【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題は、独立請求項の各構成要件によって解決される。本発明の有利な構成は、各従属請求項に記載されている。
【0007】
ある態様においては、サーバの動作方法が提示され、この方法は、以下のステップ、即ち、
・駐車場の通信インフラストラクチャを用いて形成された通信ネットワークを介して、サーバとこの駐車場に存在する車両との間に通信接続を形成するステップと、
・車両の処理装置に格納されているソフトウェアが更新されなければならないか否かを、この通信接続を介して検査するステップと、
・この検査に基づいて、サーバを用いて、ソフトウェアの更新のための更新データを、通信接続を介して車両に送信するステップであって、これによって、車両が駐車場に存在している間に更新データに基づいてソフトウェアが更新可能である、ステップと、
を含む。
【0008】
別の態様においては、サーバが提示される。このサーバは、
・駐車場の通信インフラストラクチャを用いて形成された通信ネットワークを介して通信するように構成されている通信インタフェースと、
・プロセッサと、
を備えており、
・このプロセッサは、通信インタフェースが、サーバと駐車場に存在している車両との間の通信接続を、通信ネットワークを介して形成するように、通信インタフェースを制御するように構成されており、
・これによって、この通信接続を介して、車両の処理装置に格納されているソフトウェアが更新されなければならないか否かが検査可能であり、
・ここで、プロセッサは、通信インタフェースが、ソフトウェアの更新のための更新データを、通信接続を介して車両に送信するように、この検査に基づいて通信インタフェースを制御するように構成されており、これによって、車両が駐車場に存在している間にソフトウェアが更新データに基づいて更新可能である。
【0009】
別の態様においては、車両用の駐車システムが提示される。この駐車システムは、
・駐車場を含み、
・この駐車場は、通信インフラストラクチャを備えており、
・この通信インフラストラクチャは、通信ネットワークを形成するように構成されており、さらに、この駐車システムは、
・本発明に係るサーバを含む。
【0010】
別の態様においては、コンピュータプログラムが提示される。このコンピュータプログラムは、コンピュータ上で、特にサーバ上で実行されるときに、サーバの動作方法を実施するためのプログラムコードを含む。
【0011】
即ち、本発明は、特に、車両に対する通信接続を形成するために、駐車場の通信ネットワークを使用するというアイディアを含んでいる。さらに、この場合には、有利には、車両の処理装置に格納されているソフトウェアが更新されなければならないか否かが検査され得る。本発明においては、さらに、この検査によって、ソフトウェアが更新されなければならないことが判明すると、この通信接続を介して、更新データが車両に送信される。ここで、この車両は、駐車場に存在している。即ち、本発明においては、その内部で車両との通信が行われ、場合によっては、ソフトウェア更新が実施される所定の通信環境に車両が存在している。即ち、有利には、駐車場の通信インフラストラクチャによって形成された通信ネットワークが、通信接続のために使用される。このような通信ネットワークは、通常、駐車場内に、通常の移動無線ネットワークよりも確実な無線カバレッジを有している。通常、通信インフラストラクチャは、駐車場の構造に適合させられているので、車両に対する確実な通信接続に十分な無線カバレッジが得られる。駐車場内で通信ネットワークが、無線カバレッジホールを有しているであろう場合でも、車両との通信の際にこのような状況を考慮するために、これを容易に検知することができる。これは、通常、駐車場外に形成又は構築されている移動無線ネットワークと比較して、駐車場においてより容易に実施可能である。なぜなら、駐車場外においては、通常、移動無線ネットワークの無線カバレッジに影響を与え得る多数の未知のパラメータが存在しているからである。
【0012】
従って、駐車場の通信インフラストラクチャによって、有利には、サーバと車両との間に、駐車場外の通常の移動無線接続と比較して、よりロバストかつより確実な通信接続を形成することができる。この点においては、この場合に、これによって、有利には、車両への更新データのより安全かつより確実な伝送が可能になる。従って、即ち、有利には、ソフトウェアの更新がより安全かつよりロバストに実行可能である。
【0013】
ソフトウェアは、例えば、コンピュータ、特に処理装置を動作させるために用いられる1つのプログラム又は多数のプログラムを含む。
【0014】
ソフトウェアは、例えば、1つ又は複数のプログラム及び属するドキュメンテーションを含む。
【0015】
ソフトウェアは例えば、1つ又は複数のプログラムと、例えば属するドキュメンテーションと、例えばさらなるデータとを含む。これら(プログラム及び/又はドキュメンテーション及び/又はデータ)は、コンピュータの動作のために必要である。
【0016】
ある実施形態においては、上記検査は、サーバによって実施される。これによって、効率的に、更新が行われなければならないか否かを検査することができる。
【0017】
ある実施形態においては、サーバは、更新データを、車両の静止状態の間のみ、車両に送信する。これによって、特に、サーバと車両との間の通信接続が特にロバストであるという技術的な利点が生じる。特にこれによって、有利には、通信接続が特に安定する。特に、これによって、有利には、データレートがほぼ一定に保持される。なぜなら、更新データが車両に送信される間、車両が静止していることによって、車両が例えば、通信ネットワークの無線波を少なくとも部分的に遮る柱を通過して走行するという状況が生じ得ないからである。
【0018】
車両の静止状態は、特に、車両が停車している、特に駐車位置に停車しているということを含む。即ち、特に、ある実施形態においては、車両が駐車位置に停車している場合にのみ、サーバが、更新データを、車両に送信する。
【0019】
ある実施形態においては、車両が駐車場に存在している間に、車両は、自律駐車プロセスを実施する。この自律駐車プロセスは、特に、車両が駐車位置に駐車すること、即ち、駐車位置上の車両の駐車を含んでいる。このような自律駐車プロセスにおいては、車両は通常、自身の運転者によって、引き渡し位置に停車される。このような引き渡し位置から、車両は自律して、又は、遠隔操作されて、駐車場の駐車位置に走行し、そこに駐車される。駐車持続時間の終了後、又は、運転者側又は駐車場運営業者からの要求に従って、車両は自律して、又は、遠隔制御されて、この駐車位置から、引き取り位置へと走行する。この引き取り位置で、運転者は自身の車両を引き取ることができる。引き取り位置は、特に、引き渡し位置と同一であってよい。このような自律駐車は、AVPとも称される。AVPとは、英語で、「automatic valet parking」であり、「自動駐車プロセス」と翻訳することができる。このような、自動入庫及び自動出庫可能な自律走行車両は、例えば、AVP車両と称される。
【0020】
即ち、特に、ある実施形態においては、車両はAVP車両である。即ち、AVP車両は、特に、自律駐車機能を有している。
【0021】
「自律」とは、本発明においては、特に、車両がスタンドアローンで、即ち、運転者の介入なく、駐車場上で移動を行う又は走行すること意味している。即ち、車両は、駐車場上をスタンドアローンで走行する。ここで、運転者は、このために車両を制御する必要はない。
【0022】
本発明においては、駐車場は、駐車フロアとも称され、車両用の停車領域として用いられる。従って、駐車場は、特に、(私有地の駐車場における)複数の駐車マス、又は、(公有地の駐車場における)複数の駐車区画を有している、1つの連通したエリアを形成している。駐車場は、ある実施形態においては、パーキングビルに含まれていてもよい。特に、駐車場は、ガレージに含まれていてもよい。
【0023】
ある実施形態においては、上記サーバと別のサーバとの間に、別の通信接続が形成される。ここで、上記サーバは、更新データを別のサーバから別の通信接続を介して受信し、上記の通信接続を介して更新データが車両に送信される。これによって、特に、サーバ自体が、更新データを格納しなくてもよいという技術的な利点が生じる。更新データは、別のサーバ上にあり、又は、別のサーバは、更新データにアクセスすることができる。これによって、サーバ自体を効率良く、かつ、必要なメモリを減少させて、動作させることができる。
【0024】
別のサーバは、ある実施形態においては、OEM、即ち、相手先商標製造会社(Original Equipment Manufacturer)のサーバである。特に、別のサーバとは、OEM−検査プロバイダのサーバである。このようなプロバイダは、例えば、オンラインで、即ち、通信接続を介して、車両の検査、即ち、特に車両システムの検査を実施する。
【0025】
ある実施形態においては、別の通信接続が、上記サーバと別のサーバとの間に形成される。
【0026】
ある実施形態においては、別の通信接続が、上記サーバと別のサーバとの間に形成され、ここで、上記検査は、この別のサーバによって実施される。
【0027】
即ち、別のサーバは、特に別の通信接続を介して、及び、上記通信接続を介して、離隔して、車両にアクセスすることができ、これによって、例えば、処理装置のエラー分析を実施する、及び/又は、例えば、更新データを実行する。
【0028】
ある実施形態においては、サーバは、更新データ自体を提供する。即ち、サーバ上に、更新データが格納されている、又は、データバンクが設けられており、サーバは、このデータバンクにアクセスすることができる。ここで、このデータバンク内に、更新データが格納されている。
【0029】
ある実施形態においては、上記検査は、処理装置が機能エラーを有しているか否かを、及び/又は、処理装置が機能エラーを有していたか否かを含み、処理装置が機能エラーを有している、及び/又は、処理装置が機能エラーを有していた場合には、このような機能エラーを除去するためにソフトウェアの更新で足りるか否かを含む。これによって、特に、機能エラーを効率良く識別することができるという技術的な利点が生じる。特に、これによって、ソフトウェアの更新が、この機能エラーを除去するために足りるか否かを効率良く識別することができるという技術的な利点が生じる。このような識別によって、有利には、車両のより安全な動作が可能になる。
【0030】
ある実施形態においては、機能エラーを除去するためにソフトウェアの更新では足りない場合に、以下の処置のうちの少なくとも1つが、サーバによって実施される。
・車両の所有者及び/又は運転者にこのことを通知するための、車両の所有者及び/又は運転者へのメッセージの送信
・車両の所有者及び/又は運転者の工場にこのことを通知するための、車両の所有者及び/又は運転者の工場へのメッセージの送信
・機能エラーに関連する車両の少なくとも1つの走行機能のブロック及び/又は制限
・機能エラーの修理を依頼するための、ロードサービスへのメッセージの送信
・車両の引き取りを依頼するための、引き取りサービスへのメッセージの送信
【0031】
この送信は、例えば、上記通信ネットワークを介して、及び/又は、別の通信ネットワークを介して実施可能である。
【0032】
車両の所有者及び/又は運転者にこのことを通知するための、車両の所有者及び/又は運転者へのメッセージの送信によって、特に、機能エラーを除去するためにソフトウェアの更新では足りないということを、車両の所有者及び/又は運転者が知ることができるという技術的な利点が得られる。
【0033】
工場にこのことを通知するための、工場へのメッセージの送信は、特に、機能エラーを除去するためにソフトウェアの更新では足りないということを、工場が知ることができるという技術的な利点を有している。これに対応して、工場は、特に有利には、車両が工場において現場にあるときに、機能エラーを除去するために、予備の措置を取ることが可能である。
【0034】
機能エラーに関連する、車両の走行機能のブロック及び/又は制限は、特に、これによって、車両のより安全な動作が可能になるという技術的な利点を有している。なぜなら、これによって、有利には、機能エラーが新たに発生するということを回避することができる、又は、この制限に基づいて、重大な作用が軽減されるということが生じるはずだからである。
【0035】
ロードサービスへのメッセージの送信は、特に、ロードサービスが、現場において、即ち、車両が駐車場にあるうちに、機能エラーを修理することができるという技術的な利点を有している。従って、例えば、車両の運転者が、修理の目的で、工場へ再び赴く必要は無くなる。
【0036】
引き取りサービスへのメッセージの送信は、特に、運転者自身が、それに煩わされることがないという技術的な利点を有している。従って、運転者は、時間を節約することができる。
【0037】
別の実施形態においては、メッセージが、車両の所有者及び/又は運転者に、サーバを用いて送信され、ソフトウェアの更新で足りる場合に、車両の所有者及び/又は運転者にこのことが通知される、及び/又は、車両の所有者及び/又は運転者に、更新の実施に対する承認が要求される、又は、ロードサービス若しくは引き取りサービスの依頼に対する承認が要求される。これによって、特に、ソフトウェアが更新されるべき場合、又は、ロードサービス若しくは引き取りサービスが相応に依頼されるべき場合、所有者及び/又は運転者が、明示的に、承認しなければならないという技術的な利点が生じる。特に、この場合には、所有者の側及び/又は運転者の側の承認に対応してはじめて、ソフトウェアが更新される、又は、ロードサービス若しくは引き取りサービスへの依頼が行われる。
【0038】
別の実施形態においては、機能エラーは、自律走行機能、特に、自律駐車機能に関するものである。これによって、特に、自律走行機能、特に自律駐車機能が、エラーを伴わずに又はエラーを伴って動作しているか否かを識別することができる、という技術的な利点が生じる。
【0039】
ある実施形態においては、サーバは、サーバの動作方法を実行又は実施するように構成又は調整されている。
【0040】
ある実施形態においては、サーバの動作方法に記載されているサーバは、本発明に係るサーバである。
【0041】
ある実施形態においては、通信は、通信ネットワークを介して暗号化されている、又は、暗号化される。
【0042】
ある実施形態においては、通信ネットワークは、移動無線通信ネットワーク及び/又はWLAN通信ネットワークを含む。特に、WLAN通信ネットワークは、有利には、特にロバストで、安定しており、かつ、帯域幅の広い通信接続を提供することができる。
【0043】
通信インフラストラクチャは、ある実施形態においては、1つ又は複数のアクセスポイント(無線アクセスポイント、ベースステーション)を含む。即ち、例えば、複数のWLANベースステーション及び/又は複数の移動無線ベースステーション、例えば、LTE(Long Term Evolution:ロング・ターム・エボリューション)ベースステーションが駐車場上に配置されている。
【0044】
装置の特徴は、同様に、対応する方法の特徴から明らかであり、方法の特徴は、同様に、対応する装置の特徴から明らかである。即ち、方法に関する技術的な機能性は、装置に関する対応する機能性から明らかであり、装置に関する技術的な機能性は、方法に関する対応する機能性から明らかである。
【0045】
即ち、特に、ある実施形態においては、プロセッサは、通信インタフェースを相応に制御するようにして、方法に従って技術的なステップを実施するように構成されている。
【0046】
従って、ある実施形態においては、プロセッサは、上述したメッセージを求める又は生成するように構成されており、ここで、この場合には、特に、これらのメッセージ又はこれらのメッセージのうちの1つを、通信ネットワークを介して、例えばロードサービスに、及び/又は、例えば引き取りサービスに、及び/又は、例えば工場に、及び/又は、例えば所有者及び/又は運転者に送信するように、通信インタフェースが構成されている。
【0047】
これに対応して、この場合に、ある実施形態においては、通信インタフェースは、承認を受信するように、対応して構成されている。
【0048】
本発明を以下において、有利な実施例に基づいて詳細に説明する。