(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記放射素子の列が2列、一直線状になるように配置され、一方の前記放射素子の列が他方の前記放射素子の列の線対称若しくは点対称な形状、又は他方の前記放射素子の列を平行移動させた形状を有する
請求項4に記載のアンテナ。
前記放射素子を被覆するように前記第2の誘電体層と前記誘電体基板との間の層間に形成され、前記第2の誘電体層と前記誘電体基板を接着する誘電体の接着層を更に備え、
前記接着層が前記放射素子よりも厚く、前記誘電体基板よりも薄い
請求項1から8の何れか一項に記載のアンテナ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層の表面に形成される導体パターン層と、前記第1の誘電体層に関して前記導体パターン層の反対側において前記第1の誘電体層に接合される第2の誘電体層と、前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との間の層間に形成された地導体層と、前記第2の誘電体層に関して前記地導体層の反対側において前記第2の誘電体層に接合される誘電体基板と、前記第2の誘電体層と前記誘電体基板との間の層間に形成されるアンテナパターン層と、を備え、前記アンテナパターン層が1以上の放射素子を有し、前記導体パターン層が前記放射素子に給電する給電線路を有し、前記第1及び第2の誘電体層がフレキシブルであり、前記誘電体基板がリジッドであるアンテナが明らかとなる。
以上のように、第1及び第2の誘電体層がフレキシブルであっても、誘電体基板がリジッドであるので、放射素子の曲げ変形を抑えることができる。それゆえ、放射素子の放射特性が安定して、変化しにくい。
また、誘電体基板がリジッドであるので、第1及び第2の誘電体層を薄くすることができる。第1の誘電体層を薄くすることにより、給電線路における信号波の放射損失を抑えることができる。放射素子上の誘電体基板によりアンテナのクオリティファクタが低く、帯域が広い。第2の誘電体層が薄くても、アンテナの帯域が狭くなることを抑えられる。
【0013】
前記誘電体基板の厚さが300〜700μmである。
これにより、誘電体基板の表面の法線方向への指向性が高く、法線方向への利得が高い。
【0014】
前記第1及び第2の誘電体層の厚さの和は250μm以下である。
【0015】
前記放射素子が4体又は6体又は8体、間隔を置いて一直線状に配列されるとともに、直列接続され、前記給電線路が前記放射素子の列の中央に給電する。
これにより、アンテナの利得向上を実現できる。
【0016】
前記放射素子の列が2列、一直線状になるように配置され、一方の前記放射素子の列が他方の前記放射素子の列の線対称若しくは点対称な形状、又は他方の前記放射素子の列を平行移動させた形状を有する。
これにより、アンテナの利得向上を実現できる。
【0017】
前記放射素子の列がその列の方向の直交方向に所定ピッチで複数列配列されており、前記放射素子の列の同じ順にある放射素子が前記直交方向に一列に配列されている。
これにより、アンテナの利得向上を実現できる。
【0018】
前記所定ピッチが2〜2.5mmである。
【0019】
前記放射素子の列がその列方向の直交方向に所定ピッチで複数列配列されている集団が複数設けられ、何れの集団の前記放射素子の列の列方向が互いに平行である。
【0020】
前記アンテナが、前記放射素子を被覆するように前記第2の誘電体層と前記誘電体基板との間の層間に形成され、前記第2の誘電体層と前記誘電体基板を接着する誘電体の接着層を更に備え、前記接着層が前記放射素子よりも厚く、前記誘電体基板よりも薄い。
これにより、接着層と第2の誘電体層の接合界面における放射素子の周囲にボイドが発生しにくい。また、接着層は、誘電体基板と比較して、放射素子の放射特性に大きく影響を及ぼさない。
【0021】
前記第2の誘電体層が複数の誘電体の層の積層体である。
これにより、放射素子が形成された範囲の外側に多層配線構造を形成することができる。
【0022】
===実施の形態===
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0023】
<第1の実施の形態>
図1は第1実施形態のアンテナ1の断面図である。このアンテナ1は、マイクロ波又はミリ波の周波数帯の電波の送信若しくは受信又はこれらの両方に利用される。
【0024】
第1の誘電体層3と第2の誘電体層4がこれらの間に地導体層7を挟持して、互いに接合されることによって、フレキシブルな誘電体積層板2が構成されている。
地導体層7は、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4との間の層間に形成されている。
第1の誘電体層3に関して地導体層7の反対側において、導体パターン層6が第1の誘電体層3の表面に形成されている。
誘電体積層板2と誘電体基板5がこれらの間にアンテナパターン層8を挟持して、互いに接合されている。アンテナパターン層8は、誘電体積層板2と誘電体基板5との間の層間に形成されている。つまり、アンテナパターン層8は、第2の誘電体層4に関して地導体層7の反対側において、第2の誘電体層4の表面に形成されている。
以上のように、導体パターン層6、第1の誘電体層3、地導体層7、第2の誘電体層4、アンテナパターン層8、誘電体基板5がこれらの順に積層されている。
【0025】
導体パターン層6、地導体層7及びアンテナパターン層8は銅等の導電性金属材料からなる。
アンテナパターン層8がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これによりアンテナパターン層8にはパッチ型の放射素子8aが形成されている。
地導体層7がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより地導体層7にはスロット7aが形成されている。スロット7aは放射素子8aの中央部に対向する。
【0026】
導体パターン層6がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより導体パターン層6には、給電線路6aが形成されている。給電線路6aは、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)の端子からスロット7aの対向位置まで配線されたマイクロストリップラインである。給電線路6aの一端部がスロット7aに対向し、該一端部がスルーホール9によって放射素子8aに導通する。給電線路6aの他端部がRFICの端子に接続されている。そのため、RFICから放射素子8aに給電線路6a及びスルーホール9を介して給電が行われる。
スルーホール9はスロット7aにおいて地導体層7を貫通している。スルーホール9は地導体層7から絶縁されている。
【0027】
誘電体層3,4は液晶ポリマーからなる。誘電体基板5は繊維強化樹脂からなり、より具体的にはガラス繊維強化エポキシ樹脂、ガラス布基材エポキシ樹脂又はガラス布基材ポリフェニレン・エーテル樹脂等からなる。
【0028】
第1の誘電体層3の厚さと第2の誘電体層4の厚さの和は誘電体基板5の厚さよりも薄い。特に、第1の誘電体層3の厚さと第2の誘電体層4の厚さの和は250μm以下である。
誘電体基板5の厚さは300〜700μmの範囲内であるため、アンテナ1の利得が高く、誘電体基板5の表面の法線方向への指向性が強くなる。
【0029】
誘電体層3,4はフレキシブルであり、誘電体基板5がリジッドである。つまり、誘電体層3,4の耐屈曲性が誘電体基板5の耐屈曲性よりも十分に高く、誘電体基板5の弾性率は誘電体層3,4の弾性率よりも十分に大きい。そのため、導体パターン層6、第1の誘電体層3、地導体層7、第2の誘電体層4、アンテナパターン層8及び誘電体基板5からなる積層体の曲げが発生しにくい。特に、放射素子8aの曲げ変形に起因した放射素子8aの放射特性の変化が起きにくい。
【0030】
第1の誘電体層3が薄く、第1の誘電体層3が低誘電率及び低誘電正接であり、給電線路6aが空気に露出しているため、給電線路6aにおける信号波の伝送損失が低い。また、電界が主に放射素子8aと地導体層7との間で形成され、第2の誘電体層4が低誘電率及び低静電正接であるため、放射素子8aが誘電体基板5によって覆われていても、放射素子8aにおける損失が低い。そのため、アンテナ1のQ値が低く、帯域が広い。一方、誘電体基板5を薄くしなくても済み、アンテナ1の帯域が狭くなることを抑えられる。なお、Q値はクオリティファクタともいう。
【0031】
誘電体基板5がガラス布基材エポキシ樹脂(特に、FR4)からなる場合、縦方向の曲げ弾性率が24.3 GPa であり、横方向の曲げ弾性率が20.0 GPa であり、誘電率が4.6 であり、誘電正接が0.050 である。ここで、縦方向及び横方向の曲げ弾性率は、ASTM D 790の規格に基づく試験方法によって計測されたものであり、誘電率及び誘電正接は、ASTM D 150の規格に基づく試験方法(周波数:3 GHz)によって計測されたものである。
誘電体基板5がパナソニック社製のガラス布基材ポリフェニレン・エーテル樹脂(特に、Megtron(登録商標)6)からなる場合、横方向の曲げ弾性率が18 GPa であり、比誘電率(Dk)が3.4 であり、誘電正接(Df)が0.0015 である。ここで、横方向の曲げ弾性率は、JIS C 6481の規格に基づく試験方法によって計測されたものであり、比誘電率及び誘電正接は、IPC TM-650 2.5.5.9 の規格に基づく試験方法(周波数:1 GHz)によって計測されたものである。
一方、誘電体層3,4が液晶ポリマーからなる場合、曲げ弾性率が12152 MPa であり、誘電率が3.56 であり、誘電正接が0.0068 である。ここで、曲げ弾性率は、ASTM D 790の規格に基づく試験方法によって計測されたものであり、誘電率及び誘電正接は、ASTM D 150の規格に基づく試験方法(周波数:10
3 Hz)によって計測されたものである。
【0032】
<第1の実施の形態の変形例>
続いて、上記実施形態からの変更点について幾つか説明する。以下に説明する幾つかの変更点を可能な限り組み合わせてもよい。
【0033】
(1)
図2に示す変形例のアンテナ1Aのように、誘電体積層板2と誘電体基板5が誘電体の接着層10によって接着されてもよい。この接着層10が放射素子8aを被覆するように第2の誘電体層4の表面に形成され、その接着層10によって第2の誘電体層4と誘電体基板5が接着されている。接着層10は、第2の誘電体層4と誘電体基板5の接合を容易にさせる。
【0034】
接着層10が放射素子8aよりも厚いため、接着層10と第2の誘電体層4の接合界面における放射素子8aの周囲にボイドが発生しにくい。
接着層10が誘電体基板5よりも薄く、特に接着層10の厚さは誘電体基板5の厚さの10分の1以下である。そのため、接着層10は、誘電体基板5と比較して、放射素子8aの放射特性に大きく影響を及ぼさない。
なお、誘電体基板5の厚さが300〜700μmであり、放射素子8aの厚さが12μm程度であれば、接着層10の厚さは15〜50μmであることが好ましい。
【0035】
(2)
図3に示す変形例のアンテナ1Bのように、第2の誘電体層4が、フレキシブルな誘電体層4a〜4dの積層体であってもよい。誘電体層4b,4dが液晶ポリマーからなり、誘電体層4a,4cは接着材からなる。誘電体層4a〜4dがこれらの順に積層されている。この誘電体層4aが地導体層7を被覆するように第1の誘電体層3の表面に形成され、その誘電体層4aによって誘電体層4bと第1の誘電体層3が接着されている。誘電体層4bと誘電体層4dが誘電体層4cによって接着されている。アンテナパターン層8は、第2の誘電体層4の表面、つまり誘電体層4dの表面に形成されている。
【0036】
第2の誘電体層4が誘電体層4a〜4dの積層体であるので、放射素子8aが形成されていない領域に、つまり
図3の図示範囲外において多層配線構造を第2の誘電体層4に形成することができる。
【0037】
(3)
図4に示す変形例のアンテナ1Cのように、保護誘電体層11が導体パターン層6を被覆するように誘電体積層板2の表面に、つまり第1の誘電体層3の表面に形成されていてもよい。導体パターン層6が保護誘電体層11によって保護される。
【0038】
(4)
図5に示す変形例のアンテナ1Dのように、スルーホールが誘電体層3,4に形成されておらず、給電線路6aの一端部がスロット7aを通じて放射素子8aに電磁界的に結合してもよい。
【0039】
<第2の実施の形態>
図6は第2実施形態のアンテナ21の平面図である。
図7は
図6におけるVII−VII断面図である。このアンテナ21は、マイクロ波又はミリ波の周波数帯の電波の送信若しくは受信又はこれらの両方に利用される。
【0040】
フレキシブルな第1の誘電体層23とフレキシブルな第2の誘電体層24が、これらの間に導電性の地導体層27を挟持して、互いに接合されることによって、フレキシブルな誘電体積層板22が構成されている。
地導体層27は、第1の誘電体層23と第2の誘電体層24との間の層間に形成されている。
第1の誘電体層23に関して地導体層27の反対側において、導体パターン層26が第1の誘電体層23の表面に形成されている。
第2の誘電体層24とリジッドな誘電体基板25がこれらの間にアンテナパターン層28を挟持して、互いに接合されている。アンテナパターン層28は、第2の誘電体層24と誘電体基板25との間の層間に形成されている。
以上のように、導体パターン層26、第1の誘電体層23、地導体層27、第2の誘電体層24、アンテナパターン層28、誘電体基板25がこれらの順に積層されている。
また、第1の誘電体層23に関して地導体層27の反対側において、RFIC39が第1の誘電体層23の表面に実装されている。
【0041】
第1の誘電体層23の組成及び厚さは、第1実施形態の第1の誘電体層3の組成及び厚さと同じである。第2の誘電体層24の組成及び厚さは、第1実施形態の第2の誘電体層4の組成及び厚さと同じである。誘電体基板25の組成及び厚さは、第1実施形態の誘電体基板5の組成及び厚さと同じである。導体パターン層26の組成及び厚さは、第1実施形態の導体パターン層6の組成及び厚さと同じである。地導体層27の組成及び厚さは、第1実施形態の地導体層7の組成及び厚さと同じである。アンテナパターン層28の組成及び厚さは、第1実施形態のアンテナパターン層8の組成及び厚さと同じである。
【0042】
アンテナパターン層28がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これによりアンテナパターン層28には素子列28aが形成されている。素子列28aはパッチ型の放射素子28b〜28e、給電線路28f,28g,28i,28j及びランド部28hを有する。
【0043】
放射素子28b〜28eは、これらの順に、間隔を置いて直線状に一列に配列されている。ここで、素子列28aのうち放射素子28bを先頭とし、放射素子28eを最後尾とする。
【0044】
これら放射素子28b〜28eは以下のようにして直列接続されている。
先頭の放射素子28bと2番目の放射素子28cは、これらの間に設けられた給電線路28fによって直列接続されている。素子列28aの中央、つまり2番目の放射素子28cと3番目の放射素子28dとの間には、ランド部28hが設けられている。2番目の放射素子28cとランド部28hは、これらの間に設けられた給電線路28gによって直列接続されている。3番目の放射素子28dとランド部28hは、これらの間に設けられた給電線路28iによって直列接続されている。3番目の放射素子28dと最後尾の放射素子28eは、これらの間に設けられた給電線路28jによって直列接続されている。給電線路28f,28g,28jは直線状に形成されており、給電線路28iは屈曲している。給電線路28gの長さは給電線路28f,28i,28jの長さよりも小さい。
素子列28aが4体の放射素子28b〜28eを有するので、アンテナ21の利得が高い。
【0045】
地導体層27がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより地導体層27にはスロット27aが形成されている。スロット27aは、素子列28aの中央、つまりランド部28hに対向する。
【0046】
導体パターン層26がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより導体パターン層26には、給電線路26aが形成されている。給電線路26aは、RFIC39の端子からスロット27aの対向位置まで配線されたマイクロストリップラインである。給電線路26aの一端部がスロット27aに対向し、該一端部がスルーホール29によってランド部28hに導通する。給電線路26aの他端部がRFIC39の端子に接続されている。そのため、RFIC39から素子列28aに、給電線路26a及びスルーホール29を介して給電が行われる。スルーホール29はスロット27aにおいて地導体層27を貫通している。スルーホール29は地導体層27から絶縁されている。
【0047】
誘電体基板25の厚さが300〜700μmの範囲内であるため、アンテナ21の利得が高く、誘電体基板25の表面の法線方向への指向性が強くなる。これについて検証した結果を
図8に示す。誘電体基板25の厚さが300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μmである場合について、アンテナ21の利得をシミュレーションした。
図8において、横軸は誘電体基板25の表面の法線方向を基準とした角度を示し、縦軸は利得を示す。誘電体基板25の厚さが300μm、400μm、500μm、600μm、700μmである場合、法線方向への指向性が高く、−30°〜30°における法線方向への利得がいずれも4dBiを超えていて高い。誘電体基板25の厚さが800μmである場合、法線方向への指向性が低く、全ての角度において法線方向への利得が4dBiを下回る。よって、誘電体基板25の厚さが300〜700μmの範囲内であれば、アンテナ21の利得が高く、誘電体基板25の表面の法線方向への指向性が強いことが分かる。
【0048】
誘電体基板25がリジッドであるため、導体パターン層26、第1の誘電体層23、地導体層27、第2の誘電体層24、アンテナパターン層28及び誘電体基板25からなる積層体の曲げが発生しにくい。特に、素子列28aの曲げ変形に起因した素子列28aの放射特性の変化が起きにくい。
【0049】
第1の誘電体層23が薄く、第1の誘電体層23が低誘電率及び低誘電正接であり、給電線路26aが空気に露出しているため、給電線路26aにおける信号波の伝送損失が低い。また、電界が主に素子列28aと地導体層27との間で形成され、第2の誘電体層24が低誘電率及び低静電正接であるため、素子列28aが誘電体基板25によって覆われていても、素子列28aにおける損失が低い。そのため、アンテナ21のQ値が低く、帯域が広い。一方、誘電体基板25を薄くしなくても済み、アンテナ21の帯域が狭くなることを抑えられる。
【0050】
素子列28aは4体の放射素子28b〜28eの直列接続体であるが、放射素子の数は偶数であれば、限定するものではない。但し、素子列28aは4体又は6体又は8体の放射素子を有することが好ましい。これについて検証した結果を
図9に示す。素子列28aの素子数が2、4、6、8である場合について、アンテナ21の利得をシミュレーションした。
図9において、横軸は周波数を示し、縦軸は利得を示す。素子列28aの素子数が4、6、8である場合、利得が9dBiを超える周波数帯域は、58〜67GHzであって、広い。素子列28aの素子数が2である場合、56〜68GHzの周波数帯域では、利得が9dBiを超えない。よって、素子列28aの素子数が4、6、8であることが好ましいことが分かる。
【0051】
<第2の実施の形態の変形例>
以下の(1)〜(4)のように、第1実施形態における変更点を第2実施形態に適用してもよい。
(1) 誘電体積層板22と誘電体基板25が誘電体の接着層によって接着されてもよい。
(2) 第2の誘電体層24が、フレキシブルな複数の誘電体層の積層体であってもよい。
(3) 保護誘電体層が導体パターン層26を被覆するように第1の誘電体層23の表面に形成されていてもよい。
(4) スルーホールが誘電体層23,24に形成されておらず、給電線路26aの一端部がスロット27aを通じてランド部28hに電磁界的に結合してもよい。
【0052】
また、
図10の平面図に示す変形例のアンテナ21Aのように、素子列28a、給電線路26a、スロット27a(
図7参照)及びスルーホール29(
図7参照)からなる複数組(例えば、16組)のグループが素子列28aの列方向の直交方向に所定ピッチで配列されていてもよい。この場合、各素子列28aの放射素子28bは列方向の位置が揃っていて、これら放射素子28bが列方向の直交方向に一列に配列されている。各素子列28aの放射素子28cについても同様である。各素子列28aの放射素子28dについても同様である。各素子列28aの放射素子28eについても同様である。
隣り合う素子列28aのピッチ、つまり列方向の中心線同士の間隔は、2〜2.5mmである。このように複数の放射素子28b〜28eが格子状に配列されているので、高利得が実現される。
【0053】
図11の平面図に示す変形例のアンテナ21Bのように、素子列28a、給電線路26a、スロット27a(
図7参照)及びスルーホール29(
図7参照)からなるグループを複数組(例えば、16組)有した集団38が2組設けられてもよい。この場合、どちらの集団38でも、各素子列28aの放射素子28bは列方向の位置が揃っていて、これら放射素子28bが列方向の直交方向に一列に配列されている。各素子列28aの放射素子28cについても同様であり、各素子列28aの放射素子28dについても同様であり、各素子列28aの放射素子28eについても同様である。
どちらの集団38でも、隣り合う素子列28aのピッチ、つまり列方向の中心線同士の間隔は、2〜2.5mmである。また、一方の集団38の素子列28aの列方向は、他方の集団38の素子列28aの列方向に対して平行である。RFIC39は一方の集団38と他方の集団38との間に配置されている。一方の集団38は受信用であり、他方の集団38は送信用である。何れの集団38においても、複数の放射素子28b〜28eが格子状に配列されているので、高利得が実現される。なお、両方の集団38が受信用であってもよいし、送信用であってもよい。
なお、集団38が3組以上設けられてもよい。この場合、何れの集団38の素子列28aの列方向は互いに平行である。或いは、集団38が4組である場合、1組目の集団38と2組目の集団38が
図11のように
図11の紙面において左右に配置され、3組目の集団38と4組目の集団38は
図11の紙面において上下に配置され、RFIC39が1組目の集団38と2組目の集団38との間に配置され、RFIC39が3組目の集団38と4組目の集団38との間に配置され、1組目の集団38の素子列28aの列方向は2組目の集団38の素子列28aの列方向に対して平行であり、3組目及び4組目の素子列28aの列方向は1組目及び2組目の集団38の素子列28aの列方向に対して垂直である。
【0054】
<第3の実施の形態>
図12は第3実施形態のアンテナ21Cの平面図である。以下では、第3実施形態のアンテナ21Cと第2実施形態のアンテナ21の相違点について説明し、一致点についての説明を省略する。
【0055】
第2実施形態のアンテナ21では、アンテナパターン層28が1列の素子列28aを有している。それに対して、第3実施形態のアンテナ21Cでは、アンテナパターン層28がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これによりアンテナパターン層28が2列の素子列28aを有している。
【0056】
一方の素子列28aは他方の素子列28aを列方向に平行移動させた形状を有する。他方の素子列28aの放射素子28b〜28eは、一方の素子列28aの最後尾の放射素子28eの後ろに続いて、放射素子28b,28c,28d,28eの順に、間隔を置いて直線状に一列に配列されている。従って、これらの素子列28aの放射素子28b〜28eは一直線状に配列されている。
【0057】
導体パターン層26がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、導体パターン層26がT分岐の給電線路26bを有する。給電線路26bはRFIC39から2列の素子列28aのランド部28hにかけて2つに分岐しており、分岐した2つの端部が2列の素子列28aのランド部28hにそれぞれ対向する。そして、第2実施形態の場合と同様に、地導体層27のうち、給電線路26bの分岐した2つの端部に対向する部分には、スロット27aがそれぞれ形成されており、給電線路26bの分岐した2つの端部が誘電体層23,24を貫通したスルーホール29によって2列の素子列28aのランド部28hにそれぞれ導通する。なお、給電線路26bの分岐した2つの端部がそれぞれスロット27aを通じて2列の素子列28aのランド部28hに電磁界的に結合してもよい。
【0058】
RFIC39の端子から給電線路26bに沿って一方の素子列28aのランド部28hまでの電気長は、RFIC39の端子から給電線路26bに沿って他方の素子列28aのランド部28hまでの電気長に等しい。
【0059】
<第4の実施の形態>
図13は第4実施形態のアンテナ21Dの平面図である。以下では、第4実施形態のアンテナ21Dと第3実施形態のアンテナ21Cの相違点について説明し、一致点についての説明を省略する。
【0060】
第3実施形態のアンテナ21Cでは、一方の素子列28aが他方の素子列28aを列方向に平行移動させた形状を有する。それに対して、第4実施形態のアンテナ21Dでは、一方の素子列28aが、他方の素子列28aの列方向に直交する対称線に関して、他方の素子列28aの線対称な形状を有する。他方の素子列28aの放射素子28e〜28bは、一方の素子列28aの最後尾の放射素子28eの後ろに続いて、放射素子28e,28d,28c,28bの順に、間隔を置いて直線状に一列に配列されている。従って、これらの素子列28aの放射素子28b〜28eは一直線状に配列されている。
【0061】
また、RFIC39の端子から給電線路26bに沿って一方の素子列28aのランド部28hまでの電気長と、RFIC39の端子から給電線路26bに沿って他方の素子列28aのランド部28hまでの電気長との差は、使用する帯域の中心の実効波長の2分の1に等しい。
【0062】
<第5の実施の形態>
図14は第5実施形態のアンテナ21Fの平面図である。以下では、第5実施形態のアンテナ21Fと第3実施形態のアンテナ21Cの相違点について説明し、一致点についての説明を省略する。
【0063】
第3実施形態のアンテナ21Cでは、一方の素子列28aが他方の素子列28aを列方向に平行移動させた形状を有する。それに対して、第5実施形態のアンテナ21Fでは、一方の素子列28aと、他方の素子列28aとが点対称である。他方の素子列28aの放射素子28e〜28bは、一方の素子列28aの最後尾の放射素子28eの後ろに続いて、放射素子28e,28d,28c,28bの順に、間隔を置いて直線状に一列に配列されている。従って、これらの素子列28aの放射素子28b〜28eは一直線状に配列されている。
【0064】
また、RFIC39の端子から給電線路26bに沿って一方の素子列28aのランド部28hまでの電気長と、RFIC39の端子から給電線路26bに沿って他方の素子列28aのランド部28hまでの電気長との差は、使用する帯域の中心の実効波長の2分の1に等しい。
【0065】
<第3〜第5の実施の形態の変形例>
以下の(1)〜(4)のように、第1実施形態における変更点を第3〜第5実施形態に適用してもよい。
(1) 誘電体積層板22と誘電体基板25が誘電体の接着層によって接着されてもよい。
(2) 第2の誘電体層24が、フレキシブルな複数の誘電体層の積層体であってもよい。
(3) 保護誘電体層が導体パターン層26を被覆するように第1の誘電体層23の表面に形成されていてもよい。
(4) スルーホールが誘電体層23,24に形成されておらず、給電線路26bの分岐した2つの端部がそれぞれスロット27aを通じて2列の素子列28aのランド部28hに電磁界的に結合してもよい。
【0066】
また、
図15の平面図に示す変形例のアンテナ21Fのように、2列の素子列28a、給電線路26b、スロット27a(
図7参照)及びスルーホール29(
図7参照)からなるグループが素子列28aの列方向の直交方向に所定ピッチ(例えば、2〜2.5mm)で配列されていてもよい。この場合、各グループの2列の素子列28aの先頭から数えて同じ順・同じ位置にある放射素子の各々は列方向の位置が揃っていて、該放射素子の各々が列方向の直交方向に一列に配列されている。
図15は第3実施形態の変形例のアンテナ21Fの平面図であり、第4及び第5実施形態の変形例についても、第3実施形態の変形例と同様に、2列の素子列28a、給電線路26b、スロット27a(
図7参照)及びスルーホール29(
図7参照)からなるグループが素子列28aの列方向の直交方向に所定ピッチ(例えば、2〜2.5mm)で配列されていてもよい。
【0067】
また、2列の素子列28a、給電線路26b、スロット27a(
図7参照)及びスルーホール29(
図7参照)からなるグループを複数組(例えば、16組)有した集団(
図15参照)が2組設けられてもよい。何れの集団の素子列28aの列方向が互いに平行である。