特許第6556284号(P6556284)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6556284
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】防音ドア設置構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/20 20060101AFI20190729BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20190729BHJP
   E06B 1/52 20060101ALI20190729BHJP
   E05F 5/00 20170101ALI20190729BHJP
【FI】
   E06B5/20
   E06B7/22 F
   E06B1/52
   E05F5/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-66845(P2018-66845)
(22)【出願日】2018年3月30日
【審査請求日】2018年9月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片渕 郁哉
(72)【発明者】
【氏名】村岡 昌紀
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−311945(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3129781(JP,U)
【文献】 実開平6−10577(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/20
E06B 1/52
E06B 7/22
E05F 5/00−5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側横枠部、下側横枠部、左側縦枠部、及び右側縦枠部で構成されたドア枠と、
前記ドア枠に対して開閉可能に設けられた開き戸の防音ドアと、
前記ドア枠の内側の全周に設けられた戸当りと、
を備えた防音ドア設置構造であって、
前記戸当りは、前記ドア枠の前記上側横枠部、前記下側横枠部、前記左側縦枠部、及び前記右側縦枠部にそれぞれ対応して設けられた上側横戸当り材、下側横戸当り材、左側縦戸当り材、及び右側縦戸当り材で構成されており、
前記左側縦戸当り材及び前記右側縦戸当り材のうちの少なくとも一方は、前記上側横戸当り材と前記下側横戸当り材との間に上下が挟まれるように設けられているとともに、前記ドア枠に脱着可能に構成されており、
前記上側横戸当り材と前記下側横戸当り材との間に上下が挟まれるように設けられた前記左側縦戸当り材及び前記右側縦戸当り材のうちの少なくとも一方と前記上側横戸当り材との間、及び/又は、前記下側横戸当り材との間にシール材が介設されていることを特徴とする防音ドア設置構造。
【請求項2】
上側横枠部、下側横枠部、左側縦枠部、及び右側縦枠部で構成されたドア枠と、
前記ドア枠に対して開閉可能に設けられた開き戸の防音ドアと、
前記ドア枠の内側の全周に設けられた戸当りと、
を備えた防音ドア設置構造であって、
前記戸当りは、前記ドア枠の前記上側横枠部、前記下側横枠部、前記左側縦枠部、及び前記右側縦枠部にそれぞれ対応して設けられた上側横戸当り材、下側横戸当り材、左側縦戸当り材、及び右側縦戸当り材で構成されており、
前記上側横戸当り材及び前記下側横戸当り材のうちの少なくとも一方は、前記左側縦戸当り材と前記右側縦戸当り材との間に左右が挟まれるように設けられているとともに、前記ドア枠に脱着可能に構成されており、
前記左側縦戸当り材と前記右側縦戸当り材との間に左右が挟まれるように設けられた前記上側横戸当り材及び前記下側横戸当り材のうちの少なくとも一方と前記左側縦戸当り材との間、及び/又は、前記右側縦戸当り材との間にシール材が介設されていることを特徴とする防音ドア設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音ドア設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
楽器練習室やカラオケルーム等の防音室の出入口には防音ドアが設けられる。かかる防音ドアの設置構造として、例えば、特許文献1には、防音効果を高めるため、ドア枠の内周に沿って設けられた戸当りにマグネットパッキンを取り付け、それに接触する防音ドアの部分に磁性シートを設けたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−179893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、防音室には楽器や機材を搬入することが多いが、大型の楽器や機材の場合、搬入口の開口が狭いと、それらの搬入ができないという事態が生じ得る。
【0005】
本発明の課題は、開口を広げることができる防音ドア設置構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、上側横枠部、下側横枠部、左側縦枠部、及び右側縦枠部で構成されたドア枠と、前記ドア枠に対して開閉可能に設けられた開き戸の防音ドアと、前記ドア枠の内側の全周に設けられた戸当りとを備えた防音ドア設置構造であって、前記戸当りは、前記ドア枠の前記上側横枠部、前記下側横枠部、前記左側縦枠部、及び前記右側縦枠部にそれぞれ対応して設けられた上側横戸当り材、下側横戸当り材、左側縦戸当り材、及び右側縦戸当り材で構成されており、前記左側縦戸当り材及び前記右側縦戸当り材のうちの少なくとも一方は、前記上側横戸当り材と前記下側横戸当り材との間に上下が挟まれるように設けられているとともに、前記ドア枠に脱着可能に構成されており、前記上側横戸当り材と前記下側横戸当り材との間に上下が挟まれるように設けられた前記左側縦戸当り材及び前記右側縦戸当り材のうちの少なくとも一方と前記上側横戸当り材との間、及び/又は、前記下側横戸当り材との間にシール材が介設されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、上側横枠部、下側横枠部、左側縦枠部、及び右側縦枠部で構成されたドア枠と、前記ドア枠に対して開閉可能に設けられた開き戸の防音ドアと、前記ドア枠の内側の全周に設けられた戸当りとを備えた防音ドア設置構造であって、前記戸当りは、前記ドア枠の前記上側横枠部、前記下側横枠部、前記左側縦枠部、及び前記右側縦枠部にそれぞれ対応して設けられた上側横戸当り材、下側横戸当り材、左側縦戸当り材、及び右側縦戸当り材で構成されており、前記上側横戸当り材及び前記下側横戸当り材のうちの少なくとも一方は、前記左側縦戸当り材と前記右側縦戸当り材との間に左右が挟まれるように設けられているとともに、前記ドア枠に脱着可能に構成されており、前記左側縦戸当り材と前記右側縦戸当り材との間に左右が挟まれるように設けられた前記上側横戸当り材及び前記下側横戸当り材のうちの少なくとも一方と前記左側縦戸当り材との間、及び/又は、前記右側縦戸当り材との間にシール材が介設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、防音ドア設置構造の開口を広げることができる。また、シール材による封止により、音漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】実施形態1に係る防音ドア設置構造の防音ドアを閉じた状態の正面図である。
図1B】実施形態1に係る防音ドア設置構造の防音ドアを開いた状態の正面図である。
図1C】実施形態1に係る防音ドア設置構造の防音ドアを閉じた状態の縦断面図である。
図1D】実施形態1に係る防音ドア設置構造の防音ドアを閉じた状態の横断面図である。
図2A】上側横戸当り材の正面図である。
図2B】上側横戸当り材の左側面図である。
図3A】下側横戸当り材の正面図である。
図3B】下側横戸当り材の左側面図である。
図4A】左(右)側縦戸当り材の正面図である。
図4B】左(右)側縦戸当り材の上(下)面図である。
図5】実施形態1に係る防音ドア設置構造のドア枠への戸当りの取付構造を示す正面図である。
図6A】パッキンの正面図である。
図6B】パッキンの断面図である。
図7】実施形態1に係る防音ドア設置構造の戸当りへのパッキンの取付構造を示す正面図である。
図8A】実施形態1に係る防音ドア設置構造の戸当り及び防音ドアを取り外した状態の正面図である。
図8B】実施形態1に係る防音ドア設置構造の戸当りだけを取り外した状態の正面図である。
図9】実施形態2に係る防音ドア設置構造のドア枠への戸当りの取付構造を示す正面図である。
図10】実施形態2に係る防音ドア設置構造の戸当りへのパッキンの取付構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
(実施形態1)
図1A〜Dは、実施形態1に係る防音ドア設置構造Dを示す。なお、以下では、図1A及びBに示す実施形態1に係る防音ドア設置構造Dの正面を基準とした方向を用いて説明する。
【0025】
実施形態1に係る防音ドア設置構造Dは、ドア枠10と、防音ドア20と、戸当り30と、パッキン40とを備える。
【0026】
ドア枠10は、上側横枠材11(上側横枠部)、下側横枠材12(下側横枠部)、左側縦枠材13(左側縦枠部)、及び右側縦枠材14(右側縦枠部)で構成されている。上側横枠材11、下側横枠材12、左側縦枠材13、及び右側縦枠材14は、同一幅の板状の角材で構成されている。上側横枠材11及び下側横枠材12は、相対的に短尺であって、水平で且つ平行に延びるように設けられている。左側縦枠材13及び右側縦枠材14は、相対的に長尺であって、鉛直で且つ平行に延びるように設けられている。
【0027】
上側横枠材11及び下側横枠材12のそれぞれでは、左右両端面が、それぞれ長さ方向に対して垂直な平坦面に形成されている。上側横枠材11は、左側端面が左側縦枠材13の上側端部に当接するとともに、右側端面が右側縦枠材14の上側端部に当接することにより、左側縦枠材13と右側縦枠材14との間に左右が挟まれるように設けられ、図示しない釘等の固定具により左側縦枠材13及び右側縦枠材14のそれぞれに固定されている。下側横枠材12は、左側端面が左側縦枠材13の下側端部に当接するとともに、右側端面が右側縦枠材14の下側端部に当接することにより、左側縦枠材13と右側縦枠材14との間に左右が挟まれるように設けられ、図示しない釘等の固定具により左側縦枠材13及び右側縦枠材14のそれぞれに固定されている。これにより、ドア枠10は、縦長矩形の開口を有する。
【0028】
上側横枠材11の下面、下側横枠材12の上面、左側縦枠材13の右側面、及び右側縦枠材14の左側面のそれぞれの幅方向の中央部には、長さ方向に延びるように形成された断面コの字状の戸当り材設置溝111,121,131,141が設けられている。これらの戸当り材設置溝111,121,131,141は、ドア枠10の内側の全周に連続するように設けられている。戸当り材設置溝111,121,131,141の溝内には、長さ方向に間隔をおいて複数のネジ受け具112,122,132,142が設けられている。
【0029】
防音ドア20は、ドア本体21がドア枠10の開口よりもやや小さい縦長矩形の開き戸で構成されている。防音ドア20は、ドア本体21の右側端辺部が、上下方向に間隔をおいて設けられた蝶番22を介して、ドア枠10の右側縦枠材14に脱着可能に取り付けられている。これにより、防音ドア20は、ドア枠10に対して開閉可能に設けられている。なお、ドア本体21の左側端部の上下方向の中央部には、ラッチの没入及び突出による防音ドア20の開閉を操作するためのレバーハンドル23が設けられている。
【0030】
戸当り30は、ドア枠10の内側の全周に設けられている。そして、戸当り30は、ドア枠10の上側横枠材11、下側横枠材12、左側縦枠材13、及び右側縦枠材14にそれぞれ対応して設けられた上側横戸当り材31、下側横戸当り材32、左側縦戸当り材33、及び右側縦戸当り材34で構成されている。なお、この戸当り30は、防音ドア20を閉じたときの背面側への過剰な変位を規制する。
【0031】
図2A及びBは、上側横戸当り材31を示す。
【0032】
上側横戸当り材31は、ドア枠10の開口幅よりも1mm程度短い角材で構成されている。上側横戸当り材31には、上面側両角部のそれぞれに段差が形成されており、それらの段差間の長さ方向に延びるように形成された薄層状の突条により溝嵌め部311が構成されている。溝嵌め部311は、上側横枠材11の戸当り材設置溝111に嵌められるように設けられている。なお、溝嵌め部311の幅は、戸当り材設置溝111よりも若干小さく、それにより上側横戸当り材31の前後方向の設置位置の微調整を行うことができるように構成されている。
【0033】
上側横戸当り材31には、上側横枠材11の戸当り材設置溝111のネジ受け具112に対応して、長さ方向に間隔をおいて設けられた複数のネジ挿通孔312が厚さ方向に貫通して形成されている。ネジ挿通孔312は、下面側の大径の円筒孔と上面側の小径の円筒孔とが同軸で連通して構成されている。そして、上側横戸当り材31は、固定ネジ313がネジ挿通孔312の下面側から挿入されるとともに、固定ネジ313の頭部がネジ挿通孔312の大径の円筒孔と小径の円筒孔との段差に係合し、且つ固定ネジ313の先端部が上側横枠材11の戸当り材設置溝111内のネジ受け具112に締め込まれることにより、ドア枠10の上側横枠材11に物理的に取り付けられている。したがって、上側横戸当り材31は、固定ネジ313の先端部のネジ受け具112への締め込みを緩めて外すことにより上側横枠材11から取り外すことができることから、ドア枠10の上側横枠材11に脱着可能に構成されている。なお、固定ネジ313を締めた後のネジ挿通孔312には、下面側の開口を封じるように、脱着可能な孔隠しキャップ314が内嵌めされている。
【0034】
上側横戸当り材31の左右両端面のそれぞれは、長さ方向に対して垂直な平坦面に形成されている。上側横戸当り材31は、左側縦枠材13と右側縦枠材14との間に左右が挟まれるように設けられており、また、上側横戸当り材31の左端及び右端のそれぞれには、厚さが約5mmの板状のシール材315が一体に設けられている。したがって、上側横戸当り材31の左端面と左側縦枠材13の右側面との間及び上側横戸当り材31の右端面と右側縦枠材14の左側面との間のそれぞれには、シール材315が圧縮された状態で介設されている。このように上側横戸当り材31と左側縦枠材13との間及び上側横戸当り材31と右側縦枠材14との間のそれぞれにシール材315が介設されているので、それらの間が封止されることとなり、そこからの音漏れを抑制することができる。また、シール材315が上側横戸当り材31の左端及び右端に一体に設けられているので、上側横戸当り材31を、ドア枠10の左側縦枠材13と右側縦枠材14との間にシール材315を圧縮しながら嵌め入れることにより、ドア枠10の上側横枠材11に容易に取り付けることができる。
【0035】
シール材315としては、例えば、EPDM等のスポンジゴムで形成された板状ゴム等を用いることができる。また、上側横戸当り材31のドア枠10からの取り外しを容易に行うことができるようにする観点からは、シール材315の枠材当接面には、摩擦係数を低減する表面処理が施されていることが好ましい。かかる表面処理としては、例えばポリウレタン系樹脂によるコーティング等が挙げられる。
【0036】
上側横戸当り材31の防音ドア20側の前面の幅方向の中央部には、長さ方向に延びるように形成された断面コの字状のパッキン取付横溝316が設けられている。また、上側横戸当り材31の前面の左側及び右側の両端部のそれぞれには、厚さ方向に延びるように形成された断面コの字状のパッキン取付縦溝317がパッキン取付横溝316と交差するように設けられている。
【0037】
図3A及びBは、下側横戸当り材32を示す。
【0038】
下側横戸当り材32は、いわゆる沓摺であって、ドア枠10の開口幅よりも1mm程度短い板状の軸材で構成されている。下側横戸当り材32は、防音ドア20側の前面側部分32aが断面矩形に形成されているとともに、背面側部分32bが、上面が背面側に行くのに伴って下側横枠材12に近づく傾斜面に形成された断面三角形に形成されている。下側横戸当り材32には、下面側両角部のそれぞれに段差が形成されており、前面側部分32aに対応して、それらの段差間の長さ方向に延びるように形成された薄層状の突条により溝嵌め部321が構成されている。溝嵌め部321は、下側横枠材12の戸当り材設置溝121に嵌められるように設けられている。なお、溝嵌め部321の幅は、戸当り材設置溝121よりも若干小さく、それにより下側横戸当り材32の前後方向の設置位置の微調整を行うことができるように構成されている。
【0039】
下側横戸当り材32には、前面側部分32aに、下側横枠材12の戸当り材設置溝121のネジ受け具122に対応して、長さ方向に間隔をおいて設けられた複数のネジ挿通孔322が厚さ方向に貫通して形成されている。ネジ挿通孔322は、上面側の大径の円筒孔と下面側の小径の円筒孔とが同軸で連通して構成されている。そして、下側横戸当り材32は、固定ネジ323がネジ挿通孔322の下面側から挿入されるとともに、固定ネジ323の頭部がネジ挿通孔322の大径の円筒孔と小径の円筒孔との段差に係合し、且つ固定ネジ323の先端部が下側横枠材12の戸当り材設置溝121内のネジ受け具122に締め込まれることにより、ドア枠10の下側横枠材12に物理的に取り付けられている。したがって、下側横戸当り材32は、固定ネジ323の先端部のネジ受け具122への締め込みを緩めて外すことにより下側横枠材12から取り外すことができることから、ドア枠10の下側横枠材12に脱着可能に構成されている。なお、固定ネジ323を締めた後のネジ挿通孔322には、上面側の開口を封じるように、脱着可能な孔隠しキャップ324が内嵌めされている。
【0040】
下側横戸当り材32の左右両端面のそれぞれは、長さ方向に対して垂直な平坦面に形成されている。下側横戸当り材32は、左側縦枠材13と右側縦枠材14との間に左右が挟まれるように設けられており、また、下側横戸当り材32の左端及び右端のそれぞれには、厚さが約5mmの板状のシール材325が一体に設けられている。したがって、下側横戸当り材32の左端面と左側縦枠材13の右側面との間及び下側横戸当り材32の右端面と右側縦枠材14の左側面との間のそれぞれには、シール材325が圧縮された状態で介設されている。このように下側横戸当り材32と左側縦枠材13との間及び下側横戸当り材32と右側縦枠材14との間のそれぞれにシール材325が介設されているので、それらの間が封止されることとなり、そこからの音漏れを抑制することができる。また、シール材325が下側横戸当り材32の左端及び右端に一体に設けられているので、下側横戸当り材32を、ドア枠10の左側縦枠材13と右側縦枠材14との間にシール材325を圧縮しながら嵌め入れることにより、ドア枠10の下側横枠材12に容易に取り付けることができる。シール材325としては、上側横戸当り材31に設けられたものと同一構成のものを用いることができる。
【0041】
下側横戸当り材32の防音ドア20側の前面の幅方向の中央部には、長さ方向に延びるように形成された断面コの字状のパッキン取付横溝326が設けられている。また、下側横戸当り材32の前面の左側及び右側の両端部のそれぞれには、厚さ方向に延びるように形成された断面コの字状のパッキン取付縦溝327がパッキン取付横溝326と交差するように設けられている。
【0042】
図4A及びBは、左側縦戸当り材33を示す。
【0043】
左側縦戸当り材33は、ドア枠10の上側横枠材11に取り付けられた上側横戸当り材31の下面と下側横枠材12に取り付けられた下側横戸当り材32の上面との間の間隔よりも1mm程度短い角材で構成されている。左側縦戸当り材33には、左側面側両角部のそれぞれに段差が形成されており、それらの段差間の長さ方向に延びるように形成された薄層状の突条により溝嵌め部331が構成されている。溝嵌め部331は、左側縦枠材13の戸当り材設置溝131に嵌められるように設けられている。なお、溝嵌め部331の幅は、戸当り材設置溝131よりも若干小さく、それにより左側縦戸当り材33の前後方向の設置位置の微調整を行うことができるように構成されている。
【0044】
左側縦戸当り材33には、左側縦枠材13の戸当り材設置溝131のネジ受け具132に対応して、長さ方向に間隔をおいて設けられた複数のネジ挿通孔332が厚さ方向に貫通して形成されている。ネジ挿通孔332は、右側面側の大径の円筒孔と左側面側の小径の円筒孔とが同軸で連通して構成されている。そして、左側縦戸当り材33は、固定ネジ333がネジ挿通孔332の右側面側から挿入されるとともに、固定ネジ333の頭部がネジ挿通孔332の大径の円筒孔と小径の円筒孔との段差に係合し、且つ固定ネジ333の先端部が左側縦枠材13の戸当り材設置溝131内のネジ受け具132に締め込まれることにより、ドア枠10の左側縦枠材13に物理的に取り付けられている。したがって、左側縦戸当り材33は、固定ネジ333の先端部のネジ受け具132への締め込みを緩めて外すことにより左側縦枠材13から取り外すことができることから、ドア枠10の左側縦枠材13に脱着可能に構成されている。なお、固定ネジ333を締めた後のネジ挿通孔332には、右側面側の開口を封じるように、脱着可能な孔隠しキャップ334が内嵌めされている。
【0045】
左側縦戸当り材33の上下両端面のそれぞれは、長さ方向に対して垂直な平坦面に形成されている。左側縦戸当り材33は、上側横戸当り材31と下側横戸当り材32との間に上下が挟まれるように設けられており、また、左側縦戸当り材33の上端及び下端のそれぞれには、厚さが約5mmの板状のシール材335が一体に設けられている。したがって、左側縦戸当り材33の上端面と上側横戸当り材31の下面との間及び左側縦戸当り材33の下端面と下側横戸当り材32の上面との間のそれぞれには、シール材335が圧縮された状態で介設されている。このように左側縦戸当り材33と上側横戸当り材31との間及び左側縦戸当り材33と下側横戸当り材32との間のそれぞれにシール材335が介設されているので、それらの間が封止されることとなり、そこからの音漏れを抑制することができる。また、シール材335が左側縦戸当り材33の上端及び下端に一体に設けられているので、左側縦戸当り材33を、ドア枠10に予め取り付けた上側横戸当り材31と下側横戸当り材32との間にシール材335を圧縮しながら嵌め入れることにより、ドア枠10の左側縦枠材13に容易に取り付けることができる。
【0046】
シール材335としては、例えば、EPDM等のスポンジゴムで形成された板状ゴム等を用いることができる。また、左側縦戸当り材33のドア枠10からの取り外しを容易に行うことができるようにする観点からは、シール材335の戸当り材当接面には、摩擦係数を低減する表面処理が施されていることが好ましい。かかる表面処理としては、例えばポリウレタン系樹脂によるコーティング等が挙げられる。
【0047】
左側縦戸当り材33の防音ドア20側の前面の幅方向の中央部には、長さ方向に延びるように形成された断面コの字状のパッキン取付縦溝337が設けられている。
【0048】
右側縦戸当り材34は、左側縦戸当り材33と左右対称に形成されており、ドア枠10の上側横枠材11に取り付けられた上側横戸当り材31の下面と下側横枠材12に取り付けられた下側横戸当り材32の上面との間の間隔よりも1mm程度短い角材で構成されている。右側縦戸当り材34には、図4A及びBに示すように、右側面側両角部のそれぞれに段差が形成されており、それらの段差間の長さ方向に延びるように形成された薄層状の突条により溝嵌め部341が構成されている。溝嵌め部341は、右側縦枠材14の戸当り材設置溝141に嵌められるように設けられている。なお、溝嵌め部341の幅は、戸当り材設置溝141よりも若干小さく、それにより右側縦戸当り材34の前後方向の設置位置の微調整を行うことができるように構成されている。
【0049】
右側縦戸当り材34には、右側縦枠材14の戸当り材設置溝141のネジ受け具142に対応して、長さ方向に間隔をおいて設けられた複数のネジ挿通孔342が厚さ方向に貫通して形成されている。ネジ挿通孔342は、左側面側の大径の円筒孔と右側面側の小径の円筒孔とが同軸で連通して構成されている。そして、右側縦戸当り材34は、固定ネジ343がネジ挿通孔342の左側面側から挿入されるとともに、固定ネジ343の頭部がネジ挿通孔342の大径の円筒孔と小径の円筒孔との段差に係合し、且つ固定ネジ343の先端部が右側縦枠材14の戸当り材設置溝141内のネジ受け具142に締め込まれることにより、ドア枠10の右側縦枠材14に物理的に取り付けられている。したがって、右側縦戸当り材34は、固定ネジ343の先端部のネジ受け具142への締め込みを緩めて外すことにより右側縦枠材14から取り外すことができることから、ドア枠10の右側縦枠材14に脱着可能に構成されている。なお、固定ネジ343を締めた後のネジ挿通孔342には、左側面側の開口を封じるように、脱着可能な孔隠しキャップ344が内嵌めされている。
【0050】
右側縦戸当り材34の上下両端面のそれぞれは、長さ方向に対して垂直な平坦面に形成されている。右側縦戸当り材34は、上側横戸当り材31と下側横戸当り材32との間に上下が挟まれるように設けられており、また、右側縦戸当り材34の上端及び下端のそれぞれには、厚さが約5mmの板状のシール材345が一体に設けられている。したがって、右側縦戸当り材34の上端面と上側横戸当り材31の下面との間及び右側縦戸当り材34の下端面と下側横戸当り材32の上面との間のそれぞれには、シール材345が圧縮された状態で介設されている。このように右側縦戸当り材34と上側横戸当り材31との間及び右側縦戸当り材34と下側横戸当り材32との間のそれぞれにシール材345が介設されているので、それらの間が封止されることとなり、そこからの音漏れを抑制することができる。また、シール材345が右側縦戸当り材34の上端及び下端に一体に設けられているので、右側縦戸当り材34を、ドア枠10に予め取り付けた上側横戸当り材31と下側横戸当り材32との間にシール材345を圧縮しながら嵌め入れることにより、ドア枠10の右側縦枠材14に容易に取り付けることができる。シール材345としては、左側縦戸当り材33に設けられたものと同一構成のものを用いることができる。
【0051】
右側縦戸当り材34の防音ドア20側の前面の幅方向の中央部には、長さ方向に延びるように形成された断面コの字状のパッキン取付縦溝347が設けられている。
【0052】
ドア枠10の内側に設けられた戸当り30では、図5に示すように、上側横戸当り材31の左端のシール材315が左側縦枠材13に及び右端のシール材315が右側縦枠材14にそれぞれ当接して圧縮された状態で設けられている。下側横戸当り材32の左端のシール材325が左側縦枠材13に及び右端のシール材325が右側縦枠材14にそれぞれ当接して圧縮された状態で設けられている。左側縦戸当り材33の上端のシール材335が上側横戸当り材31に及び下端のシール材335が下側横戸当り材32にそれぞれ当接して圧縮された状態で設けられている。右側縦戸当り材34の上端のシール材345が上側横戸当り材31に及び下端のシール材345が下側横戸当り材32にそれぞれ当接して圧縮された状態で設けられている。
【0053】
また、上側横戸当り材31の左側端部のパッキン取付縦溝317及び下側横戸当り材32の左側端部のパッキン取付縦溝327のそれぞれが左側縦戸当り材33のパッキン取付縦溝337と連続しているとともに、上側横戸当り材31の右側端部のパッキン取付縦溝317及び下側横戸当り材32の右側端部のパッキン取付縦溝327のそれぞれが右側縦戸当り材34のパッキン取付縦溝347と連続している。そして、これにより、戸当り30の前面には、四隅に十字状の交差部を有するロの字状のパッキン取付部が構成されている。
【0054】
図6A及びBはパッキン40を示す。
【0055】
パッキン40は、EPDM等で形成された長尺のゴム部材で構成されている。パッキン40は、スポンジゴムで形成されたパッキン本体41と、ソリッドゴムで形成された支持部42及び取付部43とで構成されている。パッキン本体41は、前面側に膨出する断面弓形の弓形部41aと、その幅方向の一方端に連続して側方に延びるように設けられたヒレ部41bとを有する。支持部42は、平板状に形成されており、パッキン本体41の弓形部41aの背面側に、その幅方向の両端がそれぞれ結合して一体に設けられている。取付部43は、矩形筒状に形成されており、支持部42の背面側の幅方向の中央部に一体に設けられている。取付部43の幅方向の両側のそれぞれには、側方に突出するように形成された一対の係合部44が間隔をおいて一体に設けられている。
【0056】
パッキン40は、戸当り30に対し、パッキン本体41のヒレ部41bがドア枠10に接触するように配置されるとともに、取付部43がパッキン取付横溝316,326又はパッキン取付縦溝317,327,337,347に挿入されて係合部44が溝側壁に当接することにより弾性的に係合し、且つ戸当り30の前面に支持部42の背面が当接するように設けられて物理的に取り付けられている。したがって、パッキン40は、戸当り30に対して脱着可能に構成されている。
【0057】
パッキン40は、図7に示すように、戸当り30に対して4分割して設けられている。具体的には、第1のパッキン40は、上端及び下端のそれぞれがドア枠10に当接するように配置され、上側横戸当り材31の左側端部、左側縦戸当り材33、及び下側横戸当り材32の左側端部に連続したパッキン取付縦溝317,337,327に取り付けられている。したがって、第1のパッキン40は、上側横戸当り材31、左側縦戸当り材33、及び下側横戸当り材32を掛け渡すとともに、上側横戸当り材31と左側縦戸当り材33との接合部及び左側縦戸当り材33と下側横戸当り材32との接合部を覆うように設けられている。第2のパッキン40は、上端及び下端のそれぞれがドア枠10に当接するように配置され、上側横戸当り材31の右側端部、右側縦戸当り材34、及び下側横戸当り材32の右側端部に連続したパッキン取付縦溝317,347,327に取り付けられている。したがって、第2のパッキン40は、上側横戸当り材31、右側縦戸当り材34、及び下側横戸当り材32を掛け渡すとともに、上側横戸当り材31と右側縦戸当り材34との接合部及び右側縦戸当り材34と下側横戸当り材32との接合部を覆うように設けられている。第3のパッキン40は、左端が第1のパッキン40及び右端が第2のパッキン40にそれぞれ当接するように配置され、上側横戸当り材31のパッキン取付横溝316に取り付けられている。第4のパッキン40は、左端が第1のパッキン40及び右端が第2のパッキン40にそれぞれ当接するように配置され、下側横戸当り材32のパッキン取付横溝326に取り付けられている。
【0058】
パッキン40は、防音ドア20が閉状態のとき、パッキン本体41の弓形部41aが防音ドア20のドア本体21の背面に弾性的に当接し、それにより戸当り30と防音ドア20との間が封止されることとなり、そこからの音漏れを抑制する。また、パッキン40は、パッキン本体41のヒレ部41bがドア枠10に弾性的に当接し、それによりドア枠10と戸当り30との間が封止されることとなり、そこからの音漏れを抑制する。実施形態1に係る防音ドア設置構造Dでは、これらのパッキン40による音漏れ抑制機構が、戸当り30の全周に渡って構成されている。
【0059】
以上の構成の実施形態1に係る防音ドア設置構造Dにおいて、室内に大型の楽器や機材を搬入する場合、例えば、まず、防音ドア20をドア枠10の右側縦枠材14から取り外す。
【0060】
次いで、上側横戸当り材31の左側端部、左側縦戸当り材33、及び下側横戸当り材32の左側端部に連続したパッキン取付縦溝317,337,327に取り付けられた第1のパッキン40を取り外す。
【0061】
次いで、左側縦戸当り材33について、ネジ挿通孔332から孔隠しキャップ334を外した後、固定ネジ333の先端部のネジ受け具132への締め込みを緩めて外し、溝嵌め部331の左側縦枠材13の戸当り材設置溝131への嵌め込みを外すように右側に移動させてドア枠10の左側縦枠材13から取り外す。
【0062】
次いで、上側横戸当り材31の右側端部、右側縦戸当り材34、及び下側横戸当り材32の右側端部に連続したパッキン取付縦溝317,347,327に取り付けられた第2のパッキン40を取り外す。
【0063】
次いで、右側縦戸当り材34についても同様に、ネジ挿通孔342から孔隠しキャップ344を外した後、固定ネジ343の先端部のネジ受け具142への締め込みを緩めて外し、溝嵌め部341の右側縦枠材14の戸当り材設置溝141への嵌め込みを外すように左側に移動させてドア枠10の右側縦枠材14から取り外す。
【0064】
続いて、上側横戸当り材31について、ネジ挿通孔312から孔隠しキャップ314を外した後、固定ネジ313の先端部のネジ受け具112への締め込みを緩めて外し、溝嵌め部311の上側横枠材11の戸当り材設置溝111への嵌め込みを外すように下側に移動させてドア枠10の上側横枠材11から取り外す。このとき、第3のパッキン40の取り外しは特に必要ではない。
【0065】
そして、下側横戸当り材32についても同様に、ネジ挿通孔322から孔隠しキャップ324を外した後、固定ネジ323の先端部のネジ受け具122への締め込みを緩めて外し、溝嵌め部321の下側横枠材12の戸当り材設置溝121への嵌め込みを外すように上側に移動させてドア枠10の下側横枠材12から取り外す。このとき、第4のパッキン40の取り外しも特に必要ではない。
【0066】
以上のようにして、実施形態1に係る防音ドア設置構造Dにおいて、図8Aに示すように、防音ドア20及び戸当り30を取り外すことができ、それによって防音ドア設置構造Dの開口をドア枠10の開口まで広げることができる。その結果、ドア枠10の開口の範囲内の大きさであれば、室内への大型の楽器や機材等の搬入を容易に行うことができる。
【0067】
また、左側縦戸当り材33及び右側縦戸当り材34のいずれも、上側横戸当り材31と下側横戸当り材32との間に上下が挟まれるように設けられているとともに、上側横戸当り材31、下側横戸当り材32、左側縦戸当り材33、及び右側縦戸当り材34のいずれも、ドア枠10に脱着可能に構成されていることから、上側横戸当り材31、下側横戸当り材32、左側縦戸当り材33、及び右側縦戸当り材34を含む戸当り30全体を取り外す態様の他、左側縦戸当り材33及び右側縦戸当り材34のうちの一方だけを取り外す態様、左側縦戸当り材33及び右側縦戸当り材34だけを取り外す態様、左側縦戸当り材33及び右側縦戸当り材34の両方に加えて上側横戸当り材31及び下側横戸当り材32のうちの一方だけを取り外す態様のうちから、必要となる防音ドア設置構造Dの開口の広さに合わせて取り外し態様を選択することもできる。
【0068】
さらに、戸当り30の上側横戸当り材31、下側横戸当り材32、左側縦戸当り材33、及び右側縦戸当り材34のいずれかが傷付いて交換が必要な場合でも、いずれもドア枠10に脱着可能に構成されていることから、容易にメンテナンスを行うことができる。
【0069】
防音ドア20及び戸当り30を取り付けて元に戻す際には、逆の手順で取り付けを行えばよい。また、防音ドア20の取り外しは、戸当り材取り外し途中段階又は最後に行ってもよい。左側縦戸当り材33及び右側縦戸当り材34の取り外しは、右側縦戸当り材34及び左側縦戸当り材33の順に行ってもよい。上側横戸当り材31及び下側横戸当り材32の取り外しは、下側横戸当り材32及び上側横戸当り材31の順に行ってもよい。さらに、防音ドア20の取り外しが必要でない場合には、図8Bに示すように、戸当り30だけを外してもよい。
【0070】
(実施形態2)
図9は、実施形態2に係る防音ドア設置構造Dのドア枠10への戸当り30の取付構造を示す。また、図10は、実施形態2に係る防音ドア設置構造Dの戸当り30へのパッキン40の取付構造を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号を用いて示す。
【0071】
実施形態2に係る防音ドア設置構造Dでは、戸当り30の上側横戸当り材31及び下側横戸当り材32のそれぞれが、左側縦戸当り材33と右側縦戸当り材34との間に左右が挟まれるように設けられ、且つ上側横戸当り材31、下側横戸当り材32、左側縦戸当り材33、及び右側縦戸当り材34のいずれも、ドア枠10に脱着可能に構成されている。
【0072】
上側横戸当り材31は、ドア枠10の左側縦枠材13に取り付けられた左側縦戸当り材33の右側面と右側縦枠材14に取り付けられた右側縦戸当り材34の左側面との間の間隔よりも1mm程度短い角材で構成されている。下側横戸当り材32は、ドア枠10の左側縦枠材13に取り付けられた左側縦戸当り材33の右側面と右側縦枠材14に取り付けられた右側縦戸当り材34の左側面との間の間隔よりも1mm程度短い板状の軸材で構成されている。
【0073】
左側縦戸当り材33及び右側縦戸当り材34のそれぞれは、ドア枠10の開口高さよりも1mm程度短い角材で構成されている。左側縦戸当り材33の防音ドア20側の前面の上側及び下側の両端部のそれぞれには、厚さ方向に延びるように形成された断面コの字状のパッキン取付横溝336がパッキン取付縦溝337と交差するように設けられている。同様に、右側縦戸当り材34の防音ドア20側の前面の上側及び下側の両端部のそれぞれには、厚さ方向に延びるように形成された断面コの字状のパッキン取付横溝346がパッキン取付縦溝347と交差するように設けられている。
【0074】
ドア枠10の内側に設けられた戸当り30では、左側縦戸当り材33の上端のシール材335が上側横枠材11に及び下端のシール材335が下側横枠材12にそれぞれ当接して圧縮された状態で設けられている。右側縦戸当り材34の上端のシール材345が上側横枠材11に及び下端のシール材345が下側横枠材12にそれぞれ当接して圧縮された状態で設けられている。上側横戸当り材31の左端のシール材315が左側縦戸当り材33に及び右端のシール材315が右側縦戸当り材34にそれぞれ当接して圧縮された状態で設けられている。下側横戸当り材32の左端のシール材325が左側縦戸当り材33に及び右端のシール材325が右側縦戸当り材34にそれぞれ当接して圧縮された状態で設けられている。
【0075】
また、左側縦戸当り材33の上側端部のパッキン取付横溝336及び右側縦戸当り材34の上側端部のパッキン取付横溝346のそれぞれが上側横戸当り材31のパッキン取付横溝316と連続しているとともに、左側縦戸当り材33の下側端部のパッキン取付横溝336及び右側縦戸当り材34の下側端部のパッキン取付横溝346のそれぞれが下側横戸当り材32のパッキン取付横溝326と連続している。そして、これにより、戸当り30の前面には、四隅に十字状の交差部を有するロの字状のパッキン取付部が構成されている。
【0076】
パッキン40は、戸当り30に対し、パッキン本体41のヒレ部41bがドア枠10に接触するように配置されるとともに、取付部43がパッキン取付横溝316,326,336,346又はパッキン取付縦溝317,327,337,347に挿入されて係合部44が溝側壁に当接することにより弾性的に係合し、且つ戸当り30の前面に支持部42の背面が当接するように設けられて物理的に取り付けられている。したがって、パッキン40は、戸当り30に対して脱着可能に構成されている。
【0077】
パッキン40は、戸当り30に対して4分割して設けられている。具体的には、第1のパッキン40は、左端及び右端のそれぞれがドア枠10に当接するように配置され、左側縦戸当り材33の上側端部、上側横戸当り材31、及び右側縦戸当り材34の上側端部に連続したパッキン取付横溝336,316,346に取り付けられている。したがって、第1のパッキン40は、左側縦戸当り材33、上側横戸当り材31、及び右側縦戸当り材34を掛け渡すとともに、左側縦戸当り材33と上側横戸当り材31との接合部及び上側横戸当り材31と右側縦戸当り材34との接合部を覆うように設けられている。第2のパッキン40は、左端及び右端のそれぞれがドア枠10に当接するように配置され、左側縦戸当り材33の下側端部、下側横戸当り材32、及び右側縦戸当り材34の下側端部に連続したパッキン取付横溝336,326,346に取り付けられている。したがって、第2のパッキン40は、左側縦戸当り材33、下側横戸当り材32、及び右側縦戸当り材34を掛け渡すとともに、左側縦戸当り材33と下側横戸当り材32との接合部及び下側横戸当り材32と右側縦戸当り材34との接合部を覆うように設けられている。第3のパッキン40は、上端が第1のパッキン40及び下端が第2のパッキン40にそれぞれ当接するように配置され、左側縦戸当り材33のパッキン取付縦溝337に取り付けられている。第4のパッキン40は、上端が第1のパッキン40及び下端が第2のパッキン40にそれぞれ当接するように配置され、右側縦戸当り材34のパッキン取付縦溝347に取り付けられている。
【0078】
以上の構成の実施形態2に係る防音ドア設置構造Dにおいて、室内に大型の楽器や機材を搬入する場合、例えば、まず、防音ドア20をドア枠10の右側縦枠材14から取り外す。
【0079】
次いで、左側縦戸当り材33の上側端部、上側横戸当り材31、及び右側縦戸当り材34の上側端部に連続したパッキン取付横溝336,316,346に取り付けられた第1のパッキン40を取り外す。
【0080】
次いで、上側横戸当り材31について、ネジ挿通孔312から孔隠しキャップ314を外した後、固定ネジ313の先端部のネジ受け具112への締め込みを緩めて外し、溝嵌め部311の左側縦枠材11の戸当り材設置溝111への嵌め込みを外すように下側に移動させてドア枠10の上側横枠材11から取り外す。
【0081】
次いで、左側縦戸当り材33の下側端部、下側横戸当り材32、及び右側縦戸当り材34の下側端部に連続したパッキン取付横溝336,326,346に取り付けられた第2のパッキン40を取り外す。
【0082】
次いで、下側横戸当り材32についても同様に、ネジ挿通孔322から孔隠しキャップ324を外した後、固定ネジ323の先端部のネジ受け具122への締め込みを緩めて外し、溝嵌め部321の下側横枠材12の戸当り材設置溝121への嵌め込みを外すように上側に移動させてドア枠10の下側横枠材12から取り外す。
【0083】
続いて、左側縦戸当り材33について、ネジ挿通孔332から孔隠しキャップ334を外した後、固定ネジ333の先端部のネジ受け具132への締め込みを緩めて外し、溝嵌め部331の左側縦枠材13の戸当り材設置溝131への嵌め込みを外すように右側に移動させてドア枠10の左側縦枠材13から取り外す。このとき、第3のパッキン40の取り外しは特に必要ではない。
【0084】
そして、右側縦戸当り材34についても同様に、ネジ挿通孔342から孔隠しキャップ344を外した後、固定ネジ343の先端部のネジ受け具142への締め込みを緩めて外し、溝嵌め部341の右側縦枠材14の戸当り材設置溝141への嵌め込みを外すように左側に移動させてドア枠10の左側縦枠材14から取り外す。このとき、第4のパッキン40の取り外しも特に必要ではない。
【0085】
以上のようにして、実施形態2に係る防音ドア設置構造Dにおいて、防音ドア20及び戸当り30を取り外すことができ、それによって防音ドア設置構造Dの開口をドア枠10の開口まで広げることができる。その結果、ドア枠10の開口の範囲内の大きさであれば、室内への大型の楽器や機材等の搬入を容易に行うことができる。
【0086】
また、上側横戸当り材31及び下側横戸当り材32のいずれも、左側縦戸当り材33と右側縦戸当り材34との間に左右が挟まれるように設けられているとともに、上側横戸当り材31、下側横戸当り材32、左側縦戸当り材33、及び右側縦戸当り材34のいずれも、ドア枠10に脱着可能に構成されていることから、上側横戸当り材31、下側横戸当り材32、左側縦戸当り材33、及び右側縦戸当り材34を含む戸当り30全体を取り外す態様の他、上側横戸当り材31及び下側横戸当り材32のうちの一方だけを取り外す態様、上側横戸当り材31及び下側横戸当り材32だけを取り外す態様、上側横戸当り材31及び下側横戸当り材32の両方に加えて左側縦戸当り材33及び右側縦戸当り材34のうちの一方だけを取り外す態様のうちから、必要となる防音ドア設置構造Dの開口の広さに合わせて取り外し態様を選択することもできる。
【0087】
防音ドア20及び戸当り30を取り付けて元に戻す際には、逆の手順で取り付けを行えばよい。また、防音ドア20の取り外しは、戸当り材取り外し途中段階又は最後に行ってもよい。上側横戸当り材31及び下側横戸当り材32の取り外しは、下側横戸当り材32及び上側横戸当り材31の順に行ってもよい。左側縦戸当り材33及び右側縦戸当り材34の取り外しは、右側縦戸当り材34及び左側縦戸当り材33の順に行ってもよい。さらに、防音ドア20の取り外しが必要でない場合には、戸当り30だけを外してもよい。
【0088】
その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
【0089】
(その他の実施形態)
上記実施形態1及び2では、上側横戸当り材31、下側横戸当り材32、左側縦戸当り材33、及び右側縦戸当り材34のいずれも、ドア枠10に脱着可能に構成された構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、左側縦戸当り材33及び右側縦戸当り材34のうちの少なくとも一方が、上側横戸当り材31と下側横戸当り材32との間に上下が挟まれるように設けられている、又は、上側横戸当り材31及び下側横戸当り材32のうちの少なくとも一方が、左側縦戸当り材33と右側縦戸当り材34との間に左右が挟まれるように設けられているとともに、ドア枠10に脱着可能に構成されていれば、防音ドア設置構造Dの開口を広げることができるという効果を得ることができる。
【0090】
上記実施形態1及び2では、ドア枠10の右側縦枠材14に取り付けられた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、ドア枠10の左側縦枠材13に取り付けられた構成であってもよい。
【0091】
上記実施形態1では、上側横戸当り材31及び下側横戸当り材32の左端及び右端にシール材315,325が一体に設けられた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、ドア枠10の左側縦枠材13及び/又は右側縦枠材14の戸当り材当接部にシール材315,325が一体に設けられた構成であってもよい。また、上記実施形態1では、左側縦戸当り材33及び右側縦戸当り材34の上端及び下端にシール材335,345が一体に設けられた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、上側横戸当り材31及び/又は下側横戸当り材32の戸当り材当接部にシール材335,345が一体に設けられた構成であってもよい。
【0092】
同様に、上記実施形態2では、左側縦戸当り材33及び右側縦戸当り材34の上端及び下端にシール材335,345が一体に設けられた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、ドア枠10の上側横枠材11及び/又は下側横枠材12の戸当り材当接部にシール材335,345が一体に設けられた構成であってもよい。また、上記実施形態2では、上側横戸当り材31及び下側横戸当り材32の左端及び右端にシール材315,325が一体に設けられた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、左側縦戸当り材33及び/又は右側縦戸当り材34の戸当り材当接部にシール材315,325が一体に設けられた構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、防音ドア設置構造の技術分野について有用である。
【符号の説明】
【0094】
D 防音ドア設置構造
10 ドア枠
11 上側横枠材(上側横枠部)
111,121,131,141 戸当り材設置溝
112,122,132,142 ネジ受け具
12 下側横枠材(下側横枠部)
13 左側縦枠材(左側縦枠部)
14 右側縦枠材(右側縦枠部)
20 防音ドア
21 ドア本体
22 蝶番
23 レバーハンドル
30 戸当り
31 上側横戸当り材
311、321,331,341 溝嵌め部
312,322,332,342 ネジ挿通孔
313,323,333,343 固定ネジ
314,324,334,344 孔隠しキャップ
315,325,335,345 シール材
316,326,336,346 パッキン取付横溝
317,327,337,347 パッキン取付縦溝
32 下側横戸当り材
32a 前面側部分
32b 背面側部分
33 左側縦戸当り材
34 右側縦戸当り材
40 パッキン
41 パッキン本体
41a 弓形部
41b ヒレ部
42 支持部
43 取付部
44 係合部
【要約】
【課題】開口を広げることができる防音ドア設置構造を提供する。
【解決手段】防音ドア設置構造Dは、ドア枠10と、防音ドア20と、戸当り30とを備える。戸当り30は、上側横戸当り材31、下側横戸当り材32、左側縦戸当り材33、及び右側縦戸当り材34で構成されている。左側縦戸当り材33及び右側縦戸当り材34のうちの少なくとも一方は、上側横戸当り材31と下側横戸当り材32との間に上下が挟まれるように設けられているとともに、ドア枠10に脱着可能に構成されている、又は、上側横戸当り材31及び下側横戸当り材32のうちの少なくとも一方は、左側縦戸当り材33と右側縦戸当り材34との間に左右が挟まれるように設けられているとともに、ドア枠10に脱着可能に構成されている。
【選択図】図1B
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10