特許第6556119号(P6556119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556119少なくとも1頭の動物の餌の消費を決定するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556119
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】少なくとも1頭の動物の餌の消費を決定するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A01K 5/00 20060101AFI20190729BHJP
   A01K 29/00 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   A01K5/00 Z
   A01K29/00
【請求項の数】35
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-506790(P2016-506790)
(86)(22)【出願日】2014年4月10日
(65)【公表番号】特表2016-514482(P2016-514482A)
(43)【公表日】2016年5月23日
(86)【国際出願番号】DK2014050087
(87)【国際公開番号】WO2014166498
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2017年3月31日
(31)【優先権主張番号】PA201370195
(32)【優先日】2013年4月10日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】515282083
【氏名又は名称】ヴァイキング ジェネティクス エフエムベーア
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ボアシェルセン, セーレン
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン, ニールス ウォルセ
(72)【発明者】
【氏名】ボアゴアド, クラオス
【審査官】 川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0103847(US,A1)
【文献】 特開2003−247805(JP,A)
【文献】 特開2011−177116(JP,A)
【文献】 国際公開第01/017340(WO,A1)
【文献】 特開2012−205555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 5/00− 9/00
A01K 29/00
A01K 39/00−39/06
A01K 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の採餌領域において採餌している1頭以上の動物の餌の消費を決定するための動物監視システムであって、
−一連のレンジ画像を取得するために前記共通の採餌領域をレンジ画像化するための画像化ユニットであって、前記レンジ画像の各々は、前記画像化ユニットと前記共通の採餌領域との間の距離を表す情報を含む画像である、画像化ユニットと、
−それぞれの採餌している動物を固有に識別するように構成された識別手段と、
前記動物が採餌している期間にわたって取得された前記一連のレンジ画像内の少なくとも2つのレンジ画像を処理し、前記少なくとも2つのレンジ画像の間の前記餌の減少をそれぞれの識別された動物の前記餌の消費に相関させることによって、それぞれの識別された動物によって消費された前記餌の量を評価するように構成された処理手段と
を備える、動物監視システム。
【請求項2】
前記画像化ユニットは、1つ以上のカメラを備え、前記1つ以上のカメラの各々は、深さセンサを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記画像化ユニットは、ステレオカメラ、飛行時間型カメラ、構造化光カメラ、光照射野カメラからなる群から選択された1つ以上のカメラを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記画像化ユニットは、地形的画像を取得するように構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記画像化ユニットは、前記共通の採餌領域の少なくとも一部を連続的に画像化するように構成されている、請求項1〜4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記画像化ユニットは、所定の時点および/または選択された時点における前記共通の採餌領域の少なくとも一部を画像化するように構成されている、請求項1〜5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記画像化ユニットは、前記共通の採餌領域の所定の部分および/または選択された部分を画像化するように構成されている、請求項1〜6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記画像化ユニットは、所定の時点および/または選択された時点における前記共通の採餌領域の所定の部分および/または選択された部分を画像化するように構成されている、請求項1〜7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記画像化ユニットの位置および/または角度、および/または、前記画像化ユニットのカメラの位置および/または角度を制御するための手段を更に備える、請求項1〜8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記画像化ユニットは、固定されるように構成されている、請求項1〜9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも2つのレンジ画像の間の餌の減少は、対応する画像領域の高さの差異を計算することと、この差異の量を決定することとによって決定される、請求項1〜10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも2つのレンジ画像の間の餌の減少は、各画像における前記餌を識別することと、前記少なくとも2つのレンジ画像における餌を表わす、対応する画像領域の高さの差異を計算することとによって決定される、請求項1〜11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記画像化ユニットの少なくとも2つのレンジカメラは、画像を同時に取得するように構成されており、前記画像化ユニットの少なくとも2つのレンジカメラの各々は、深さセンサを備え、前記処理手段は、前記共通の採餌領域における前記餌の量を決定するために前記画像を組み合わせるように適合されている、請求項1〜12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記識別手段は、1つ以上の動物への取り付けのための識別タグを備える、請求項1〜13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記識別手段は、各動物に取り付けられた識別タグによって採餌している動物を識別するように構成されている、請求項1〜14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
前記識別手段は、前記動物に取り付けられた識別タグの色コードを識別することによって、採餌している動物を識別するように構成されている、請求項1〜15のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記識別手段は、RF識別タグを装着している動物を無線で識別するのに適した1つ以上のRF識別タグ読み取り装置を備える、請求項1〜16のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記識別タグは、RFタグまたはRFIDタグである、請求項14〜17のいずれかに記載のシステム。
【請求項19】
前記識別タグは、文字、数字および/または記号、または、色、記号および/またはパターンコードを含む可視タグである、請求項14〜18のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記システムは、識別された動物が採餌行為を開始する時点、停止する時点および/または終了する時点を決定するように構成されている、請求項1〜19のいずれかに記載のシステム。
【請求項21】
前記システムは、識別された動物が前記共通の採餌領域から前記動物の頭部を去らせるときを決定するように構成されている、請求項1〜20のいずれかに記載のシステム。
【請求項22】
前記システムは、識別された動物が前記共通の採餌領域から前記動物の頭部を去らせるときに、あるいは識別された動物が採餌行為を開始するおよび/または終了するときに、レンジ画像が取得されるように構成されており、前記レンジ画像は、前記画像化ユニットと前記共通の採餌領域との間の距離を表す情報を含む画像である、請求項1〜21のいずれかに記載のシステム。
【請求項23】
前記処理手段は、前記共通の採餌領域の画像を1、2、3、4またはそれ以上の動物の特定の部分に分割するように構成されており、各動物の特定の部分が、識別された動物に対応する、請求項1〜22のいずれかに記載のシステム。
【請求項24】
前記処理手段は、前記動物の前部または頭部の位置に基づいて、前記共通の採餌領域の画像の動物の特定の部分を選択するように構成されている、請求項1〜23のいずれかに記載のシステム。
【請求項25】
前記動物の特定の部分は、前記動物の前の所定の領域である、請求項23〜24のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
前記動物の特定の部分は、前記動物の位置に対する所定の領域である、請求項23〜24のいずれかに記載のシステム。
【請求項27】
前記餌は、粗飼料、濃縮物、および/または、これらの混合物である、請求項1〜26のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
共通の採餌領域において採餌している1頭以上の動物の餌の消費を評価するための方法であって、
−画像化ユニットが、前記動物が餌を採餌している期間にわたって前記共通の採餌領域の一連のレンジ画像を取得することであって、前記レンジ画像の各々は、前記画像化ユニットと前記共通の採餌領域の少なくとも一部との間の距離を表す情報を含む画像である、ことと、
−前記レンジ画像の少なくとも2つにおける前記餌を消費する動物のうちの少なくとも1頭を識別することと、
−少なくとも2つの前記レンジ画像の間の前記餌の減少をそれぞれの識別された動物の餌の消費に相関させることによって、それぞれの識別された動物によって消費された前記餌の量を評価することと
を含む、方法。
【請求項29】
共通の採餌領域において採餌している家畜における複数の動物の相対的な餌の消費を評価するための方法であって、
−画像化ユニットが、前記動物が採餌している期間にわたって異なる時間に前記共通の採餌領域の一連のレンジ画像を取得することであって、前記一連のレンジ画像の各々は、前記画像化ユニットと前記共通の採餌領域の少なくとも一部との間の距離を表す情報を含む画像である、ことと、
−餌を消費する全ての動物を識別することと、
−識別された動物を表示する少なくとも2つのレンジ画像の間の前記餌の減少を決定することによって、それぞれの識別された動物によって消費された前記餌の量を評価することと、
−残りの識別された動物によって消費された前記餌の量に対して1頭の識別された動物によって消費された前記餌の量を決定することと
を含む、方法。
【請求項30】
前記レンジ画像は、連続的にまたは選択された時点で取得される、請求項28〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも2つのレンジ画像の間の前記餌の減少は、対応する画像領域の高さの差異を計算することと、この差異の量を決定することとによって決定される、請求項28〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも2つのレンジ画像の間の前記餌の減少は、各画像における前記餌を識別することと、前記少なくとも2つのレンジ画像における餌を表わす、対応する画像領域の高さの差異を計算することとによって決定される、請求項28〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
動物は、前記動物に取り付けられた可視タグまたは無線で読み取り可能なタグによって識別される、請求項28〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
動物が、採餌行為を開始するとき、停止するときおよび/または終了するときに、前記共通の採餌領域の少なくとも一部の前記一連のレンジ画像のうちの1つのレンジ画像が取得される、請求項28〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記共通の採餌領域の少なくとも一部の前記一連のレンジ画像のうちの1つのレンジ画像は、動物が前記共通の採餌領域から頭部を去らせるときに取得される、請求項28〜34のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、家畜における少なくとも1頭の動物の餌の消費を決定するための及び/または家畜における複数の動物の個別の餌の消費を決定するためのシステムならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家畜、例えば畜牛などのための餌は、主に濃縮物や粗飼料として与えられる。高エネルギーの餌の濃縮物は、菜種粕、大豆粉、及びミネラルやビタミンを含むのに対して、繊維の多い粗飼料は、牧草サイレージ、コーンサイレージ、アルファルファ、あるいは牧草の種または穀類作物からのわらを含む。しかしながら、動物のための餌は、本明細書において使用されている様に、濃縮物、粗飼料、添加物、副産物、ならびに一般に動物によって食べられ得、消化され得る任意のものを含み得る。
【0003】
いくつかの農業家は、動物に提供される濃縮物の量を管理して監視するために、濃縮物と粗飼料を分離して、それぞれを別個に提供することを好み、餌の濃縮物を投与するためのシステムが、当分野において既知である。しかしながら、濃縮物と粗飼料(ならびに他の関連した及び適切な動物の餌)を混合して、例えば牛舎内の、通常の採餌領域を通してこの混合物を動物に提供することがますます一般的になってきている。採餌領域は、典型的には、場合によっては同時に採餌領域で採餌している、多くの動物に共通である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
農業家は、動物に対して購入され分配された餌の総量を監視するので、家畜全体についての餌の消費の合計は、容易に決定されるが、家畜における個別の動物の餌の消費を監視することは難題である。先行技術のシステムは、餌の量を計量すること及び特定の動物に別個に供給することに基づくが、それは、適切ではないし、費用効率が良い解決策ではない。しかし、餌が牛舎内の共通の採餌領域上に分配されるとき、農業家は、個別の動物の餌の消費を評価するすべがない。従って、本開示の目的は、家畜における少なくとも1頭の動物の餌の消費を決定するための、また、家畜における複数の動物の個別の餌の消費を決定するための及び/または比較するための方法ならびにシステムを提供することである。特に、本開示の目的は、共通の採餌領域において採餌している複数の動物間の個別の動物についての餌の消費を監視する、決定する及び/または比較することである。従って、一実施形態は、採餌領域において採餌している1頭以上の動物の餌の消費を決定するための動物監視システムであって、採餌領域をレンジ画像化(range imaging)するための画像化ユニットと、それぞれの採餌している動物を固有に識別するように構成された識別手段と、それぞれ識別された動物の前の採餌領域の後続の画像における餌の減少を決定することによって、それぞれの識別された動物によって消費された餌の量を評価するために構成された処理手段と、を備える、動物監視システムに関する。
【0005】
別の実施形態は、家畜における少なくとも1頭の動物の餌の消費を決定するためのシステムであって、少なくとも1頭の動物に取り付けられ、それによって、特定の動物が識別され得る少なくとも1つの識別タグと、少なくとも1頭の動物がアクセスできる餌を有する採餌領域と、異なる時間に採餌領域における餌の画像を取得するように適合される少なくとも1つのカメラと、少なくとも2つの画像上に表わされるような餌の減少を分析することによって、識別された特定の動物によって消費された餌を決定するように適合される処理手段と、を備える、システムに関する。
【0006】
現在、開示された動物監視システムが、好適には、家畜を収容する建物、例えば牛舎などにおける設置に適する。更に、餌は、例えば牛などの動物に適切な任意の餌、特に粗飼料、濃縮物、及び/またはそれらの混合物であり得る。
【0007】
更なる実施形態は、採餌領域において採餌している1頭以上の動物の餌の消費を評価するための方法であって、
−異なる時間に採餌領域のレンジ画像を取得することと、
−当該レンジ画像の少なくとも2つにおける当該餌を消費する動物のうちの少なくとも1頭を識別することと、
−少なくとも2つの当該レンジ画像間の餌の減少を決定することによって、それぞれの識別された動物によって消費された餌の量を評価することと、を含む、方法に関する。
【0008】
なお更なる実施形態は、採餌領域において採餌している家畜における複数の動物の相対的な餌の消費を評価するための方法であって、
−異なる時間に採餌領域のレンジ画像を取得し、
−餌を消費する全ての動物を識別し、
−識別された動物を表示する少なくとも2つのレンジ画像間の餌の減少を決定することによって、それぞれの識別された動物によって消費された餌の量を評価し、
−残りの識別された動物によって消費された餌の量に対して1頭の識別された動物によって消費された餌の量を決定する、方法に関する。
【0009】
それ故、上述したシステム及び方法を用いて、餌の減少のレンジ画像化が、各動物によって消費された餌の量を提供し得るので、各動物が消費した餌の量を決定することが可能であり、それによって、農業家は、例えば家畜全体についての及び/または家畜における各個別の動物についての消費の全体像を得ることができる。各動物からの出力、例えばミルクの生産と相関させることによって、各動物についての貢献差益が決定され得る。これは、農業家が、個別の動物及び/または家畜全体の効率、費用対効果ならびに環境上の影響を計算することを可能にする。これらの計算に基づいて、農業家は、例えば、繁殖に最も適した動物を識別し得る。加えて、個別の動物についての餌の摂取における変動が、健康状態及び動物が発情期であるときを検出するために使用され得る。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
採餌領域において採餌している1頭以上の動物の餌の消費を決定するための動物監視システムであって、
−前記採餌領域をレンジ画像化するための画像化ユニットと、
−それぞれの採餌している動物を固有に識別するように構成された識別手段と、
−それぞれの識別された動物の前の前記採餌領域の後続の画像における前記餌の減少を決定することによって、それぞれの識別された動物によって消費された前記餌の量を評価するために構成された処理手段と、を備える、動物監視システム。
(項目2)
前記画像化ユニットが、1つ以上のレンジカメラ、例えば1つ以上のステレオカメラ、1つ以上の飛行時間型カメラ、または1つ以上のステレオカメラなどを備える、項目1に記載のシステム。
(項目3)
各レンジカメラが、深さセンサ及び2Dカメラ、例えばRGBカメラなどを備える、項目1〜2のいずれかに記載のシステム。
(項目4)
前記画像化ユニットが、地形的画像を取得するために構成される、項目1〜3のいずれかに記載のシステム。
(項目5)
前記画像化ユニットが、前記採餌領域の少なくとも一部を連続的に画像化するために構成される、項目1〜4のいずれかに記載のシステム。
(項目6)
前記画像化ユニットが、所定の及び/または選択された時点における前記採餌領域の少なくとも一部を画像化するために構成される、項目1〜5のいずれかに記載のシステム。
(項目7)
前記画像化ユニットが、前記採餌領域の所定の及び/または選択された部分を画像化するために構成される、項目1〜6のいずれかに記載のシステム。
(項目8)
前記画像化ユニットが、所定の及び/または選択された時点における前記採餌領域の所定のならびに/あるいは選択された部分を画像化するために構成される、項目1〜7のいずれかに記載のシステム。
(項目9)
前記画像化ユニットの位置及び/または角度、ならびに/あるいは前記画像化ユニットのカメラの位置及び/または角度を制御するための手段を更に備える、項目1〜8のいずれかに記載のシステム。
(項目10)
前記画像化ユニットが、固定されるように構成される、項目1〜9のいずれかに記載のシステム。
(項目11)
前記後続の画像間の餌における減少が、対応する画像領域の高さにおける差異を計算して、この差異の量を決定して、決定される、項目1〜10のいずれかに記載のシステム。
(項目12)
前記後続の画像間の餌における減少が、各画像における前記餌を識別することと、後続の画像における餌を表わす、例えば画素などの対応する画像領域の高さにおける差異を計算することと、によって決定される、項目1〜11のいずれかに記載のシステム。
(項目13)
前記画像化ユニットの少なくとも2つのレンジカメラが、画像を同時に取得するように構成され、前記処理手段が、前記採餌領域における前記餌の量を決定するために前記画像を組み合わせるように適合される、項目1〜12のいずれかに記載のシステム。
(項目14)
前記識別手段が、当該(複数可)動物への取り付けのための識別タグを備える、項目1〜13のいずれかに記載のシステム。
(項目15)
前記識別手段が、各動物に取り付けられた識別タグによって採餌している動物を識別するように構成される、項目1〜14のいずれかに記載のシステム。
(項目16)
前記識別手段が、前記動物に取り付けられた識別タグの色コードを識別することによって、採餌している動物を識別するように構成される、項目1〜15のいずれかに記載のシステム。
(項目17)
前記識別手段が、RF識別タグを装着している(複数可)動物を無線で識別するのに適した1つ以上のRF識別タグ読み取り装置を備える、項目1〜16のいずれかに記載のシステム。
(項目18)
前記識別タグが、RFタグ、例えばRFIDタグなどである、項目14〜17のいずれかに記載のシステム。
(項目19)
前記識別タグが、文字、数字及び/もしくは記号、または色、記号及び/またはパターンコードを含む可視タグである、項目14〜18のいずれかに記載のシステム。
(項目20)
前記システムが、識別された動物が採餌行為を開始する、停止する及び/または終了する時点を決定するように構成される、項目1〜19のいずれかに記載のシステム。
(項目21)
前記システムが、識別された動物が前記採餌領域から頭部を去らせるときを決定するように構成される、項目1〜20のいずれかに記載のシステム。
(項目22)
前記システムが、識別された動物が前記採餌領域から前記頭部を去らせるときに、あるいは識別された動物が採餌行為を開始する及び/または終了するときに、レンジ画像が取得されるように構成される、項目1〜21のいずれかに記載のシステム。
(項目23)
前記処理手段が、前記採餌領域の画像を1、2、3、4またはそれ以上の動物の特定の部分に分割するように構成され、各動物の特定の部分が、識別された動物に対応する、項目1〜22のいずれかに記載のシステム。
(項目24)
前記処理手段が、当該動物の前部または前記頭部の位置に基づいて、前記採餌領域の画像の動物の特定の部分を選択するように構成される、項目1〜23のいずれかに記載のシステム。
(項目25)
当該動物の特定の部分が、当該動物の前の領域、例えば所定の領域など、例えば前記動物の前記位置に対する所定の領域などである、項目23〜24のいずれかに記載のシステム。
(項目26)
前記餌が、粗飼料、濃縮物、及び/またはそれらの混合物である、項目1〜25のいずれかに記載のシステム。
(項目27)
採餌領域において採餌している1頭以上の動物の餌の消費を評価するための方法であって、
−異なる時間に前記採餌領域のレンジ画像を取得することと、
−当該レンジ画像の少なくとも2つにおける当該餌を消費する動物のうちの少なくとも1頭を識別することと、
−少なくとも2つの当該レンジ画像間の前記餌の減少を決定することによって、それぞれの識別された動物によって消費された前記餌の量を評価することと、を含む、方法。
(項目28)
採餌領域において採餌している家畜における複数の動物の相対的な餌の消費を評価するための方法であって、
−異なる時間に前記採餌領域のレンジ画像を取得し、
−餌を消費する全ての動物を識別し、
−識別された動物を表示する少なくとも2つのレンジ画像間の前記餌の減少を決定することによって、それぞれの識別された動物によって消費された前記餌の量を評価し、
−残りの識別された動物によって消費された前記餌の量に対して1頭の識別された動物によって消費された前記餌の量を決定する、方法。
(項目29)
前記レンジ画像が、連続的にまたは選択された時点で取得される、項目27〜28のいずれかに記載の方法。
(項目30)
後続の画像間の前記餌における減少が、対応する画像領域の高さにおける差異を計算することと、この差異の量を決定することと、によって決定される、項目27〜29のいずれかに記載の方法。
(項目31)
後続の画像間の前記餌における減少が、各画像における前記餌を識別することと、後続の画像における餌を表わす、例えば画素などの対応する画像領域の高さにおける差異を計算することと、によって決定される、項目27〜30のいずれかに記載の方法。
(項目32)
動物が、前記動物に取り付けられた可視タグまたは無線で読み取り可能なタグによって識別される、項目27〜31のいずれかに記載の方法。
(項目33)
動物が、採餌行為を開始する、停止する及び/または終了するときに、前記採餌領域の少なくとも一部のレンジ画像が取得される、項目27〜32のいずれかに記載の方法。
(項目34)
前記採餌領域の少なくとも一部のレンジ画像が、動物が前記採餌領域から頭部を去らせるときに取得される、項目27〜33のいずれかに記載の方法。
【0010】
発明は、以下において添付の図面を参照にしてより詳細に記載されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】発明のある実施形態の概略図。
図2】(図2a〜d)4頭の異なる牛の実際の餌の消費と計算された餌の消費との間の相関関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
画像化ユニットが、好適には、1つ以上のカメラ、好適にはレンジ画像化に適合されたカメラ、例えばレンジカメラなどを備える。本明細書において適用可能なレンジ画像化技法の実施例は、飛行時間型、ステレオ三角測量、構造化光、光照射野画像化等である。各レンジカメラは、深さセンサ及び2Dカメラ、例えばKinectカメラから知られるような、例えばRGBカメラなどが提供され得る。他の可能な解決策は、4D光照射野画像化のためのステレオカメラ(例えば、複数対の2Dカメラ)、飛行時間型カメラ、構造化光カメラ、または光照射野カメラである。画像化ユニットはまた、地形的画像を取得するために構成されてもよい。レンジ画像化を用いて、カメラから餌までの距離を決定して、それによって、より高い精密さをもって餌の量を決定することが可能である。
【0013】
画像化ユニットは、採餌領域の少なくとも一部を連続的に画像化するために構成され得る。例えば、画像化ユニットが、一連の画像を取得するように適合されてもよく、それは、ある期間にわたって動物の餌の消費を決定することを可能にする。例えば、画像化ユニットは、画像を連続的に取得し得、それによって、実時間における餌の消費の決定を可能にする。一実施形態において、画像化ユニットが、1分毎に少なくとも1つの画像、または1〜5分毎に少なくとも1つの画像を取得する。例えば、画像が、ビデオ信号として、あるいは毎分少なくとも1回、例えば、1、5、10、20または30秒毎に、取得される。取得される画像の数は、餌の消費を有効に監視するのに十分であるべきである。画像化ユニットは、所定の及び/または選択された時点における採餌領域の少なくとも一部を画像化するために構成され得る。すなわち、固定間隔で画像を連続的に取得する代わりに、システムは、例えば動物に関連した、一定の行動が画像または一連の画像の取得を誘発し得るように、構成されてもよい。それ故、システムは、識別された動物が採餌行為を開始する、停止する及び/または終了するときを決定するように構成されてもよい。あるいは、システムは、識別された動物が採餌領域から頭部を去らせるときを決定するように構成されてもよい。そのような行動は、1つ以上の画像の取得を結果としてもたらし得る。例えば、システムは、識別された動物が採餌領域から頭部を去らせるときに、あるいは識別された動物が採餌行為を開始する及び/または終了するときに、レンジ画像が取得されるように構成されてもよい。システムはまた、画像が固定間隔で連続的に取得されるように構成されてもよいが、一定の画像、例えば、所定の行動に関連する、例えば、採餌している動物に関連する画像だけが記憶される及び/または処理される。動物は、画像の取得の前に、画像の取得の間に、または画像の取得の後に、識別されてもよく、例えば、動物は、画像の処理の間に識別される。
【0014】
動物の餌は、必ずしも均質な混合物ではなく、餌の密度は、時折変動する可能性がある。従って、画像分析に基づいて、動物によって消費された餌の正確な重量を決定することは困難であり得る。動物によって消費された餌の量を評価する1つの手法は、レンジ画像化を使用しているときでさえ、採餌行為の始まりから終了までの及び/または動物が食べている間の餌の減少を決定することである。後続の画像間の餌における減少が、例えば画素などの対応する画像領域の高さにおける差異を計算して決定され得る。後続の画像間の「欠けている」要素もしくは量が、動物によって消費された餌である。餌は、各画像において識別されてもよく、または特定の動物に対応する仮想の採餌領域が、画像において識別されてもよいし、または選択されてもよく、それによって、後続の画像における餌を表わし、対応する画像領域だけが、餌の量における減少を決定するために選択される。レンジ画像が、そのような状況において有利であろう。
【0015】
画像化ユニットは、いくつかの画像が同時に取得されるように構成され得る。処理手段は、次いで、採餌領域における餌の量を決定するためにこれらの画像を組み合わせるように適合されてもよい。これによって、餌領域における餌の量が、より高い精密さをもって決定され得る。画像を組み合わせる技法はまた、画像のステッチングとして既知である。
【0016】
ある実施形態において、システムが、画像化ユニットの位置及び/または角度ならびに/あるいは画像化ユニットのカメラの位置及び/または角度を制御するための手段を更に備える。それによって、カメラまたは複数カメラが、餌の最適画像を確保する最適な位置まで移動され得、それは、動物の餌の消費のより正確な決定をもたらす。更に、餌に沿って移動すること及び画像を同時に取り込むことによって、少数のカメラを使用して、多くの量の餌をカバーすることを可能にさせる。
【0017】
代替的に、画像化ユニットは、固定されるように構成されてもよい。それは、より多くのカメラを要求し得るけれども、それは、設置するのが簡素かつ安価であり得、それによって、全体でより費用効率が良い。更に、より少ない量の移動カメラの代わりに、複数の固定カメラを使用して、これによって、画像に基づいてなされた測定の精度を向上させることが可能である。
【0018】
画像化ユニットは、採餌領域の所定の部分及び/または選択された部分を画像化するために更に構成されてもよい。これは、画像化ユニットの移動可能及び/または回転可能なカメラの場合であり得る。しかしながら、それはまた、画像化ユニットがいくつかのカメラを備える場合に、各カメラが採餌領域の異なる部分を見る場合であり得る。システムは、次いで、採餌領域の部分の画像だけを取得するように構成されてもよく、ここで、活動、例えば、採餌活動が登録される。システムの費用を削減するために、画像化ユニットにおけるカメラの量は、典型的には、監視される動物の数よりも少ない。それ故、各画像は、複数の動物を含有し得る。なおその上に、採餌領域は、いくつかの動物に対して共通であり得る。しかしながら、各動物が典型的には識別され得るので、各牛のための採餌領域が、典型的には、画像処理を用いて評価され得、動物が食べている間に画像が連続的に取得される場合、各動物の餌の消費は、後続の画像間の餌における減少を決定することによって依然として評価され得る。
【0019】
例えば処理手段は、採餌領域の画像を1、2、3、4またはそれ以上の動物の特定の部分に分割するように構成されてもよく、各動物の特定の部分が、識別された動物に対応し得る。すなわち、採餌領域(の少なくとも一部)を含有する画像化ユニットからの画像が、特定の識別された動物に従って分割されてもよい。分割は、各画像について予め決定され得、固定され得る。しかし、分割はまた、例えば、画像の少なくとも一部における識別された動物の識別及び/または位置に従って、カスタマイズされ得ならびに/あるいは連続的に更新され得る。例えば、処理手段は、当該動物の前部または頭部の位置に基づいて、採餌領域の画像の動物の特定部分を選択するように構成されてもよい。例えば、動物の特定部分は、当該動物の前にある領域、例えば所定の領域など、例えば動物の頭部などの例えば動物の位置に対する所定の領域などであってもよい。例えば、動物が採餌領域から頭部を去らせるときに、識別された動物の頭部の位置に対して画像内で選択される所定の領域。次いで、選択された採餌領域は、動物の頭部の位置に依存しており、画像のこの選択された採餌領域における餌だけが、後続の画像間の餌における減少を決定するために処理され、次いで、減少は、特定の期間において特定の動物によって食べられた餌の量に対応する。それによって、この特定の識別された動物が一定の食べる期間に何を食べたかという情報が決定され得、各動物によって食べられた餌の総量が、これらの期間のそれぞれにおいて食べられた量を加算することによって、見い出され得る。それによって、システムは、複数の動物が隣り合って立ち共有の採餌領域のものを食べており、ここで、いくらかの動物が隣の採餌領域のものを食べる状況を考慮することができる。
【0020】
識別
システムの識別手段が、好適には、それぞれ採餌している動物を固有に識別するように構成される。これは、消費された餌の量が特定の動物に関連し得るように、必要な情報を提供するためである。一実施形態において識別手段が、各動物に取り付けられた識別タグによって採餌している動物を識別するように構成される。識別タグは、例えば、色コードもしくは白黒パターンコードの形態で、文字、数字及び/または記号を含む可視タグであってもよい。これは、比較的安価な構成であり、家畜における動物は、普通は、印を付けられ、例えば牛は、慣例式には、彼らの耳に取り付けられたタグで印を付けられる。識別手段は、例えば、首輪としてもしくは耳に、動物に取り付けられた識別タグの色コード、記号コード、パターンコード及び/またはバーコードを識別することによって採餌している動物を識別するように構成されてもよい。故に、これらの可視タグは、画像化ユニットによって取得された画像において見ることができる。動物のための識別タグは、当分野において周知である。動物の識別は、GPSによって更に提供されてもよく、例えば、各動物は、追跡ユニットを提供されてもよく、例えば、識別タグが、追跡ユニットを形成してもよいし、あるいは追跡ユニットを備えてもよい。
【0021】
動物の識別は、処理手段の役割であり得、例えば、採餌領域を示す画像がまた、採餌している動物の少なくとも一部を示し、次いで、動物が、画像処理によって画像において識別され得る。故に、処理手段が、画像上で可視タグによって特定の動物を識別するように適合されてもよい。処理手段が、動物の耳タグもしくは首輪上の特定の色コード、バーコードまたは(2D)パターンを検出するように適合されてもよい。一実施形態において、動物が、特定の色コード、記号コード、及び/またはバーコードを有する首輪を持ち運び、それは、当該処理手段によって個別の動物を識別するために使用され得る。
【0022】
画像化ユニットは、動物の実際の識別を提供するために1つ以上の特定のカメラ、例えば2Dカメラなど、例えばRGBカメラなどを備えてもよい。例えば、一実施形態においてシステムが、色コードを検出するように具体的に適合される1つ以上のカメラを備える。そのようなカメラは、通常、カラー画像を取得することができる。しかしながら、システムは、例えば白黒の記号の形態で、記号コード、パターン及び/またはバーコードを検出するように具体的に適合される1つ以上のカメラを更に備えてもよい。いくつかのバーコードが、例えば、単純なラインスキャナによって識別され得る。
【0023】
ある実施形態において、システムが、採餌領域における特定の動物を無線で識別するのに適したタグ読み取り装置を更に備える。例えば、識別手段が、RF識別タグを装着している(複数可)動物を無線で識別するのに適した1つ以上のRF識別タグ読み取り装置を備える。これは、例えば、動物に埋め込まれたRFID(無線自動識別)チップの使用によって行われ得る。これによって、動物の識別が、画像化ユニットにおけるカメラによって取得された画像と、タグが動物を識別するために可視である必要があることに依存しない。識別は、例えば、各動物のためのGPS追跡ユニットを使用して、GPSによって更に提供されてもよい。
【0024】
一実施形態において識別手段が、当該(複数可)動物への取り付けのための識別タグを備える。すなわち、識別タグが、システムの部分であり得、画像化ユニットによって取得された画像において識別可能であるという目的のために具体的に開発され得る。タグは、上述したように可視及び/またはRFタグであってもよい。
【0025】
方法
前述したように、本開示は、採餌領域において採餌している1頭以上の動物の餌の消費を評価するための方法であって、
−異なる時間に採餌領域のレンジ画像を取得することと、
−当該レンジ画像の少なくとも2つにおける当該餌を消費する動物のうちの少なくとも1頭を識別することと、
−少なくとも2つのレンジ当該画像間の餌の減少を決定することによって、それぞれの識別された動物によって消費された餌の量を評価することと、を含む、方法に更に関する。
【0026】
採餌領域において採餌している家畜における複数の動物の相対的な餌の消費を評価するための方法であって、
−異なる時間に採餌領域のレンジ画像を取得し、
−餌を消費する全ての動物を識別し、
−識別された動物を表示する少なくとも2つのレンジ画像間の餌の減少を決定することによって、それぞれの識別された動物によって消費された餌の量を評価し、
−残りの識別された動物によって消費された餌の量に対して1頭の識別された動物によって消費された餌の量を決定する、方法。
【0027】
本開示は、家畜における少なくとも1頭の動物の餌の消費を決定するための方法であって、少なくとも1頭の動物がアクセスできる餌を有する採餌領域を提供するステップと、少なくとも1頭の動物に識別タグを供給して特定の動物を識別して、異なる時間に採餌領域の複数の画像を取得して、複数の画像上の特定の餌を消費する動物を識別して、特定の餌を消費する動物の画像の使用によって、それらの画像上で開示されるような餌の減少を決定するステップであって、特定の動物についての餌の消費が、それらの画像上の餌の減少として決定される、決定するステップと、を含む、方法に更に関する。
【0028】
後続の画像間の餌における減少が、各画像における餌を識別することと、後続の画像における餌を表わす、例えば画素などの対応する画像領域の高さにおける差異を計算することとによって、決定されてもよい。採餌領域の基本レベルは、例えば、参照として空の採餌領域のレンジ画像を有することによって、既知であり得る。前述したように、各動物によって消費された餌の正確な量を決定することは困難であり得るが、家畜における複数の動物の相対的な餌の消費は、現在、開示されたシステム及び方法によって比較され得る。農業家はまた、典型的には、どのくらいのミルクをそれぞれの牛が生産するかを知っており、また、牛によって消費された餌の(少なくとも相対的な)量を知ることによって、牛の生産量が、最適化され得る。それ故、それは、必ずしも、濃縮物及び粗飼料の形態にある餌をミルクに最も効率的に変換する最も多く生産する牛ではない。現在、開示されたシステム及び方法を用いて、農業家は、家畜における各牛の変換生産量の全体像を得ることができる。
【0029】
有利に、画像が、少なくとも1つのカメラ、好適にはレンジカメラ、例えば飛行時間型カメラ、構造光カメラ、ステレオカメラもしくは3Dカメラなどの使用によって取得され、それ故、画像は、3D画像であり得る。
【0030】
ある実施形態において、特定の餌を消費する動物が、動物に取り付けられた及び好適には画像の少なくとも一部上で可視である可視タグの使用によって識別される。一実施形態において、可視タグが、動物の耳タグもしくは首輪上に色コード及び/またはバーコードを含む。好適な実施形態において、動物が、特定の動物によって持ち運ばれた首輪もしくは耳タグ上の特定の色コード及び/またはバーコードの最適な検出によって識別される。更に、動物が、動物に取り付けられた無線で読み取り可能なタグによって識別されてもよい。
【0031】
一実施形態において、画像が、連続的に取得され、それによって、実時間における餌の消費の検出を可能にする。例えば、画像が、ビデオ信号として、あるいは毎分少なくとも1回、例えば1、5、10、20または30秒毎に、取得される。好適な実施形態において、1つの画像が、1〜5分毎に取得される。例えば、画像が約2分毎に取得される。画像は、選択された時点において更に取得されてもよい。例えば、採餌領域の少なくとも一部のレンジ画像は、動物が採餌行為を開始する、停止する及び/または終了するときに、取得されてもよい。あるいは、動物が採餌領域から頭部を去らせるときに、採餌領域の少なくとも一部の画像が取得される。
【0032】
方法が、システムのための上述した実施形態のいずれかを備えるように適合され得ることが理解されたい。
【0033】
更なる態様は、コンピュータで読み取り可能な媒体であって、上述したようなならびに上述したようなシステム上で好適には実行される方法を実行するためにその上に記憶されたコンピュータで実行可能な命令を有する、コンピュータで読み取り可能な媒体に関する。
【0034】
図1は、少なくとも1頭の牛の餌の消費を決定するためのシステムを示す。本実施形態が、畜牛及び/または個別の牛のための餌の消費の決定のための好適な実施形態である。用語、牛を使用するとき、畜牛の雌と雄の両方の動物のことを言うことがある。
【0035】
図1において開示された実施形態において、採餌領域に配置された餌2が粗飼料である。しかし、前述したように、現在、開示された方法及びシステムは、粗飼料の形態の餌に限定されないが、採餌領域を通して動物に分配される任意の餌に限定される。
【0036】
図1は、餌フェンス7の一方側上にある採餌領域上の粗飼料2と他方側上の3頭の牛とを有する牛舎1の内側の部分を開示する。牛舎1は、畜牛のための囲いとして理解されることになり、それはまた、納屋を意味することがある。本実施形態のシステムはまた、外側で使用され得る。しかしながら、牛が、粗飼料2にアクセスできるものの、その上を歩かず、横たわらないことを確保するために、餌フェンス7を使用することが好適である。更に、餌フェンス7は、牛に餌を与えることを容易にさせる。
【0037】
粗飼料2の上方には、粗飼料2の画像を取得するために、3つのレンジカメラ4が配置される。レンジカメラ4は、餌フェンス2の部分であるバー上に取り付けられる。
【0038】
図1に示される3頭の牛3は、耳に識別タグ5を有する。代替的にまたは組み合わせて、牛は、識別タグとして使用され得る首輪8を有し得る。牛上に識別タグを位置付けることにおいて、牛3は、頭部や首を餌フェンス7を通させて、それによって、それは、カメラ4に明確に可視であるので、首または耳が好適である。これらの識別タグは、農業家が獣医の必要性無くして、それらを動物に彼ら自身で取り付けることができるので、好適である。加えて、示される識別タグは、農業家が、視覚的検査によって動物を識別することを可能にする。
【0039】
代替的にまたは上述した識別タグと組み合わせて、チップは、針の使用によって埋め込まれ得る。これらのチップは、当分野において既知であり、猫や犬のような家庭の動物のための識別タグとして使用される。チップは、粗飼料の近くに位置し得るスキャナの使用によって読み取られ得、処理ユニットに取り付けられ得る。そのようなチップは、例えばRFIDチップであり得る。
【0040】
加えて、識別タグ5が、特定の牛5のための餌の組成を決めるときに使用され得る。
【0041】
牛3が採餌するときに、カメラ4は、画像をコンピュータ6の形態にある処理手段に送り、本実施形態において、カメラ4は、ビデオストリームをコンピュータ6に送り、それは、次いで、識別タグ5の使用によって牛3を識別して、牛3が餌を食べ始めたときに存在する粗飼料2の量を登録する。牛3が餌フェンス7から彼らの頭部を引くと、コンピュータは、牛3が採餌を停止したときに存在する粗飼料の量を登録する。そのデータの使用によって、コンピュータ6が計算することが可能であり、それによって、牛の粗飼料の消費を決定する。
【0042】
コンピュータ6が、牛舎1内にまたは例えば近くの制御室内に位置してもよい。コンピュータ6は、有線によって及び/または無線でカメラ4に接続され得る。処理手段がまた、例えば採餌領域のビデオなどの画像を取得して記憶する記録手段から分離され得、次いで、画像が、場合によっては後で、分析のためにコンピュータ6に転送され得る。
【0043】
本発明の使用によって、特定の動物についての餌の一般的な組成を決めるために動物の餌の消費に関する情報を使用することが可能である。餌の組成は、例えば、餌の消費に対する動物のミルクの生産または成長に依存して決定され得る。動物がその特定の動物のために構成された餌にアクセスできること、また、他の動物がそれにアクセスできないことを確保するために、識別タグによるアクセス管理が、使用され得る。
【0044】
それぞれの牛3について決定された餌の消費の使用によって、農業家は、粗飼料2の摂取に基づいて個別の牛3の貢献差益と効率を計算するために十分な情報を得ることができる。
【0045】
図1における実施形態のカメラ4によって取り込まれた画像は、一部重複し、それらが取り込まれる際に、同時に、コンピュータ6は、採餌領域に存在する粗飼料2の量の決定における精密さを向上させるために、それらを比較し得る。コンピュータ6はまた、ステッチされた画像を形成するために画像を組み合わせ得、それを使用して粗飼料2における減少、これによって牛3の粗飼料の消費を決定し得る。
【0046】
好適な実施形態において、カメラ4は、3Dカメラまたはレンジカメラである。これは、コンピュータが、粗飼料2までの距離を計算することを可能にして、高い精度をもって粗飼料2の量を計算することを可能にさせる。
【0047】
図1上の実施形態におけるカメラ4が、餌フェンス7上に取り付けられて、固定される。代替的にまたは組み合わせて、カメラは、異なる角度から粗飼料2の画像を取って粗飼料2が採餌領域上に位置するところまで移動するために、それらが移動され得る及び/または導かれ得るような手法で、取り付けられ得る。固定カメラに関して、このようにして、より少数のカメラを使用してより大きな領域をカバーすることが可能である。しかしながら、カメラを移動するために使用される機構が牛舎の厳しい環境にさらされるときに、それは、劣化し得、高い保守費用をもたらす。加えて、移動するカメラは、固定のものよりも高価である。
【0048】
現在、開示されたシステム及び方法を4頭の異なる動物(牛)を用いて試験した。それぞれの牛をそれの前の採餌領域を有する囲い内に位置付けた。別個のレンジカメラを各囲いについて位置付けた。試験は、各囲いにおけるそれぞれの牛について均等であった。最初に、空の採餌領域のレンジ画像を取得して、採餌領域の基本レベルを取得した。粗飼料の特定の重量を空の採餌領域に配置して、レンジ画像を取得した。牛が囲い内に居て食べている間に、追加のレンジ画像をそれぞれ2分間取得した。90分後、採餌領域上に残っている粗飼料を計量して、採餌領域に戻した。牛は、それが搾乳のために去られた後のある期間に囲い内にとどまった。採餌領域上に残っている粗飼料を再び計量した。牛は、再び囲いに入って、90分後に粗飼料を再び計量した。採餌領域に残っている粗飼料の最後のレンジ画像を粗飼料の最終計量の前に取得した。
【0049】
画像を分類して処理し、粗飼料における減少を画像における粗飼料の各画素の高さを計算することによって決定した。次いで、減少の量が、牛の餌の消費に対応して計算され得る。採餌領域の基本レベルもまた既知である。
【0050】
図2a〜dは、4頭の牛の実際の餌の消費と計算された餌の消費との間の相関関係を示す。「3D像」と印された左のグラフは、4頭の牛についての餌の量に対する時間を示す。量は、任意の単位である。餌の量における減少が、画像処理の結果であるグラフ内の量における減少によって見られる。「3D計数に対する粗飼料」とラベル付けられた右のグラフは、画像処理によって評価されたそれぞれの牛によって消費された餌の量に対する、上部における(軸が交換された図3Aにおける右のグラフにおける)粗飼料のkg単位の牛の実際の(計量によって)測定された消費の相関関係を示す。右のグラフから見られるように、それぞれの牛によって消費された粗飼料の計量された量と、現在、開示されたシステム及び方法によって評価された量との間にほぼ線形の相関関係がある。
【0051】
参照リスト
1 牛舎
2 餌
3 牛
4 カメラ
5 識別タグ
6 コンピュータ
7 餌のフェンス
8 首輪
【0052】
発明の更なる詳細
次に、発明が、以下の列挙された項目を参照にして更に詳細に説明されることになる。
1.家畜における少なくとも1頭の動物の餌の消費を決定するためのシステムであって、
−少なくとも1頭の動物に取り付けられた少なくとも1つの識別タグであって、それによって、特定の動物が識別され得る、少なくとも1つの識別タグと、
−少なくとも1頭の動物がアクセスできる餌を有する採餌領域と、
−異なる時間に採餌領域における餌の画像を取得するように適合される少なくとも1つのカメラと、
−少なくとも2つの画像上に表わされるような餌の減少を分析することによって、識別された特定の動物によって消費された餌を決定するように適合される処理手段と、を備える、システム。
2.少なくとも1つのカメラが、3Dカメラであり、好適には3Dカメラが、地形的画像を取得するように適合される、項目1に記載のシステム。
3.システムが、少なくとも1つのカメラの位置及び/または角度を制御するための手段を更に備える、項目1〜2のいずれかに記載のシステム。
4.少なくとも1つのカメラが固定されている、項目1〜3のいずれかに記載のシステム。
5.処理手段が、画像上の可視タグによって特定の動物を識別するように適合される、項目1〜4のいずれかに記載のシステム。
6.システムが、採餌領域における特定の動物を無線で識別するのに適したタグ読み取り装置を更に備える、項目1〜5のいずれかに記載のシステム。
7.少なくとも2つのカメラが、画像を同時に取得して、処理手段が、採餌領域における餌の量を決定するために画像を組み合わせるように適合される、項目1〜6のいずれかに記載のシステム。
8.家畜における少なくとも1頭の動物の餌の消費を決定するための方法であって、
−少なくとも1頭の動物がアクセスできる餌を有する採餌領域を提供するステップと、
−少なくとも1頭の動物に識別タグを供給して、特定の動物を識別するステップと、
−異なる時間に採餌領域の複数の画像を取得するステップと、
−複数の画像上の特定の餌を消費する動物を識別するステップと、
−特定の餌を消費する動物の画像の使用によって、それらの画像上に開示されるような餌の減少を決定するステップと、を含み、
特定の動物についての餌の消費が、それらの画像上の餌の減少として決定される、方法。
9.画像が、少なくとも1つのカメラ、好適には3Dカメラの使用によって取得される、項目8に記載の方法。
10.特定の餌を消費する動物が、複数の画像上で動物に取り付けられた可視タグの使用によって識別される、項目8〜9のいずれかに記載の方法。
11.特定の餌を消費する動物が、無線で読み取り可能であるタグの使用によって識別される、項目8〜9のいずれかに記載の方法。
12.コンピュータで読み取り可能な媒体であって、項目8〜11のいずれかに記載の方法を実行するためにその上に記憶されたコンピュータで実行可能な命令を有する、コンピュータで読み取り可能な媒体。
図1
図2