特許第6556275号(P6556275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556275多層薄膜からの改善したインナーライナーバリア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556275
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】多層薄膜からの改善したインナーライナーバリア
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/18 20060101AFI20190729BHJP
   B05D 7/02 20060101ALI20190729BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20190729BHJP
   B60C 5/14 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   B05D1/18
   B05D7/02
   B05D7/24 302Z
   B05D7/24 302P
   B05D7/24 302R
   B05D7/24 303B
   B60C5/14 A
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-17558(P2018-17558)
(22)【出願日】2018年2月2日
(62)【分割の表示】特願2017-45664(P2017-45664)の分割
【原出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-65139(P2018-65139A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2018年2月2日
(31)【優先権主張番号】61/581,743
(32)【優先日】2011年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(73)【特許権者】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(73)【特許権者】
【識別番号】507191005
【氏名又は名称】ザ テキサス エイ・アンド・エム ユニヴァーシティ システム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】グルンラン ジェイミー シー
(72)【発明者】
【氏名】プリオロ モーガン エイ
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン ブライアン アール
(72)【発明者】
【氏名】マクヒュー ジョン ジェイ
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0200825(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0227070(US,A1)
【文献】 特開2004−130831(JP,A)
【文献】 特表2015−509043(JP,A)
【文献】 特許第5960283(JP,B2)
【文献】 特許第6110876(JP,B2)
【文献】 特許第6286081(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D1/00〜 7/26
B60C5/00〜 5/24
B32B1/00〜43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ゴム基板をプライマーカチオン性溶液に暴露して前記ゴム基板上に第1のプライマー層を製造するステップと;
(B)前記第1のプライマー層をプライマーアニオン性溶液に暴露して前記第1のプライマー層上に第2のプライマー層を製造するステップと;
(C)前記第2のプライマー層を第1のカチオン性溶液に暴露して前記第2のプライマー層上に第1のカチオン層を製造するステップと;
(D)前記第1のカチオン層を第1のアニオン性溶液に暴露して前記第1のカチオン層上に第1のアニオン層を製造するステップと;
(E)前記第1のアニオン層を第2のカチオン性溶液に暴露して前記第1のアニオン層上に第2のカチオン層を製造するステップと;
(F)前記第2のカチオン層を第2のアニオン性溶液に暴露して前記第2のカチオン層上に第2のアニオン層を製造するステップと
を含む、ゴム基板をコーティングする方法であって、
前記プライマーカチオン性溶液はカチオン性材料を含み、前記カチオン性材料はポリエチレンイミンを含み、前記第1のプライマー層はポリエチレンイミンを含み、
前記プライマーアニオン溶液は第2のプライマー層材料を含み、前記第2のプライマー層材料はポリアクリル酸を含み、前記第2のプライマー層はポリアクリル酸を含み、
前記第1のカチオン性溶液はカチオン性材料を含み、前記カチオン性材料はポリエチレンオキシドを含み、前記第1のカチオン層はポリエチレンオキシドを含み、
前記第1のアニオン性溶液は積層可能な材料を含み、前記積層可能な材料はポリアクリル酸を含み、前記第1のアニオン層はポリアクリル酸を含み、
前記第2のカチオン性溶液はカチオン性材料を含み、前記カチオン性材料はポリエチレンイミンを含み、前記第2のカチオン層はポリエチレンイミンを含み、
前記第2のアニオン性溶液は積層可能な材料を含み、前記積層可能な材料はナトリウムモンモリロナイトを含み、前記第2のアニオン層はナトリウムモンモリロナイトを含み、四重層が前記第1のカチオン層、前記第1のアニオン層、前記第2のカチオン層および前記第2のアニオン層を含み、さらに前記コーティングが前記四重層を含む方法。
【請求項2】
前記第1のカチオン性溶液および前記第2のカチオン性溶液がさらにカチオン性材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カチオン性材料がポリマー、コロイド粒子、ナノ粒子またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーがカチオン性ポリマー、水素結合を有するポリマーまたはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カチオン性ポリマーが分枝ポリエチレンイミン、直鎖ポリエチレンイミン、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリ(アリルアミン)、ポリ(アリルアミン)塩酸塩、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記水素結合を有するポリマーがポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミン、分枝ポリエチレンイミン、直鎖ポリエチレンイミン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、これらの共重合体、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記コロイド粒子が粘土、層状複水酸化物、無機水酸化物、ケイ素系ポリマー、ポリオリゴマーシルセスキオキサン、カーボンナノチューブ、グラフェンまたはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のアニオン性溶液および前記第2のアニオン性溶液がさらに積層可能な材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記積層可能な材料がアニオン性ポリマー、コロイド粒子またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アニオン性ポリマーがポリスチレンスルホン酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリ(アクリル酸、ナトリウム塩)、ポリアネトール硫酸ナトリウム塩、ポリ(ビニルスルホン酸、ナトリウム塩)またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コロイド粒子が粘土、コロイドシリカ、無機水酸化物、ケイ素系ポリマー、ポリオリゴマーシルセスキオキサン、カーボンナノチューブ、グラフェンまたはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
工程(A)及び工程(B)を繰り返して複数の二重層を形成し、前記複数の二重層が、前記ゴム基板と前記第1のカチオン層との間に配置されたプライマー層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(C)、(D)、(E)および(F)を繰り返して複数の四重層を製造するステップをさらに含み、前記コーティングが複数の四重層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のアニオン性溶液、前記第1のカチオン性溶液、前記第2のアニオン性溶液、前記第2のカチオン性溶液、またはこれらの任意の組み合わせのpHを調整するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
コーティングしたゴム基板が、0.03cc/(m2**atm)〜100cc/(m2**atm)の間のガス透過率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のプライマー層及び前記第2のプライマー層が、基板と四重層との間に二重層を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ゴム基板がタイヤの一部を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
プライマー層と四重層を含むゴム基板を含むタイヤであって、
前記プライマー層が、前記ゴム基板上に配置されている第1のプライマー層と、前記第1のプライマー層上に配置されている第2のプライマー層とを含み、前記第1のプライマー層はポリエチレンイミンを含み、前記第2のプライマー層はポリアクリル酸を含み、
前記四重層が、第1のカチオン層と、第1のアニオン層と、第2のカチオン層と、第2のアニオン層とを含み、前記第1のカチオン層が前記第2のプライマー層と前記第1のアニオン層との間に配置されており、前記第1のアニオン層が前記第1のカチオン層と前記第2のカチオン層との間に配置されており、前記第2のカチオン層が前記第1のアニオン層と前記第2のアニオン層との間に配置されており、前記第1のカチオン層はポリエチレンオキシドを含み、第1のアニオン層はポリアクリル酸を含み、第2のカチオン層はポリエチレンイミンを含み、第2のアニオン層はナトリウムモンモリロナイトを含むタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリアの分野、より具体的にはタイヤ用ガスバリアの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスおよび蒸気に対するバリアを備える薄層は、タイヤなどの種々の用途の主要成分である。例えば、タイヤのバリア性能を改善する必要性が高まっている。従来のタイヤは、典型的にはゴムで構成され、インナーライナーを含む。従来のタイヤの欠点には、インナーライナーの透過性が含まれる。このような透過性により、酸素がタイヤカーカスを通ってスチールベルトに移動することが可能になり、それによりスチールベルトの酸化が促進されるおそれがある。さらなる欠点には、不十分な空気保持が含まれる。例えば、従来のタイヤは、一定期間を超えるとおよび使用により空気圧を損失し、これによりタイヤの転がり抵抗が増加するおそれがある。
【0003】
結果として、タイヤを改善することが必要とされている。タイヤによる空気保持を増加させることもさらに必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
当技術分野におけるこれらのおよび他のニーズは、ゴム基板をコーティングする方法により一実施形態で対処される。本方法は、ゴム基板を第1のカチオン性溶液に暴露してゴム基板上に第1のカチオン層を製造するステップを含む。本方法はまた、第1のカチオン層を第1のアニオン性溶液に暴露して第1のカチオン層上に第1のアニオン層を製造するステップを含む。さらに、本方法は、第1のアニオン層を第2のカチオン性溶液に暴露して第1のアニオン層上に第2のカチオン層を製造するステップを含む。本方法は、第2のカチオン層を第2のアニオン性溶液に暴露して第2のカチオン層上に第2のアニオン層を製造するステップをさらに含む。四重層(quadlayer)は、第1のカチオン層、第1のアニオン層、第2のカチオン層および第2のアニオン層を含む。コーティングは四重層を含む。
【0005】
当技術分野におけるこれらのおよび他のニーズは、四重層を備えるゴム基板を有するタイヤにより別の実施形態で対処される。四重層は第1のカチオン層を有する。四重層はまた第1のアニオン層を有し、第1のカチオン層がゴム基板と第1のアニオン層との間に配置されている。さらに、四重層は第2のカチオン層を有し、第1のアニオン層が第1のカチオン層と第2のカチオン層との間に配置されている。さらに、四重層は第2のアニオン層を有し、第2のカチオン層が第1のカチオン層と第2のアニオン層との間に配置されている。
【0006】
さらに、当技術分野におけるこれらのおよび他のニーズは、ゴム基板をコーティングする方法により対処される。本方法は、ゴム基板をアニオン性溶液に暴露してゴム基板上に第1のアニオン層を製造するステップを含む。本方法はまた、第1のアニオン層を第1のカチオン性溶液に暴露して第1のアニオン層上に第1のカチオン層を製造するステップを含む。本方法は、第1のカチオン層を第2のアニオン性溶液に暴露して第1のカチオン層上に第2のアニオン層を製造するステップをさらに含む。さらに、本方法は、第2のアニオン層を第2のカチオン性溶液に暴露して第2のアニオン層上に第2のカチオン層を製造するステップを含む。四重層は、第1のアニオン層、第1のカチオン層、第2のアニオン層および第2のカチオン層を含む。コーティングは四重層を含む。
【0007】
前記は、以下の本発明の詳細な説明をよりよく理解することができるように本発明の特徴および技術的利点の概要をある程度大まかに述べている。本発明の追加の特徴および利点は、本発明の特許請求の範囲の主題を形成する以下に説明する。開示される概念および具体的な実施形態を、本発明の同じ目的を実施するために他の実施形態を修正または設計するための基礎として容易に利用することができることが当業者により認識されるはずである。このような同等の実施形態は添付の特許請求の範囲に示される本発明の精神および範囲から逸脱しないことも当業者により理解されるはずである。
【0008】
本発明の好ましい実施形態を詳細に説明するために、ここで付随する図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ゴム基板上の四重層の実施形態を示す図である。
図2】四重層、ゴム基板およびプライマー層の実施形態を示す図である。
図3】3つの四重層およびゴム基板の実施形態を示す図である。
図4】四重層の数の関数としての厚さを示す図である。
図5】四重層の数の関数としての酸素透過率を示す図である。
図6】コーティングの弾性の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一実施形態では、多層薄膜コーティング法が、ゴム基板上に正および負に帯電した層を交互に堆積させることにより、ゴム基板にガス難透過コーティングを提供する。複数の実施形態では、多層薄膜コーティング法が、四重層を備える、正層および負層の2対を提供する。複数の実施形態は、ゴム基板上に複数の四重層を製造する多層薄膜コーティング法を含む。限定されないが、四重層は所望の収率をもたらすことができる。さらに、限定されないが、複数の四重層は、ゴム基板を通るガスおよび蒸気透過率に所望の抑制をもたらす。正および負層は、任意の所望の厚さを有することができる。複数の実施形態では、各層は、約0.5nm〜約100nmの間の厚さ、あるいは約1nm〜約100nmの間の厚さ、あるいは約0.5nm〜約10nmの間の厚さである。多層薄膜コーティング法のいくつかの実施形態では、正層の1つまたは複数は、正に帯電しているよりむしろ中性である。
【0011】
任意の望ましいゴム基板を多層薄膜コーティング法でコーティングしてよい。限定されないが、適したゴムの例としては、天然ゴムおよび合成ゴムが挙げられる。一実施形態では、天然ゴムはポリイソプレンを含む。複数の実施形態では、合成ゴムは、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、エチレンプロピレン−ジエンゴム、多硫化ゴム、ニトリルゴム、シリコーン、ポリウレタン、ブチルゴムまたはこれらの任意の組み合わせを含む。一実施形態では、合成ゴムはブチルゴムを含む。いくつかの実施形態では、ゴムは硫黄を加硫されたカーボンブラック充填天然ゴム配合物を含む。
【0012】
負に帯電した(アニオン性)層は積層可能な材料を含む。積層可能な材料は、アニオン性ポリマー、コロイド粒子またはこれらの任意の組み合わせを含む。限定されないが、適したアニオン性ポリマーの例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリ(アクリル酸、ナトリウム塩)、ポリアネトール硫酸ナトリウム塩、ポリ(ビニルスルホン酸、ナトリウム塩)またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。さらに、限定されないが、コロイド粒子は、有機および/または無機材料を含む。さらに、限定されないが、コロイド粒子の例としては、粘土、コロイドシリカ、無機水酸化物、ケイ素系ポリマー、ポリオリゴマーシルセスキオキサン、カーボンナノチューブ、グラフェンまたはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。アニオン性溶液に使用するのに適した任意の型の粘土を使用してよい。限定されないが、適した粘土の例としては、ナトリウムモンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、ワイオミングベントナイト、ハロイサイトまたはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。一実施形態では、粘土はナトリウムモンモリロナイトである。ガスまたは蒸気難透過をもたらすことができる任意の無機水酸化物を使用してよい。一実施形態では、無機水酸化物は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムまたはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0013】
正電荷(カチオン性)層はカチオン性材料を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のカチオン層は中性である。カチオン性材料は、ポリマー、コロイド粒子、ナノ粒子またはこれらの任意の組み合わせを含む。ポリマーは、カチオン性ポリマー、水素結合を有するポリマーまたはこれらの任意の組み合わせを含む。限定されないが、適したカチオン性ポリマーの例としては、分枝ポリエチレンイミン、直鎖ポリエチレンイミン、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリ(アリルアミン)、ポリ(アリルアミン)塩酸塩、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。限定されないが、適した水素結合を有するポリマーの例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミン、分枝ポリエチレンイミン、直鎖ポリエチレンイミン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、これらの共重合体、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。複数の実施形態では、水素結合を有するポリマーは中性ポリマーである。さらに、限定されないが、コロイド粒子は有機および/または無機材料を含む。さらに、限定されないが、コロイド粒子の例としては、粘土、層状複水酸化物、無機水酸化物、ケイ素系ポリマー、ポリオリゴマーシルセスキオキサン、カーボンナノチューブ、グラフェンまたはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。限定されないが、適した層状複水酸化物の例としては、ハイドロタルサイト、マグネシウムLDH、アルミニウムLDHまたはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0014】
複数の実施形態では、正(または中性)および負層を、任意の適した方法によりゴム基板上に堆積させる。実施形態は、任意の適した液相成長法により、正(または中性)および負層をゴム基板上に堆積させるステップを含む。限定されないが、適した方法の例としては、浴コーティング(bath coating)、スプレーコーティング、スロットコーティング、スピンコーティング、カーテンコーティング、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、ロール式ナイフ(すなわち、ギャップ)塗布、メタリング(Meyer)ロッドコーティング、エアナイフコーティングまたはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。浴コーティングは、浸漬またはディップを含む。一実施形態では、正(または中性)および負層を浴により堆積させる。他の実施形態では、正および負層をスプレーにより堆積させる。
【0015】
図1は、四重層10のコーティング65を備えるゴム基板5の実施形態を示している。図1に示すコーティングゴム基板5を製造するための一実施形態では、多層薄膜コーティング法は、ゴム基板5をカチオン性混合物中のカチオン性分子に暴露してゴム基板5上に第1のカチオン層25を製造するステップを含む。カチオン性混合物は、第1の層のカチオン性材料20を含有する。一実施形態では、第1の層のカチオン性材料20は正に帯電しているまたは中性である。複数の実施形態では、第1の層のカチオン性材料20は中性である。いくつかの実施形態では、第1の層のカチオン性材料20は、中性電荷を有する水素結合を有するポリマーである。実施形態は、ポリエチレンオキシドを含む第1の層のカチオン性材料20を含む。限定されないが、中性材料(すなわち、ポリエチレンオキシド)を含む第1の層のカチオン性材料20は、所望の収率をもたらし得る。このような実施形態では、ゴム基板5は負に帯電しているまたは中性である。実施形態は、負電荷を有するゴム基板5を含む。限定されないが、負に帯電したゴム基板5は、所望の接着をもたらす。カチオン性混合物は、第1の層のカチオン性材料20の水溶液を含む。水溶液は任意の適した方法により調製してよい。複数の実施形態では、水溶液は第1の層のカチオン性材料20および水を含む。他の実施形態では、第1の層のカチオン性材料20は、溶媒の1つが水であり他の溶媒が水と混和性(例えば、水、メタノールなど)である混合溶媒中に溶解され得る。溶液はまた、正に帯電している場合、ポリマーと組み合わせてまたは単独でコロイド粒子を含有していてもよい。任意の適した水を使用してよい。複数の実施形態では、水は脱イオン水である。いくつかの実施形態では、水溶液は、約0.05重量%の第1の層のカチオン性材料20〜約1.50重量%の第1の層のカチオン性材料20、あるいは約0.01重量%の第1の層のカチオン性材料20〜約2.00重量%の第1の層のカチオン性材料20、さらにあるいは約0.001重量%の第1の層のカチオン性材料20〜約20.0重量%の第1の層のカチオン性材料20を含むことができる。複数の実施形態では、ゴム基板5を、第1のカチオン層25を製造するのに適した任意の期間、カチオン性混合物に暴露してよい。複数の実施形態では、ゴム基板5を、約1秒〜約20分、あるいは約1秒〜約200秒、あるいは約10秒〜約200秒、さらにあるいはほぼ瞬間〜約1200秒、カチオン性混合物に暴露する。限定されないが、ゴム基板5のカチオン性混合物への暴露時間およびカチオン性混合物中の第1の層のカチオン性材料20の濃度は、第1のカチオン層25の厚さに影響を及ぼす。例えば、第1の層のカチオン性材料20の濃度が高いほどおよび暴露時間が長いほど、多層薄膜コーティング法により製造される第1のカチオン層25は厚くなる。
【0016】
複数の実施形態では、第1のカチオン層25を形成した後、多層薄膜コーティング法は、カチオン性混合物から、製造された第1のカチオン層25を備えるゴム基板5を取り出すステップと、次いで、第1のカチオン層25を備えるゴム基板5をアニオン性混合物中のアニオン性分子に暴露して第1のカチオン層25上に第1のアニオン層30を製造するステップとを含む。アニオン性混合物は、第1の層の積層可能な材料15を含有する。限定されないが、正または中性の第1のカチオン層25は、アニオン性分子を引きつけて第1のカチオン層25と第1のアニオン層30のカチオン(または中性)−アニオン対を形成する。アニオン性混合物は、第1の層の積層可能な材料15の水溶液を含む。一実施形態では、第1の層の積層可能な材料15はポリアクリル酸を含む。水溶液は、任意の適した方法により調製してよい。複数の実施形態では、水溶液は、第1の層の積層可能な材料15および水を含む。第1の積層可能な材料15も、溶媒の1つが水であり他の溶媒が水と混和性である(例えば、エタノール、メタノールなど)混合溶媒中に溶解され得る。アニオン性ポリマーおよびコロイド粒子の組み合わせが水溶液中に存在し得る。任意の適した水を使用してよい。複数の実施形態では、水は脱イオン水である。いくつかの実施形態では、水溶液は、約0.05重量%の第1の層の積層可能な材料15〜約1.50重量%の第1の層の積層可能な材料15、あるいは約0.01重量%の第1の層の積層可能な材料15〜約2.00重量%の第1の層の積層可能な材料15、さらにあるいは約0.001重量%の第1の層の積層可能な材料15〜約20.0重量%の第1の層の積層可能な材料15を含むことができる。複数の実施形態では、第1のカチオン層25を備えるゴム基板5を、第1のアニオン層30を製造するのに適した任意の期間、アニオン性混合物に暴露してよい。複数の実施形態では、第1のカチオン層25を備えるゴム基板5を、約1秒〜約20分、あるいは約1秒〜約200秒、あるいは約10秒〜約200秒、さらにあるいはほぼ瞬間〜約1200秒、アニオン性混合物に暴露する。限定されないが、第1のカチオン層25を備えるゴム基板5のアニオン性混合物への暴露時間およびアニオン性混合物中の第1の層の積層可能な材料15の濃度は、第1のアニオン層30の厚さに影響を及ぼす。例えば、第1の層の積層可能な材料15の濃度が高いほどおよび暴露時間が長いほど、多層薄膜コーティング法により製造される第1のアニオン層30は厚くなる。
【0017】
図1にさらに示す実施形態では、第1のアニオン層30を形成した後、多層薄膜コーティング法は、アニオン性混合物から、製造された第1のカチオン層25および第1のアニオン層30を備えるゴム基板5を取り出すステップと、次いで、第1のカチオン層25および第1のアニオン層30を備えるゴム基板5をカチオン性混合物中のカチオン性分子に暴露して第1のアニオン層30上に第2のカチオン層35を製造するステップとを含む。カチオン性混合物は、第2の層のカチオン性材料75を含有する。一実施形態では、第2の層のカチオン性材料75は正に帯電しているまたは中性である。複数の実施形態では、第2の層のカチオン性材料75は正である。いくつかの実施形態では、第2の層のカチオン性材料75はポリエチレンイミンを含む。カチオン性混合物は、第2の層のカチオン性材料75の水溶液を含む。水溶液は、任意の適した方法により調製してよい。複数の実施形態では、水溶液は、第2の層のカチオン性材料75および水を含む。他の実施形態では、第2のカチオン性材料75は、溶媒の1つが水であり他の溶媒が水と混和性である(例えば、水、メタノールなど)混合溶媒中に溶解され得る。溶液はまた、正に帯電している場合、ポリマーと組み合わせてまたは単独でコロイド粒子を含有していてもよい。任意の適した水を使用してよい。複数の実施形態では、水は脱イオン水である。いくつかの実施形態では、水溶液は、約0.05重量%の第2の層のカチオン性材料75〜約1.50重量%の第2の層のカチオン性材料75、あるいは約0.01重量%の第2の層のカチオン性材料75〜約2.00重量%の第2の層のカチオン性材料75、さらにあるいは約0.001重量%の第2の層のカチオン性材料75〜約20.0重量%の第2の層のカチオン性材料75を含むことができる。複数の実施形態では、ゴム基板5を、第2のカチオン層35を製造するのに適した任意の期間、カチオン性混合物に暴露してよい。複数の実施形態では、ゴム基板5を、約1秒〜約20分、あるいは約1秒〜約200秒、あるいは約10秒〜約200秒、さらにあるいはほぼ瞬間〜約1200秒、カチオン性混合物に暴露する。
【0018】
複数の実施形態では、第2のカチオン層35を形成した後、多層薄膜コーティング法は、カチオン性混合物から、製造された第1のカチオン層25、第1のアニオン層30および第2のカチオン層35を備えるゴム基板5を取り出すステップと、次いで、第1のカチオン層25、第1のアニオン層30および第2のカチオン層35を備えるゴム基板5をアニオン性混合物中のアニオン性分子に暴露して第2のカチオン層35上に第2のアニオン層40を製造するステップとを含む。アニオン性混合物は、第2の層の積層可能な材料70を含有する。限定されないが、正または中性の第2のカチオン層35は、アニオン性分子を引きつけて第2のカチオン層35と第2のアニオン層40のカチオン(または中性)−アニオン対を形成する。アニオン性混合物は、第2の層の積層可能な材料70の水溶液を含む。一実施形態では、第2の層の積層可能な材料70は粘土を含む。実施形態は、ナトリウムモンモリロナイトを含む粘土を含む。水溶液は、任意の適した方法により調製してよい。複数の実施形態では、水溶液は、第2の層の積層可能な材料70および水を含む。第2の積層可能な材料70も、溶媒の1つが水であり他の溶媒が水と混和性である(例えば、エタノール、メタノールなど)混合溶媒中に溶解され得る。アニオン性ポリマーおよびコロイド粒子の組み合わせが水溶液中に存在し得る。任意の適した水を使用してよい。複数の実施形態では、水は脱イオン水である。いくつかの実施形態では、水溶液は、約0.05重量%の第2の層の積層可能な材料70〜約1.50重量%の第2の層の積層可能な材料70、あるいは約0.01重量%の第2の層の積層可能な材料70〜約2.00重量%の第2の層の積層可能な材料70、さらにあるいは約0.001重量%の第2の層の積層可能な材料70〜約20.0重量%の第2の層の積層可能な材料70を含むことができる。複数の実施形態では、第1のカチオン層25、第1のアニオン層30および第2のカチオン層35を備えるゴム基板5を、第2のアニオン層40を製造するのに適した任意の期間、アニオン性混合物に暴露してよい。複数の実施形態では、第1のカチオン層25、第1のアニオン層30および第2のカチオン層35を備えるゴム基板5を、約1秒〜約20分、あるいは約1秒〜約200秒、あるいは約10秒〜約200秒、さらにあるいはほぼ瞬間〜約1200秒、アニオン性混合物に暴露する。そのため、四重層10をゴム基板5上に製造する。ゴム基板5が1つの四重層10を有する図1に示す実施形態では、コーティング65は四重層10を含む。複数の実施形態では、四重層10は、第1のカチオン層25、第1のアニオン層30、第2のカチオン層35および第2のアニオン層40を含む。
【0019】
図2に示す実施形態では、コーティング65はプライマー層45も含む。プライマー層45を、ゴム基板5と四重層10の第1のカチオン層25との間に配置する。プライマー層45は、任意の数の層を有してよい。ゴム基板5に近接しているプライマー層45の層は、ゴム基板5に引かれる電荷を有し、第1のカチオン層25に近接しているプライマー層45の層は、第1のカチオン層25に引かれる電荷を有する。図2に示す実施形態では、プライマー層45は、第1のプライマー層80および第2のプライマー層85を有する二重層である。このような実施形態では、第1のプライマー層80は、第1のプライマー層材料60を含むカチオン層(あるいは中性)であり、第2のプライマー層85は、第2のプライマー層材料90を含むアニオン層である。第1のプライマー層材料60はカチオン性材料を含む。一実施形態では、第1のプライマー層材料60はポリエチレンイミンを含む。第2のプライマー層材料90は積層可能な材料を含む。一実施形態では、第2のプライマー層材料90はポリアクリル酸を含む。他の実施形態(図示せず)では、プライマー層45は2つ以上の二重層を有する。
【0020】
図2に示すさらなる実施形態では、多層薄膜コーティング法は、ゴム基板5をカチオン性混合物中のカチオン性分子に暴露してゴム基板5上に第1のプライマー層80を製造するステップを含む。カチオン性混合物は、第1のプライマー層材料60を含有する。一実施形態では、第1のプライマー層材料60は正に帯電しているまたは中性である。複数の実施形態では、カチオン性混合物は、第1のプライマー層材料60の水溶液を含む。水溶液は、任意の適した方法により調製してよい。複数の実施形態では、水溶液は第1のプライマー層材料60および水を含む。他の実施形態では、第1のプライマー層材料60は、溶媒の1つが水であり他の溶媒が水と混和性(例えば、水、メタノールなど)である混合溶媒中に溶解され得る。溶液はまた、正に帯電している場合、ポリマーと組み合わせてまたは単独でコロイド粒子を含有していてもよい。任意の適した水を使用してよい。複数の実施形態では、水は脱イオン水である。いくつかの実施形態では、水溶液は、約0.05重量%の第1のプライマー層材料60〜約1.50重量%の第1のプライマー層材料60、あるいは約0.01重量%の第1のプライマー層材料60〜約2.00重量%の第1のプライマー層材料60、さらにあるいは約0.001重量%の第1のプライマー層材料60〜約20.0重量%の第1のプライマー層材料60を含むことができる。複数の実施形態では、ゴム基板5を、第1のプライマー層80を製造するのに適した任意の期間、カチオン性混合物に暴露してよい。複数の実施形態では、ゴム基板5を、約1秒〜約20分、あるいは約1秒〜約200秒、あるいは約10秒〜約200秒、さらにあるいはほぼ瞬間〜約1200秒、カチオン性混合物に暴露する。
【0021】
図2に示す実施形態では、第1のプライマー層80を形成した後、多層薄膜コーティング法は、カチオン性混合物から、製造された第1のプライマー層80を備えるゴム基板5を取り出すステップと、次いで、第1のプライマー層80を備えるゴム基板5をアニオン性混合物中のアニオン性分子に暴露して第1のプライマー層80上に第2のプライマー層85を製造するステップとを含む。アニオン性混合物は、第2のプライマー層材料90を含有する。アニオン性混合物は、第2のプライマー層材料90の水溶液を含む。水溶液は、任意の適した方法により調製してよい。複数の実施形態では、水溶液は、第2のプライマー層材料90および水を含む。第2のプライマー層材料90も、溶媒の1つが水であり他の溶媒が水と混和性である(例えば、エタノール、メタノールなど)混合溶媒中に溶解され得る。アニオン性ポリマーおよびコロイド粒子の組み合わせが水溶液中に存在し得る。任意の適した水を使用してよい。複数の実施形態では、水は脱イオン水である。いくつかの実施形態では、水溶液は、約0.05重量%の第2のプライマー層材料90〜約1.50重量%の第2のプライマー層材料90、あるいは約0.01重量%の第2のプライマー層材料90〜約2.00重量%の第2のプライマー層材料90、さらにあるいは約0.001重量%の第2のプライマー層材料90〜約20.0重量%の第2のプライマー層材料90を含むことができる。複数の実施形態では、第1のプライマー層80を備えるゴム基板5を、第2のプライマー層85を製造するのに適した任意の期間、アニオン性混合物に暴露してよい。複数の実施形態では、第1のプライマー層80を備えるゴム基板5を、約1秒〜約20分、あるいは約1秒〜約200秒、あるいは約10秒〜約200秒、さらにあるいはほぼ瞬間〜約1200秒、アニオン性混合物に暴露する。次いで、プライマー層45を備えるゴム基板5をアニオン性混合物から取り出し、次いで、多層薄膜コーティング法が進行して四重層10を製造する。
【0022】
図3に示す実施形態では、暴露ステップを繰り返して、四重層10を有する基板5をカチオン性混合物および次いでアニオン性混合物に連続的に暴露して、複数の四重層10を有するコーティング65を製造する。所望の数の四重層10を製造するまで、カチオン性混合物および次いでアニオン性混合物への暴露の繰り返しを継続してよい。コーティング65は、ゴム基板5に所望のガスまたは蒸気難透過をもたらすのに十分な任意の数の四重層10を有してよい。一実施形態では、コーティング65は、約1の四重層10〜約40の四重層10の間、あるいは約1の四重層10〜約1000の四重層10の間を有する。
【0023】
一実施形態では、多層薄膜コーティング法は、コーティングゴム基板5(例えば、コーティング65を含む)に約0.1%〜約100%の間、あるいは約1%〜約10%の間の収率をもたらす。さらに、実施形態は、約0.03cc/(m2**atm)〜約100cc/(m2**atm)の間、あるいは約0.3cc/(m2**atm)〜約100cc/(m2**atm)の間、あるいは約3cc/(m2**atm)〜約30cc/(m2**atm)の間のガス透過率を有するコーティングゴム基板5を提供する多層薄膜コーティング法を含む。
【0024】
多層薄膜コーティング法は、カチオン混合物の後にアニオン混合物への暴露に限定されないことを理解すべきである。ゴム基板5が正に帯電している実施形態では、多層薄膜コーティング法は、ゴム基板5をアニオン性混合物に暴露し、その後カチオン混合物に暴露するステップを含む。このような実施形態(図示せず)では、第1のアニオン層30をゴム基板5上に堆積させ、第1のカチオン層25を第1のアニオン層30の上に堆積させ、第2のアニオン層40を第1のカチオン層25上に堆積させ、その後第2のカチオン層35を第2のアニオン層40上に堆積させて四重層10を製造し、コーティング65が所望の厚さを有するまでステップを繰り返す。ゴム基板5が中性電荷を有する実施形態では、多層薄膜コーティング法は、カチオン混合物への暴露で始めて、その後アニオン混合物への暴露を含んでもよい、またはアニオン混合物への暴露で始めて、その後カチオン混合物への暴露を含んでもよい。
【0025】
複数の実施形態(図示せず)では、1つまたは2つ以上のカチオン層(すなわち、第1のカチオン層25、第2のカチオン層35、プライマー層45中のカチオン層)は、2種以上のカチオン性材料で構成されていてもよい。一実施形態(図示せず)では、1つまたは2つ以上のアニオン層(すなわち、第1のアニオン層30、第2のアニオン層40、プライマー層45中のアニオン層)は、2種以上のアニオン性材料で構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のカチオン層は同じ材料で構成されている、ならびに/あるいは1つまたは複数のアニオン層は同じ材料で構成されている。コーティング65は1種の積層可能な材料に限定されず、2種以上の積層可能な材料および/または2種以上のカチオン材料を含んでもよいことを理解すべきである。
【0026】
いくつかの実施形態では、多層薄膜コーティング法は、各(あるいは2つ以上の)暴露ステップ(すなわち、カチオン性混合物に暴露するステップまたはアニオン性混合物に暴露するステップ)の間でゴム基板5をすすぐステップを含む。例えば、ゴム基板5をカチオン性混合物への暴露から取り出した後、第1のカチオン層25を備えるゴム基板5をすすぎ、次いで、アニオン性混合物に暴露する。いくつかの実施形態では、四重層10を、同じまたは別のカチオン性および/またはアニオン性混合物に暴露する前にすすぐ。一実施形態では、コーティング65をすすぐ。すすぎは、ゴム基板5および任意の層からイオン性液体の全てまたは一部を除去するのに適した任意のすすぎ液により達成される。複数の実施形態では、すすぎ液は、脱イオン水、メタノールまたはこれらの任意の組み合わせを含む。一実施形態では、すすぎ液は脱イオン水である。層をイオン性液体の全部または一部を除去するのに適した任意の期間すすいでよい。一実施形態では、層を約5秒〜約5分の期間すすぐ。いくつかの実施形態では、層を暴露ステップの一部の後にすすぐ。
【0027】
一実施形態では、多層薄膜コーティング法は、各(あるいは2つ以上の)暴露ステップ(すなわち、カチオン性混合物に暴露するステップまたはアニオン性混合物に暴露するステップ)の間でゴム基板5を乾燥させるステップを含む。例えば、ゴム基板5をカチオン性混合物への暴露から取り出した後、第1のカチオン層25を備えるゴム基板5を乾燥させ、次いで、アニオン性混合物に暴露する。いくつかの実施形態では、四重層10を、同じまたは別のカチオン性および/またはアニオン性混合物に暴露する前に乾燥させる。一実施形態では、コーティング65を乾燥させる。乾燥は、乾燥ガスをゴム基板5に塗布することにより達成される。乾燥ガスは、ゴム基板5から液体の全部または一部を除去するのに適した任意のガスを含んでよい。複数の実施形態では、乾燥ガスは、空気、窒素またはこれらの任意の組み合わせを含む。一実施形態では、乾燥ガスは空気である。いくつかの実施形態では、空気は濾過空気である。乾燥は、層、四重層10および/またはコーティング65から液体の全部または一部を除去するのに適した任意の期間行ってよい。一実施形態では、乾燥は約5秒〜約500秒の期間となる。多層薄膜コーティング法が暴露ステップの後にすすぎを含む実施形態では、層をすすぎ後および次の暴露ステップへの暴露前に乾燥させる。代替実施形態では、乾燥は、熱源を層、四重層10および/またはコーティング65に適用することを含む。例えば、一実施形態では、ゴム基板5を層から液体の全部または一部を除去するのに十分な時間オーブン中に配置する。いくつかの実施形態では、使用前の最終ステップとして、全ての層を堆積させるまで、乾燥を行わない。
【0028】
いくつかの実施形態(図示せず)では、添加剤をコーティング65中のゴム基板5に添加してもよい。複数の実施形態では、添加剤を積層可能な材料と共にアニオン性混合物に混合してもよい。他の実施形態では、添加剤を、積層可能な材料を含まないアニオン性混合物に配置する。いくつかの実施形態では、コーティング65は添加剤の層を有する。複数の実施形態では、添加剤はアニオン性材料である。添加剤を任意の望ましい目的に使用してよい。例えば、添加剤を紫外線からゴム基板5を保護するためまたは耐摩耗性のために使用してもよい。紫外線保護のためには、紫外線からの保護およびコーティング65に使用するのに適した任意の負に帯電した材料を使用してよい。一実施形態では、紫外線保護に適した添加剤の例としては、二酸化チタンまたはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。複数の実施形態では、添加剤は二酸化チタンである。耐摩耗性のためには、耐摩耗性およびコーティング65に使用するのに適した任意の添加剤を使用してよい。複数の実施形態では、耐摩耗性に適した添加剤の例としては架橋剤が挙げられる。ゴムと使用するのに適した任意の架橋剤を使用してよい。一実施形態では、架橋剤はジ−アルデヒドを含む。架橋剤の例としては、グルタルアルデヒド、ブロモアルカンまたはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。架橋剤を使用してアニオン層および/またはカチオン層(すなわち、第1のカチオン層25および第1のアニオン層30)を架橋してもよい。一実施形態では、コーティング65を備えるゴム基板5をアニオン性混合物中の添加剤に暴露する。
【0029】
いくつかの実施形態では、アニオン性および/またはカチオン性溶液のpHを調整する。理論により限定されないが、カチオン性溶液のpHを低下させることにより、コーティング65の成長が低下する。さらに、理論により限定されないが、カチオン性溶液は低pH値で高い電荷密度を有し、これによりポリマー骨格それ自体が反発して平らな状態にされ得るので、コーティング65の成長が低下し得る。いくつかの実施形態では、pHを上昇させてコーティング65の成長を増加させ、厚いコーティング65を製造する。理論により限定されないが、カチオン性混合物中の電荷密度が低いと、コイル状ポリマーが増加する。酸または塩基を添加するなどの任意の適した手段によりpHを調整してよい。一実施形態では、アニオン性溶液のpHは、約0〜約14の間、あるいは約1〜約7の間である。実施形態は、約0〜約14の間、あるいは約3〜約12の間のカチオン性溶液のpHを含む。
【0030】
アニオン性およびカチオン性混合物への暴露ステップは、任意の適した温度で起こってよい。一実施形態では、暴露ステップは周囲温度で起こる。いくつかの実施形態では、コーティング65は光学的に透明である。
【0031】
一実施形態では、ゴム基板5は、タイヤのゴム部分の一部または全部を構成してよい。このような実施形態では、コーティング65は、タイヤを通過するガス(すなわち、酸素)、蒸気および/または化学物質を制限するバリアを提供することができる。コーティング65を備えたゴム基板5を、タイヤの任意の適した部分、例えば、それだけに限らないが、カーカス、インナーライナーなどに使用してよい。一実施形態では、タイヤのカーカスは、コーティング65を備えたゴム基板5を含む。
【0032】
本発明の種々の説明的実施形態をさらに示すために、以下の実施例を提供する。
【0033】
実施例1
材料。天然ナトリウムモンモリロナイト(MMT)(Southern Clay Products,Inc.の登録商標であるCLOISITE(登録商標)NA+)粘土を、そのままで使用した。個々のMMT小板は、脱イオン水中の負の表面電荷、2.86g/cm3の報告密度、1nmの厚さおよび200以上の公称アスペクト比(l/d)を有していた。分枝ポリエチレンイミン(PEI)(Mw=25000g/molおよびMn=10000g/mol)、ポリエチレンオキシド(PEO)(Mw=4000000g/mol)およびポリアクリル酸(PAA)(水中35重量%、Mw=100000g/mol)をSigma−Aldrich(Milwaukee、WI)から購入し、そのままで使用した。500μm厚さの片面研磨シリコンウエハをUniversity Wafer(South Boston、MA)から購入し、偏光解析法を通した膜成長特性評価のための反射基板として使用した。
【0034】
膜調製。全ての膜堆積混合物は、DIRECT−Q(登録商標)5 Ultrapure Water Systemからの18.2MΩ脱イオン水を使用して調製し、1日(24時間)圧延して均一性を実現した。DIRECT−Q(登録商標)はMillipore Corporationの登録商標である。堆積前に、PEIの0.1重量%水溶液のpHを、1.0M HClを使用して10または3に変化させ、PEOの0.1重量%水溶液のpHを、1.0M HClを使用して3に変化させ、PAAの0.2重量%水溶液のpHを、1.0M HClを使用して3に変化させ、MMTの2.0重量%水性懸濁液のpHを、1.0M HClを使用して3に変化させた。シリコンウエハを、水、アセトン、再度水ですすぐ前に30分間ピラニア処理し(Piranha treated)、最後に堆積前に濾過空気で乾燥させた。ゴム基板を脱イオン水ですすぎ、40℃で5分間水浴中40重量%プロパノールに浸漬し、室温の水中40重量%プロパノールですすぎ、脱イオン水ですすぎ、濾過空気で乾燥させ、各面を5分間プラズマ洗浄した。次いで、各々の適切に処理した基板を、pH10で5分間PEI溶液にディップし、脱イオン水ですすぎ、濾過空気で乾燥させた。基板をPAA溶液に次にディップする際、同じ手順に従った。いったんこの初期二重層を堆積させたら、所望の数のPEO/PAA/PEI/MMTの四重層が得られるまで、ポリマー溶液については5秒のディップ時間およびMMT溶液については1分のディップ時間を使用して、基板をPEO溶液、次いで、PAA溶液、次いで、pH3でPEI溶液、および最後にMMT懸濁液にディップする際に、上記手順を繰り返した。全ての膜は自作ロボットディップシステムを使用して調製した。
【0035】
膜特性評価。ALPHA−SE(登録商標)エリプソメータを使用して、フィルム厚さを1〜5つの四重層(シリコンウエハ上)ごとに測定した。ALPHA−SE(登録商標)はJ.A.Woollam Co.,Incの登録商標である。0%相対湿度でOxtran 2/21 ML機器を使用して、ASTM D−3985に従って、Mocon,IncによりOTR試験を行った。
【0036】
結果から、図4は、シリコンウエハ上に堆積させ、偏光解析法を通して測定した場合の、四重層PEO/PAA/PEI/MMTの数の関数としての厚さを示している。図5は、1mm厚さのゴム板上に堆積させた場合の、PEO/PAA/PEI/MMTの四重層の数の関数としての酸素透過率(OTR)の結果を示している。図6は、その左の画像がゴム上の10QLであり、右の画像が20インチ/分で30%ひずみまで引っ張った同じコーティングであるコーティングの弾性を示している。この右の画像は、泥割れの兆候を示さず、引っ張られたゴム表面へのコーティングのコンフォーマリティを明らかにした。
【0037】
本発明およびその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更、置換および改変を行うことができることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6