(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556248
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】流量計の測定信頼度を決定するデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
G01F 1/84 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
G01F1/84
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-546600(P2017-546600)
(86)(22)【出願日】2016年1月6日
(65)【公表番号】特表2018-507414(P2018-507414A)
(43)【公表日】2018年3月15日
(86)【国際出願番号】US2016012318
(87)【国際公開番号】WO2016140733
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2017年9月22日
(31)【優先権主張番号】62/128,272
(32)【優先日】2015年3月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーレンベルガー, フレデリック スコット
(72)【発明者】
【氏名】ワインスタイン, ジョエル
【審査官】
山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−511941(JP,A)
【文献】
特開平04−099921(JP,A)
【文献】
特開2011−027539(JP,A)
【文献】
特表2012−533083(JP,A)
【文献】
特表2002−525623(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/062856(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/84
G01F 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動式流量計を作動させる方法であって、
プロセス流体を振動式流量計に置く工程と、
プロセス流体内に取り込まれたガスを測定する工程と、
少なくとも1つの動作変数の測定信頼度レベルを決定する工程を含み、
プロセス流体は、液体、或いはガスが混入された液体及び/又は固体が混入された液体のような多相流体である、方法。
【請求項2】
プロセス流体内に取り込まれたガスを測定する工程は、駆動ゲインの閾値を決定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
駆動ゲインの閾値を決定する工程は、所定の期間に亘って駆動ゲイン信号を測定する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
プロセス流体内に取り込まれたガスを測定する工程は、プロセス流体内に取り込まれた最小量のガスを含む期間を検知する工程を含み、これらの期間中の駆動ゲインの閾値が所定の閾値を超えるときは、測定信頼度レベルを低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
プロセス流体内に取り込まれたガスが少ない又は無い期間中に、少なくとも1つのホールド値を記録する工程を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのホールド値は、プロセス流体の流量及び密度の少なくとも1つである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
プロセス流体内に取り込まれたガスを測定する工程は、プロセス流体内のガススラグを検知する工程を含み、ガススラグの重大度が所定の閾値を超えるときは、測定信頼度レベルを低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
プロセス流体の流量を測定する工程と、
測定された流速が所定の閾値未満である時は、測定信頼度レベルを低下させる工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
プロセス流体に取り込まれたガスを測定する間の時間間隔を測定する工程と、
時間間隔が所定量よりも長いときは、測定信頼度レベルを低下させる工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数のホールド値を記録する工程と、
複数のホールド値の標準偏差が所定の閾値を超えるときは、測定信頼度レベルを低下させる工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
プロセス流体を受け入れるように構成された流量計(5)用のメータ電子機器(20)であって、
流量計(5)の流量計アセンブリと通信し、振動応答を受信するように構成されたインターフェース(201)と、該インターフェース(201)に連結された処理システム(203)を備え、
該処理システム(203)は、プロセス流体内に取り込まれたガスを測定し、少なくとも1つの動作変数の測定信頼度レベルを決定する測定信頼度ルーチン(215)を備え、
プロセス流体は、液体、或いはガスが混入された液体及び/又は固体が混入された液体のような多相流体である、メータ電子機器(20)。
【請求項12】
プロセス流体内に取り込まれたガスを測定する工程は、駆動ゲインの閾値を決定する工程を含む、請求項11に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項13】
駆動ゲインの閾値を決定する工程は、所定の期間に亘って駆動ゲイン信号を測定する工程を含む、請求項12に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項14】
プロセス流体内に取り込まれた最小量のガスを含む期間を検知するように構成され、これらの期間中の駆動ゲインの閾値が所定の閾値を超えるときは、測定信頼度レベルを低下させる、請求項11に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項15】
測定信頼度ルーチンは、プロセス流体内に取り込まれたガスが少ない又は無い期間中に、少なくとも1つのホールド値を記録するように構成された、請求項14に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項16】
少なくとも1つのホールド値は、プロセス流体の流量及び密度の少なくとも1つである、請求項15に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項17】
プロセス流体内に取り込まれたガスを測定する工程は、プロセス流体内のガススラグを検知する工程を含み、ガススラグの重大度が所定の閾値を超えるときは、測定信頼度レベルを低下させる、請求項11に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項18】
測定信頼度ルーチンは、
プロセス流体の流量を測定し、
測定された流速が所定の閾値未満である時は、測定信頼度レベルを低下させるように構成された、請求項11に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項19】
測定信頼度ルーチンは、
プロセス流体に取り込まれたガスを測定する間の時間間隔を測定し、
時間間隔が所定量よりも長いときは、測定信頼度レベルを低下させるように構成された、請求項11に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項20】
測定信頼度ルーチンは、
複数のホールド値を記録し、
複数のホールド値の標準偏差が所定の閾値を超えるときは、測定信頼度レベルを低下させるように構成された、請求項11に記載のメータ電子機器(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量計デバイス及び方法に関し、より詳細には、測定の信頼度又は予測精度を決定する流量計デバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コリオリ質量流量計及び振動式デンシトメータなどの振動式導管センサは、典型的には、流れ材料を含む振動導管の運動を検出することによって動作する。導管内の物質に関連する質量流量、密度などの特性は、導管に関連する動きトランスデューサから受信した測定信号を処理することによって決定することができる。振動式材料充填型システムの振動モードは、一般に、収容導管及び該導管内に収容された材料の質量、剛性、及び減衰特性の組み合わせの影響を受ける。
【0003】
典型的なコリオリ質量流量計は、パイプライン又は他の輸送システムにおいてインラインで接続され、システム内の材料、例えば流体、スラリー、エマルジョンなどを運ぶ1つまたは複数の導管(流れチューブとも呼ばれる)を含む。各導管は、例えば、単純曲げモード、ねじれモード、ラジアルモード、及び結合モードを含む一組の固有振動モードを有するものとして見ることができる。典型的なコリオリ質量流量測定の適用では、材料が導管を通って流れるときに導管が1つ以上の振動モードで励起され、導管の動きが導管に沿って離間した点で測定される。励起は、通常、導管を周期的に摂動させるボイスコイル型アクチュエータなどの電気機械的デバイスのようなドライバによって提供される。質量流量は、トランスデューサの位置での動きの間の時間遅延又は位相差を測定することによって決定することができる。典型的には、流れ導管の振動応答を測定するために、2つ以上のそのようなトランスデューサ(またはピックオフセンサ)が用いられ、典型的にはドライバの上流及び下流の位置に配置される。計測器は、ピックオフセンサから信号を受信し、信号を処理して、質量流量測定値を得る。
【0004】
流量計を使用して、多種多様な流体流れの質量流量測定を行うことができる。コリオリ流量計が潜在的に使用され得る1つの領域は、油及びガス井戸の計量にある。そのような井戸の生成物は、油又はガスを含む多相流れを含むことができるが、水及び空気、例えば固体及び/又は固体を含む他の成分も含むことができる。このような多相流れに対しても、得られる計量が可能な限り正確であることは、もちろん、非常に望ましいことである。
【0005】
コリオリ流量計は、単相流れに対して高い精度を提供する。しかし、コリオリ流量計を使用して空気が混入された流体またはガスが混入された流体を測定する場合、流量計の精度は著しく低下する。これは、炭化水素流体に水が含まれている場合など、混入された固体を有する流れ及び混合相の流体流れについても同様に当てはまる。
【0006】
混入されたガスは、通常、流れ材料中に気泡として存在する。気泡のサイズは、存在する空気の量、流れ物質の流量、及び他の要因に依存して変化し得る。流体の分離に起因して、関連した重要な誤差源が生じる。流体の分離は、チューブの振動の結果としての液体に対する気泡の動きから生じる。液体に対する気泡の相対運動は、重力の影響下で気泡が表面に浮上するようにする力に類似した浮力によって駆動される。しかし、振動チューブでは、振動チューブの加速によって、気泡が重力加速度よりも大きく動く。高密度流体は軽い気泡よりも質量が大きいので、気泡はチューブの加速の方向に流体よりも大きな加速度を有する。気泡のより大きな加速のために、流れ導管の各振動において、気泡は流れ導管よりもさらに移動する。これが分離問題の基礎である。
【0007】
その結果、より小さな振幅を有する流体は、より少ないコリオリ加速度を受け、流れ導管に、気泡が存在しない場合よりも少ないコリオリ力を付与する。この結果、混入されたガスが存在する場合、流量及び密度特性が過少報告される(負の流れ及び密度の誤差)。どれだけの泡が流体に対して移動するかを決定するいくつかの要因があるため、流体の分離の補償は困難であった。流体粘度は明らかな要因である。非常に粘性の高い流体では、気泡(または粒子)が流体中の適所で効果的に停止され、僅かな流れ誤差が生じる。気泡の移動度への別の影響は、気泡の大きさである。気泡への抗力は表面積に比例し、浮力は容積に比例する。
従って、非常に小さな泡は、抗力と浮力の比が高く、流体と共に動く傾向がある。小さな泡はその後小さな誤差を引き起こす。逆に、大きな気泡は流体と共に動く傾向がなく、大きな誤差を生じる。粒子についても同様である。小さな粒子は流体と共に移動し、小さな誤差を引き起こす傾向がある。
【0008】
流体とガスの間の密度差は、流量計の不正確さに寄与する他の要素である。浮力は流体とガスの密度差に比例する。高圧ガスは浮力に影響を与えるのに十分な密度を有し、分離効果を減じる。
【0009】
測定誤差に加えて、多相流れのコリオリ流量計に対する効果は、流れ導管の減衰を増加させ、流れ導管の振幅の縮小に帰結する。典型的に、メータ電子機器は駆動エネルギー又は駆動ゲインを増加させることによってこの減少した振幅を補償し、振幅を回復させる。多相流れ故の誤差を修正すべく、密度、質量流量、及び容積流量を含む測定変数は、単相流(液体のみ)の期間から使用される。これらの値はホールド値と呼ばれる。ホールド値は、測定された変数の精度を置き換え、又は向上させるために、2つの位相流れ中に使用される。現在、ホールド値は、パラメータが閾値を上回る前にユーザが指定した時点で決定される。
【0010】
全体として、多相の使用は、特に、混入されたガスの量及び挙動が非常に変化し、従って可変の測定性能を示す。誤差を減らす方法が開発されているが、制約があり、特定のタイプの状態は、従来技術の方法によって多かれ少なかれ効果的に処理される。これらの様々な方法がどのように機能するか(即ち、サンプリング、補間など)を理解し、それを作成するために使用された同じまたは類似の診断(即ち、駆動ゲイン、密度)に頼ることによって、方法が如何に良好に作用し、少なくとも定性的には分離及び他の多相誤差が如何に深刻かを決定することが可能である。
【0011】
測定の信頼性又は予測される質的精度のレベルを示すことは、製造業者とその顧客にメリットを有する。信頼係数を出力することで、各流量計の精度に対する顧客の期待を設定することができ、セパレータやその他の参考文献との生産性の高い比較が可能になる。第2に、信頼係数により、どの流量計に完全に頼ることができ、どの流量計は概算又は傾向にのみ使用すべきかを顧客に知らせることができる。例えば、100個の油井の仮想領域では、50個はガスがなく、通常の流量計の仕様(即ち、誤差0.1%)で使用することができ、30個は軽度のガスを有し、20個は重度のガスを有する可能性がある。20個の「重度」のケースは傾向の予測に使用することも、その場所で精度が重要な場合は、別の技術に賛成して削除することもできる。
【0012】
最後に、信頼係数を使用して、生産又は測定の精度を最適化する決定を行うこともできる。上記の仮定に戻ると、リース配分のために特定の井戸で測定精度が非常に重要である場合、作業者はガスの量を減らし、その場所での測定の信頼性を向上させるためにチョーク圧力を増加させるか、他の作動ステップを採るかを選択する。
【0013】
従って、当技術分野では、信頼度又は精度の予測ができる振動式流量計が必要とされている。当技術分野では、多相流れを取り扱う際に信頼度または精度の予測ができる振動式流量計が必要とされている。本明細書の実施形態は、信頼度表示を計算し提供するのに使用される方法及びデバイスを提供する。
【発明の概要】
【0014】
発明の要約
実施形態に従って、振動式流量計を作動させる方法が提供される。方法は、プロセス流体を振動式流量計に置く工程と、プロセス流体内に混入されたガスを測定する工程を備える。少なくとも1つの動作変数の測定信頼度レベルが次に決定される。
プロセス流体を受け入れるように構成された流量計のメータ電子機器が、実施形態に従って提供される。メータ電子機器は、流量計の流量計アセンブリと通信し、振動応答を受信するように構成されたインターフェースと、該インターフェースに連結された処理システムを備える。該処理システムは、プロセス流体内に混入されたガスを測定し、少なくとも1つの動作変数の測定信頼度レベルを決定するように構成された測定信頼度ルーチンを備える。
【0015】
発明の態様
一態様に従って、振動式流量計を作動させる方法は、プロセス流体を振動式流量計に置く工程と、プロセス流体内に混入されたガスを測定する工程と、少なくとも1つの動作変数の測定信頼度レベルを決定する工程を備える。
プロセス流体内に混入されたガスを測定する工程は、駆動ゲインの閾値を決定する工程を含むのが好ましい。
駆動ゲインの閾値を決定する工程は、所定の期間に亘って駆動ゲイン信号を測定する工程を含むのが好ましい。
【0016】
プロセス流体内に混入されたガスを測定する工程は、プロセス流体内に混入された最小量のガスを構成する期間を検知する工程を備え、測定信頼度レベルはこれらの期間内の駆動ゲイン閾値が、所定の閾値を超えるときは、低下されるのが好ましい。
方法は、プロセス流体内に混入されたガスが少ないか無い期間内に少なくとも1つのホールド値を記録する工程を備えるのが好ましい。
少なくとも1つのホールド値は、プロセス流体の流量及び密度の少なくとも1つを含むのが好ましい。
【0017】
方法は、プロセス流体内に取り込まれたガスを測定する工程、及びプロセス流体内のガススラグの重大度を検知する工程を含むのが好ましく、ガススラグの重大度が所定の閾値を超えれば測定信頼度のレベルが低下する。
方法は、プロセス流体の流量を測定する工程と、測定された流量が所定の閾値未満であれば測定信頼度レベルを低下させる工程を含むのが好ましい。
方法は、プロセス流体に取り込まれたガスの測定間の時間間隔を測定する工程と、時間間隔が所定量を超えるときは測定信頼度レベルを低下させる工程を含むのが好ましい。
方法は、複数のホールド値を記録する工程と、複数のホールド値の標準偏差が所定の閾値を超えるときは測定信頼度レベルを低下させる工程を含むのが好ましい。
【0018】
一態様に従って、流量計用のメータ電子機器は、プロセス流体を受け入れるように構成される。メータ電子機器は流量計の流量計アセンブリと通信し、振動応答を受信するように構成されたインターフェースと、該インターフェースに連結された処理システムを備えている。該処理システム(203)は、プロセス流体内に取り込まれたガスを測定し、少なくとも1つの動作変数の測定信頼度レベルを決定するように構成された測定信頼度ルーチンを備える。
プロセス流体内に取り込まれたガスを測定する工程は、駆動ゲインの閾値を決定する工程を含むのが好ましい。
駆動ゲインの閾値を決定する工程は、所定の期間に亘って駆動ゲイン信号を測定する工程を含むのが好ましい。
【0019】
メータ電子機器は、プロセス流体内に取り込まれた最小量のガスを含む期間を検知するように構成され、これらの期間中の駆動ゲインの閾値が所定の閾値を超えるときは、測定信頼度レベルを低下させるのが好ましい。
測定信頼度ルーチンは、プロセス流体内に取り込まれたガスが少ない又は無い期間中に、少なくとも1つのホールド値を記録するように構成されているのが好ましい。
少なくとも1つのホールド値は、プロセス流体の流量及び密度の少なくとも1つであるのが好ましい。
【0020】
プロセス流体内に取り込まれたガスを測定する工程は、プロセス流体内のガススラグを検知する工程を含み、ガススラグの重大度が所定の閾値を超えるときは、測定信頼度レベルを低下させるのが好ましい。
測定信頼度ルーチンは、プロセス流体の流量を測定し、測定された流速が所定の閾値未満である時は、測定信頼度レベルを低下させるように構成されているのが好ましい。
【0021】
測定信頼度ルーチンは、プロセス流体に取り込まれたガスを測定する間の時間間隔を測定し、時間間隔が所定量よりも長いときは、測定信頼度レベルを低下させるように構成されているのが好ましい。
測定信頼度ルーチンは、複数のホールド値を記録し、複数のホールド値の標準偏差が所定の閾値を超えるときは、測定信頼度レベルを低下させるように構成されているのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】メータアセンブリとメータ電子機器を備えた流量計を示す。
【
図2】実施態様に従ったメータ電子機器のブロック図を示す。
【
図3】流量計の信頼度が高い時間の例を示すグラフである。
【
図4】流量計の信頼度が中程度の時間の例を示すグラフである。
【
図5】流量計の信頼度が低い時間の例を示すグラフである。
【
図6】流量計の信頼度レベルを決定するのを補助するサンプルテーブルである。
【
図7】流量計の信頼度レベルを決定するのを補助する他のサンプルテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な記載
図1〜
図7及び以下の説明は、特定の例をあげてどのようにして本発明の最良の形態を作製し、使用するかを当業者に教示する。進歩性のある原理を教示するために、一部の従来の態様は簡易化されまたは省略されている。当業者は、本発明の範囲内に入る、これらの例からの変形形態を理解するであろう。当業者は、以下に説明する特徴をさまざまな方法で組み合わせて、本発明の複数の変形形態を形成することができることを理解するであろう。その結果、以下に記載された実施形態は下記の特定の例に限定されず、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定される。
【0024】
図1は、一実施形態に係る流量計5を示す。流量計5は、センサアセンブリ10及びメータ電子機器20を備える。メータ電子機器20は、リード100を介してセンサアセンブリ10に接続され、密度、質量流量、体積流量、積算された質量流量、温度、または他の測定値または情報を通信経路26を介して受信する。流量計5は、コリオリ質量流量計を含むことができる。当業者には、流量計5は、ドライバ、ピックオフセンサ、流れ導管、または振動の動作モードの数にかかわらず、任意の方法の流量計5を含むことができることは明らかである。
【0025】
センサアセンブリ10は、一対のフランジ101及び101’、マニホールド102及び102'、ドライバ104、ピックオフセンサ105及び105'、及び流れ導管103A及び103Bを含む。ドライバ104及びピックオフセンサ105及び105'は流れ導管103A及び103Bに接続されている。
フランジ101、101'はマニホールド102、102'に固定されている。いくつかの実施形態では、マニホールド102及び102'をスペーサ106の両側端部に取り付けることができる。スペーサ106は、マニホールド102と102'との間の間隔を維持する。センサアセンブリ10が測定されるプロセス流体を運ぶパイプライン(図示せず)に挿入されると、プロセス流体はフランジ101を通ってセンサアセンブリ10に入り、入口マニホールド102を通過し、該入口マニホールドでプロセス流体の総量が流れ導管103A及び103Bに流入するように指向され、流れ導管103A及び103Bを通って流れて、出口マニホールド102'に戻り、そこではフランジ101’を通ってセンサアセンブリ10を出る。
【0026】
プロセス流体は、液体を含む。プロセス流体はガスを含む。プロセス流体は、ガスが混入された液体及び/又は固体が混入された液体のような多相流体を含むことができる。流れ導管103A及び103Bは、曲げ軸W-W及びW'-W'を中心として夫々実質的に同じ質量分布、慣性モーメント及び弾性率を有するように選択され、入口マニホールド102及び出口マニホールド102'に適切に取り付けられる。流れ導管103A及び103Bは、マニホールド102及び102'から略に平行に外向きに延びている。
【0027】
流れ導管103A及び103Bは、ドライバ104によって、夫々の曲げ軸W及びWの周りで反対方向に駆動され、これは振動式流量計5の第1の位相外曲げモードと呼ばれる。ドライバ104は、流れ導管103Aに取り付けられた磁石及び流れ導管103Bに取り付けられた対向コイルなどの多くの既知の構成の1つを含む。両方の導管を振動させるために、交流が対向コイルに通される。適切な駆動信号が、メータ電子機器20によって、リード110を介してドライバ104に印加される。他の駆動デバイスも考えられ、これらは発明の詳細な説明及び請求の範囲内にある。
【0028】
メータ電子機器20は、各リード線111,111'上のセンサ信号を受信する。メータ電子機器20は、リード110上に駆動信号を生成し、ドライバ104に流れ導管103A及び103Bを振動させる。他のセンサデバイスも考えられ、これらは発明の詳細な説明及び請求の範囲内にある。
メータ電子機器20は、とりわけ、流量を計算するために、ピックオフセンサ105及び105'からの左右の速度信号を処理する。通信経路26は、メータ電子機器20が作業者又は他の電子システムと通信することを可能にする入力手段及び出力手段を提供する。
図1の説明は、流量計の動作の一例として単に付与され、本発明の開示を限定することを意図しない。
【0029】
一実施形態では、メータ電子機器20は、流れ導管103A及び103Bを振動させるように構成されている。振動は、ドライバ104によって実行される。メータ電子機器20は、結果として生じる振動信号をピックオフセンサ105及び105'から受信する。振動信号は、流れ導管103A及び103Bの振動応答を含む。メータ電子機器20は、振動応答を処理し、応答周波数及び/又は位相差を決定する。メータ電子機器20は、振動応答を処理し、応答周波数及び/又は位相差を決定する。メータ電子機器20は振動応答を処理し、プロセス流体の質量流量及び/又は密度を含む1つ又は複数の流量測定値を決定する。他の振動応答特性及び/又は流量測定が考えられ、これらは明細書の記載及び特許請求の範囲内にある。
【0030】
一実施形態では、流れ導管103A及び103Bは、図示のように略U字形の流れ導管を含む。或いは、他の実施形態では、井戸頭測定装置は、略直線状の流れ導管を備えることができる。更なる形状及び/または構成の流量計を使用することができ、これらは明細書の記載及び特許請求の範囲内にある。
【0031】
図2は、一実施形態に従った流量計5のメータ電子機器20のブロック図である。動作時には、流量計5は、ウォーターカット値、質量流量、体積流量、個々の流量成分の質量及び体積流量、及び例えば、体積流量及び質量流量の両方を含む総流量の測定された値又は平均値のうちの1以上を含んで出力される様々な測定値を提供する。
【0032】
流量計5は、振動応答を生成する。振動応答はメータ電子機器20によって受信され処理されて、1つ以上の流体測定値を生成する。これらの値は、監視され、記録され、合計されて出力される。
メータ電子機器20は、インターフェース201と、インターフェース201と繋がった処理システム203と、処理システム203と繋がった格納システム204とを含む。これらの要素は別個のブロックとして示されているが、メータ電子機器20は、統合された及び/又は個別の要素の様々な組み合わせから構成することができることは理解されるべきである。
【0033】
インターフェース201は、流量計5のセンサアセンブリ10と通信するように構成される。インターフェース201は、リード100(
図1参照)に結合し、ドライバ104及びピックオフセンサ105及び105'と信号を交換するように構成される。インターフェース201は、更に、外部装置等と通信経路26を介して通信するように構成されてもよい。
【0034】
処理システム203は、任意の方法の処理システムを含むことができる。処理システム203は、流量計5を動作させるために格納されたルーチンを取り出して実行するように構成されている。格納システム204は、流量計ルーチン205、質量に重み付けた密度/粘度ルーチン209、質量に重み付けた温度ルーチン211、取り込まれたガスの検出ルーチン213、及び測定信頼度ルーチン215を含む。他の測定/処理ルーチンも考えられ、これらは本明細書及び請求の範囲内にある。格納システム204は、測定値、受信値、作業値、及び他の情報を格納することができる。いくつかの実施形態では、格納システムは、質量流量(m)221、密度(ρ)304、粘度(μ)223、温度(T)224、駆動ゲイン306、駆動ゲインの閾値302、取り込まれたガスの閾値244、及び取り込まれたガスの割合248を含む。
【0035】
流量計ルーチン205は、流体定量化及び流量測定値を生成及び格納することができる。これらの値は、実質的に瞬間的な測定値を含むことができ、又は合計値または累積値を含むことができる。例えば、流量計ルーチン205は、質量流量測定値を生成し、それらを例えば格納システム204の質量流量格納装置221に格納することができる。流量計ルーチン205は、例えば密度測定値を生成し、それらを密度格納装置304に格納することができる。質量流量及び密度値は、前述したように、また当該技術分野で知られているように、振動応答から決定される。質量流量及び他の測定値は、実質的に瞬時値を含むことができ、サンプルを含むことができ、時間間隔にわたる平均値を含むことができ、または時間間隔にわたる累積値を含むことができる。時間間隔は、特定の流体状態、例えば液体のみの流体状態、または液体及び取り込まれたガスを含む流体状態が検出される間の期間のブロックに対応して選択されてもよい。さらに、他の質量流量及び関連する定量化も考えられ、これらは明細書の記載及び特許請求の範囲内にある。
【0036】
ガスが存在しない流動条件では、混合物の体積流量は液体体積流量に等しい。駆動ゲインが低く、安定しているときには、ガスがパイプラインに存在せず、全ての測定値は通常の流量計仕様内で正確であると想定され得る。多くの流体源は間欠的な取り込まれたガスのみを含み、1時間または1日または他の所定の期間にわたって、ガスが殆ど又は全く存在しない時間間隔が存在する可能性が高い。
この期間中、駆動ゲインは低く、安定しており、流量、密度、及び流量計によってなされた他の測定値は信頼され、ユーザに出力されるか、又は統計分析のために記録される。これにより、これに限定されないが、例えば駆動ゲインが低い期間における成分流量の正確な決定が可能になる。これらの例示的な状況は、流体の単一の供給源について期間に亘って発生する可能性があるので、測定値が信頼できるか、単なる評価として使用されるか、あるいは無視されるかのように、流量計5の測定信頼度に注意することは重要である。
【0037】
断続的なガススラグを有する用途における誤差を緩和するために、様々な方法が使用される。理想的にはガスがなく、非常に正確な測定が可能あるが、必ずしもそうであるとは限らない。プロセス流体中のガス体積分率が増加するにつれて、測定の精度が低下する。これらの方法の精度はさまざまな要因に依存するため、信頼度指標出力はこれらの要因の組み合わせを使用して決定される。
【0038】
実施形態によれば、測定信頼度を決定するために多数の要因が利用され得る。特に、ホールド値が決定されたガスが少ない、またはガスがない期間の存在は、測定の信頼性を決定するのに役立つことがある。駆動ゲインは、プロセス流体流れ中に取り込まれたガスが存在することを示す信号として利用される。比較的高いガスレベル及び低いガスレベルの期間を区別するために、駆動ゲイン閾値を使用することができる。本明細書で付与される実施形態の目的のために、駆動ゲインという用語は、いくつかの実施形態では、駆動電流、ピックオフ電圧、または流れ導管103A、103Bを特定の振幅で駆動するのに、必要な電力量を示す測定または導出された信号を指すことに留意すべきである。
関連する実施形態では、駆動ゲインという用語は、多相流れを検知するのに用いられる雑音レベル、信号の標準偏差、減衰関連測定値のような測定基準、及び多相流れを検出するための当該技術分野で公知の他の任意の手段を包含するように拡張される。ガス量が高い期間中、測定値の精度を改善するための修正動作が講じられる。従って、駆動ゲインがこの閾値を超えると、流量計は修正された状態で動作する。駆動ゲイン306が低い(駆動ゲイン306が駆動ゲインの閾値302未満)期間からのあらゆる密度、体積流量、質量流量についてのホールド値(ガスが少ないか無い期間から用いられる測定変数)は従って、修正状態中に、測定された変数の精度を置き換えるか、または改善するために用いられる。
流量と密度は時間とともに変化するから、ホールド値は定期的に更新する必要がある。従って、大きい誤差を示す測定を頻繁に行うよりも、正確な値のみを時々を測定する方が有益である。しかし、ガスのない期間が存在しない場合は、新たなホールド値が生成されるように駆動ゲインの閾値を増加させなければならない。ホールド値の作成に必要な駆動ゲインの閾値が大きいほど、つまりホールド値の作成中に存在するガスが多いほど、ホールド値及びホールド値を使用して作成された測定値の精度が低くなる。
【0039】
関連するものではあるが、信頼度レベルを決定するための別の変数は、ガススラグの「重大度」であり、これは実施形態においても利用される。ホールド値が一定のままである期間中であっても、メータ電子機器20はガス流量(GVF)が低い場合に、より正確な他のリアルタイム測定値の精度に依存する。例えば、ガススラグ中に一定の体積流量を保持するが、GVFを計算するためにリアルタイムの密度値に依存し、従って、体積流量の全液体部分を決定する方法もある。この文脈において、ガススラグ又はスラッギングは、GVFが高いガス及び低いガスの期間の間のGVFの差を指す。
例えば、ガススラグが高いGVFを有し、ガススラグの前後にGVFが低いかまたはない場合、ガススラッギングは重大であると考えられる。しかしながら、ガススラグの前または後の期間がガススラグと同じGVFまたはそれに近い場合、スラグは存在しないか、またはスラッギングは重大ではないと考えられる。
スラグがない場合は、ガスがないことを推測せず、測定値が信頼できるものであることに留意すべきである。スラッギングがないことは、GVFがその値にかかわらず一定であることを示す。さらに、GVFが低いガス期間は、流量計5内のガスが最小の期間を指すことにも留意されたい。さらに、ガスが最小の期間は、必ずしも低いガス体積率を意味するのではなく、GVFが他の時間に対して低い期間である。ホールド値は、ガスレベルが低い期間中のGVFに関係なく、ガスが低い期間から決定される。流量計構造がモデルの間で異なり、プロセス条件が用途間(且つ用途内)で変化するので、低、高、重度などの用語は当業者に理解され、そのような用語に関連する絶対値は、特定の用途に使用される特定の流量計に特有のものであることに注意すべきである。
【0040】
信頼度レベルを決定するための更なる別の変数は、プロセス流体の流量である。流量は、測定された質量流量精度に大きな影響を与える。所定のGVF、例えばこれに限定されないが5%にて、測定された質量流量の正確さは、真の質量流量が何であるかに依存して大きく変化する。真の質量流量が、流量計の公称流量の近くで高ければ、GVFが5%の場合、測定された質量流量に誤差がほとんどなく、例えば+/-1%である。しかし、同じ流量計とGVFで、実際の流量がはるかに小さい場合、測定された質量流量の誤差はより大きくなる。
【0041】
信頼度レベルの決定に用いられる別の変数は、データの「最新性」であり得る。一実施形態では、正確な測定を促進するために、最近のデータ対古いデータを優遇する(favor)ことが好ましい。一実施形態では、GVFが低いホールド値間の長い時間間隔は、低い信頼性を促進する。同様に、最後に捕捉されたホールド値から長い時間が経過した場合、より低い信頼度が報告され得る。駆動ゲインは、プロセス流体流れ中に取り込まれたガスが存在することを示す信号として利用されるので、駆動ゲインは周期的に測定される。一実施形態では、最近の駆動ゲインの測定値は、最近でない測定値よりも好まれ、及び/又は重み付けされる。同様に、比較的高いガスレベル及び低いガスレベルの期間を区別するために使用される駆動ゲインの閾値は、定期的に更新/再計算され、より最近の駆動ゲインの測定値は、駆動ゲインの閾値を調整する際に優先的に利用される。GVFが高いガスの期間中、測定値の精度を改善するための修正動作が取られるため、古いデータに対する最近のデータを利用することにより、取られる修正動作及び/又は報告される信頼度レベルは、最も関連性が高いと考えられるデータに基づく。
【0042】
一実施形態では、信頼度は、上述のものを含む流量計値の様々な組み合わせを使用して決定される。特定の実施形態では、信頼度は、百分位数であってもよい。他の実施形態では、より定性的なアプローチをとることができる。例えば、定性的な評価は、単純な「高」、「中」及び「低」の指標であり得る。一実施形態では、定性的評価は以下となる。
【0043】
高い信頼度:この場合、ガスレベルが低い期間はガスを殆ど又は全く含まず、ガススラグの重大度は低い。従って、ガスのない期間から決定されるので、ホールド値は正確である。さらに、ホールド値を使用して修正されている「ガスが高い」または「スラグ」期間は、修正方法の誤りを軽減するのに役立つガスも殆ど含まれていない。
中程度の信頼度:ここでは、ガスレベルが低い期間にはガスが殆ど無いか全く含まれていないが、ガススラグの重大度は高い。この場合、ホールド値は正確である。しかし、補間された部分のリアルタイム測定を必要とするため、ガスレベルが高い期間中のGVFが高いために、補正方法の誤りが生じる。
低い信頼度:これらの場合はGVFが高くガスレベルが低い期間が存在する。ガススラグの重大性に関わらず、ホールド値が不正確になるため、測定値が不正確になる。
【0044】
また、
図3-
図5は信頼度が高、中、低の期間の例を示す。密度は左のy軸300を参照してプロットされ、拡大された駆動ゲインは右のy軸302によって示され、時間はx軸304を参照してプロットされる。拡大された駆動ゲインは100%を超える。実線の跡は密度を表し、破線の跡は拡大された駆動ゲインを表す。
【0045】
図3は、信頼度の高い測定値の例、具体的には、ガスレベルが低い期間中の低いGVFを有する重大度が低いスラグを示す。この例では、重大でないガススラグは、ガスレベルの高低の間の小さな密度変化(-0.5%の変化)によって示される。更に駆動ゲインは、ガスが最小量である期間中は低く、駆動ゲインが低い閾値をもたらし、この期間中に低いGVFを示し、従ってホールド値の正確な捕捉を示す。
【0046】
図4は、測定値における中程度の信頼度の例を表す。ここでは、ガスレベルが低い期間中の低いGVFを有する重大度の高いスラグが示される。高い重大度は、低GVF期間と高GVF期間の間の大きな密度スイング(-20%変化)によって示される。しかし、ガスレベルが低い期間中、駆動ゲインは低く、低いGVFを示す。これにより、精度の高いホールド値が得られる。
【0047】
図5は、測定値の信頼度が低い例-具体的には、ガスレベルが低い期間中に高いGVFを有する重大度の低いスラグを表す。重大度の低いスラグは、ガスレベルの低い期間とガスレベルの高い期間の間のわずかな密度変化(-2%変化)によって示される。しかし、ガスレベルの低い期間中、駆動ゲインは依然として高く(-250%)、これは高い駆動ゲインの閾値をもたらし、従って高いGVFを示す。ガスレベルが低い期間中に決定されたホールド値は誤っているため、修正状態にも誤りが生じる。
図示されていないが、ガスレベルが低い期間中に高いGVFを有する高い重大度のスラグも信頼性が低い。上述のように、より新しいデータ/測定値は、一実施形態では、古いデータよりも優先的に利用されてもよい。従って、高いガスの長期間に起因してより古いデータが提示されるほど、報告される信頼度は低くなる。
【0048】
実施形態にて、ガスレベルが高い期間のGVFは例として以下の式を用いて評価されるが、この式に限定されない。
【数1】
ここで、
ρ
mixは、ガスの存在下で測定される密度である、混合物(ガスと液体)の密度、
ρ
liqは、ガスレベルが低い期間から保持される液体の密度。
ρ
gasは、ガスの密度である。
【0049】
ガススラグの真のGVFが高い間は、修正状態中の液体体積流量の推定値はより大きな誤差になる。GVFが高い場合、正確であると推定される測定された質量流量は、あまり正確ではない。このため、ホールド値がガスのない期間から決定されても、全体的な測定の信頼度は低下する。
【0050】
メータ電子機器20はGVFが低い期間中にρ
mix=ρ
liqであると仮定するため、式(1)はホールド値が決定されるガスレベルが低い期間中にGVFを推定するのに使用することができないことに留意されたい。従って、従来技術の方法は、修正状態にないときにはGVFを0と推定する。一実施形態では、駆動ゲイン閾値は、ガスレベルが低い期間中のガス含有量を推定するために使用される。駆動ゲイン閾値は、予め設定されていてもよいし、ガスが最小量及び/又はガスのない期間に記録された駆動利得に基づいてもよい。これらの期間中の駆動ゲインが低い場合、これらの期間中のGVFも同様に低い。しかし、ガスが最小量の期間に基づく駆動ゲイン閾値が高い場合、GVFはガスレベルが低い期間中に高くなる。従って、駆動ゲイン閾値により、ガス存在が大まかに推定され、測定の信頼度を予測するのに役立つ。
【0051】
図6は、GVF及び駆動ゲイン閾値レベルの使用を示し、一方、
図7は、個々の信頼度レベルを決定する際のGVF、駆動ゲイン閾値レベル、及び流れレベルの使用を示す。数値は単なる例であり、流量計モデル、サイズ、用途、環境などを含む様々なパラメータに基づいて必然的に異なることに留意されたい。信頼度レベルを規定するGVF及び駆動ゲイン閾値の値は、特定の流量計、用途の条件、及び必要な精度に基づいて決定される。個々の信頼度レベルが図示されているが、連続的な信頼度分布体が代わりに使用されてもよい。
【0052】
例えば5%であるがこれに限定されない所定のGVFにて、測定された質量流量の正確さは、真の質量流量が何であるかに依存して大きく変化する。真の質量流量が流量計の公称流量の近くで高ければ、GVFが5%の場合、測定された質量流量に誤差がほとんどない(例えば+/-1%)。しかし、同じ流量計5及びGVFについて、流量が公称流量よりかなり低いと、測定された質量流量の誤差はより大きくなる。例えば、流量計のターンダウンや質量流量ホールド値の変化など、低い流量で導入される変動性を説明するために使用できるさまざまな測定基準がある。
【0053】
流量計のターンダウンは、所定の流量計サイズについて、公称流量に対する測定された流量の割合として定義される。取り込まれたガスを有する流れ期間中の低い流量は、流量計5の入口から出口への減衰の非対称性に起因して不正確な結果を生じる。この実施形態は、直接的に低い流量を探し、見つかった場合、全体測定の信頼度を低下させる。
ホールド値の標準偏差は、流量に基づく信頼度の指標とすることもできる。流量が低い場合、ホールド値の標準偏差が高くなり、このため、信頼度が低下する。この方法はそのアプローチにおいてより一般的であり、低い流量だけでなく変動の他の原因を説明することができる。
【0054】
上記のように、様々な流量計の値を使用して信頼度レベルを決定することができる。ホールド値と出力変数の両方に、関連する信頼度指標を持たせることができる。
ホールド値の精度を決定するために使用される特性は、駆動ゲインが増加すると駆動ゲインの信頼度が低下すること、記録されたホールド値の標準偏差が高いと信頼度が低下すること、以前の密度ホールド値と比較した密度ホールド値の低下は信頼性を低下させること、及び流量計の公称流量から大きくターンダウンした質量/体積流量ホールド値は信頼度を低下させることを含む。
【0055】
出力変数の精度を決定するために利用される属性は、修正状態の間の高いGVFが信頼性を低下させること、保持密度に対する密度の低下は信頼度を低下させること、保持された質量/体積流量からの質量/体積流量の大きな偏差は信頼度を低下させること、修正状態中の任意の流れ変数の高い標準偏差は、信頼度を低下させること、及び修正された状態の間の増加した駆動ゲインは、信頼度を低下させることを含む。
信頼度を推定するために利用され得る他の指標には、測定中の高流量ターンダウンが信頼性を低下させること、新たなホールド値の無い修正状態で費やされる時間が増加すると、信頼性を低下させること、修正状態で費やす時間が長すぎると、信頼度が低下することを含む。
【0056】
信頼度は、他の出力変数と同じ割合で更新されたり、新たなホールド値が計算されるたびに、または新たな駆動ゲイン閾値が計算されるときに更新される。更新の割合は、信頼度がどのように定義されているかによって異なる。信頼度は、個々の時間間隔で平均化して出力され得る。最後に、信頼度は平均化され、流量計を通る流量に基づいて重み付けされ得る。流量平均に使用される流量は、ホールド値又は測定値の何れかである。
【0057】
本明細書の記載は、当業者に本発明の最良の形態を如何に作り使用するかを開示するための特定例を記載する。例えば、油とガスの井戸は説明の目的で使用されるが、ここで記載された実施形態は流体流れの如何なる用途にも考えられる。進歩性のある原理を開示する目的から、幾つかの従来の態様は簡略化され又は省略された。当業者は本発明の範囲に入るこれらの例から変形例を理解するだろう。
【0058】
上記の実施形態の詳細な記述は、本発明の範囲内にある発明者らによって熟考された全ての実施形態の完全な記述ではない。実際に当業者は、さらに実施形態を作成するために上記実施形態のある要素が種々に組み合わせられるかもしれないし除去されるかもしれないことを認識している、そしてそのような、さらなる実施形態は現在の記述の範囲及び開示の範囲内にある。本発明の範囲及び開示内にある追加の実施形態を作成するために、上記実施形態の全部或いは一部が組み合わせられるかもしれないことも当業者には明白である。
【0059】
従って、本発明の特定の実施形態及び例が説明の目的のためにここに記述されているが、当業者が認識するように、様々な等価な修正は本願の範囲内で可能である。ここに提供される開示は、他の実施形態に適用可能であり、上記に記載され添付の図面に示された実施形態だけではない。従って、上記の実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲から決定されるべきである。