特許第6556183号(P6556183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556183
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】電気モータを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 3/18 20060101AFI20190729BHJP
   H02P 1/04 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   H02P3/18 101Z
   H02P1/04
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-87288(P2017-87288)
(22)【出願日】2017年4月26日
(65)【公開番号】特開2017-200432(P2017-200432A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2017年4月26日
(31)【優先権主張番号】1607286.0
(32)【優先日】2016年4月26日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】リボ チェン
(72)【発明者】
【氏名】ミン チャン
【審査官】 尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−209972(JP,A)
【文献】 特開2010−263704(JP,A)
【文献】 特開2012−081561(JP,A)
【文献】 特開昭62−163585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 1/00− 1/58
H02P 3/00− 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータを有する電気モータを制御する方法であって、前記方法は、前記モータの停止が開始された後に実行され、
モータコントローラ内のタイマを起動する段階と、
回生制動を実行して、前記ロータから運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する段階と、
回生制動から回収された電気エネルギーを使用して前記モータコントローラに電力を供給する段階と、
前記モータコントローラ内の前記タイマが所定のタイマ値を超過すると、前記モータが停止したことを示すフラグを前記モータコントローラ内のメモリに設定する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
回収された前記電気エネルギーは、コンデンサに蓄えられる、請求項1に記載の電気モータを制御する方法。
【請求項3】
前記コンデンサは、DCリンクコンデンサである、請求項2に記載の電気モータを制御する方法。
【請求項4】
前記コンデンサの両端の電圧を最大電圧閾値と比較する段階をさらに含む、請求項2又は3に記載の電気モータを制御する方法。
【請求項5】
前記コンデンサの両端の電圧が前記最大電圧閾値を上回ると、回生制動を停止して、フリーホイール制動を開始する、請求項4に記載の電気モータを制御する方法。
【請求項6】
前記所定のタイマ値は、前記モータの停止が開始された後、前記ロータが完全停止状態になるのに必要な最小期間に対応する、請求項1〜5のいずれかに記載の電気モータを制御する方法。
【請求項7】
前記所定のタイマ値は、0.5秒から5秒の間である、請求項1〜6のいずれかに記載の電気モータを制御する方法。
【請求項8】
前記所定のタイマ値は、1秒から2秒の間である、請求項7に記載の電気モータを制御する方法。
【請求項9】
前記フラグは、前記モータコントローラ内の不揮発性メモリに設定される、請求項1〜8のいずれかに記載の電気モータを制御する方法。
【請求項10】
前記フラグは、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)に設定される、請求項9に記載の電気モータを制御する方法。
【請求項11】
電気モータを制御する方法であって、前記方法は、前記モータの起動が開始された後に実行され、
前記電気モータが停止したことを示すフラグが、モータコントローラ内のメモリに設定されているか否かをチェックする段階と、
前記フラグが設定されている場合、前記モータコントローラがモータ起動ルーチンを実質的に即座に開始することを可能にする段階、又は、
前記フラグが設定されていない場合、前記モータコントローラが前記モータ起動ルーチンを開始するのを所定の遅延期間にわたって遅延させる段階と、
を含む方法。
【請求項12】
前記フラグが設定されている場合、前記フラグをクリアする段階をさらに含む、請求項11に記載の電気モータを制御する方法。
【請求項13】
前記フラグが設定されていない場合、前記所定の遅延期間中に、制動ルーチンを有効にする段階をさらに含む、請求項11に記載の電気モータを制御する方法。
【請求項14】
前記制動ルーチンは、フリーホイール制動を含む、請求項13に記載の電気モータを制御する方法。
【請求項15】
前記所定の遅延期間は、前記モータがオフになった後、ロータが完全停止状態になるのに必要な最小期間に対応する、請求項11〜14のいずれかに記載の電気モータを制御する方法。
【請求項16】
前記所定の遅延期間は、0.5秒から5秒の間である、請求項11〜15のいずれかに記載の電気モータを制御する方法。
【請求項17】
前記所定の遅延期間は、1秒から2秒の間である、請求項16に記載の電気モータを制御する方法。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法により停止したモータを起動するのに用いられる、請求項11〜17のいずれかに記載の電気モータを制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータは、電源がオフになった場合に、ロータの回転が停止するまである程度の時間を必要とする場合が多い。永久磁石ブラシレス電気モータでは、ロータは、静止する箇所に到達する際に、コギングトルクとして知られているロータの磁極のステータ磁極に対する吸引力/相互作用によって完全停止状態になる前に回転振動する。このことは、ジッタ位相と呼ばれる場合がある。このジッタ位相は、通常、所定期間にわたって持続し、例えば磁石の強度及びステータ磁極のロータとの近接性などのいくつかの要因に依存する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許第2501370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロータが依然としてこのジッタ位相で振動している間にモータの再起動を試みる場合に問題が生じる可能性がある。例えば、モータは、ロータが反対方向に回転している状態で意図せずに起動され得る。従って、モータを起動する際に、起動ルーチンが開始する前に、最初にモータがジッタ位相状態にあるか否かを検出することが望ましい。しかしながら、このジッタ位相を検出することは、常に可能であるとは限らない。例えば、モータがホールセンサなどのロータ位置センサを備えている場合、一般に振動の大きさが非常に小さいので、ロータ位置センサによって振動は検出できない。
【0005】
モータの電源オン時にモータがジッタ位相状態にあるか否かを検出することができないので、ロータが回転する前にロータが静止していることを保証するために、起動ルーチンが実行される前に短い時間遅延が組み込まれる場合が多い。この時間遅延は、単に何らかの振動が停止したことを保証するのに十分な長さとすることができる。しかしながら、モータを起動するための何らかの遅延は望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、ロータを有する電気モータを制御する方法を提供し、本方法は、このモータの停止が開始した後に実行され、モータコントローラ内のタイマを起動する段階と、回生制動を実行して、ロータからの運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する段階と、回生制動からの回収された電気エネルギーを用いてモータコントローラに電力を供給する段階と、モータコントローラ内のタイマが所定のタイマ値を超過した場合に、モータが停止したことを示すフラグをモータコントローラ内のメモリに設定する段階とを含む。
【0007】
結果的に、モータが次にオンになった場合に、フラグは、モータが完全に停止したことを示すものとして機能することができ、モータが起動する前に遅延を実行することを必要とせずに、起動ルーチンを即座に開始することができる。
【0008】
回収された電気エネルギーは、コンデンサに蓄えることができる。従って、回収された電気エネルギーは、即座に用いる必要はなく、必要となるまで蓄えることができる。
【0009】
コンデンサは、DCリンクコンデンサである。結果的に、追加の構成要素が必要とされず、モータのコストを抑えることができる。
【0010】
本方法はさらに、コンデンサの両端の電圧を最大電圧閾値と比較する段階を含むことができる。コンデンサの両端の電圧が最大電圧閾値を上回る場合、本方法はさらに、回生制動を停止する段階と、フリーホイール制動を開始する段階とを含むことができる。このように電圧を監視して、電圧が非常に高くなった場合に回生制動を中止することによって、モータのコンデンサ及び他の電気部品の何らかの損傷を防ぐことができる。
【0011】
所定のタイマ値は、モータの停止が開始した後、ロータが完全停止状態になるのに必要な最小期間に対応することができる。所定のタイマ値は、0.5秒から5秒の間、及び1秒から2秒の間とすることができる。従って、モータコントローラには、モータが停止した後、見込まれる最小時間だけ電力を供給する必要がある。このことは、回生制動によって回収する必要があるエネルギー量を最小にする効果がある。
【0012】
フラグは、モータコントローラ内の不揮発性メモリに設定することができ、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)に設定することができる。従って、フラグは、モータが停止した後、電源が取り除かれた場合でも設定されたままであり、モータが再起動されると、フラグは準備完了しており利用できる。
【0013】
本発明の第2の態様は、電気モータを制御する方法を提供し、本方法は、モータの起動が開始した後に実行され、モータが停止したことを示すフラグが、モータコントローラ内のメモリに設定されているか否かをチェックする段階と、フラグが設定されている場合に、モータコントローラがモータ起動ルーチンを実質的に即座に開始することを可能にする段階、又はこのフラグが設定されていない場合に、モータコントローラがモータ起動ルーチンを開始するのを所定の遅延期間にわたって遅延させる段階とを含む。
【0014】
結果的に、フラグチェックは、起動ルーチンが実行される前に起動手順に遅延を組み込むのに必要とされるよりも非常に速いので、モータが起動するのに必要な時間を最小にすることができる。
【0015】
フラグが設定されている場合には、本方法はさらに、このフラグをクリアする段階を含むことができる。
【0016】
フラグが設定されていない場合には、本方法はさらに、所定の遅延期間中に制動ルーチンを有効にする段階を含むことができる。この制動ルーチンは、フリーホイール制動を含むことができる。この制動ルーチンにより、起動ルーチンの開始を遅延させるのに必要な時間が短くなる。
【0017】
所定の遅延期間は、モータがオフになった後、ロータが完全停止状態になるのに必要な最小期間に対応することができ、0.5秒から5秒の間又は1秒から2秒の間とすることができる。
【0018】
本方法は、本発明の第1の態様で説明した方法により停止したモータを起動するのに用いることができる。
【0019】
本発明の第3の態様は、モータの電気周期を反映する再同期信号を供給する、永久磁石電気モータの回生制動方法を提供し、本方法は、再同期信号の再同期期間を測定する段階と、電気周期の第1の部分において、ロータの回転磁場を用いて相インダクタンスを充電する段階と、モータの電気周期の第2の部分において、充電された相インダクタンスを用いて続いてコンデンサを充電する段階とを含む。
【0020】
結果的に、ロータが減速する場合に回転するロータからの運動エネルギーを回収して電気エネルギーに変換することができ、回収されたエネルギーは、コンデンサに蓄えられて使用される。
【0021】
電気周期の第1の部分は、測定された再同期期間の所定の比率部分にわたって持続することができ、この所定の比率部分は、測定された再同期期間の1/4とすることができる。このことにより、ロータの回転速度を監視しながら、最適なエネルギー量をロータから回収することが可能となる。
【0022】
電気周期の第2の部分は、所定の設定値にわたって持続することができる。この所定の設定値は、再同期期間の最小値の少なくとも50%から75%とすることができ、再同期期間の最小値は、モータが最大速度で作動する場合の再同期期間の長さである。従って、回生制動方法は、モータの全速度範囲にわたって機能することができる。
【0023】
ロータの回転磁場を用いて相インダクタンスを充電する段階は、モータのインバータ内の1つのスイッチのみを有効にして、電流が相巻線を通って流れることを可能にする段階を含むことができる。
【0024】
充電された相インダクタンスを用いて続いてコンデンサを充電する段階は、モータのインバータ内の全てのスイッチを無効にする段階と、強制的に誘導電流をコンデンサの片側から他方側に流す段階とを含むことができる。
【0025】
ここで、本発明をより容易に理解できるように、本発明の実施形態を以下の添付図面を参照して例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】モータ停止手順のステップの概要を示すフローチャートである。
図2】モータ起動手順のステップの概要を示すフローチャートである。
図3】モータシステムの概略図を示す。
図4図3のモータシステムの構成要素を示す回路図である。
図5】回生制動中の波形を示す。
図6図5の回生制動の段階Bの間の図4の回路図の一部分を示す。
図7図5の回生制動の段階Cの間の図4の回路図の一部分を示す。
図8】回生制動モードのステップの概要を示すフローチャートを示す。
図9】モータを備える携帯型機器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
コギングトルクに起因して、モータは、停止する直前に振動(ジッタ)位相状態になる。この振動中、ロータ位置センサからの信号が存在しないので、ソフトウェアは、モータが振動しているか否かを識別することができない。しかしながら、ロータ位置センサの信号がなくなった後、ジッタ位相は、典型的に、本明細書では整定期間と呼ばれる所定期間にわたって持続する。この整定期間は、それぞれのモータによって異なり、例えば、ロータ磁石強度及び空隙部の大きさなどのいくつかの要因に依存する。例えば、モータは、約0.6秒の整定期間を有することができる。
【0028】
遅延期間を起動手順に組み込む必要性を回避するために、モータの電源オフの間、モータが少なくとも整定期間にわたって静止しているか否かをチェックすることが望ましい。しかしながら、このことは、典型的にモータ及びモータコントローラへの電力がオフになった場合のように、必ずしも可能であるとは限らない。従って、以下にモータ停止手順中にコンデンサを充電する回生制動段階が組み込まれた方法について説明する。従って、コンデンサの電力を用いて、整定期間が終了したことを保証するように動作するモータコントローラ内のタイマに電力を供給することができる。
【0029】
図1は、モータ停止手順の一実施形態において実行されるステップの概要を示すフローチャートである。
1.1. モータ停止(シャットダウン)手順を起動する。この手順は、例えば、ユーザが電源オフにしたこと又は故障検出後の自動停止に応答したものとすることができる。
1.2. タイマを起動する。このタイマを用いて、モータが電源オフになった時点からの経過時間を求める。モータ用のタイマ閾値を設定することができる。この閾値は、この閾値に達した場合に、モータの停止が開始されてから少なくとも整定期間の期間が経過したことを判定できるように設定することができる。
1.3. 回生制動段階を開始する。この段階は、2つの重要な目的を有する。すなわち、第1の目的は、この段階はモータに対する制動効果を有しているので、モータがオフになるとモータをより迅速に減速させるように機能すること、第2の目的は、この段階は、モータからの運動エネルギーを回収して、この運動エネルギーを電気エネルギーとしてコンデンサ内に蓄えることであり、この電気エネルギーは、停止後にこの期間中にタイマを実行し続けるために使用することができる。
1.4. コンデンサ閾値に達したか否かを確認するためのチェックを行う。コンデンサに過大な電力を供給することを試みることは、モータのコンデンサ又は他の電気部品に障害をもたらす場合があることを理解されたい。閾値は、例えば、コンデンサの両端の電圧の測定値とすることができる。この閾値に達していない場合、この手順は、ステップ1.3に戻り、回生制動が持続する。しかしながら、この閾値に達した場合、この手順はステップ1.5に進む。
1.5. モータは依然として回転しているが、コンデンサを充電するのにエネルギーはもはや必要でない。しかしながら、依然としてモータを停止させる必要があるので、フリーホイール制動段階が開始する。フリーホイール制動は公知であるので、本明細書ではこのフリーホイール制動に関して詳細に説明しない。
1.6. 前述したタイマ閾値に達したか否かを確認するためのチェックを行う。このタイマ閾値に達していない場合、ステップ1.5のフリーホイール制動が持続する。閾値に達した場合、この手順はステップ1.7に進む。
1.7. 「モータ停止」フラグを設定する。このフラグは、不揮発性フラグであり、例えば、EEPROM(電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ)に格納することができる。
1.8. モータが停止する。
【0030】
上記の方法は、モータの速度をチェックする別のステップを含むことができる。回生制動段階が実行される前にモータが低速で回転している場合、このことを認識することが望ましい場合がある。この場合、ロータが高い初期速度で起動した場合と比較して、ロータが停止するのに要する期間がより短いことが知られているので、小さなタイマ閾値を導入することができる。これにより、ロータの低い起動速度でのより低レベルのエネルギー回収に起因して、フラグを設定できる前にコントローラが電力を使い果たす可能性が低くなる。
【0031】
不揮発性「モータ停止」フラグにより、次にモータを起動する際に、通常のモータ起動ルーチンを実行する前に遅延が必要か否かのチェックを行うことが可能となる。図2は、モータ起動ルーチンの初期段階の一実施形態において実行されるステップの概要を示すフローチャートである。
2.1. モータを起動する。この手順は、例えば、ユーザがモータを電源オンにしたことに応答したものとすることができる。
2.2. 「モータ停止」フラグが設定されているか否かを確認するためのチェックを行う。このフラグが設定されている場合、モータが完全に停止していることは確実であり、モータを即座に再起動しても安全である。従って、ルーチンは、ステップ2.3に進む。「モータ停止」フラグが設定されていない場合、モータが完全停止になっているかは不確実であり、モータが依然としてジッタ位相状態にある可能性がある。従って、ルーチンは、ステップ2.4に進む。
2.3. ステップ2.2において「モータ停止」フラグが設定されていることを確認した後、フラグをクリアすることができ、処理は、直接ステップ2.6に進み、このステップにおいて、一般的なモータの起動ルーチンが実行される。
2.4. ステップ2.2において「モータ停止」フラグが設定されていないことを確認した後、モータは、フリーホイール制動を有効にする。モータが依然として回転している場合、フリーホイール制動は、モータがより迅速に停止状態になることを助長する。
2.5. フリーホイール制動が有効になると、処理が最後のステップ2.6に進む前に、所定期間、この場合には1.25秒の遅延が実行される。
2.6. 一般的なモータ起動ルーチンを開始する。
【0032】
前述の例示的な1.25秒の所定の遅延期間は、この遅延期間が、モータが電源オフになった後、ロータが完全停止状態になるのに必要な最小期間に対応するように計算される。この値は、モータ毎に様々であることを理解されたい。携帯型機器に搭載されている多くのモータの場合、この所定の遅延期間は、例えば、0.5秒から5秒の間と見込まれる。
【0033】
図3は、モータ2及びこのモータ2を制御するためのマイクロコントローラ3を備えたモータシステム1の概略図を示す。モータシステム1への電力は、AC電源4から供給される。AC電源4は、家庭用主電源であることが意図されている。
【0034】
モータ2は、永久磁石ブラシレスモータであり、少なくとも1つの相巻線を備える。制御システム3は、整流器5、DCリンクフィルタ6、インバータ7、ゲートドライバモジュール8、マイクロコントローラ9、及び回生制動モジュール10を備える。
【0035】
図4は、モータシステム1の構成要素のうちの多くを示す簡略的な回路図である。整流器5は、全波ブリッジ構成で配置された4つのダイオードD1からD4を備えており、AC電源4の出力を整流してDC電圧を供給する。
【0036】
DCリンクフィルタ6は、リンクコンデンサC1及びリンクインダクタL1を備える。リンクコンデンサC1は、インバータスイッチングに起因する比較的高周波数リップルを平滑化するように作動する。以下により詳細に説明するように、リンクコンデンサC1は、基本周波数での整流されたDC電圧を平滑化するのに必要とされない。従って、静電容量が比較的小さいリンクコンデンサを使用することができる。リンクインダクタL1は、インバータスイッチングに起因する何らかの残留電流リップルを平滑化するように作動する。この場合も、リンクインダクタL1は、インバータ10のスイッチング周波数でのリップルを低減するように意図されているので、比較的小さいインダクタンスのインダクタを使用することができる。
【0037】
インバータ7は、DCリンク電圧を相巻線14に接続する4つの電力スイッチS1からS4からなるフルブリッジを備える。各電力スイッチS1からS4はIGBTであり、主電源の大部分に特有の電圧レベルで作動することができる。代替的に、電力スイッチの定格及びAC電源4の電圧に応じて、BJT又はMOSFETなどの他のタイプの電力スイッチを使用することができる。スイッチS1からS4の各々は、インバータスイッチング中に生じる電圧スパイクに対してスイッチを保護するフライバックダイオードを含む。
【0038】
ゲートドライバモジュール8は、マイクロコントローラ9から受け取った制御信号に応答してインバータ7のスイッチS1からS4の開閉を駆動する。
【0039】
マイクロコントローラ9は、プロセッサ11、メモリデバイス12、及び複数の周辺機器13(例えば、ADC、コンパレータ、タイマなど)を備える。メモリデバイス12は、プロセッサ11によって実行されるソフトウェア命令を格納する。メモリデバイス12は、図1及び図2の方法で説明した「モータ停止」フラグなどのフラグを設定及びクリアすることができるEEPROMメモリ領域を備えることもできる。
【0040】
モータ2に対する制御スキームに関して、起動モード、加速モード、及び定速モードは、永久磁石ブラシレスモータに特有なものであり、いずれにしても本発明の範囲外にあるので本明細書では詳細に説明されない。
【0041】
回生制動モジュール10は、図3においてマイクロコントローラ9とは独立して示されているが、回生制動モジュールは、マイクロコントローラ9の一部を形成すること、具体的には、メモリデバイス12に格納され、図1のステップ1.3で説明した回生制動を実施するようにプロセッサ11によって実行される独立型ソフトウェア命令として形成することができることを理解されたい。ここで、回生制動及びこの回生制動をどのようにして実行するかを図5から図8を参照して説明する。
【0042】
回生制動は、モータへの電力がオフになった後に実行される。図5は、回生制動モード中のモータシステムの波形を示している。ロータの位置を示すことができる再同期信号が、回生制動モジュール10及び/又は制御システム3に供給される。いくつか実施形態では、この再同期信号は、ロータ位置センサ、例えば、ホールセンサを使用して検出することができる。従って、再同期期間は、モータの電気期間(electrical period)を示し、全再同期周期は、全電気周期に相当する。代替的に、再同期信号は、例えば、英国特許第2501370号に記載されているセンサレススキームを用いたソフトウェアで生成することができる。以下に説明するように、再同期信号は、回生制動中に必要とされるタイミングを作り出すのに用いられる再同期期間T_RESYNCを有している。
【0043】
図5の波形は、段階AからCに分割され、これらの段階が繰り返される。段階Aでは、全てのスイッチS1からS4がオフであり、相巻線14には相電流は存在せず、マイクロコントローラ9は再同期信号の立ち上がりエッジを待っている。再同期信号内の立ち上がりエッジが検出されると、段階Bが開始する。
【0044】
段階Bでは、スイッチS4が有効になり(オンになり)、ロータは依然として回転しているので、インダクタとして作用する相巻線に相電流が発生する。図6は、図4の回路図の一部分であり、回生制動波形の段階Bの間に何が起きるかを示す。ここでは、相巻線で生じた電流は、スイッチS4(オンに設定されている)を通って流れ、さらにスイッチS2のフライバックダイオードも通って流れることができる。従って、相電流は、矢印Bで示されているようにインバータ7の下半分の周りで循環する。従って、段階Bの間、相インダクタンスが充電(チャージ)され、ロータの運動エネルギーは、誘導相電流によって生成された磁場の形態で磁気エネルギーに変換されると言うことができる。加えて、誘導磁場は、ロータの永久磁石の磁場に対して作用する場合にロータを減速させる効果がある。段階Bは、再同期期間の所定の比率で持続する。モータの要件、及び回生制動中に回収する必要があるエネルギーレベルに応じて、段階Bの比例長さを調整することができる。しかしながら、再同期期間の1/4の期間、すなわち
T_B=T_RESYNC/4
が特に効率的かつ有用であることが分かっている。
【0045】
段階Bが終了すると、スイッチS4が無効になり(オフになり)、誘導磁場に蓄えられた磁気エネルギーが電気エネルギーに変換され、この電気エネルギーはDCリンクコンデンサC1を充電するよう作用する。図7は、段階Cでもたらされる図6の回路の変化を示している。ここで、S4はオフに切り替わり、相インダクタンスの磁場に蓄えられたエネルギーは、磁場の崩壊と共に電気エネルギーに変換される。もはやS4を通過できない誘導電流は、図7の矢印Cで示すようにS2及びS3の両方のダイオードを通過し、DCリンクコンデンサを充電する。
【0046】
図5の相電流波形の下のクロスハッチ領域は、回生制動によって獲得される電力を表す。段階Cが終了すると、段階Aが繰り返され、システムは、次の再同期信号の立ち上がりエッジが検出されるのを待つ。
【0047】
段階Cは、所定期間T_Cにわたって持続する。T_Cの長さは妥協案である。これは、相電流がゼロに戻るのを可能にする程度に長いことが必要であるが、ロータの最大速度であってもこの長さが次の再同期信号の立ち上がりエッジを越えない程度に短いことも必要である。このことは、ロータの位置を特定するのにホールセンサを使用しないセンサレスシステムでは特に重要である。センサレスシステムにおいてT_Cが長すぎる場合、次の再同期信号の立ち上がりエッジが欠損する場合があり、制御スキームが機能しなくなる。T_B=1/4 T_RESYNCである、120krpmの最大速度を有するモータの1つの特定の実施形態において、期間T_Cは、150μs(1.5×10-4秒)に設定される。可能性のある最も短い再同期期間T_RESYNC_MINは、モータが最大速度で回転している場合である。前述した特定の実施形態において、T_RESYNC_MINは、モータが120krpmの最大速度で回転して場合に250μsであり、従って、T_B+T_Cは、最大速度において212.5μsであり、この値は、T_RESYNC_MINよりも短い。従って、ソフトウェアは、ロータの最大速度であって依然として次の再同期信号の次の立ち上がりエッジを検出することができる。T_Cの長さは、モータの最大速度及びT_Bの所望の長さも含む、いくつかの要因に依存することを理解されたい。しかしながら、好ましくは、T_Cの長さは、(1/2×T_RESYNC_MIN)と(3/4×T_RESYNC_MIN)との間である。
【0048】
ロータが減速する場合、T_RESYNCが変化するのでT_Bの長さが明らかに変化する。このスキームを単純化して、システムダウンのメモリ及び電力要件を維持するために、上記の方法は、固定長のT_Cとすることを提案する。しかしながら、別の実施形態において、より長いT_RESYNC期間に対処するために、モータが減速する際にT_Cの値を変更することも望ましいであろう。例えば、様々なT_RESYNC値に対するT_Cの値をルックアップテーブルに保持してこの値を用いることができる。
【0049】
図8は、図1のステップ1.3の回生制動モード中に実行されるステップの概要を示すフローチャートである。このフローチャートは、このステップと前述の段階A−Cとの相関も示している。
8.1. モータを例えば図1のフローチャートのステップ1.3としての回生制動モードにする。
8.2. 再同期期間を測定する。これは再同期信号の2つの再同期立ち上がりイベントの間のタイマを測定することによって行われる。
8.3. 先に決定した再同期期間からT_Bを計算する。上記の検討例では、このT_Bの値は、正しく測定された再同期期間の4分の1である。スイッチS4が有効にされ、図5の波形で示される相電流が立ち上がり始める。本明細書では回生タイマと呼ばれるタイマが起動する。回生タイマは、前述した段階B及びCの長さ、すなわち、T_B及びT_Cを測定するのに用いられる。本明細書では、両方の期間を測定する単一の回生タイマを説明するが、別のタイマを用いてT_B及びT_Cを測定することもできる。
8.4. DCリンク電圧が、設定閾値を越えていないことを保証するためのチェックを行う。前述したように、DCリンクコンデンサC1は、過充電されると破損する場合がある。従って、閾値は、コンデンサ及び他の電気部品を保護するように作用する。DCリンク電圧が閾値を越えている場合、処理は直接ステップ8.8に進む。DCリンク電圧が閾値を下回る場合、処理はステップ8.5に進む。
8.5. DCリンク電圧が閾値を下回ることが確認されると、ステップ8.3で起動された回生タイマが、ステップ8.3で計算されたT_B期間を超えてオーバフローしているか否かを確認するためのチェックを行う。タイマがまだT_Bを超えてオーバフローしていない場合、処理は、タイマが実際にオーバフローするまでステップ8.5を繰り返す。オーバフローが生じた場合、処理はステップ8.6に進む。
8.6. このステップは段階Cに対応する。スイッチS4が無効にされ、磁場に蓄えられた磁気エネルギーが電気エネルギーに変換され、次に、この電気エネルギーがDCリンクコンデンサC1に蓄えられる。スイッチS4がオフになると、次に、所定期間(すなわち、T_C)にわたる遅延が存在する。この遅延は、回生タイマによって測定することができる。所定期間(T_C)が経過した後、段階Cが終了し、処理はステップ8.7に移る。
8.7. この段階は、段階Aの繰り返しを表す。システムは、次の再同期信号の立ち上がりエッジイベントの検出を待つ。このイベントが検出されると、最新の再同期期間を計算することができ、次に、処理サイクルは、ステップ8.3に戻る。ロータは、経時的に減速するので、T_Bの長さが現在の再同期期間T_RESYNCの長さに適合していることを保証するために、再同期期間を定期的に更新することが重要である。
8.8. フリーホイール制動モードが有効になり回生制動に取って代わる。
【0050】
フリーホイール制動は公知であり、本明細書ではフリーホイール制動について詳細に説明しない。しかしながら、要約すると、フリーホイール制動は、S2及びS4の両方を有効にする(S2及びS4がオンに切り替わる)段階を含む。このようにして、相巻線に誘導された電流は、インバータの下半分の周りでフリーホイールし、これに応答して起電力が発生し、起電力はロータの回転を妨害するように作用するのでロータが減速する。スイッチS2及びS4は、全フリーホイール制動期間中にオンのままである。
【0051】
前述の回生制動を実行するための方法は、段階Bの間にスイッチS4をオンにし、次に、段階Cの間にスイッチS4をオフにする段階を含む。しかしながら、代替手段では、スイッチS4の代わりにスイッチS2を使用することができる。この代替手段では、相巻線を通る電流の流れの方向が逆になる。この代替手段では、段階Cにおいて、電流は、図7に示されるスイッチS2及びS3の代わりにスイッチS4及びS1のダイオードを通って流れる。
【0052】
本明細書で説明したモータ停止、モータ起動、及び回生制動のためのスキームは、いずれのモータにも適用できることを理解されたい。しかしながら、これは消費者製品のモータのための制御スキームに用いる場合に特に好都合であり、ここでは、製品をオンにしたときの起動までの何らかの遅延が、消費者にとって不都合であるとして又は製品が故障している可能性があることを示すものとして知覚される場合がある。図9は、モータ2を備えた携帯型機器20の一例を示す。図9に示す携帯型機器20はヘアドライヤであるが、モータ2は、他の製品及び機器、例えば、他のヘアケア製品、電気掃除機、扇風機、ハンドドライヤなどで使用することもできる。
【0053】
前記では特定の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができることを理解されたい。
【0054】
例えば、前述した実施形態では、回生制動によりDCリンクコンデンサC1が充電される。しかしながら、別の実施形態では、異なるコンデンサ又は電荷保持デバイスを使用して、回生制動中に回収されたエネルギーを蓄えることができる。しかしながら、DCリンクコンデンサを使用することによって、作用する追加の構成要素を必要とすることなく、モータシステムのコストを低く抑えることができる。
【0055】
前述した実施形態では、AC電源から電力が供給されるモータが示されている。しかしながら、上記のモータ停止スキーム、モータ起動スキーム、及び回生制動スキームの1又は2以上は、バッテリ式電気モータの制御に使用することもできる。この場合、バッテリ式モータは、充電されるDCリンクコンデンサを有していないが、代わりに別のコンデンサ又は他の電荷保持デバイスを使用することができる。代替的に、回生制動スキームで回収されたエネルギーは、モータ作動時にモータに電力を供給するのに使用される主バッテリパックに戻して蓄えることができる。
以下に本発明の実施態様を記載する。
(実施態様1)ロータを有する電気モータを制御する方法であって、前記方法は、前記モータの停止が開始された後に実行され、
モータコントローラ内のタイマを起動する段階と、
回生制動を実行して、前記ロータから運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する段階と、
回生制動から回収された電気エネルギーを使用して前記モータコントローラに電力を供給する段階と、
前記モータコントローラ内の前記タイマが所定のタイマ値を超過すると、前記モータが停止したことを示すフラグを前記モータコントローラ内のメモリに設定する段階と、
を含む方法。
(実施態様2)回収された前記電気エネルギーは、コンデンサに蓄えられる、実施態様1に記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様3)前記コンデンサは、DCリンクコンデンサである、実施態様2に記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様4)前記コンデンサの両端の電圧を最大電圧閾値と比較する段階をさらに含む、実施態様2又は3に記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様5)前記コンデンサの両端の電圧が前記最大電圧閾値を上回ると、回生制動を停止して、フリーホイール制動を開始する、実施態様4に記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様6)前記所定のタイマ値は、前記モータの停止が開始された後、前記ロータが完全停止状態になるのに必要な最小期間に対応する、実施態様1〜5のいずれかに記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様7)前記所定のタイマ値は、0.5秒から5秒の間である、実施態様1〜6のいずれかに記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様8)前記所定のタイマ値は、1秒から2秒の間である、実施態様7に記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様9)前記フラグは、前記モータコントローラ内の不揮発性メモリに設定される、実施態様1〜8のいずれかに記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様10)前記フラグは、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)に設定される、実施態様9に記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様11)電気モータを制御する方法であって、前記方法は、前記モータの起動が開始された後に実行され、
前記電気モータが停止したことを示すフラグが、モータコントローラ内のメモリに設定されているか否かをチェックする段階と、
前記フラグが設定されている場合、前記モータコントローラがモータ起動ルーチンを実質的に即座に開始することを可能にする段階、又は、
前記フラグが設定されていない場合、前記モータコントローラが前記モータ起動ルーチンを開始するのを所定の遅延期間にわたって遅延させる段階と、を含む方法。
(実施態様12)前記フラグが設定されている場合、前記フラグをクリアする段階をさらに含む、実施態様11に記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様13)前記フラグが設定されていない場合、前記所定の遅延期間中に、制動ルーチンを有効にする段階をさらに含む、実施態様11に記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様14)前記制動ルーチンは、フリーホイール制動を含む、実施態様13に記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様15)前記所定の遅延期間は、前記モータがオフになった後、ロータが完全停止状態になるのに必要な最小期間に対応する、実施態様11〜14のいずれかに記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様16)前記所定の遅延期間は、0.5秒から5秒の間である、実施態様11〜15のいずれかに記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様17)前記所定の遅延期間は、1秒から2秒の間である、実施態様16に記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様18)実施態様1〜10のいずれかに記載の方法により停止したモータを起動するのに用いられる、実施態様11〜17のいずれかに記載の電気モータを制御する方法。
(実施態様19)永久磁石電気モータの電気周期を反映する再同期信号を供給する、永久磁石電気モータのための回生制動方法であって、
前記再同期信号の再同期期間を測定する段階と、
前記電気周期の第1の部分において、ロータの回転磁場を用いて相インダクタンスを充電する段階と、
前記モータの電気周期の第2の部分において、充電された前記相インダクタンスを用いて、続いてコンデンサを充電する段階と、を含む回生制動方法。
(実施態様20)前記電気周期の第1の部分は、測定された前記再同期期間の所定の比率部分にわたって持続する、実施態様19に記載の回生制動方法。
(実施態様21)前記所定の比率部分は、測定された前記再同期期間の1/4である、実施態様20に記載の回生制動方法。
(実施態様22)前記電気周期の第2の部分は、所定の設定値の間にわたって持続する、実施態様19〜21のいずれかに記載の回生制動方法。
(実施態様23)前記所定の設定値は、前記再同期期間の最小値の少なくとも50%から75%であり、前記再同期期間の最小値は、前記モータが前記モータの最大速度で動作しているときの前記再同期期間の長さである、実施態様22に記載の回生制動方法。
(実施態様24)ロータの回転磁場を用いて相インダクタンスを充電する前記段階は、前記モータのインバータの1つのスイッチのみを有効にして、電流が相巻線を通って流れることを可能にする段階を含む、実施態様19〜23のいずれかに記載の回生制動方法。
(実施態様25)充電された相インダクタンスを用いて、続いてコンデンサを充電する前記段階は、前記モータのインバータの全てのスイッチを無効にする段階と、強制的に誘導電流をコンデンサの片側から他方側に流す段階とを含む、実施態様19〜24のいずれかに記載の回生制動方法。
【符号の説明】
【0056】
1 モータシステム
2 モータ
4 AC電源
5 整流器
6 DCリンクフィルタ
7 インバータ
8 ゲートドライバモジュール
9 マイクロコントローラ
10 回生制動モジュール
11 プロセッサ
12 メモリ
13 周辺機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9