発生した交流電圧を整流する整流素子を有した整流回路と、前記整流回路の出力端に接続され、前記整流回路が出力する整流電圧を平滑する回路であって、両端に出力電圧を生成する出力コンデンサを有した平滑回路とを備え、前記出力巻線、前記整流回路及び前記平滑回路が金属製のバスバーで連結されたスイッチング電源装置であって、
前記出力巻線は、互いに対向する向きに配置された複数の第一基板の各導電層に形成された複数のコイルにより設けられ、前記整流素子は、前記第一基板上の、前記各コイルの近傍の位置にそれぞれ実装され、前記バスバーは、前記複数の第一基板の前記各導電層に接続される板状の接続部と、外部負荷が接続される出力部と、前記接続部と前記出力部とを連結する連結部とが一体に形成されたものであり、前記板状の接続部に、スリット状に形成された透孔又は切り込みで成る複数の基板受け部が設けられ、前記複数の第一基板は、前記バスバーの前記接続部と交差する向きに配置され、前記第一基板の各端部が前記複数の基板受け部内に個別に差し込まれ、前記各導電層が前記基板受け部に半田を介して接続されているスイッチング電源装置である。
【0007】
前記平滑回路は出力インダクタを有し、前記出力インダクタは、前記バスバーの連結部の周面に磁性コアを装着することにより設けられている。
【0008】
前記バスバーは、出力電圧のプラス側電位を出力する第一のバスバーとマイナス側電位を出力する第二のバスバーとで構成され、前記第一及び第二のバスバーは、それぞれ、前記接続部、前記出力部及び前記連結部が一体に形成されている。この場合、前記第一及び第二のバスバーは、各連結部の特定箇所が樹脂製の連結部材で互いに連結され固定されていることが好ましい。
【0009】
また、前記出力コンデンサは、前記第一基板とは異なる第二基板に実装され、前記第二基板には、前記出力コンデンサのプラス側及びマイナス側を外部接続可能にするスルーホールが一対に設けられ、前記第一及び第二のバスバーは、各連結部の特定箇所が互いに面一に配置されるとともに、前記各特定箇所から接続端子が一対に起立し、前記第二基板は、前記各スルーホールに前記接続端子が挿通され、前記特定箇所に位置決めされた状態で、前記スルーホールと前記接続端子とが半田を介して互いに接続されている構成にすることができる。この場合、前記接続端子は、前記連結部の一部を切り起こすことによって設けることができる。あるいは、前記接続端子は、前記連結部に金属ピンを接合することによって設けることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスイッチング電源装置は、第一基板の導電層に形成されたコイルによりトランスの出力巻線を構成し、整流素子を第一基板上のコイルの近傍に実装する構造なので、出力巻線に接続される高周波電流ループを従来よりも小さくすることができ、高周波電流と寄生インダクタンス成分による損失を大幅に低減することができる。また、出力巻線、整流回路、平滑回路、及び外部負荷が接続される出力部を、抵抗値の低い金属製のバスバーで直結する構造なので、大電流が流れる経路の抵抗値が低く抑えられ、配線抵抗による損失も小さい。
【0011】
出力巻線及び整流素子とバスバーとの接続部分は、バスバーにスリット状の基板受け部を設け、基板受け部に第一基板の端部を差し込んで半田接続するという独特な構造である。したがって、非常にコンパクトで組み立てやすく、しかも十分な接続強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のスイッチング電源装置の一実施形態の外観を示す斜視図である。
図2】出力側回路ユニットを第一及び第二のバスバーの側から見た斜視図である。
図3】出力側回路ユニットをトランスの側から見た斜視図である。
図4】出力側回路ユニットの回路図である。
図5】組み立て状態のトランスを示す斜視図(a)、入力巻線を構成する入力コイルを示す斜視図(b)、出力巻線を構成する出力コイル及び整流素子が設けられた第一基板を示す斜視図(c)、トランスの磁性コアを示す斜視図(d)及び絶縁紙を示す斜視図(e)である。
図6】第一及び第二のバスバーを示す斜視図(a)、正面図(b)、右側面図(c)、平面図(d)である。
図7】出力インダクタを形成するための磁性コア及びギャップ材を示す斜視図である。
図8】出力コンデンサが実装された2つの第二基板を示す斜視図である。
図9】第一及び第二のバスバーの第一変形例を示す斜視図(a)、正面図(b)、右側面図(c)、平面図(d)である。
図10】第一及び第二のバスバーの第二変形例を示す斜視図(a)、正面図(b)、右側面図(c)、平面図(d)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のスイッチング電源装置の一実施形態について、図1図8に基づいて説明する。この実施形態のスイッチング電源装置10は、図1に示すように、略直方体の金属筐体12に収容され、金属筐体12の一側面に、外部入力電源が接続される入力側配線部14と、外部負荷が接続される出力側配線部16とが配設されている。スイッチング電源装置10の回路は、トランスによって互いに絶縁された入力側回路と出力側回路とを備えている。例えば、入力側回路は、チョッパ方式の安定型コンバータ(主スイッチング素子のオン時比率が変化するコンバータ)及びフルブリッジ方式の非安定型コンバータ(主スイッチング素子のオン時比率が約50%に固定されたコンバータ)の入力側の回路等で構成され、出力側回路は、非安定型コンバータの出力側の回路である。
【0014】
図1の中の破線で示す部分は、出力側回路(非安定型コンバータのトランスを含む)を構成する出力側回路ユニット18である。出力側回路ユニット18は、図2図3に示すように、複数の部材により一体に形成された構造物で、後述する第一及び第二のバスバー32,34の出力部54,60が金属筐体12の外側に突出し、出力側配線部16となる。以下、出力側回路ユニット18について詳しく説明する。
【0015】
出力側回路ユニット18は、図4の回路図に示すように、入力巻線20及び出力巻線22を有するトランス24と、出力巻線22の両端に接続され、出力巻線22に発生した交流電圧を整流する整流素子26を有した整流回路28と、整流回路28の出力端に接続され、整流回路28が出力した整流電圧を平滑する平滑回路30とを備え、出力巻線22、整流回路28及び平滑回路30が金属製の第一及び第二のバスバー32,34で連結されている。
【0016】
次に、出力側回路ユニット18の各部材の構成を個別に説明する。トランス24及び整流素子26は、図5(a)に示すように一体に設けられる。トランス24の入力巻線20は、2つの入力コイル20(1),20(2)を並列接続したものである。入力コイル20(1)は、図5(b)に示すように、渦巻状に巻回された2層の平面コイルが同軸に連続している空芯コイルであり、同じ構造の入力コイル20(2)が厚み方向に配置され、端部同士が接続されて4層構造の入力巻線20になる。中央部の透孔21の直径は、後述する磁性コア44の中脚部44aの直径よりも僅かに大きく、各平面コイルの外形は、磁性コア44の内側に入る大きさである。入力コイル20(1),20(2)に使用する電線は、例えば、融着被膜付きの3層絶縁電線(強化絶縁電線)等が適している。
【0017】
出力巻線22は4組の出力コイル22(1)〜22(4)で構成されている。出力コイル22(1)は2つ1組であり、図5(c)に示すように、それぞれ第一基板36(1)の表裏の導体層に形成されている。第一基板36(1)は、例えばガラスエポキシ基板等であり、例えば、コイルの抵抗値を小さくするため、第一基板36(1)の配線パターン上に所定厚さの銅板を半田付けした導体層により出力コイル22(1)を形成してもよい。同様に、出力コイル22(2)〜22(4)も、それぞれ第一基板36(2)〜36(4)の表裏の導体層に形成されている。
【0018】
整流素子26は、4組のMOS型FET26(1)〜26(4)で構成されている。MOS型FET26(1)は2つ1組であり、それぞれ第一基板36(1)の表裏の導体層(各出力コイル22(1)の近傍の配線パターン)に半田付け実装されている。MOS型FET26(2)〜26(4)も同様に、それぞれ第一基板36(2)〜36(4)の表裏の導体層に形成されている。
【0019】
第一基板36(1)の外形は、後述する磁性コア44の内側に入る大きさである。出力コイル22(1)の内側には透孔38(1)が設けられ、透孔38(1)の直径は、後述する磁性コア44の中脚部44aよりも僅かに大きい。また、MOS型FET26(1)に近い端部の上側角部に、出力コイル22(1)と反対向きに突出する第一の端部40(1)が設けられ、2つの出力コイル22(1)の接続点を外部接続可能にしている。さらに、MOS型FET26(1)に近い端部の下側角部に、出力コイル22(1)と反対向きに突出する第二の端部42(1)が設けられ、2つのMOS型FET26(1)の接続点を外部接続可能にしている。第一基板36(2)〜36(4)もほぼ同様の構造であり、それぞれ、透孔38(1)に対応する透孔38(2)〜38(4)、第一の端部40(1)に対応する第一の端部40(2)〜40(4)、及び第二の端部42(1)に対応する第二の端部42(2)〜42(4)が設けられている。
【0020】
なお、整流回路28は、同期整流型の整流回路なので、MOS型FET26(1)〜26(4)を駆動するための図示しない駆動回路を有している。MOS型FET26(1)〜26(4)は、上述した高周波電流ループの一部になるので、高周波電流ループを小さくするため、第一基板36(1)〜36(4)の出力コイル22(1)〜22(4)の近傍に実装する必要があるが、駆動回路は、高周波電流ループの一部ではないので、第一基板36(1)〜36(4)以外の基板に実装してもよく、第一基板36(1)〜36(4)上に実装してもよい。
【0021】
トランス24は、フェライト材などで成る磁性コア44を有している。磁性コア44は、図5(d)に示すように、例えばPQ型やEE型の外形で、中脚部44aの両側に一対の外脚部44bを備えている。
【0022】
さらに、トランス24の内部には、絶縁性を向上させるための絶縁紙46が設けられている。絶縁紙46の素材としては、絶縁性、加工性、耐熱性、難燃性に優れたメタ系アラミド繊維等が適している。絶縁紙46は、ブランクを帯状に打ち抜いた後、つづら折り状に折り曲げることによって、8つの面が厚み方向に重なっている。8つの面は、それぞれコイル22(1)〜22(4)を覆う大きさである。8つの面の各中央部には、透孔48がほぼ同軸に配置されるように設けられ、透孔48の直径は、磁性コア44の中脚部44aの直径よりも僅かに大きい。
【0023】
第一及び第二のバスバー32,34は、それぞれ、銅板又は真鍮板等に複数の加工(打ち抜き加工、曲げ加工、穴開け加工等)を施すことによって一体に形成されている。第一のバスバー32は、出力電圧のプラス側電位を出力するためのバスバーであり、第二のバスバー34は、出力電圧のマイナス側電位を出力するためのバスバーであり、図6(a)〜(d)に示すように、樹脂製の連結部材50を介して互いに連結され固定されている。
【0024】
第一のバスバー32は、第一基板36(1)〜36(4)の各導電層に接続される接続部52と、外部負荷が接続される出力部54と、接続部52と出力部54とを連結する連結部56とを有し、ほぼ水平な連結部56に対して、接続部52及び出力部54がそれぞれ上向きに折り曲がって起立している。接続部52の上端部には、スリット状に形成された切り込みで成る4つの基板受け部52a(1)〜52a(4)が設けられている。基板受け部52a(1)〜52a(4)は、それぞれ、第一基板36(1)〜36(4)の第一の端部40(1)〜40(4)を差し込むことができる形状になっている。出力部54には、外部負荷を接続するための電線(比較的太い電線)を接続するための取り付け穴が設けられている。
【0025】
第二のバスバー34は、第一基板36(1)〜36(4)の各導電層に接続される接続部58と、外部負荷が接続される出力部60と、接続部58と出力部60とを連結する連結部62とを有し、ほぼ水平な連結部62に対して、接続部58及び出力部54がそれぞれ下向きに折り曲がって起立している。接続部58の下端部には、スリット状に形成された切り込みで成る4つの基板受け部58a(1)〜58a(4)が設けられている。基板受け部58a(1)〜58a(4)は、それぞれ、第一基板36(1)〜36(4)の第二の端部42(1)〜42(4)を差し込むことができる形状になっている。出力部60には、外部負荷を接続するための電線(比較的太い電線)を接続するため取り付け穴が設けられている。
【0026】
連結部材50は、第一及び第二のバスバー32,34の連結部56,62同士を連結する部材であり、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂をインサート成形することによって設けられている。連結部材50は略長方形の薄板状で、厚み方向のほぼ中央部に、4つの側周面に連続する溝部50aが設けられている。
【0027】
第一及び第二のバスバー32,34は、連結部材50によって連結固定された状態で、連結部56,62の上面と下面が互いに面一に配置されている。そして、面一になっている各部分から、それぞれ接続端子56a及び接続端子62aが上向き及び下向きに起立している。接続端子56aは、第一の連結部56を厚み方向に貫通する透孔内に金属ピンを挿通し、接合する(例えば、かしめる)ことによって設けられ、接続端子62aも同様に、第二の連結部62を厚み方向に貫通する透孔内に金属ピンを挿通し、接合することによって設けられている。接続端子56a,62aは、平滑回路30の構成部品である出力コンデンサ68(1),68(2)を第一及び第二のバスバー32,34に接続するために使用される。
【0028】
平滑回路30は、出力インダクタ64、4つのコンデンサ66(1)〜66(4)、及び2つの出力コンデンサ68(1),68(2)とで構成されたπ型のフィルタ回路である。出力インダクタ64は、第二のバスバー34の連結部62の周面に、磁性コア69を装着することによって設けられる。磁性コア69は、例えば図7に示すように、Uコア69aとIコア69bと突き合せて四角形の閉磁路を形成するタイプが適している。フェライト材を使用する場合は、Uコア69aとIコア69bの間にギャップ材69cを挟み、インダクタンス特性(直流重畳特性)を調節するとよい。
【0029】
π型の1段目のコンデンサ66(1)〜66(4)は、それぞれ第一基板36(1)〜36(4)に実装されている(図2図3、及び図5では省略してある)。2段目の出力コンデンサ68(1),68(2)は、図8に示すように、それぞれ、ガラスエポキシ基板等である第二基板70(1),70(2)に実装される。第二基板70(1)には、出力コンデンサ68(1)のプラス側及びマイナス側を外部接続可能にする一対のスルーホール70a(1)が設けられ、第二基板70(2)にも同様に、出力コンデンサ68(2)のプラス側及びマイナス側を外部接続可能にする一対のスルーホール70a(2)が設けられている。
【0030】
次に、出力側回路ユニット18の組み立て方法の一例を説明する。まず、第一基板36(1)〜36(4)を用意し、出力コイル22(1)〜22(4)を設けるとともにMOS型FET26(1)〜26(4)を実装する。また、第二基板68(1),68(2)を用意し、出力コンデンサ68(1),68(2)を実装する。さらに、所定の電線を用いて入力コイル20(1),20(2)を巻回した後、これらを組み合わせることによって、4層の平面状コイルが同軸に連続した入力巻線20を製作する。
【0031】
次に、連結部材50で連結固定された第一及び第二のバスバー32,34を用意し、第二のバスバー34の連結部62に出力インダクタ64を形成する作業を行う。まず、連結部62の少し細くなった部分62bにUコア69aを差し込み、Uコア69aの脚部の先端部分にIコア69bの一側面を突き合せて(必要があればギャップ材69cを挟み)、接着剤等で一体に固定する。これで連結部62の周面に磁性コアが装着された状態になり、出力インダクタ64が形成される。
【0032】
次に、第一及び第二のバスバー32,34の連結部56,62に、出力コンデンサ68(1),68(2)を接続する作業を行う。まず、第二基板70(1)の裏面側(出力コンデンサ68(1)が実装されていない側)を連結部56,62の上面に当接させ、一対のスルーホール70a(1)内に接続端子56a,62aを挿通させて半田付けを行い、相互に固定する。同様に、第二基板70(2)の裏面側(出力コンデンサ68(2)が実装されていない側)を連結部56,62の下面に当接させ、一対のスルーホール70a(2)内に接続端子56a,62aを挿通させて半田付けを行い、相互に固定する。連結部56と連結部62は、上面同士及び下面同士が面一なので、第二基板70(1),70(2)を適切に位置決めすることができる。
【0033】
次に、第一及び第二のバスバー32,34の接続部52,58にトランス24の出力巻線22及び整流素子26を接続する作業を行う。まず、第一基板36(1)を2つの接続部52,58とほぼ直角に交差する向きに配置し、第一の端部40(1)を基板受け部52a(1)内に差し込み、第二の端部42(2)を基板受け部58a(1)内に差し込み、それぞれ半田付けを行って相互に固定する。これで、第一基板36(1)の導電層及び接続部52,58が接続され、第一基板36(1)が接続部52,58にしっかり固定される。その後、第一基板36(2)〜36(4)についても同様の作業を行う。4つの第一基板36(1)〜36(4)は、接続部52,58に取り付けられた状態で、所定の間隔を空けて対向し、透孔38(1)〜38(4)が同軸に配置される。
【0034】
次に、トランス24を組み立てる作業を行う。まず、4つの第一基板36(1)〜36(4)に絶縁紙46を装着する。具体的には、絶縁紙46を、第一基板36(1)〜36(4)が隙間Sa(1)〜Sa(4)の中に収まるように差し込み、透孔48が第一基板36(1)〜36(4)の透孔38(1)〜38(4)と同軸になるように配置する。そして、入力巻線20を、絶縁紙46の隙間Sb(1)〜Sb(3)の中に3つの平面コイルが収まるように差し込み、透孔21が第一基板36(1)〜36(4)の透孔38(1)〜38(4)と同軸になるように配置する。そして、磁性コア44を、中脚部44aが各透孔21,38(1)〜38(4),48内に連通するように両側から差し込み、接着剤又はテープを用いて一体に固定する。その後、トランス24内部の絶縁性をさらに強化するため、トランス24全体をワニスに含浸して乾燥させる作業を行ってもよい。これで、出力側回路ユニット18の組み立てが終了し、図2図3に示す状態になる。
【0035】
出力側回路ユニット18は、他の部材とともに金属筐体12内に収容され、図1に示すスイッチング電源装置10の状態になる。出力側回路ユニット18は、金属筐体12の底板上に固定され、第一及び第二のバスバー32,34の出力部54,60が、金属筐体12の開口12aから外側に突出する。このとき、開口12aの周縁部が、樹脂製の連結部材50の溝部50aに深く入って係合し、出力部54,60が正確に位置決めされ、固定される。
【0036】
以上説明したように、スイッチング電源装置10は、第一基板36(1)〜36(4)の出力コイル22(1)〜22(4)によりトランス24の出力巻線22を構成し、整流素子26(MOS型FET26(1)〜26(4))を第一基板36(1)〜36(4)上の出力コイル22(1)〜22(4)近傍に実装する構造なので、出力巻線22に接続される高周波電流ループを従来よりも小さくすることができ、高周波電流と寄生インダクタンス成分による損失を大幅に低減することができる。また、出力巻線22、整流回路28及び平滑回路30を、抵抗値の低い金属製のバスバー32,34で連結する構造なので、大電流が流れる経路の抵抗値が低く抑えられ、配線抵抗による損失も小さい。
【0037】
出力巻線22及び整流素子26とバスバー32,34との接続部分は、バスバー32,34にスリット状の基板受け部52a(1)〜52a(4),58a(1)〜58a(4)を設け、各基板受け部に第一基板36(1)〜36(4)の端部40(1)〜40(4)と42(1)〜42(4)を差し込んで半田接続するという独特な構造である。したがって、ドライバを用いてネジ締めを行う作業が不要になり、非常にコンパクトで組み立てやすく、しかも十分な接続強度を得ることができる。
【0038】
また、出力コンデンサ68(1),68(2)とバスバー32,34との接続部分は、バスバー32,34に設けた接続端子56a,62aを第二基板70(1),70(2)のスルーホール70a(1),70a(2)に差し込み、半田接続するという独特な構造である。また、出力インダクタ64についても、第二のバスバー34の周面に磁性コア69(Uコア69a、Iコア69b及びギャップ材69c)を装着するという構造である。したがって、非常にコンパクトで組み立てやすい平滑回路30を得ることができる。
【0039】
次に、第一及び第二のバスバーの第一変形例について、図9に基づいて説明する。ここで、上記の第一及び第二のバスバー32,34と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
第一変形例の第一のバスバー72は、図9に示すように、第一のバスバー32と同様の出力部54及び連結部56を有しているが、接続部76の構造が上記接続部52と少し異なっている。接続部76は、連結部56に対して上向きに折り曲がって起立し、その上端部に、スリット状に形成された透孔で成る6つの基板受け部76a(1)〜76a(6)が設けられているという特徴がある。基板受け部の数が4つから6つに増えているのは、6つの第一基板を接続するためである。また、基板受け部の形状が切り込みから透孔に変更されているのは、第一基板と基板受け部とが半田付けされる面積を広くして接続部分の抵抗値をより低くするためである。
【0041】
また、この変形例の第二のバスバー74は、図9に示すように、第二のバスバー34と同様の出力部60及び連結部62を有しているが、接続部78の構造が上記接続部58と少し異なっている。接続部78は、連結部62に対して上向きに起立し、その上端部に、スリット状に形成された切り欠きで成る6つの基板受け部78a(1)〜78a(6)が設けられているという特徴がある。基板受け部の数が4つから6つに増えているのは、6つの第一基板を接続するためである。また、ここでは基板受け部の形状が切り込みであるが、上記と同様に、透孔に変更してもよい。
【0042】
例えば、スイッチング電源装置10よりも出力電流が大きい電源装置を設計する場合、出力巻線22の抵抗値を総合的に低くするため、第一基板を4つから6つに増やすことが考えられる。このような場合、上記の第一及び第二のバスバー32,34に代えて、第一及び第二のバスバー72,74を使用するとよい。
【0043】
次に、第一及び第二のバスバーの第二変形例について、図10に基づいて説明する。ここで、上記の第一及び第二のバスバー32,34と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
第二変形例の第一のバスバー80は、第一のバスバー32よりも薄手の金属板で形成されている。また、図10に示すように、第一のバスバー32と同様の接続部52及び連結部56を有しているが、出力部84の構造が上記出力部54と異なっている。出力部84の形状は、連結部56から真っすぐに延びて途中で下向きに屈曲し、図10(b)に破線で示すように、正面視でL字状になっている。そして、L字状の2つの面に、それぞれ、外部負荷を接続するための電線(比較的細い電線)を簡単に接続できるようにするネジが取り付けられている。
【0045】
連結部56の接続端子は、上記のように金属ピンを接合して設けるのではなく、連結部56の一部を切り起こすことによって設けている。つまり、第二基板70(1)を接続する接続端子56a(1)は、連結部56の一部を上向きに切り起こすことによって設け、第二基板70(2)を接続する接続端子56a(2)は、連結部56の一部を下向きに切り起こすことによって設けている。
【0046】
また、この変形例の第二のバスバー82は、第二のバスバー34よりも薄手の金属板で形成されている。また、図10に示すように、第二のバスバー34と同様の接続部58及び連結部62を有しているが、出力部86の構造が上記出力部60と異なっている。出力部86は、連結部62から真っすぐに延びて途中で下向きに屈曲し、正面視でL字状になっている。そして、L字状の2つの面に、それぞれ、外部負荷を接続するための電線(比較的細い電線)を簡単に接続できるようにするネジが取り付けられている。
【0047】
連結部62の接続端子は、上記のように金属ピンを接合して設けるのではなく、連結部62の一部を切り起こすことによって設けている。つまり、第二基板70(1)を接続する接続端子62a(1)は、連結部62の一部を上向きに切り起こすことによって設け、第二基板70(2)を接続する接続端子62a(2)は、連結部62の一部を下向きに切り起こすことによって設けている。
【0048】
さらに、第一及び第二のバスバー80,82を連結固定する固定部材88は、図10(d)に示すように、平面視で逆E字状に形成され、3つの延設部によって出力部84,86を区
切っている。 例えば、スイッチング電源装置10の最大出力電流が相対的に小さい機種(例えば、出力電力が同等で、出力電圧が高い機種)を設計する場合、やや薄手の金属板で成る2つのバスバー80,82を使用することによって、コストダウンを図ることができる。また、第二基板を接続する接続端子56a(1),56a(2),62a(1),62a(2)についても、切り起こし加工によって安価に設けることができる。また、最大出力電流が相対的に小さい場合は、外部負荷を接続するための電線は比較的細いものが使用されるので、出力部84,86のような構造にすれば、ユーザが簡単に電線を着脱することができる。
【0049】
なお、本発明のスイッチング電源装置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記のスイッチング電源装置10の場合、出力コンデンサは、第二基板に実装され、第二基板を介して2つのバスバーに接続しているが、これ以外の方法で2つのバスバーに接続してもよい。
【0050】
また、バスバーは少なくとも1つあればよく、プラス側の電位かマイナス側の電位のどちらか一方を、バスバー以外の方法で接続してもよい。
【0051】
出力側回路ユニット18の組み立て方法は、上述した方法に限定されるものではなく、適宜変更することができる。また、出力側回路ユニット18を構成する各部材の形状や大きさは、上述した本発明の目的を達成できる範囲で自由に変更することができる。例えば、上記の組み立て方法を使用するときは、2つのバスバーが連結部材で互いに固定されていると都合がよいが、他の組み立て方法を使用する場合、必要に応じて連結部材を省略することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 スイッチング電源装置
18 出力側回路ユニット
20 入力巻線
22 出力巻線
22(1)〜22(4) 出力コイル
24 トランス
26 整流素子
28 整流回路
30 平滑回路
32,72,80 第一のバスバー
34,74,82 第二のバスバー
36(1)〜36(4) 第一基板
40(1)〜40(4) 第一の端部
42(1)〜42(4) 第二の端部
50,88 連結部材
52,58,76,78 接続部
52a(1)〜52a(4),58a(1)〜58a(4),76a(1)〜76a(6),78a(1)〜78a(6) 基板受け部
54,60,84,86 出力部
56,62 連結部
56a,56a(1),56a(2),62a,62a(1),62a(2) 接続端子
64 出力インダクタ
68(1),68(2) 出力コンデンサ
69 磁性コア
69a Uコア
69b Iコア
69c ギャップ材
70(1),70(2) 第二基板
70a(1),70a(2) スルーホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10