【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は独立請求項に係る発明によって達成される。発明のさらなる好ましい展開は従属請求項に記載されている。
【0005】
発明の第1の局面によると、数値制御工作機械であって、平坦な床領域(たとえばショップフロア)上にセットアップされ得る機械ベッドと、機械ベッドによって(または機械ベッド上に)支持されるキャビンと、少なくとも平坦な床領域とキャビンのキャビン壁との間の機械ベッドの下部を覆う成形要素とを含み、成形要素は、機械ベッドと成形要素との間にキャビティが形成されるように工作機械に装着される工作機械が提案される。
【0006】
発明によって、断熱キャビティが、特に機械ベッドの下部のあたりに成形要素によって形成され得ることが可能となり、当該下部はキャビン自体によって保護されておらず、先行技術において公知の工作機械内で外部に露出している。キャビティの断熱特性によって、特に、発明に係る工作機械がセットアップされる機械工場内で一時的に起こる温度変化によって、機械ベッドの変形が大きく減少するか変形しないことが可能となる。そのような温度変化は、たとえば、機械工場の門を開けなければならず、床近くの温度降下が極めて急速に起こり得る冬に起こり得る。温度変化によって引起される機械ベッドの変形が防止されるため、ワークの機械加工作業の精度がしたがってさらに増加するか、少なくともより高い程度まで保証される。
【0007】
成形要素は、好ましくは、特に好ましくは成形要素の上部が機械ベッドとキャビンの下部との間に配置されるように、平坦な床領域から機械ベッドの上部まで実質的に延在する。キャビンの下部は成形要素と接触していることが特に好ましい。成形要素とキャビンとのそのような直接的な移行のため、機械ベッドは、短時間起こる温度変化の場合に短時間の外部の温度変化から保護されるか、少なくとも断熱される。
【0008】
成形要素は、好ましくは、少なくとも機械ベッドの前側に沿って、機械ベッドの2つ以上の側部に沿って、機械ベッドの下部を、またはさらには、機械ベッドの全周を取囲むことによって機械ベッドの下部を覆う。
【0009】
成形要素は好ましくは金属および/またはプラスチック材料からなる。
成形要素は、好ましくは、機械ベッドの外形に好ましくは適合される1つ以上の押出断面成形シートを含む。
【0010】
成形要素は、好ましくは、成形要素の材料の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有するコーティング材料からなる表面コーティングを有する。したがって、キャビティの断熱作用がさらに改良され得る。表面コーティングは、ここでは好ましくは、キャビティに対向する成形要素の表面上に設けられる。
【0011】
成形要素は、好ましくは、複数の取付要素によって、特にねじまたはボルトによって機械ベッドに取付けられ、取付要素は、好ましくは、成形要素からキャビティを通って機械ベッドまで延在する。取付要素は、ここでは好ましくは、成形要素の材料の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料からなる。したがって、機械ベッドはさらに改良され、外部の温度変化および/または成形要素の温度の温度変化から保護され得る。
【0012】
成形要素は、好ましくは凹部を有しており、その結果、成形要素から機械ベッドまでの距離が変化し、凹部は成形要素の下側エッジに形成される。これによって、オペレータの前足領域用の空間を作ることができるため、機械のユーザが凹部の位置において機械により近づくことができる。
【0013】
ゴム縁部が、好ましくは、成形要素の下側エッジに沿って装着され、成形要素の下側エッジと平坦な床領域との間の隙間をシールするのに適している。この利点は、ショップフロアの平坦性の軽微な不完全性の場合であっても、キャビティが作業場の床領域において空気または気流から保護され、機械ベッドの熱保護および断熱が外部に対してさらに改良され得ることである。
【0014】
機械ベッドは、好ましくは、水平方向に外側に延在して平坦な床領域に置かれる機械ベッド足部を有し、成形要素は凹部を有し、機械ベッド足部は凹部を通って延在する。
【0015】
発明のさらなる有利な局面を以下に記載する。例示的な実施形態によると、数値制御工作機械は、機械ベッドと、キャビン壁を有するキャビンとを有し得る。キャビン壁は機械ベッドの少なくとも一部を取囲み得る。さらに、工作機械は、実質的にパネル状の基本形状を有し得る少なくとも1つの成形要素を有し得る。成形要素は、成形要素とキャビン壁および/または機械ベッドとの間にキャビティが形成され得るように工作機械に固定され得る。
【0016】
これによって、断熱キャビティが成形要素によって、特に機械ベッドのあたりに作られ得ることが有利に可能となる。キャビティの断熱特性によって、特に、発明に係る工作機械がセットアップされる機械工場内で一時的に起こる温度変化によって、機械ベッドの変形が減少するか変形しないことが可能となる。そのような温度変化は、たとえば、機械工場の門を開けなければならない冬に起こり得る。温度変化によって引起される機械ベッドの変形が防止されるため、ワークの機械加工作業の精度がさらに増加するか、少なくともより高い程度まで保証される。
【0017】
さらに、成形要素は、機械ベッドの下部上に、機械ベッドの予め定められた高さまで配置され得る。キャビティは機械ベッドと成形要素との間に配置され得る。
【0018】
機械ベッドの下部は、好ましくは、機械が置かれるショップフロアの方向に配置される機械ベッドの領域、またはそれによって機械がセットアップされる領域を指定する。好ましい予め定められた高さは1cmから50cm、より好ましくは10cmから30cmの範囲内である。50cmよりも大きい、または1cmよりも小さい値も可能である。予め定められた高さは、好ましくは、ショップフロアから、または機械ベッドもしくは工作機械自体が置かれている平面から開始して測定される。
【0019】
代替的にまたは付加的に、キャビンは機械ベッドの底部を完全に取囲んでもよい。そして、成形要素がキャビン壁の外側および/もしくは内側に装着されてもよいし、または成形要素がキャビン壁の内部の機械ベッドに、すなわちキャビン壁と機械ベッドとの間に取付けられる。
【0020】
特にキャビティが機械ベッドと成形要素との間に形成される場合、機械ベッドの変形を直接もたらす温度変化が特に効果的に防止され得る。これは特に、底部の領域における冷気流量に関して有用である。たとえば機械工場の門が開いたために起こる温度変化は、通常は床近くを流れる冷気質量によって生じる。したがって、底部全体の一部を囲むことは、機械ベッドが成形要素および/またはキャビティによってこの領域内で特に良好に断熱されるという好ましい効果を有する。
【0021】
キャビンは成形要素の上方に配置され得る。成形要素はショップフロアとキャビンとの間に配置され得る。この場合、機械ベッドは、成形要素および/またはキャビティによって底部の温度変化から保護される。キャビン壁は、複雑な設計でショップフロアまで延在する必要はない。成形要素は、機械ベッドの一方の側壁のみを部分的にもしくは完全に、または複数の側壁を覆い得る。もちろん、成形要素は機械ベッドを完全に取囲んでもよい。
【0022】
成形要素の一部がさらに、キャビンと機械ベッドとの間に配置され得る。つまり、成形要素のみが機械ベッドの下部に設けられ、キャビン壁はこの下部の上方に配置される機械ベッドまたは工作機械の一部において外側に配置される。成形要素は、キャビン壁と機械ベッドとの間のこの上部に配置される。この利点は、成形要素とキャビン壁との間の移行において隙間および/または開口部が安全に回避され得ることである。
【0023】
さらに、成形要素は、少なくとも機械ベッドの側壁に配置され得る。成形要素は、付加的にまたは代替的に、後壁の少なくとも一部および/またはキャビンの少なくとも一方の側壁の少なくとも一部を覆ってもよい。成形要素は機械ベッドを完全に取囲んでもよい。
【0024】
一般的な法則では、キャビン内部の改良された断熱は、形成されるキャビティの体積が大きくなるほど、または成形要素によって覆われる機械ベッドの表面積が大きくなるほど、キャビン環境に対して達成され得る。したがって、キャビン環境の温度変化がキャビン内部の温度変化につながることがさらに良好に防止され得る。これは、特に、短時間起こって機械ベッドの短時間の変形をもたらす変化に関して望ましい。
【0025】
さらに、成形要素は、成形要素およびキャビン壁および/または機械ベッドが外部に対して閉じられたキャビティを形成するように、キャビン壁の形状に適合され得る。
【0026】
外部に対して閉じられたキャビティとは、キャビティとキャビティの外部の環境との間で交換される空気質量が実質的にないか、少量のみであることを意味する。これによって、たとえばキャビティ内の一定のエアクッションの形成が可能となり、キャビティを通る熱流を効果的に減少させることができる。
【0027】
また、キャビティは空気で充填され得るか、真空にされ得る。さらに、材料がキャビティの内部に配置され得、予め定められた熱伝導率を超えない。空気は小型ポンプによって真空排気され得る。
【0028】
上記に説明したように、特に外部に対して閉じられているキャビティの給気によって、小さい伝熱係数、およびしたがって良好な断熱がもたらされる。断熱に関する別の改良点が真空キャビティによって達成され得る。本明細書中の「真空にされた」という用語は、キャビティが真空を含むことを意味する。ここでは低真空によって既に伝熱係数の好ましい減少がもたらされる。
【0029】
さらに、成形要素は、金属および/またはプラスチック材料で構成され得るか、当該材料を含み得る。
【0030】
金属材料は、金属曲げ等の、特にあまり複雑でない作業工程における成形要素の良好な生産能力に関して好ましい。プラスチック材料も所望の成形に関して処理され得、プラスチックの熱伝導率は通常は比較的低いというさらなる利点を有する。したがって、成形要素の断熱特性がさらにサポートされ得る。
【0031】
さらに、成形要素は、曲げによって工作機械のキャビンの外形に適合され得る押出断面成形シートであり得る。付加的にまたは代替的に、成形要素は複数の個別の要素からなってもよい。
【0032】
製造技術に関するこの柔軟性によって、特に、付加的な複雑な製造努力なしで成形要素が工作機械またはキャビン壁または機械ベッドの実質的にいずれの外形にも適合可能となる。
【0033】
さらに、成形要素は、好ましくは、キャビティの内部に配置され得る表面上のコーティングを有し得る。コーティングは、予め定められた最大熱伝導率を下回り得る熱伝導率を有する材料を含み得る。
【0034】
したがって、付加的な熱障壁が提供され、これは成形要素および結果として生じるキャビティを通る熱流をさらに減少させる。W/mKで表わされる予め定められた最大熱伝導率はここでは好ましくは3未満であり、W/mKで表わされる予め定められた最大熱伝導率はより好ましくは1未満である。たとえば、プラスチック材料がコーティング用材料として好ましい。
【0035】
さらに、成形要素は工作機械から取外され得、ならびに/または押込および/もしくは摩擦接続部によって工作機械に固定的に取付けられ得る。成形要素は好ましくは機械ベッドに接続され得る。成形要素を取付けるために、少なくとも1つのボルトを用いることが好ましい。
【0036】
これによって、たとえばねじ接続またはスナップ式接続による成形要素の工作機械へのあまり複雑でない迅速な取付けと、同時に、たとえば工作機械に対して必要なメンテナンス作業が発生した場合の迅速な取外しとが可能となる。次に、ボルトによって、あまり複雑でない永久的な確実な固定が可能となる。
【0037】
さらに、成形要素は凹部を有しており、その結果、成形要素の長手方向に沿った機械ベッドまでの成形要素の距離は、成形要素が機械ベッドに装着されると変化し得る。
【0038】
つまり、成形要素が機械ベッドのたとえば前側を覆う場合、前側は、成形要素が他の部分においてよりも機械ベッドの近くに配置される部分を含む。工作機械のオペレータは工作機械の作業領域において機械にできる限り近づくことができなければならないため、これは特にこの作業領域において有利である。この領域において成形要素が機械ベッドにより近づいて当接すると、オペレータは成形要素によって邪魔をされない。
【0039】
さらに、ショップフロアに対して並べられ得る成形要素の一部はゴム縁部を有し得る。この利点は、ショップフロアの平坦性の不完全性を補償すること、かつショップフロア上の成形要素の最適な当接を保証することも可能であることである。したがって、ショップフロアと成形要素との間の隙間または開口部が安全に防止され、成形要素および/またはキャビティの最適な断熱効果が可能となる。
【0040】
さらに、成形要素は、たとえば内部に機械ベッド足部を受ける凹部を有し得る。これは、足部上の工作機械の安全なセットアップ、および成形要素による最適な断熱効果の両方を保証する役割を果たす。