特許第6556220号(P6556220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556220
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】三相流体の取扱い
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20190729BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   G01N1/00 101F
   C12M1/26
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-505801(P2017-505801)
(86)(22)【出願日】2015年8月3日
(65)【公表番号】特表2017-530338(P2017-530338A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】IB2015055902
(87)【国際公開番号】WO2016020837
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2018年7月11日
(31)【優先権主張番号】62/032,885
(32)【優先日】2014年8月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513014477
【氏名又は名称】ジェンセル バイオシステムズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】バレット,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン,カイトリオナ
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−074960(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第2453585(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0120604(US,A1)
【文献】 特開昭58−035463(JP,A)
【文献】 特開2010−220618(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0203169(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/083435(WO,A2)
【文献】 特開2013−007579(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0288710(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0247487(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0134717(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00
C12M 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相流体構造中の標的流体を容器から管へ移動させる方法であって、
(a)前記管の開放遠位端を、前記三相流体構造を含む前記容器の側壁に沿って垂直に位置付けるステップであって、前記三相流体構造がキャリヤ流体、標的流体、および封入流体を含み、前記管の前記開放遠位端が少なくとも部分的に前記キャリヤ流体内にある、ステップと、
(b)流体を前記開放遠位端を介して前記管に引き込むステップであって、前記引き込まれる流体が前記標的流体および前記封入流体を含む、ステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記キャリヤ流体は前記標的流体よりも高密度であって、前記標的流体は前記封入流体よりも高密度であり、前記3種類の流体は互いに不混和性であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記管の前記開放遠位端は完全に前記キャリヤ流体内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記容器の前記側壁は、前記キャリヤ流体と前記封入流体との間の界面がメニスカスを形成するような材料から構成され、前記メニスカス中では、前記キャリヤ流体が凸状であって、前記封入流体が凹状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記管の近位端が圧力源と動作可能に結合され、前記開放遠位端を介して流体を前記管に引き込むステップは、前記圧力源に前記管の前記開放遠位端で負圧を生成させるステップを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに一項に記載の方法。
【請求項6】
前記標的流体は生物学的試料および/または試薬を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記管内の前記標的流体を所望のレセプタクルに分注するステップをさらに有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第2の三相流体構造中の第2の標的流体を第2の容器から前記管へ移動させるステップをさらに有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
容器内の対応する三相流体構造中の複数の標的流体が複数の対応する管へ同時に移動されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
三相流体を取扱うシステムであって、
(a)管の開放遠位端を、三相流体構造を含む容器の側壁に沿って垂直に位置付けることであって、前記三相流体構造がキャリヤ流体、標的流体、および封入流体を含み、前記管の前記開放遠位端が少なくとも部分的に前記キャリヤ流体内に位置付けられる、ことと、
(b)前記標的流体および封入流体を前記開放遠位端を介して前記管に引き込むことと
を行うように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記キャリヤ流体は前記標的流体よりも高密度であって、前記標的流体は前記封入流体よりも高密度であり、前記3種類の流体は互いに不混和性であることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記管の近位端に動作可能に結合された圧力源であって、前記開放遠位端を介して流体を前記管に引き込むために前記管の前記開放遠位端で負圧を生成するように構成された圧力源を備えることを特徴とする請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
第2の三相流体構造中の第2の標的流体を第2の容器から前記管に引き込むようにさらに構成されていることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
容器内の対応する三相流体構造中の複数の標的流体を複数の対応する管へ同時に移動させるようにさらに構成されていることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記管内の前記標的流体を所望のレセプタクルに分注するようにさらに構成されていることを特徴とする請求項10〜14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
生物学的試料の処理は、3種類の相互に不混和性の液体を伴う流体システム内で有利に実行可能である。そのようなシステムは、複合液体セル(CLC)であって、試料流体が封入流体によって隔離され、それらの両方がキャリヤ流体の上に浮かんでいる複合液体セル(CLC)を形成するために使用することができる。CLCは米国特許第8,465,707号明細書により詳細に記載され、この特許は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
多くの実行において、CLCは、対象の試料または試薬、例えば生物学的構成要素または試薬を含む水性相を中心に構成される。水性相は、水性相と不混和性でありかつ水性相よりも高密度であるキャリヤ流体の上に浮かぶ。水性相の上にあるのは、水性相およびキャリヤ流体の両方と不混和性であり、かつ水およびキャリヤ流体の両方よりも低密度である封入流体である。このように、CLCは、「三相流体」であり、すなわち、3種類の相互に不混和性の相:キャリヤ流体、水性相(ときに試料と称される)、および封入剤を含む。CLCは頑丈であることが分かっており、また操作されることができ、例えば1つの場所から他の場所へ移動される、他のCLCに添加される、他のCLCと統合される、分割される等が可能である。封入はCLCを本質的に汚染がない状態にしておく。CLCはまた、非常に小さいサイズに形成可能であり、それに伴う少ない量は、潜在的に高価な試薬の非常に効果的な使用を可能にする。
【0003】
全てのこれらの要因は、CLCが、例えばPCR、dPCR、qPCR、TMA、bDNA、LCR、および核酸ライブラリ作製において、生物学的試料の処理に優れた場所であることを意味する。
【0004】
CLCは、大きいキャリヤ流体浴が何もない表面上に形成可能である一方、流体の三相構造は、小さい自蔵式容器(またはウェル)の内側に形成、貯蔵または配置することもできる。アッセイまたは他のプロセスで使用するために自蔵式容器またはウェル内に含まれた流体の三相構造の水性相を取り除くことがしばしば必要である。例えば、容器内の流体の三相構造は、水性相中に、容器から取り出されるべきおよび特定のプロトコルの所定の段階でCLCに添加されるべき所定量の試薬を含み得る。容器内の流体の三相構造から水性相の全てを繰り返し可能におよび確実に取り出すことは、水性相の構成要素を用いる下流プロセスの一体性を維持するために重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/247487号明細書
【発明の概要】
【0006】
標的流体を三相流体構造から取り出すための方法、ならびにそのような方法を実行するためのシステムおよび方法が開示される。
【0007】
本開示の態様は、三相流体構造中の標的流体を容器から管へ移動させる方法を含み、方法は、(a)管の開放遠位端を、三相流体構造を含む容器の側壁に沿って垂直に位置付けるステップであって、三相流体構造がキャリヤ流体、標的流体、および封入流体を含み、管の開放遠位端が少なくとも部分的にキャリヤ流体内にある、ステップと、(b)流体を開放遠位端を介して管に引き込むステップであって、引き込まれる流体が標的流体および封入流体を含む、ステップとを有する。
【0008】
特定の実施形態では、キャリヤ流体は標的流体よりも高密度であって、標的流体は封入流体よりも高密度であり、それらの3種類の流体は互いに不混和性である。
【0009】
特定の実施形態では、管の開放遠位端は完全にキャリヤ流体内にある。
【0010】
特定の実施形態では、容器の側壁は、キャリヤ流体と封入流体との間の界面がメニスカスを形成するような材料から構成され、メニスカス中では、キャリヤ流体が凸状であって、封入流体が凹状である。
【0011】
特定の実施形態では、容器は円筒形である。
【0012】
特定の実施形態では、容器の一部は円錐形である。
【0013】
特定の実施形態では、管の近位端は圧力源と動作可能に結合され、開放遠位端を介して流体を管に引き込むステップは、圧力源に管の開放遠位端で負圧を生成させるステップを有する。
【0014】
特定の実施形態では、標的流体は水性である。
【0015】
特定の実施形態では、標的流体は生物学的試料および/または試薬を含む。
【0016】
特定の実施形態では、キャリヤ流体の密度が1,300〜2,000kg/m3 である。
【0017】
特定の実施形態では、標的流体の密度が900〜1,200kg/m3 である。
【0018】
特定の実施形態では、封入流体の密度が700〜990kg/m3 である。
【0019】
特定の実施形態では、キャリヤ流体と標的流体との間の密度の差が50〜2000kg/m3 である。
【0020】
特定の実施形態では、標的流体と封入流体との間の密度の差が50〜2000kg/m3 である。
【0021】
特定の実施形態では、キャリヤ流体はフルオロカーボン油である。
【0022】
特定の実施形態では、封入流体はシリコーン油である。
【0023】
特定の実施形態では、方法は、管内の標的流体を所望のレセプタクルに分注するステップをさらに有する。
【0024】
特定の実施形態では、方法は、第2の三相流体構造中の第2の標的流体を第2の容器から管へ移動させるステップをさらに有する。
【0025】
特定の実施形態では、第2の標的流体を管へ移動させる前に第1の標的流体が管から所望のレセプタクルに分注される。
【0026】
特定の実施形態では、第1の標的流体および第2の標的流体は管内に同時に存在する。
【0027】
特定の実施形態では、容器内の対応する三相流体構造中の複数の標的流体が複数の対応する管へ同時に移動される。
【0028】
特定の実施形態では、管の内径が0.025〜3.5ミリメートルである。
【0029】
特定の実施形態では、管は、毛管、ピペット先端、および針からなる群から選択される。
【0030】
本開示の態様は、三相流体を取扱うシステムであって、(a)管の開放遠位端を、三相流体構造を含む容器の側壁に沿って垂直に位置付けることであって、三相流体構造がキャリヤ流体、標的流体、および封入流体を含み、管の開放遠位端が少なくとも部分的にキャリヤ流体内に位置付けられる、ことと、(b)標的流体および封入流体を開放遠位端を介して管に引き込むこととを行うように構成されている、システムを含む。
【0031】
特定の実施形態では、キャリヤ流体は標的流体よりも高密度であって、標的流体は封入流体よりも高密度であり、それらの3種類の流体は互いに不混和性である。
【0032】
特定の実施形態では、システムは、管の近位端に動作可能に結合された圧力源であって、開放遠位端を介して流体を管に引き込むために管の開放遠位端で負圧を生成するように構成された圧力源を備える。
【0033】
特定の実施形態では、システムは、第2の三相流体構造中の第2の標的流体を第2の容器から管に引き込むようにさらに構成されている。
【0034】
特定の実施形態では、システムは、容器内の対応する三相流体構造中の複数の標的流体を複数の対応する管へ同時に移動させるようにさらに構成されている。
【0035】
特定の実施形態では、システムは、管内の標的流体を所望のレセプタクルに分注するようにさらに構成されている。
【0036】
本開示の態様は、添付の図面と併せて読まれるとき、以下の詳細な記載から最も良く理解され得る。
【0037】
図面に含まれるのは以下の図である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】標的流体が本開示の態様に従って容器から取り出されるための三相流体構造の要素を含む容器を概略的に示す図である。
図2】標的流体が本開示の態様に従って容器から取り出されるための三相流体構造の要素を含む容器を概略的に示す図である。
図3】標的流体が本開示の態様に従って容器から取り出されるための三相流体構造の要素を含む容器を概略的に示す図である。
図4】標的流体が本開示の態様に従って容器から取り出されるための三相流体構造の要素を含む容器を概略的に示す図である。
図5】標的流体が本開示の態様に従って容器から取り出されるための三相流体構造の要素を含む容器を概略的に示す図である。
図6】標的流体が本開示の態様に従って容器から取り出されるための三相流体構造の要素を含む容器を概略的に示す図である。
図7】標的流体が本開示の態様に従って容器から取り出されるための三相流体構造の要素を含む容器を概略的に示す図である。
図8】標的流体が本開示の態様に従って容器から取り出されるための三相流体構造の要素を含む容器を概略的に示す図である。
図9】標的流体が本開示の態様に従って容器から取り出されるための三相流体構造の要素を含む容器を概略的に示す図である。
図10】標的流体が本開示の態様に従って容器から取り出されるための三相流体構造の要素を含む容器を概略的に示す図である。
図11】標的流体が本開示の態様に従って容器から取り出されるための三相流体構造の要素を含む容器を概略的に示す図である。
図12】標的流体が本開示の態様に従って容器から取り出されるための三相流体構造の要素を含む容器を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明をより詳細に記載する前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、そのような特定の実施形態は変化し得るものであることを理解されたい。本発明の範囲は添付の請求項によってのみ限定されるため、本明細書で用いられる技術用語は特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定的であることは意図されないことも同じく理解されたい。
【0040】
値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限値と下限値との間の介在する各値(文脈が明確に他に規定しない限り下限値の単位の小数第1位まで)およびその記載された範囲内のその他の記載されたまたは介在する値が本発明内に網羅されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限値および下限値は、より小さい範囲内に独立して含められてもよく、および同じく本発明内に網羅され、記載された範囲内のいずれかの特定的に排除された限界値に従属される。記載された範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それらの含められた限界値のいずれかまたは両方を除く範囲が本発明内に同じく含められる。
【0041】
他に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様のまたは均等ないずれの方法および材料も本発明を実行または試験する際に使用できるが、代表的な例示的方法および材料をここに記載する。
【0042】
本明細書中に引用される全ての刊行物および特許は、あたかもそれぞれの各刊行物または特許が参照によって援用されるように特定的および個々に示されているかのように参照により本明細書に援用され、およびそれらの刊行物が関連して引用されている方法および/または材料を開示かつ記載するために参照により本明細書に援用される。いずれの刊行物の引用も、出願日に先立つその開示を目的とし、本発明が先行発明によってそのような刊行物に先行する資格がないという認定として解釈されるべきでない。さらに、提示されている公開日は、独立して確認される必要があり得る実際の公開日と異なる場合がある。
【0043】
本明細書および添付の請求項内で使用される際、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明確に他に規定しない限り、複数の指示対象を含むことが注意される。請求項はいずれの任意選択的な要素も排除するように起草され得ることがさらに注意される。従って、本記載は、請求項の要素の記載に関連する「単に(solely)」、「のみ(only)」等のようなそのような排他的な用語の使用のための、または「否定的な(negative)」な限定の使用のための先行詞として機能するように意図される。
【0044】
本開示を読めば当業者には明白であるように、本明細書に記載されかつ示される各実施形態のそれぞれは、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、またはそれと組み合わせられ得る離散的な構成要素および特徴を有する。記載したいずれの方法も、記載された事象の順番で、または論理的に可能な任意の他の順番で実行可能である。
【0045】
上記で要約されているように、本開示の態様は、三相流体構造中の標的流体を容器から管へ移動させる方法、ならびにそのような方法を実行するためのシステムおよび装置を含む。
【0046】
本発明で使用される際、三相流体構造は、3種類の異なる密度を有する少なくとも3種類の実質的に相互に不混和性の流体の組合せである。第1の流体は、3種類の実質的に相互に不混和性の流体のうちの最も高密度であるキャリヤ流体であり、第2の流体は、実質的に相互に不混和性の流体のうちの最も低密度である封入流体であり、第3の流体は、第1の流体より低く、かつ第2の流体より高い密度を有する標的流体(ときに「試料」と称される)である。従って、三相流体構造において、標的流体はキャリヤ流体と封入流体との間に完全に包み込まれる(すなわち封入される)。特定の実施形態では、標的流体は水性流体であり、いくつかの実施形態では、水性流体は生物学的試料、試薬、緩衝剤、または生物学的アッセイまたは生化学的プロトコルの他の規定された要素を含む。水性流体中に存在し得る構成要素の例は、細胞、核酸、蛋白質、酵素、生物学的試料(例えば血液、唾液等)、緩衝剤、塩、有機物質、およびそれらのいずれかの組合せを含むがそれらに限定されない。
【0047】
特定の実施形態では、キャリヤ流体の密度は、1,300〜2,000kg/m3 であり、標的流体の密度は、900〜1,200kg/m3 であり、封入流体の密度は、700〜990kg/m3 である。キャリヤ流体と標的流体との間、または標的流体と封入流体と間の密度の差は、50〜2000kg/m3 である。一般に、3種類の実質的に相互に不混和性の流体の間の密度の差は、それらが貯蔵されるおよび/またはいずれかの下流プロセスまたは分析アッセイで使用される条件下で、それらのうちのいずれか2つの間での実質的な混合を防止するために十分なものであるべきである。キャリヤ流体、封入流体および標的流体に関するさらなる詳細は、米国特許第8,465,707号明細書および同9,080,208号明細書;および米国特許出願公開第20140371107号明細書;ならびに公開されたPCT出願である国際公開2014/083435号パンフレット;国際公開2014/188281号パンフレット;国際公開2014/207577号パンフレット;国際公開2015/075563号パンフレット;国際公開2015/075560号パンフレットにおいて見出すことができ、これらの出願の開示内容は参照により本明細書に援用される。
【0048】
特定の実施形態では、キャリヤ流体および/または封入流体は油である。例えば、特定の実施形態では、キャリヤ流体および/または封入流体は、シリコーン油、ペルフルオロカーボン油、またはペルフルオロポリエーテル油であり得る。従って特定の実施形態では、キャリヤ流体はフルオロカーボン油から選択される。特定の実施形態では、封入流体はシリコーン油から選択される。
【0049】
標的流体が水性流体、例えば生物学的試料または水性試薬である実施形態では、三相流体構造の例は、キャリヤ(第1)流体が約1,900kg/m3 の密度を有するフロリナートFC−40(フルオロカーボン油)であり、第2の流体が約920kg/m3 の密度を有するフェニルメチルポリシロキサン(シリコーン油)であり、標的流体(試料)が約1000kg/m3 の密度を有する生物学的構成要素の水性ベース溶液であるものを含む。
【0050】
特定の実施形態では、三相流体構造中の標的流体(試料)の体積は、約10ナノリットル(nL)〜約20マイクロリットル(μL)である。従って、特定の実施形態では、試料の体積は、約10nL、約20nL、約30nL、約40nL、約50nL、約60nL、約70nL、約80nL、約90nL、約100nL、約200nL、約300nL、約400nL、約500nL、約600nL、約700nL、約800nL、約900nL、約1μL、約2μL、約3μL、約4μL、約5μL、約6μL、約7μL、約8μL、約9μL、約10μL、約11μL、約12μL、約13μL、約14μL、約15μL、約16μL、約17μL、約18μL、約19μL、または約20μLである。
【0051】
三相流体構造中のキャリヤ流体および封入流体の体積は、所望の容器内に存在するとき、標的流体がこれらの流体の間に完全に封入されることができる組成物を生成するために十分なものであるべきである。完全に封入されるとは、標的流体が封入流体および/またはキャリヤ流体のみと直接接触することを意味する。従って、標的流体は、容器の底(一般にキャリヤ流体の下)および周囲環境(一般に封入流体の上)のいずれとも接触しない。流体の量は、従って、標的流体の体積だけでなく、容器の内側寸法にも依存する。キャリヤ流体および封入流体の体積は著しく変わることができる一方、特定の実施形態では、三相流体構造中のキャリヤ流体または封入流体の体積は、約1μL〜約100μLである。従って、特定の実施形態では、キャリヤ流体または封入流体の体積は、約1μL、約2μL、約3μL、約4μL、約5μL、約6μL、約7μL、約8μL、約9μL、約10μL、約11μL、約12μL、約13μL、約14μL、約15μL、約16μL、約17μL、約18μL、約19μL、約20μL、約25μL、約30μL、約35μL、約40μL、約45μL、約50μL、約55μL、約60μL、約65μL、約70μL、約75μL、約80μL、約85μL、約90μL、約95μL、または約100μLである。
【0052】
三相流体構造が内部で形成される容器は、いずれかの好都合な形状のものであることができるか、または三相流体構造のメンテナンスおよび(本明細書でさらに詳細に記載されるように)その内部の標的流体を採取するために管の挿入を許容するいずれかの好都合な材料から作製可能である。特定の実施形態では、容器の側壁は、キャリヤ流体と封入流体との間の界面がメニスカスを形成するような材料から構成され、メニスカス中では、キャリヤ流体が凸状であり、および封入流体が凹状である。反対に、いくつかの実施形態では、容器の側壁は、キャリヤ流体と封入流体との間の界面がメニスカスを形成するような材料から構成され、このメニスカスでは、キャリヤ流体が凹状であり、および封入流体が凸状である。特定の実施形態では、容器の側壁は、キャリヤ流体と封入流体との間の界面が(明確な凹状/凸状界面がない)平坦な界面を形成するような材料から構成される。側壁は、完全または部分的に円筒形、円錐形、円錐台、矩形プリズム、または他のいずれかの形状である形状を有することができる。例えば、開口端部(頂部)で円錐形であり、閉鎖端部(底部)で円筒形である側壁を有する容器は部分的に円錐形である。この形状は、マイクロチューブ、例えばエッペンドルフチューブ(Eppendorf Tubes)(登録商標)で一般的に見られる。
【0053】
特定の実施形態では、三相流体構造が存在する容器は、生化学的分析で日常的に使用される標準的な市販の個別の容器または多重容器(例えばウェルのストリップ、またはマルチウェルプレート)を含む。
【0054】
特定の実施形態では、三相流体構造中の標的流体を容器から管へ移動させる方法は、(a)管の開放遠位端を、(上述したように)三相流体構造を含む容器の側壁に沿って垂直に位置付けるステップであって、それにより、管の開放遠位端が少なくとも部分的にキャリヤ流体内にある、ステップと、(b)流体を開放遠位端を介して管に引き込むステップであって、引き込まれる流体が標的流体を含む(すなわち標的流体が管に引き込まれる)、ステップとを有する。特定の実施形態では、引き込まれる流体は、標的流体の実質的に全ておよび封入流体の実質的に全てを含む。いくつかの実施形態では、管は、開放遠位端が三相流体構造のキャリヤ流体内に完全にあるようにステップ(a)で位置付けられる。
【0055】
一般に、使用される管の寸法は、使用者の要望に基づき、およびそれが容器内に位置付けられることができおよび流体を容器から効果的に引き込むように選択される。特定の実施形態では、管は、直径において約10ミクロン(μm)〜約10ミリメートル(mm)、例えば約25μm〜約3.5mmの内側直径を有し、それには約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約150μm、約200μm、約250μm、約500μm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、5mm、約6mm、約7mm、約8mm、9mm、または約10mmが含まれる。特定の実施形態では、管の内側直径は、管の長さに沿って、例えば管の開放遠位端(底部)から管の近位端(頂部)まで変化可能である。特定の実施形態では、管は少なくとも約10ミクロン以上の壁厚さを有する。
【0056】
特定の実施形態では、管は、ガラス、ポリマー、セラミック、金属またはそれらの組合せから作製される。特定の実施形態では、管は、ピペット先端、毛管、および針からなる群から選択される。特定の実施形態では、管は、内側または外側疎水性表面を含む。特定の実施形態では、管は使い捨てである。特定の実施形態では、管は再利用可能である。
【0057】
特定の実施形態では、管は圧力源またはポンプに動作可能に結合された近位端(頂部)を有する。開放遠位端を介して流体を管に引き込むステップは、従って、圧力源に管の開放遠位端で負圧を生成させるステップを含むことができる。特定の実施形態では、ポンプは、真空ポンプおよびピペットバルブから選択される。
【0058】
図1〜12は、本開示の態様の特定の実施形態を示すために以下に詳細に記載される。
【0059】
図1は、キャリヤ流体2および封入流体3を含む容器1を示す。キャリヤ流体2および封入流体3は不混和性であり、明確に定められた境界メニスカス4によって別々の領域を形成している。キャリヤ流体2は封入流体3よりも高密度であり、従って封入流体3の下に存在する。この例では、キャリヤ流体2および封入流体3は、上方に膨らむメニスカス4を形成し、それによりキャリヤ流体2は凸状の上側表面を有し、および封入流体3は凹状の下側表面を有する。メニスカス4の形状および向きは、キャリヤ流体2および封入流体3に関連する容器1の内側の特性に依存する。キャリヤ流体と封入流体との間のメニスカスが反対方向に膨らむか、または全体的に平ら(平坦)である実施形態も(上述したように)考えられる。
【0060】
図2は、標的流体5をさらに含む同じ容器1を示す。標的流体5はキャリヤ流体2および封入流体3の両方と不混和性である。標的流体5は封入流体3よりも高密度であるが、キャリヤ流体2よりも低密度である。標的流体5は、標的流体の裸の液滴として容器1に導入可能であり、または封入流体3中に封入可能である。メニスカス4の形状は標的流体5を容器1の側方に沈殿させる傾向がある。
【0061】
図3は、3種類の流体を含む同じ容器1を示し、容器1内へ前進させられた管6を同じく示している。管6は開放された遠位端7を有する。管6の近位端は示されていないが、管6の遠位端7に流体を引き込むために負圧を生成することができる圧力源に取り付けられることができる。管6は容器1の側壁近くで前進させられる。この例では、側壁は傾けられ、容器1は円錐台状であり、図中、断面図において二等辺台形として示されている。
【0062】
図4は、同じ容器1および管6を示し、管6はここでは前進させられた結果、遠位端7が側壁と接触し、および遠位端7がキャリヤ流体2内に完全に浸漬するまで側壁に沿って下方に滑らされている。
【0063】
図5は、同じ容器1および管6を示すが、管6が前進させられた後であり、および負圧を提供し流体を吸引するために圧力源が起動された後である。圧力源が最初に起動されるとき、管6を通して上方へ吸引される最初の流体はキャリヤ流体2である。図5に示されるように、キャリヤ流体2は、遠位端7がメニスカスとほぼ一致するまで管6に吸引される。この地点で封入流体3は吸引され始め得る。図に示される例では、標的流体5は、管6から容器1を横切って位置付けられているが、実際には標的流体5および管6の位置に相関関係はない。標的流体5は、同様に管6の遠位端7またはその近くにある場合がある。そのような場合、標的流体5が吸引される前、封入流体3はほとんどまたは全く吸引されない。しかし、標的流体5が遠位端7から可能な最も遠い地点にあるとしても、標的流体5は最終的に遠位端7に引き込まれる。さらなる封入流体3が吸引されると、最終的に表面張力は、残りの封入流体3が標的流体5の近くで「ネック状になる」または「中断する」ことを引き起こす。
【0064】
図6は、同じ容器1および管6を示すが、封入流体3のほとんどが吸引された後であり、管6内に存在している。この場合、標的流体5は管6の遠位端7から離れて位置付けられていたため、封入流体3のほとんどは標的流体5が吸引される前に吸引されている。
【0065】
図7は、同じ容器1および管6を示すが、標的流体5および封入流体3の全てが吸引された後である。この地点で吸引を停止することができ、なぜなら、管6はもはや3種類の流体のいずれとも接触しないためであり、管6は容器1から取り出されて、標的流体5を分注すべき場所に再配置されることができる。
【0066】
図8〜12は、先行の図に記載された吸引プロセスの上面図を示す。
【0067】
図8において、容器1は上から見られ、封入流体3は、図4および5の断面に示される状況と同様にキャリヤ流体(視認できない)を完全に覆っている。明確にするために、標的流体5は、全プロセスを通して、封入流体3によって依然として完全に覆われていたとしても示されている。
【0068】
図9において、さらなる封入流体3が吸引され、メニスカスの最も下の部分の周りに輪のみを残した。
【0069】
図10は、より多くの封入流体3が吸引されるにつれて、標的流体5の近くで下方にネック状になり、中断する封入流体3を示す。
【0070】
図11は、完全に中断した封入流体3を示し、封入流体3はもはや輪を全く形成せず、封入流体3が引き込まれ続けるにつれて標的流体5を管6の方に沿って運ぶ。
【0071】
図12は、管6に完全に吸引されて引き込まれた標的流体5を最終的に示す。
【0072】
遠位端7がメニスカス4の初期位置よりも下に位置付けられる、示されるプロセスの結果、標的流体5はそのまま一貫して吸引され、管6の内側で少なくともいくらかの封入流体3によって典型的に囲まれる。以下に記載されるように、管6内の流体の配置は、標的流体の例えばCLCを含有するレセプタクルへの後の分注にとって有益である。
【0073】
特定の実施形態において、方法は、管内の標的流体を所望のレセプタクルに分注することをさらに有する。これは、標的流体を含有する管の開放遠位端を所望のレセプタクル内またはその上に位置付けることによって、および標的流体をその中に分注することによって達成可能である。上述したように、引き込まれた流体は、標的流体に加えて封入流体を含むことができ、従って、いくらかの封入流体は、標的流体と一緒に所望のレセプタクル内に分注することができる。特定の実施形態において、いくらかのキャリヤ流体も管内の引き込まれた流体中に存在し得、これも標的流体および封入流体と一緒に所望のレセプタクル内に分注される。引き込まれた流体を分注するいずれの従来の方法も使用可能であり、それには重力、吸上げ、毛管作用等が含まれる。管が圧力源(またはポンプ)に動作可能に接続されるとき、管内の引き込まれた流体を分注することは、正圧を圧力源によって管の近位端に適用することによって達成することができる。
【0074】
上記で示されるように、管内の引き込まれた流体が分注されるレセプタクルは、標的流体が組み合わされるべき試料、例えば試料を含有するCLCを含むことができる。従って、レセプタクルは、例えば、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許第8,465,707号明細書に記載されているようなCLCベースの生化学的アッセイ反応または試料を含むことができる。
【0075】
特定の実施形態において、方法は、2種類以上の標的流体を管に引き込むことを有する。例えば、管は、第1の三相流体構造からの第1の標的流体が引かれた第1の容器から、第2の標的流体を含有する第2の三相流体構造を含有し、かつ第2の標的流体を管に引き込むために、上述したように位置付けおよび引き込みステップを実行する第2の容器へ移動されてもよい。特定の実施形態では、第1の標的流体は、第2の標的流体が管に引き込まれる間、管内に留まるが、他の実施形態では、第1の標的流体は、第2の標的流体を管に引き込む前に、管から所望のレセプタクルに分注される。従って、前者の実施形態では、第1の標的流体および第2の標的流体は同時に管内に存在する。
【0076】
特定の実施形態では、容器中の対応する三相流体構造中の複数の標的流体が、複数の対応する管へ移動される。例えば、容器が多重構造(例えば標準マイクロウェルプレートのウェル)中に存在する場合、多重構造中の複数の容器のいくつかまたは全ての間隔と一致する構造の複数の管の開放遠位端が、対応する標的流体を管に引き込むために複数の容器内に位置付けられる。他の実施形態では、複数の管のそれぞれの開放遠位端または複数の管の各サブセットの開放遠位端が、標的流体を管に引き込むために独立して位置付けられる。
【0077】
上述した個々の管に関して、特定の実施形態では、複数の管の近位端は、1つまたは複数の圧力源(またはポンプ)に動作可能に結合され、ここで特定の実施形態では、圧力源は流体を引き込むために複数の管の開放遠位端で負圧を生成する。加えて、複数の対応する管内の複数の標的流体は、所望の位置で、または1つもしくは複数の所望のレセプタクルに分注することができる。そのような実施形態では、複数の標的流体のそれぞれを異なる対応する所望の位置/レセプタクルで分注可能であり、または特定の実施形態では、複数の異なる標的流体を同じ位置/レセプタクルに分注可能である。さらに、複数の標的流体を異なる時間に複数の異なる管から分注してもよい。
【0078】
例えば、10の異なる標的流体を10個の異なる管に同時に引き込むことができる。標的流体1および6が最初にそれらの対応するレセプタクルに分注され、標的流体2および7が2番目に分注され、標的流体3および8が3番目に分注されるなどのように、標的流体1〜5は第1レセプタクル(または反応容器)に分注可能であり、標的流体6〜10は第2レセプタクルに分注可能である。試薬の時間をずらした添加により、特定の生化学プロセスを各レセプタクル内で実行することが可能になり得、例えば、核酸試料を沈積させ(標的流体1および6)、試料中の核酸を消化するために制限酵素を添加し(標的流体2および7)、核酸アダプタを添加し(標的流体3および8)、アダプタを消化核酸に取り付けるためにリガーゼを添加し(標的流体4および9)およびアダプタ介在性増幅に対して試薬を添加する(標的流体5および10)。
【0079】
所望の分注位置/レセプタクルは使用者の要望によって概ね決定される。
【0080】
本開示は、本明細書に記載された(例えば上記で要約されおよび詳述されたような)方法を実行するように構成されたシステムおよび装置を提供する。従って、本開示の態様は、(a)管の開放遠位端を、三相流体構造を含む容器の側壁に沿って垂直に位置付けることであって、管の開放遠位端が三相流体構造のキャリヤ流体内に少なくとも部分的に位置付けられる、ことと、(b)標的流体および封入流体を開放遠位端を介して管に引き込むこととを行うように構成されている、三相流体取扱いシステムまたは装置を含む。
【0081】
特定の実施形態では、システムは、管の近位端と動作可能に結合された圧力源であって、開放遠位端を介して管に流体を引き込むために開放遠位端に負圧を生成するように構成された圧力源を備える。
【0082】
特定の実施形態では、システムは、第2の三相流体構造中の第2の標的流体を第2の容器から管へ引き込むようにさらに構成されている。
【0083】
特定の実施形態では、システムは、容器中の対応する三相流体構造中の複数の標的流体を複数の対応する管へ同時にまたは連続的に移動させるようにさらに構成されている。
【0084】
特定の実施形態では、システムは、1個の管(または複数の管)内の標的流体(または複数の標的流体)を所望のレセプタクル(または複数のレセプタクル)に分注するようにさらに構成されている。本明細書に記載される流体操作法を実行するように、および従って本明細書に記載される流体取扱いシステムを含むように構成され得るシステムに関するさらなる詳細は、米国特許第8,465,707号明細書および同9,080,208号明細書;および米国特許出願公開第20140371107号明細書;ならびに公開されたPCT出願である国際公開2014/083435号パンフレット;国際公開2014/188281号パンフレット;国際公開2014/207577号パンフレット;国際公開2015/075563号パンフレット;国際公開2015/075560号パンフレットに記載されるものを含み、これらの出願の開示内容は参照により本明細書に援用される。
【0085】
本明細書に記載される方法およびシステムは、多様な異なる用途において使用法を見出す。それらの方法およびシステムが使用法を見出す用途は、CLC介在プロトコルを含み、それは、米国特許第8,465,707号明細書および同9,080,208号明細書;および米国特許出願公開第20140371107号明細書;ならびに公開されたPCT出願である国際公開2014/083435号パンフレット;国際公開2014/188281号パンフレット;国際公開2014/207577号パンフレット;国際公開2015/075563号パンフレット;国際公開2015/075560号パンフレットに記載されるものを含むがそれらに限定されず、これらの出願の開示内容は参照により本明細書に援用される。
【0086】
添付の請求項にもかかわらず、本明細書に記載される開示は、以下の付記によっても定義される。
1.三相流体構造中の標的流体を容器から管へ移動させる方法であって、
(a)管の開放遠位端を、三相流体構造を含む容器の側壁に沿って垂直に位置付けるステップであって、三相流体構造がキャリヤ流体、標的流体、および封入流体を含み、管の開放遠位端が少なくとも部分的にキャリヤ流体内にある、ステップと、
(b)流体を開放遠位端を介して管に引き込むステップであって、引き込まれる流体が標的流体および封入流体を含む、ステップと
を有する方法。
2.キャリヤ流体は標的流体よりも高密度であって、標的流体は封入流体よりも高密度であり、それらの3種類の流体は互いに不混和性である付記1に記載の方法。
3.管の開放遠位端は完全にキャリヤ流体内にある付記1または2に記載の方法。
4.容器の側壁は、キャリヤ流体と封入流体との間の界面がメニスカスを形成するような材料から構成され、メニスカス中では、キャリヤ流体が凸状であって、封入流体が凹状である付記1〜3のいずれか一つに記載の方法。
5.容器は円筒形である付記1〜4のいずれか一つに記載の方法。
6.容器の一部は円錐形である付記1〜4のいずれか一つに記載の方法。
7.管の近位端が圧力源と動作可能に結合され、開放遠位端を介して流体を管に引き込むステップは、圧力源に管の開放遠位端で負圧を生成させるステップを有する付記1〜6のいずれか一つに記載の方法。
8.標的流体は水性である付記1〜7のいずれか一つに記載の方法。
9.標的流体は生物学的試料および/または試薬を含む付記8に記載の方法。
10.キャリヤ流体の密度が1,300〜2,000kg/m3 である付記1〜9のいずれか一つに記載の方法。
11.標的流体の密度が900〜1,200kg/m3 である付記1〜10のいずれか一つに記載の方法。
12.封入流体の密度が700〜990kg/m3 である付記1〜11のいずれか一つに記載の方法。
13.キャリヤ流体と標的流体との間の密度の差が50〜2000kg/m3 である付記1〜12のいずれか一つに記載の方法。
14.標的流体と封入流体との間の密度の差が50〜2000kg/m3 である付記1〜13のいずれか一つに記載の方法。
15.キャリヤ流体はフルオロカーボン油である付記1〜9のいずれか一つに記載の方法。
16.封入流体はシリコーン油である付記1〜9または15のいずれか一つに記載の方法。
17.管内の標的流体を所望のレセプタクルに分注するステップをさらに有する付記1〜16のいずれか一つに記載の方法。
18.第2の三相流体構造中の第2の標的流体を第2の容器から管へ移動させるステップをさらに有する付記1〜16のいずれか一つに記載の方法。
19.第2の標的流体を管へ移動させる前に第1の標的流体が管から所望のレセプタクルに分注される付記18に記載の方法。
20.第1の標的流体および第2の標的流体は管内に同時に存在する付記18に記載の方法。
21.容器内の対応する三相流体構造中の複数の標的流体が複数の対応する管へ同時に移動される付記1〜20のいずれか一つに記載の方法。
22.管の内径が0.025〜3.5ミリメートルである付記1〜21のいずれか一つに記載の方法。
23.管は、毛管、ピペット先端、および針からなる群から選択される付記1〜22のいずれか一つに記載の方法。
24.三相流体を取扱うシステムであって、
(a)管の開放遠位端を、三相流体構造を含む容器の側壁に沿って垂直に位置付けることであって、三相流体構造がキャリヤ流体、標的流体、および封入流体を含み、管の開放遠位端が少なくとも部分的にキャリヤ流体内に位置付けられる、ことと、
(b)標的流体および封入流体を開放遠位端を介して管に引き込むことと
を行うように構成されているシステム。
25.キャリヤ流体は標的流体よりも高密度であって、標的流体は封入流体よりも高密度であり、それらの3種類の流体は互いに不混和性である付記24に記載のシステム。
26.管の近位端に動作可能に結合された圧力源であって、開放遠位端を介して流体を管に引き込むために管の開放遠位端で負圧を生成するように構成された圧力源を備える付記24または25に記載のシステム。
27.第2の三相流体構造中の第2の標的流体を第2の容器から管に引き込むようにさらに構成されている付記24〜26のいずれか一つに記載のシステム。
28.容器内の対応する三相流体構造中の複数の標的流体を複数の対応する管へ同時に移動させるようにさらに構成されている付記24〜27のいずれか一つに記載のシステム。
29.管内の標的流体を所望のレセプタクルに分注するようにさらに構成されている付記24〜28のいずれか一つに記載のシステム。
【0087】
理解を明確にするために前述の本発明を説明および例としていくらか詳細に記載してきたが、添付の請求項の趣旨および範囲から逸脱することなく、それに対する特定の変更形態および修正形態がなされ得ることは本開示の教示を踏まえると当業者に容易に明らかである。
【0088】
従って、前述の記載は単に本発明の原理を示す。当業者は、本明細書に明示的に記載または示されていな
くても、本発明の原理を具現化しその趣旨および範囲内に含まれる様々な構成を考案できることは認識されよう。さらに、本明細書に記載される全ての例および条件付きの言語は、原則的に、そのように特定的に記載された例および条件に限定されない本発明の原理を読者が理解することを補助することを目的としている。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにその特定の例を記載する本明細書中の全ての記述は、その構造的および機能的均等物の両方を包含するように意図されている。さらに、そのような均等物は、現在知られている均等物および将来開発される均等物の両方を、すなわち構造にかかわらず同じ機能を実行する開発されるいずれの要素も含んでいることが意図される。本発明の範囲は、従って、本明細書に示されかつ記載される例示的実施形態に限定されることは意図されない。むしろ、本発明の範囲および趣旨は、添付の請求項によって具現化される。
【0089】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)に従って、本出願は、2014年8月4日に出願された米国仮特許出願第62/032,885号明細書に対する優先権の利益を主張し、この出願の開示内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
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