特許第6556154号(P6556154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556154
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】イソキノリン誘導体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20190729BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20190729BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20190729BHJP
   A61K 31/4725 20060101ALI20190729BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 9/06 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 23/02 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190729BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20190729BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20190729BHJP
   G01N 33/58 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   C07D401/04CSP
   C07D401/14
   C07D417/14
   A61K31/4725
   A61K31/506
   A61P9/06
   A61P9/10
   A61P21/00
   A61P21/02
   A61P23/02
   A61P25/00
   A61P25/04
   A61P25/06
   A61P25/08
   A61P25/18
   A61P25/24
   A61P25/28
   A61P27/16
   A61P43/00 111
   G01N33/15 Z
   G01N33/50 Z
   G01N33/58 Z
【請求項の数】30
【全頁数】82
(21)【出願番号】特願2016-551246(P2016-551246)
(86)(22)【出願日】2015年2月12日
(65)【公表番号】特表2017-511794(P2017-511794A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】US2015015576
(87)【国際公開番号】WO2015123398
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2017年6月19日
(31)【優先権主張番号】61/939,082
(32)【優先日】2014年2月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508150854
【氏名又は名称】パーデュー、ファーマ、リミテッド、パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】タフェッセ,レイキー
(72)【発明者】
【氏名】パーク,ジャエ,ヒュン
【審査官】 神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/022055(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/103196(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/105572(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/141474(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/117048(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/135697(WO,A1)
【文献】 特表2008−519034(JP,A)
【文献】 Database REGISTRY,2012年,RN 1356815-02-5, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 01 May 2018
【文献】 Database REGISTRY,2012年,RN 1356753-38-2, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 01 May 2018
【文献】 Database REGISTRY,2012年,RN 1356736-02-1, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 01 May 2018
【文献】 Database REGISTRY,2012年,RN 1356671-26-5, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 01 May 2018
【文献】 Database REGISTRY,2012年,RN 1356644-18-2, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 01 May 2018
【文献】 Database REGISTRY,2012年,RN 1356639-59-2, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 01 May 2018
【文献】 Database REGISTRY,2012年,RN 1356631-85-0, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 01 May 2018
【文献】 Database REGISTRY,2012年,RN 1356553-45-1, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 01 May 2018
【文献】 BREGMAN,H. et al.,Journal of Medicinal Chemistry,2011年,Vol.54,pp.4427-4445
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式II:
【化2】
式中
、W、及びWは、それぞれ独立して、CHまたはNであるが、ただしW、W、及びWのうち少なくとも1つはNであり;
Aは、フェニル、五員〜六員ヘテロアリール、及び飽和または不飽和のシクロ(C5−6)アルキルからなる群より選択され、前期フェニル、前記五員〜六員のヘテロアリール、及び前記飽和または不飽和のシクロ(C5−6)アルキルのそれぞれは、以下からなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換され
i)ハロゲン、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、ヒドロキシル、カルボキサミド、(アルコキシ)カルボニル、[(アルコキシ)カルボニル]アミノ、カルボキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、随意に置換されたシクロアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、及びスルホンアミドからなる群より独立して選択される1つまたは3つの置換基により随意に置換されたアルキル、群中、前記シクロアルキル及び前記ヘテロシクリルは、それぞれ独立して、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、(アルキル)アミノ、カルボキサミド、アルキル、ハロアルキル、カルボキシ、(カルボキシ)アルキル、(カルボキサミド)アルキル、(アルキル)カルボニル、(アルコキシ)カルボニル、及びアルコキシからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換され;
ii)アルキル、(カルボキサミド)アルキル、(アミノ)アルキル、(アルキル)カルボニル、(アルキル)スルホニル、(アルコキシ)カルボニル、(シクロアルキル)カルボニル、シクロアルキル、及びヘテロシクリルからなる群より独立して選択される1つ〜2つの置換基により随意に置換されたアミノ;
iii)1つ〜3つの同一または異なるハロゲンにより随意に置換されたアルコキシ
)ヒドロキシル;
vi)ハロゲン;及び
vii)スルホンアミド;
及びRの一方はH、−C(O)N(R)(R)、または−[CH(OH)]であり、他方は、H、−C(O)N(R)(R)、−N(R)(R)、−[CH(OH)]、−S(O)N(R)(R)、−OR、または−CH−Rであるが、ただしR及びRは、両方ともHであることはできず;
nは、0、1、または2であり;
は、H、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、カルボキサミド、(ヒドロキシ)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、またはスルホンアミドであり;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、カルボキサミド、ヒドロキシル、ハロゲン、(ヒドロキシル)アルキル、(ジヒドロキシル)アルキル、またはスルホンアミドであり;
は、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
は、H、アルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、または−C(O)N(R12)(R13)であり;
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;
及びRは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択され
1)H;
2)アミノ、(アルキル)アミノ、(アルキル)カルボニル、(アルコキシ)カルボニル、カルボキシ、随意に置換されたアリール、随意に置換されたヘテロアリール、ウレイド、グアニジノ、ハロゲン、ヒドロキシル、(アルキル)スルファニル、スルファニル、及びカルボキサミドからなる群より独立して選択される1つまたは3つの置換基により随意に置換されたアルキル;
3)ハロゲン、アルキル、アミノ、(アルキル)アミノ、(アルキル)カルボニル、カルボキシ、(アルコキシ)カルボニル、及びカルボキサミドからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換されたヘテロシクリル;
4)アミノ、ヒドロキシル、及びアルコキシからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換された(アルキル)カルボニル;及び
5)ハロゲン、随意に置換されたヘテロシクリル、及びアルコキシからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換された(アルキル)スルホニル;
あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、五員〜六員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;かつ
12及びR13の一方はHであり、他方はHまたはアルキルである、
化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマー。
【請求項2】
、R、及びRは、全てHである、及び/又は、R及びRのうち少なくとも一方は、H、−C(O)N(R)(R)、または−[CH(OH)]である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は、Hまたは−C(O)N(R)(R)である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
(i)Rは、−C(O)N(R)(R)であり、かつR及びRのうち一方はHであり、他方はHまたは(C1−3)アルキルである、及び/又は、(ii) Rは−C(O)NHである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
は、H、−N(R)(R)、−[CH(OH)]、−OR、または−CH−Rであるが、ただしR及びRは、両方ともHであることは不可である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
(i)Rは−N(R)(R)であり、かつR及びRの一方はHであり、他方は、以下:
【化3】
式中
yは、0、1、2、3、または4であり;
xは、1、2、または3であり;
14は、Hまたは随意に置換された(C1−6)アルキルであり、前記随意に置換された(C1−6)アルキルは、−S(C1−3アルキル)、ヒドロキシル、−SH、−C(O)NH、−C(O)OH、−NHC(=NH)NH、アミノ、ヘテロアリール、またはアリールにより随意に置換され、アリールは、ヒドロキシルまたは(C1−3)アルコキシによりさらに随意に置換され;
2a及びR2bは、それぞれ独立して、Hまたは(C1−6)アルキルであり;
あるいは、R2a及びR2bは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員のヘテロシクリルを形成し、三員〜八員のヘテロシクリルは、アルキル、ハロアルキル、(アルコキシ)カルボニル、アミノ、アルコキシ、及びカルボキサミドからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基で随意に置換される、
からなる群より選択される、又は、
(ii) Rは−N(R)(R)であり、かつR及びRの一方はHであり、他方は1つまたは2つのヒドロキシル基で随意に置換された(C1−6アルキル)カルボニルである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
は−N(R)(R)であり、かつR及びRの一方はHであり、他方は以下:
【化4】
からなる群より選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
は−N(R)(R)であり、かつR及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、随意に置換された五員〜六員のヘテロシクリルを形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、以下:
【化5】
式中、五員〜六員のヘテロシクリルは、ヒドロキシル、カルボキサミド、(C1−3)アルコキシ、(C1−3)アルキル、(C1−3アルキル)カルボニル、及びハロ(C1−3)アルキルからなる群より選択される1つまたは2つの同一または異なる置換基で随意に置換されていること、
からなる群より選択される前記五員〜六員のヘテロシクリルを形成する、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
(i)Rは−ORであり、かつRは以下:
【化6】
式中、uは、1、2、または3であること、
からなる群より選択される随意に置換されたヘテロシクリルである、又は、
(ii) Rは−[CH(OH)]である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
は、H、(C1−3)アルキル、または−C(O)NHである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
は以下:
【化7】
からなる群より選択される、請求項10または11に記載の化合物。
【請求項13】
は−S(O)N(R)(R)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
及びRの一方はHであり、かつ他方は五員ヘテロアリールである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
(i)以下の式III:
【化8】
の化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである、又は、
(ii) 以下の式IV:
【化9】
の化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである、又は、
(iii) 以下の式V:
【化10】
の化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである、又は、
(iv) 以下の式VI:
【化11】
の化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
Aは、随意に置換されたフェニルである、請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物
【請求項17】
以下の式VII:
【化12】
式中
、W、及びWは、それぞれ独立して、CHまたはNであるが、ただしW、W、及びWのうち少なくとも1つはNであり;かつ
1aは、H、(C1−3)アルキル、ハロ(C1−3)アルキル、ハロ(C1−3)アルコキシ、(C1−3)アルコキシ、ハロゲン、アミノ、−C(O)NH、[(C1−3)アルキル]アミノ、及びヒドロキシルからなる群より選択され
及びRの一方はH、−C(O)N(R)(R)、または−[CH(OH)]であり、他方は、H、−C(O)N(R)(R)、−N(R)(R)、−[CH(OH)]、−S(O)N(R)(R)、−OR、または−CH−Rであるが、ただしR及びRは、両方ともHであることはできず;
nは、0、1、または2であり;
は、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
は、H、アルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、または−C(O)N(R12)(R13)であり;
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;
及びRは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択され
1)H;
2)アミノ、(アルキル)アミノ、(アルキル)カルボニル、(アルコキシ)カルボニル、カルボキシ、随意に置換されたアリール、随意に置換されたヘテロアリール、ウレイド、グアニジノ、ハロゲン、ヒドロキシル、(アルキル)スルファニル、スルファニル、及びカルボキサミドからなる群より独立して選択される1つまたは3つの置換基により随意に置換されたアルキル;
3)ハロゲン、アルキル、アミノ、(アルキル)アミノ、(アルキル)カルボニル、カルボキシ、(アルコキシ)カルボニル、及びカルボキサミドからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換されたヘテロシクリル;
4)アミノ、ヒドロキシル、及びアルコキシからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換された(アルキル)カルボニル;及び
5)ハロゲン、随意に置換されたヘテロシクリル、及びアルコキシからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換された(アルキル)スルホニル;
あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、五員〜六員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;かつ
12及びR13の一方はHであり、他方はHまたはアルキルである、
化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマー。
【請求項18】
Aは、随意に置換された六員ヘテロアリールである、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
Aは、随意に置換されたピリジル、随意に置換されたピリミジル、または随意に置換されたトリアジニルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
以下の式VIII:
【化13】
式中
、W、及びWは、それぞれ独立して、CHまたはNであるが、ただしW、W、及びWのうち少なくとも1つはNであり;かつ
1bは、H、(C1−3)アルキル、ハロ(C1−3)アルキル、ハロ(C1−3)アルコキシ、(C1−3)アルコキシ、ハロゲン、アミノ、−C(O)NH、[(C1−3)アルキル]アミノ、及びヒドロキシルからなる群より選択され
及びRの一方はH、−C(O)N(R)(R)、または−[CH(OH)]であり、他方は、H、−C(O)N(R)(R)、−N(R)(R)、−[CH(OH)]、−S(O)N(R)(R)、−OR、または−CH−Rであるが、ただしR及びRは、両方ともHであることはできず;
nは、0、1、または2であり;
は、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
は、H、アルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、または−C(O)N(R12)(R13)であり;
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;
及びRは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択され
1)H;
2)アミノ、(アルキル)アミノ、(アルキル)カルボニル、(アルコキシ)カルボニル、カルボキシ、随意に置換されたアリール、随意に置換されたヘテロアリール、ウレイド、グアニジノ、ハロゲン、ヒドロキシル、(アルキル)スルファニル、スルファニル、及びカルボキサミドからなる群より独立して選択される1つまたは3つの置換基により随意に置換されたアルキル;
3)ハロゲン、アルキル、アミノ、(アルキル)アミノ、(アルキル)カルボニル、カルボキシ、(アルコキシ)カルボニル、及びカルボキサミドからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換されたヘテロシクリル;
4)アミノ、ヒドロキシル、及びアルコキシからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換された(アルキル)カルボニル;及び
5)ハロゲン、随意に置換されたヘテロシクリル、及びアルコキシからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換された(アルキル)スルホニル;
あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、五員〜六員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;かつ
12及びR13の一方はHであり、他方はHまたはアルキルである、
化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマー。
【請求項21】
Aは、随意に置換されたシクロヘキシルまたは随意に置換されたシクロヘキセニルである、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
i)(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物22);
ii)(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物23);
iii)(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物24);
iv)6−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピコリンアミド(化合物25);
v)(2S,3R)−2,3−ジヒドロキシ−3−(6−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリジン−2−イル)プロパンアミド(化合物26);
vi)(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物27);
vii)(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(シクロヘキサ−1−エン−1−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物28);
viii)N−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−6−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリジン−2−スルホンアミド(化合物29);
ix)(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−シクロヘキシル−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物31);
x)(S)−6−(1,2−ジヒドロキシエチル)−4−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピコリンアミド(化合物35);及び
xi)(R)−6−(1,2−ジヒドロキシエチル)−4−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピコリンアミド(化合物36);
からなる群より選択される化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、もしくはジアステレオマー。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物、及び薬学上許容されるキャリアまたは希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項24】
請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物をH、11C、または14C放射標識したものである、放射標識した化合物。
【請求項25】
請求項24に記載の放射標識した化合物を用いて、タンパク質の結合部位に結合する能力についての、候補化合物のスクリーニング方法であって、a)固定濃度の前記放射標識した化合物を、溶解性または膜結合性タンパク質またはその断片に導入して混合物を形成すること;b)候補化合物との前記混合物の濃度検定を行うこと;及びc)該結合部位に対する該候補化合物の該結合を求めること、を含む、方法。
【請求項26】
医薬組成物の製造方法であって、請求項1から22のいずれか1項に記載の化合物を治療上有効量で、薬学上許容される希釈剤またはキャリアと混合することを含む、方法。
【請求項27】
脳卒中、頭部外傷による神経損傷、癲癇、痙攣、全虚血及び局所虚血後の神経減少、疼痛、片頭痛、原発性肢端紅痛症、発作性激痛症、小脳萎縮症、運動失調症、精神発達遅滞、神経変性疾患、躁鬱病、耳鳴り、筋強直症、運動障害、または心不整脈の治療用、あるいは局所麻酔用の医薬の製造における、請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項28】
疼痛の治療における、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
疼痛の先行治療または緩和療法における、請求項27または28に記載の使用。
【請求項30】
前記疼痛は、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、急性疼痛、及び手術疼痛からなる群より選択される、請求項28または29に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬化学の分野に属する。本発明は、新規イソキノリン誘導体を提供する。特定の実施形態において、本イソキノリン誘導体は、1種または複数のナトリウムチャネルの遮断に反応する障害を治療するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
電位開口型ナトリウムチャネル(VGSC)は、全ての興奮性細胞で見つかる。中枢神経系(CNS)及び末梢神経系(PNS)の神経細胞では、ナトリウムチャネルが、活動電位の急激な上昇の発生を主に担っている。この様式では、ナトリウムチャネルは、神経系における電気的シグナルの開始及び伝播に必須である。したがって、ナトリウムチャネルが適切に機能することは、ニューロンの正常機能に必要である。したがって、異常なナトリウムチャネル機能は、癲癇(Yogeeswariら、Curr. Drug Target 5:589−602 (2004))、不整脈(Noble, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:5755−5756 (2002))、筋強直症(Cannon, Kidney Int. 57:772−779 (2000))、及び疼痛(Woodら、J. Neurobiol., 61:55−71 (2004))をはじめとする様々な医学的障害の根底にあると考えられる(遺伝性イオンチャネル障害の総説についてはHubnerら、Hum. Mol. Genet. 11:2435−2445(2002)を参照)。
【0003】
VGSCは、チャネルの核を形成しており電位依存性開口及びイオン浸透を担う1つのα−サブユニット、ならびに複数の補助β−サブユニットで構成される(例えば、Chahine ら、CNS & Neurological Disorders−Drug Targets 7:144−158 (2008)及びKyle and Ilyin, J. Med. Chem. 50:2583−2588 (2007)を参照)。α−サブユニットは、4つの相同性ドメインで構成される巨大タンパク質である。各ドメインは、セグメント間にまたがる6つの膜貫通α−ヘリックスを含む。現在、電位開口型ナトリウムチャネルα−サブユニットファミリーには、9つのメンバーが知られている。このファミリーに対する命名には、SCNx、SCNAx、及びNax.xが含まれる(以下の表1を参照)。VGSCファミリーは、系統学的に2つのサブファミリー、Na1.x(SCN6A以外の全て)及びNa2.x(SCN6A)に分割されてきた。Na1.xサブファミリーは、機能的にさらに2つのグループ、テトロドトキシンによる遮断に感受性があるもの(TTX感受性またはTTX−s)及びテトロドトキシンによる遮断に抵抗性があるもの(TTX抵抗性またはTTX−r)に分けることができる。TTX抵抗性ナトリウムチャネルのサブグループには3つのメンバーが存在する。SCN5A遺伝子産物(Na1.5、H1)は、ほとんど心臓組織でのみ発現し、様々な心不整脈及び他の伝導障害の根底にあることが示されてきた(Liuら、Am. J. Pharmacogenomics 3:173−179 (2003))。その結果、Na1.5の遮断剤は、そのような障害の治療において臨床上の有用性が見いだされてきた(Srivatsaら、Curr. Cardiol. Rep. 4:401−410 (2002))。その他のTTX抵抗性ナトリウムチャネル、Na1.8(SCN10A、PN3、SNS)及びNa1.9(SCN11A、NaN、SNS2)は、末梢神経系で発現し、一次侵害受容ニューロンでの優先的な発現を示す。これらのチャネルのヒト遺伝子変異体は、どのような遺伝性の臨床的障害とも関連が見つかってこなかった。しかしながら、Na1.8の異常発現は、ヒト多発性硬化症(MS)患者のCNSでも、MSの齧歯類モデルでも見つかっている(Black ら Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:11598−115602 (2000))。侵害受容に関与していることについての証拠は、連想的証拠(侵害受容ニューロンでの優先的発現)及び直接証拠(遺伝子ノックアウト)の両方がある。Na1.8−ヌルマウスは、急性侵害刺激に反応して典型的な侵害受容挙動を示したが、関連痛及び痛覚過敏に顕著な欠陥を有していた(Lairdら、J. Neurosci. 22:8352−8356 (2002))。
【0004】
【表1】
【0005】
Na1.7(PN1、SCN9A)VGSCは、テトロドトキシンによる遮断に感受性があり、末梢交感神経及び感覚神経で優先的に発現する。SCN9A遺伝子は、ヒト、ラット、及びウサギを含む多数の種からクローン化されてきており、ヒト遺伝子とラット遺伝子との間で約90%のアミノ酸同一性を示す(Toledo−Aralら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:1527−1532 (1997))。
【0006】
Na1.7が、急性、炎症性、及び/または神経因性疼痛を含む様々な疼痛状態で重要な役割を果たしていることを示唆する証拠は増え続けている。マウスの侵害受容ニューロンでSCN9A遺伝子を削除すると、機械的及び熱的疼痛閾値の上昇及び炎症性疼痛反応の減少または消滅が引き起こされた。(Nassarら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:12706−12711 (2004))。
【0007】
ナトリウムチャネル遮断剤は、様々な疾患状態の治療に有用であることが報告されており、特定の用途が見つかっているものとして、局所麻酔剤として、例えば、リドカイン及びブピバカイン、及び心不整脈の治療用に、例えば、プロパフェノン及びアミオダロン、及び癲癇の治療用に、例えば、ラモトリギン、フェニトイン、及びカルバマゼピンがある(Clareら Drug Discovery Today 5:506−510 (2000); Laiら、Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 44:371−397 (2004); Angerら、J. Med. Chem. 44:115−137 (2001)、及びCatterall, Trends Pharmacol. Sci. 8:57−65 (1987)を参照)。これら作用剤のそれぞれが、ナトリウムイオンの急激な流入に干渉することにより作用すると考えられている。
【0008】
BW619C89及びリファリジンなどの他のナトリウムチャネル遮断薬は、全虚血及び局所虚血の動物モデルにおいて神経保護性であることが示されている(Grahamら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 269:854−859(1994);Brownら、British J. Pharmacol. 115:1425−1432 (1995))。
【0009】
ナトリウムチャネル遮断剤が、急性、慢性、炎症性、神経障害性、ならびに他の型の疼痛、例えば直腸、眼、及び発作性激痛症に典型的に関連する顎下疼痛などをはじめとする疼痛の治療;例えば、Kyle and Ilyin., J. Med. Chem. 50:2583−2588 (2007); Woodら、J. Neurobiol. 61:55−71(2004); Bakerら、TRENDS in Pharmacological Sciences 22:27−31 (2001);及びLaiら、Current Opinion in Neurobiology 13:291−297(2003)を参照;神経障害、例えば、癲癇、痙攣、熱性痙攣を伴う癲癇、良性家族性新生児痙攣を伴う癲癇、遺伝性疼痛障害、例えば、原発性肢端紅痛症及び発作性激痛症、家族性片麻痺性片頭痛、ならびに運動障害などの治療;ならびに、他の精神障害、例えば、自閉症、小脳萎縮症、運動失調症、及び精神発達遅滞などの治療;例えば、Chahineら、CNS & Neurological Disorders−Drug Targets 7:144−158 (2008)及びMeisler and Kearney, J. Clin. Invest. 115:2010−2017 (2005)を参照、の治療に有用である可能性があることも報告されている。上記の臨床用途の他にも、カルバマゼピン、リドカイン、及びフェニトインは、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、及び他の形態の神経損傷などの神経因性疼痛を治療するのに用いられる(Taylor and Meldrum, Trends Pharmacol. Sci. 16:309−316 (1995))。そのうえさらに、慢性疼痛と耳鳴りの間の多数の類似性に基づいて(Moller, Am. J. Otol. 18:577−585 (1997); Tonndorf, Hear. Res. 28:211−215 (1987))、耳鳴りを慢性疼痛感の一形態とみなすべきであるという提案がなされている(Simpsonら、Tip. 20:12−18 (1999))。実際、リドカイン及びカルバマゼピンは、耳鳴りを治療するのに有効であることが示されてきている(Majumdar, B.ら、Clin. Otolaryngol. 8:175−180 (1983); Donaldson, Laryngol. Otol. 95:947−951 (1981))。
【0010】
急性または慢性いずれかの疼痛障害を抱えている患者の多くは、現在の疼痛治療に対する反応が良くなく、オピエートに対する抵抗性または非感受性を発生させることが一般的である。また、現在利用可能な治療の多くは、望ましくない副作用を有する。
【0011】
現在利用可能な作用剤の限定的な有効性及び/または許容できない副作用を考慮して、ナトリウムチャネルを遮断することにより作用する、より有効で安全な鎮痛薬が差し迫って必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
1つの態様において、本発明は、以下に示す式I〜VIIIにより表されるとおりのイソキノリン誘導体、ならびにそれらの薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、及びジアステレオマーを提供し、本明細書中、これらをまとめて「本発明の化合物」と称する。
【0013】
別の態様において、本発明は、疼痛を治療するための本発明の化合物の使用を提供する。特定の実施形態において、本発明の化合物は、1種または複数のナトリウム(Na)チャネルの遮断薬として作用する。
【0014】
別の態様において、本発明は、哺乳類において1種または複数のナトリウムチャネルの遮断に反応する障害を治療する方法を提供し、本方法は、哺乳類に、本発明の化合物を有効量で投与することを含む。
【0015】
すなわち、本発明は、疼痛(例えば、急性疼痛、慢性疼痛、これには、神経因性疼痛、術後疼痛、及び炎症性疼痛、または手術疼痛が含まれるが、それらに限定されない)を治療する方法も提供し、本方法は、そのような治療を必要としている哺乳類に、本発明の化合物を有効量で投与することを含む。
【0016】
1つの実施形態において、本発明は、疼痛の先行治療または緩和療法を必要としている哺乳類に本発明の化合物を有効量で投与することによる、疼痛の先行治療または緩和療法の方法を提供する。
【0017】
さらに、本発明は、脳卒中、頭部外傷による神経損傷、癲癇、痙攣、熱性痙攣を伴う全般癲癇、重度乳児期ミオクローヌス癲癇、全虚血及び局所虚血後の神経減少、片頭痛、家族性原発性肢端紅痛症、発作性激痛症、小脳萎縮症、運動失調症、ジストニア、振戦、精神発達遅滞、自閉症、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、またはパーキンソン病)、躁鬱病、耳鳴り、筋強直症、運動障害、または心不整脈を治療する、あるいは局所麻酔を行う方法を提供し、本方法は、そのような治療を必要としている哺乳類に、本発明の化合物を有効量で投与することを含む。
【0018】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物及び1種または複数の薬学上許容されるキャリアを含む、医薬組成物を提供する。
【0019】
本発明はまた、1種または複数のナトリウムチャネルの遮断に反応する障害を治療するための医薬組成物も提供し、本医薬組成物は、1種または複数の薬学上許容されるキャリアとの混合物として、本発明の化合物を有効量で含む。
【0020】
別の態様において、本発明は、哺乳類において1種または複数のナトリウムチャネルを調節する方法を提供し、本方法は、哺乳類に、少なくとも1種の本発明の化合物を有効量で投与することを含む。
【0021】
さらに別の態様において、本発明は、哺乳類において、疼痛、例えば、急性疼痛、慢性疼痛、これには、神経因性疼痛、術後疼痛、及び炎症性疼痛が含まれるが、それらに限定されない、または手術疼痛を治療するために使用するための本発明の化合物を提供する。
【0022】
そのうえ、本発明は、哺乳類において、脳卒中、頭部外傷による神経損傷、癲癇、痙攣、熱性痙攣を伴う全般癲癇、重度乳児期ミオクローヌス癲癇、全虚血及び局所虚血後の神経減少、片頭痛、家族性原発性肢端紅痛症、発作性激痛症、小脳萎縮症、運動失調症、ジストニア、振戦、精神発達遅滞、自閉症、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、またはパーキンソン病)、躁鬱病、耳鳴り、筋強直症、運動障害、または心不整脈の治療に、あるいは局所麻酔を行うのに使用するための、本発明の化合物を提供する。
【0023】
さらに別の態様において、本発明は、放射標識した本発明の化合物、ならびに適切に選択された任意の競合結合アッセイ及びスクリーニング方法におけるそのような化合物の放射性リガンドとしての使用を提供する。すなわち、本発明は、放射標識した本発明の化合物を用いて、ナトリウムチャネルまたはナトリウムチャネルサブユニットに結合する能力について候補化合物をスクリーニングする方法をさらに提供する。
【0024】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、H、11C、または14Cで放射標識される。競合結合アッセイは、適切に選択された任意の方法を用いて行うことができる。1つの実施形態において、スクリーニング方法は以下を含む:i)放射標識した化合物が、溶解性または膜結合性ナトリウムチャネル、サブユニット、または断片それぞれと結合して、結合体を形成することができる条件下、固定濃度の放射標識した化合物を、溶解性または膜結合性ナトリウムチャネル、サブユニット、または断片を含むin vitro標本に導入すること;ii)候補化合物との結合体の濃度検定を行うこと;及びiii)候補化合物が持つ、チャネル、サブユニット、または断片から放射標識した化合物を追い出す能力を求めること。
【0025】
別の態様において、本発明は、哺乳類における疼痛治療用の医薬を製造するのに使用するための本発明の化合物を提供する。1つの実施形態において、本発明は、疼痛、例えば急性疼痛、慢性疼痛、または手術疼痛の先行治療または緩和療法用医薬の製造における、本発明の化合物の使用を提供する。
【0026】
本発明の化合物は、哺乳類における、脳卒中、頭部外傷による神経損傷、癲癇、痙攣、熱性痙攣を伴う全般癲癇、重度乳児期ミオクローヌス癲癇、全虚血及び局所虚血後の神経減少、片頭痛、家族性原発性肢端紅痛症、発作性激痛症、小脳萎縮症、運動失調症、ジストニア、振戦、精神発達遅滞、自閉症、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、またはパーキンソン病)、躁鬱病、耳鳴り、筋強直症、運動障害、または心不整脈の治療用、あるいは局所麻酔用の医薬の製造に使用することができる。
【0027】
本発明のさらなる実施形態及び利点は、部分的に以下の説明において記載され、また以下の説明から導くことができるだろう、または本発明を実施することにより分かる。本発明の実施形態及び利点は、付随する請求項において特に指定される要素及び組み合わせにより、実現及び達成されるだろう。
【0028】
当然のことながら、上記の要約及び以下の詳細な説明の両方とも、説明のための例示にすぎず、特許請求されるとおりの本発明を制限しない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
定義
本発明をさらに説明する前に、本発明をより理解しやすくする目的で、便利なように、本明細書中、特定の用語について最初に定義してまとめる。
【0030】
「アルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として用いられる場合、炭素原子を1〜12個(すなわち、C1−12アルキル)または炭素原子を指定される個数で(すなわち、メチルなどのCアルキル、エチルなどのCアルキル、プロピルまたはイソプロピルなどのCアルキルなど)有する直鎖または分岐鎖の脂肪族炭化水素を示す。1つの実施形態において、アルキル基は、直鎖C1−10アルキル基から選択される。別の実施形態において、アルキル基は、分岐鎖C3−10アルキル基から選択される。別の実施形態において、アルキル基は、直鎖C1−6アルキル基から選択される。別の実施形態において、アルキル基は、分岐鎖C3−6アルキル基から選択される。別の実施形態において、アルキル基は、直鎖C1−4アルキル基から選択される。別の実施形態において、アルキル基は、分岐鎖C3−4アルキル基から選択される。別の実施形態において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖C3−4アルキル基から選択される。制限ではなく例として、C1−10アルキル基として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、3−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが挙げられる。制限ではなく例として、C1−4アルキル基として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、及びイソブチルが挙げられる。
【0031】
「随意に置換されたアルキル」という用語は、本明細書中それ自身でまたは別の基の一部として用いられる場合、上記で定義されるとおりのアルキルが1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、または3つ)の置換基で置換されているかまたは置換されていないかのいずれかであり、1つまたは複数の置換基は独立して、アミノ、(アルキル)アミノ、(アルキル)カルボニル、(アリール)カルボニル、(アルコキシ)カルボニル、[(アルコキシ)カルボニル]アミノ、カルボキシ、アリール、ヘテロアリール、ウレイド、グアニジノ、ハロゲン、スルホンアミド、ヒドロキシル、(アルキル)スルファニル、ニトロ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、(アルキル)スルホニル、(シクロアルキル)スルホニル、(アリール)スルホニル、シクロアルキル、スルファニル、カルボキサミド、ヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)スルホニルなどからなる群より選択されることを意味する。1つの実施形態において、随意に置換されたアルキルは、2つの置換基で置換されている。別の実施形態において、随意に置換されたアルキルは、1つの置換基で置換されている。制限ではなく例として、随意に置換されたアルキル基として、−CH(CH)CONH、−CHCHNO、−CH(OH)CH(OH)、−CH(OH)CH(OH)CONH、−CF、−CHCHCOH、−CHPh−OH、−CHSH、−CHCOH、−CH(CH)OH、−CHCH−CHNC(=NH)NH、−CHCHSCH、−CHCHCOPh、−CH11などが挙げられる。
【0032】
本明細書中使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、炭素原子を3〜12個(すなわち、C3−12アルキル)または指定される個数の炭素原子を有する環を1〜3つ含有する、飽和及び部分不飽和の(1つまたは2つの二重結合を有する)環状脂肪族炭化水素を示す。1つの実施形態において、シクロアルキル基は2つの環を有する。1つの実施形態において、シクロアルキル基は1つの環を有する。別の実施形態において、シクロアルキル基は、飽和または不飽和のC3−8シクロアルキル基である。別の実施形態において、シクロアルキル基は、飽和または不飽和のC5−6シクロアルキル基である。制限ではなく例として、シクロアルキル基として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ノルボルニル、デカリン、アダマンチル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどが挙げられる。
【0033】
本明細書中使用される場合、「随意に置換されたシクロアルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、上記で定義されるとおりのシクロアルキルが1つ、2つ、または3つの置換基で置換されているかまたは置換されていないかのいずれかであり、1つ、2つ、または3つの置換基は独立して、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、ハロアルキル、(ヒドロキシル)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド、スルホンアミド、(アルキル)カルボニル、(アリール)カルボニル、(アルキル)スルホニル、アリールスルホニル、ウレイド、グアニジノ、カルボキシ、(カルボキシ)アルキル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、(アルコキシ)アルキル、(アミノ)アルキル、(ヒドロキシル)アルキルアミノ、(アルキルアミノ)アルキル、(ジアルキルアミノ)アルキル、(シアノ)アルキル、(カルボキサミド)アルキル、(アルキル)スルファニル、(ヘテロシクロ)アルキル、(ヘテロアリール)アルキル、(アルコキシ)カルボニル、メルカプトアルキルなどからなる群より選択されることを意味する。1つの実施形態において、随意に置換されたシクロアルキルは、2つの置換基で置換されている。別の実施形態において、随意に置換されたシクロアルキルは、1つの置換基で置換されている。制限ではなく例として、随意に置換されたシクロアルキル基として、以下が挙げられる:
【化1】
【0034】
本明細書中使用される場合、「アルケニル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、上記で定義されるとおりのアルキル基で、炭素炭素二重結合を1つ、2つ、または3つ含むものを示す。1つの実施形態において、アルケニル基は、C2−6アルケニル基から選択される。別の実施形態において、アルケニル基は、C2−4アルケニル基から選択される。制限ではなく例として、アルケニル基として、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、sec−ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルが挙げられる。
【0035】
本明細書中使用される場合、「随意に置換されたアルケニル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、上記で定義されるとおりのアルケニルが1つ、2つ、または3つの置換基で置換されているかまたは置換されていないかのいずれかであり、1つ、2つ、または3つの置換基は独立して、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、ハロアルキル、(ヒドロキシ)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、(アルキル)スルファニル、カルボキサミド、スルホンアミド、(アルキル)カルボニル、(アリール)カルボニル、(アルキル)スルホニル、(アリール)スルホニル、ウレイド、グアニジノ、カルボキシ、(カルボキシ)アルキル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルからなる群より選択されることを意味する。
【0036】
本明細書中使用される場合、「アルキニル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、上記で定義されるとおりのアルキル基で、炭素炭素三重結合を1つ〜3つ含むものを示す。1つの実施形態において、アルキニルは、1つの炭素炭素三重結合を有する。1つの実施形態において、アルキニル基は、C2−6アルキニル基から選択される。別の実施形態において、アルキニル基は、C2−4アルキニル基から選択される。制限ではなく例として、アルキニル基として、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、2−ブチニル基、ペンチニル基、及びヘキシニル基が挙げられる。
【0037】
本明細書中使用される場合、「随意に置換されたアルキニル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、上記で定義されるとおりのアルキニルが1つ、2つ、または3つの置換基で置換されているかまたは置換されていないかのいずれかであり、1つ、2つ、または3つの置換基は独立して、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、(ヒドロキシ)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、(アルキル)スルファニル、カルボキサミド、スルホンアミド、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ウレイド、グアニジノ、カルボキシ、(カルボキシ)アルキル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルなどからなる群より選択されることを意味する。
【0038】
本明細書中使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、1個または複数のフッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び/またはヨウ素原子で置換されたアルキル基を示す。1つの実施形態において、アルキル基は、1個、2個、または3個のフッ素原子及び/または塩素原子で置換されている。別の実施形態において、ハロアルキル基は、C1−4ハロアルキル基から選択される。制限ではなく例として、ハロアルキル基として、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、及びトリクロロメチル基が挙げられる。
【0039】
本明細書中使用される場合、「ヒドロキシアルキル」または「(ヒドロキシ)アルキル」(「(ヒドロキシル)アルキル」としても)という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、1つのヒドロキシ基で置換されたアルキル基を示す、すなわち、ヒドロキシアルキル基は、モノヒドロキシアルキル基である、すなわち、1つのヒドロキシ基で置換されている。1つの実施形態において、(ヒドロキシ)アルキル基は、C1−4ヒドロキシアルキル基から選択される。制限ではなく例として、(ヒドロキシ)アルキル基として、(ヒドロキシ)メチル基、(ヒドロキシ)エチル、(ヒドロキシ)プロピル基、及び(ヒドロキシ)ブチル基、例えば、1−ヒドロキシルエチル、2−ヒドロキシルエチル、2−ヒドロキシルプロピル、3−ヒドロキシルプロピル、3−ヒドロキシルブチル、4−ヒドロキシルブチル、及び2−ヒドロキシル−1−メチルプロピルなどが挙げられる。
【0040】
本明細書中使用される場合、「ジヒドロキシアルキル」または「(ジヒドロキシ)アルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、2つのヒドロキシ基で置換されたアルキル基、例えば、
【化2】
を示す。制限ではなく例として、(ジヒドロキシ)アルキル基として、1,2−ジヒドロキシエチル、及び1,3−ジヒドロキシプロパ−2−イルなどが挙げられる。
【0041】
本明細書中使用される場合、「(シクロアルキル)アルキル」または「随意に置換された(シクロアルキル)アルキル」という用語は、それら自身でまたは別の基の一部として、1つ、2つ、または3つの随意に置換されたシクロアルキル基で置換されたアルキル基を示す。1つの実施形態において、(シクロアルキル)アルキル基は、1つの随意に置換されたシクロアルキル基で置換されたC1−4アルキルを示す。1つの実施形態において、(シクロアルキル)アルキル基は、1つの随意に置換されたシクロアルキル基で置換されたCまたはCアルキルである。1つの実施形態において、(シクロアルキル)アルキル基は、1つのシクロアルキル基で置換されたCまたはCアルキルである。制限ではなく例として、(シクロアルキル)アルキル基として以下が挙げられる:
【化3】
【0042】
本明細書中使用される場合、「アルコキシ」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、末端に酸素原子が結合した、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたシクロアルキル、随意に置換されたアルケニル、または随意に置換されたアルキニルを示す。1つの実施形態において、アルコキシ基は、C1−4アルコキシ基から選択される。別の実施形態において、アルコキシ基は、末端に酸素原子が結合したC1−4アルキル、例えば、メトキシ、エトキシ、及びtert−ブトキシから選択される。
【0043】
本明細書中使用される場合、「アルコキシアルキル」または「(アルコキシ)アルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、アルコキシ基で置換されたアルキル基を示す。制限ではなく例として、アルコキシアルキル基として、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシブチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、プロポキシエチル、プロポキシプロピル、ブトキシメチル、tert−ブトキシメチル、イソブトキシメチル、sec−ブトキシメチル、及びペンチルオキシメチルが挙げられる。
【0044】
本明細書中使用される場合、「ハロアルコキシ」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、末端に酸素原子が結合したハロアルキルを示す。制限ではなく例として、ハロアルコキシ基として、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、及び2,2,2−トリフルオロエトキシが挙げられる。
【0045】
本明細書中使用される場合、「アリール」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、6個〜14個の炭素原子を有する(すなわち、C−C14アリール)、単環式または二環式の芳香族環系を示す。制限ではなく例として、アリール基として、フェニル基(「Ph」と略記)、ナフチル基、フェナントリル基、アントラシル基、インデニル基、アズレニル基、ビフェニル基、ビフェニレニル基、及びフルオレニル基が挙げられる。1つの実施形態において、アリール基は、フェニルまたはナフチルから選択される。
【0046】
本明細書中使用される場合、「随意に置換されたアリール」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、上記で定義されるとおりのアリールが1つ〜5つの置換基で置換されているかまたは置換されていないかのいずれかであり、1つ〜5つの置換基は独立して、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、(ヒドロキシ)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド、スルホンアミド、(アルキル)カルボニル、(アリール)カルボニル、(アルキル)スルホニル、(アリール)スルホニル、ウレイド、グアニジノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、(アルコキシ)アルキル、(アミノ)アルキル、[(ヒドロキシル)アルキル]アミノ、[(アルキル)アミノ]アルキル、[(ジアルキル)アミノ)アルキル、(シアノ)アルキル、(カルボキサミド)アルキル、メルカプトアルキル、(ヘテロシクロ)アルキル、(シクロアルキルアミノ)アルキル、(ハロ(C−C)アルコキシ)アルキル、(ヘテロアリール)アルキルなどからなる群より選択されることを意味する。1つの実施形態において、随意に置換されたアリールは、随意に置換されたフェニルである。1つの実施形態において、随意に置換されたフェニルは、4つの置換基を有する。別の実施形態において、随意に置換されたフェニルは、3つの置換基を有する。別の実施形態において、随意に置換されたフェニルは、2つの置換基を有する。別の実施形態において、随意に置換されたフェニルは、1つの置換基を有する。制限ではなく例として、置換されたアリール基として、2−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、3−メチルフェニル、3−メトキシフェニル、3−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、2,6−ジ−フルオロフェニル、2,6−ジ−クロロフェニル、2−メチル、3−メトキシフェニル、2−エチル、3−メトキシフェニル、3,4−ジ−メトキシフェニル、3,5−ジ−フルオロフェニル、3,5−ジ−メチルフェニル、3,5−ジメトキシ、4−メチルフェニル、2−フルオロ−3−クロロフェニル、及び3−クロロ−4−フルオロフェニルが挙げられる。「随意に置換されたアリール」という用語は、随意に置換されたシクロアルキルが縮合している基及び随意に置換されたヘテロシクロ環が縮合している基を含むものとする。例として以下が挙げられる:
【化4】
【0047】
本明細書中使用される場合、「アリールオキシ」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、末端に酸素原子が結合した、随意に置換されたアリールを示す。制限ではなく例として、アリールオキシ基は、PhO−である。
【0048】
本明細書中使用される場合、「ヘテロアリールオキシ」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、末端に酸素原子が結合した、随意に置換されたヘテロアリールを示す。制限ではなく例として、ヘテロアリールオキシ基の例として、以下が挙げられる:
【化5】
【0049】
本明細書中使用される場合、「アラルキルオキシ」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、末端に酸素原子が結合した、アラルキル基を示す。制限ではなく例として、アラルキルオキシ基は、PhCHO−である。
【0050】
本明細書中使用される場合、「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」という用語は、5個から14個の環原子(すなわち、C−C14へテロアリール)、ならびに酸素、窒素、及び硫黄から独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有する単環式または二環式の芳香族環系を示す。1つの実施形態において、ヘテロアリールは、3個のヘテロ原子を有する。別の実施形態において、ヘテロアリールは、2個のヘテロ原子を有する。別の実施形態において、ヘテロアリールは、1個のヘテロ原子を有する。1つの実施形態において、ヘテロアリールは、Cヘテロアリールである。別の実施形態において、ヘテロアリールは、Cヘテロアリールである。制限ではなく例として、ヘテロアリール基として、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チエニル、チアントレニル、フリル、ベンゾフリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、クロメニル、キサンテニル、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、シンノリニル、キナゾリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、フェノチアゾリル、イソオキサゾリル、フラザニル、及びフェノキサジニルが挙げられる。1つの実施形態において、ヘテロアリールは、チエニル(例えば、チエン−2−イル及びチエン−3−イル)、フリル(例えば、2−フリル及び3−フリル)、ピロリル(例えば、1H−ピロール−2−イル及び1H−ピロール−3−イル)、イミダゾリル(例えば、2H−イミダゾール−2−イル及び2H−イミダゾール−4−イル)、ピラゾリル(例えば、1H−ピラゾール−3−イル、1H−ピラゾール−4−イル、及び1H−ピラゾール−5−イル)、ピリジル(例えば、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、及びピリジン−4−イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル、及びピリミジン−5−イル)、チアゾリル(例えば、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、及びチアゾール−5−イル)、イソチアゾリル(例えば、イソチアゾール−3−イル、イソチアゾール−4−イル、及びイソチアゾール−5−イル)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、及びオキサゾール−5−イル)、及びイソオキサゾリル(例えば、イソオキサゾール−3−イル、イソオキサゾール−4−イル、及びイソオキサゾール−5−イル)から選択される。「ヘテロアリール」という用語は、可能なN−オキシドも含むものとする。N−オキシドの例として、ピリジルN−オキシドなどが挙げられる。
【0051】
本明細書中使用される場合、「随意に置換されたヘテロアリール」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、上記で定義されるとおりのヘテロアリールが1つ〜4つの置換基、例えば1つまたは2つの置換基で置換されているかまたは置換されていないかのいずれかであり、1つ〜4つの置換基は独立して、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、ハロアルキル、(ヒドロキシ)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド、スルホンアミド、(アルキル)カルボニル、(アリール)カルボニル、(アルキル)スルホニル、(アリール)スルホニル、ウレイド、グアニジノ、カルボキシ、(カルボキシ)アルキル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、(アルコキシ)アルキル、(アミノ)アルキル、[(ヒドロキシル)アルキル]アミノ、[(アルキル)アミノ]アルキル、[(ジアルキル)アミノ]アルキル、(シアノ)アルキル、(カルボキサミド)アルキル、メルカプトアルキル、(ヘテロシクロ)アルキル、(ヘテロアリール)アルキルなどからなる群より選択されることを意味する。1つの実施形態において、随意に置換されたヘテロアリールは、1つの置換基を有する。1つの実施形態において、随意に置換されたヘテロアリールは、随意に置換されたピリジル、すなわち、2−、3−、または4−ピリジルである。利用可能な炭素原子または窒素原子のどれでも置換することができる。別の実施形態において、随意に置換されたヘテロアリールは、随意に置換されたインドールである。
【0052】
本明細書中使用される場合、「ヘテロシクロ」または「ヘテロシクリル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、3個〜14個の環員(すなわち、三員〜十四員ヘテロシクロ)及び少なくとも1個のヘテロ原子を有する、1つ、2つ、または3つ環を有する、飽和及び部分不飽和の(例えば、1つまたは2つの二重結合を有する)環状基を示す。各ヘテロ原子は、独立して、酸素原子、硫黄原子(スルホキシド及びスルホンを含む)、及び/または窒素原子(四級化されていてもよい)からなる群より選択される。「ヘテロシクロ」または「ヘテロシクリル」という用語は、環状ウレイド基、例えば2−イミダゾリジノン、及び環状アミド基、例えば、β−ラクタム、γ−ラクタム、δ−ラクタム、及びε−ラクタムを含むものとする。「ヘテロシクロ」または「ヘテロシクリル」という用語は、随意に置換されたアリール基が縮合している基、例えば、インドリニルも含むものとする。1つの実施形態において、ヘテロシクロまたはヘテロシクリル基は、1つの環及び1個または2個の酸素原子及び/または窒素原子を有する五員または六員の環状基から選択される。ヘテロシクロまたはヘテロシクリルは、炭素原子または窒素原子を通じて、分子の残部と随意に連結することができる。制限ではなく例として、ヘテロシクロ(またはヘテロシクリル)基として、2−オキソピロリジン−3−イル、2−イミダゾリジノン、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、及びインドリニルが挙げられる。
【0053】
本明細書中使用される場合、「随意に置換されたヘテロシクロ」または「随意に置換されたヘテロシクリル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、上記で定義されるとおりのヘテロシクロまたはヘテロシクリル基が1つ〜4つの置換基で置換されているかまたは置換されていないかのいずれかであり、1つ〜4つの置換基は独立して、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、ハロアルキル、(ヒドロキシ)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド、スルホンアミド、(アルキル)カルボニル、(アリール)カルボニル、(アルキル)スルホニル、(アリール)スルホニル、ウレイド、グアニジノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシアルキル、(アミノ)アルキル、[(ヒドロキシル)アルキル]アミノ、[(アルキル)アミノ]アルキル、[(ジアルキル)アミノ]アルキル、(シアノ)アルキル、(カルボキサミド)アルキル、メルカプトアルキル、(ヘテロシクリル)アルキル、(ヘテロアリール)アルキル、などからなる群より選択されることを意味する。置換は、利用可能な炭素原子または窒素原子のどれで起こってもよく、また置換によりスピロ環を形成してもよい。制限ではなく例として、随意に置換されたヘテロシクリル基として、以下が挙げられる:
【化6】
【0054】
本明細書中使用される場合、「アミノ」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、−NHを示す。
【0055】
本明細書中使用される場合、「アルキルアミノ」または「(アルキル)アミノ」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、−NHR15を示し、式中、R15はアルキルである。
【0056】
本明細書中使用される場合、「ジアルキルアミノ」または「(ジアルキル)アミノ」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、−NR16a16bを示し、式中、R16a及びR16bは、それぞれ独立してアルキルであるか、またはR16a及びR16bは、一緒になって三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクロを形成する。
【0057】
本明細書中使用される場合、「ヒドロキシアルキルアミノ」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、−NHR17を示し、式中、R17はヒドロキシアルキルである。
【0058】
本明細書中使用される場合、「シクロアルキルアミノ」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、−NR19a19bを示し、式中、R19aは随意に置換されたシクロアルキルであり、R19bは水素またはアルキルである。
【0059】
本明細書中使用される場合、「(アミノ)アルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、アミノ基で置換されたアルキル基を示す。制限ではなく例として、アミノアルキル基として、−CHCHNH、−CHCHCHNH、−CHCHCHCHNHなどが挙げられる。
【0060】
本明細書中使用される場合、「(アルキルアミノ)アルキル」または「[(アルキル)アミノ]アルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、アルキルアミノ基で置換されたアルキル基を示す。制限ではなく例として、(アルキルアミノ)アルキル基は、−CHCHN(H)CHである。
【0061】
本明細書中使用される場合、「(ジアルキルアミノ)アルキル」または「[(ジアルキル)アミノ]アルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、ジアルキルアミノ基で置換されたアルキル基を示す。制限ではなく例として、[(ジアルキル)アミノ]アルキル基として、−CHN(CH及び−CHCHN(CHが挙げられる。
【0062】
本明細書中使用される場合、「(シクロアルキルアミノ)アルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、シクロアルキルアミノ基で置換されたアルキル基を示す。制限ではなく例として、(シクロアルキルアミノ)アルキル基として、−CHN(H)シクロプロピル、−CHN(H)シクロブチル、及び−CHN(H)シクロヘキシルが挙げられる。
【0063】
本明細書中使用される場合、「(ハロ(C1−3)アルコキシ)アルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、ハロ(C1−3)アルコキシ基で置換されたアルキル基を示す。制限ではなく例として、(ハロ(C1−3)アルコキシ)アルキル基として、−CHOCHCF及び−CHOCFが挙げられる。
【0064】
本明細書中使用される場合、「(シアノ)アルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、1つまたは複数のシアノ基、例えば、−CN基で置換されたアルキル基を示す。制限ではなく例として、(シアノ)アルキル基として、−CHCHCN、−CHCHCHCN、及び−CHCHCHCHCNが挙げられる。
【0065】
本明細書中使用される場合、「カルボキサミド」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、式−C(=O)NR24a24bのラジカルを示し、式中、R24a及びR24bは、それぞれ独立して、水素、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたアラルキル、随意に置換されたアリール、または随意に置換されたヘテロアリールであるか、あるいはR24a及びR24bは、それらが結合した窒素と一緒になって、三員〜八員のヘテロシクロ基を形成する。1つの実施形態において、R24a及びR24bは、それぞれ独立して、水素または随意に置換されたアルキルである。制限ではなく例として、カルボキサミド基として、−CONH、−CON(H)CH、CON(CH、及びCON(H)Phが挙げられる。
【0066】
本明細書中使用される場合、「スルホンアミド」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、式−SONR23a23bのラジカルを示し、式中、R23a及びR23bは、それぞれ独立して、水素、随意に置換されたアルキル、または随意に置換されたアリールであるか、あるいはR23a及びR23bは、それらが結合した窒素と一緒になって、三員〜八員のヘテロシクロ基を形成する。制限ではなく例として、スルホンアミド基として、−SONH、−SON(H)CH、及び−SON(H)Phが挙げられる。
【0067】
本明細書中使用される場合、「(アルキル)カルボニル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、アルキル基で置換されたカルボニル基、すなわち、−C(=O)−を示す。制限ではなく例として、アルキルカルボニル基は−COCHである。
【0068】
本明細書中使用される場合、「(アルコキシ)カルボニル」(または「エステル」)という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、アルコキシ基で置換されたカルボニル基、すなわち、−C(=O)−を示す。制限ではなく例として、(アルコキシ)カルボニル基は−C(O)OCHである。
【0069】
本明細書中使用される場合、「(アリール)カルボニル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、随意に置換されたアリール基で置換されたカルボニル基、すなわち、−C(=O)−を示す。制限ではなく例として、アリールカルボニル基は−COPhである。
【0070】
本明細書中使用される場合、「スルファニル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、−SH基を示す。
【0071】
「(アルキル)スルファニル」または「アルキルチオ」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、随意に置換されたアルキル基で置換された硫黄原子を示す。1つの実施形態において、アルキルチオ基は、C1−4アルキルチオ基から選択される。制限ではなく例として、アルキルチオ基として、−SCH、及び−SCHCHが挙げられる。
【0072】
「メルカプトアルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として本明細書中使用される場合、−SH基で置換された上記アルキル基の任意のものを示す。
【0073】
本明細書中使用される場合、「アルキルスルホニル」または「(アルキル)スルホニル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、上記の随意に置換されたアルキル基のいずれかで置換されたスルホニル基、すなわち、−SO−を示す。制限ではなく例として、アルキルスルホニル基は−SOCHである。
【0074】
本明細書中使用される場合、「アリールスルホニル」または「(アリール)スルホニル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、上記の随意に置換されたアリール基のいずれかで置換されたスルホニル基、すなわち、−SO−を示す。制限ではなく例として、アリールスルホニル基は−SOPhである。
【0075】
本明細書中使用される場合、「カルボキシ」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、式−COOHのラジカルを示す。
【0076】
本明細書中使用される場合、「(カルボキシ)アルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、−COOHで置換された上記のアルキル基の任意のものを示す。制限ではなく例として、カルボキシアルキル基は−CHCOHである。
【0077】
本明細書中使用される場合、「アラルキル」または「アリールアルキル」または「随意に置換されたアラルキル」という用語は、それら自身でまたは別の基の一部として、1つ、2つ、または3つの随意に置換されたアリール基で置換されたアルキル基を示す。1つの実施形態において、随意に置換されたアラルキル基は、1つの随意に置換されたアリール基で置換されたC1−4アルキルである。1つの実施形態において、随意に置換されたアラルキル基は、1つの随意に置換されたアリール基で置換されたCまたはCアルキルである。1つの実施形態において、随意に置換されたアラルキル基は、1つの随意に置換されたフェニル基で置換されたCまたはCアルキルである。制限ではなく例として、随意に置換されたアラルキル基として、ベンジル、フェネチル、−CHPh、−CH(4−F−Ph)、−CH(4−Me−Ph)、−CH(4−CF−Ph)、及び−CH(4−F−Ph)が挙げられる。
【0078】
本明細書中使用される場合、「ウレイド」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、式−NR22a−C(=O)−NR22b22cのラジカルを示し、式中、R22aは、水素、アルキル、または随意に置換されたアリールであり、R22b及びR22cは、それぞれ独立して、水素、アルキル、または随意に置換されたアリールであるか、あるいはR22b及びR22cは、それらが結合した窒素と一緒になって、四員〜八員のヘテロシクロ基を形成する。制限ではなく例として、ウレイド基として、−NH−C(=O)−NH及び−NH−C(=O)−NHCHが挙げられる。
【0079】
本明細書中使用される場合、「グアニジノ」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、式−NR25a−C(=NR26)−NR25b25cのラジカルを示し、式中、R25a、R25b、及びR25cは、それぞれ独立して、水素、アルキル、または随意に置換されたアリールであり、R26は、水素、アルキル、シアノ、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル、カルボキサミド、またはスルホンアミドである。制限ではなく例として、グアニジノ基として、−NH−C(=NH)−NH、−NH−C(=NCN)−NH、−NH−C(=NH)−NHCHなどが挙げられる。
【0080】
本明細書中使用される場合、「(ヘテロアリール)アルキル」または「随意に置換された(ヘテロアリール)アルキル」という用語は、それら自身でまたは別の基の一部として、1つ、2つ、または3つの随意に置換されたヘテロアリール基で置換されたアルキル基を示す。1つの実施形態において、(ヘテロアリール)アルキル基は、1つの随意に置換されたヘテロアリール基で置換されたC1−4アルキルである。1つの実施形態において、(ヘテロアリール)アルキルは1つの随意に置換されたヘテロアリール基で置換されたCまたはCアルキルである。制限ではなく例として、(ヘテロアリール)アルキル基として、以下が挙げられる:
【化7】
【0081】
「ヘテロアルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として本明細書中使用される場合、1〜10個の炭素原子及び少なくとも2個のヘテロ原子を有する安定な直鎖または分岐鎖の炭化水素ラジカルを示し、少なくとも2個のヘテロ原子は、同一であっても異なっていてもよく、O、N、またはSから選択され、:1)窒素原子及び硫黄原子は、随意に酸化されてもよく;及び/または2)窒素原子は、随意に四級化されてもよい。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の任意の内部位または末端位にあってもよいし、ヘテロアルキル基が分子の残部に結合する位置にあってもよい。1つの実施形態において、ヘテロアルキル基は、2個の酸素原子を有する。別の実施形態において、ヘテロアルキル基は、2個の窒素原子を有する。他の実施形態において、ヘテロアルキル基は、1個の窒素原子及び1個の酸素原子を有する。制限ではなく例として、ヘテロアルキル基として以下が挙げられる:−CHN(H)CHCHN(CH;−CHN(CH)CHCHN(CH;−CHN(H)CHCHCHN(CH;−CHN(H)CHCHOH;−CHN(CH)CHCHOH;−CHOCHCHOCH;−OCHCHOCHCHOCH;−CHNHCHCHOCH;−OCHCHNH;及び−NHCHCHN(H)CH
【0082】
本明細書中使用される場合、「(ヘテロシクロ)アルキル」または「(ヘテロシクリル)アルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、1つの随意に置換されたヘテロシクリル基、及び随意に1つのヒドロキシル基で置換されたアルキル基を示す。1つの実施形態において、(ヘテロシクリル)アルキルは、1つの随意に置換されたヘテロシクリル基及び1つのヒドロキシ基で置換されたC1−4アルキルである。別の実施形態において、(ヘテロシクロ)アルキル(または(ヘテロシクリル)アルキル)は、1つの随意に置換されたヘテロシクロまたはヘテロシクリル基で置換されたC1−4アルキルである。制限ではなく例として、(ヘテロシクロ)アルキルまたは(ヘテロシクリル)アルキル基として、以下が挙げられる:
【化8】
【0083】
本明細書中使用される場合、「(カルボキサミド)アルキル」という用語は、それ自身でまたは別の基の一部として、1つのカルボキサミド基、及び随意に1つのヘテロシクロ、アミノ、アルキルアミノ、またはジアルキルアミノ基で置換されたアルキル基を示す。1つの実施形態において、(カルボキサミド)アルキルは、1つのカルボキサミド基、及び随意に1つのヘテロシクロ、アミノ、アルキルアミノ、またはジアルキルアミノ基で置換されたC1−4アルキルである。別の実施形態において、(カルボキサミド)アルキルは、1つのカルボキサミド基、及び1つのヘテロシクロ、アミノ、アルキルアミノ、またはジアルキルアミノ基で置換されたC1−4アルキルである。別の実施形態において、(カルボキサミド)アルキルは、1つのカルボキサミド基で置換されたC1−4アルキルである。制限ではなく例として、(カルボキサミド)アルキル基として、−CHCONH、−C(H)CH−CONH、−CHCON(H)CH
【化9】
が挙げられる。
【0084】
「N−オキシド」という用語は、本明細書中使用される場合、N−O官能基を有する化合物を示し、式中、Nは、H及び/または化合物構造の残部にさらに接続している。
【0085】
本明細書中使用される場合、「立体異性体」という用語は、個々の分子に存在する分子中の原子の空間方向のみが異なっている全ての異性体についての一般用語である。この用語は、鏡像異性体及び複数のキラル中心を有する化合物の互いに鏡像ではない異性体(ジアステレオマー)を含む。
【0086】
「キラル中心」という用語は、4つの異なる基が結合している炭素原子を示す。
【0087】
「鏡像異性体」及び「鏡像異性の」という用語は、自分の鏡像に重なりあうことができず、したがって光学活性である分子を示し、この場合、鏡像異性体は、偏光面をある方向に回転させ、その鏡像化合物は偏光面を反対方向に回転させる。
【0088】
「ラセミ」という用語は、鏡像異性体の等比率の混合物を示し、この混合物は光学的に不活性である
【0089】
「分割」という用語は、分子の2種の鏡像異性体形のうち1つを分離または濃縮または減少させることを示す。
【0090】
「a」及び「an」という用語は、1つまたは複数を示す。
【0091】
「治療する(treat)」、「治療している(treating)」、または「治療(treatment)」という用語は、先行治療及び緩和療法を含む、寛解または治癒の目的で、対象に、本発明の化合物を投与することを包含するものとする。1つの実施形態において、「治療する(treat)」、「治療している(treating)」、または「治療(treatment)」という用語は、寛解または治癒の目的で、対象に、本発明の化合物を投与することを包含するものとする。
【0092】
「約」という用語は、測定された量に関連して本明細書中使用される場合、測定を行い測定目的及び測定装置の精度にふさわしい配慮水準を行使する当業者に予想されるとおりの、その測定された量の正常な変動を示す。
【0093】
【表2】
【0094】
本発明の化合物
本発明は、以下に明確に記載するとおりの化合物を提供する。1つの態様において、本発明の化合物は、疼痛を治療するのに有用である。特定の理論に固執するつもりはないが、本発明の化合物は、疼痛を治療するときに、1種または複数のナトリウム(Na)チャネルの遮断薬として作用する可能性があると思われる。特定の実施形態において、本発明の化合物は、1種または複数のナトリウムイオンチャネルの遮断に反応する疾患を治療するのに有用である。
【0095】
1つの態様において、本発明は、式Iの化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、もしくはジアステレオマーを提供し:
【化10】
式中
a及びbは、それぞれ独立して、0、1、または2であるが、ただしa及びbのうち少なくとも一方は、0以外の値であり;
nは、それぞれ独立して、0、1、または2であり;
mは、それぞれ独立して、0、1、または2であり;
kは、それぞれ独立して、1、2、または3であり;
、W、及びWは、それぞれ独立して、CRまたはNであるが、ただしW、W、及びWのうち少なくとも1つはNであり;
及びRのうち一方は、H、シアノ、−C(O)N(R)(R)、−S(O)N(R)(R)、−C(O)OR、−OC(O)R、−OR、−[CH(R)]、または−N(R)(R)であり、他方は、H、−C(O)N(R)(R)、−S(O)N(R)(R)、−C(O)OR、−OC(O)R、−OR、−[CH(R)]、−N(R)(R)、−S(O)−R、ウレイド、ハロゲン、シアノ、及びニトロからなる群より選択され;ただしR及びRは、両方ともHであることはできず;
は、H、アルキル、ハロアルキル、−S(O)−R、アルコキシ、ハロアルコキシ、カルボキサミド、シアノ、(カルボキサミド)アルキル、(ヒドロキシ)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、ニトロ、随意に置換されたシクロアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アミノ、スルホンアミド、[(ヘテロシクリル)アミノ]アルキル、(アルコキシ)アルキル、随意に置換されたアリール、または随意に置換されたヘテロアリールであるが、ただしaが2でありかつbが0の場合、Rは、H以外の基であり;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロアルキル、−S(O)−R、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、カルボキサミド、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、(ヒドロキシ)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、ニトロ、またはスルホンアミドであり;
は、それぞれ独立して、H、アルキル、ヒドロキシル、(ヒドロキシル)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、ハロアルキル、アルコキシ、カルボキサミド、またはスルホンアミドであり;
は、存在しないか、−S(O)−、−C(O)−、または−(CHR−であり;
は、存在しないか、−S(O)−、または−C(O)−であり;
Aは、以下からなる群より選択され
a)随意に置換されたアルキル;
b)随意に置換されたアルコキシ;
c)随意に置換されたアリール;
d)随意に置換されたヘテロアリール;
e)随意に置換されたシクロアルキル;
f)随意に置換されたヘテロシクリル;及び
g)−N(R10)(R11);
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたシクロアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、または−C(O)N(R12)(R13)であり;
は、それぞれ独立して、Hまたは随意に置換されたアルキルであり;
10及びR11は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換された(アルキル)カルボニル、随意に置換された(シクロアルキル)カルボニル、随意に置換された(ヘテロシクリル)カルボニル、随意に置換されたヘテロシクリル、または随意に置換されたシクロアルキルであるが、ただしR10及びR11は、両方ともHであることはできず;
あるいは、R10及びR11は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;
12及びR13のうち一方はHであり、他方は、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、または随意に置換されたシクロアルキルであるか;あるいは、R12及びR13は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;
は、存在する場合にそれぞれ、独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたアリール、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたヘテロアリールであり;
は、存在する場合にそれぞれ、独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたアリール、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたヘテロアリールであり;
あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;
は、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル、またはアルコキシであり;
及びRは、それぞれ独立して、H、カルボキサミド、随意に置換された(アルキル)カルボニル、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換された(ヘテロシクリル)カルボニル、随意に置換されたアリール、随意に置換されたシクロアルキル、随意に置換された(アルキル)スルホニル、または随意に置換されたヘテロアリールであるか;あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;かつ
は、それぞれ独立して、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたヘテロシクリルであるが;
ただし
が存在せず、かつAが随意に置換されたアルキルである場合、この随意に置換されたアルキルは、置換されていないか、または1つ〜3つの置換基で置換されており、1つ〜3つの置換基は独立して、アミノ、(アルキル)カルボニル、(アリール)カルボニル、(アルコキシ)カルボニル、カルボキシ、アリール、ヘテロアリール、ウレイド、グアニジノ、ハロゲン、スルホンアミド、ヒドロキシル、(アルキル)スルファニル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、(アルキル)スルホニル、及びカルボキサミドからなる群より選択される。
【0096】
式Iの1つの実施形態において、aは1である。式Iの別の実施形態において、bは1である。1つの例では、式I中、aは1であり、かつbは1である。
【0097】
式Iの特定の実施形態において、Jは存在しない。式Iの別の実施形態において、Jは存在しない。
【0098】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、式I中、WがCRである、式Iで表される化合物、及びその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである。1つの実施形態において、WはCHである。1つの実施形態では、WはNであり、かつWはCHである。別の実施形態では、W及びWの両方ともNである。
【0099】
別の実施形態において、本発明の化合物は、式I中、WがNである、式Iで表される化合物、及びその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである。1つの実施形態では、WはNであり、かつWはCHである。別の実施形態では、W及びWの両方ともCHである。
【0100】
本発明の特定の実施形態は、式IIで表される化合物、及びその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーを提供し:
【化11】
式中
nは、0、1、または2であり;
、W、及びWは、それぞれ独立して、CHまたはNであるが、ただしW、W、及びWのうち少なくとも1つはNであり;
Aは、フェニル、五員〜六員ヘテロアリール、及び飽和または不飽和のシクロ(C5−6)アルキルからなる群より選択され、この当該フェニル、当該五員〜六員のヘテロアリール、及び当該飽和または不飽和のシクロ(C5−6)アルキルのそれぞれは、以下からなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換され
i)ハロゲン、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、ヒドロキシル、カルボキサミド、(アルコキシ)カルボニル、[(アルコキシ)カルボニル]アミノ、カルボキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、随意に置換されたシクロアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、及びスルホンアミドからなる群より独立して選択される1つまたは3つの置換基により随意に置換されたアルキル(例えば、(C1−6)アルキル)、当該シクロアルキル及び当該ヘテロシクリルは、それぞれ独立して、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、(アルキル)アミノ、カルボキサミド、アルキル、ハロアルキル、カルボキシ、(カルボキシ)アルキル、(カルボキサミド)アルキル、(アルキル)カルボニル、(アルコキシ)カルボニル、及びアルコキシからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換され;
ii)アルキル、(カルボキサミド)アルキル、(アミノ)アルキル、(アルキル)カルボニル、(アルキル)スルホニル、(アルコキシ)カルボニル、(シクロアルキル)カルボニル、シクロアルキル、及びヘテロシクリルからなる群より独立して選択される1つ〜2つの置換基により随意に置換されたアミノ;
iii)1つ〜3つの同一または異なるハロゲンにより随意に置換されたアルコキシ(例えば、(C1−6)アルコキシ);
iv)カルボキサミド;
v)ヒドロキシル;
vi)ハロゲン;及び
vii)スルホンアミド;
及びRの一方はH、−C(O)N(R)(R)、または−[CH(OH)]であり、他方は、H、−C(O)N(R)(R)、−N(R)(R)、−[CH(OH)]、−S(O)N(R)(R)、−OR、または−CH−Rであるが、ただしR及びRは、両方ともHであることはできず;
は、H、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、カルボキサミド、(ヒドロキシ)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、またはスルホンアミドであり;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、カルボキサミド、ヒドロキシル、ハロゲン、(ヒドロキシル)アルキル、(ジヒドロキシル)アルキル、またはスルホンアミドであり;
は、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
は、H、アルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、または−C(O)N(R12)(R13)であり;
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;
及びRは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択され
1)H;
2)アミノ、(アルキル)アミノ、(アルキル)カルボニル、(アルコキシ)カルボニル、カルボキシ、随意に置換されたアリール、随意に置換されたヘテロアリール、ウレイド、グアニジノ、ハロゲン、ヒドロキシル、(アルキル)スルファニル、スルファニル、及びカルボキサミドからなる群より独立して選択される1つまたは3つの置換基により随意に置換されたアルキル;
3)ハロゲン、アルキル、アミノ、(アルキル)アミノ、(アルキル)カルボニル、カルボキシ、(アルコキシ)カルボニル、及びカルボキサミドからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換されたヘテロシクリル;
4)アミノ、ヒドロキシル、及びアルコキシからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換された(アルキル)カルボニル;及び
5)ハロゲン、随意に置換されたヘテロシクリル、及びアルコキシからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換された(アルキル)スルホニル;
あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、五員〜六員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;かつ
12及びR13の一方はHであり、他方はHまたはアルキルである。
【0101】
式IまたはIIに従う1つの実施形態として、本発明は、R、R、及びRが、全てHであるものを提供する。
【0102】
式IまたはIIの特定の実施形態において、R及びRの少なくとも一方は、H、−C(O)N(R)(R)、または−[CH(OH)]である。例えば、Rが、H、−C(O)N(R)(R)、または−[CH(OH)]であり、Rは、H、−C(O)N(R)(R)、−N(R)(R)、−[CH(OH)]、−S(O)N(R)(R)、−OR、及び−CH−Rからなる群より選択される。あるいは、RがH、−C(O)N(R)(R)、または−[CH(OH)]であり、Rは、H、−C(O)N(R)(R)、−N(R)(R)、−[CH(OH)]、−S(O)N(R)(R)、−OR、及び−CH−Rからなる群より選択される。
【0103】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、式中、RがHまたは−C(O)N(R)(R)である、式IまたはIIで表される化合物、及びその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである。1つの実施形態では、Rは−C(O)N(R)(R)であり、式中、R及びRの一方はHであり、他方はHまたは(C1−3)アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピル)である。1つの例では、式IまたはIIに従って、Rは−C(O)NHである。特定の状況下、Rは、H、−N(R)(R)、−[CH(OH)]、−OR、−S(O)N(R)(R)、及び−CH−Rからなる群より選択される。当然のことながら、R及びRは、両方ともHであることはできない。
【0104】
別の実施形態において、本発明の化合物は、式中、RがHである、式IまたはIIで表される化合物、及びその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである。1つの実施形態では、Rは、H、−N(R)(R)、−[CH(OH)]、−OR、−S(O)N(R)(R)、及び−CH−Rからなる群より選択される。当然のことながら、R及びRは、両方ともHであることはできない。
【0105】
式IまたはIIの上記実施形態のいずれか1つに従って、Rは−N(R)(R)である。1つの実施形態において、Rは−N(R)(R)であり、R及びRの一方はHであり、他方は、以下からなる群より選択され:
【化12】
式中
yは、0、1、2、3、または4であり;
xは、1、2、または3であり;
14は、Hまたは随意に置換された(C1−6)アルキルであり、当該随意に置換された(C1−6)アルキルは、−S(C1−3アルキル)、ヒドロキシル、−SH、−C(O)NH、−C(O)OH、−NHC(=NH)NH、アミノ、ヘテロアリール、またはアリールにより随意に置換され、当該アリールは、ヒドロキシルまたは(C1−3)アルコキシによりさらに随意に置換され;
2a及びR2bは、それぞれ独立して、Hまたは(C1−6)アルキルであり;
あるいは、R2a及びR2bは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員のヘテロシクリルを形成し、このヘテロシクリルは、アルキル、ハロアルキル、(アルコキシ)カルボニル、アミノ、アルコキシ、及びカルボキサミドからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基で随意に置換される。
【0106】
代替実施形態において、Rは−N(R)(R)であり、R及びRの一方はHであり、他方は、1つまたは2つのヒドロキシル基で随意に置換された(C1−6アルキル)カルボニルである。制限ではなく例として、本明細書中示されるとおりの(C1−6アルキル)カルボニル基の例として以下に示されるものが挙げられる
【化13】
【0107】
別の実施形態では、Rは−N(R)(R)であり、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、随意に置換された五員〜六員ヘテロシクリルを形成する。制限ではなく例として、五員〜六員ヘテロシクリル基として、以下に示されるものが挙げられる:
【化14】
さらに、上記五員〜六員ヘテロシクリル基のどれでも、ヒドロキシル、カルボキサミド、(C1−3)アルコキシ、(C1−3)アルキル、(C1−3アルキル)カルボニル、及びハロ(C1−3)アルキルからなる群より選択される1つまたは2つの同一または異なる置換基で随意に置換することができる。
【0108】
式IまたはIIの代替実施形態において、Rは−ORである。1つの実施形態では、Rは、以下からなる群より選択されるヘテロシクリルであり:
【化15】
式中、uは、1、2、または3である。特定の実施形態において、Rとしてのヘテロシクリル基は、上記で定義されるとおりの置換基、たとえばヒドロキシル、カルボキサミド、(C1−3)アルコキシ、(C1−3)アルキル、(C1−3アルキル)カルボニル、及びハロ(C1−3)アルキルなどをはじめとする、1つ、2つ、または3つの同一または異なる置換基でさらに随意に置換することができる。
【0109】
式IまたはIIの別の実施形態において、Rは−[CH(OH)]である。1つの実施形態では、RはHである。別の実施形態では、Rは(C1−3)アルキルである。さらなる実施形態において、Rは−C(O)NHである。制限ではなく例として、R基は、これらの状況下、以下に示されるものを含む:
【化16】
【0110】
式IまたはIIに従うさらなる実施形態において、Rは、−S(O)N(R)(R)が可能である。1つの実施形態では、R及びRの一方はHであり、他方はヘテロアリール、例えば、五員または六員ヘテロアリールである。1つの実施形態では、R及びRの一方はHであり、他方は五員ヘテロアリール(例えば、2,3,5−チアジアゾリル)である。制限ではなく例として、R/Rとして利用な可能なヘテロアリール基として、例えば、チアジアゾリル、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チエニル、チアントレニル、フリル、ベンゾフリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、クロメニル、キサンテニル、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、シンノリニル、キナゾリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、フェノチアゾリル、イソオキサゾリル、フラザニル、及びフェノキサジニルなどが挙げられる。さらに、上記ヘテロアリール基のどれでも、1つ、2つ、または3つの同一または異なるヘテロアリール置換基(上記で定義されるとおり)によりさらに随意に置換することができる。
【0111】
1つの実施形態において、本発明は式IIIの化合物:
【化17】
またはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、もしくはジアステレオマーを提供し、式中、R、R、及びA基は、上記に記載されたとおりに定義される。
【0112】
別の実施形態において、本発明は式IVの化合物:
【化18】
またはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、もしくはジアステレオマーを提供し、式中、R、R、及びA基は、上記に記載されたとおりに定義される。
【0113】
本発明はまた、式Vの化合物:
【化19】
またはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、もしくはジアステレオマーを提供し、式中、R、R、及びA基は、上記に記載されたとおりに定義される。
【0114】
さらなる実施形態において、本発明は式VIの化合物:
【化20】
またはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、もしくはジアステレオマーを提供し、式中、R、R、及びA基は、上記に記載されたとおりに定義される。
【0115】
式I〜VIのいずれか1つに従う別の実施形態において、Aは、随意に置換されたヘテロアリール、例えば、ヘテロアリール基に対する置換基として上記に定義されたものの群から選択される1つ、2つ、3つ、または4つの基で随意に置換された六員ヘテロアリール基である。制限ではなく例として、Aとして利用可能なヘテロアリール基として、例えば、チアジアゾリル、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、チアントレニル、フリル、ベンゾフリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、キサンテニル、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、シンノリニル、キナゾリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、フェノチアゾリル、イソオキサゾリル、フラザニル、及びフェノキサジニルが挙げられる。
【0116】
式I〜VIのいずれか1つに従う特定の実施形態において、Aは、随意に置換されたピリジル、随意に置換されたピリミジル、または随意に置換されたトリアジニルであり、ピリジル基、ピリミジル基、またはトリアジニル基のそれぞれは、1つ、2つ、または3つの同一または異なるヘテロアリール置換基(上記で定義されるとおり)によりさらに随意に置換することができる。
【0117】
式I〜VIのいずれか1つに従うさらなる実施形態では、Aは、飽和または不飽和の随意に置換されたシクロアルキル基である。例えば、Aは、シクロアルキル基に対する置換基として上記に定義されたものからなる群より独立して選択される1つ、2つ、または3つの置換基で置換された、または置換されていないシクロヘキシルである。別の例では、Aは、シクロアルキル基に対する置換基として上記に定義されたものからなる群より独立して選択される1つ、2つ、または3つの置換基で置換された、または置換されていないシクロヘキセニルである。
【0118】
式I〜VIのいずれか1つに従う1つの実施形態において、Aは、随意に置換されたフェニル、すなわち、アリール基に対する置換基として上記に定義されたものの群から選択される1つ、2つ、3つ、または4つの基で随意に置換されたフェニル基である。1つの実施形態において、本発明は、式VIIの化合物またはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、もしくはジアステレオマーを提供し:
【化21】
式中
、W、及びWは、それぞれ独立して、CHまたはNであるが、ただしW、W、及びWのうち少なくとも1つはNであり;かつ
1aは、H、(C1−3)アルキル、ハロ(C1−3)アルキル、ハロ(C1−3)アルコキシ、(C1−3)アルコキシ、ハロゲン、アミノ、−C(O)NH、[(C1−3)アルキル]アミノ、及びヒドロキシルからなる群より選択される。
【0119】
本発明の別の実施形態は、式VIIIの化合物またはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、もしくはジアステレオマーを提供し:
【化22】
式中
、W、及びWは、それぞれ独立して、CHまたはNであるが、ただしW、W、及びWのうち少なくとも1つはNであり;かつ
1bは、H、(C1−3)アルキル、ハロ(C1−3)アルキル、ハロ(C1−3)アルコキシ、(C1−3)アルコキシ、ハロゲン、アミノ、−C(O)NH、[(C1−3)アルキル]アミノ、及びヒドロキシルからなる群より選択される。
【0120】
別の実施形態において、本発明の化合物は、表2に示す化合物、ならびにそれらの薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、及びジアステレオマーを含む。
【0121】
【表3】
【0122】
本発明はまた、1種または複数のナトリウム(Na)チャネルの遮断薬の製造における合成中間体として有用な化合物も提供する。
【0123】
本発明は、1個または複数の原子が、異なる原子質量すなわち質量数を有する原子に置換されることにより同位体標識された(すなわち放射標識された)、任意の本発明の化合物を包含する。開示される化合物に組み込み可能である同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、及び塩素の同位体、例えば、それぞれ、H、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Cl、例えば、H、11C、及び14Cが挙げられる。同位体標識された本発明の化合物は、当該分野で既知の方法により調製することができる。
【0124】
本発明はさらに、H、11C、または14C放射標識した本発明の化合物、及びそのような化合物のいずれかを、それらが持つナトリウムチャネルと結合する能力を利用した放射性リガンドとして使用することを包含する。例えば、標識した本発明の化合物の1つの使用例は、特定の受容体結合の特性決定である。標識した本発明の化合物の別の使用例は、構造活性関連性を評価するための動物実験の代替手段である。例えば、競合アッセイで、標識した本発明の化合物を固定濃度とし、試験化合物の濃度を上昇させていくことで、受容体アッセイを行うことができる。例えば、トリチウム標識した本発明の化合物は、例えば、トリチウムを用いて触媒的脱ハロゲン化することにより、特定の化合物にトリチウムを導入することにより調製することができる。この方法は、適切な触媒、例えば、Pd/Cの存在下、塩基の存在下または不在下で、化合物の適切にハロゲン置換された前駆体をトリチウムガスと反応させることを含んでもよい。トリチウム標識した化合物を調製する他の適切な方法は、Filer, Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences, Vol.1, Labeled Compounds (Part A), Chapter 6 (1987)に見つけることができる。14C標識した化合物は、14C炭素を有する出発物質を用いることにより、調製することができる。
【0125】
本発明の化合物によっては、1つまたは複数の不斉中心を有する可能性があり、したがって、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び他の立体異性体形が生じる可能性がある。本発明は、そのような形として可能なもの全て、ならびにそれらのラセミ形態及び分割形態及び混合物を包含するものとする。個々の鏡像異性体は、本発明を考慮して、当該分野で既知の方法に従って分離することができる。本明細書中記載される化合物がオレフィン二重結合または他の幾何不斉中心を有する場合、他に特に記載がないかぎり、それらの化合物は、E幾何異性体及びZ幾何異性体の両方を含むものとする。全ての互変異性体も本発明に包含されるものとする。
【0126】
本発明は、無毒の薬学上許容される塩をはじめとする本発明の化合物の塩の調製及び使用を包含する。薬学上許容される付加塩の例として、無機酸及び有機酸の付加塩及び塩基性塩が挙げられる。薬学上許容される塩として、金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩など;アルカリ土類金属、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩など;有機アミン塩、例えばトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩など;無機酸塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩など;有機酸塩、例えばクエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ギ酸塩など;スルホン酸塩、例えばメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩など;及びアミノ酸塩、例えばアルギン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
酸付加塩は、特定の本発明の化合物の溶液を、薬学上許容される無毒の酸、例えば塩酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸、シュウ酸、ジクロロ酢酸などの溶液と混合することにより、形成させることができる。塩基性塩は、本発明の化合物の溶液を、薬学上許容される無毒の塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化コリン、炭酸ナトリウムなどの溶液と混合することにより、形成させることができる。
【0128】
本発明はまた、本発明の化合物の溶媒和物の調製及び使用も包含する。溶媒和物は、大抵、化合物の生理活性または毒性を大きく変更することはなく、そのため、薬理学的等価物として機能することができる。「溶媒和物」という用語は、本明細書中使用される場合、本発明の化合物と溶媒分子の組み合わせ、物理的会合、及び/または溶媒和したものであり、例えば、二溶媒和物、一溶媒和物、または半溶媒和物などがあり、溶媒分子対本発明の化合物の比は、それぞれ、約2:1、約1:1、または約1:2である。この物理的会合は、水素結合をはじめとしてイオン結合及び共有結合が様々な度合いで関与する。場合によっては、例えば1つまたは複数の溶媒分子が結晶固体の結晶格子中に組み込まれている場合など、溶媒和物を単離することができる。したがって、「溶媒和物」は、液相での溶媒和物及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。本発明の化合物は、薬学上許容される溶媒、例えば水、メタノール、エタノールなどで形成された溶媒和物形で存在することができ、本開示は、本発明の化合物の溶媒和物形及び非溶媒和物形の両方を含むものとする。溶媒和物の種類の1つが水和物である。「水和物」は、溶媒分子が水である、溶媒和物の特定のサブグループに関する。溶媒和物は、大抵、薬理学的等価物として機能することができる。溶媒和物の調製は、当該分野で既知である。例えば、M. Cairaら、J. Pharmaceut. Sci., 93(3):601−611 (2004)を参照、これは、酢酸エチルを用いた及び水を用いたフルコナゾールの溶媒和物の調製を記載する。溶媒和物、半溶媒和物、水和物などの同様な調製は、E.C. van Tonderら、AAPS Pharm. Sci. Tech., 5(1):Article 12 (2004)、及びA.L. Binghamら、Chem. Commun. 603−604 (2001)に記載される。溶媒和物を調製する典型的なプロセスは、以下に限定されないが、20℃超〜約25℃の温度で所望の溶媒(有機溶媒、水、またはそれらの混合物)に本発明の化合物を溶解させること、次いで溶液を、結晶が形成されるのに十分な速度で冷却すること、及び結晶を、既知の方法、例えば濾過により単離することを含むだろう。赤外分光法などの分析技法を用いて、溶媒和物の結晶中に溶媒が存在することを確認することができる。
【0129】
さらに、本発明は、開示される化合物のどれについてもその水和物を包含する。水和物は、溶媒和物のある特定の種類と見なすことが理解される。言い換えると、「水和物」は、溶媒分子が水である場合の溶媒和物の特定のサブグループであることが、当業者なら理解されよう。
【0130】
本発明はまた、開示される化合物のどれについてもプロドラッグを包含するものとする。本明細書中使用される場合、プロドラッグは、in vivoで代謝可能な部分を持つ化合物であると見なされる。一般に、そのようなプロドラッグは、本明細書中明確に記載される式のいずれかの化合物の機能的誘導体となり、この誘導体は、in vivoで、例えば代謝されることにより容易に変換されて、いずれかの式の必要とされる化合物になるだろう。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製についての従来手順は、例えば、Design of Prodrugs, H. Bundgaard版、Elsevier (1985); ’’Drug and Enzyme Targeting, Part A,’’ K. Widder編、Vol. 112 in Methods in Enzymology, Academic Press (1985); Bundgaard, ’’Design and Application of Prodrugs,’’ Chapter 5 (pp.113−191) in A Textbook of Drug Design and Development, P. Krogsgaard−Larsen and H. Bundgaard編、Harwood Academic Publishers( 1991); Bundgaardら、Adv. Drug Delivery Revs. 8:1−38 (1992); Bundgaardら、J. Pharmaceut. Sci. 77:285 (1988);及びKakeyaら、Chem. Pharm. Bull. 32:692 (1984)に記載されている。
【0131】
プロドラッグの例及びそれらの使用は、当該分野で既知である(例えば、Bergeら(1997) ’’Pharmaceutical Salts’’, J. Pharm. Sci.66:1−19)。制限ではなく例として、プロドラッグとして、置換基としてカルボキシ、ヒドロキシ、またはアミノ基を有する本発明の化合物のエステル体またはアミド体が挙げられ、これらは、そのような親化合物を無水物、例えばコハク酸無水物と反応させることにより調製することができる。
【0132】
本発明の化合物の方法及び使用
特定の実施形態において、本発明の化合物は、疼痛を治療するのに有用である。特定の理論に固執するつもりはないが、ある特定の本発明の化合物は、1種または複数のナトリウム(Na)チャネルの遮断薬として作用する可能性があると思われる。したがって、それらの化合物を用いることによって、ナトリウムイオン流入が介在する多数の疾患及び症状を治療することができる。本発明はさらに、概して、ナトリウムチャネルの遮断に反応する障害を患っているまたは患うリスクのある動物において、そのような疾患を治療する方法に関し、本方法は、その動物に、1種または複数の本発明の化合物を有効量で投与することを含む。
【0133】
本発明は、さらに、ナトリウムチャネルの調節を必要としている動物において、ナトリウムチャネルを調節する方法に関し、本方法は、その動物に、少なくとも1種の本発明の化合物を調節に有効な量で投与することを含む。
【0134】
より詳細には、本発明は、脳卒中、頭部外傷による神経損傷、癲癇、全虚血及び局所虚血後の神経減少、疼痛(例えば、急性疼痛、慢性疼痛、そのような疼痛として、神経因性疼痛、術後疼痛、及び炎症性疼痛が挙げられるが、これらに限定されない、または手術疼痛)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、またはパーキンソン病)、片頭痛、躁鬱病、耳鳴り、筋強直症、運動障害、または心不整脈を治療する、あるいは局所麻酔する方法を提供する。1つの実施形態において、本発明は、疼痛を治療する方法を提供する。別の実施形態において、疼痛の種類は、慢性疼痛である。別の実施形態において、疼痛の種類は、神経因性疼痛である。別の実施形態において、疼痛の種類は、術後疼痛である。別の実施形態において、疼痛の種類は、炎症性疼痛である。別の実施形態において、疼痛の種類は、手術疼痛である。別の実施形態において、疼痛の種類は、急性疼痛である。別の実施形態において、疼痛(例えば、神経因性疼痛、術後疼痛、もしくは炎症性疼痛などの慢性疼痛、急性疼痛、または手術疼痛)の治療は、先行療法である。別の実施形態において、疼痛の治療は緩和療法である。それぞれの場合において、本治療方法は、そのような治療を必要としている動物に、本発明の化合物を、そのような治療を達成するのに治療上有効な量で、投与することを必要とする。1つの実施形態において、そのような化合物の量は、in vitroでナトリウムチャネルを遮断するのに有効な量である。1つの実施形態において、そのような化合物の量は、in vivoでナトリウムチャネルを遮断するのに有効な量である。
【0135】
慢性疼痛として、炎症性疼痛、術後疼痛、癌疼痛、転移性癌に関連した変形性関節症疼痛、三叉神経痛、急性ヘルペス性及び帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、灼熱痛、腕神経叢裂離、後頭部神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、線維筋痛症、痛風、幻肢痛、熱傷痛、及び他の形態の神経痛、神経障害性、及び突発性疼痛症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
慢性体性痛は、一般に、神経絞扼、外科手技、癌、または関節炎などの組織損傷に対する炎症反応から生じる(Brower, Nature Biotechnology 18:387−391 (2000))。
【0137】
炎症プロセスは、組織損傷または生体異物の存在に反応して活性化されることによる、複雑な一連の生化学的細胞性事象である(Levine, Inflammatory Pain, In: Textbook of Pain, Wall and Melzack編、3rd版、1994)。炎症は、損傷した組織部位で、または生体異物のある部位で生じることが多く、組織修復及び治癒のプロセスに寄与する。炎症の主徴候として、紅斑(発赤)、熱、浮腫(腫脹)、疼痛、及び機能喪失が挙げられる(同著)。炎症性疼痛がある患者の多くは、絶えず疼痛を感じているのではなくて、炎症部位を動かすかまたはそこに触られた場合に強く疼痛を感じる。炎症性疼痛として、変形性関節症及びリウマチ様関節炎に関連したものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
慢性神経因性疼痛は、原因不明の不均一な病状である。慢性神経因性疼痛では、疼痛は、複数の機構により介在される可能性がある。この種の疼痛は、一般に末梢または中枢神経組織の損傷から生じる。症候群として、脊椎損傷に関連した疼痛、多発性硬化症、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、幻肢痛、灼熱痛、ならびに反射性交感神経性ジストロフィー疼痛及び腰痛が挙げられる。慢性疼痛は、自発性疼痛、持続性表在性灼熱感、及び/または深部疼痛と説明することができる異常な疼痛感覚を患者が患っている点で、急性疼痛とは異なる。疼痛は、熱感、冷感、及び圧感覚の痛覚過敏により、または熱感、冷感、及び圧感覚のアロディニアにより起こされる可能性がある。
【0139】
神経因性疼痛は、末梢感覚神経の損傷または感染により引き起こされる可能性がある。神経因性疼痛として、末梢神経外傷、ヘルペスウイルス感染、真性糖尿病、灼熱痛、神経叢裂離、神経腫、四肢切断、及び血管炎からくる疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。神経因性疼痛はまた、慢性アルコール依存症、ヒト免疫不全ウイルス感染、甲状腺機能低下症、尿毒症、またはビタミン欠乏症からくる神経損傷によっても引き起こされる。脳卒中(脊髄性または脳)及び脊椎損傷もまた、神経因性疼痛を誘導する可能性がある。癌関連神経因性疼痛は、腫瘍増殖による隣接神経、脳、または脊椎の圧迫から生じる。また、化学療法及び放射線療法をはじめとする癌治療もまた、神経損傷を引き起こす可能性がある。神経因性疼痛として、神経損傷により引き起こされる疼痛、例えば、糖尿病患者が患う疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
本発明はまた、疼痛治療用医薬の製造における、本発明の化合物の使用にも関する。さらに、本発明は、ナトリウムチャネルの遮断に反応する障害(例えば、上記に列挙した障害のいずれか)を患っている動物において、その障害を治療するための医薬の製造における、本発明の化合物の使用に関する。
【0141】
化合物の合成全般
本発明の化合物(例えば、式Iのもの)は、本開示に照らして従来の有機合成を用いて、すなわち以下のスキームに示す例示の方法により、作成することができる。
【0142】
スキームA
【化23】
【0143】
化合物A(BR’R’’は、ボロン酸またはエステルである)を、適切な溶媒(DME/EtOH水溶液混合物など)中、適切な触媒(Pd(PPhClなど)及び適切な塩基(CSCOなど)の存在下で、化合物Bと反応させることにより、化合物Cに変換する。化合物C(PGは保護基である)を、当業者に既知の適切な脱保護技法(例えばWuts, P. G. M.; Greene, T.W., ’’Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis’’, 4th版、J. Wiley & Sons, NY, 2007)により、化合物Dに変換する。化合物Dを、適切な溶媒(DMFなど)中、適切な塩基(CSCOなど)の存在下、化合物Eと反応させることにより、化合物Fに変換する。
【0144】
その後の側鎖修飾は、当業者に既知の適切な官能基操作により達成することができる。
【0145】
化合物の試験
特定の本発明の化合物を、ナトリウムチャネル遮断薬活性について、ナトリウム動員アッセイ及び/または電気生理学的(EP)アッセイにより査定した。本発明の1つの態様は、本発明の化合物のナトリウムチャネル遮断薬としての使用に基づく。この性質に基づいて、本発明の化合物を、ナトリウムイオンチャネルの遮断に反応する症状または障害、例えば、脳卒中、頭部外傷による神経損傷、癲癇、痙攣、熱性痙攣を伴う全般癲癇、重度乳児期ミオクローヌス癲癇、全虚血及び局所虚血後の神経減少、片頭痛、家族性原発性肢端紅痛症、発作性激痛症、小脳萎縮症、運動失調症、ジストニア、振戦、精神発達遅滞、自閉症、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、またはパーキンソン病)、躁鬱病、耳鳴り、筋強直症、運動障害、心不整脈を治療するのに、あるいは局所麻酔するのに有用であると見なす。本発明の化合物はまた、疼痛、例えば、急性疼痛、慢性疼痛、これには神経因性疼痛、術後疼痛、及び炎症性疼痛が挙げられるがこれらに限定されない、または手術疼痛を治療するのに有効であることも期待される。
【0146】
本発明の特定の実施形態は、ナトリウムチャネルの遮断薬として有用な、上記の化合物を提供する。特定の理論に固執するつもりはないが、有用なナトリウムチャネル遮断性質を有するある特定の本発明の化合物は、ナトリウム動員アッセイ及び/または電気生理学的アッセイにおいて、Na1.1、Na1.2、Na1.3、Na1.4、Na1.5、Na1.6、Na1.7、Na1.8、及び/またはNa1.9について、約100μM以下、例えば、約50μM以下、約25μM以下、約10μM以下、約5μM以下、または約1μM以下のIC50を示す。特定の実施形態において、本発明の化合物は、Na1.7について100μM以下、約50μM以下、約25μM以下、約10μM以下、約5μM以下、約1μM以下、約0.5μM以下、約0.1μM以下、約0.05μM以下、または約0.01μM以下のIC50を示す。本発明の化合物は、当該分野で既知の方法を用いて、及び以下の蛍光画像化及び電気生理学的in vitroアッセイ及び/またはin vivoアッセイにより、化合物のNaチャネル遮断活性について試験することができる。
【0147】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、哺乳類においてCNS血液脳関門を超えて侵入することが実質的にないことを実証する。そのような化合物は、それらのPNS対CNS組織選択性を指定する手段として「末梢限定型」と称する。
【0148】
1つの実施形態において、本発明の末梢限定型化合物のPNS:CNS濃度比は、約5:1、約10:1、約20:1、約30:1;約50:1;約100:1、約250:1、約500:1、約1000:1、約5,000:1、約10,000:1、またはそれより大きい。本発明の化合物は、当該分野で既知のin vitro方法及びin vivo方法を用いて、化合物が持つ中枢神経系に侵入する能力を試験することができる。
【0149】
In Vitroアッセイプロトコル
FLIPR(登録商標)アッセイ
組換えNa1.7細胞株:ヒトNa1.7(受入番号第NM_002977)のアルファサブユニット(Na1.7、SCN9a、PN1、NE)をコードするcDNAを発現する組換え細胞株でin vitroアッセイを行った。細胞株は、エール大学で研究者によりもたらされたものであった(Cumminsら、J. Neurosci. 18(23): 9607−9619 (1998))。Na1.7発現クローンを優性選択するため、発現プラスミドをネオマイシン耐性遺伝子と同時発現させた。細胞株を、ヒト胚性腎臓細胞株HEK293において、CMV主要後期プロモーターの影響下で構築し、制限希釈クローニング及びネオマイシン類似体G418を用いた抗生物質選択を用いて安定クローンを選択した。組換えベータ及びガンマサブユニットは、この細胞株に導入しなかった。他の種からクローン化した組換えNa1.7を発現するさらなる細胞株もまた、単独であるいは様々なベータサブユニット、ガンマサブユニット、またはシャペロンと併用して用いることができる。
【0150】
天然型Na1.7を発現する非組換え細胞株:あるいは、天然型非組換えNa1.7を発現する細胞株、例えばND7マウス神経芽細胞腫Xラット後根神経節(DRG)ハイブリッド細胞株ND7/23(欧州培養細胞保存機関(カタログ番号92090903、Salisbury、Wiltshire、United Kingdom)から入手可能)で、in vitroアッセイを行うことができる。アッセイは、様々な種由来の、天然型非組換えNa1.7を発現する他の細胞株で、または様々な種から単離された新鮮なもしくは保存されていた感覚ニューロン、例えば後根神経節(DRG)細胞の培養物で、行うこともできる。他の電位開口型ナトリウムチャネルの一次スクリーニングまたは対比スクリーニングもまた行うことができ、細胞株は、当該分野で既知の方法を用いて構築する、共同研究者または商業事業者から購入することができ、それらは、組換えチャネルまたは天然型チャネルいずれかを発現することができる。一次対比スクリーニングは、HEK293宿主細胞で発現した中枢神経ナトリウムチャネル、Na1.2(rBIIa)をスクリーニングするためのものである(Ilyinら、Br. J. Pharmacol. 144:801−812 (2005))。こうした対比スクリーニングのための薬理学的特性決定を、以下に記載する一次または代替Na1.7アッセイと同様な条件下で行う。
【0151】
細胞維持:他に特に記載がないかぎり、細胞培養試薬は、Herndon、VAのMediatechから購入した。組換えNa1.7/HEK293細胞は、ダルベッコ最小必須培地に、10%ウシ胎児血清(FBS、Hyclone、Thermo Fisher Scientific、Logan、UT)、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、2〜4mMのL−グルタミン、及び500mg/mLのG418を含有させたものからなる増殖培地でルーチン培養した。天然型非-組換え細胞株については、選択抗生物質を省略したが、必要に応じて追加の培地配合を適用することができる。
【0152】
アッセイ緩衝液:新鮮な滅菌dHO(Mediatech、Herndon、VA)の1Lボトルから120mLを取り出し、Ca++もMg++も含有しない10倍HBSS(Gibco、Invitrogen、Grand Island、NY)100mLを加え、続いて1.0MのHepes(pH7.3、Fisher Scientific、BP299−100)20mLを加えることにより、アッセイ緩衝液を配合した。最終的な緩衝液は、20mMのHepes(pH7.3)、1.261mMのCaCl、0.493mMのMgCl、0.407mMのMg(SO)、5.33mMのKCl、0.441mMのKHPO、137mMのNaCl、0.336mMのNaHPO、及び0.556mMのD−グルコース(Hanksら、Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 71:196 (1949))からなり、この単純配合物が、典型的には、アッセイ全体を通じて基本緩衝液であった(すなわち、全ての洗浄及び添加工程で使用された)。
【0153】
一次蛍光アッセイ用のCoroNa(商標)グリーンAMNa色素:一次蛍光アッセイで使用した蛍光インジケーターは、細胞浸透型CoroNa(商標)グリーン(Invitrogen、Molecular Probes、Eugene、OR)、すなわち蛍光範囲で光を発する色素であった(Harootunianら、J. Biol. Chem. 264(32):19458−19467 (1989))。色素がNaイオンと接触すると、この発光は、波長範囲は変わらずに、強度が上昇し、色素は、Naイオンに部分選択性で結合することができる。Na1.7または他のナトリウムチャネルを発現する細胞に、蛍光アッセイの直前にCoroNa(商標)グリーン色素を添加し、それから、アゴニスト刺激した後、Naイオンの動員を、細胞外液から細胞質へと活性化ナトリウムチャネル孔を通じて流れたNaイオンとして検出した。色素は、凍結乾燥粉末として暗中に貯蔵し、取扱説明書に従って、一定分量を細胞添加手順の直前に、10mMの原液濃度でDMSOに溶解させた。次いで、これをアッセイ緩衝液に希釈して4倍濃度の作業溶液としたので、細胞添加用緩衝液中の色素の最終濃度は5μMであった。
【0154】
代替蛍光アッセイ用の膜電位色素:代替蛍光アッセイで使用可能な蛍光インジケーターは、青色膜電位色素(MDS、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)、すなわち膜電位の変化に従って起こる分子の変化を検出する色素である。アゴニスト刺激が膜電位の変化を誘発すると、蛍光の増大が予想される。Na1.7または他のナトリウムチャネルを発現する細胞を、膜電位色素とともに30〜60分間インキュベートしてから蛍光アッセイを行う。KCl前刺激があるアッセイの場合、色素及びその他全ての成分を、アッセイの直前に洗い落とし、次いで色素を交換する。KCl前刺激のないアッセイでは、色素は細胞に残し、洗い落としも交換もしない。色素は、凍結乾燥粉末として暗中に貯蔵し、次いで、一定分量をアッセイ緩衝液に希釈して20倍濃度の原液とする。この原液は数週間使用可能である。
【0155】
アゴニスト:蛍光アッセイでは、2種のアゴニスト、すなわち1)ベラトリジン;及び2)オブトサソリ(Leiurus quinquestriatus hebraeus)の毒液を併用した。ベラトリジンは、不活性化を阻害することによりチャネルが開口した状態を維持するように促進する小分子アルカロイドであり、サソリ毒液は、異なるサブセットの電位開口型ナトリウムチャネルに対して選択的なペプチド毒素を含む自然産物である。こうしたサソリ毒素は、それらの同族標的チャネルの迅速な不活性化を阻害する。アゴニストの原液を、DMSO中40mM(ベラトリジン)及びdHO中1mg/mL(サソリ毒液)で調製し、次いでアッセイ緩衝液で希釈することで、4倍または2倍濃度の原液(特定のアッセイに応じて)を作り、最終濃度は100μM(ベラトリジン)及び10μg/mL(サソリ毒液)であった。アゴニストはどちらもSigma Aldrich、St.Louis、MOから購入した。
【0156】
試験化合物:試験化合物は、DMSOに溶解させて、10mMの原液を得た。原液に対してさらに、DMSOを用いて1:3の系列希釈を10回行った(10,000μM、3.333μM、1.111μM、370μM、123μM、41μM、14μM、4.6μM、1.5μM、及び0.5μM)。この原液をさらにアッセイ緩衝液で希釈(1:125)して、DMCO濃度が0.8%の4倍濃度系列希釈原液とし(アッセイでの、化合物成分からの最終[DMSO]=0.2%)、その結果、アッセイでの化合物の最終濃度は、20μM、6.7μM、2.2μM、0.74μM、0.25μM、及び0.08μM、0.03μM、0.001μM、0.003μM、及び0.001μMであった。もし、特定の試験物質が特に強力であるように思われる場合は、より適切な濃度範囲で用量反応測定を行う目的で、濃度曲線を、例えば、10倍低い濃度に、調整した。化合物希釈物は、色素添加及び前刺激工程中に加え、次いで蛍光アッセイ中、動態測定の初期に、再度加えた。化合物希釈物は、96ウェルプレートの中央に並ぶ2列組の80ウェルに加え、一方、完全に刺激した対照及び完全に阻害した対照(陽性及び陰性)は、アッセイプレートの左端及び右端の、それぞれ上から4つのサイドウェル及び下から4つのサイドウェルに配置した。
【0157】
データ分析:データは、当業者に既知である方法に従って、すなわちGraphPad(登録商標)Prism Program、バージョン4.0以降(GraphPad Software、SanDiego、CAから入手可能)を用いて分析して、試験物質のIC50値を求めた。各実験中に、少なくとも1種の標準参照化合物を評価した。
【0158】
KCl及び試験物質の前インキュベーションを行うFLIPR(登録商標)またはFLIPRTETRA(登録商標)ナトリウム色素アッセイ:組換えもしくは天然型非組換えNa1.7アルファサブユニットいずれかを単独でまたは様々なベータ及びガンマサブユニットと組み合わせて発現する組換えHEK293細胞または他の宿主細胞を、PDLコーティングした96ウェル黒色透明底プレートに約40,000細胞/ウェルの密度で蒔くことにより、細胞を作製した。アッセイは、所望であれば、比例して減少させた細胞及び少ない培地を用いて、384ウェルまたは1,536ウェルのフォーマットに応用することができる。次いで、アッセイ用の調製において、プレートを、選択抗生物質を含むまたは含まない培地で、37℃、5%CO、95%湿度で一晩、インキュベートした。他の電位開口型ナトリウムチャネルの対比スクリーニングについては、手順はほぼ同様であったが、もっとも、特定の細胞株またはアイソフォームについて最適な細胞密度、培地、及びその後のアッセイ要素を微調整することができる。
【0159】
翌日、アッセイの開始時に、細胞から培地を除去し、ウェルを50μl/ウェルのアッセイ緩衝液(重炭酸ナトリウムもフェノールレッドも含まない1倍ハンクス平衡塩溶液、20mMのHepes、pH7.3)で1回洗浄し、次いで、試験物質、CoroNa(商標)グリーンAMナトリウム色素(細胞添加用)、及び細胞集団全体におけるチャネルの再分極及び同調用のKClとともに前インキュベートした。この色素添加及び前刺激工程については、洗浄工程の直後に、成分を以下のとおりに加えた:1)最初に、化合物希釈物及び対照を、アッセイ緩衝液中4倍濃度として、50μL/ウェルで加えた;2)CoroNa(商標)グリーンAM色素を、原液からアッセイ緩衝液中20μM(4倍濃度)に希釈して、プレートに50μL/ウェルで加えた;及び3)最後に、2Mの原液をアッセイ緩衝液に希釈することで180mMのKCl(2倍)溶液を調製し、この溶液を細胞に100μl/ウェルで加えた。細胞を、暗中で30分間、25℃でインキュベートしてから、細胞の蛍光を測定した。
【0160】
次いで、色素添加した細胞を含むプレートを除去して、前インキュベーション成分を除去し、100μL/ウェルのアッセイ緩衝液で1回洗浄した。100μL/ウェル分量のアッセイ緩衝液をプレートに加え戻し、リアルタイムアッセイを開始した。細胞の蛍光を、蛍光プレートリーダー(FLIPRTETRA(登録商標)またはFFIPR384(登録商標)、MDS、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いて測定した。試料は、レーザーまたはPMT光源により励起させ(励起波長=470〜495nM)、発光をフィルタリングした(発光波長=515〜575nM)。この細胞を利用した中〜高処理アッセイにおける化合物及びチャネル活性化剤の添加は、蛍光プレートリーダー上で行い、結果(相対蛍光単位として表される)を、1〜3秒ごとにカメラで撮影することにより捉え、そしてリアルタイムで表示するとともに記録した。概して、ベースラインを15秒とり、その間1.5秒ごとにカメラで撮影し、次いで試験化合物を加え、さらにベースライン120秒をとって、その間3秒ごとにカメラで撮影した;そして最後に、アゴニスト溶液(ベラトリジン及びサソリ毒液を含有)を加えた。その後、NaイオンがCoroNa(商標)グリーン色素と結合することで生じる蛍光の増加度合いを、約180秒間記録した。結果は、相対蛍光単位(RFU)で表されていたので、刺激の後半中の最大信号を用いることにより;またはアゴニスト刺激の全期間中の最大信号から最小信号を差し引くことにより;または全刺激期間中の曲線面積を採用することにより、求めることができる。
【0161】
アッセイは、一次スクリーニング中にマルチウェルプレートの1つまたは2つのウェルにのみ試験物質を標準量(例えば、10μM)で存在させて、スクリーニングアッセイとしても行うことができる。典型的には、このスクリーニングでヒットしたものを、より徹底的に(複数回)特性決定し、用量反応または競合アッセイに供し、そして他の電位開口型ナトリウムチャネルまたは他の生物学的に関連する標的分子に対する対比スクリーニングで試験した。
【0162】
KCl及び試験物質の前-インキュベーションを行うFLIPR(登録商標)またはFLIPRTETRA(登録商標)膜電位アッセイ:組換えもしくは天然型非組換えNa1.7アルファサブユニットいずれかを単独でまたは様々なベータ及びガンマサブユニットと組み合わせて発現する組換えHEK293細胞または他の宿主細胞を、PDLコーティングした96ウェル黒色透明底プレートに約40,000細胞/ウェルの密度で蒔くことにより、細胞を作製する。アッセイは、所望であれば、比例して減少させた細胞及び少ない培地を用いて、384ウェルまたは1,536ウェルのフォーマットに応用することができる。次いで、アッセイ用の調製において、プレートを、選択抗生物質を含むまたは含まない培地で、37℃、5%CO、95%湿度で一晩、インキュベートする(例えば、Benjaminら、J. Biomol. Screen 10(4):365−373 (2005)を参照)。他の電位開口型ナトリウムチャネルのスクリーニング及び対比スクリーニングについては、手順は同様であるが、もっとも、特定の細胞株またはナトリウムチャネルアイソフォームを試験するのに最適なように細胞密度、培地、及びその後のアッセイ要素を微調整することができる。
【0163】
翌日、アッセイの開始時に、細胞から培地を除去し、ウェルを50μL/ウェルのアッセイ緩衝液(重炭酸ナトリウムもフェノールレッドも含まない1倍ハンクス平衡塩溶液、20mMのHepes、pH7.3)で1回洗浄し、次いで、試験物質、膜電位色素(細胞添加用)、及び細胞集団全体におけるチャネルの再分極及び同調用のKClとともに前インキュベートする。この色素添加及び前刺激工程については、洗浄工程の直後に、成分を以下のとおりに加える:1)最初に、化合物希釈物及び対照を、アッセイ緩衝液中4倍濃度として、50μL/ウェルで加える;2)膜電位色素を、原液からアッセイ緩衝液中(4倍濃度)に希釈して、プレートに50μL/ウェルで加える;及び3)最後に、2Mの原液をアッセイ緩衝液に希釈することで180mMのKCl(2倍)溶液を調製し、この溶液を細胞に100μL/ウェルで加える。細胞を、暗中で30〜60分間37℃でインキュベートしてから、細胞の蛍光を測定する。
【0164】
次いで、色素添加した細胞を含むプレートを除去して、前インキュベーション成分を除去し、50μL/ウェルのアッセイ緩衝液で1回洗浄する。50μL/ウェル分量の膜電位色素をプレートに加え戻し、リアルタイムアッセイを開始する。細胞の蛍光を、蛍光プレートリーダー(FLIPRTETRA(登録商標)またはFLIPR384(登録商標)、MDS、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いて測定する。試料は、レーザーまたはPMT光源により励起させ(励起波長=510〜545nM)、発光をフィルタリングする(発光波長=565〜625nM)。これにおける化合物(最初の添加物)及びチャネル活性化剤(その後の添加物)の添加は、蛍光プレートリーダー上で行い、結果相対蛍光単位(RFU)として表される結果を、1〜3秒ごとにカメラで撮影することにより捉えて、リアルタイムで表示するとともに記録する。概して、ベースラインを15秒とり、その間1.5秒ごとにカメラで撮影し、次いで試験化合物を加え、さらにベースライン120秒をとって、その間3秒ごとにカメラで撮影し、そして最後に、アゴニスト溶液(ベラトリジン及びサソリ毒液を含有)を加える。その後、膜電位の変化を検出することで生じる蛍光の増加度合いを、約120秒間記録する。結果は、相対蛍光単位(RFU)で表されるので、刺激の後半中の最大信号を用いることにより;または全刺激期間中の最大信号から最小信号を差し引くことにより;または全刺激期間中の曲線面積を採用することにより、求めることができる。
【0165】
アッセイは、一次スクリーニング中にマルチウェルプレートの1つまたは2つのウェルにのみ試験物質を標準量(例えば、10μM)で存在させて、スクリーニングアッセイとしても行うことができる。典型的には、このスクリーニングでヒットしたものを、より徹底的に(複数回)特性決定し、用量反応または競合アッセイに供し、そして他の電位開口型ナトリウムチャネルまたは他の生物学的に関連する標的分子に対する対比スクリーニングで試験する。
【0166】
KCl及び試験物質の前-インキュベーションを行なわないFLIPR(登録商標)またはFLIPRTETRA(登録商標)ナトリウム色素アッセイ:組換えもしくは天然型非組換えNa1.7アルファサブユニットいずれかを単独でまたは様々なベータ及びガンマサブユニットと組み合わせて発現する組換えHEK293細胞または他の宿主細胞を、PDLコーティングした96ウェル黒色透明底プレートに約40,000細胞/ウェルの密度で蒔くことにより、細胞を作製する。アッセイは、所望であれば、比例して減少させた細胞及び培地を用いて、384ウェルまたは1,536ウェルのフォーマットに応用することができる。次いで、アッセイ用の調製において、プレートを、選択抗生物質を含むまたは含まない培地で、37℃、5%CO、95%湿度で一晩、インキュベートする。他の電位開口型ナトリウムチャネルの対比スクリーニングについては、手順はほぼ同様であるが、もっとも、特定の細胞株またはアイソフォームに最適なように細胞密度、培地、及びその後のアッセイ要素を微調整することができる。
【0167】
翌日、アッセイの開始時に、細胞から培地を除去し、ウェルを50μL/ウェルのアッセイ緩衝液(重炭酸ナトリウムもフェノールレッドも含まない1倍ハンクス平衡塩溶液、20mMのHepes、pH7.3)で1回洗浄する。次いで、膜電位色素を、原液からアッセイ緩衝液中(4倍濃度)に新たに希釈して、96ウェルプレートの各ウェルに加える(50μL/ウェル)。細胞を、暗中で30〜60分間、37℃でインキュベートしてから、細胞の蛍光を測定する。
【0168】
この標準膜電位アッセイでは、次いで、色素添加細胞を含有する96ウェルプレートを、色素溶液の吸引もせず細胞のどのようなさらなる洗浄も行わずに、プレートリーダーに直接乗せる。細胞の蛍光を、蛍光プレートリーダー(FLIPRTETRA(登録商標)またはFLIPR384(登録商標)、MDS、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いて測定する。試料は、レーザーまたはPMT光源により励起させ(励起波長=510〜545nM)、発光をフィルタリングする(発光波長=565〜625nM)。この動態アッセイにおける化合物(前者、4倍原液から50μL/ウェル)及びチャネル活性化剤(後者、2倍原液から100μL/ウェル)の添加は、蛍光プレートリーダー上で行い、相対蛍光単位(RFU)として表される結果を、1〜3秒ごとにカメラで撮影することにより捉えて、リアルタイムで表示するとともに記録する。概して、ベースラインを15秒とり、その間1.5秒ごとにカメラで撮影し、次いで試験化合物を加え、さらにベースライン120秒をとって、その間3秒ごとにカメラで撮影する;そして最後に、アゴニスト溶液(ベラトリジン及びサソリ毒液を含有)を加える。その後、膜電位の変化を検出することで生じる蛍光の増加度合いを、約120秒間記録する。結果は、相対蛍光単位(RFU)で表されるので、刺激の後半中の最大信号を用いることにより、または全刺激期間中の最大信号から最小信号を差し引くことにより、または全刺激期間中の曲線面積を採用することにより、求めることができる。
【0169】
アッセイは、一次スクリーニング中にマルチウェルプレートの1つまたは2つのウェルにのみ試験物質を標準量(例えば、10μM)で存在させて、スクリーニングアッセイとしても行うことができる。典型的には、このスクリーニングでヒットしたものを、より徹底的に(複数回)特性決定し、用量反応または競合アッセイに供し、そして他の電位開口型ナトリウムチャネルまたは他の生物学的に関連する標的分子に対する対比スクリーニングで試験する。
【0170】
電気生理アッセイ
手動電気生理測定の細胞:hNa1.7を発現するHEK−293細胞を、ポリ−D−リシンで予めコーティングされた35mm培養皿上、標準DMEM培地(Mediatech ,Inc.,Herndon,VA)中に蒔き、5%COインキュベーター中、37℃でインキュベートする。プレーティングから約12〜48時間後に、培養細胞を使用する。
【0171】
自動電気生理測定の細胞:hNa1.7を発現するHEK−293細胞を、組織培養フラスコ上、標準DMEM培地(Mediatech,Inc.)中に蒔き、5%COインキュベーター中、37℃でインキュベートする。プレーティングから約12〜48時間後に、培養細胞を使用する。
【0172】
手動電気生理測定:実験当日、35mm皿を、倒立顕微鏡のステージに置く。倒立顕微鏡は、培養皿に新鮮な記録培地を連続的に灌流する灌流系が装備されている。重力落下灌流系を用いて、試験溶液を評価中の細胞に直接添加する。この「シューター」系は、電動式水平交換機に接続したガラスピペットの列からなる。シューターの排出口を、目的の細胞から約100μmに配置する。
【0173】
Axopatch 200B増幅器(Axon Instruments、Foster City CA)、1322A A/Dコンバーター(Axon Instruments)、及びpClampソフトウェア(v.8;Axon Instruments)を用い、全細胞型パッチクランプコンフィギュレーションを用いて、細胞全膜電流を記録し、パソコンに記憶する。ギガシールを形成させ、全細胞型コンフィギュレーションを、電圧クランプモードで確立させ、hNa1.7チャネルにより発生した膜電位を記録する。ピペット液を充填した場合に抵抗値が1.5〜2.0MΩであるホウケイ酸ガラスピペットを使用し、直列抵抗(<5MΩ)を75〜80%補正する。信号は50kHzで抽出し、3kHzで低域フィルタリングする。
【0174】
自動電気生理測定:実験当日、培地を除去し、外部溶液に浮遊させた細胞に適切な酵素を用いて消化することで、細胞を用意する。
【0175】
Patchliner(Nanion Technologies、Munich Germany)、EPC 10クアドロ増幅器(HEKA、Bellmore、New York)、及びPatchControl HT 10905 (Nanion Technologies)、及びPatchMaster v2x73ソフトウェア(HEKA)を用い、全細胞型パッチクランプコンフィギュレーションを用いて細胞全膜電流を記録し、パソコンにを記憶する。ギガシールを形成させ、全細胞型コンフィギュレーションを、電圧クランプモードで確立させ、hNa1.7チャネルにより発生した膜電位を記録する。ピペット液を充填した場合に抵抗値が1.0〜2.0MΩであり直列抵抗(<5MΩ)のNPC−16チップを使用する。信号は25kHzで抽出し、3kHzで低域フィルタリングする。
【0176】
手動電気生理測定の電圧プロトコル:電圧クランプモードで全細胞型コンフィギュレーションを確立した後、電圧プロトコルを実行して、1)試験電位(Vmax)、2)保持電位(Vh)、及び3)各細胞用の条件付け電位を確立する。
【0177】
電圧クランプモードで全細胞型コンフィギュレーションを確立した後、標準のI−Vプロトコルを実行して、最大電流(Imax)が誘発される電位を決定する。この電位が試験電位(V)である。100%のチャネルが不活性化状態にある条件付け電位を決定するため、10mV刻みで増加していく100ms長の脱分極プレパルス及び直後にVmaxに達する5msの試験パルスを15段階一続きで用いて、標準的な定常状態不活性化(SSIN)プロトコルを実行する。このプロトコルはまた、全チャネルが静止状態にある保持電位の決定も可能にする。
【0178】
不活性化からの回復を顕著に遅らせる化合物について、以下のプロトコルを用いて、チャネルの不活性化状態についての親和性の見積もり(K)を得る。不活性化が残っていない、負の保持電位から、細胞を脱分極して2〜5秒間条件付け電位にし、負の保持電位に10〜20ms間戻して急速不活性化を緩和し、次いで約15ms間、試験電位にして脱分極させる。この電圧プロトコルを10〜15秒ごとに繰返し、最初は試験化合物の不在下でベースラインを確立させ、次いで試験化合物の存在下で行う。
【0179】
安定したベースラインが確立された後、試験化合物を添加し、試験パルスにより誘発される電流の遮断を査定する。場合によっては、濃度を複数積算して、この電流を40〜60%遮断した濃度を同定する。定常状態遮断が観測されたら、対照溶液で灌流することにより、化合物の洗い落としを試みる。Kの見積もりは、以下のとおり計算する:
=[薬物]{FR/(1−FR)}、式1
式中、[薬物]は、薬物濃度であり、かつ
FR=I(薬物添加後)/I(対照)、式2
式中、Iは、ピーク電流振幅である。積算濃度が用いられた場合、Kは、対応する薬物濃度に対してプロットされたFRに、ロジスティック式を当てはめることで求められる。
【0180】
代替方法では、hNa1.7電流を試験する電圧クランププロトコルは以下のとおりである。電圧クランプモードで全細胞型コンフィギュレーションを確立した後、2つの電圧プロトコルを実行して以下を確立させた:1)保持電位;及び2)各細胞についての試験電位。
【0181】
静止時遮断:チャネルの大部分が静止状態にある膜電位を求めるため、100msのプレパルス×10mVの脱分極工程を用いて標準の定常状態不活性化(SSIN)プロトコルを実行する。静止時遮断を試験するための保持電位(Vh1)は、典型的には、不活性化プロトコルで観測される不活性化の第一電位よりも20mV超で過分極する。
【0182】
この保持電位から、標準I−Vプロトコルを実行して、最大電流が誘発される電位(Vmax)を求める。この電位が試験電位(V)である。
【0183】
化合物試験プロトコルは、Vh1(SSINから決定)からV(I−Vプロトコルから決定)への10ms脱分極を10〜15秒ごとに繰り返すという一連の操作である。安定したベースラインが確立された後、高濃度の試験化合物(溶解可能な最大濃度または約50%の遮断をもたらす濃度)を添加し、電流の遮断を査定する。定常状態遮断が観測されたら、対照溶液で灌流することにより、化合物の洗い落としを試みる。チャネルの静止状態に対する親和性は、以下のとおり計算する:
=[薬物]{FR/(1−FR)}、式3
式中、[薬物]は薬物濃度であり、かつ
FR=I(薬物添加後)/I(対照)、式2
式中、Iは、ピーク電流振幅であり、静止時遮断解離定数Kを見積もるために使用された
【0184】
不活性化チャネルの遮断:不活性化チャネルの遮断を査定するため、上記と同じVにパルスした場合に電圧振幅が20〜50%減少するように、保持電位を脱分極する。この電位が、第二保持電位(Vh2)である。この脱分極の大きさは、初期電流振幅及び緩徐不活化による電流損失率に依存する。電流の減少を記録して、この電位で利用可能なチャネルの割合(h)を求める。
h=l@Vh2/Imax. 式4
【0185】
この膜電位では、一部のチャネルが不活性化状態にあり、したがって、遮断薬による阻害は、静止チャネル及び不活性化チャネルの両方との相互作用を含む。
【0186】
不活性化チャネルに対する試験化合物の効力を求めるため、10〜15秒ごとにVh2からVへ10ms電圧をかける工程により、一連の電流を誘発する。安定したベースラインが確立された後、低濃度の試験化合物を添加する。場合によっては、濃度を複数積算して、電流を40〜60%遮断する濃度を同定しなければならないだろう。ベースラインを再確立するために化合物の洗い落としを試みる。見積ベースラインに関して反応割合を測定することで、Kappを求める:
app=[薬物]{FR/(1−ER)}、式5
式中、[薬物]は薬物濃度である。
【0187】
このKapp値を、計算したK及びhの値と合わせて用いることで、以下の式から不活性化チャネルに対する化合物の親和性(K)を計算する:
=(1−h)/((1/Kapp)−(h/K)). 式6
【0188】
自動電気生理測定の電圧プロトコル:上記に記載されるものと同様な電圧プロトコルを用いるが、ただし試験電位(V)は、予め定められた電圧に設定される。Kappは、上記のとおり求められる。
【0189】
溶液及び化学薬品:電気生理学測定の記録について、外部液は、標準のHBSSに10mMのHEPESを補充したもの(pHはNaOHで7.34に調整、モル浸透圧濃度は320に調整)、またはタイロード塩溶液したもの(Sigma、USA)に10mMのHEPESを補充(pHはNaOHで7.4に調整;モル浸透圧濃度=320)いずれかである。内部ピペット溶液は、以下を含有する(mM単位):NaCl(10)、CsF(140)、CaCl2(1)、MgCl2(5)、EGTA(11)、HEPES(10:pH7.4、305mOsm)。化合物は、最初にDMSOを溶媒とする一連の原液として調製し、次いで、外部液に溶解させ、最終希釈液中のDMSO含有量は、0.3%を超えてはいなかった。この濃度では、DMSOはナトリウム電流に影響しない。ベースラインを確立するために用いたビヒクル液も、DMSOを0.3%含有する。
【0190】
手動電気生理測定のデータ分析:データは、Clampfitソフトウェア(pClamp、v.8;Axon Instruments)を用いて、オフラインで分析し、GraphPad Prizm(v.4.0)ソフトウェアを用いてグラフ化する。
【0191】
自動電気生理測定のデータ分析:データは、Igor Pro(v6.2.2.2;Wave Metrics, Inc.,Lake Oswego、OR)及びMicrosoft XL(Microsoft Office 2010、vl4x、Microsoft、RentonWA)を用いて、オフラインで分析する。
【0192】
疼痛のIn Vivoアッセイ
本発明の化合物は、Hunskaarら、 J. Neurosci. Methods 14:69−76 (1985)に記載されるとおりのホルマリンモデルで、化合物の抗侵害受容活性について試験することができる。オスのSwiss Webster NIHマウス(20〜30g;Harlan、San Diego、CA)を、全ての実験に使用することができる。食物を実験当日に回収する。マウスを少なくとも1時間プレキシガラス製ジャーに入れて、環境に慣れさせる。順応期間後、マウスの体重を測定し、i.p.もしくはp.o.投与で注目の化合物を与えるか、または対照として適切な量のビヒクル(例えば、10%Tween−80または0.9%生理食塩水、及び他の薬学上許容されるビヒクル)を与える。i.p.投与から15分後、及びp.o.投与から30分後、マウスの右後足の背側表面に、ホルマリン(5%ホルムアルデヒド生理食塩水溶液20μL)を注射する。マウスをプレキシガラス製ジャーに移し、注射した足をなめてまたは咬んで過ごした時間の量を観測する。ホルマリン注射後、1時間、なめた及び咬んだ期間を5分間隔で記録する。実験は全て、盲検様式で、明サイクル中に行う。0〜5分間に、なめる/噛むとしてホルマリン反応の初期段階が測定され、15〜50分間は、後期段階が測定される。ビヒクル処置群と薬物処置群との違いは、一元配置分散分析(ANOVA)により分析することができる。P値<0.05を有意であると見なす。ホルマリンに誘導された足をなめる活動の初期相及び第二相の両方で化合物が遮断活性を有している場合に、その化合物を、急性及び慢性疼痛を治療するのに有効であるとみなす。
【0193】
炎症性または神経因性疼痛のIn Vivoアッセイ
試験動物:各実験において、実験開始時に体重が200〜260gのラットを用いる。ラットを集団飼育し、試験化合物の経口投与前以外はいつでも食物及び水を自由に得られるようにし、投与前の16時間は食物を回収する。対照群は、本発明の化合物で処置したラットとの比較の役割を果たす。対照群には、試験化合物のキャリアとして用いたキャリアを投与する。対照群に投与されるキャリアの体積は、試験群に投与されるキャリアと試験化合物を合わせた体積と同一である。
【0194】
炎症性疼痛:炎症性疼痛の治療における本発明の化合物の作用を査定するため、炎症性疼痛のフロイント完全アジュバント(「FCA」)モデルを用いる。ラット後足のFCA誘導型炎症は、持続性炎症の圧感覚及び熱感の痛覚過敏の発生を伴い、臨床上有用な鎮痛薬の痛覚過敏抑制作用について信頼できる予測を提供する(Barthoら、Naunyn−Schmiedeberg’s Archives of Pharmacol. 342:666−670(1990))。損傷させる前に、以下に記載のとおり、動物を、足逃避反応閾値(PWT)を求めることにより侵害性機械刺激に対する反応について、または足逃避反応潜時(PWL)を求めることにより侵害性熱刺激に対する反応について、査定する(ベースラインPWTまたはPWL)。次いで、各動物の左後足に、50%FCAを50μL足底内注射で投与する。注射から24時間後、PWTまたはPWLを再度査定する(投与前PWTまたはPWL)。次いで、ラットに、試験化合物または30mg/Kgの陽性対照化合物(例えば、インドメタシン)いずれかを単回注射で投与する。次いで、刺激性機械刺激または熱刺激に対する反応を、投与から1、3、5、及び24時間後に求める(投与後PWTまたはPWL)。各動物の痛覚過敏の回復パーセンテージは、以下のとおり定義される:
【数1】
【0195】
神経因性疼痛:神経因性疼痛の治療における試験化合物の作用を査定するため、SeltzerモデルまたはChungモデルを使用することができる。
【0196】
Seltzerモデルでは、神経因性疼痛の坐骨神経部分結紮モデルを用いて、ラットに神経障害性痛覚過敏を起こさせる(Seltzerら、Pain 43:205−218 (1990))。イソフルラン/O吸入麻酔下、左坐骨神経の部分結紮を行う。麻酔導入後、ラットの左大腿を剪毛し、大腿の高い位置で小さな切開から坐骨神経を露出させて、後部二頭筋半腱様神経が総坐骨神経から分岐する点のちょうど遠位にあたる転子近くの部位で、周辺結合組織を注意して取り除く。7−0絹縫合糸を、3/8先曲逆三角小針を用いて神経に挿入し、神経の厚さのうち背側1/3〜1/2が結紮内に固定されるように、きつく結紮する。創傷を、単線筋肉縫合糸(4−0ナイロン(バイクリル))及びvetbond組織接着剤で閉鎖する。手術後、創傷範囲に抗生物質粉末をまぶす。偽処置ラットも同一の外科手技を受けるが、ただし、坐骨神経に操作を行わない。手術後、動物の体重を測定し、動物が麻酔から覚めるまで、温パッドに乗せておく。次いで、動物を元の飼育かごに戻し、挙動試験が始まるまで入れておく。動物は、同側(損傷した側)後足について、以下に記載のとおり、動物の手術前(ベースライン)、次いで薬物またはビヒクルいずれかの投与の直前及び投与の1、3、及び5時間後に、PWTを求めることにより、侵害性機械刺激に対する反応について査定する。神経障害性痛覚過敏の回復パーセンテージは、以下のとおり定義される:
【数2】
【0197】
Chungモデルでは、神経因性疼痛の脊髄神経結紮(SNL)モデルを用いて、ラットに、圧痛覚過敏、熱痛覚過敏、及び接触性アロディニアを起こさせる。イソフルラン/O吸入麻酔下で、手術を行う。麻酔導入後、L4−S2レベルにて、3cmの切開を作り、左傍脊柱筋群を棘突起から分離する。1対の小骨鉗子を用いて、L6横突起を注意して取り除き、L4−L6脊髄神経を目視で同定する。左L5(またはL5及びL6)脊髄神経を、単離し、絹糸できつく結紮する。完全なうっ血を確認して、創傷を、ナイロン縫合糸またはステンレス鋼止め金などの非吸収性縫合糸を用いて縫合する。偽処置ラットも同一の外科手技を受けるが、ただし、脊髄神経に操作を行わない。手術後、動物の体重を測定し、生理食塩水または乳酸リンゲル液を皮下(s.c.)注射で投与し、創傷範囲に抗生物質粉末をまぶして、動物を、麻酔から覚めるまで、温パッドに乗せておく。次いで、動物を元の飼育かごに戻し、挙動試験が始まるまで入れておく。動物は、左後足について、以下に記載のとおり、手術前(ベースライン)、次いで本発明の化合物またはビヒクルいずれかの投与の直前及び投与の1、3、及び5時間後に、PWTを求めることにより、侵害性機械刺激に対する反応について査定する。動物はまた、以下に記載のとおり、侵害性熱的刺激に対する反応または接触性アロディニアについても査定することができる。神経因性疼痛のChungモデルは、Kimら、Pain 50(3):355−363 (1992)に記載される。
【0198】
接触性アロディニア:動物の非侵害性機械刺激に対する感受性を測定することで、接触性アロディニアを査定することができる。床が金網であるかごを高い位置に置き、そこにラットを移して、5〜10分間、馴化させる。vonFrey式モノフィラメント一式を後足の足底表面に当てて、動物の逃避反応閾値を求める。使用する最初のフィラメントは、折れ曲がり重量が9.1gms(.96log値)であり、これを多くて5回まで当てて、フィラメントが逃避反応を誘発するかどうかを見る。動物が、逃避反応を示したら、フィラメント一式中の次に軽いフィラメントを多くて5回まで当てて、同じく反応を誘発するかどうかを判断することになる。この手順を順次軽いフィラメントへと変えながら、反応しなくなるまで繰返し、反応を誘発する最も軽いフィラメントを同定して記録する。動物が、最初の9.1gmsフィラメントで逃避反応を示さない場合は、フィラメントが反応を誘発するまで順次重いフィラメントを当てていき、誘発するフィラメントを同定して記録する。各動物について、各時点ごとに3回の測定を行い、平均逃避反応閾値を求める。試験は、薬物投与の前、ならびに1、2、4、及び24時間後に行うことができる。
【0199】
圧痛覚過敏:本発明の代表的な化合物は、ラットのSNL誘導型圧痛覚過敏モデルで試験することができる。圧痛覚過敏を査定する足圧迫試験を用いて、動物で侵害性機械刺激に対する感受性を測定する。ラットでは、Stein(Biochemistry & Behavior 31: 451−455 (1988))に記載されるとおりに、侵害性機械刺激に反応した後足逃避反応閾値(「PWT」、グラム単位で測定)を、鎮痛作用測定装置(Model 7200、イタリアのUgo Basileが販売)を用いて求める。ラットの足を小プラットホームに置き、最大250グラムまで、段階的に点荷重を加える。足を完全に逃避させる重量を終点とする。各ラットについて各時点でPWTを1回求める。PWTは、損傷した足でのみ、または損傷した及び損傷していない足の両方で、測定することができる。ラットは、手術前に試験して、ベースライン、すなわち正常なPWTを求める。ラットを、手術2〜3週間後、薬物投与前、及び投与後の様々な時点(例えば1、3、5、及び24時間後)に再度試験する。薬物投与後のPWT上昇は、試験化合物が圧痛覚過敏を減少させることを意味する。
【0200】
抗痙攣活性のIn Vivoアッセイ
本発明の化合物は、最大電気ショック痙攣試験(MES)をはじめとするマウスまたはラットでの多数の抗痙攣性試験のいずれかを用いて、i.v.、p.o.、またはi.p.注射後のin vivo抗痙攣活性について試験することができる。体重15〜20gのオスのNSAマウス及び体重200〜225gのオスのSprague−Dawleyラットに、Ugo Basile ECT装置(モデル7801)を用いて電流を印加(マウスの場合:50mA、60パルス/秒、0.8msecのパルス幅、1秒間、D.C.;ラットの場合:99mA、125パルス/秒、0.8msecのパルス幅、2秒間、D.C.)することにより、最大電気ショック痙攣を誘導する。マウスを背側表面の緩い皮膚を掴んで拘束し、生理食塩水でコーティングした角膜電極を、両角膜に軽く固定する。ラットは、卓上を自由に動き回らせて、イヤークリップ電極を用いる。電流を印加し、動物を、強直性後肢伸筋反応の発生について、長くて30秒までの期間、観察する。強直性痙攣は、身体面から90度を超える後肢伸展と定義される。結果は、素量的に処理することができる。
【0201】
医薬組成物
本発明の化合物は、他のどのような成分も存在しない化合物そのままの形状で、哺乳類に投与することができる。本発明の化合物は、化合物を適切な薬学上許容されるキャリアと組み合わせて含有する医薬組成物の一部分として哺乳類に投与することもできる。そのようなキャリアは、薬学上許容される賦形剤及び助剤から選択することができる。
【0202】
本発明の範囲内にある医薬組成物として、本発明の化合物が1種または複数の薬学上許容されるキャリアと組み合わされた全ての組成物が挙げられる。1つの実施形態において、本発明の化合物は、その意図する治療目的を達成するのに有効な量で組成物中に存在する。個々の必要量は様々であるものの、各化合物の有効量の最適範囲の決定は、当業者の技術内にある。典型的には、本発明の化合物は、特定の疾患を治療するのに、哺乳類、例えば、ヒトに、1日あたり、哺乳類の体重1kgあたり約0.0025〜約1500mgの用量、または化合物の薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の等価な量で、経口投与することができる。哺乳類に投与される本発明の化合物の有用な経口用量は、哺乳類の体重1kgあたり約0.0025〜約50mgの用量、または化合物の薬学上許容される塩もしくは溶媒和物の等価な量である。筋肉内注射の場合、用量は、典型的には、経口用量の約二分の一である。
【0203】
単位経口用量は、本発明の化合物を約0.01mg〜約1g、例えば、約0.01mg〜約500mg、約0.01mg〜約250mg、約0.01mg〜約100mg、0.01mg〜約50mg、例えば、化合物を約0.1mg〜約10mg含んでいてもよい。単位用量は、毎日1回または複数回、例えば、1つもしくは複数の錠剤またはカプセル剤として投与することができ、各単位用量は、化合物を約0.01mg〜約1g、または化合物の薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を等価な量含む。
【0204】
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物の薬効を得ることができる任意の動物に投与することができる。そのような動物として真っ先に挙げられるのは、哺乳類、例えば、ヒト、及び伴侶動物であるが、本発明はこれらに限定されないものとする。
【0205】
本発明の医薬組成物は、その意図する目的を達成する任意の手段により投与することができる。例えば、投与は、経口、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、鼻腔内、経粘膜、直腸、膣内、または頬側経路により、あるいは吸入によるものが可能である。投与される投薬量及び投与経路は、特定の対象の状況に応じて、また投与を受ける対象の年齢、性別、健康状態、及び体重、治療しようとする症状または障害、もしあれば併用療法の種類、治療の頻度、ならびに希望する効果の性質などの要因を考慮して、変わるだろう。
【0206】
1つの実施形態において、本発明の医薬組成物は、経口投与することができ、錠剤、ドラジェ剤、カプセル剤または経口液製剤に配合される。1つの実施形態において、経口配合物は、本発明の化合物を含む押出成形による多粒子を含む。
【0207】
あるいは、本発明の医薬組成物は、直腸投与することができ、坐剤に配合される。
【0208】
あるいは、本発明の医薬組成物は、注射により投与することができる。
【0209】
あるいは、本発明の医薬組成物は、経皮投与することができる。
【0210】
あるいは、本発明の医薬組成物は、吸入により、または鼻内もしくは経粘膜投与により、投与することができる。
【0211】
あるいは、本発明の医薬組成物は、膣内経路により投与することができる。
【0212】
本発明の医薬組成物は、約0.01〜99重量%、好ましくは約0.25〜75重量%の活性化合物を含有することができる。
【0213】
本発明の方法、例えばナトリウムチャネルの遮断に反応する障害の治療を必要としている動物においてそのような治療を行う方法は、本発明の化合物と併用して、動物に第二治療薬を投与することをさらに含むことができる。1つの実施形態において、その他の治療薬は、有効量で投与される。
【0214】
その他の治療薬の有効量は、当業者に既知である。しかしながら、その他の治療薬の最適な有効量範囲を求めることは、十分に当業者の専門内にある。
【0215】
本発明の化合物(すなわち、第一治療薬)及び第二治療薬は、相加的に、または1つの実施形態では相乗的に作用する可能性がある。あるいは、第二治療薬は、第一の治療薬を投与する目的の障害または症状とは異なる障害または症状を治療するために用いることができ、その障害または症状は、本明細書中定義される症状または障害であってもなくてもよい。1つの実施形態において、本発明の化合物は、第二治療薬と同時に投与される;例えば、有効量の本発明の化合物及び有効量の第二治療薬の両方を含む単独の組成物を投与することができる。したがって、本発明はさらに、本発明の化合物、第二治療薬、及び薬学上許容されるキャリアを組み合わせて含む医薬組成物を提供する。あるいは、本発明の化合物を有効量で含む第一医薬組成物及び第二治療薬を有効量で含む第二医薬組成物を同時に投与することができる。別の実施形態において、有効量の本発明の化合物は、有効量の第二治療薬の投与前または投与に続いて投与される。この実施形態では、障害または症状を治療するため、第二治療薬がその治療効果を発揮している間に、本発明の化合物が投与されるか、または本発明の化合物がその治療効果を発揮している間に、第二治療薬が投与される。
【0216】
第二治療薬は、オピオイドアゴニスト、非オピオイド鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症剤、抗片頭痛剤、Cox−II阻害剤、β−アドレナリン遮断薬、抗痙攣薬、抗鬱薬、抗癌剤、依存性障害を治療するための作用剤、パーキンソン病及びパーキンソン症を治療するための作用剤、不安を治療するための作用剤、癲癇を治療するための作用剤、痙攣を治療するための作用剤、脳卒中を治療するための作用剤、そう痒症状を治療するための作用剤、精神障害を治療するための作用剤、ALSを治療するための作用剤、認知障害を治療するための作用剤、片頭痛を治療するための作用剤、嘔吐を治療するための作用剤、運動障害を治療するための作用剤、または抑うつを治療するための作用剤、あるいはそれらの混合物が可能である。
【0217】
本発明の医薬組成物は、本開示に関連してそれ自身既知である様式、例えば、従来の混合、造粒、ドラジェ作製、溶解、押出、または凍結乾燥プロセスにより、製造される。すなわち、経口用途の医薬組成物は、活性化合物を、固形賦形剤と組み合わせ、得られる混合物を任意選択で粉砕し、適切な助剤を加えた後に、もし所望であればまたは必要であれば、顆粒混合物を加工処理して、錠剤またはドラジェ剤の核を得ることにより、得ることができる。
【0218】
適切な賦形剤として、充填材、例えば糖類(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトール)、セルロース製剤、リン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム)、ならびに結合剤、例えばデンプンペースト(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、またはジャガイモデンプンを使用したもの)、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/またはポリビニルピロリドンが挙げられる。所望であれば、1種または複数の崩壊剤、例えば上記のデンプン、同じくカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸、あるいはそれらの塩、例えばアルギン酸ナトリウムを加えることができる。
【0219】
助剤は、典型的には、流動調節剤及び潤滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム)、及びポリエチレングリコールなどである。ドラジェ剤の核は、胃液に耐性がある適切な被膜が施されている。この目的で、濃厚糖溶液を使用することができ、この溶液は、随意に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/または酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒または溶媒混合物を含んでいてもよい。胃液に耐性がある被膜を生成する目的で、適切なセルロース製剤、例えばフタル酸アセチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶液を使用することができる。色素または顔料を、例えば、見分けがつくように、または活性化合物用量の組み合わせを特徴付ける目的で、錠剤またはドラジェ剤の被膜に加えることができる。
【0220】
経口で使用可能な他の医薬製剤の例として、ゼラチン製のプッシュフィット型カプセル剤、またはゼラチン及び可塑剤製、例えばグリセロールまたはソルビトールなどの密閉型軟カプセル剤が挙げられる。プッシュフィット型カプセル剤は、化合物を、ラクトースなどの充填材、デンプンなどの結合剤、及び/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び随意に、安定剤と混合することができる顆粒の形状で、または押出成形した多粒子の形状で含有することができる。軟カプセル剤では、活性化合物は、好ましくは、脂肪油または流動パラフィンなど適切な液体に溶解または懸濁している。また、安定剤を加えることができる。
【0221】
直腸投与に可能な医薬製剤として、例えば、1種または複数の活性化合物と坐剤基材の組み合わせからなる坐剤が挙げられる。適切な坐剤基材として、特に、天然及び合成のトリグリセリド、ならびにパラフィン炭化水素が挙げられる。活性化合物と基材、例えば、液状トリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラフィン炭化水素などの組み合わせからなるゼラチン直腸カプセル剤を使用することも可能である。
【0222】
非経口投与に適切な配合物として、水溶性形の活性化合物の水溶液、例えば、水溶性塩、アルカリ性溶液、または酸性溶液が挙げられる。あるいは、活性化合物の懸濁液を油性懸濁液として調製することができる。懸濁液などに適切な親油性溶媒またはビヒクルとして、脂肪油(例えば、ゴマ油)、合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチル)、トリグリセリド、またはポリエチレングリコール−400(PEG−400)などのポリエチレングリコールを挙げることができる。水性懸濁液は、懸濁液の粘度を上げるための1種または複数の物質を含有してもよく、そのような物質として、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、及び/またはデキストランが挙げられる。懸濁液は、随意に、安定剤を含んでもよい。
【0223】
以下の実施例は、本発明の化合物、組成物、及び方法の例示であって、制限ではない。本開示に関連して、臨床治療で普通に遭遇する、及び当業者に明らかな、様々な条件及びパラメータの適切な修飾及び調節は、本発明の精神及び範囲の中に含まれる。
【実施例】
【0224】
実施例1
(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−クロロピリミジン−4−カルボキサミド(化合物5)の合成
【化24】
化合物1(34.828g、0.200mol、Sigma−Aldrich)、オキシ塩化リン(100mL、1.092mol)、及びDMF20滴を混合し、110℃で一晩加熱した。室温に冷却した後、暗色混合物をヘキサン(500mL)で希釈し、激しく撹拌した。ヘキサン層をデカンテーションし、手早く水(100mL)、ブライン(100mL)で洗い、MgSOで乾燥させた。有機層を濾過し、注意しながら減圧エバポレートして、化合物2を明黄色液状物として得た(26.13g)。収率62%
H NMR(400MHz, CDCl):δ 7.93 (s, 1H)。
【0225】
化合物2(26.13g、123.6mmol)をEtO(500mL)に溶解させた溶液に、0.5MのNHのジオキサン溶液(250mL、125mmol)とDIPEA(22mL、126mmol)の混合物を50分かけて滴下した。室温で一晩撹拌後、反応混合物を減圧濃縮して残渣を得て、これをラッシュクロマトグラフィー(SiO、10−50%EtOAc/ヘキサン)により精製した。得られた生成物を、10%EtOAc/ヘキサン10mLに加えて溶解分を分離し、濾過して化合物3を橙色結晶固体として得た(9.74g)。収率41%
H NMR(400MHz, DMSO−d):δ 8.40 (br s, 1H), 8.16 (br s, 1H), 8.10 (s, 1H);LC/MS: m/z=192.2[M+H] (計算値:191.4)。
【0226】
化合物3(4.80g、25.0mmol)をACN(100mL)に溶解させた溶液に、(S)−2−アミノプロパンカルボキサミド塩酸塩(化合物4)(3.18g、25.54mmol)及びDIPEA(9.60mL、55.11mmol)を加えた。混合物を50℃で一晩加熱し、次いで減圧濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、20−60%アセトン/ヘキサン)により精製して、化合物5を薄黄褐色粉末として得た(4.81g)。収率79%;LC/MS: m/z=244.5[M+H](計算値:243.7)。
【0227】
実施例2
(2R,3S)−3−(6−ブロモピリジン−2−イル)−2,3−ジヒドロキシプロパンアミド(化合物10)の合成
【化25】
NaH(鉱物油中に60%、0.77g、19.4mmol)をTHF(50mL)に加えた懸濁液に、0℃で、化合物7(3.2mL、16.1mmol)をゆっくりと加えた。気体が発生して大部分の固体が溶解した。反応物を0℃で15分間撹拌し、次いで化合物6(3.00g、16.1mmol)を複数回に小分けして加えた。反応混合物を0℃で15分間撹拌し、次いで室温に昇温させて、一晩撹拌した。反応物を、注意しながら水でクエンチし、EtOAc(2×)で抽出した。有機層を1つにまとめて、MgSOで乾燥させ、濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、0−20%EtOAc/ヘキサン)により精製して、化合物8を白色固体として得た(2.30g、収率56%)。
H NMR(400MHz, CDCl)δ:7.55−7.62(m, 2H), 7.46 (d, J=7.5 Hz, 1H), 7.37 (d, J=7.5 Hz, 1H), 6.97 (d, J=15.6 Hz, 1H), 4.29 (q, J=7.3 Hz, 2H), 1.35 (t, J=7.3 Hz, 3H);LC/MS: m/z=256.0/258.0[M+H](計算値:256.1)。
【0228】
化合物8(2.30g、8.98mmol)をt−BuOH(40mL)及び水(40mL)に溶解させた溶液に、0℃で、AD−mix−アルファ(12.6g;1.4g/mmolのビニル基質、Sigma−Aldrich)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで水で希釈して、EtOAc(3×)で抽出した。有機抽出物を1つにまとめて、ブラインで洗い、MgSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、50%EtOAc/ヘキサン)により精製して、化合物9を白色固体として得た(1.68g、収率65%)。
H NMR (400MHz, CDCl)δ:7.59−7.64 (m, 1H), 7.45 (d, J=7.7 Hz, 2H), 5.11 (dd, J=8.1, 2.4 Hz, 1H), 4.63 (dd, J=6.4, 2.4 Hz, 1H), 4.35 (q, J=7.2 Hz, 2H), 3.78 (d, J=8.1 Hz, 1H), 3.25 (d, J=6.4 Hz, 1H), 1.36 (t, J=7.2 Hz, 3H);LC/MS: m/z=290.0/292.0[M+H] (計算値:290.1)。
【0229】
化合物9(1.20g、4.14mmol)を入れたフラスコに、7MのNHのMeOH溶液(15ml、105mmol)を加えた。フラスコにゴムセプタムで蓋をして、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を濃縮して、純粋な化合物10を白色固体として得た(1.05g、収率97%)。
H NMR (400MHz, MeOH−d)δ:7.71 (t, J=7.7 Hz, 1H), 7.63 (d,J=7.7 Hz, 1H), 7.47 (d,J=7.7 Hz, 1H), 5.12 (d, J=1.8 Hz, 1H), 4.50 (d, J=1.8 Hz, 1H);LC/MS: m/z=261.0/263.0[M+H]+ (計算値:261.1)。
【0230】
実施例3
6−ブロモ−N−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピリジン−2−スルホンアミド(化合物13)の合成
【化26】
化合物12(0.079g、0.780mmol)及びTEA(0.24mL、1.715mmol)をDCM(5mL)に溶解させた溶液を、0℃に冷却し、そこに、化合物11(0.20g、0.780mmol)を加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、水でクエンチし、DCMで抽出した。有機抽出物を、MgSOで乾燥させ、濃縮して、化合物13を橙色油状物として得た。これは、精製することなく以降の工程に用いた(0.21g、収率84%):LC/MS: m/z=322.8[M+H](計算値:321.2)。
【0231】
実施例4
tert−ブチル 5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシラート(化合物16)の合成
【化27】
化合物14(2.00g、5.57mmol、ASW MedChem)、化合物15(1.51g、5.57mmol)、Pd(PPhCl(195mg、0.28mmol)、及びCSCO(3.63g、11.13mmol)を、2:2:1のDME/EtOH/水(100mL)に加えた混合物に、アルゴンを1分間吹き込んだ。混合物を85℃で16時間加熱し、室温に冷却して、DCM及び水を加えた。層を分離して、水層をDCMで抽出した。有機抽出物を1つにまとめて、水で洗い、MgSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、100%EtOAc/ヘキサン)により精製し、化合物16をオフホワイト色発泡物として得た(1.28g、収率61%):LC/MS: m/z=400.2[M+Na](計算値:377.4)。
【0232】
同様なやり方で、以下の化合物を調製した:
【化28】
【0233】
tert−ブチル 5−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシラート(化合物17):LC/MS: m/z=379.2[M+H](計算値:378.4)。
【0234】
tert−ブチル 5−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシラート(化合物18):LC/MS: m/z=378.2[M+H](計算値:377.4)。
【0235】
tert−ブチル 5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシラート(化合物19):LC/MS: m/z=378.2[M+H](計算値:377.4)。
【0236】
tert−ブチル 5−(シクロヘキサ−1−エン−1−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキシラート(化合物20):LC/MS: m/z=314.2[M+H](計算値:313.4)。
【0237】
実施例5
(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミドのTFA塩(化合物22)の調製
【化29】
化合物16(1.28g、3.39mmol)をDCM(20mL)に溶解させた溶液に、0℃で、TFA(2.0mL)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌し、0℃に冷却し、1MのNaOH水溶液(20mL)を加えた。層を分離して、水層をDCMで抽出した。有機抽出物を1つにまとめて水で洗い、MgSOで乾燥させ、濃縮して、化合物21を黄色油状物として得た。これは精製することなく次の工程に直接用いた。
化合物21:LC/MS: m/z=278.2[M+H](計算値:277.3)。
【0238】
化合物21(100mg、0.361mmol)、化合物5(88mg、0.361mmol)、及びCSCO(353mg、1.08mmol)をDMFに加えた混合物を、100℃で16時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を逆相分取HPLC(C18、0−100%の0.1%TFA含有ACN/0.1%TFA含有水)により精製して、化合物22のTFA塩を白色固体として得た(85mg)。収率39%:H NMR (400MHz, MeOH−d):δ 7.66 (d, J=8.1 Hz,2H), 7.43 (d, J=7.9 Hz, 2H), 7.23−7.26 (m, 2H), 7.10−7.16 (m, 1H), 6.51 (s, 1H), 4.88 (d, J=6.6 Hz, 2H), 4.40 (d, J=7.0 Hz, 1H), 3.73−3.84 (m, 2H), 2.74−2.84 (m, 2H), 1.42 (d, J=7.3 Hz, 3H);LC/MS: m/z=485.1[M+H] (計算値:484.5)。
【0239】
同様なやり方で、以下の化合物を調製した:
【化30】
【0240】
(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミドのビスTFA塩(化合物23):
H NMR (400MHz, MeOH−d):δ 8.87 (d, J=0.7 Hz, 1H), 8.15 (dd, J=8.1, 2.2 Hz, 1H), 7.66 (d, J=8.1 Hz, 1H), 7.27−7.37 (m, 3H), 6.53 (s, 1H), 4.83−4.98 (m, 2H), 4.44 (q, J=6.5 Hz, 1H), 3.79 (br.s.,2H), 2.88−3.05 (m, 2H), 1.37−1.49 (m, 3H);LC/MS: m/z=486.1[M+H] (計算値:485.5)。
【0241】
(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(2−(トリフルオロメチル)−フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミドのTFA塩(化合物24):
H NMR (400MHz, MeOH−d):δ 7.72 (d, J=7.9 Hz, 1H), 7.54−7.61 (m, 1H), 7.46−7.52 (m, 1H), 7.16−7.26 (m, 3H), 7.00 (d, J=7.3 Hz, 1H), 6.51 (s, 1H), 4.82−4.97 (m, 2H), 4.40 (d, J=6.6 Hz, 1H), 3.89 (d, J=5.5 Hz, 1H), 3.61 (ddd, J=12.2, 7.5, 4.5 Hz, 1H), 2.50−2.61 (m, 1H), 2.35−2.46 (m, 1H), 1.38−1.45 (m, 3H);LC/MS: m/z=485.1[M+H] (計算値:484.5)。
【0242】
6−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピコリンアミドのTFA塩(化合物25):
H NMR(400MHz, DMSO−d):δ 7.95−8.03 (m, 1H), 7.75 (d, J=8.1 Hz, 2H), 7.63 (t, J=7.9 Hz, 1H), 7.54 (d, J=7.9 Hz, 2H), 7.48 (br.s., 1H), 7.31−7.36 (m, 1H), 7.25−7.30 (m, 1H), 7.22 (d, J=7.0 Hz, 1H), 7.12 (d, J=7.3 Hz, 1H), 6.94 (d, J=8.6 Hz, 1H), 4.80 (s, 2H), 3.69 (t, J=5.7 Hz, 2H), 2.72 (t, J=5.6 Hz, 2H);LC/MS: m/z=398.1[M+H](計算値:397.4)。
【0243】
(2S,3R)−2,3−ジヒドロキシ−3−(6−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリジン−2−イル)プロパンアミドのTFA塩(化合物26):
H NMR (400MHz, MeOH−d):δ 7.90 (dd, J=9.1, 7.4 Hz, 1H), 7.68 (d, J=8.1 Hz, 2H), 7.47 (d, J=8.1 Hz, 2H), 7.27−7.33 (m, 2H), 7.15−7.24 (m, 2H), 6.98 (d, J=7.3 Hz, 1H), 5.07 (d, J=3.3 Hz, 1H), 4.81 (s, 2H), 4.29 (d, J=3.5 Hz, 1H), 3.68 (t, J=5.9 Hz, 2H), 2.94 (t, J=5.9 Hz, 2H);LC/MS: m/z=458.1[M+H](計算値:457.4)。
【0244】
(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミドのビスTFA塩(化合物27):
H NMR (400MHz, MeOH−d):δ 7.53−7.63 (m, 2H), 7.49−7.53 (m, 2H), 7.23−7.30 (m, 2H), 7.12−7.17 (m, 1H), 6.54 (s, 1H), 4.82−4.95 (m, 2H), 4.44 (q, J=6.8 Hz, 1H), 3.76 (br.s., 2H), 2.75−2.87 (m, 2H), 1.43 (d, J=7.0 Hz, 3H);LC/MS: m/z=485.1[M+H](計算値:484.5)。
【0245】
(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(シクロヘキサ−1−エン−1−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミドのTFA塩(化合物28):
H NMR (400MHz, DMSO−d):δ 7.97 (br.s., 1H), 7.58−7.74 (m, 1H), 7.53 (br.s., 1H), 7.38 (br.s., 1H), 7.02−7.12 (m, 2H), 6.88 (d, J=5.7 Hz, 2H), 6.41 (br.s., 1H), 5.45 (br.s., 1H), 4.69−4.92 (m, 2H), 4.30−4.39 (m, 1H), 3.84−3.94 (m, 1H), 3.70−3.80 (m, 1H), 2.66−2.75 (m, 2H), 2.07 (d, J=4.1 Hz, 4H), 1.53−1.70 (m, 4H), 1.25 (d, J=7.1 Hz, 3H);LC/MS: m/z=421.2[M+H] (計算値:420.5)。
【0246】
N−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−6−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリジン−2−スルホンアミドのTFA塩(化合物29):
H NMR (400MHz, DMSO−d):δ 8.45 (s, 1H), 7.75 (d, J=8.1 Hz, 2H), 7.69 (dd, J=8.5, 7.5 Hz, 1H), 7.52 (d, J=8.0 Hz, 2H), 7.23−7.30 (m, 1H), 7.12 (d, J=7.3 Hz, 1H), 6.99−7.09 (m, 3H), 6.32−6.67 (m, 1H), 4.59 (s, 2H), 3.54−3.59 (m, 2H), 2.66 (t, J=5.7 Hz, 2H);LC/MS: m/z=518.1[M+H] (計算値:517.6)。
【0247】
6−クロロ−4−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピコリノニトリル(化合物30):LC/MS: m/z=414.2[M+H](計算値:413.8)。
【0248】
実施例6
(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−シクロヘキシル−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミドのTFA塩(化合物31)の調製
【化31】
化合物28(0.40g、0.951mmol)を20%AcOH/MeOH(20mL)に溶解させた溶液に、10%Pd/C(0.10g)を加え、混合物を60psiで19時間水素化した。混合物をセライトで濾過し、濃縮した。残渣を、逆相分取HPLC(C18、0−100%の0.1%TFA含有ACN/0.1%TFA含有水)により精製して、化合物31のTFA塩を白色固体として得た(0.29g、収率57%)。
H NMR (400MHz, MeOH−d):δ 7.10 (d, J=4.5 Hz, 2H), 6.95−7.01 (m, 1H), 6.51 (s, 1H), 4.79−4.85 (m, 2H), 4.44 (q, J=7.0 Hz, 1H), 3.80−3.92 (m, 2H), 2.86−2.98 (m, 2H), 2.64−2.75 (m, 1H), 1.78 (d, J=5.8 Hz, 2H), 1.65−1.74 (m, 3H), 1.44 (d, J=7.2 Hz, 3H), 1.16−1.41 (m, 5H);LC/MS: m/z=423.2[M+H] (計算値:422.5)。
【0249】
実施例7
(S)−6−(1,2−ジヒドロキシエチル)−4−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピコリンアミドのTFA塩(化合物35)の調製
【化32】
PCT公報第WO2012/035421A2号パンフレットに記載されるのと同様なやり方で、化合物30から化合物35を調製した。化合物35:H NMR (400MHz, DMSO−d):δ 8.74 (br.s., 1H), 8.33 (br.s., 1H), 7.78 (d, J=8.1 Hz, 2H), 7.64−7.72 (m, 1H), 7.56 (d, J=7.9 Hz, 2H), 7.31−7.40 (m, 2H), 7.11−7.26 (m, 2H), 4.80−4.91 (m, 3H), 3.67−3.76 (m, 2H), 3.55−3.64 (m, 2H), 2.88 (t, J=5.7 Hz, 2H);LC/MS: m/z=458.1[M+H](計算値:457.4)。
【0250】
同様なやり方で、以下の化合物を調製した:
【化33】
(R)−6−(1,2−ジヒドロキシエチル)−4−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピコリンアミドのTFA塩(化合物36):
H NMR (400MHz, DMSO−d):δ 8.75 (br.s.,1H), 8.33 (br.s.,1H), 7.78 (d, J=8.1 Hz, 2H), 7.65−7.72 (m, 1H), 7.56 (d, J=7.9 Hz, 2H), 7.30−7.39 (m, 2H), 7.10−7.26 (m, 2H), 4.79−4.91 (m, 3H), 3.67−3.76 (m, 2H), 3.54−3.66 (m, 2H), 2.88 (t, J=5.7 Hz, 2H)。
LC/MS: m/z=458.1[M+H](計算値:457.4)。
【0251】
実施例8
本発明の代表的な化合物を、ナトリウムチャネル遮断活性について、FLIPR(登録商標)またはFLIPRTETRA(登録商標)アッセイ及び/またはEPアッセイで試験した。アッセイについては、上記で詳しく説明してある。
【0252】
アッセイで得られた代表的な値を表3に示す。
【表4】
【0253】
ここまで本開示を十分に説明してきたが、当業者には当然のことながら、本開示の範囲または本開示の任意の実施形態に影響することなく、条件、配合、及び他のパラメーターの広く等価な範囲内において同じことを行うことができる。
【0254】
本開示の他の実施形態は、本明細書中開示される本発明の説明及び実施を検討することで当業者に明らかとなるだろう。説明及び実施例は、例示にすぎず、本発明の真の範囲及び精神は以下の請求項により示されるものとする。
【0255】
本明細書中記載される特許及び文献は全て、その全体が参照により完全に援用される。
本発明は、以下の態様をも包含するものである。
<1>
以下の式I:
【化1】
式中
a及びbは、それぞれ独立して、0、1、または2であるが、ただしa及びbのうち少なくとも一方は、0以外の値であり;
nは、それぞれ独立して、0、1、または2であり;
mは、それぞれ独立して、0、1、または2であり;
kは、それぞれ独立して、1、2、または3であり;
、W、及びWは、それぞれ独立して、CRまたはNであるが、ただしW、W、及びWのうち少なくとも1つはNであり;
及びRのうち一方は、H、シアノ、−C(O)N(R)(R)、−S(O)N(R)(R)、−C(O)OR、−OC(O)R、−OR、−[CH(R)]、または−N(R)(R)であり、他方は、H、−C(O)N(R)(R)、−S(O)N(R)(R)、−C(O)OR、−OC(O)R、−OR、−[CH(R)]、−N(R)(R)、−S(O)−R、ウレイド、ハロゲン、シアノ、及びニトロからなる群より選択され;ただしR及びRは、両方ともHであることはできず;
は、H、アルキル、ハロアルキル、−S(O)−R、アルコキシ、ハロアルコキシ、カルボキサミド、シアノ、(カルボキサミド)アルキル、(ヒドロキシ)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、ニトロ、随意に置換されたシクロアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アミノ、スルホンアミド、[(ヘテロシクリル)アミノ]アルキル、(アルコキシ)アルキル、随意に置換されたアリール、または随意に置換されたヘテロアリールであるが、ただしaが2でありかつbが0の場合、Rは、H以外の基であり;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロアルキル、−S(O)−R、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、カルボキサミド、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、(ヒドロキシ)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、ニトロ、またはスルホンアミドであり;
は、それぞれ独立して、H、アルキル、ヒドロキシル、(ヒドロキシル)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、ハロアルキル、アルコキシ、カルボキサミド、またはスルホンアミドであり;
は、存在しないか、−S(O)−、−C(O)−、または−(CHR−であり;
は、存在しないか、−S(O)−、または−C(O)−であり;
Aは、以下からなる群より選択され
a)随意に置換されたアルキル;
b)随意に置換されたアルコキシ;
c)随意に置換されたアリール;
d)随意に置換されたヘテロアリール;
e)随意に置換されたシクロアルキル;
f)随意に置換されたヘテロシクリル;及び
g)−N(R10)(R11);
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたシクロアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、または−C(O)N(R12)(R13)であり;
は、それぞれ独立して、Hまたは随意に置換されたアルキルであり;
10及びR11は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換された(アルキル)カルボニル、随意に置換された(シクロアルキル)カルボニル、随意に置換された(ヘテロシクリル)カルボニル、随意に置換されたヘテロシクリル、または随意に置換されたシクロアルキルであるが、ただしR10及びR11は、両方ともHであることはできず;
あるいは、R10及びR11は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;
12及びR13のうち一方はHであり、他方は、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、または随意に置換されたシクロアルキルであるか;あるいは、R12及びR13は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;
は、存在する場合にそれぞれ、独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたアリール、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたヘテロアリールであり;
は、存在する場合にそれぞれ、独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたアリール、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたヘテロアリールであり;
あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;
は、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル、またはアルコキシであり;
及びRは、それぞれ独立して、H、カルボキサミド、随意に置換された(アルキル)カルボニル、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換された(ヘテロシクリル)カルボニル、随意に置換されたアリール、随意に置換されたシクロアルキル、随意に置換された(アルキル)スルホニル、または随意に置換されたヘテロアリールであるか;あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;かつ
は、それぞれ独立して、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたヘテロシクリルであるが;
ただし
が存在せず、かつAが随意に置換されたアルキルである場合、該随意に置換されたアルキルは、置換されていないか、または1つ〜3つの置換基で置換されており、1つ〜3つの置換基は独立して、アミノ、(アルキル)カルボニル、(アリール)カルボニル、(アルコキシ)カルボニル、カルボキシ、アリール、ヘテロアリール、ウレイド、グアニジノ、ハロゲン、スルホンアミド、ヒドロキシル、(アルキル)スルファニル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、(アルキル)スルホニル、及びカルボキサミドからなる群より選択される、
化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、もしくはジアステレオマー。
<2>
aは1であり、かつbは1である、前記1に記載の化合物。
<3>
は存在しない、前記1または2に記載の化合物。
<4>
は存在しない、前記1〜3のいずれかに記載の化合物。
<5>
はCRである、前記1〜4のいずれかに記載の化合物。
<6>
はNである、前記1〜4のいずれかに記載の化合物。
<7>
以下の式II:
【化2】
式中
nは、0、1、または2であり;
、W、及びWは、それぞれ独立して、CHまたはNであるが、ただしW、W、及びWのうち少なくとも1つはNであり;
Aは、フェニル、五員〜六員ヘテロアリール、及び飽和または不飽和のシクロ(C5−6)アルキルからなる群より選択され、前期フェニル、前記五員〜六員のヘテロアリール、及び前記飽和または不飽和のシクロ(C5−6)アルキルのそれぞれは、以下からなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換され
i)ハロゲン、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、ヒドロキシル、カルボキサミド、(アルコキシ)カルボニル、[(アルコキシ)カルボニル]アミノ、カルボキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、随意に置換されたシクロアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、及びスルホンアミドからなる群より独立して選択される1つまたは3つの置換基により随意に置換されたアルキル、群中、前記シクロアルキル及び前記ヘテロシクリルは、それぞれ独立して、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、(アルキル)アミノ、カルボキサミド、アルキル、ハロアルキル、カルボキシ、(カルボキシ)アルキル、(カルボキサミド)アルキル、(アルキル)カルボニル、(アルコキシ)カルボニル、及びアルコキシからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換され;
ii)アルキル、(カルボキサミド)アルキル、(アミノ)アルキル、(アルキル)カルボニル、(アルキル)スルホニル、(アルコキシ)カルボニル、(シクロアルキル)カルボニル、シクロアルキル、及びヘテロシクリルからなる群より独立して選択される1つ〜2つの置換基により随意に置換されたアミノ;
iii)1つ〜3つの同一または異なるハロゲンにより随意に置換されたアルコキシ;
iv)カルボキサミド;
v)ヒドロキシル;
vi)ハロゲン;及び
vii)スルホンアミド;
及びRの一方はH、−C(O)N(R)(R)、または−[CH(OH)]であり、他方は、H、−C(O)N(R)(R)、−N(R)(R)、−[CH(OH)]、−S(O)N(R)(R)、−OR、または−CH−Rであるが、ただしR及びRは、両方ともHであることはできず;
は、H、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、カルボキサミド、(ヒドロキシ)アルキル、(ジヒドロキシ)アルキル、またはスルホンアミドであり;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、カルボキサミド、ヒドロキシル、ハロゲン、(ヒドロキシル)アルキル、(ジヒドロキシル)アルキル、またはスルホンアミドであり;
は、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
は、H、アルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、または−C(O)N(R12)(R13)であり;
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
は、それぞれ独立して、H、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、または随意に置換されたヘテロシクリルであり;
あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;
及びRは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択され
1)H;
2)アミノ、(アルキル)アミノ、(アルキル)カルボニル、(アルコキシ)カルボニル、カルボキシ、随意に置換されたアリール、随意に置換されたヘテロアリール、ウレイド、グアニジノ、ハロゲン、ヒドロキシル、(アルキル)スルファニル、スルファニル、及びカルボキサミドからなる群より独立して選択される1つまたは3つの置換基により随意に置換されたアルキル;
3)ハロゲン、アルキル、アミノ、(アルキル)アミノ、(アルキル)カルボニル、カルボキシ、(アルコキシ)カルボニル、及びカルボキサミドからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換されたヘテロシクリル;
4)アミノ、ヒドロキシル、及びアルコキシからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換された(アルキル)カルボニル;及び
5)ハロゲン、随意に置換されたヘテロシクリル、及びアルコキシからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により随意に置換された(アルキル)スルホニル;
あるいは、R及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、五員〜六員の随意に置換されたヘテロシクリルを形成し;かつ
12及びR13の一方はHであり、他方はHまたはアルキルである、
化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである、前記1から4のいずれかに記載の化合物。
<8>
、R、及びRは、全てHである、前記1から7のいずれかに記載の化合物。
<9>
及びRのうち少なくとも一方は、H、−C(O)N(R)(R)、または−[CH(OH)]である、前記1から8のいずれかに記載の化合物。
<10>
は、Hまたは−C(O)N(R)(R)である、前記1から9のいずれかに記載の化合物。
<11>
は、−C(O)N(R)(R)であり、かつR及びRのうち一方はHであり、他方はHまたは(C1−3)アルキルである、前記1から10のいずれかに記載の化合物。
<12>
は−C(O)NHである、前記11に記載の化合物。
<13>
はHである、前記1から10のいずれかに記載の化合物。
<14>
は、H、−N(R)(R)、−[CH(OH)]、−OR、または−CH−Rであるが、ただしR及びRは、両方ともHであることは不可である、前記1から13のいずれかに記載の化合物。
<15>
は−N(R)(R)であり、かつR及びRの一方はHであり、他方は、以下:
【化3】
式中
yは、0、1、2、3、または4であり;
xは、1、2、または3であり;
14は、Hまたは随意に置換された(C1−6)アルキルであり、前記随意に置換された(C1−6)アルキルは、−S(C1−3アルキル)、ヒドロキシル、−SH、−C(O)NH、−C(O)OH、−NHC(=NH)NH、アミノ、ヘテロアリール、またはアリールにより随意に置換され、アリールは、ヒドロキシルまたは(C1−3)アルコキシによりさらに随意に置換され;
2a及びR2bは、それぞれ独立して、Hまたは(C1−6)アルキルであり;
あるいは、R2a及びR2bは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、三員〜八員のヘテロシクリルを形成し、三員〜八員のヘテロシクリルは、アルキル、ハロアルキル、(アルコキシ)カルボニル、アミノ、アルコキシ、及びカルボキサミドからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基で随意に置換される、
からなる群より選択される、前記1から14のいずれかに記載の化合物。
<16>
は−N(R)(R)であり、かつR及びRの一方はHであり、他方は1つまたは2つのヒドロキシル基で随意に置換された(C1−6アルキル)カルボニルである、前記1から14のいずれかに記載の化合物。
<17>
は−N(R)(R)であり、かつR及びRの一方はHであり、他方は以下:
【化4】
からなる群より選択される、前記16に記載の化合物。
<18>
は−N(R)(R)であり、かつR及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、随意に置換された五員〜六員のヘテロシクリルを形成する、前記1から14のいずれかに記載の化合物。
<19>
及びRは、それらが両方とも結合した窒素原子と一緒になって、以下:
【化5】
式中、五員〜六員のヘテロシクリルは、ヒドロキシル、カルボキサミド、(C1−3)アルコキシ、(C1−3)アルキル、(C1−3アルキル)カルボニル、及びハロ(C1−3)アルキルからなる群より選択される1つまたは2つの同一または異なる置換基で随意に置換されていること、
からなる群より選択される前記五員〜六員のヘテロシクリルを形成する、前記18に記載の化合物。
<20>
は−ORであり、かつRは以下:
【化6】
式中、uは、1、2、または3であること、
からなる群より選択される随意に置換されたヘテロシクリルである、前記1から14のいずれかに記載の化合物。
<21>
は−[CH(OH)]である、前記1から14のいずれかに記載の化合物。
<22>
は、H、(C1−3)アルキル、または−C(O)NHである、前記21に記載の化合物。
<23>
は以下:
【化7】
からなる群より選択される、前記21または22に記載の化合物。
<24>
は−S(O)N(R)(R)である、前記1から13のいずれかに記載の化合物。
<25>
及びRの一方はHであり、かつ他方は五員ヘテロアリールである、前記24に記載の化合物。
<26>
以下の式III:
【化8】
の化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである、前記1から5及び7から25のいずれかに記載の化合物。
<27>
以下の式IV:
【化9】
の化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである、前記1から5及び7から25のいずれかに記載の化合物。
<28>
以下の式V:
【化10】
の化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである、前記1から5及び7から25のいずれかに記載の化合物。
<29>
以下の式VI:
【化11】
の化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである、前記1から4及び6から25のいずれかに記載の化合物。
<30>
Aは、随意に置換されたフェニルである、前記1から29のいずれかに記載の化合物
<31>
以下の式VII:
【化12】
式中
、W、及びWは、それぞれ独立して、CHまたはNであるが、ただしW、W、及びWのうち少なくとも1つはNであり;かつ
1aは、H、(C1−3)アルキル、ハロ(C1−3)アルキル、ハロ(C1−3)アルコキシ、(C1−3)アルコキシ、ハロゲン、アミノ、−C(O)NH、[(C1−3)アルキル]アミノ、及びヒドロキシルからなる群より選択される、
化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである、前記1から25及び30のいずれかに記載の化合物。
<32>
Aは、随意に置換された六員ヘテロアリールである、前記1から25のいずれかに記載の化合物。
<33>
Aは、随意に置換されたピリジル、随意に置換されたピリミジル、または随意に置換されたトリアジニルである、前記32に記載の化合物。
<34>
以下の式VIII:
【化13】
式中
、W、及びWは、それぞれ独立して、CHまたはNであるが、ただしW、W、及びWのうち少なくとも1つはNであり;かつ
1bは、H、(C1−3)アルキル、ハロ(C1−3)アルキル、ハロ(C1−3)アルコキシ、(C1−3)アルコキシ、ハロゲン、アミノ、−C(O)NH、[(C1−3)アルキル]アミノ、及びヒドロキシルからなる群より選択される、
化合物、あるいはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、またはジアステレオマーである、前記1から25及び32から33のいずれかに記載の化合物。
<35>
Aは、随意に置換されたシクロヘキシルまたは随意に置換されたシクロヘキセニルである、前記1から25のいずれかに記載の化合物。
<36>
前記化合物は、
i)(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物22);
ii)(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物23);
iii)(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物24);
iv)6−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピコリンアミド(化合物25);
v)(2S,3R)−2,3−ジヒドロキシ−3−(6−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリジン−2−イル)プロパンアミド(化合物26);
vi)(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物27);
vii)(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−(シクロヘキサ−1−エン−1−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物28);
viii)N−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−6−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリジン−2−スルホンアミド(化合物29);
ix)(S)−6−((1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−2−(5−シクロヘキシル−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物31);
x)(S)−6−(1,2−ジヒドロキシエチル)−4−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピコリンアミド(化合物35);及び
xi)(R)−6−(1,2−ジヒドロキシエチル)−4−(5−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ピコリンアミド(化合物36);
からなる群より選択され、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物、水和物、N−オキシド、もしくはジアステレオマーである、前記1に記載の化合物。
<37>
前記1から36のいずれかに記載の化合物、及び薬学上許容されるキャリアまたは希釈剤を含む、医薬組成物。
<38>
1種または複数のナトリウムチャネルの遮断に反応する障害を患っている哺乳類における、該障害の治療方法であって、該治療を必要としている哺乳類に、前記1から36のいずれかに記載の化合物を有効量で投与することを含む、方法。
<39>
前記障害は、TTX抵抗性ナトリウムチャネルの遮断に反応する、前記38に記載の方法。
<40>
前記障害は、TTX感受性ナトリウムチャネルの遮断に反応する、前記38に記載の方法。
<41>
前記障害は、Na1.7ナトリウムチャネルの遮断に反応する、前記38に記載の方法。
<42>
障害を治療するまたは局所麻酔をする必要があると認められる哺乳類における、障害の治療または局所麻酔方法であって、前記哺乳類に、前記1から36のいずれかに記載の化合物を有効量で投与することを含み、前記障害は、脳卒中、頭部外傷による神経損傷、癲癇、痙攣、全虚血及び局所虚血後の神経減少、疼痛、片頭痛、原発性肢端紅痛症、発作性激痛症、小脳萎縮症、運動失調症、精神発達遅滞、神経変性疾患、躁鬱病、耳鳴り、筋強直症、運動障害、及び心不整脈からなる群より選択される、方法。
<43>
前記方法は、疼痛を治療するためである、前記42に記載の方法。
<44>
前記方法は、疼痛を先行治療するまたは緩和治療するためである、前記42に記載の方法。
<45>
前記疼痛は、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、急性疼痛、及び手術疼痛からなる群より選択される、前記43または44に記載の方法。
<46>
哺乳類におけるナトリウムチャネルの調節方法であって、前記哺乳類に前記1から36のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物を投与することを含む、方法。
<47>
Na1.7ナトリウムチャネルが調節される、前記46に記載の方法。
<48>
ナトリウムイオンチャネルの遮断に反応する障害を治療するための、前記1から36のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
<49>
ナトリウムイオンチャネルの遮断に反応する障害の治療に使用するための、前記1から36のいずれかに記載の化合物。
<50>
前記1から36のいずれかに記載の化合物をH、11C、または14C放射標識したものである、放射標識した化合物。
<51>
前記50に記載の放射標識した化合物を用いて、タンパク質の結合部位に結合する能力についての、候補化合物のスクリーニング方法であって、a)固定濃度の前記放射標識した化合物を、溶解性または膜結合性タンパク質またはその断片に導入して混合物を形成すること;b)候補化合物との前記混合物の濃度検定を行うこと;及びc)該結合部位に対する該候補化合物の該結合を求めること、を含む、方法。
<52>
医薬組成物の製造方法であって、前記1から36のいずれか1項に記載の化合物を治療上有効量で、薬学上許容される希釈剤またはキャリアと混合することを含む、方法。
<53>
脳卒中、頭部外傷による神経損傷、癲癇、痙攣、全虚血及び局所虚血後の神経減少、疼痛、片頭痛、原発性肢端紅痛症、発作性激痛症、小脳萎縮症、運動失調症、精神発達遅滞、神経変性疾患、躁鬱病、耳鳴り、筋強直症、運動障害、または心不整脈の治療に、あるいは局所麻酔するために使用するための、前記1から36のいずれかに記載の化合物。
<54>
疼痛の治療に使用するための、前記53に記載の化合物。
<55>
疼痛の先行治療または緩和療法に使用するための、前記53または54に記載の化合物。
<56>
前記疼痛は、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、急性疼痛、及び手術疼痛からなる群より選択される、前記54または55に記載の化合物。
<57>
脳卒中、頭部外傷による神経損傷、癲癇、痙攣、全虚血及び局所虚血後の神経減少、疼痛、片頭痛、原発性肢端紅痛症、発作性激痛症、小脳萎縮症、運動失調症、精神発達遅滞、神経変性疾患、躁鬱病、耳鳴り、筋強直症、運動障害、または心不整脈の治療用、あるいは局所麻酔用の医薬の製造における、前記1から36のいずれかに記載の化合物の使用。
<58>
疼痛の治療における、前記57に記載の使用。
<59>
疼痛の先行治療または緩和療法における、前記57または58に記載の使用。
<60>
前記疼痛は、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、急性疼痛、及び手術疼痛からなる群より選択される、前記58または59に記載の使用。