特許第6556162号(P6556162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556162電気自動車の動力計試験に用いる方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556162
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】電気自動車の動力計試験に用いる方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   G01M17/007 A
【請求項の数】28
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-560689(P2016-560689)
(86)(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公表番号】特表2017-513005(P2017-513005A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】SE2015050383
(87)【国際公開番号】WO2015152804
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2018年3月13日
(31)【優先権主張番号】1450383-3
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】516293602
【氏名又は名称】ロトテスト インターナショナル アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】エングストレーム、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】エングストレーム、ニルス ジー
(72)【発明者】
【氏名】フェルンルンド、ジョニー
【審査官】 萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特表昭61−501655(JP,A)
【文献】 特開2007−285903(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/010409(WO,A1)
【文献】 米国特許第04301678(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/007
G01M 13/02 − 13/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の出力軸に関する測定により少なくとも1つの車両パワートレイン部品の動力計試験に用いる方法であって、この第1の出力軸は動力計システムの動力計試験装置の動力計動力源(201)に接続されており、動力計システムは反作用負荷を測定するように構成されており、動力計試験装置は、固定子と、回転するように固定子内に取り付けられた回転子と、固定子を支持し、駆動される車両軸によって動力計試験装置に加えられたトルクを支える固定子保持具と、固定子保持具に加わる反作用トルクを感知する装置とを備え、少なくとも1つの車両パワートレイン部品の試験は、
第1の動力計動力源の第1の反作用負荷の第1の測定値を決定することと、
第1の反作用負荷の第1の測定値に慣性モーメントが及ぼす影響が、第1の動力計試験装置の慣性モーメントの影響であり、その第1の反作用負荷の第1の測定値に慣性モーメントが及ぼす影響を決定することと、
第1の反作用負荷の第1の測定値を慣性モーメントの決定された影響で補正することとを含む方法。
【請求項2】
第1の出力軸は車両(100)の第1の車軸であり、車両(100)は、第1の車軸と、第1の車軸に負荷を与える少なくとも1つの第1の車両動力源を少なくとも備え、第1の車軸は車両動力計システムの動力計動力源(201)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の反作用負荷の第1の測定値はトルクで表されていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1の動力計試験装置は、第1の出力軸に負荷を与える第1の動力計動力源を備え、動力計試験装置の慣性モーメントの少なくとも一部は、第1の動力計動力源の慣性モーメントであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第1の反作用負荷の第1の測定値を、第1の出力軸の加速および/または減速中に補正することをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第1の動力計試験装置の慣性モーメントの影響を、第1の出力軸の加速度の表現を用いて決定することをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
エンジンの1サイクル中に生じる第1の反作用負荷の変動を表す複数の測定値を決定することと、
第1の反作用負荷の変動を表す測定値を、第1の動力計試験装置の慣性モーメントの影響で補正することとをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
変動は車両動力源の安定状態稼働中に生じる変動であることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
第1の反作用負荷の測定値を、第1の車軸に第1の車両動力源により負荷が加えられるときに決定することをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
第1の反作用負荷の測定値が決定されるときに第1の出力軸の回転速度および/または加速度の表現を決定し、回転速度および/または加速度から決定された慣性モーメントを基に第1の反作用負荷の測定値を補正することをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
第1の反作用負荷の補正された側定値を、第1の反作用負荷の第1の測定値と、第1の動力計装置の慣性モーメントが第1の測定値に及ぼす影響を表す第2の測定値の総計として決定することをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
慣性モーメントの影響を、第1の動力計装置の慣性モーメントと第1の出力軸の加速度の表現の積として決定することをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
動力計試験装置が制動力を作用させるときに、
第1の反作用負荷を
【数1】
で評価することをさらに含み、ここで、Tcompは補正された負荷であり、Tmeansは第1の反作用負荷の測定値であり、
は第1の出力軸の加速度の表現であり、Jは第1の動力計試験装置の慣性モーメントであることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
動力計試験装置が推進力を作用させるときに、
第1の反作用負荷を
【数2】
で評価することをさらに含み、ここで、Tcompは補正された負荷であり、Tmeansは第1の反作用負荷の測定値であり、
は第1の出力軸の加速度の表現であり、Jは第1の動力計試験装置の慣性モーメントであることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
第1の出力軸の動力を、補正された第1の反作用負荷および第1の出力軸の回転速度の表現を用いて決定することをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
第1の動力計試験装置は少なくとも2つの動力源を備え、第1の動力計試験装置の慣性モーメントの影響は、少なくとも2つの動力源の1つ以上の慣性モーメントの影響であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
第1の出力軸の回転速度の表現を、第1の動力計試験装置の軸の回転速度を決定することによって決定することをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
第1の出力軸は第1の動力計試験装置の第1の回転要素に接続されており、動力計動力源(201)の回転要素は、遊びを含む継ぎ手の手段によって第1の回転要素に接続されており、
第1の回転要素および動力計動力源(201)の回転要素の慣性モーメントが、第1の反作用負荷の第1の測定値に及ぼす影響を個々に決定することと、
第1の反作用負荷の第1の測定値を慣性モーメントの決定された影響によって補正することとをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
第1の回転要素および動力計動力源の回転要素の慣性モーメントの影響を個々に決定するときに、第1の回転要素の回転速度および動力計動力源の回転速度を個々に決定することをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
プログラムコードを備え、プログラムコードは、コンピューターで実行されるときにコンピューターに請求項1乃至19のいずれか1項に記載の方法を実行させる、コンピュータープログラム。
【請求項21】
コンピューター読み取り可能媒体および請求項20に記載のコンピュータープログラムを備え、コンピュータープログラムはコンピューター読み取り可能媒体に含まれている、コンピュータープログラム製品。
【請求項22】
第1の出力軸に関する測定により少なくとも1つの車両パワートレイン部品を試験する動力計システムであって、動力計システムは少なくとも1つの動力計試験装置を備え、動力計試験装置は少なくとも第1の制御可能な動力計動力源(201)を有し、第1の制御可能な動力計動力源(201)は、使用時に試験中の車両パワートレイン部品の第1の出力軸に負荷を与えるように構成されており、動力計システムは反作用負荷を測定するように構成されており、動力計試験装置は、固定子と、回転するように固定子内に取り付けられた回転子と、固定子を支持し、駆動される車両軸によって動力計試験装置に加えられたトルクを支える固定子保持具と、固定子保持具に加わる反作用トルクを感知する装置とを備え、
使用時に第1の動力計動力源の第1の反作用負荷の第1の測定値を決定する手段と、
第1の反作用負荷の第1の測定値に慣性モーメントが及ぼす影響が、第1の動力計試験装置の慣性モーメントの影響であり、その第1の反作用負荷の第1の測定値に慣性モーメントが及ぼす影響を決定する手段と、
第1の反作用負荷の第1の測定値を、慣性モーメントの決定された影響で補正する手段とをさらに備える動力計システム。
【請求項23】
動力計システムは車両を試験する車両動力計システムであり、少なくとも第1の制御可能な動力計動力源(201)は、使用時に試験中の車両の第1の車軸に負荷を与えるように構成されていることを特徴とする請求項22に記載の動力計システム。
【請求項24】
第1の動力計試験装置は車軸に剛体接続される手段を備えることを特徴とする請求項23に記載の車両動力計システム。
【請求項25】
第1の動力計試験装置は、車軸の車輪ハブに直接継ぎ手の手段で接続されることによって、車両に接続されるように構成されていることを特徴とする請求項23または24に記載の車両動力計システム。
【請求項26】
第1の動力計試験装置は第1の回転要素を備え、第1の回転要素は、動力計試験装置を直接継ぎ手の手段で車軸の車輪ハブに接続することによって車両に接続され、動力計動力源(201)の回転要素は、遊びを含む継ぎ手の手段によって第1の回転要素に接続されており、車両動力計システムは、第1の回転要素および動力計動力源の回転要素の慣性モーメントが、第1の反作用負荷の第1の測定値に及ぼす影響を個々に決定する手段をさらに備え、
第1の反作用負荷の第1の測定値を慣性モーメントの決定された影響で補正する
ことを特徴とする請求項25に記載の車両動力計システム。
【請求項27】
動力計動力源は発電機であり、発電機の回転要素は発電機の回転子を含むことを特徴とする請求項26に記載の車両動力計システム。
【請求項28】
動力計試験装置は、面上に自立し、かつ車両に剛体継ぎ手の手段で接続され、その間、車両の重量を剛体継ぎ手の手段で支えるように構成されていることを特徴とする請求項22乃至27のいずれか1項に記載の車両動力計システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の動力計試験に関し、具体的には、1つの車軸と、この第1の車軸に動力を与える動力源とを少なくとも有する車両の動力計試験を行う場合に用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の動力計試験は既知の試験であり、例えばローラー式(回転負荷式)の動力計で行うことができる。この動力計は、車両の車輪を支える大きなローラーを複数備え、このローラーを用いて車両の駆動輪に制動トルクを与える。しかし、そのようなシステムで常に所望の測定精度が得られる訳ではなく、および/あるいは測定に自由度がある訳でもない。
【0003】
車両の動力計試験用の他の種類の車両動力計システムが米国特許第4669318号(オングストローム)に開示されている。この特許は車両の動力計試験装置に関し、水圧ポンプ組立体の形態の負荷吸収手段が、被検車両の駆動軸と係合する入力軸を有する。駆動軸のそれぞれに、この種の装置が個別に剛体接続され、車両の総有効トルクを正確に測定することができる。
【0004】
米国特許第4669318号に記載された種類の二輪駆動および四輪駆動の両方のシステムのための動力計試験システムを用いて、より複雑な試験を実施することもできる。そのようなより複雑な試験は、例えば国際公開第2007/133154号公報(エングストローム)に開示されている。
【0005】
車両の変速装置はますます複雑化しており、車両の車軸に動力を与える種々の動力源を備える場合がある。また、これらの動力源は、推進力を供給するようにも、例えば回生制動に用いられる場合には制動力を供給するようにも構成することができる。車両の変速装置がこのように複雑化したことにより、動力計試験システムにも相応の課題が生じている。また例えば、さらに車両エンジンに関する情報を得ることができる試験の要求もある。これらは車両のパワートレイン部品の動力計試験にも当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、車両の動力計試験に用いる高精度の測定値が得られる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、第1の出力軸に関する測定により車両の少なくとも1つのパワートレイン部品の動力計試験を行う際に用いられる方法が提供され、第1の出力軸は車両動力計システムの動力計動力源に接続されており、動力計システムは反作用負荷を測定するように構成されており、少なくとも1つの車両パワートレイン部品の試験は、
第1の動力計動力源の第1の反作用負荷の第1の測定値を決定することと、
第1の反作用負荷の第1の測定値への慣性モーメントの影響を決定することと、
第1の反作用負荷の第1の測定値を慣性モーメントの影響で補正することと
を含む。
【0008】
一実施態様によれば、第1の出力軸は車両の第1の車軸、例えばハーフシャフト(half shaft)であり、この車両は、第1の車軸と、第1の車軸に負荷を加える少なくとも1つの第1の車両動力源を少なくとも備え、第1の車軸は車両動力計システムの動力計動力源に接続されている。
【0009】
一実施態様によれば、動力計は、固定子と、回転するように固定子内に取り付けられた回転子と、固定子を支持し、駆動される車両軸によって動力計に加えられたトルクを支える固定子保持具と、固定子保持具に加わる反作用トルクを感知する装置とを備える。回転子は、例えば発電機の回転子とすることができ、あるいは水圧ポンプの出力軸とすることもできる。固定子は発電機の固定子/固定子ハウジング、または水圧ポンプのポンプハウジングである。
【0010】
上述の種類の車両動力計システム、すなわち動力計動力源を備える動力計試験装置が車両の車軸に接続されるシステムを使用することにより、車両の試験中に正確な測定結果を得ることができる。例えば、急加速中の車両を試験することができ、車両のエンジン速度の全範囲で車輪トルクを正確に測定することができる。
【0011】
一般に、試験される軸を直接測定する測定手段でトルク/負荷を測定するように、トルク/負荷を構成することができる。しかし、そのような測定には、例えば部品が回転しているというようないくつかの難しさがある。代わりに本発明のように、回転軸に加えられたトルク負荷は、反作用負荷を測定することによって測定することができる。反作用負荷/トルクの測定は、全ての作用に等価かつ反対方向の反作用があるという事実を利用する。動力計測定に関していえば、これは、動力計試験装置が回転しないようにするのに必要な負荷トルクの大きさを測定することで負荷/トルクを測定できることを意味する。この負荷は、通常は反作用負荷と呼ばれ定義され、本明細書でもそのように定義する。
【0012】
したがって本発明は、反作用負荷が測定される動力計試験システムに関し、測定方法を提供する。本方法によって、反作用負荷を測定しているとき、具体的には動力計が接続されている軸の加速および減速中に、より正確な測定が可能になる。本発明は、例えば動力計が車両の車軸に接続される車両動力計に用いることができる。また本発明は、1つ以上の車両パワートレイン部品の試験を行う動力計にも関する。
【0013】
一般に、動力計試験装置に作用する負荷、例えば動力計試験装置によって生じるトルクは、車両および/またはパワートレイン部品を試験しているときに正確に測定することができ、この測定結果から満足できる結果が得られる。しかし、本発明の発明者等には、測定精度をさらに改善できることと、この改善は、測定した反作用負荷を、動力計試験装置の慣性モーメントが測定結果に及ぼし、かつ同時に生じる影響で補正することで実現できることがわかった。回転軸およびそれに接続された回転部品の加速/減速に起因する慣性モーメントは、反作用負荷の測定には反映されない。
【0014】
したがって本発明は、特に車軸の回転速度が加速または減速される場合に適用可能である。そのような状況では、例えば動力計試験装置の回転部品の重量による動力計試験装置の慣性モーメントは測定結果に影響を及ぼす。言い換えれば、負荷の一部は、動力計試験装置の回転部品の加速または減速に消費されてしまい、よって、この負荷の動力計試験装置の慣性モーメントによって消費される部分は、反作用負荷の測定結果に反映されないことになる。したがって本発明によれば、測定された反作用負荷は、慣性モーメントのそのような影響で補正され、この補正は、好ましくは反作用負荷の測定と同時に行われる。
【0015】
その結果、本発明は車両の加速および/または減速の試験中に使用することができ、その精度は、複数の試験によってNcm(ニュートンセンチメートル)の程度であることが証明されており、非常に高い測定精度が可能になっている。
【0016】
さらに、本発明は他の種類の測定にも使用可能であり、おそらく特に適している。例えば当業者には明らかだが、従来の内燃エンジンは、シリンダー圧をピストン、連結棒、それにクランクシャフトを介して回転運動に変換する。この内燃エネルギーはクランクシャフトの1サイクル(すなわちランク軸の360度回転)の一部の間だけ出力される。その結果はシリンダー内の圧力上昇であり、それがクランクシャフトのトルクの増大になる。それに対応して、例えば4サイクルエンジンの圧縮行程がクランクシャフトに制動トルクを与える。したがってこのトルクは、クランク軸の360度回転の間に変化し、回転動作が不規則になる。この不規則性を低減するために、通常、エンジンはフライホイール(弾み車)を有する。
【0017】
慣性モーメントが大きいフライホイールは不規則性を大きく低減する。同時に、重いフライホイールは、例えば重量や過度性能に関連する欠点を持っている。このため不規則性は、多少均等化されるものの駆動系に残り、出力軸に伝達される。負荷(トルク)や車軸の回転速度に関するこれらの不規則性すなわち変動は動力計試験装置で特定することができ、本発明によれば、測定した変動を補正して動力計試験装置の慣性モーメントの影響を考慮することができる。
【0018】
その結果、安定状態で運転中もクランク軸の回転中の変動を決定することができ、本発明によれば、これらの変動の測定値の動力計試験装置の慣性モーメントの影響の補正、およびクランク軸の回転時間の一部で表わされるような短時間に生じる変動、すなわちエンジンの1サイクル中に生じる変動の補正ができる。当業者には明らかだが、エンジンのサイクルは、4サイクルエンジンの出力軸(クランクシャフト)が2回転、2サイクルエンジンが1回転する時間である。
【0019】
この種の変動を測定することには利点がある。例えば、車両エンジンの1つ以上の個々のシリンダーのトルクへの貢献を特定し評価することができる。これにより、考えられる不良や潜在的改善法を、エンジンの個々のシリンダーに具体的に結びつけることができる。そのようなものには、弁の配置、燃料および空気供給に関する吸気穴の設計、ならびに排気孔の配置などがある。
【0020】
その結果、エンジンの1サイクル中に生じる第1の反作用負荷の変動を決定することができ、これらの変動を第1の動力計試験装置の慣性モーメントの影響で補正することができる。この補正は、負荷を測定する時点の加速度を測定することによって行われるため、この瞬間の動力計試験装置の慣性モーメントの影響を用いて測定結果を正確に補正することができる。その結果、反作用負荷の測定および加速度の決定を同時に行うことができる、という利点を有する。
【0021】
変動の測定およびそれに関連した慣性モーメントの影響の補正は、複数の連続あるいは不連続なエンジンサイクルに対して、有利なことに例えば連続的に行われ、これを用いて、例えばエンジンのリアルタイムで行われる調整を監視し、その調整の効果を瞬時に確かめることができる。
【0022】
本方法は、動力計試験装置が発電機を動力源として有する種類の車両動力計システムで実行することができる。またこの動力計試験装置は、制御式水圧ポンプを有して制動を制御し、試験過程中に電気自動車の車軸に制動トルクを加えるようにしてもよい。
【0023】
また動力計試験装置は、車両の同一の車軸、例えばハーフシャフトに2つ(またはそれ以上)の動力計動力源を有して動力を供給する種類のものでもよい。その場合、前記動力源の1つは発電機とすることができる。この種の動力計試験装置では、動力源は1つだが、2つの動力計動力源を合わせた総合性能を有する場合よりも、費用/専有空間/基本要求事項に関し、より好ましい設計ができる場合がある。この場合、各動力源の慣性モーメントの影響を決定して測定値の補正に用いることができる。
【0024】
本発明の更なる特徴およびその利点は、以下の説明のための実施態様の詳細な記述および添付図面により明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
ここで添付図面を参照して、本発明をより詳細に記述する。
図1】本発明による例示的な車両動力計システムの図である。
図2図1に開示したシステムの動力計試験装置のより詳細な図である。
図3】本発明による一例示的方法の図である。
図4】本車両動力計システムを用いた測定の一実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には、本発明による車両動力計システムによる試験のための車両100の構成が開示されている。
【0027】
車両100は二輪駆動車両であり、前側車軸105、106、および後側車軸112、113を備える。車両100は動力計試験用に設置されているため、車両の車輪は図示されない。
【0028】
開示された車両100は駆動系を備え、燃焼式エンジン101を含み、これがギアボックス102に連結されている。ギアボックス102は任意の適切な種類のもの、例えば手動変速装置で構成することもでき、あるいは自動変速装置で構成することもできる。前側(駆動用)車軸、例えばハーフシャフト105、106はギアボックスから車両100の前軸車輪まで延びている。
【0029】
車両100は電動モーター103をさらに備える。電動モーター103はギアボックス102の上流、クラッチ104の下流にあり、燃焼式エンジンに直列に接続されている。
【0030】
車両動力計システムが車両100に接続されており、動力計試験装置110、111を備える。動力計試験装置110、111はコンピューターなどの測定制御システム114に接続されており、これに関連する表示器115が備えられている。この手段により試験の制御が行われ、システムの操作者が試験を開始し、動力計試験の実施に必要な情報を提供することができる。
【0031】
試験中、測定制御システム114は動力計試験装置に制御信号を送信して、所望の負荷(トルク)および回転速度を要求する。トルクおよび回転速度は、以下に記述するような種々の方法で測定することができる。動力計試験装置110、111は実質的に同じ試験装置で構成することができ、図2に、より詳細に記述する。
【0032】
図2には、本発明による試験装置111の一実施例が示されている。各動力計試験装置110、111は、発電機201、および発電機の出力軸202に加えられたトルクを測定する手段を備える。上記のように、本発明は反力を測定する装置に関し、開示された実施態様によれば、歪みゲージを利用および/あるいは電動駆動システムを使用したトルク変換器で、反作用負荷トルクを測定するように構成することができ、これを用いて発電機を以下のように制御する。
【0033】
発電機の出力軸202は車両100の駆動軸106に剛体接続されるように構成されている。この剛体接続は、例えば車輪を外し、発電機201の出力軸202を車輪ハブ203に直接または安定したアダプター204の手段によって取り付けることによって実現することができる。そうすることによって、車両100の既存の車輪固定具を利用する単純な方法で、車両100と動力計試験装置111の剛体接続を得ることができる。剛体接続には利点があり、なかでも、発電機201の出力軸202の回転速度を測定する適切な検知器で車軸の回転速度を測定できる。したがって、回転速度を測定する検知器の検知器信号を用いて軸の加速度を決定することができる。本実施例のように発電機を使用することには利点があり、発電機を動力源として用いることによって、例えば開示した種類の駆動系の複雑な測定を行いたいという一般的な要求を満たすことができる。発電機は動力吸収手段として用いることができる他に推進力を得ることができ、例えば、回生制動を模擬的に再現することができる。以下に説明するように、一実施態様によれば、この動力源は代わりに水圧ポンプ組立体で構成され、あるいは2つ以上の動力源の組み合わせで構成される。
【0034】
動力計試験装置110111は、例えば床に自立するため、車軸(車輪ハブ)への(剛体)結合手段(および、車両制御システムと通信するための何らかの種類の手段、おそらく電線接続)だけで車両に接続することができ、したがって、取り外された車輪の所定位置の車両の重量を「支える」こともできるのが好ましい。このこと自身は、例えば先に示した、および/あるいは本発明の発明者の1人以上を発明者とする先願特許から知られている。また、この試験自身も例えば上記先願特許から知られている。

【0035】
発電機(電動モーター)201は、電動モーター駆動装置205の手段によって送電線を介して供給される動力であり、例えばACモーターを構成することができる。電動モーター駆動装置205は測定制御システム114で制御され、電動モーター201を所望の回転速度およびトルクに設定することができる。図では、電動モーター駆動装置205は電動モーター201とは別に、例えば壁に取り付けられるかあるいは自立した台のように配置されており、1本以上の電線の手段で電動モーター201に接続されている。
【0036】
開示した種類の電動モーター駆動装置に関し、これらの駆動装置を用いて電動モーターの速度と負荷トルクを正確に制御することができ、本発明による動力計試験を実施する際に有利に使用することができる。そのような駆動装置の多くは、直接トルク制御(DTC)を利用しており、電動モーターの電流ではなくトルクを一番の制御要素とすることができる。
【0037】
電動モーターのトルクは、それが負荷トルクであっても推進トルクであっても、0から最大トルクまで非常に短時間に(例えばミリ秒で)制御可能である。したがって、上記のような駆動装置が車両の動力計試験に非常に適することになる。また加えられるトルクを制御された速度にすることもできるため、静止状態を含む任意の回転速度に適用することができる。
【0038】
開示された種類の車両動力計システムは、望ましくは、例えば1つ以上の電動モーターを備える駆動系を有する車両、例えば図1に開示された種類のハイブリッド車両の試験の際に用いられる。この試験は、上記の先行出願に詳述されているため本明細書には記述しない。
【0039】
当業者には明らかだが、種々の電気ハイブリッド駆動装置が存在し、本発明はどのような種類の試験にも利用することができる。さらに本発明は、ハイブリッド車両に接続して使用することに限定されず、例えば電気車両の試験の他、従来の燃焼式エンジン車両の試験にも使用することができる。
【0040】
本発明は、車両を試験する際の測定精度をさらに向上させる方法に関し、本発明による一例示的方法300が図3に示されている。エンジンの1サイクル中に生じる変動を特定する試験について、本発明を例示する。当然だが、例えばエンジンの1サイクル中に生じる変動は決定せず、エンジンの多数サイクルで第1の速度から第2の速度へ車両を加速または減速する間に試験を行う場合にも、本発明は同様に使用される。
【0041】
方法300は工程301に始まり、ここでは測定を開始するか否かが決定され、例えば測定制御システムによって、および/または本システムの操作者によって開始することができる。本発明による方法は、例えば車両の試験中に連続して実施するように構成することができる。本方法を実行する場合は、本方法は工程302に続く。
【0042】
工程302では、反作用負荷の測定値、例えば反作用トルクの測定値が得られる。この測定値は、例えば先に述べたように、米国特許第4669318号に記載のトルク変換器の信号の手段または他の適切な方法、および/または電動駆動システムの手段によって決定することができ、そのようにして、車両の軸が動力計試験装置に与える負荷が測定される。この反作用負荷(トルク)を、例えば試験中に連続して測定するように構成することができる。この測定は測定信号を連続して受信することで構成され、この測定信号は、例えばいくつかの適切なサンプリング速度によって与えられる。
【0043】
工程303では車軸の回転速度が得られ、例えば、適切な検知器の手段で決定される。この検知器の手段は、例えば発電機の出力軸の回転速度を測定するように構成することができる。あるいは、発電機の代わりに例えば水圧ポンプが使用される場合は、水圧ポンプの入力軸の回転速度を測定するように構成することができる。動力計試験装置の反作用負荷の測定と同様に、試験中に発電機の出力軸を連続的に測定して、車軸の回転速度を連続的に測定するように構成することもできる。この測定は測定信号を連続して受信することで構成され、この測定信号は、例えばいくつかの適切なサンプリング速度によって与えられる。
【0044】
本実施態様によれば、負荷の測定(例えばサンプリング)と回転速度の測定は同期される。すなわち、負荷を決定するごとに同時刻の対応する回転速度(加速度)が決定される。これが図4に説明されており、曲線401は動力計試験装置で測定された反作用トルク(負荷)の変動を表す。これに対して曲線402は上記と同じく測定された回転速度の変動を表す。図示された変動は短時間に生じた変動であり、これらの曲線はクランクシャフトの角度の関数である。図からわかるように、4サイクル内燃エンジンの1サイクルに相当する720度のクランクシャフト角度(−360度から360度まで)が開示されている。開示された実施例は4気筒エンジンのものであり、頂点403〜406がエンジンの個々のシリンダーによるトルクへの寄与を表す。
【0045】
開示された種類の測定には、例えば種々の稼働条件における個々のシリンダーのトルクへの寄与など、エンジンを詳細に解析する優れた可能性があり、そのような稼働条件には、負荷変動、エンジン速度、燃料供給、吸/排気圧、点火位置などがある。例えばエンジン出力軸の指標点の信号を追加することによって、曲線401の各頂点をエンジンの特定のシリンダーと関連付けることができる。
【0046】
この表示によって、例えば種々の因子、とりわけトルク出力がどのように影響するかを正確に解析する可能性が得られ、種々の稼働因子の変化に起因するトルク寄与の変化を容易に監視することができる。
【0047】
一実施例として、点線404’は1つのシリンダーのトルク寄与の曲線である。この曲線は、この表示が作られた時点で支配的な稼働因子によるこの特定のシリンダーのトルク寄与は、稼働中の全シリンダーの平均値を下回っていることを示している。この情報を使えば、例えば調整を実施してその特定のシリンダーの出力不足の理由を特定することができる。反対に、シリンダーの寄与が平均値を超える場合もある。そのような情報も、例えば他のシリンダーの稼働に改善の可能性があることを示すことから興味深い。これは点線405’で示されている。
【0048】
図4に示した状況は、例えば車両が定速で駆動されている安定稼働の状態を表すと考えることができる。すでに説明した様に、車軸は常に図4に示す挙動を示し、エンジンの往復運動に起因するトルク変動による速度変動は一定であり、トルクは平均値TAVG付近を変動し、回転速度は平均回転速度nAVG付近を変動している。
【0049】
これらの変動により、安定稼働中も回転速度が連続的に変化しているため、測定結果は動力計試験装置の慣性モーメントに影響を受けていることになる。例えば、車軸は図4に説明した時間T1で減速し、それに応じて時間T2で加速する。
【0050】
工程404では、測定された反作用負荷の、動力計試験装置の慣性モーメントによる影響が補正され、例えば次式(1)で実行される。
【数1】
【0051】
ここでTcompは補正された反作用負荷を表し、Tmeansは測定された反作用負荷、
は車軸(発電機の出力軸)の加速度、Jは発電機および動力計試験装置の他の潜在的回転部品、例えばアダプター204の慣性モーメントである。
【0052】
注意すべきことは、動力計試験装置が推進力を出すとき、測定検知器で測定される反作用負荷には、動力計試験装置の慣性モーメントの影響が含まれているということである。したがってこの場合、正しい測定結果を得るためには、測定した反作用負荷から慣性の影響を差し引かなければならない。したがってこの場合、補正された反作用負荷は次式で決定される。
【数2】
【0053】
発電機の慣性モーメントJは、例えば測定制御システム114に保存する前に計算および/または測定することができる。加速度
は、例えば回転速度の連続的な測定値に対するΔn/Δtを求めることによって決定することができ、その際Δtは短いことが好ましい。というのは、決定された加速度は、負荷を補正する時間Δtの間中、対応する負荷に対して有効だからである。Δtは、例えばミリ秒ms程度あるいはそれ未満にすることができる。
は、測定結果を得るときに連続して決定されるように構成することができる。
【0054】
図4に示した挙動(加速度
が実質的に短時間に変化する挙動)に対して負荷を補正するとき、反作用負荷と回転速度の測定は、好ましくは上記のように同期させて、反作用負荷の正しい補正値が得られるようにする。すなわち反作用負荷は、特定の負荷が支配的な瞬間に支配的である加速度を用いて慣性モーメントの影響を計算することによって補正される。これが図4に説明されており、時間Δtに対して計算された加速度
が同時間Δtに測定された反作用負荷の補正に用いられ、その際上記のように、時間Δtは好ましくは短く、この時間は、例えば測定結果を得るサンプリング速度によって決まる。
【0055】
工程304で補正の実行が終了し、工程305で測定の継続を決定したら、本方法は工程302に戻ってさらに測定を行うことができる。あるいは車両の試験を終えるのであれば、工程306で本方法を終了することができる。測定値の補正は、試験中に連続的に、実質的に即時に(例えば上記のΔtのような各短い時間に)実施するように構成することができ、あるいは測定した反作用負荷および速度をある適切な時間だけ記録し、その後で記録したデータを元に補正計算を実施することができる。
【0056】
結果的に、本発明によって、動的な挙動中であっても測定が非常に正確な方法が提供され、したがって非常に正確な車両試験を行うことができる。
【0057】
先に開示された実施態様によれば、発電機の出力軸202は、車両100の駆動軸106に剛体接続されるように記述されている。一実施形態によれば、動力計試験装置111は、やはり車両の駆動軸に剛体接続される。しかし、この代替の実施態様によれば、発電機の出力軸は、例えば駆動軸に剛体接続されているハブに半剛体接続される。例えば、このハブと発電機の出力軸はスプライン継ぎ手を用いて接続される場合がある。それでも発電機の固定子は動力計試験装置に剛体接続されており、測定された反作用負荷は上記に準じて測定され、補正は上記に準じて行われる。しかし下記のように、わずかに異なるシステム状態が生じる可能性がある。
【0058】
半固定式継ぎ手は、回転の開始時あるいは回転方向が変化するときにわずかに遊びを生じる場合があることを意味する。これは、ハブと発電機の出力軸が互いに保持し合って同期回転する前に、わずかに回転し得る要因の1つである。この状態は、加速および/または減速中にも発生する場合がある。この遊びは例えば0.5〜3度程度であって、例えばハブまたは発電機の出力軸が、他方が回転を開始するよりも前に僅かに回転する可能性があり、状況は完全に上記のようになる。またこの遊びにより、短時間だけハブと発電機の出力軸が異なる速度で回転することになり、加速度が異なる可能性がある。
【0059】
ハブおよび発電機の一方だけが加速される場合、あるいは2つの要素の加速度が(比較的短時間だが)異なる場合、この種のシステムでは、上記の慣性の補正をいくらか変更しなければならない。例えば、ハブだけが回転を開始すると、その慣性モーメントはハブと発電機の出力軸(および回転子)の慣性モーメントの総和よりもかなり小さく、発電機の慣性モーメントの補正は過剰補正になってしまう。この種の状況が遊びによって生じる時間は、例えば最大20msまたは50msと一般に短いが、1ms以下程度の測定の分解能が次第に求められるようになっており、よってこの種の状況も考慮するために「補正の補正」を行うことができる。
【0060】
したがって一実施態様によれば、そのような遊びを考慮し、ハブおよび発電機について個々に慣性モーメントが補正される。この補正には、適切な検知器手段で、発電機の出力軸の回転およびハブの回転を個々に測定することが必要になるが、それ以外は上記と同様に補正が行われる。このときハブおよび発電機は、少なくとも遊びが生じる時間は個別の物として処理される。遊びが打ち消されたらすぐに、ハブおよび発電機の出力軸は同期回転し、状況は完全に先に述べたようになる。
【0061】
上記の実施例によれば、各動力計試験装置は動力源を1つ備え、この動力源は発電機で構成されている。一実施態様によれば、動力計試験装置は動力源を2つ以上備え、これらの動力源は個々に制御可能であり、それらは発電機、水圧ポンプ、またはそれらの任意の適切な組み合わせにすることができる。1つの動力計試験装置に2つ以上の動力源が用いられる場合、複数の動力源の慣性モーメントを個々に決定することができるため、結果を補正するときに、測定に現在関与している慣性モーメント(動力源)だけを用いることができる。
【0062】
ここまで、本発明をハイブリッド駆動方式の車両の試験と関連付けて例示してきた。当然だが、本発明はどのような種類の車両にも用いることができ、例えば従来の二輪駆動または四輪駆動の燃焼式エンジン型車両、あるいは上記に開示した以外の任意の他の種類のハイブリッド車両の試験にも用いることができる。その結果、動力計試験装置を3つ以上用いて3つ以上の車輪に接続することができるし、例えば車両の電動モーターが1つの車軸だけに作用する場合には、1つの車軸だけに動力計試験装置を接続することも考えられる。
【0063】
上記から明らかなように、「動力源」とは、車軸に動力(トルク)を与えることができる動力源であり、この動力は、推進(正)トルクでも、制動(負)トルクでも、あるいは両者の組み合わせでもよい。
【0064】
本発明は、例えば測定制御システム114内で実施することができる。さらに本方法は、プログラムされた複数の指示を用いて実現することができる。これらのプログラムされた指示は、通常コンピュータープログラムで構成され、これがコンピューターまたは制御装置で実行されると、コンピューター/制御装置が所望の制御、例えば本発明による方法の複数の工程を実行する。
【0065】
通常このコンピュータープログラムは、コンピュータープログラム製品の一部である。コンピュータープログラム製品は適切な記憶媒体を備え、それにコンピュータープログラムが保存されている。前記記憶媒体は不揮発性記憶媒体にすることができる。
【0066】
最後に、当然だが本発明は上記の実施態様に限定されず、添付の特許請求の範囲内の全ての実施態様に関するとともに、それらを包含する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】米国特許第4669318号
【特許文献2】国際公開第2007/133154号公報
図1
図2
図3
図4