(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
図1は本実施の形態の検査用装置100の構成の一例を示す平面図であり、
図2は本実施の形態の検査用装置100の構成の一例を示す正面図である。本実施の形態の検査用装置100は、長尺のレール部11、12、挟持部40、一対の保持部21、22、及び調整部60などを備える。検査用装置100は、可撓性を有する表示パネル50を湾曲させて検査するための装置である。
【0012】
表示パネル50は、ガラス基板、カラーフィルタ、液晶、偏光フィルタ、配向膜、透明電極、液晶ドライバ、及びスペーサ等を有する、いわゆる、オープンセル状態のパネルであり、バックライト、ベゼル及びその他の機構部材等が取り付けられる前のパネルである。表示パネル50は、平面視で矩形状をなし、所定の縦横寸法を有する。なお、以下の説明では、便宜上、寸法の長い方を横とし、短い方を縦とするが、正方形状の表示パネル50を除外するものではない。
【0013】
レール部11、12は、表示パネル50の縦寸法より長い寸法だけ離隔させて対向配置されている。すなわち、レール部11、12は、表示パネル50の横方向に平行に配置されている。なお、レール部11、12は、不図示の基台に固定されている。
【0014】
レール部11、12には、レール部11、12の長手方向(表示パネル50の横方向)に移動可能な状態で一対の保持部21、22が取り付けられている。なお、本実施の形態では、保持部21、22の両者がレール部11、12の長手方向に沿って移動可能となる構成を示すが、これに限定されるものではなく、保持部21、22の一方をレール部11、12に固定し、他方のみを移動可能に取り付ける構成であってもよい。
【0015】
挟持部40は、可撓性を有するとともに、透明であって、表示パネル50の縦横寸法より大きい縦横寸法を有し、表示パネル50の両面から表示パネル50を挟持する。挟持部40の一端側は、保持部21により保持され、挟持部40の他端側は、保持部22により保持されている。
【0016】
図1及び
図2に示すように、保持部40は、表示パネル50よりも縦横寸法が大きい矩形状であって、表示パネル50を載置する底板42、底板42と同等の形状を有し、表示パネル50を底板42の方へ押圧することができる天板41を有する。天板41、底板42は、可撓性を有し、透明の合成樹脂製であり、例えば、アクリル板で構成することができるが、アクリル板に限定されるものではない。
【0017】
底板42の両端部には、平面視が矩形状の支持部421を固定してある。支持部421は、それぞれ保持部21、22に固定されたヒンジ部422を有する。ヒンジ部422は、表示パネル50の縦方向と平行な軸の回りに支持部421を回動可能に構成してある。また、図示していないが、底板42は、表示パネル50を載置する際に表示パネル50を所定の位置に固定するための位置決め部を有する。
【0018】
天板41の両端部には、平面視が矩形状の支持部411を固定してある。保持部21側の支持部411と支持部421とは、固定部材44で固定される。また、保持部22側の支持部411と支持部421とは、固定部材43で固定される。固定部材43、44で支持部411及び支持部421の両端側を固定し、ロックすることにより、表示パネル50は、天板41で底板42の方に押圧され、表示パネル50が天板41と底板42との間に確実に挟持される。
【0019】
なお、固定部材43、44は、支持部411及び支持部421の両端側を固定することができるものであれば、どのような構造又は部材でもよい。例えば、嵌め込む構造、ねじ等で固定する構造でもよい。また、支持部411及び支持部421の一方をヒンジ構造として、天板41の一端側を、表示パネル50の縦方向と平行な軸の回りに回動可能に構成し、天板41を底板42に対して開放可能に構成してもよい。
【0020】
底板42に対向配置され、底板42(挟持部40)の方へ光を照射すべく、表示パネル50の横方向(保持部21、22の離隔方向)に沿って複数の光源部31、32、33、34、35、36を配置してある。光源部31〜36は、バックライトとしての機能を有するものであり、面光源をなし、それぞれが分離独立に構成されている。
【0021】
調整部60は、例えば、不図示の駆動機構を有し、レール部11、12に沿って保持部21、22を移動させることができる。
【0022】
すなわち、調整部60は、保持部21、22同士の離隔方向(表示パネル50の横方向)の寸法Xを調整する。
図1及び
図2に示すように、調整部60が、保持部21、22同士の離隔方向の寸法Xを所定値X1に調整した場合、挟持部40(天板41、底板42)は、平面状をなすようにしてある。
【0023】
次に、本実施の形態の検査用装置100による表示パネル50の検査方法について説明する。まず、調整部60が、保持部21、22同士の離隔方向の寸法Xを所定値X1に調整した場合、挟持部40に対して表示パネル50を着脱可能にしてある。
【0024】
例えば、調整部60が寸法Xを所定値X1に調整した場合に、挟持部40は平面状をなし、固定部材43、44のロックを解除するようにすれば、表示パネル50が平面状の状態で表示パネル50の装着することができる。そして、表示パネル50を底板42に載置した後に、天板41と底板42との間で表示パネル50を挟持し、固定部材43、44で支持部411及び支持部421の両端側を固定し、ロックすることにより、表示パネル50の装着が完了する。
【0025】
また、表示パネル50の所定の電極には、不図示の駆動信号供給部からのコネクタを接続することにより、表示パネル50へ所要の駆動信号を供給して表示パネル50の検査を行うことができる。
【0026】
次に、調整部60は、保持部21を
図1中の符号Aで示す方向に所定の速度で移動させるとともに、保持部22を
図1中の符号Bで示す方向に所定の速度で移動させる。これにより、調整部60は、保持部21、22同士の離隔方向の寸法Xを調整して、挟持部40(すなわち、表示パネル50)の湾曲度合いを所要の値に設定することができる。
【0027】
図3は本実施の形態の検査用装置100の挟持部40を湾曲させた場合の一例を示す平面図である。
図3に示すように、表示パネル50を湾曲させた状態で、表示パネル50に所定の駆動信号を供給して表示パネル50を検査することができる。
【0028】
図4は本実施の形態の検査用装置100の光源部31〜36の動作状態の一例を示す正面図である。光源調整部70は、調整部60が調整する寸法Xの長短に応じて、各光源部31〜36と挟持部40(すなわち、表示パネル50)との離隔距離Yを調整する。
【0029】
図4の例では、調整部60が、保持部21、22同士の離隔方向の寸法Xを短くするのに応じて、光源調整部70は、光源部33、34の位置を表示パネル50の方へ押し上げて表示パネル50の方へ近づける。また、光源調整部70は、光源部32、35の光の照射方向を表示パネル50の方へ向けるべく、光源部32、35の発光面が表示パネル50の光の入射面と略平行になるように光源部32、35を傾斜させる。なお、光源部31、36の位置は固定されたままである。
【0030】
光源部31〜36の光の照射方向及び表示パネル50との距離の調整は、一例であって、
図4に例示する構成に限定されるものではない。また、光源部31〜36の数も
図4の例に限定されるものではない。すなわち、湾曲した表示パネル50の全面に亘って均等に光を照射することができれば、光源部をどのように配置、調整してもよい。
【0031】
図5は本実施の形態の検査用装置100の挟持部40を湾曲させた場合の一例を示す正面図であり、
図6は従来の平面バックライトを用いた検査用装置の要部を示す正面図である。
図6に示すように、従来の検査用装置では、表示パネル50を湾曲させた場合、表示パネル50の各部分が離隔方向と交差する方向に変位する変位量は、表示パネル50の中央部分が端部側に比べて大きい。このため、
図6に示すように、表示パネル50に光を照射する平面バックライトの位置が固定されている場合、平面バックライトと表示パネル50との距離は、表示パネル50の中央部分が長く、端部側が短くなり、表示パネル50を均一の輝度で検査することができない。
【0032】
一方、本実施の形態の検査用装置100によれば、
図5に示すように、光源調整部70が、調整部60が調整する寸法Xの長短に応じて、各光源部31〜36と挟持部40(表示パネル50)との離隔距離Y、及び各光源部31〜36の傾きを調整するので、例えば、挟持部40(表示パネル50)の中央部分に対応する光源部の離隔方向と交差する方向に移動する移動寸法を、挟持部40(表示パネル50)の端部側に対応する光源部の離隔方向と交差する方向に移動する移動寸法よりも大きくすることができる。このため、光源部と表示パネル50(中央部分及び端部側)との距離を同等にすることができ、表示パネル50を均一の輝度で検査することができる。
【0033】
表示パネル50の検査が終了すると、調整部60は、保持部21を
図3中の符号Cで示す方向に移動し、保持部22を
図3中の符号Dで示す方向に移動することにより、
図1及び
図2に示す状態に戻す。これにより、表示パネル50を平面状に戻すことができ、表示パネル50の弾性変形を解除することができる。
【0034】
本実施の形態の検査用装置100にあっては、可撓性を有し、表示パネル50の両面から表示パネル50を挟持する挟持部40と、挟持部40の両端側を保持する一対の保持部21、22と、挟持部40の湾曲度合いを設定すべく保持部21、22同士の離隔方向の寸法Xを調整する調整部60とを備える。調整部60が寸法Xを所定値X1に調整した場合(
図1及び
図2に示す状態)に、表示パネル50が平面状の状態で表示パネル50を挟持部40から取り外すことができるので、表示パネル50の弾性変形を解除することができ、弾性により表示パネル50が弾けて破損することを防止することができる。
【0035】
また、本実施の形態の検査用装置100にあっては、一対の保持部21、22の少なくとも一方を離隔方向に沿って移動させる移動機構を備える。具体的には、検査用装置100は、移動機構として、離隔方向に平行に配置された長尺のレール部11、12を備える。調整部60は、移動機構を用いて一対の保持部21、22の少なくとも一方を移動させて寸法Xを調整する。具体的には、調整部60は、一対の保持部21、22の少なくとも一方を、レール部11、12に沿って移動させて寸法Xを調整する。例えば、寸法Xが長い(ただし、X<X1)場合には、挟持部40(すなわち、表示パネル50)の湾曲度合い(例えば、曲率)を小さくすることができる。また、寸法Xが短い(ただし、X<X1)場合には、挟持部40(すなわち、表示パネル50)の湾曲度合い(例えば、曲率)を大きくすることができる。一対の保持部21、22の少なくとも一方を、レール部11、12に沿って移動させるだけで、挟持部40(すなわち、表示パネル50)の湾曲度合いを所要の状態に設定することができ、表示パネル50が所要の曲率になるように湾曲させて検査することができる。
【0036】
また、本実施の形態の検査用装置100にあっては、調整部60が寸法Xを所定値X1に調整した場合、挟持部40は、平面状をなす。当該寸法Xを所定値X1に調整することにより、挟持部40を平面状にすることができるので、平面状の表示パネル50を湾曲させた場合でも、元の平面状に戻すことができ、弾性変形の状態を解除することができる。
【0037】
また、本実施の形態の検査用装置100にあっては、調整部60が寸法Xを所定値X1に調整した場合に、挟持部40に対して表示パネル50を着脱可能にしてある。例えば、調整部60が寸法Xを所定値X1に調整した場合に、挟持部40が平面状をなすようにすれば、表示パネル50が平面状の状態で表示パネル50の着脱を行うことができるので、表示パネル50の着脱時に、弾性により表示パネル50が弾けて破損することを防止することができる。
【0038】
また、本実施の形態の検査用装置100にあっては、挟持部40は、表示パネル50を載置する矩形状の底板42と、表示パネル50を底板42の方へ押圧する矩形状の天板41とを備える。調整部60が寸法Xを所定値X1に調整した場合に、底板42に対して天板41を開放可能にしてある。例えば、調整部60が寸法Xを所定値X1に調整した場合に、挟持部40が平面状をなすようにすれば、表示パネル50が平面状の状態で天板41を開放可能にしてあるので、天板41を開放した場合に、弾性により表示パネル50が弾けて破損することを防止することができる。
【0039】
また、本実施の形態の検査用装置100にあっては、挟持部40の方へ光を照射すべく、離隔方向に沿って複数配置された光源部31〜36と、調整部60が調整する寸法Xの長短に応じて、各光源部31〜36と挟持部40との離隔距離Yを調整する光源調整部70とを備える。これにより、表示パネル50を任意の曲率で湾曲させた場合でも、光源部と表示パネル50(中央部分及び端部側)との距離を同等にすることができ、表示パネル50を均一の輝度で検査することができる。
【0040】
本実施の形態は、液晶表示パネルの検査用に限定されるものではなく、表示装置に表示パネルを装着する場合、可撓性の表示パネルを弾性変形させて湾曲させる構造の表示パネルであれば、本実施の形態の検査用装置を適用することができる。
【0041】
また、本実施の形態では、検査用装置100は、2本のレール部11、12を備えていたが、レール部11、12の数は、2本に限られず、1本でもよいし、3本以上でもよい。
【0042】
また、本実施の形態では、検査用装置100は、移動機構として、レール部11、12を備え、調整部60は、一対の保持部21、22の少なくとも一方をレール部11、12に沿って移動させて寸法Xを調整したが、これに限られない。例えば、検査用装置100は、レール部11、12以外のその他の移動機構、例えばボールねじ又はエアシリンダを備え、調整部60は、一対の保持部21、22の少なくとも一方を、その他の移動機構(例えば、ボールねじ又はエアシリンダ)を用いて離隔方向に沿って移動させて寸法Xを調整してもよい。
【0043】
また、上述の各実施例において記載されている構成は、お互いに組み合わせることが可能であり、組み合わせをすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。