特許第6556166号(P6556166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556166
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】自己誘導切断デバイス
(51)【国際特許分類】
   B26B 29/06 20060101AFI20190729BHJP
   B62D 65/00 20060101ALI20190729BHJP
   B26B 1/02 20060101ALI20190729BHJP
   B26B 3/00 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   B26B29/06
   B62D65/00 Q
   B26B1/02 A
   B26B3/00 B
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-567454(P2016-567454)
(86)(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公表番号】特表2017-506566(P2017-506566A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】US2015013397
(87)【国際公開番号】WO2015116746
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2018年1月19日
(31)【優先権主張番号】14153724.1
(32)【優先日】2014年2月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】セカニナ, マルティン
(72)【発明者】
【氏名】マルソウン, ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】メレジネク, ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】ルドヴィク, ペトル
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0201000(US,A1)
【文献】 実開昭63−183976(JP,U)
【文献】 特開2006−158558(JP,A)
【文献】 特開2005−119367(JP,A)
【文献】 米国特許第8495818(US,B1)
【文献】 特開平11−170927(JP,A)
【文献】 米国特許第1776046(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 1/00 − 29/06
B62D 65/00
B26D 1/00 − 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車のルーフパネルに適用される接着剤フィルムを切断するための自己誘導切断ツールであって、前記ルーフパネルが、溶接溝チャネルを含む接合領域によって、前記車の側面パネルに接続され、前記切断ツールが、切断デバイスと、前記側面パネルに沿って前記接合領域の前記溶接溝チャネル上で前記切断デバイスを誘導する少なくとも1つの誘導手段と、前記ルーフパネル上に配置されていると共に、前記切断デバイスを前記接合領域の前記溶接溝チャネル上で移動させることを可能にする、少なくとも1つの輸送手段と、を備え、前記接合領域が隆起した領域又は陥凹した領域を含み、前記誘導手段が、機械で動作する、自己誘導切断ツール。
【請求項2】
前記誘導手段が、前記側面パネルの一部分に係合し、かつ前記車の前方部から後方部へ、又はその逆の方向における、前記側面パネルに沿った前記切断ツールの移動を可能にするように構成されるホイールである、請求項1に記載の自己誘導切断ツール。
【請求項3】
少なくとも2つの誘導手段を備える、請求項1又は2に記載の自己誘導切断ツール。
【請求項4】
前記切断デバイスが、前記誘導手段と前記輸送手段との間に位置付けられる、又は、前記輸送手段が、切断デバイスと前記誘導手段との間に位置付けられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の自己誘導切断ツール。
【請求項5】
前記ルーフ溝チャネル上を移動させられるとき、前記切断デバイスが前記ルーフパネルに接触することを防止するように、前記切断デバイスの底部を囲繞する保護筐体を更に備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の自己誘導切断ツール。
【請求項6】
前記輸送手段は、ホイールであり、当該ホイールは、それが、前記溶接溝チャネルの隆起した領域と係合するように離間及び構成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の自己誘導切断ツール。
【請求項7】
前記誘導手段及び前記輸送手段は、ホイールであり、当該ホイールは、前記誘導手段が、前記側面パネルの一部分と係合するように、かつ前記輸送手段が、前記溶接溝チャネルの隆起した領域と係合するように構成され、位置付けられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の自己誘導切断ツール。
【請求項8】
前記輸送手段は、ホイールであり、当該ホイールは、前記切断ツールに対向する当該ホイールの前記側面が、それとは反対の側面とは異なる直径を有するように、角のある部分を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の自己誘導切断ツール。
【請求項9】
互いに接合されて溶接溝チャネルを含む接合領域を形成するルーフパネル及び側面パネルを含む、組み立てられた車と、接着剤フィルムを前記ルーフパネルに適用するためのユニットと、請求項1〜8のいずれか一項に記載の自己誘導切断ツールと、を備える、組み立てライン。
【請求項10】
接着剤フィルムを車のルーフパネルに適用する方法であって、前記ルーフパネルが、溶接溝チャネルを含む接合領域によって前記車の側面パネルに接続され、
前記ルーフパネルから前記溶接溝チャネルを越えて前記側面パネルに向かって延在する前記接着剤フィルムのセクションを接着せずに、前記接着剤フィルムを前記車の前記ルーフパネルに貼り付ける工程と、
前記溶接溝チャネル上で請求項1〜8のいずれか一項に記載の切断ツールを移動させることによって、前記接着剤フィルムの前記接着されていないセクションを切断する工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車のルーフパネルに適用される接着剤フィルムを切断するための自己誘導切断デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、車両の車体に異なる色を使用すること、例えば、車のルーフは黒色を有する一方、車の車体の残りは異なる色を有することが、非常に人気を博している。異なる色の適用は、2つの後続するラッカー塗装プロセスを必要とする。第1の工程において、第1のラッカー層が、車両の車体全体に適用される。第1のラッカーは、異なる色の領域を提供するために、第2のラッカー層を第1のラッカー層上へ適用することができるようになる前に、乾燥させなければならない。この作業は時間を要し、生産費用を増加させる。したがって、車両の車体に異なる色を適用するための他の方法に対する必要性が存在する。
【0003】
車両の車体のそれぞれの部分に接着により貼り付けることができる、適切に着色されたポリマーフィルムを使用することが提唱されている。かかるフィルムを車のルーフ上へ貼り付けることは、均一に連続する領域が車の窓間にある視覚的印象をもたらす。フィルムは、連続的なガラス表面の印象を提供するように、高光沢仕上げを有し得る。
【0004】
接着剤フィルムを車のルーフに適用するとき、フィルムは、ルーフへのそれらの適用後、所望の形状に切断され得る。かかる場合において、ルーフのラッカー層が切断によって損傷される場合がある。事前に切断されたフィルムを使用するとき、車のルーフへの事前に切断されたフィルムの正確な位置付けは、特に、典型的な製造公差を考えると、製造条件下では困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、フィルムを切断するときに本質的に車のルーフを損傷させずに、車のルーフに事前に貼り付けられた接着剤ポリマーフィルムを切断する切断ツール及び対応する方法を提供することが、本発明の目的であった。取り扱いが容易であり、かつ異なる車モデルに容易に適合させることができる切断ツールを提供することが、本発明の別の目的であった。合理的な費用での製造条件下で確実に使用することができる切断ツール及び対応する切断方法を提供することが、本発明の更に別の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上の目的は、本明細書において説明される自己誘導切断ツールによって満たされる。本切断ツールは、溶接溝チャネルを含む車のルーフパネルに適用されている接着剤フィルムを切断するために好適である。車は、種々の構成要素を組み立てることによって製造される。側面パネル及びルーフパネルは別個に準備され、次いで、接合され、典型的には、溶接される。側面パネルとルーフパネルとの間の接合領域は、多くの車種において均一ではなく、小さい隆起した領域、又は、ほとんどの場合、一般的に「溶接溝チャネル」と称される陥凹した領域を含む。
【0007】
したがって、一態様において、車のルーフパネル(30)に適用される接着剤フィルム(20)を切断するための自己誘導切断ツール(100)であって、ルーフパネルが、溶接溝チャネルを含む接合領域(32)によって、車の側面パネル(31)に接続され、前記切断ツール(100)が、切断デバイス(6)と、接合領域(32)の溶接溝チャネル上で切断デバイス(6)を誘導する少なくとも1つの誘導手段(2)と、切断デバイス(6)を接合領域(32)の溶接溝チャネル上で移動させることを可能にする少なくとも1つの輸送手段(3)と、を備え、誘導手段(2)が、機械で動作する、自己誘導切断ツール(100)が提供される。
【0008】
別の態様において、接着剤フィルム(20)を車のルーフパネル(30)に適用する方法であって、ルーフパネルが、溶接溝チャネルを含む接合領域(32)によって車の側面パネル(31)に接続され、
−ルーフパネルから溶接溝チャネルを越えて側面パネルに向かって延在する接着剤フィルム(20)のセクションを接着せずに、接着剤フィルム(20)を車のルーフパネル(30)に貼り付ける工程と、
−溶接溝チャネル上で請求項1〜14のいずれか一項に記載の切断ツール(100)を移動させることによって、接着剤フィルムの接着されていないセクションを切断する工程と、を含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に従う切断ツールの切断デバイスにより、車のルーフ上の接着剤フィルムを切断する概略図である。
図2】車の側面パネルとルーフパネルとの間の接合領域上に位置付けられる、本開示に従う切断ツールの概略断面図である。
図3A】本開示に従う自己誘導切断ツールの実施形態の側面図の概略図である。
図3B】本開示に従う切断ツールの切断ナイフ及びその保護筐体の詳細な概略図である。
図3C】本開示に従う自己誘導切断ツールの概略底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、車のルーフパネルに貼り付けられたポリマーフィルムを切断するための自己誘導切断ツールを提供する。
【0011】
車の車体は、前方パネル、後方パネル、側面パネル、及びルーフパネルを備える。車の製造中、側面パネル及びルーフパネルは、抵抗溶接、レーザステッチ溶接、レーザ溶接、及びレーザブレージング等の種々の技術を適用して、ともに接合される。それぞれ、側面パネル及びルーフパネルの設計、並びに使用される接合技術に依存して、接合領域は、異なる形状及び幾何学的構造を呈することができる。一実施形態において、側面パネル及びルーフパネルは、溝形状の溶接ラインを含む重複接合領域を形成するように配設される。この領域は、「ルーフ溝」又は「溶接ルーフ溝」と称される。2つのパネルは、例えば、ルーフパネルの両側に沿った、それぞれの側面パネルとルーフパネルとの間の溝接合領域において延びる継ぎ目をもたらす抵抗溶接によって接合される。レーザ溶接によって得られる溶接継ぎ目は、典型的に、抵抗溶接によって得られる溶接継ぎ目よりも平滑な表面を有し、そのため、レーザ溶接が一般的には好ましい。
【0012】
フィルムを車のルーフに適用するとき、ルーフ溝に沿ってフィルムを切断することがしばしば所望される。本発明の自己誘導切断ツールは、フィルムをルーフ溝上、又はそれに近接する領域において切断することを可能にする。切断ツールは、フィルムを切断するための切断デバイスを含む。切断ツールは、輸送手段、例えば、ホイールによって、ルーフ溝に沿って移動させることができる。切断ツールは、輸送手段を車のルーフ上に配置することができるように構成され得る。ルーフ溝に対する切断デバイスの位置は、機械的誘導手段によって、単独で、又は輸送手段と組み合わせて制御される。誘導手段は、切断ツールを側面パネルの一部分と移動可能に係合し、かつ切断ツールを側面パネルに対して平行な方向において、ルーフ上で移動させることを可能にし得る。誘導手段、輸送手段、及び切断デバイスは、切断デバイスが、定義された位置、即ち、フィルムが切断されることになる位置に配置されるように、切断ツール上で構成される。最も簡便には、フィルムは、本切断デバイスによってルーフ溝上で切断することができる。
【0013】
フィルムを切断するために、典型的に、フィルムが車のルーフに接着され、ルーフ溝上の、かつ側面パネルに向かって延在するフィルムのセクションはルーフに接着されず、上方に持ち上げられる。フィルムを持ち上げるために、持ち上げバーが使用されてもよい。次いで、切断ツールが、その切断デバイスとともに、切断されることになる線に沿ってフィルム上を移動する。これは、これから参照する図1で例示される。図1は、車の側面パネル(31)とルーフパネル(30)との間の接合領域(32)の概略断面図である。図1に表される接合領域(32)は、その隣接部よりも低く、溶接ルーフ溝を形成する。接着剤ポリマーフィルムがルーフパネル上に配置され、これは、ルーフパネル(30)に接着されるが、接合領域(32)上の上昇した位置に保持される。フィルムが切断デバイス(6)によって切断される。図1に表される切断デバイスは、切断デバイス(6)によって損傷されることから接合領域(32)の表面を遮蔽する保護筐体とともに示される。切断は、定義された方向に沿って進行し、誘導手段及び輸送手段を含む切断ツールによって、その方向に沿って誘導される。
【0014】
図1に示される接合領域の構成は、隆起した領域が、側面パネル部分(31)上にあるものである。しかしながら、他の構成が存在し、切断ツールを、かかる他の構成に適宜適用することもできる。例えば、隆起した領域は、ルーフパネル側であってもよい。一方は側面パネル部(31)上、他方はルーフパネル部(30)上の2つの隆起した領域も存在し得る。同じ切断方法が適用され、フィルムは、それが切断される領域で持ち上げられる。
【0015】
ここで、図面を参照することによって、切断ツールを更に詳細に説明する。図2において、側面パネルとルーフパネルとの間の接合領域上に位置付けられる切断デバイスの断面図が示される。図2に示される接合領域は、隆起した領域が側面パネル部(31)上にある、ルーフパネルに延在するルーフ溝(32)として形状化される。接合領域の反対の構成、例えば、隆起した領域が、接合領域の側面パネル部ではなく、ルーフ領域上にある溝形状もまた、可能である。その場合、切断ツールの構成は、図2に示されるものとは逆の順序であり得る。図2の切断ツール(100)は、誘導手段(2)及び輸送手段(3)が取り付けられている本体部(1)を含む。典型的な実施形態において、誘導手段(2)は、ホイールであり、また、誘導手段がゴム又はプラスチックリップ若しくはレールであり得る他の実施形態もまた使用され得る。誘導手段(2)は、それが側面パネル(31)又はその一部分に移動可能に係合することができるように形状化される。係合は、単純な接触であってもよい。誘導手段(2)がホイールである好ましい実施形態において、ホイールは、図2に示されるように角があってもよく、又はそこに突起が付加されていてもよい。図2において、誘導ホイール(2)は、側面パネルの形状に適合された角のある部分を有する。ホイール(2)の角のある部分は、切断ツール本体(1)又は側面パネル(31)に対向するホイールの内側が、反対側、即ち、側面パネルから外方を向く側よりも小さい直径を有するようになっている。図2における誘導手段(2)の反対には、輸送手段(3)がある。最も簡便には、輸送手段もまたホイールである。輸送ホイール(3)は、ルーフパネル上に配置され得る。図2に示される特定の実施形態において、輸送ホイール(3)は、角のある形状である。それは、ルーフ溝(32)の隆起部に係合するように形状化される。これは、ホイールの片側がその反対側よりも小さい直径を有するホイールの角のある形状によって、又は、例えば、溝に突起する突起をホイールに付加することによって達成される。図2に示される実施形態において、側面パネルに対向する輸送ホイール(3)の内側は、ルーフパネルに対向するその反対側よりも小さい直径を有し、これは、図2に示される実施形態において、ホイール(3)上の突起によって達成される。ここで、ルーフ溝上に配置されるときの切断ツールは、誘導ホイール(2)及び輸送ホイール(3)によって、溝上に適所に保持され、車の前方から後方、又はその反対の方向において、ルーフ溝に沿って転動させることができる。輸送ホイール(3)は、図2に示されるような角のある形状である必要はない。それは、通常のホイールであってもよく、単に、ルーフパネルの平坦な表面上に配置することができる。誘導ホイール(2)によって提供される支持は、接合領域上で切断ツールを誘導する、及び切断デバイスの位置を制御するには十分であり得る。典型的に、側面パネルの一部分上に配置される誘導ホイール(2)は、図2にも示されているように、輸送ホイール(3)よりも大きい直径を有する。
【0016】
本開示に従う切断ツールのための誘導及び輸送手段は、ラッカー塗装された表面を損傷させない材料で作製される。典型的に、輸送手段及び誘導手段は、ゴム、又はポリアミドのようなプラスチック等の弾性又は可撓性材料で作製される。
【0017】
好ましい実施形態において、切断デバイスは、少なくとも2つの誘導手段(2)、及び/又は少なくとも2つの輸送手段(3)を含み、好ましくは、誘導手段及び輸送手段の双方がホイールである。かかる実施形態は、図3Aに表される。
【0018】
図3Aは、切断キャリッジ(100)の概略側面図を示す。それは、2つの輸送手段(輸送ホイール(3))を含む。輸送ホイール(3)の反対には、誘導ホイール(2)がある。本開示に従い、輸送ホイール及び誘導ホイールは、同じ軸上であってもよいか、又は異なる軸上であってもよく、切断ツールに独立して接続されてもよい。少なくとも、輸送ホイールは、切断ツールの本体に回転可能に装着される。好ましくは、誘導ホイールもまた、切断ツールの本体に回転可能に装着される。図3Aに示される実施形態において、切断ツールは、ホイールが2つの軸によって回転可能に装着される本体部(1a)を含む。
【0019】
本開示に従う切断ツールは、少なくとも1つの切断デバイスを含む。
【0020】
図3Aに表される実施形態において、切断デバイス(6)は、切断ツールの本体部(1a)に取り付けられた筐体(1b)に含まれる。ポリマーフィルムを切断するために好適ないずれの切断デバイスも、本開示に従う切断デバイスとして使用されてもよい。典型的な例としては、固定ナイフ及び回転ブレードが挙げられる。切断デバイスは、機械的に駆動されるか、電子的であってもよい。それは、遠隔制御されてもよい。切断デバイスは、切断されることになるフィルムを上昇させている持ち上げデバイスに接続されてもよい。切断デバイスを冷却するために、冷却デバイスが存在してもよい。切断デバイスは、好適な場所に位置付けられてもよい。例えば、切断デバイスは、誘導手段と輸送手段との間に位置付けられてもよいか、又は、輸送手段が切断デバイスと誘導デバイスとの間に位置付けられてもよい。切断デバイスは、切断ツールの本体に対して可変的に位置付けることができる別個の筐体内にあってもよい。このように、切断ツールは、異なる幾何学的構造に適用することができる。
【0021】
切断デバイスは、切断デバイスが車の表面に接触することを回避し、切断作業中の車への損傷を防止するように、保護筐体によって部分的に囲繞されてもよい。図3Aにおいて、保護筐体(8)が示されている。保護筐体(8)は、ナイフ又は回転ブレードが切断作業中に通るグルーブを含んでもよく、ナイフ又は回転ブレードへの追加の安定性を提供する。図3Aに例示される切断デバイスは、図3B及び3Cに示されるように、保護筐体(8)のグルーブを通る回転ブレードである。
【0022】
輸送手段、誘導手段、及び切断デバイスは、調節可能に提供されてもよい。このように、切断ツールは異なる車モデルに適用され得、輸送手段と誘導手段との間の距離は、必要に応じて調節することができる。また、切断デバイスは、それを種々の位置に配置することができるように、切断ツールの本体に接続されてもよい。
【0023】
切断デバイスは、手動使用のためのキャリッジであってもよいが、自動化されたユニットの一部であって、かつ電子的に駆動されてもよい。例えば、本開示に従う切断ツールは、組み立てラインの一部であってもよい。かかる組み立てラインは、互いに接合されて溶接溝チャネルを含む接合領域(32)を形成するルーフパネル(30)及び側面パネル(31)を含む、組み立てられた車と、接着剤フィルム(20)をルーフパネルに適用するためのユニットと、本開示に従う自己誘導切断ツール(100)と、を備え得る。
【0024】
切断ツールは、車に保護コーティング若しくは着色又は他の装飾を提供するために使用されるフィルムを切断するために好適であり得る。かかるフィルムは典型的に接着剤フィルムであり、1つ若しくは2つ以上のポリマー層及び少なくとも1つの接着剤層を含む。典型的に、接着剤層は、感圧接着剤である。これは、接着剤が、温度の増加を必要とせずに、接着剤結合を提供するように、基材に適用され得、圧力によって簡単に適用されることを意味する。典型的な接着剤は、アクリレート系接着剤、好ましくは、溶媒不含接着剤である。典型的なポリマー層は、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリオレフィンポリマー、及びこれらの組み合わせを含む。かかるフィルムは、例えば、3M Companyから商標名SCOTHCALで、商業的に入手可能である。
【実施例】
【0025】
(実施例1)
3M Coから商業的に入手可能なScotchcal(登録商標)フィルムのロールを、誘導バーに挿入した。次いで、SKODA FABIA車のルーフパネルを被覆するのに十分な長さを有するScotchcal(登録商標)フィルムの一片を、このロールから巻き出し、適用フレームに挿入し、切断した。剥離ライナをScotchcal(登録商標)フィルムから除去し、フィルムを車のルーフパネル上に配置し、ルーフ上へ降ろし、ルーフパネルの表面に接着させた。車のルーフパネルの縁部に隣接するScotchcal(登録商標)フィルムの部分は、ルーフパネルに接着させなかった。次いで、図3A〜3Cに示される自己誘導切断ツールを、誘導ホイールが車の側面パネル上に配置された状態でルーフ溝上に配置し、ルーフ溝上を側面パネルに沿って前方から後方方向に移動させて、接着されていないScotchcal(登録商標)フィルムを切断した。
図1
図2
図3A
図3B
図3C