特許第6556291号(P6556291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556291
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】人工足首関節置換のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20190729BHJP
   A61F 2/42 20060101ALI20190729BHJP
   A61F 2/46 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   A61B17/56
   A61F2/42
   A61F2/46
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-92289(P2018-92289)
(22)【出願日】2018年5月11日
(62)【分割の表示】特願2016-117842(P2016-117842)の分割
【原出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2018-149333(P2018-149333A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2018年5月14日
(31)【優先権主張番号】61/746,393
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/782,507
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/846,831
(32)【優先日】2013年7月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/100,799
(32)【優先日】2013年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504154126
【氏名又は名称】ライト メディカル テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Wright Medical Technology, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・イー・マッギンレー
(72)【発明者】
【氏名】ブラハム・ケイ・ディロン
(72)【発明者】
【氏名】ラモン・ルナ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エム・ハウエルズ
(72)【発明者】
【氏名】ダン・フリー
【審査官】 菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−526189(JP,A)
【文献】 特表2007−536011(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/088036(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56−17/92
A61F 2/42
A61F 2/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工足首関節置換システムの脛骨板部分の形状を提供する脛骨仮挿入物であって、
切除された脛骨の遠位面に対して嵌合される上面を有するプレートと、
脛骨切除のための穿孔及び切断器具の位置調節用の位置調節装置の器具ホルダーに実装されるように大きさが設定され、形状化した前方実装部とを備えた、脛骨仮挿入物。
【請求項2】
前記プレートは、切除された脛骨内に釘孔を配置するように使用される複数の孔を有する一方で、挿入物を収容するように構成される下面を有し、
前記脛骨挿入物は、前記脛骨仮挿入物が適切に配置されると、前記脛骨の前面に接触するように構成され、前記プレートから延びる前方脛骨参照部材を有する、請求項1に記載の脛骨仮挿入物。
【請求項3】
前記挿入物は、
前記脛骨仮挿入物の前記プレートの前記下面に分離可能に実装される上面と、
前記人工足首関節置換システムの脛骨関節の補綴物の表面の大きさ及び形状を有する凹状の下面とを含む、請求項2に記載の脛骨仮挿入物。
【請求項4】
前記挿入物と接触するように前記挿入物の下に挿入される可動型仮挿入物を備え、
前記可動型仮挿入物は、
前記挿入物の前記凹状の下面と対向するように、前記人工足首関節置換システムの距骨円蓋の補綴物の大きさ及び形状を有する少なくとも1つの凸面を備えた部材を含み、
前記部材は前記可動型仮挿入物の手動配置のためのハンドルを有し、
前記ハンドルは距骨切断ガイドを配置するためにピンを挿入するための複数の孔を有する、請求項3に記載の脛骨仮挿入物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体の内容が本願で参照として含まれている2012年12月27日付の米国特許出願第61/746,393号の正規出願である。
【0002】
本発明は、一般に補綴物に関するものであり、より詳しくは人工足首関節置換のシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
足首関節は、ヒンジと非常に類似して動く関節である。関節は3つの骨の結合によって
形成される。足首の骨は距骨である。距骨の最上端は、脛骨、腓骨及び下腿の小骨の下端により形成されたソケット内に嵌合される。関節炎、骨の退化及び/又は負傷は、足首関
節の退化の原因となり苦痛を招き、行動の範囲を狭めて、人生の質を落とすという結果をもたらし得る。多くの場合、医師は代案としてインプラントを備えた足首関節置換術を薦める。
【0004】
使用可能な足首関節置換システムは、例えば、テネシー州アーリントンに所在のライトメディカルテクノロジー(Wright Medical Technologies of Arlington, TN)が販売した「INBONE」(商標)システムを含む。「INBONE」(商標)システムは、ステム(stem)を備えた距骨板(talar tray)の構成を含み、これらは脛骨の切除された遠位端部に収まっている 。凹状の遠位面を有する軟骨板は脛骨板に連結されている。距骨円蓋(talar dome)とステムは距骨の切除された近位端部に移植される。軟骨板は距骨円蓋と連結するよ
うに形成される。
【0005】
医師が骨の適切な穿孔と切除を行い、足首関節の補綴物を移植する間、医師は関連器具を用いて足を動かないようにすることができる。そのような器具の例はU.S.7,534,246に
記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
改善した装置及び方法が必要である。
要約
【課題を解決するための手段】
【0007】
一部の実施例において、器具ホルダーを有する位置調節装置は、患者の脛骨の遠位端部付近を前面に向い合う位置から突出した少なくとも2つのピンに固定されている。位置調
節装置は調節される。位置調節装置は、近遠位及び内外側方向の第1の座標に器具ホルダ
ーで固定されている。器具ホルダーが近遠位及び内外側方向の第1の座標にある間、脛骨
の遠位端部は器具ホルダー上に配置された器具によって切除される。器具は器具ホルダーから取り除かれる。器具ホルダーが近遠位及び内外側方向の第1の座標にある間、脛骨仮
挿入物(tibia trial)は器具ホルダーを使用して切除された脛骨上に配置される。脛骨
仮挿入物は、人工足首関節置換システムの脛骨板の大きさ及び形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】インプラントの大きさを設定し、試験に適切な位置調節装置又は調節ブロック(adjustment block)の斜視図である。
図2】調節ブロック、脛骨仮挿入物、軟骨板仮挿入物(poly trial insert)及び可動型仮挿入物(floating trial)を示す分解図である。
図3図2の脛骨仮挿入物の斜視図である。
図4図3の脛骨仮挿入物の正面図である。
図5図3の脛骨仮挿入物の側面図である。
図6図2の可動型仮挿入物の斜視図である。
図7図1の調節ブロックがドリルガイドを固定している斜視図である。
図8】穿孔作業中の図7の調節ブロックとドリルガイドの斜視図である。
図9図1の調節ブロックが切断ガイド(cut guide)を固定している斜視図である。
図10】仮挿入物の挿入中の調節ブロックと脛骨仮挿入物の斜視図である。
図11】仮挿入物の挿入中の調節ブロックと脛骨仮挿入物の側面図である。
図12】脛骨の遠位面内に釘孔(peg holes)を位置させるために、脛骨仮挿入物を使用して穿孔することを示す斜視図である。
図13】切除後の脛骨と距骨を示している。
図14】骨窓(surgical window)に挿入される調節ブロック、脛骨仮挿入物、軟骨板仮挿入物及び可動型仮挿入物を示す斜視図である。
図15】骨窓に挿入された調節ブロック、脛骨仮挿入物、軟骨板仮挿入物及び可動型仮挿入物の側面図である。
図16】可動型仮挿入物が距骨にピンで固定されている間に、挿入された調節ブロック、脛骨仮挿入物、軟骨板仮挿入物及び可動型仮挿入物を示す斜視図及び側面図である。
図17】可動型仮挿入物が距骨にピンで固定されている間に、挿入された調節ブロック、脛骨仮挿入物、軟骨板仮挿入物及び可動型仮挿入物を示す斜視図及び側面図である。
図18】近遠位及び内外側の調節を提供する調節ブロックの実施例の斜視図である。
図19】器具ホルダーに取り付けられたドリルガイドと図18の調節ブロックの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための具体的な内容
実施例の記載は、全体の明細書の一部と見なされる添付図面と共に理解すべきである。本明細書において、「下側」、「上側」、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「上向き」、「下向き」、「上端」及び「下端」のような相対語だけでなく、その派生語(例えば、「水平に」、「下向きに」、「上向きに」等)は、後述する図面の図示内容又は記載
内容のように、方向を指すものと解釈されるべきである。前記相対語は、説明の便宜のためのものであり、特定方向を求めるように意図されたものではない。明確に異なって説明されていない場合、「連結された」及び「相互連結された」のような取り付け及びカップリング等に関する用語は、双方とも移動可能なまたは堅固な取り付け、或いは双方とも移動可能なまたは堅固な関係だけでなく、介在する構造物を通じて、構造物が互いに直接的または間接的に固定されたり取り付けられる関係を称する。
【0010】
図1は、脛骨切除及び脛骨仮挿入物の挿入用の穿孔及び切断器具の位置調節に使用され
る位置調節装置100(以下「調節ブロック」という)の斜視図である。調節ブロック100は、大きさの設定、切除及び試験過程を経て、器具と脛骨仮挿入物の構成要素を配置するための共通の参照位置を提供する。一部の実施例においては、調節ブロック100は、過度に
皮膚を緊張させずに、脛骨に近接した傷の部位内に切断ガイドを位置できるほど側面での大きさが充分に小さい。医師は、調節ブロックを使用してドリルガイド及び/又は切断ガ
イドを脛骨にさらに近く配置し、刃部(blade)又はピンの屈曲発生を減らすことで、さ
らに正確に切断できる。
【0011】
調節ブロック(100)は、置換される関節に隣接した器具ホルダー134を正確に配置するための、独立して配置可能な3つのフレーム110,120,130を有する。
【0012】
第1のフレーム110は、脛骨の遠位端部近くの前面内に挿入された2つの固定ピン150に取り付けられるように形成されている。ロックねじ112は、ピンに対して調節ブロック100を固定するように固定ピン150を支えるロック板(未図示)を作動させる。第1のフレームは、ねじ113と同軸上に連結された近遠位調節ノブ111を有する。ねじ113は、親ねじの使用
のためのアクメねじ山、台形ねじ山、四角ねじ山又はその他適切なねじ山を有する。第2
のフレーム120は、ねじ113が結合される親ねじナット(未図示)に固定して取り付けられるか一体に形成される。近遠位調節ノブ111の回転は、ねじ113を回転させて近遠位方向で第2のフレーム120を前進又は後進させる。第2のフレーム120が好ましい近遠位座標にあるとき、医師はロックねじ114を前進させて適所で第1のフレーム110に第2のフレーム120を
ロックする。
【0013】
第2のフレーム120は、ねじ123と同軸上に連結された少なくとも1つの内外側調節ノブ121a,121bを有する。ねじ123は、親ねじの使用のためのアクメねじ山、台形ねじ山、四角ねじ山又はその他適切なねじ山を有する。ねじ123は、第3のフレーム130と固定して取り付
けられるか一体に形成される親ねじナット(未図示)を推進させる。内外側調節ノブ121a,121bの回転は、ねじ123を回転させて内外側方向で第3のフレーム130を移動させる。第3
のフレーム130が好ましい内外側座標にあるとき、医師はロックねじ122を前進させて適所で第2のフレーム120に親ねじ123をロックする。
【0014】
第3のフレーム130は、ねじ133と同軸に連結された前後方調節ノブ131を有する。ねじ133は、親ねじの使用のためのアクメねじ山、台形ねじ山、四角ねじ山又はその他適切なね
じ山を有する。ねじ133は、器具ホルダー134が固定して取り付けられるか一体に形成される親ねじナット136を推進させる。前後方調節ノブ131の回転は、ねじ133を回転させて器
具ホルダー134を前後方向に移動させる。器具ホルダー134は、穿孔器具、切断器具又は脛骨仮挿入物210を固定する。
【0015】
図2は、調節ブロック100、脛骨仮挿入物210、軟骨板仮挿入物230及び可動型仮挿入物250を示す分解図である。図3は、脛骨仮挿入物210の斜視図である。図4は、脛骨仮挿入物210の正面図である。図5は、脛骨仮挿入物210の矢状面(側面)図である。
【0016】
脛骨仮挿入物210は、人工足首関節置換システムの脛骨板部分の形状を提供する。脛骨
仮挿入物210は、切除された脛骨260の遠位面262に対して嵌合された上面を有する板211から構成される。板211は、切除された脛骨260内に釘孔263を配置することに使用される複
数の孔212を有する。板211は、軟骨板仮挿入物230のような仮挿入物を収容する下面216を有する。前方脛骨参照部材218は板211から延びる。脛骨仮挿入物210が適切に配置される
と、前方脛骨参照部材218は、脛骨260の前面261に接触する後面219を有する。脛骨仮挿入物210は、調節ブロック100の器具ホルダー134に実装されるように大きさが設定され、形
状化した前方実装部213を有する。一部の実施例では、脛骨仮挿入物210は、軟骨板仮挿入物230の前面と脛骨仮挿入物210を整列するためのノッチ217を有する。整列又は誤整列は
、ノッチ217が軟骨板仮挿入物230の端部と整列されたかを検査すれば容易に分かる。一部の実施例において、脛骨仮挿入物210は、ステンレス鋼又はチタン合金のような硬度の高
い耐腐食性物質で形成される。
【0017】
軟骨板仮挿入物230は、人工足首関節置換システムの軟骨板仮挿入物の形状を提供する
ように形成される。軟骨板仮挿入物230は、脛骨仮挿入物210の板216の下面に分離可能に
実装される上面231を含む。軟骨板仮挿入物230は、人工足首関節置換システムの脛骨関節表面の補綴物の大きさ及び形状を有する凹状の下面232を備える。軟骨板仮挿入物230の厚
さは、これに対応する人工足首関節置換システムの軟骨板の厚さと一致し、軟骨板仮挿入物230を使用して軟骨板の大きさ及び厚さを確認できる。一部の実施例において、人工足
首関節置換システムの軟骨板は、手術後の距骨板からの離脱を防止するロックタブを有する。反面、軟骨板仮挿入物230は、傾斜面に非ロックタブ233を有し、脛骨仮挿入物210内
に分離可能に挿入され、大きさの設定と切除が完了した後に取り除かれる。非ロックタブ233は、脛骨仮挿入物210の下面216内に相応する陥凹部(未図示)内に嵌合される。軟骨
板仮挿入物230の後端部は、アンダーカット234を備える。一部の実施例において、軟骨板仮挿入物230は、人工足首関節置換システムの軟骨板に使用されたものと同じタイプの材
料で作られる。一部の実施例において、軟骨板仮挿入物230は、RadelRと呼ばれるポリフ
ェニルスルホンのような耐化学性材料で作られる。
【0018】
図6は、可動型仮挿入物250の斜視図である。可動型仮挿入物250は、人工足首関節置換
システムの距骨円蓋の形状と一致する形状を提供するように形成される。可動型仮挿入物250は、軟骨板仮挿入物230の下に挿入され、仮挿入物230の凹状の下面232と接触するように形成される。可動型仮挿入物250は、人工足首関節置換システムの距骨円蓋の補綴物の
大きさ及び形状を有する少なくとも1つの凸状の前面を備える部材251から構成され、この部材は仮挿入物の凹面232と連結される。部材251の後面255は、切除された距骨の形状に
合わせるように形状化される。一部の実施例において、可動型仮挿入物250は、2つの凸面251を有する。可動型仮挿入物250は、切除された位置から突出するように大きさが設定されたハンドル部252をさらに含み、これによって、医師は軟骨板230との円滑な連結のための可動型仮挿入物の位置を最適化しやすい。可動型仮挿入物250のハンドル252は、距骨の切断ガイド(未図示)を配置することに使用される固定ピンを収容するための複数のピン孔253を備える。位置が最適化されると、距骨の切除が完了する前にピンはピン孔253を介して挿入される。一部の実施例では、可動型仮挿入物250は、ステンレス鋼又はチタン合
金のような硬度の高い耐腐食性物質で形成される。一部の実施例において、可動型仮挿入物250は、参照及び整列のための1つ以上の前方溝(chamfer)254を有する。
【0019】
図7〜17は、調節ブロック100、選択的ドリルガイド280、選択的切断ガイド290、脛骨仮挿入物210、軟骨板仮挿入物230及び可動型仮挿入物250を使用して切除及び試験する方法
の多様な段階を示す。これは、本発明の装置の一使用例であり、本発明はこれに限らない。
【0020】
図7は、脛骨の遠位端部261近くの脛骨260の前面内に挿入された固定ピン150(例えば、3.2mmピン)に固定された調節ブロック100を示す。図7はまた、調節ブロック100の器具ホルダー134に取り付けられたドリルガイド280と脛骨260の前面よりも若干上にある第1のフレーム110を示す。一部の実施例において、器具ホルダー134は、一対のピン135が備えら
れ、ドリルガイド280はピン135にスナップ連結される孔を備えた一対の対応するマウントイア(mounting ears)283を有する。このような器具ホルダーのデザインは例示的であり、別の実施例は他の適切な実装構造を含み得る。
【0021】
図7の実施例において、ドリルガイド280は、足首関節部分で収縮された皮膚(未図示)の下に挿入される大きさ及び形状を有する小型装置である。ドリルガイド280は、脛骨260内のパイロット孔(pilot holes)を穿孔することに使用される少なくとも2つのガイド孔281を有する。ドリルガイドはまた、位置固定のために骨にドリルガイドをピンで連結す
ることに使用されるピン孔282を有する。一部の実施例においては、ドリルガイド280は、ドリルガイド280を使用して穿孔される孔に対応する1つ以上の切除カット(resectioning
cuts)の大きさ及び位置を示すサイズパターン285を有する。一部の実施例において、ドリルガイド280は、1つ以上の参照線286を有し、医師はドリルガイド280を配置するのに近遠位ノブ111、内外側ノブ121a又は121bと前後方ノブを調節して、これを選択的に使用で
きる。一部の実施例では、線285,286が蛍光透視下で、医師は患者の骨に対して原位置(i
n situ)にある線285,286の位置と大きさを見ることができる。
【0022】
医師は、上述した通り、ドリルガイド280を器具ホルダー上に実装して、その位置を調
節することで、人工足首関節置換システムの脛骨板の構成要素の大きさが設定できる。位置調節装置(調節ブロック)100は、近遠位及び内外側方向の第1の座標で器具ホルダー134に固定されている。
【0023】
医師は、脛骨260とドリルガイド280のX線を見て、それが患者に最適化な大きさ及び位
置なのかを決定する。位置は、ノブ111,121,131を使用してX線に基づいて調節できる。ドリルガイド280に対応する切除カットの大きさが大き過ぎたり小さ過ぎると、医師はドリ
ルガイドを取り除いて、他の大きさのドリルガイドを選択し、新たなドリルガイドを調節ブロック100の器具ホルダー134にスナップ連結する。ドリルガイドは、その後脛骨に対して再配置され、診断透視によって映像化され、大きさは再度検査される。孔281を囲む円
とパターン285,286は、金属で作られる反面、X線透視映像化を容易にするためにドリルガイド280はプラスチックで作製される。このように、孔281を囲む円とパターン285,286の
みが脛骨260及び距骨265に重なった状態でX線写真上に示される。
【0024】
一部の実施例は、大きさの設定、孔282と穿孔角(drilling corners)281による固定ピンの配置のために、単一のドリルガイド280を使用するが、他の実施例(未図示)は、脛
骨仮挿入物210の大きさの設定及び固定ピンを配置するための孔282及びパターン285,286
を有する第1のガイド(大きさ設定ガイド)と、穿孔を実行するための孔281,282を有する第2のガイド(ドリルガイド)とを使用する。調節ブロック100と孔282のピンは、共通の
参照を提供するため、孔281はピン孔282とパターン285,286に対して適切な位置に穿孔で
きる。
【0025】
図8は、調節ブロック100とドリルガイド280とが配置された脛骨260を示す。軟部組織は視認性のために省略する。医師は、ドリルガイド280の最適化された大きさが選択された
ことを確認すると、ピン孔282を介して挿入され、ドリルガイド280よりも若干上に延びるように調整された固定ピン287(例えば、2.4mm)を使用して、脛骨260にドリルガイド280をピンで連結する。その後、医師はドリルガイド280とドリル288を使用してガイド孔281
を介して脛骨260内に孔を穿孔する。このように、骨260内に穿孔された孔は、脛骨で行われる切除カットの角の形状を明らかにする。医師は、適所(切除によって取り除かれる脛骨260の遠位部分)にピン287を置いたままドリルガイド280を取り除く。ドリルガイド280を取り除く間、調節ブロックは同一の近遠位の座標に調整された第1のフレーム110と、同一の内外側の座標に調整された第2のフレーム120と共に、第1の座標に固定されている。
【0026】
図9は、同じ位置で、固定ピン150に相変わらず固定されている調節ブロック100とその
調節ブロック100の器具ホルダー134に実装された切断ガイド290を示す。切断ガイド290は、ドリルガイド280により穿孔された角孔を連結する大きさ及び位置を有する複数のスロ
ット295を備える。切断ガイド290は、ドリルガイド280と一致する大きさ及び形状を有す
る。これによって、医師はドリルガイド280のセットとこれに対応する切断ガイド290のセットとを有する。ドリルガイドの大きさが選択されると、上述した通り、ドリルガイド280で穿孔された角孔を連結する大きさ及び位置のカットを作るように対応する切断ガイド
の大きさを自動的に選択する。切断ガイド290は、ピン135にスナップ連結される孔を備えた対応する一対のマウントイア293を有する。切断ガイド290はまた、固定ピン287を収容
するための大きさ及び位置のピン孔292を有する。切除カットと予め穿孔された角孔の整
列のために、切断ガイド290の位置をドリルガイド280によってこれまで占めていた位置に合わせて調整する。一部の実施例において、切断ガイド290は、更なる固定ピン297を収容するためのピン孔を有する更なるイア296を含む。
【0027】
切断ガイド290を実装するために、医師は固定ピン287の上に切断ガイド290の孔292を滑動させ、その位置で切断ガイドを器具ホルダー134上にスナップ連結させる。安定性のた
めに、医師はイア296のピン孔を介して距骨265内に2つ以上の固定ピン297を挿入させることができる。切断ガイド290と骨260,265がピンで連結されたまま、医師はガイドスロット295を介した切除カット、先孔(previously hole)を連結する骨の切除を行う。一部の実施例では、図9に図示された通り、1つの切断ガイド290は、脛骨切除と距骨切除の第1のカットの双方に使用される。その後、切断ガイド290は、手術部位から取り除かれ、調節ブ
ロック100から分離される。切除された脛骨260と距骨265の部分は、固定ピン287,297と共に取り除かれる。他の実施例で(未図示)、脛骨切断ガイドは、脛骨の切除のみに使用され、別途の切断ガイドが脛骨切断ガイドを取り除いた後、距骨を切除するのに使用される。
【0028】
孔とカットとの間の正確な整列を維持するしがなら、調節ブロック100の使用を通じて
、まず第1の器具によって孔281が穿孔され、その後第2の器具によって切断が行われる。
まず、孔を穿孔することによって、切除された遠位脛骨の角で応力集中を避ける。
【0029】
ここに記載された一部の実施例は、一般に調節ブロック100と固定ピン287とで固定されたドリルガイド280と切断ガイド290とを使用するが、他の実施例は脛骨と距骨を切除するために、器具ホルダー134に他の器具を取り付ける。例えば、一部の実施例(未図示)は
、別途のドリルガイドを使用せず、切断ガイドを含む。
【0030】
最初の切除の後、医師は、調節ブロック100が2つの固定ピン150に固定されており、器
具ホルダー134が近遠位及び内外側方向の第1の座標にある間、脛骨仮挿入物210、軟骨板
仮挿入物230と可動型仮挿入物250を挿入する。医師が手術部位から調節ブロックを一時的に取り除くことにした場合(例えば、検査、洗浄及び吸入のために)、医師は手術を完了するために同じ位置に器具ホルダー(134)を配置できるよう、同じ座標に調節ブロック
を戻しておく。固定ピン150は、切除によって取り除かれた脛骨の遠位部分から取り除か
れるため、固定ピン150は手術中に切除カットを調節又は矯正するのに使用され得る。
【0031】
医師は、器具ホルダー134に脛骨仮挿入物210をスナップ連結する。図10図11は、脛骨仮挿入物210が取り付けられた適所に調節ブロックを示す。器具ホルダーが近遠位及び内
外側方向の第1の座標にある間、調節ブロック100は前後方向で器具ホルダーを配置するように調節される。脛骨仮挿入物210は、脛骨仮挿入物の定められた部分が脛骨の前方皮質
(anterior cortex)と接触するまで後方に移動する。一部の実施例では、板211から延びた前方脛骨参照部材218の後面219が脛骨260の前方皮質と接触するまで第3のフレーム130
の位置が調節される。
【0032】
図12は、調節ブロックと脛骨仮挿入物210とが適所に配置された状態の脛骨260と距骨265を示す。脛骨の釘ドリル(未図示)は、脛骨釘ドリルガイド299のヘッド内に位置し、脛骨仮挿入物210の孔212(図3)内に挿入される。医師は、脛骨釘ドリル299を使用して切除された脛骨260の遠位面262内に複数(例えば、3つ)の釘孔263を穿孔する。脛骨仮挿入物210の孔212(図3)は、このような孔263を配置するのに使用される。図13は、釘穿孔が完了したときに、3つの釘孔263が脛骨の切除面262内に配置された脛骨260の遠位端部261を
示す。
【0033】
人工足首関節置換システムを移植する前に、脛骨仮挿入物を使用して切除の大きさと形状を確認するのに脛骨仮挿入物210が使用される。器具ホルダーが近遠位及び内外側方向
の第1の座標内に固定されている間、脛骨内に如何なる追加位置固定ピンを挿入しなくて
も、脛骨仮挿入物210を器具ホルダー134に取り付ける段階と、器具ホルダー134を前後方
向に位置させるように位置調節装置100を調節する段階と、器具ホルダー134を使用して切
除された脛骨260に脛骨仮挿入物210を位置する段階とが有利に形成できる。
【0034】
図14及び図15は、器具ホルダーが近遠位及び内外側方向の第1の座標にある間、軟骨板
仮挿入物230を脛骨仮挿入物210内に設け、距骨265と軟骨板仮挿入物230との間に可動型仮挿入物250を配置した後、軟骨板仮挿入物230の凹面232と連結できる調節ブロック100と脛骨仮挿入物210とを示す。医師は、これで大きさ、前後方位置を含む人工足首関節置換シ
ステムの適合性と脛骨の大きさの設定、穿孔及び切除が最適化されているかを評価できる。ある調節が脛骨切除に適切であると思なされれば、医師は以前に使用されたものと同じ近遠位及び内外側の座標に設定された調節ブロックを備えた切断ガイドを再適用できる。
【0035】
図16及び図17を参照すると、医師は今正しい軟骨板の高さ及び距骨円蓋の位置を確保するためにトライアル整復を行う。距骨インプラントの前後方座標は、可動型仮挿入物250
を軟骨板仮挿入物230の凹面232と最もうまく連結された所へ移動させることで決定される。2つの更なる固定ピン298は、例えば、2mmのキルシュナー鋼線(K-wire)を使用して可
動型仮挿入物250のピン孔253を介して挿入される。更なる切除ガイド(未図示)は、固定ピン298に切除ガイドのピン孔を滑動させることで配置できる。その後、人工足首関節置
換システムの距骨円蓋インプラントの幾何学的形状に一致するように残りの2つの距骨カ
ットが実行される。
【0036】
上述した位置調節装置(調節ブロック)100は、人工足首関節置換システムの脛骨及び
距骨インプラントの前後方位置(AP position)を容易にする参照固定点を提供する。調
節ブロック100は、遠位脛骨内の更なるピン挿入を避けるために、モジュール連結134を通じて脛骨仮挿入物210を固定できる。脛骨仮挿入物210は、調節ブロック100に取り付けら
れている間、使用者が脛骨に対して前方ポスト218を隣接させることで、脛骨インプラン
トの前後方位置を設定できるようにする。脛骨仮挿入物210はまた、脛骨インプラントへ
の脛骨釘を準備するためにドリルガイドでも使用できる。
【0037】
脛骨仮挿入物210が調節ブロック100に堅固に固定されている間、軟骨板仮挿入物230を
使用して脛骨仮挿入物210を距骨(円蓋)仮挿入物250と連結するために、距骨仮挿入物250を前後方位置に移動させる。距骨仮挿入物250はまた、最適化された距骨の前後方位置を使用者が決定するのに役立つ溝表示(chamfer indicators)254を有する。
【0038】
上述したシステム及び方法は、脛骨の大きさ設定及び人工足首関節置換の脛骨側に関する仮挿入物のために使用された全てのその他の機器を関連付ける調節ブロック100を固定
参照として使用する。従って、脛骨の寸法測定器(例えば、ドリルガイド280)、脛骨切
除ガイド(例えば、切断ガイド290)及び脛骨仮挿入物210は、調節ブロック100により設
定されたのと同じ位置に固定できる。この方法は、固定ピン及び装置での過度なピン孔の形成を避けて、脛骨の遠位層(distal layer)を保つ。
【0039】
小型調節ブロックは、構成要素の屈曲可能性を減らすと共に、さらに正確なカットのために、器具が手術部位に固定され近くに配置されるようにする。大きさ設定ガイド(例えば、ドリルガイド280)及び切除ガイド(例えば、切断ガイド290)は、全て骨窓に位置され得る。器具及び仮挿入物の位置は狭い空間で調節ノブ111,121,131を回動することで調
節される。
【0040】
図18及び図19は、調節ブロック300のまた別の実施例を示す。調節ブロック300は、近遠位及び内外側方向で置換される関節に近接に器具ホルダー330を正確に配置するための2つの独立な位置調節フレーム110,120を有する。
【0041】
第1のフレーム110は、脛骨の遠位端部近くの前面内に挿入された2つの固定ピン150に取
り付けられるように形成されている。ロックねじ112は、ピンに対して調節ブロック100を固定するように固定ピン150を支えるロック板(未図示)を作動させる。第1のフレームは、ねじ113と同軸上に連結された近遠位調節ノブ111を有する。ねじ113は、親ねじの使用
のためのアクメねじ山、台形ねじ山、四角ねじ山又はその他適切なねじ山を有する。第2
のフレーム120は、ねじ113が結合される親ねじナット(未図示)に固定して取り付けられるか一体に形成される。近遠位調節ノブ111の回転は、ねじ113を回転させて近遠位方向で第2のフレーム120を前進又は後進させる。第2のフレーム120が好ましい近遠位の座標にあるとき、医師はロックねじ114を前進させて適所で第1のフレーム110に第2のフレーム120
をロックする。
【0042】
第2のフレーム120は、ねじ123と同軸上に連結された少なくとも1つの内外側調節ノブ121a,121bを有する。ねじ123は、親ねじの使用のためのアクメねじ山、台形ねじ山、四角ねじ山又は他の適切なねじ山を有する。ねじ123は、器具ホルダー330と固定して取り付けられるか一体に形成される親ねじナット(未図示)を推進させる。内外側調節ノブ121a,121bの回転は、ねじ123を回転させて内外側方向で器具ホルダー330を移動させる。器具ホル
ダー330が好ましい内外側座標にあるとき、医師はロックねじ122を前進させて適所で第2
のフレーム110の親ねじ123をロックする。
【0043】
前後方向において、器具ホルダー330の位置は、ピン150に対する第1のフレーム110の位置によって決められる。
【0044】
器具ホルダー330は、器具又は仮挿入物を取り付けしやすいように多様な形状を有し得
る。図18及び図19は、限定されない例を示しており、ここで器具又は仮挿入物は、ダブテール継手(dovetail joint)332によって調節ブロック300に取り付けられる。図19は、器具ホルダー330のダブテール継手332に実装されるドリルガイド380の例を示す。ドリルガ
イド380は、角孔381、固定孔382,383及び大きさ設定パターン385を有する。他の器具(例えば、切断ガイド)と仮挿入物(例えば、穿孔仮挿入物)は器具ホルダー330に適用され
得る。
【0045】
本発明は代表的な実施例に関して記載されているが、それに限らない。むしろ、下記に添付された請求項は、本技術において当業者により行われる他の変形や実施例を含むように幅広く解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19