(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556127
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】アドベントカレンダー
(51)【国際特許分類】
A47G 33/04 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
A47G33/04 A
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-524431(P2016-524431)
(86)(22)【出願日】2014年11月12日
(65)【公表番号】特表2016-538021(P2016-538021A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】EP2014074346
(87)【国際公開番号】WO2015071293
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】102013019178.5
(32)【優先日】2013年11月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390037914
【氏名又は名称】マース インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】タウバー,マルセル
【審査官】
吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】
中国実用新案第201064368(CN,Y)
【文献】
特開2004−027454(JP,A)
【文献】
実公昭37−024456(JP,Y1)
【文献】
米国特許第02587003(US,A)
【文献】
特開2001−190396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央軸を備え、そこから、少なくとも3つの側部が、ほぼ放射線状に外側に向かって延伸するアドベントカレンダーであって、
i)前記側部は、好ましくは前記中央軸の領域で、互いに接合され、
ii)少なくとも1つの前記側部は、取り外し自在か、または、隣接する前記側部まで搖動、若しくは折り畳まれることが可能であり、好ましくは、該隣接する側部に取り付けることが可能であり、
iii)少なくとも24の予め打ち抜かれた凹域が、前記側部に亘って分布されており、該凹域は、該側部から取り外し可能であると共に、取り外し後に、各々、該側部の凹部を提供し、
iv)前記予め打ち抜かれた凹域の各々は、当該凹域の上部に近接して該凹部内で物品を吊り下げるための第1吊るし装置を有し、および
v)前記側部の前記予め打ち抜かれた凹域の少なくとも1つの上に、少なくとも24の予め打ち抜かれた第2吊るし装置が分布されていることを特徴とするアドベントカレンダー。
【請求項2】
厚紙で作られていることを特徴とする請求項1記載のアドベントカレンダー。
【請求項3】
前記放射線状に外側に向かって延伸する隣接する側部の間の角度が、ほぼ等しいことを特徴とする請求項1または2記載のアドベントカレンダー。
【請求項4】
前記側部が、好ましくは、前記中央軸の領域内で、好ましくは、実継ぎ系によって、解放自在に互いに差し込み可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のアドベントカレンダー。
【請求項5】
4つの前記側部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のアドベントカレンダー。
【請求項6】
前記第1吊るし装置が、前記凹部内にフックのように形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のアドベントカレンダー。
【請求項7】
前記第2吊るし装置が、前記予め打ち抜かれた凹域上に備えられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載のアドベントカレンダー。
【請求項8】
前記アドベントカレンダーを壁または天井に取り付けるための固定手段を、好ましくは、少なくとも1つの前記側部の上部領域に、好ましくは、鳩目穴の形状で備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載のアドベントカレンダー。
【請求項9】
少なくとも1つの前記側部が、ヒンジ機構により、隣接する前記側部上まで折り畳まれることが可能であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載のアドベントカレンダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドベントカレンダー関するものである。
【背景技術】
【0002】
アドベントカレンダーは、12月1日から24日までに使われる季節商品であり、通常、24の小さな包装されたプレセントが入っている。クリスマスイブまでの日々のカウントダウンを行うために、毎日、その中の1つをアドベントカレンダーから取り出して、包装を開けることができる。
【0003】
チョコレート等、広範囲の様々な物品が詰められた既製のアドベントカレンダーが、市販されている。しかしながら、自家製のアドベントカレンダーの方が、通常、遥かに個人的であり、このようなアドベントカレンダーを、プレゼントとして誰かにあげると、より大きな愛情を表現することができる。
【0004】
個別にデザインされたアドベントカレンダーの中身が、より大きな愛情を表現することができるだけでなく、アドベントカレンダーの製作および中身詰めが、早い段階から、既にクリスマスムードに貢献する。それは、12月24日直前に、丁度よいクリスマスツリーを据えることに匹敵するものであり、結果として、ユーザは、感情的に非常によくそれに似たレベルで関わることになる。このように、ユーザは、アドベントカレンダーを自分で設置するだけでなく、例えば、12月6日(聖ニコラスの祭日)および12月24日(クリスマスイブ)には特別な品物等というように、非常に広範囲の製品/詰合せをアドベントカレンダーに詰めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自家製のアドベントカレンダーによくみられる不都合な点は、このようなアドベントカレンダーは、例えば、立っているアドベントカレンダーとしてだけ使用可能であるか、または、壁に、若しくは天井からの吊り下げだけが可能か等というように、あまり可変的には使用できないということである。小さなプレゼントのアドベントカレンダーへの取付けは、そのアドベントカレンダー用に、異なった吊り下げ、および搭載機構を考慮しなくてはならないと、問題があることが多い。
【0006】
したがって、本発明は、従来の不都合な点を解決し、特に、搭載時における、より柔軟な変化、および、異なったプレゼントのアドベントカレンダーへの容易な取付けを可能にするアドベントカレンダーを提供することを目的とする。さらに、本発明のアドベントカレンダーは、組立て、および分解が容易であると共に、1年の残り期間は、できるだけコンパクトな収納に適しているとよく、エンドユーザにとって運ぶのが簡単であるとよい。さらに、本発明のアドベントカレンダーを、難なく処分可能であることが、特に好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題は、中央軸を備え、そこから、少なくとも3つの側部が、ほぼ放射線状に外側に向かって延伸するアドベントカレンダーによって解決される。そのアドベントカレンダーにおいては、
i)側部は、好ましくは中央軸の領域で、互いに接合され、
ii)少なくとも1つの側部は、取り外し自在か、または、隣接する側部上まで搖動、若しくは折り畳まれることが可能であり、好ましくは、隣接する側部に取り付けることが可能であり、
iii)少なくとも24の予め打ち抜かれた凹域が、側部に亘って分布されており、凹域は、側部から取り外し可能であると共に、取り外し後に、各々、側部の凹部を提供し、各凹部は、凹部内で物品を吊り下げるための第1吊るし装置を有する、および/または、少なくとも24の予め打ち抜かれた第2吊るし装置が、側部の領域上に分布されており、好ましくは、第2吊るし装置は、領域から折り曲げられ、若しくは曲げられることが可能である。
【0008】
特に好ましくは、予め打ち抜かれた凹域、および/または、予め打ち抜かれた第2吊るし装置は、アドベントカレンダーの全ての側部に亘って分布されており、凹域は、側部から取り除かれる、または、押し出されることが可能である、予めミシン目を入れられた領域である。
【0009】
アドベントカレンダーは、厚紙で作られていることが好ましい。本発明のアドベントカレンダーが、厚紙だけから作られていると、プレゼントをアドベントカレンダーに固定するのに、他の材料から作られた追加の構成要素を必要としない。カレンダーを1つの材料から作ることで、廃棄が容易になる。
【0010】
さらに、放射線状に外側に向かって延伸する、隣接する側部の間の角度が、ほぼ等しいことが好ましい。したがって、合計で3つの側部が使用されると、それぞれ互いに、約120°の角度を形成する。一方、合計で4つの側部が使用されると、隣接する側部の間に約90°の角度を形成することになる。
【0011】
側部が、好ましくは、中央軸の領域内で、好ましくは、実継ぎ(tongue−and−groove)系、フック系、ヒンジ機構、または、他の差込み系によって、解放自在に互いに差込み可能であることが、特に好ましい。
【0012】
アドベントカレンダーは、4つの側部を有するのが最も好ましい。
【0013】
好ましくは、第1吊るし装置が、凹部内にフックのように形成されているのがよいと考えられる。
【0014】
アドベントカレンダーは、アドベントカレンダーを壁または天井に取り付けるための固定手段を、好ましくは、少なくとも1つの側部の上部領域に、好ましくは、鳩目穴(eyelet)の形状で備えることが好ましい。
【0015】
凹部には、1から24までの数字が、側部上に付されているのか好ましい。
【0016】
最後に、少なくとも1つの側部が、ヒンジ機構により、隣接する側部上まで折り畳まれることが可能であることが好ましい。当業者であれば、1つの側部を、隣接する側部上まで折り畳む他の機構を知っている。例えば、それによって側部の取り外しが可能であるミシン目を側部に付与することが考えられる。尚、適応自在性を保つために、その側部を、フック掛け系等により再接合させることが可能である。
【0017】
驚いたことに、本発明のアドベントカレンダーは、大きな可変性を示し、結果として、例えば、三次元の立っているアドベントカレンダーとしての使用が可能、または、壁、若しくは天井への取付けが可能であることを見出した。
【0018】
本発明のアドベントカレンダーは、組立て、およびプレゼント詰めを、簡単に行うことができ、設置およびプレゼント詰めの方法については、多様な可能性がある。
【0019】
さらに、本発明のアドベントカレンダーは、厚紙等、1つの材料から構成されることが好ましいので、プレゼントが一旦取り除かれると、個々の材料を分離して廃棄するのを難しくしうる、残された材料の混合がないので、廃棄が簡単である。
【0020】
本発明のアドベントカレンダーの側部の凹部のサイズおよび形状は、必要なように規定しうる。特に、アドベントカレンダーに吊り下げられるプレゼントが、アドベントカレンダーと共に販売されるのなら、凹部のサイズおよび形状を、それに応じて予め適合させることが可能である。
【0021】
さらに、本発明のアドベントカレンダーの利点および特徴は、添付の図面を参照しながら、以下の好適な実施形態の詳細な説明で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】4つの側部と、凹域と、第1吊るし装置とを有する本発明のアドベントカレンダーの一実施形態を示す概略図
【
図3】さらに他の第1吊るし装置を有する凹部を示す概略図
【
図5】4つの側部を有する本発明のアドベントカレンダーの断面図
【
図6】
図5のアドベントカレンダーの断面図で、1つの側部が折り畳まれた状態を示す図
【
図7】側部と、凹域と、第1吊るし装置とを有する、雪だるまの形状の本発明のアドベントカレンダーの一実施形態をさらに示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、クリスマスツリー形状の本発明のアドベントカレンダーを示す。アドベントカレンダー1は、4つの側部2を備え、その内の3つは、
図1で見えているが、4番目の側部2は、ほとんど隠されている。側部2は、中央軸から、放射線状に外側に向かって延伸している。側部2は、当業者に公知の手段によって、互いに接合されることが可能である。例えば、個々の側部2は、実継ぎ系によって、互いに接合されることが可能であり、特に、個々の部品を、組立て後に分離自在とする意図がなければ、例えば、互いに接着することも考えうる。
【0024】
各側部2は6つの予め打ち抜かれた凹域3を有し、ユーザは、アドベントカレンダー1を組み立てる時に、凹域3を、側部2から容易に押し出す、または他の方法で取り除くことが可能である。予め打ち抜かれた凹域3が、側部2から取り除かれた後には、形成された凹部4(
図2および3を参照)内に、品物(不図示のプレゼント)を凹部4中に受けるための第1吊るし装置5が残る。
【0025】
図2、3に示された凹部4は、ほぼ正方形である。しかしながら、第1吊るし装置が凹部4内に備えられている限りは、品物/プレゼントを吊り下げるのに適切な他の任意の形状の凹部4を備えてもよいことは明らかである。
【0026】
第1吊るし装置5が、
図2の拡大図に示されている。
図2において、フック形状の第1吊るし装置5が、凹部4の上部領域に示されており、フックを提供するために、第1吊るし装置5の下部6は、破線において、ほぼ上方向に折り曲げられることが可能である。
【0027】
この第1吊るし装置の、さらに他の実施形態において、リップ(lip)9が、凹部4の上方領域内まで突出していることが考えうる。曲げ、または折り曲げて出すことが可能なフック7が、そのリップ上に備えられていてもよく、結果として、そこに、ペットフードのパッケージ等の包みを吊り下げることが可能である。このような実施形態が、
図3に示されている。
【0028】
このように、予め打ち抜かれた凹域3が取り外されると、第1吊るし装置を用いて、各凹部に、品物/プレゼントを吊り下げることが可能である。本発明のアドベントカレンダー1の場合には、特に、アドベントカレンダーが、立っているアドベントカレンダーとして使用されるのなら、予め打ち抜かれた凹域3を、取り除くことが可能である。
【0029】
しかしながら、アドベントカレンダーが使用される時に、予め打ち抜かれた凹域3は、必ずしも取り除かれなくてもよい。例えば、アドベントカレンダーが、壁にもたれて設置されるのなら、取り除くことを不要としうる。その場合、品物/プレゼントを凹部内部に吊り下げることは、都合がよくない。アドベントカレンダーが壁にもたれて設置されるのなら、その代わりに、品物/プレゼントを、側部2上の予め打ち抜かれた第2吊るし装置8に追加する方が、より好都合である。側面2が、予め打ち抜かれた第2吊るし装置8と共に概略的に示された
図4に、これが示されている。カレンダーを設置する時に、さらに、品物/プレゼントを吊り下げることが可能なフック等を提供するために、第2吊るし装置8は、ユーザによって、側部の領域から、単に曲げ、または折り曲げられうる。これらの第2吊るし装置8が使用されると、アドベントカレンダー1を、壁掛けアドベントカレンダーとして使用する際に、全く問題がない。特に好ましい実施形態において、第2吊るし装置8は、予め打ち抜かれた凹域3に配置されている。これらの第2吊るし装置8が不要であれば、予め打ち抜かれた凹域3を取り除くことによって、容易に取り除くことが可能である。もちろん、他の実施形態においては、第2吊るし装置8を側部2の取り除き不可領域上に備えることも、同様に十分考えうる。
【0030】
立っているアドベントカレンダーとして使用するか、壁掛けアドベントカレンダーとして使用するかの選択は、
図5および6の断面図に示すように、ユーザによって、アドベントカレンダーの少なくとも1つの側部2を、隣接する側部2上まで搖動または折り畳むことで、容易に行うことができる。
【0031】
図5に示されたアドベントカレンダー1は、中央軸10の領域で互いに接合された4つの側部2を有している。1つの側部2は、折り畳み/搖動するように構成されており、
図5では、斜線で示されている。
【0032】
このアドベントカレンダー1が、壁掛けカレンダーとして使用されるなら、アドベントカレンダーを壁に固定することを可能にするために、その斜線で示された側部2を隣接する側部2上まで、単に折り畳み/搖動しうる。当業者であれば、ヒンジによる、等、側部を折り畳み/搖動可能に構成する様々な可能性を知っている。壁掛けカレンダーとして使用される時に、1つの側部2だけが折り畳まれると、言うまでもなく、元々使用された4つの側部のうちの、もう1つの側部2が、ほぼ垂直に壁から室内に突出する。プレゼントを均一に分布させるために、ほぼ垂直に壁から室内に突出する側部については、12の第2吊るし装置8が必要とされることが好ましい。本発明のアドベントカレンダー1において、2つの、好ましくは、向い合った側部2が、隣接する側部2上に折り畳まれることが可能である場合は、ほぼ二次元の平らな形状のアドベントカレンダーを得ることができる。
【0033】
最後に、
図7は、本発明のさらに他のアドベントカレンダー1´の実施形態を示し、雪だるまの形状で、側部2´、凹域3´、および吊るし装置5´を備えており、本発明のアドベントカレンダーの設計しうる空白部および形状の適応自在性を強調している。星、そり、天使、サンタクロース等の形状のアドベントカレンダー等、他の空白部および形状を、すぐに利用できる。
【0034】
ここまでの記載、請求項、および、図面に開示された本発明の特徴は、発明を、個々に、および、任意の組合せで実施するのに必須でありうる。
【符号の説明】
【0035】
1 アドベントカレンダー
2 側部
3 凹域
4 凹部
5 第1吊るし装置
6、7 フック
8 第2吊るし装置
9 リップ