【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、本発明によると、仮固定のために接着テープを使用することによって解決され、詳細には、仮固定用接着剤が、第2の最終固定の過程で最終固定用接着剤中で溶解する未架橋感圧接着剤である冒頭に述べた種類の接着テープを使用することによって解決される。
【0015】
本出願の趣旨での溶解するとは、方法の節で記載する可溶性の測定方法に基づいて、仮固定用接着剤が、少なくとも部分的に最終固定用接着剤中において溶解する場合を意味する。この定義を満たさなかったのは、単に支持体から剥離して、光学的に視認可能に最終固定用接着剤中であちこち浮遊する接着剤である。
【0016】
驚くべきことに、現状技術で記載される、エポキシ系接着剤の欠点にもかかわらず、未架橋(それゆえ、より保存性があり、可溶性の)感圧接着剤を開発することができた。それは、二液型エポキシ接着剤に第2の成分(硬化剤)を添加しない、つまり、エポキシ接着剤が硬化剤フリーであることによるか、または例えばジシアンジアミドのような潜伏性硬化剤の使用により成功する。潜伏性硬化剤(および促進剤)を使用する場合、下部構造の形成を避けるためには、VARTMにおいて、まずはゆっくりと架橋反応が開始するように注意する。
【0017】
本出願の趣旨での未架橋とは、化学架橋に関し、方法の節で記載するゲル値測定方法により測定する。ゲル値が20%を下回るすべての感圧接着剤が、本出願の趣旨において未架橋である。
【0018】
本発明による接着テープの使用は、使用者が、接着剤を簡単に一様な塗布量で、接着させたいガラス繊維マット上に塗布することを可能にする。未架橋感圧接着剤であることから、固定には時間的制約がないが、その理由は、接着剤の硬化は起こらないからである。さらには、このようにして、ガラス繊維マットの再配置を問題なく可能にする接着剤の前提条件がもたらされる。最終固定用接着剤/仮固定用接着剤混合物を使用した場合の部品の見かけ層間せん断強度の、純最終固定用接着剤を使用した場合の部品の見かけ層間せん断強度からの相違が、わずかでしかないため、完成したコンポジット材料中での性能ロスを恐れる必要がない。その上、本発明による解決策は経済的でもあるが、その理由は、接着テープの使用により、望みの量の接着剤のみが塗布されるからであり、それに対して、スプレー接着剤を配量する際には、使用者が接着剤をあまり一様には塗布しない場合、配量が著しく変動することがある。その上、健康を損なうかまたは刺激性のある溶媒を必要とせず、使用者にとって好都合である。
【0019】
最終固定用接着剤中で溶解する未架橋転写式接着テープの使用は、使用者にとって最大限のデザイン自由度を可能にするが、その理由は、例えば、繊維織物といった支持体の形態での異物の導入が回避されるからである。
【0020】
その際、感圧接着剤と呼ばれるのは、比較的弱い加圧下にすでに被接着基材との持続的な結合を可能にし、使用後には、実質的に糊残りなく被接着基材から再び剥離可能である接着剤である。感圧接着剤は、室温において持続的に感圧接着性に作用し、つまり、十分に低い粘性および高い初期接着性を有するため、わずかな加圧においてすでに、それぞれの接着基材の表面をぬらすことになる。対応する接着剤の接着性は、その接着特性に基づき、再剥離性は、その凝集特性に基づく。
【0021】
好ましくは、仮固定用接着剤が、少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つの反応性樹脂を含有し、ただし、仮固定用接着剤が、100部のポリマーに対して少なくとも104部の少なくとも1つの反応性樹脂を含有し、任意選択で1つの接着樹脂を含有する。
【0022】
そのような仮固定用接着剤の使用により、生成する最終固定用接着剤/仮固定用接着剤混合物を使用した場合の部品の見かけ層間せん断強度(ILSS)が、純最終固定用接着剤を使用した場合の部品の見かけ層間せん断強度から、たとえそうだとしてもわずかにしか相違しないことが保証され得るが、その理由は、混合物が、圧倒的な部分では、純粋形態の最終固定用接着剤と同じ特性を有するからである。ILSSは、個々の材料層間の結束に作用するせん断力に対する材料の抵抗を表す尺度である。
【0023】
特に好ましくは、仮固定用接着剤の、その少なくとも1つのポリマーが、ポリマー連続相として存在する。
【0024】
「ポリマー連続相」とは、ポリマーが、その中に反応性樹脂が溶解および/または分散している連続相として存在することを意味する。このようにして、最高85%の反応性樹脂分率を有する感圧接着剤を実現できることが確認された。感圧接着性は、ポリマーが、驚くべきことに、その高いエポキシ分率にもかかわらず、感圧接着性に必要な凝集力をもたらす連続相を形成することにより得られる。
【0025】
好ましくは、反応性樹脂が、連続相中において少なくとも部分的に均質に溶解して存在する。このようにして、感圧接着性の系が生じる。特に有利な一実施形態においては、反応性樹脂が、ポリマー中に完全に均質に溶解して存在する。それからなるテープは、VARTMにおいて、特に良好に溶解する。
【0026】
その際、「均質に溶解」とは、走査型電子顕微鏡により、溶解した物質と溶解中の物質との間で、異なる相が識別できないということを意味する。
【0027】
特に好ましくは、仮固定用接着剤が、100部のポリマーおよび場合によっては接着樹脂に対して、少なくとも120部の反応性樹脂、好ましくは少なくとも200部の反応性樹脂、特に少なくとも300部の反応性樹脂を含有する。その際、「部」とは、重量部に関する。「100部のポリマーに対して少なくとも120部の反応性樹脂」という表現は、ポリマー100gに対して少なくとも120gが使用されることを意味する。接着樹脂も含有している場合、ポリマーの部と接着樹脂の部とが統合される。その際、記載は、1つを超える反応性樹脂を使用する場合は反応性樹脂の重量部の合計に対してであり、1つを超えるポリマーを使用する場合は、場合によっては接着樹脂の量または使用する接着樹脂の重量部の合計も加算した、使用するポリマーの重量部の合計に対してである。
【0028】
反応性樹脂としては、好ましくはエポキシ樹脂を使用する。VARTMでは、エポキシ樹脂を使用する。一方では、同一(反応性樹脂)は、同一反応性樹脂により容易に溶解し、他方では、仮固定用接着剤に由来する溶解したエポキシドは、共架橋し、それゆえ妨害要素ではないため、層間せん断強度への影響が、特にわずかに保たれる。その際、反応性樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、エポキシノボラック、エポキシクレゾールノボラック、またはエポキシ化ニトリルゴムをベースとした少なくとも1つのエポキシ樹脂が特に好ましい。
【0029】
特に好ましくは、最終固定用接着剤が、少なくとも1つのエポキシ樹脂をベースとして構成されており、仮固定用接着剤が、最終固定用接着剤の反応性樹脂と同一種の反応性樹脂を含有する。
【0030】
最終固定用接着剤にも、反応性樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、エポキシノボラック、エポキシクレゾールノボラック、またはエポキシ化ニトリルゴムをベースとした少なくとも1つのエポキシ樹脂が特に好ましい。
【0031】
「〜をベースとした」または「〜を基礎とした」とは、ここでは、接着剤の特性が、少なくとも著しく、それらの成分(いわゆる「主剤」)の基本的な特性によって決まるということを意味し、ただし、接着剤の特性が、組成物中における、改変性の助剤もしくは添加剤またはさらなるポリマーの使用によって付加的に影響を受けることが不可能ではないことは言うまでもない。このことは、特に、接着剤の総量に対する主剤の分率が、50重量%超であることを意味し得る。
【0032】
ポリマーは、1つのポリマーであってもよいが、さらには2つまたは複数の異なるポリマーの混合物であってもよい。その際、その少なくとも1つのポリマーは、特にエラストマーまたは熱可塑性樹脂であってもよい。
【0033】
ポリマーの例は、感圧接着剤の領域で通常使用されるようなエラストマーであり、例えば、Donatas Satas「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」(Satas & Associates、Warwick 1999年)(非特許文献1)に記載されている。
【0034】
それは、例えば、アクリレートおよび/またはメタクリレート、ポリウレタン、天然ゴム、合成ゴム、例えば、ブチルゴム、(イソ)ブチルゴム、ニトリルゴム、またはブタジエンゴム、不飽和もしくは部分水素化もしくは完全水素化ポリジエンブロック(ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(イソ)ブチレン、それらからなるコポリマー、ならびにさらなる、当業者に公知のエラストマーブロック)からなるエラストマーブロックを有するスチレンブロックコポリマー、ポリオレフィン、フルオロポリマー、および/またはシリコーンをベースとしたエラストマーである。
【0035】
本発明の趣旨で特に好ましいのは、ゴムまたは合成ゴムまたはそれらから生成されたブレンドである。それらが、仮固定用接着剤の基材として使用される場合、天然ゴムは、必要とされる純度レベルおよび粘度レベルに応じて、基本的には入手可能なあらゆる品質、例えば、Crepe型、RSS型、ADS型、TSR型またはCV型から選択可能であり、合成ゴムは、ランダム共重合されたスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(XIIR)、アクリレートゴム(ACM)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)またはポリウレタンの群、および/またはそれらのブレンドから選択可能である。
【0036】
その少なくとも1つのポリマーとしては、当業者には公知のあらゆる種類の熱可塑性樹脂も使用可能であり、それらは、例えば、J.M.G.Cowie「Chemie und Physik der synthetischen Polymere」(Vieweg、Braunschweig)(非特許文献2)およびB.Tieke「Makromolekulare Chemie」(VCH Weinheim、1997年)(非特許文献3)といった教科書で挙げられている。それらは、例えば、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(スチレン)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(カーボネート)、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(ウレタン)、ポリ(尿素)、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ(アミド)(PA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(スルホン)(PSU)、ポリ(エーテルスルホン)(PES)である。ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)およびポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)もポリマーとして同じく可能であるが、本発明の趣旨では好ましくない。
【0037】
ポリマー成分の選択は、選択したエポキシ系に依存する。極性エポキシド(アルコールとエピクロロヒドリンとの反応によりしばしば製造される、例えば、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとからの反応生成物)を使用する場合、特に、極性ポリマーが好ましい。それらは、アクリルニトリルブタジエンゴムのようなエラストマー同様に、熱可塑性樹脂、例えば、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(カーボネート)、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(ウレタン)、ポリ(尿素)、ポリ(アミド)(PA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(スルホン)(PSU)、ポリ(エーテルスルホン)(PES)も含む。
【0038】
非極性エポキシド、例えば、ジシクロペンタジエンジエポキシドには、より非極性のポリマーが好ましい。それらは、例えば、ポリ(スチレン)、不飽和もしくは部分水素化もしくは完全水素化ポリジエンブロック(ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(イソ)ブチレン、それらからなるコポリマー、ならびにさらなる、当業者に公知のエラストマーブロック)からなるエラストマーブロックを有するスチレンブロックコポリマー、または熱可塑性ポリオレフィン、フルオロポリマー、および/またはシリコーンである。
【0039】
エポキシ含有量が特に高い仮固定用接着剤を得るには、本来は感圧接着性でない、つまり室温においてダルキスト基準を満たさないすべてのポリマーが特に適切である(J.Adhesion、1991年、第34巻、189〜200ページ(非特許文献4)またはC.A.Dahlquist:Tack,adhesion,fundamentals and practice、McLaren and Sons Ltd.、London、1966年(非特許文献5)を参照)。このことは、ポリマー成分同様に、使用されるような、ポリマーと接着樹脂とからなる混合物にも当てはまる。つまり、ポリマー、および場合によっては接着樹脂それ自体は、感圧接着性ではないものの、結果として生じる、本発明による接着テープの仮固定用接着剤は感圧接着性である。
【0040】
特に有利なポリマーは、ポリ(アミド)、ポリウレタン、ニトリルブタジエンゴム、ポリ(尿素)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(スルホン)(PSU)、およびポリ(エーテルスルホン)(PES)である。これらのポリマーは、反応性樹脂の分率が非常に高い感圧接着剤を可能にし、それは、完成部品にとって特に有利であるが、その理由は、非架橋性ポリマーの分率が特に低いからである。その際、ニトリルゴムは、本発明にとって特に適切である。
【0041】
ポリウレタンを使用する場合、そのポリウレタンが部分結晶性であり、DSC測定において、少なくとも5J/g、好ましくは20J/g、特に好ましくは40J/gという融解エンタルピーに相応する融解ピークまたは結晶化ピークを有する場合に、それらのポリウレタンは、未硬化状態での良好な接着力のために特に有利であると判明した。
【0042】
ポリマー混合物のポリマーは、いくつかの例を挙げるのみであるが、直鎖状、分岐状、星状の、またはグラフト化された構造であってもよく、ホモポリマーとして、ランダムコポリマーとして、交互ポリマーとして、またはブロックコポリマーとして構成されていてもよい。「ランダムコポリマー」という名称は、本発明の趣旨では、重合に使用されるコモノマーが純粋にランダムに取り込まれているようなコポリマーのみならず、コモノマー組成における勾配および/またはポリマー鎖中の個々のコモノマー種の局所濃縮が起こるようなコポリマーも含有する。個々のポリマーブロックは、コポリマーブロック(ランダムまたは交互)として構成されていてもよい。
【0043】
本発明には接着樹脂を使用してもよいが、本発明の仮固定用接着剤には、接着樹脂がなくてもよい。接着樹脂を添加しなくても、接着剤の望みの感圧接着性は達成される。仮固定用接着剤が、最終固定用接着剤に化学的にできるだけ類似しており、後者が通常は接着樹脂を含有しないことが望ましいため、仮固定用接着剤が、接着樹脂を含有しないことが好ましい。
【0044】
架橋性成分とも呼ばれる反応性樹脂としては、例えば、Gerd Habenicht:Kleben − Grundlagen,Technologien,Anwendungen、第6版、Springer、2009年(非特許文献6)に記載されているように、感圧接着剤または反応性接着剤の分野の当業者には公知のすべての、増成反応において架橋する高分子を形成する反応性成分を原則的には使用できる。
【0045】
架橋性成分の構成および化学構造は、特に、適用する温度、使用する触媒等々の種類に関して、ポリマー相の実質的な損傷および/または分解をもたらさない条件下において増成反応が実施可能である限り決定的ではなく、ただし、架橋性成分は、好ましくは、エラストマー相と少なくとも部分的に混合可能である。
【0046】
本発明の組成物中において有用であるエポキシ含有材料またはエポキシ樹脂は、少なくとも1つのオキシラン環を有する、開環反応により重合可能である任意の有機化合物である。一般的にエポキシドと呼ばれるそのような材料は、単量体エポキシド同様に重合体エポキシドも含み、脂肪族、脂環式、または芳香族であってもよい。これらの材料は、一般的には、分子当たり平均して少なくとも2つのエポキシ基を有し、好ましくは分子当たり2つを超えるエポキシ基を有する。分子当たりのエポキシ基の「平均的」数は、存在するエポキシ分子の総数で割った、エポキシ含有材料中のエポキシ基の数として定義される。重合体エポキシドは、末端エポキシ基を有する直鎖状ポリマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格オキシラン単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、およびエポキシ側基を有するポリマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマーまたはグリシジルメタクリレートコポリマー)を含む。エポキシ含有材料の分子量は、58からおよそ100,000g/mol以上を変動し得る。異なるエポキシ含有材料からなる混合物も、本発明のホットメルト組成物中において使用可能である。有用なエポキシ含有材料は、シクロヘキセンオキシド基、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、およびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペートによって例証されるエポキシシクロヘキサンカルボキシレートを含有するようなものを含む。この種の有用なエポキシドの詳細な一覧については、米国特許第3,117,099号(特許文献6)の参照を指示し得る。
【0047】
本発明の適用において特に有用であるさらなるエポキシ含有材料は、グリシジルエーテルモノマーを含む。例は、多価フェノールと過剰のクロロヒドリン、例えば、エピクロロヒドリンとの反応によって得られる、多価フェノールのグリシジルエーテル(例えば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)プロパンのジグリシジルエーテル)である。本発明の適用において使用できる、この型のエポキシドのさらなる例は、米国特許第3,018,262号(特許文献7)に記載されている。
【0048】
本発明において使用できる市販されているエポキシ含有材料は多数ある。特に、容易に入手できるエポキシドは、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、市販名EPON 828、EPON 1004およびEPON 1001FでShell Chemical Co.から、ならびに市販名DER−332およびDER−334でDow Chemical Co.から入手可能なもの)、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル(例えば、Ciba−GeigyのARALDITE GY281)、ビニルシクロヘキセンジオキシド(例えば、Union Carbide Corp.のERL 4206)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(例えば、Union Carbide Corp.のERL−4221)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサンメタジオキサン(例えば、Union Carbide Corp.のERL−4234)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート(例えば、Union Carbide Corp.のERL−4299)、ジペンテンジオキシド(例えば、Union Carbide Corp.のERL−4269)、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、FMC Corp.のOXIRON 2001)、シリコーン樹脂含有エポキシ官能基、エポキシシラン(例えば、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよびガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、Union Carbideから市販されている)、難燃性エポキシ樹脂(例えば、DER−542、臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂、Dow Chemical Co.から入手可能)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(例えば、Ciba−GeigyのARALDITE RD−2)、ビスフェノールA−エピクロロヒドリンベースの水素化エポキシ樹脂(例えば、Shell Chemical Co.のEPONEX 1510)およびフェノールホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル(例えば、Dow Chemical Co.のDEN−431およびDEN−438)を含む。
【0049】
好ましくは、仮固定用接着剤の反応性樹脂が、最終固定用接着剤と同様にエポキシド主剤を有する。仮固定用接着剤と最終固定用接着剤とが化学的に類似していれば類似しているほど、ILSSの相違がますますわずかになる。その際、「類似している」とは、例えば、最終固定用接着剤においてビスフェノールAベースのエポキシドを使用する場合、仮固定用接着剤組成物中においても、ビスフェノールAベースの反応性樹脂を使用するということを意味する。それらの反応性樹脂は、まったく同じであってもよいか、または分子量の点でわずかに異なってもよい。
【0050】
それゆえ、仮固定用接着剤の反応性樹脂が、最終固定用接着剤の反応性樹脂と同一であると特に好ましい。
【0051】
本発明による接着テープの仮固定用接着剤は、硬化剤または開始剤を含有してもよい。しかしながら、最終固定用接着剤が硬化剤または開始剤を含有しているため、それは必要ではない。もっとも、前記のように、好ましくは仮固定用接着剤が硬化剤フリーである。その上、本発明による接着テープの仮固定用接着剤は、さらに促進剤を含有してもよい。しかしながら、それも、硬化剤の場合と同様に二義的であるが、その理由は、反応性樹脂の架橋反応の調整は、最終固定用接着剤を介して行われるからである。
【0052】
任意選択で、仮固定用接着剤が、さらなる添加剤、レオロジー修飾剤、発泡剤、充填物、または接着促進剤を含有してもよい。
【0053】
本発明による接着テープは、未硬化状態の接着剤の、鋼への接着力が少なくとも1N/cmである場合に特に適切である。それにより、優れた感圧接着特性が与えられている。
【0054】
「接着テープ」という一般的な表現は、片面または両面に(感圧)接着剤が付与されている支持体材料を含む。好ましくは、支持体が、複合材料の繊維織物と同じまたは少なくとも非常に類似する材料からなり、それにより、複合材料の特性を変化させない。起伏をできるだけ最低限に抑えるためには、支持体が、できる限り小さい厚さを有することが望ましい。
【0055】
しかしながら、特に、本発明の趣旨での「接着テープ」という表現は、いわゆる「転写式接着テープ」、つまり支持体のない接着テープを含む。転写式接着テープの場合、接着剤は、むしろ、貼付前は、剥離層が付与されているおよび/または抗接着特性を有する可撓性ライナー間に塗布されている。貼付には、規則的にまず1つのライナーを除去し、接着剤を貼り付けてから第2のライナーを除去する。そのようにして、接着剤は、2つの表面を結合するために直接に使用できる。そのような支持体のない転写式接着テープは、本発明によると特に好ましい。本発明によるそのような、感圧接着性で支持体のない転写式接着テープにより、配置および配量の点で非常に正確な接着が可能になる。
【0056】
2つのライナーによってではなく唯一の両面剥離性のライナーにより作用する接着テープも可能である。その場合、接着テープウェブは、その上面では、両面剥離性のライナーの一方の面で被覆されており、その下面は、両面剥離性のライナーの裏面、特に、ベールまたはロール上の隣接する一巻きによって被覆されている。
【0057】
前記のように、コンポジット中に支持体がとどまる複合材料の製造時に使用する場合は、使用する繊維材料に対して支持体ができるだけ類似するか、またはその繊維材料と一致することが望ましい。その際、できる限り小さい支持体厚さが好ましい。
【0058】
転写式接着テープとしてか、または平面構築物上にコーティングされた状態かのいずれか一方で存在する感圧接着剤の厚さは、好ましくは1μmから100μmの間、さらに好ましくは5μmから50μmの間、特に好ましくはおよそ10μmから30μmの間である。
【0059】
回転翼を製造する際に使用する場合、好ましい層厚は10μmから30μmである。その際、仮固定用接着剤中に含有されているエポキシドが少なければ少ないほど、層厚をますます小さく選択するが、その理由は、接着剤中のエポキシド分率がより低いと、ILSSに対する不都合な作用がより大きいからである。それに対して、仮固定用接着剤が、より高いエポキシド含有量を有する場合は、ILSSに対する不都合な作用はわずかにしか存在しないか、またはほとんど存在せず、さらに層厚が厚い仮固定用接着剤を使用することも可能である。
【0060】
本発明は、さらに、コンポジット製造において繊維構築物を仮固定するための、本発明による接着テープの使用にも関する。典型的な適用範囲は、自動車産業、航空機建造およびボート建造、ならびに風力発電所用の回転翼である。特に、風力発電所用の回転翼の場合、寸法が非常に大きい繊維マットを型中で仮固定する必要があり、それは、ゆがみおよび起伏を容易に起こすため、多大な困難をもたらす。本発明による接着テープにより、簡単かつ低価格に仮固定が可能になり、その仮固定が、完成製品の品質の点で、言うに値する損失を引き起こすことはない。
【0061】
特に好ましくは、本発明による接着テープが、真空樹脂注入プロセスにおける繊維構築物の仮固定に使用され、ただし、真空樹脂注入プロセス用の樹脂は、エポキシ樹脂の群から選択される。エポキシ樹脂は、真空樹脂注入プロセスのために特に有利であるが、その理由は、エポキシ樹脂を使用した場合の完成部品は、ILSSに関して、特に優れた特性を有するからである。
【0062】
最終的には、本発明は、次の工程、
− 本発明による、仮固定用接着剤を含有する接着テープを用いた、型中での繊維構築物の仮固定、および繊維構築物相互の仮固定、
− 最終固定用接着剤中において接着テープの仮固定用接着剤が溶解する中での最終固定用接着剤の注入、ならびに
− 最終固定用接着剤の硬化
を含む、繊維構築物と最終固定用接着剤とからなるコンポジットを製造するための方法に関する。
【0063】
好ましくは、真空注入プロセスとも呼ばれる樹脂注入プロセスにより、最終固定用接着剤の注入を行う。その際、ガラス繊維マットを広面積に望みの型中に敷いてから、真空下にエポキシ樹脂を吸い込む。
【0064】
本発明による接着テープを用いた仮固定は、一方ではガラス繊維マットの型に対する、他方ではガラス繊維マット相互の、非常に容易、正確、修正可能な一時的固定を可能にする。接着テープを用いた仮固定は、スプレー接着剤を用いた従来の固定と比べて多数の利点を有する。つまり、使用者に健康上の損害をもたらすであろう、蒸発させる必要があるか、または蒸発し得る溶媒が存在しない。常に、指定された量が塗布され、接着剤のどの量をどの領域に塗布するかが、使用者の器用さおよび正確さには依存しないため、配量が容易になる。その上、溶媒が蒸発する必要がないため、乾燥時間が要らず、製造における著しい時間の節約をもたらす。