【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、上述した欠点を回避した、断面において膨張する媒体をラッピングして接着する方法を提供することである。
【0005】
また、本発明の課題は、上述した欠点を回避した自己接着テープを備えたデバイスを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる課題は、本発明による方法を実施できるアプリケーターを提供することである。
【0007】
該課題は、請求項1の特徴を有する最初に述べた方法によって、その第一の態様において解決される。
【0008】
本発明による方法で使用するための接着テープは、好ましくは、接着テープの長手方向および幅に沿って全体に延在するキャリアフィルムを有する。キャリアフィルムの一方の面上には、接着剤層が好ましくは全面的に設けられており、そして、以下では裏面と呼ばれる、その一方の面とは反対側のキャリアフィルムの面上には、剥離剤層(および/またはそのほかの層)は設けられていない。
【0009】
本発明の変形の一つにおいて、剥離剤層は部分的に存在し、剥離剤層によって覆われた領域は、キャリアの裏面の全面積の最大50%、好ましくは最大20%、より好ましくは最大10%、さらに好ましくは最大5%を占める。本発明の本質は、
少なくともフィルムの
裏側の表面、好ましくは、両方の表面がエッチングされることである。
【0010】
接着テープは、接着テープロール上に設けられ、そして、その接着テープロールから使用するために巻きほどかれる。接着テープまたは接着テープの一部は巻きほどかれる。接着テープは、接着テープの少なくとも一部が直接隣接する下の巻き層に接着剤層でもって接着されるように、断面において膨張する媒体の周りに巻き付けられる。
【0011】
好ましくは、巻き断面において膨張する媒体の周囲にいくつかの上下に重ね合わされた巻き層に接着テープを巻くことも企図される。本発明によれば、接着テープは、少なくとも巻き層の一部に沿って、またはいくつかの巻き層に沿って、該テープ自体にも接着する。
【0012】
適切なキャリアフィルムは、例えば、PA、PUまたはPVC、ポリオレフィンまたはポリエステル、好ましくはPET(ポリエチレンテレフタレート)からなるポリエステルなどのフィルムである。フィルム自体は、いくつかの個々の層、例えば、共押出しした層からなることができる。
【0013】
ポリオレフィン以外には、エチレンと、極性モノマー、例えば、スチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルまたはアクリル酸とのコポリマーも適切である。これは、HDPE、LDPE、MDPEのようなホモポリマーであってもよいし、あるいは、エチレンまたは他のオレフィン、例えば、プロペン、ブテン、ヘキセンまたはオクテンのコポリマー(例えば、LLDPE、VLLDE)であってもよい。また、ポリプロピレン(例えば、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマーまたはポリプロピレンブロックコポリマー)も適している。
【0014】
ポリエステルをベースとするフィルム、特に、ポリエチレンテレフタレートのフィルムが、とりわけ好ましい。
【0015】
本発明によれば、フィルムとして一軸延伸および二軸延伸されたフィルムを卓越して使用することが可能である。例えば、一軸延伸されたポリプロピレンは、長手方向において、非常に高い引き裂き強度および低い伸びを特徴とする。
【0016】
粗面化のために非常に良好な結果を得るために、トリクロロ酢酸(Cl
3C−COOH)またはトリクロロ酢酸を、不活性結晶性化合物、好ましくはケイ素化合物、特に、好ましくは[SiO
2]
xと組み合わせて、フィルムをエッチングする試薬として使用することが推奨される。不活性結晶性化合物の意図は、PETフィルムの表面にこれを組み込んで、それにより粗度および表面エネルギーを高めることである。
【0017】
好ましい一実施形態によるフィルムの厚さは5〜250μm、好ましくは、6〜120μm、特に、12〜100μm、就中、28〜50μm、とりわけ、36μmである。
【0018】
キャリアフィルムとして特に好ましいのは、両面がエッチングされたポリエチレンテレフタレートフィルムである。そのようなものは、Coveme社の商品名Kemafoil HPHとして入手可能である。
【0019】
フィルムの製造のために、添加剤およびさらなる成分を添加することが適切であり得、これらは、成膜性を向上させ、結晶性セグメントを形成する傾向を減少させ、および/または、目標とする機械的特性を向上させるか、または場合によっては悪化させる。
【0020】
フィルムは、着色および/または透明であり得る。
【0021】
キャリアフィルムの一方の面上には、好ましくは、キャリアフィルムの面を全面的に覆う接着剤層が設けられている。公知の接着系の全てが使用できる。
【0022】
天然または合成ゴムベースの接着剤以外には、特に、シリコーン接着剤およびポリアクリレート接着剤、好ましくは、低分子量アクリレートホットメルト感圧接着剤が使用可能である。後者は、ドイツ国特許第198 07 752 A1号明細書(特許文献1)およびドイツ国特許第100 11 788 A1号明細書(特許文献2)においてより詳細に記載されている。アクリレートベースのUV架橋性接着剤も適している。
【0023】
塗工重量は、好ましくは、15〜200g/m
2、より好ましくは、30〜120g/m
2の範囲であり、特に好ましくは、50g/m
2である(これは、おおよそ15〜200μm、より好ましくは30〜120μm、特に好ましくは50μmの厚さに相当する。)。
【0024】
好ましくは、接着剤は感圧接着剤、つまり、乾燥状態において室温で永続的に接着性および粘着性を維持する粘弾性物質である。ほとんどすべての基材上で、軽い圧力で直ちに接着する。
【0025】
感圧接着剤は、ブロックコポリマーを含有するポリマーブロックをベースにしたものである。これらは、スチレンのようなビニル芳香族(Aブロック)および、例えば、ブタジエンおよびイソプレンまたは両方のコポリマーのような、1,3−ジエンの重合によるもの(Bブロック)であることが好ましい。様々なブロックコポリマーの混合物を使用することも可能である。部分的または完全に水素化された生成物が好ましい。
【0026】
ブロックコポリマーは、線状A−B−A構造を有することができる。放射型のブロックコポリマー、ならびに星型および線状のマルチブロックコポリマーを同様に使用できる。
【0027】
約>75℃のガラス転移温度を有する他の芳香族含有ホモポリマーおよびコポリマー(好ましくはC
8〜C
12芳香族)をベースとする、例えば、α−メチルスチレン含有芳香族ブロックのようなポリマーブロックを、ポリスチレンブロックの代わりに使用することができる。同様に、>+75℃のガラス転移温度を有する(メタ)アクリレートホモポリマーおよび(メタ)アクリレートコポリマーをベースとするポリマーブロックを使用することができる。この場合、一方が硬質ブロックとして(メタ)アクリレートポリマーだけをベースとするもの、他方が、例えば、ポリスチレンブロックなどのポリ芳香族ブロックおよびポリ(メタ)アクリレートブロックの両方を利用するようなブロックコポリマーが使用できる。
【0028】
個々の場合に特に明記しない限り、無機ではない、かつ、主として無機ではない材料、特に、有機材料およびポリマー材料のガラス転移温度に関するデータは、DIN53765:1994−03によるガラス転移温度−値Tgが参照される(セクション2.2.1を参照)。
【0029】
スチレン−ブタジエンブロックコポリマーおよびスチレン−イソプレンブロックコポリマーおよび/またはそれらの水素化生成物、したがって、スチレン−エチレン/ブチレンブロックコポリマーおよびスチレン−エチレン/プロピレンブロックコポリマーの代わりに、本発明によれば、別のポリジエン含有エラストマーブロック、例えば、いくつかの異なる1,3−ジエンのコポリマーを利用したブロックコポリマーおよびそれらの水素化生成物を使用することも同様に可能である。別の官能化ブロックコポリマー、例えば、無水マレイン酸変性またはシラン変性スチレンブロックコポリマーを本発明に従って使用することができる。
【0030】
ブロックコポリマーの典型的な使用濃度は、30重量%〜70重量%の範囲、特に、35重量%〜55重量%の範囲の濃度である。
【0031】
別のポリマーとして、純粋な炭化水素、例えば、天然のまたは合成的に製造されたポリイソプレンまたはポリブタジエンのような不飽和ポリジエンをベースとするもの、化学的に、本質的に飽和したエラストマー、例えば、飽和エチレン−プロピレンコポリマー、α−オレフィンコポリマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ならびに、化学的に官能化された炭化水素、例えば、ハロゲン含有アクリレート含有またはビニルエーテル含有ポリオレフィン、を存在させることができ、これはビニル芳香族ブロックコポリマーを半分まで置換することができる。
【0032】
接着樹脂は接着付与剤として役立つ。
【0033】
適切な接着樹脂には、とりわけ優先的に、ロジンまたはロジン誘導体をベースとする、部分的または完全に水素化された樹脂である。少なくとも部分的に水素化された炭化水素樹脂、例えば、芳香族含有炭化水素樹脂の部分的または完全な水素化によって得られる水素化された炭化水素樹脂(例えば、Arkon PおよびArkon Mシリーズ(Arakawa社)またはRegaliteシリーズ(Eastman社)、水素化されたジシクロペンタジエン−ポリマーをベースとする炭化水素樹脂(例えば、ExxonのEscorez 5300シリーズ)、水素化されたC5/C9樹脂をベースとする炭化水素樹脂(Exxon社のEscorez 5600シリーズ)または、水素化されたC5樹脂をベースとする炭化水素樹脂(Eastman社のEastotac)またはそれらの混合物を使用することも可能である。
【0034】
ポリテルペンをベースとする水素化されたポリテルペン樹脂も使用することができる。上述の接着性樹脂は、単独でも混合しても使用することができる。
【0035】
さらなる添加剤として、典型的に、光安定剤、例えば、UV吸収剤、立体障害アミン、オゾン劣化防止剤、金属不活性化剤、加工助剤、末端ブロック強化樹脂を使用することが可能である。
【0036】
例えば、分子量<1500g/mol(数平均)または液状のEPDMタイプを有する低分子量ポリイソブチレンなどの液体樹脂、可塑剤油または低分子量液体ポリマーなどの可塑剤が典型的に使用される。
【0037】
接着剤は、接着テープのキャリアよりも小さい幅を有するストリップの形態で接着テープの長手方向に施用できる。
【0038】
コーティングしたストリップは、キャリア材料の幅の10%〜80%の幅を有することができる。特に好ましくは、キャリア材料の幅の20%〜50%のコーティングを有するストリップを使用するような場合である。
【0039】
使用の場合に応じて、接着剤のいくつかの平行なストリップをキャリア材料上にコーティングすることもできる。
【0040】
キャリア上のストリップの位置は自由に選択可能であり、その際、キャリアの縁部の一つに直接配置することが好ましい。
【0041】
接着剤の製造および加工は、溶液、分散液および溶融物から行うことができる。好ましくは、製造および加工方法は、溶液からならびに溶融物から実施される。特に好ましくは溶融物からの接着剤の製造であり、その際、バッチ法または連続法を用いることできる。特に有利なのは、押出機を用いて感圧接着剤を連続的に製造することである。
【0042】
溶融物から加工する場合、これらは、ノズルまたはカレンダーによる塗工方法であることができる。
【0043】
溶液からの方法では、少し挙げるとドクターブレード、ナイフまたはノズルを用いたコーティングが知られている。
【0044】
最後に、接着テープは、使用するまで接着剤層を覆うカバー材料を有することができる。カバー材料として適切なものは、上に詳述した全ての材料である。
【0045】
しかしながら、好ましくは、プラスチックフィルムまたは十分に接着された長繊維紙のような毛羽立ちのない材料が使用される。
【0046】
ライナーが存在する接着テープの変形が好ましい。
【0047】
ライナー(剥離紙、剥離フィルム)は、接着テープまたはラベルの一部ではなく、それらの製造、保管または打ち抜きによるさらなる加工のための助けとなるだけである。さらに、接着テープのキャリアとは異なり、ライナーは接着剤層にしっかりと結合されていない。
【0048】
公知の接着テープの問題点は、剥離剤層は、一方では、接着剤層とキャリアフィルムとの間の剥離力を有利に低減する必要があり、それにより、保管のために接着テープ自体を巻きあげることが可能であり、また巻きほどきを可能にする、という事実である。巻きほどかれた接着テープは、依然として剥離剤層を有しているため、後にその接着テープを、巻き断面において可変である媒体の周りに新たに巻き付ける際に、同様に、しかぢながら、不都合なことに、接着剤層と、その下にあるキャリアフィルムとの間の剥離力が低下し、そして、巻きの強度が低下する。
【0049】
驚くべきことに、エッチングされたフィルムを使用することによって、剥離力が予想外に高くなる可能性があることが示されている。
【0050】
該課題は、さらに、本発明によるアプリケーターによって解決される。
【0051】
本発明のアプリケーターは、接着テープロール、および該接着テープロールから接着テープを巻きほどくためのデバイスを含み、その際、該接着テープロールから巻きほどかれた接着テープには、キャリアフィルムの片面上に接着層が設けられている。
【0052】
好ましいやり方では、アプリケーターは接着テープのための切断装置を有する。該切断装置は、巻きほどかれて、上に貼り付けられた接着テープの切断を可能にする。
【0053】
アプリケーターはまた、接着テープを基材上に押圧するためのニップロールを含むことができる。
【0054】
さらに、場合によって既存のライナーのための収集装置を提供することができる。
【0055】
本発明の好ましい一実施形態において、接着テープは、接着テープの長手方向に延びる、引張り強度を高める少なくとも一つのフィラメントを有する。フィラメントは、特に、ガラスフィラメントまたはPETフィラメントであり得る。フィラメントは、キャリアフィルムおよび/または接着剤層にも組み込むことができる。通常、フィラメントは、個々のフィラメントの束からなり、その際、サイジング、すなわちバインダーによって、個々のフィラメントを結合させて該束は形成される。
【0056】
フィラメントは、キャリアフィルムまたは接着剤層またはその両方に、長手方向において、互いに隣接して、互いに離間して配置するか、または、ノンクリンプ織物または織物として一体化することもできる。
【0057】
フィラメントノンクリンプ織物またはフィラメント織物は、長手方向において、好ましくは少なくとも100N/cm、より好ましくは200N/cm、特に好ましくは500N/cmの引張り強度を有する。
【0058】
好ましくは、該ノンクリンプ織物または織物を形成するために使用されるヤーンは、80〜2200dtex、好ましくは280〜1100dtexの繊度を有する。
【0059】
本発明の目的のために、フィラメントは、文献においてマルチフィラメントと呼ばれることが多い、平行な線状の個々の繊維/個々のフィラメントの束を意味すると理解される。場合によっては、この繊維の束は撚り合わせることによって堅くすることができ、その場合には、紡糸されたまたは撚られたフィラメントと呼ばれる。あるいはまた、圧縮空気またはウォータージェットで旋回させることにより、繊維束を強化することができる。以下では、一般化のために、これらの実施形態の全てにおいてフィラメントという語だけが使用される。
【0060】
フィラメントは、テクスチャー加工されているか、または、滑らかかつポイント強化(punktverfestigt)されているか、または、強化されずに存在させることができる。
【0061】
ノンクリンプ織物/織物は、後から染色することができるか、またはスパン染色されたヤーンからなることができる。
【0062】
より好ましくは、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリアミドのフィラメント、好ましくはポリエステル(ジオール)からなるものである。
【0063】
本発明は、第二の態様において、デバイスによって解決される。
【0064】
デバイスという語はここでは一般的に理解されるべきである。デバイスは、変圧器、パッケージング、スチールバンドル、電池および高電圧バッテリーのような、巻き断面において大きさが可変である媒体を含む。媒体は、巻き断面において、好ましくは温度の影響によって可変である。媒体の周りには、巻き断面に沿って、それ自体の上に巻かれた接着テープが設けられ、該接着テープは、媒体の周囲に延在して、その上で、周囲に張り巡らされて置かれて、媒体上で接着されている。
【0065】
該デバイスは、キャリアフィルムを有する接着テープであって、それ自体の上に巻かれる接着テープを含み、該接着テープは、一方の面上に接着剤層が施用されている。該接着テープは、特に、巻き断面において膨張する媒体、例えば、高電圧バッテリーの周りに巻き付けるために設けられる。デバイスは、特に、接着テープに関して、好ましくは上述の方法の一つによって製造される。
【0066】
本発明を図面の実施形態に基づいて説明する。