特許第6556132号(P6556132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556132車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための装置及び方法並びに車両のオートマチックトランスミッションをシフトするためのシフト装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556132
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための装置及び方法並びに車両のオートマチックトランスミッションをシフトするためのシフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20190729BHJP
   F16H 61/28 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   B60K20/02 E
   F16H61/28
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-534957(P2016-534957)
(86)(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公表番号】特表2016-539045(P2016-539045A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】EP2014073166
(87)【国際公開番号】WO2015078649
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年10月2日
(31)【優先権主張番号】102013224493.2
(32)【優先日】2013年11月29日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ラーケ・ルドガー
(72)【発明者】
【氏名】ローゼントレーター・ザシャ
(72)【発明者】
【氏名】シュトラスブルク・カールステン
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0028886(US,A1)
【文献】 特表2011−506884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
F16H 61/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)のオートマチックトランスミッション(102)のための操作要素(115)の移動の設定のための装置(120)であって、該装置(120)が、回転可能なシャフト(320)と、前記操作要素(115)を支持するための支持装置(310)とを備えており、該支持装置(310)が、第1の移動軸に関して前記シャフト(320)に対して相対的に、かつ、第2の移動軸に関して中立位置と偏向位置の間で前記操作要素(115)と共に移動可能である前記装置において、
前記中立位置から前記偏向位置への前記支持装置(310)の移動を阻止する阻止要素(330)が前記シャフト(320)に配置されており、及び前記支持装置(310)を前記偏向位置から前記中立位置へ復帰させるための復帰要素(340)が前記シャフト(320)に配置されていること、及び前記シャフト(320)に、前記阻止要素(330)と、前記復帰要素(340)と、前記シャフト(320)の駆動のために設けられたウォームギヤ(334,352)のウォームホイール(334)とが配置されており、前記阻止要素(330)が、カムとして成形されており、復帰輪郭部(344)を有するディスク(342)として成形された前記復帰要素(340)の前記ウォームホイール(334)とは反対側において前記シャフト(320)に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記阻止要素(330)が、前記シャフト(320)の周囲の一部において前記シャフト(320)の周面から径方向へ離れるように延在する阻止突起部(332)を備えていることを特徴とする請求項1記載の装置(120)。
【請求項3】
前記復帰要素(340)が前記シャフト(320)において中心に又は偏心して配置されたディスク(342)を備えており、該ディスク(342)の厚さ(d)が該ディスクの周囲の少なくとも一部において初期厚さから復帰厚さへ増大していることを特徴とする請求項1又は2記載の装置(120)。
【請求項4】
前記阻止要素(330)が前記シャフト(320)の第1の周囲部分に配置されており、前記復帰要素(340)が、前記第1の周囲部分とは異なる前記シャフトの第2の周囲部分に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置(120)。
【請求項5】
前記支持装置(310)が、前記阻止要素(332)の収容のための係合部分(312)を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置(120)。
【請求項6】
前記支持装置(310)が、前記復帰要素(340)との相互作用のための接触表面(314)を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置(120)。
【請求項7】
前記シャフト(320)の駆動のための駆動装置(350)を備えており、該駆動装置(350)及び前記シャフト(320)がウォームギヤ(334,352)を用いて互いに結合可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置(120)。
【請求項8】
車両(100)のオートマチックトランスミッション(102)をシフトするためのシフト装置(110)であって、該シフト装置(110)が、前記オートマチックトランスミッション(102)のオートマチックのシフトゲートとマニュアルのシフトゲートの間で設定されるように形成された操作要素(115)を備えている、前記シフト装置において、
前記シフト装置(110)が、請求項1〜のいずれか1項に記載の、前記操作要素(115)の移動を設定するための装置を備えており、前記第2の移動軸が前記自動的なシフトゲートと前記マニュアルのシフトゲートの間の変更軸を示しており、前記中立位置が前記オートマチックのシフトゲートに割り当てられており、前記偏向位置が前記マニュアルのシフトゲートに割り当てられていることを特徴とするシフト装置。
【請求項9】
車両(100)のオートマチックトランスミッション(102)のための操作要素(115)の移動を設定するための方法(200)であって、該方法(200)が、回転可能なシャフト(320)と、前記操作要素(115)を支持するための支持装置(310)とを備えた、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置(120)に関連して実行され、前記支持装置(310)が、第1の移動軸に関して前記シャフト(320)に対して相対的に、かつ、第2の移動軸に関して中立位置と偏向位置の間で前記操作要素(115)と共に移動可能であり、前記シャフト(320)に、前記中立位置から前記偏向位置への前記支持装置(310)の移動を阻止するための阻止要素(330)が配置されており、及び/又は前記支持装置(310)を前記偏向位置から前記中立位置へ復帰させるための復帰要素(340)が前記シャフト(320)に配置されており、前記方法が、以下のステップ:
前記阻止要素(330)を阻止位置において前記支持装置(310)に係合して配置するように、解放位置において前記阻止要素(330)及び前記復帰要素(340)を前記支持装置(310)と接触しないように配置するように、並びに/又は復帰運動の際に前記解放位置と前記阻止位置の間で前記復帰要素(340)を前記支持装置(310)に対して接触して配置されるように、前記シャフト(320)が回転される(210)ステップ
を含んでいることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための装置及び車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための方法並びに車両のオートマチックトランスミッションをシフトするためのシフト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両分野において、例えば「P」、「R」、「N」及び「D」のような多安定のシフト位置と、いわゆる「マニュアルのシフトゲート」を有するオートマチックトランスミッションを備えることができる。ここで、特に走行段「D」からマニュアルのシフトゲートへ変更することが可能である。
【0003】
特許文献1には、シフトレバーと、シフトレバーに対してシフトストップを作用させるか、あるいは作用させないことが可能な電気的なアクチュエータとを有する、原動機付き車両用の電気的なシフト装置が開示されており、シフトレバーの少なくとも1つの操作ストローク内に制限要素が配置されており、この制限要素の大きさをシフトレバーの操作ストローク内でアクチュエータによって変更可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005023926号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような背景において、本発明は、独立請求項に基づく、車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための改良された装置と、車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための改良された方法と、車両のオートマチックトランスミッションをシフトするための改良されたシフト装置とを達成するものである。有利な形態は、従属請求項及び以下の説明から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、車両のオートマチックトランスミッションに対して特に阻止−復帰システムによるシフト作動を提供することが可能である。したがって、例えば、シフトレバーのシフトストロークを制限したり、シフトレバーを安定した位置から他の安定した位置へもたらすことを可能とすることができる。したがって、シフトレバーのシフトストロークの阻止及び安定的な位置から第1の安定的な位置へのシフトレバーの復帰あるいは移動という機能を異なる2つの要素によって実現することが可能である。
【0007】
したがって、本発明の実施形態は、機能に関連した要素の分離あるいは分離された要素の機能に関連した提供によって、コストにおける利点も、また構造的な利点も提供することが可能である。例えば共通の駆動部による復帰及び阻止という機能の2つの部材への部材側での分離により、構造が安価であるだけでなく、機械的に強固に設定されている。阻止要素及び復帰要素は、機能特有に好都合に成形されることが可能である。したがって、マニュアルのシフトゲートへの不意の変更を対応する移動の阻止により防止することが可能である。1つのあるいはこれと同一の装置を用いて、ギヤ段の選択のために設けられた操作要素がマニュアルのシフトゲートから出るか、あるいは復帰することが可能である。また、機能の自由な設定も可能となる。なぜなら、要素を交換部材として構成することができ、特に機能バリエーションである、阻止のみ、復帰のみ、並びに阻止及び復帰を基本構造によって示すことが可能である。
【0008】
車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための装置であって、該装置が、回転可能なシャフトと、操作要素を支持するための支持装置とを備えており、該支持装置が、第1の移動軸に関してシャフトに対して相対的に、かつ、第2の移動軸に関して中立位置と偏向位置の間で操作要素と共に移動可能である前記装置は、中立位置から偏向位置への支持装置の移動を阻止する阻止要素がシャフトに配置されており、これに加えて、又はこれに代えて、支持装置を偏向位置から中立位置へ復帰させるための復帰要素が配置されていることを特徴とするものである。
【0009】
この装置は、車両の機器又は機器の一部であり得る。車両は、原動機付き車両、特に乗用車又はトラックのような道路に関連した車両であり得る。操作要素は、オートマチックトランスミッションの異なる走行段あるいはギヤ段を設定するために手で運転者によって操作されることが可能なオートマチックトランスミッションのシフトレバーであり得る。例えば、運転者は、例えばパーキングのためのP、ニュートラルのためのN、後進のためのR及び前進のためのDの間での旋回及び/又はスライドによって操作要素を設定し、Dからマニュアルのゲートあるいはシフトゲートへ移動させることが可能である。第1の移動軸は、オートマチックのゲートあるいはシフトゲートにおける位置P、N、R及びDの間での操作要素の移動に割り当てられることができる。第2の移動軸は、オートマチックのゲートとマニュアルのゲートの間の移動に割り当てられることが可能である。このとき、中立位置はオートマチックのゲートにおける操作要素の位置に対応することができるとともに、偏向位置はマニュアルのゲートにおける操作要素の位置に対応することができる。シャフトの回転軸は、装置に関して操作要素の移動の場合に静止して配置されることができる。阻止要素は、復帰要素及びシャフトから分離して成形された要素として設けられることが可能である。復帰要素は、阻止要素及びシャフトから分離して成形された要素として設けられることが可能である。阻止要素と、これに加えて又はこれに代えて復帰要素とは、シャフトにおいて固定して、あるいは共に回転するように設けることができるよう構成可能であるか設けることが可能である。このとき、装置は、阻止要素若しくは復帰要素を備えることができるか、又は阻止要素及び復帰要素を備えることができる。また、これに代えて、阻止要素又は復帰要素がシャフトと一体的に成形されることも可能である。
【0010】
一実施形態によれば、阻止要素は、シャフトの周囲の一部において前記シャフトの周面から径方向へ離れるように延在する阻止突起部を備えることができる。このとき、阻止要素は、阻止要素のスリーブ状の本体部から延在するカムを備えることができる。このような実施形態により、容易に加工可能な形状を有する突起部を用いて支持装置の移動の安定的な阻止と、したがって第2の移動軸に関する操作要素の移動の安定的な阻止とが可能であるという利点が提供される。
【0011】
また、復帰要素は、シャフトにおいて中心に又は偏心して配置されたディスクを備えることも可能である。ここで、このディスクの厚さは、該ディスクの周囲の少なくとも一部において初期厚さから復帰厚さへ増大することができる。ディスクの外径は、シャフトの外径よりも大きくてもよい。ディスクの厚さは、復帰要素の復帰輪郭部を形成するのに適したものであり得る。例えば、復帰要素は、カムとして成形されることが可能である。このような実施形態により、復帰輪郭部を有するディスクを用いて特に信頼性を有し、力伝達について好都合な復帰を実現することが可能であるという利点が提供される。
【0012】
また、阻止要素は、シャフトの第1の周囲部分に配置されることができ、復帰要素は、第1の周囲部分とは異なるシャフトの第2の周囲部分に配置されることができる。このとき、阻止要素及び復帰要素は、シャフトの共通の長手延長部又は異なる長手延長部に配置されることができる。特に、阻止要素は、シャフトの第1の周半球部に配置されることができ、復帰要素は、シャフトの第2の周半球部に配置されることが可能である。このとき、周半球部は、シャフトの半周よりも多く又は少なく延在することができる。このような実施形態により、シャフトの回転位置あるいは回転方向に応じて各機能、すなわち阻止又は復帰を信頼性をもって、かつ、正確に規定して果たすことが可能であるという利点が提供される。
【0013】
また、支持装置は、阻止要素の収容のための係合部分を備えることも可能である。このとき、支持装置の係合部分は、支持装置の凹部と、これに加えて又はこれに代えて凸部として成形されることが可能である。シャフトの回転方向に依存して、阻止要素が、シャフトの阻止位置において少なくとも部分的に係合部分に配置されることが可能である。係合部分は、阻止要素によって係合可能である。このとき、阻止要素は、シャフトの現在の阻止位置において、係合部分へ係合することが可能であるか、係合部分が接触して配置されることが可能であるか、あるいは少なくとも部分的に係合部分へ突出することが可能である。このような実施形態により、阻止要素と係合部分の協働によって第2の移動軸に関して確実で、安定的な信頼性をもった操作要素の移動の阻止が可能となるという利点が提供される。
【0014】
さらに、支持装置は、復帰要素との相互作用のための接触表面を備えることが可能である。シャフトの回転方向に依存して、復帰要素は、シャフトの復帰移動時に少なくとも部分的に接触表面に接触して配置されることが可能である。このような実施形態により、復帰要素と接触表面の協働により確実かつ信頼性をもった、第2の移動軸に関する偏向位置から中立位置への操作要素の復帰あるいは戻りが可能となるという利点が提供される。
【0015】
また、シャフトの駆動のための駆動装置が設けられることができる。このとき、この駆動装置及びシャフトは、ウォームギヤを用いて互いに結合可能である。ここで、ウォームギヤのウォームは、シャフトに配置されることができ、ウォームギヤのネジは、駆動装置に配置されることが可能である。ウォームギヤは、ウォームギヤの自己ロックが生じるように形成されることができる。駆動装置及びシャフトは、他のネジ回転ギヤ又は他の種類のギヤを用いて互いに結合可能である。このような実施形態により、駆動装置及びウォームギヤを用いて大きなギヤ比及び場合によっては自己ロック並びにシャフトの回転運動時に高い精度が可能となるという利点が提供される。
【0016】
一実施例によれば、シャフトに、阻止要素と、復帰要素と、シャフトの駆動のために設けられたウォームギヤのウォームホイールとを配置することが可能である。このとき、阻止要素は、カムとして成形されることができるとともに、復帰輪郭部を有するディスクとして成形された復帰要素におけるウォームホイールとはそれた側でシャフトに配置されることができる。特に、このとき、ウォームホイール及び復帰要素は一体的に成形されることが可能である。このような実施形態により、構造上簡易で強固な、操作要素の阻止及び復帰のための装置が提供され得るという利点が提供される。
【0017】
車両のオートマチックトランスミッションをシフトするためのシフト装置であって、該シフト装置が、オートマチックトランスミッションのオートマチックのシフトゲートとマニュアルのシフトゲートの間で設定されるように形成された操作要素を備えている、前記シフト装置は、シフト装置が、操作要素の移動を設定するための上述の装置を備えており、第2の移動軸が自動的なシフトゲートとマニュアルのシフトゲートの間の変更軸を示しており、中立位置がオートマチックのシフトゲートに割り当てられており、偏向位置がマニュアルのシフトゲートに割り当てられていることを特徴としている。
【0018】
シフト装置に関連して、操作要素の移動を設定するために、上述の設定のための装置の実施形態を有利に用いるか、あるいは使用することが可能である。
【0019】
車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動を設定するための方法であって、該方法が、回転可能なシャフトと、操作要素を支持するための支持装置とを備えた装置に関連して実行され、支持装置が、第1の移動軸に関してシャフトに対して相対的に、かつ、第2の移動軸に関して中立位置と偏向位置の間で操作要素と共に移動可能であり、シャフトに、中立位置から変更位置への支持装置の移動を阻止するための阻止要素が配置されており、及び/又は支持装置を偏向位置から中立位置へ復帰させるための復帰要素がシャフトに配置されており、前記方法は、以下のステップ:
阻止要素を阻止位置において支持装置に係合して配置するように、解放位置において阻止要素及び復帰要素を支持装置と接触しないように配置するように、並びに/又は復帰運動の際に前記解放位置と前記阻止位置の間で復帰要素を支持装置に対して接触して配置されるように、シャフトが回転されるステップを備えている。
【0020】
上記方法は、操作要素の移動を設定するために、上述の設定のための装置を用いて有利に実行され得る。このとき、回転のステップにおいては、シャフトが少なくとも1つの回転方向へ回転されることができる。特に、シャフトは、同一の回転方向において、解放位置から復帰移動を実行可能であるとともに阻止位置へ至ることができるか、又は解放位置から直接阻止位置へ到達可能であるように、回転のステップにおいて回転されることができる。
【0021】
以下に、本発明を添付の図面に基づいて例示的に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例によるシフト装置を有する車両の概略的な図である。
図2】本発明の一実施例による設定のための方法のフローチャートである。
図3A】本発明の一実施例による設定装置の様々な状態における斜視図である。
図3B】本発明の一実施例による設定装置の様々な状態における斜視図である。
図3C】本発明の一実施例による設定装置の様々な状態における斜視図である。
図3D】本発明の一実施例による設定装置の様々な状態における斜視図である。
図3E】本発明の一実施例による設定装置の様々な状態における斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の本発明の好ましい実施例の説明において、異なる図において示された類似の作用の要素に対して同一又は類似の符号が用いられており、これら要素の繰り返しの説明については省略する。
【0024】
図1には、本発明の一実施例によるシフト装置を有する車両100の概略的な図が示されている。図1には、車両100によって、変速装置あるいはオートマチックトランスミッション102、シフト装置110、操作要素115及び設定装置120が示されている。オートマチックトランスミッション102は、シフト装置110と信号伝達可能に接続されている。シフト装置110は、車両100のオートマチックトランスミッション102をシフトするように形成されている。シフト装置110は、操作要素115及び設定装置120を備えている。設定装置120は、車両100のオートマチックトランスミッション102のための操作要素115の移動を設定するように形成されている。したがって、設定装置120を、車両100のオートマチックトランスミッション102のための操作要素115の移動を設定するための装置と呼ぶことも可能である。
【0025】
操作要素115は、オートマチックトランスミッション102の異なる走行段あるいはギヤ段を設定するために例えば車両100の運転者によって手動で操作可能な、オートマチックトランスミッション102のためのシフトレバーであり得る。したがって、操作要素115は、特にパーキングのための位置P、ニュートラルのためのN、後進のためのR及び前進のためのDに設定可能であり、また、位置Dから手動のゲートあるいはシフトゲートへ移動可能である。設定装置120は、操作要素115の移動を手動のゲートに関して設定するために、特に手動のゲートへの移動を阻止し、及び/又は手動のゲートからの復帰を生じさせるように形成されている。シフト装置110あるいは設定装置120に関して以下に詳細に説明する。
【0026】
図2には、本発明の一実施例による車両のオートマチックトランスミッション102のための操作要素の移動を設定するための方法200のフローチャートが示されている。方法200は、操作要素の移動を設定するために図1に基づく設定装置のような設定装置の使用の下で有利に実行可能である。
【0027】
したがって、方法200は、回転可能なシャフトと、操作要素の支持のための支持装置とを備えた装置に関連して実行可能である。このとき、支持装置は、第1の移動軸に関してはシャフトに対して相対的に、及び第2の移動軸に関しては中立位置と偏向位置の間で操作要素と共に移動可能である。このとき、シャフトに、中立位置から偏向位置への支持装置の移動を阻止するための阻止要素が配置されており、これに加えて、又はこれに代えて、偏向位置から中立位置への支持装置の復帰のための復帰要素が配置されている。
【0028】
方法200は、阻止要素が阻止位置において支持装置と係合して配置されるように、阻止要素及び復帰要素が解放位置において支持装置と接触しないように配置されるように、及びこれに加えて又はこれに代えて解放位置と阻止位置の間で復帰運動時に復帰要素が支持装置に対して接触して配置されるように、シャフトの回転のステップ210を備えている。ここで、回転のステップ210では、シャフトが少なくとも1つの回転方向に回転可能である。特に、回転のステップ210において、一定の回転方向において解放位置から復帰運動を実行して阻止位置へ到達可能であるか、又は直接阻止位置へ到達可能であるようにシャフトが回転可能である。
【0029】
図3Aには、本発明の一実施例による設定装置120の斜視図が示されている。設定装置120は、図1に基づくシフト装置の設定装置である。ここで、設定装置120のうち、係合部分312及び接触表面314を有する支持装置310と、阻止突起部332を有する阻止要素330と、ウォームホイール334と、ディスク342及び復帰輪郭部344を有する復帰要素340が配置された回転可能なシャフト320と、ウォーム352を有する駆動装置350とが図示されている。ここで、図3Aにおける設定装置120は、シャフト320が阻止位置に配置されている状態で示されている。
【0030】
設定装置120は、図1に基づく車両のオートマチックトランスミッション102のシフトのためのシフト装置の一部である。ここで、シフト装置は、オートマチックトランスミッションのオートマチックのシフトゲートとマニュアルのシフトゲートの間で設定されるように形成された操作要素と、設定装置120とを備えている。操作装置120あるいは車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための装置は、操作要素の支持のための支持装置310と、回転可能なシャフト320と、駆動装置350とを備えている。
【0031】
このとき、支持装置310は、シャフト320に対して相対的に、第1の移動軸に関して及び中立位置と偏向位置の間で、第2の移動軸に関して操作要素と共に移動可能である。第1の移動軸は、オートマチックのゲートあるいはシフトゲートにおける位置P、N、R及びDの間の操作要素の移動に割り当てられている。第2の移動軸は、オートマチックのゲートとマニュアルのゲートの間の操作要素の移動に割り当てられている。換言すれば、第2の移動軸は、オートマチックトランスミッションのオートマチックのシフトゲートとマニュアルのシフトゲートの間の変更軸を表すものである。ここで、中立位置はオートマチックのゲートにおける操作要素の1つの位置、特に位置Dに対応し、偏向位置はマニュアルのゲートにおける操作要素の1つの位置に対応する。支持装置310は、操作要素を収容し、保持し、シフト過程において操作要素の移動を可能とするように形成されている。
【0032】
シャフト320には、阻止要素330が、中立位置から偏向位置への支持装置310の移動の阻止のために配置されている。
【0033】
また、シャフト320には、偏向位置から中立位置への支持装置310の復帰のための復帰要素340が配置されている。シャフト320の回転軸は、支持装置310の移動時に、したがって操作要素の移動時にも、設定装置120に対して静止して配置されている。図3Aの図示においては、支持装置310と、したがって操作要素も、第2の移動軸に関して中立位置に配置されている。換言すれば、支持装置310と、したがって操作要素もオートマチックトランスミッションの位置P,R又はNに配置されており、マニュアルのゲートあるいはこのマニュアルのゲートへの変更が阻止要素330を用いて阻止されている。
【0034】
阻止要素330は、シャフト320の周囲の一部においてシャフト320の周面から径方向へ離れるように延在する阻止突起部332を備えている。阻止突起部332は、阻止要素330のスリーブ状の本体部から延在するカムとして形成されている。図3Aに図示された本発明の実施例によれば、ウォームホイール334は、阻止要素330から分離されてシャフト320に配置されている。他の実施例によれば、ウォームホイール334が阻止要素330と一体的に成形されている。
【0035】
復帰要素340は、シャフト320に配置されたディスク342を備えている。ここで、ディスク342の厚さdは、復帰要素340の復帰輪郭部344を形成するために、周囲のそれぞれ逆方向の一部において初期厚さから復帰厚さまで増大している。このとき、ディスク342の厚さは、傾斜路状に増大している。ディスク342は、傾斜路を形成するディスク表面でシャフト320の回転軸線に対して傾斜して立てかけられている。ディスク342は、本発明の実施例に応じて中心に、又は偏心してシャフト320に配置されている。例えば、ディスク342は、偏心輪として形成されている。
【0036】
阻止要素330は、シャフト320の第1の周囲部分に配置されている。復帰要素340は、第1の周囲範囲とは異なるシャフトの第2の周囲部分に配置されている。ここで、阻止要素330及び復帰要素340は、図3Aに示された本発明の実施例に基づき、シャフト320の異なる長手延長部に配置されている。他の実施例によれば、阻止要素330及び復帰要素340は、シャフト320の共通の長手延長部に配置されている。特に、阻止要素330がシャフト320の第1の周半球部に配置されているとともに、復帰輪郭部344はシャフト320の第2の周半球部に配置されている。図3Aに示されたシャフト320が存在する場合には、阻止装置332が支持装置310に対向しているとともに、復帰輪郭部344が支持装置310からそれている。
【0037】
阻止要素330は、復帰要素340及びシャフト320から分離して成形された要素として設定されている。復帰要素340は、阻止要素330及びシャフト320から分離して成形された要素として設定されている。阻止要素330及び復帰要素340は、図3Aに図示された本発明の実施例に基づき、シャフト320に固定して設けられているか、あるいは共に回転するように設けられている。他の実施例によれば、阻止要素330又は復帰要素340は、シャフト320と一体的に成形されている。一実施例によれば、阻止要素330と、これに加えて、又はこれに代えて、復帰要素340とがシャフト320において取外し可能に設けられている。一実施例によれば、設定装置120は阻止要素330又は復帰要素340のみを備えている。
【0038】
支持装置310は、阻止要素330あるいは阻止突起部332を収容するための係合部分312を備えている。また、支持装置310は、復帰要素340、より正確にいえばディスク342の復帰輪郭部344との相互作用のための接触表面314を備えている。このとき、支持装置310の係合部分312は、凹部として及びこれに加えて又はこれに代えて支持装置310の突出部として形成されている。シャフト320の阻止位置では、阻止突起部332は、少なくとも部分的に係合装置310の係合部分312に配置されている。このとき、係合部分312は、阻止突起部332によって係合する。シャフト320が阻止位置にあれば、復帰要素320の復帰要素輪郭部344が支持装置310の接触表面314から離間して配置されている。シャフト320の回転方向に依存して、復帰要素340の復帰輪郭部344がシャフト320の復帰移動時に少なくとも部分的に支持装置310の接触表面314に対して接触して配置されている。
【0039】
駆動装置350は、シャフト320の回転運動を生じさせるためにシャフトを駆動させるように形成されている。このとき、駆動装置350及びシャフト320は、ウォームギヤを用いて互いに結合されている。ウォームギヤは、ウォームホイール334及びウォーム352を備えている。この場合、ウォームギヤのウォームホイール334は、シャフト320に配置されている。図3Aに図示された本発明の実施例によれば、ウォームギヤが復帰要素340における阻止要素330からそらされた側に配置されており、ウォームホイール334は、復帰要素340に結合されている。本発明の一実施例によれば、ウォームホイール334が復帰要素340から分離されてシャフト320に結合されることが可能である。本発明の他の実施例によれば、ウォームギヤが阻止要素330に隣接して配置されることができ、ウォームギヤは、阻止要素における復帰要素340とはそれた側に配置されている。ウォームギヤのウォーム352は、駆動装置350に配置されている。ウォームギヤは、ウォームギヤの自己ロックを生じさせるように形成されている。他の実施例によれば、駆動装置350及びシャフト320は、他のネジ回転ギヤ又は他の種類のギヤを用いて互いに結合されている。
【0040】
したがって、図3Aに図示された本発明の実施例によれば、設定装置120においては、シャフト320に阻止要素330と、復帰要素340と、シャフトの駆動のために設けられたウォームギヤのウォームホイール334とが配置されている。このとき、阻止要素330の阻止突起部332は、カムとして成形されているとともに、復帰輪郭部334を有するディスク342を備えた復帰要素340におけるウォームホイール334とは異なる側に配置されている。ここで、復帰要素340は、阻止要素330から分離されつつこの阻止要素に隣接して配置されている。
【0041】
図3Bには、図3Aに基づく設定装置120が、シャフト320が解放位置に配置された状態において示されている。図3Bの図示では、支持装置310と、したがって操作要素とは、第2の移動軸に関して中立位置に配置されている。ここで、支持装置310と、したがって操作要素とは、オートマチックトランスミッションの位置Dに配置されており、マニュアルのゲートあるいはこのマニュアルのゲートへの変更が解放されている。阻止要素330の阻止突起部332は、シャフト320の解放位置において、支持装置310の係合部分312から離れるように回転するか、あるいは離間している。復帰輪郭部344は、図3Aに示された阻止位置よりも小さな間隔で支持装置310あるいは接触表面314から離間している。このとき、シャフト320は、駆動装置350及びウォームギヤを用いて、図3Aに示された阻止位置から1/4回転だけ図3Bに示された解放位置へ回転されている。
【0042】
図3Cには、図3A及び図3Bに基づく設定装置120が、シャフト320が解放位置に配置され、かつ、支持装置310と、したがって操作要素とが第2の移動軸に関して偏向位置に配置されている状態において示されている。このとき、支持装置310と、したがって操作要素とは、オートマチックトランスミッションの位置Mあるいはマニュアルのゲートに配置されており、マニュアルのゲートが解放されている。
【0043】
図3Dには、図3A図3Cに基づく設定装置120が、シャフト320の解放位置と阻止位置の間の復帰運動後の状態において示されている。図3Dの図示では、支持装置310と、したがって操作要素とは、復帰要素340を用いて、第2の移動軸に関して偏向位置から中立位置へ復帰されているか、あるいは戻っている。このとき、支持装置310と、したがって操作要素とは、オートマチックトランスミッションのマニュアルのゲートから位置Dへ戻っている。したがって、設定装置120の図3Cに示された状態からシャフト320が駆動装置350及びウォームギヤを用いて半回転することにより、設定装置120の図3Dに図示された状態へ復帰運動を行うことが可能である。復帰輪郭部344は、図3Aに示されたシャフト320の阻止位置よりもわずかな間隔だけ支持装置310あるいは接触表面314から離間している。
【0044】
図3Eには、図3A図3Dに基づく設定装置120が、図3Bに図示された状態に対応する状態において示されている。図3A図3Eを参照すれば、設定装置120のそれぞれ図示された状態は、回転装置350及びウォームギヤを用いた例えば一方向へのシャフト320の回転により、以下のように終了するか、あるいは達成される:図3Aに示された阻止位置から図3B及び図3Cに図示された解放位置が、シャフト320の1/4回転により達成され、これに基づき、シャフト320の半回転の間に復帰運動が行われ、図3Dに示された状態へ至る。
【0045】
上述の各実施例及び各図に示した各実施例は、単に例示的にのみ選択されたものである。異なる実施例も完全に、又は個々の特徴に関して互いに組み合わせることが可能である。ある実施例が他の実施例の特徴によって補足されることも可能である。さらに、本発明による方法ステップを繰り返して、及び上述の順序とは異なる順序で実行することが可能である。
【0046】
ある実施例が「及び/又は」という結合を第1の特徴と第2の特徴の間で含む場合には、これは、ある実施形態による実施例が第1の特徴も、また第2の特徴も備え、他の実施例によれば第1の特徴のみ又は第2の特徴のみを備えると読むことができる。
【符号の説明】
【0047】
100 車両
102 オートマチックトランスミッション
110 シフト装置
115 操作要素
120 設定装置
200 設定のための方法
210 回転のステップ
310 支持装置
312 係合部分
314 接触表面
320 シャフト
330 阻止要素
332 阻止突起部
334 ウォームホイール
340 復帰要素
342 ディスク
344 復帰輪郭部
350 駆動装置
352 ウォーム
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E