特許第6556294号(P6556294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556294
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8242 20060101AFI20190729BHJP
   H01L 27/108 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   H01L27/108 621C
   H01L27/108 681F
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-95564(P2018-95564)
(22)【出願日】2018年5月17日
(62)【分割の表示】特願2014-97572(P2014-97572)の分割
【原出願日】2014年5月9日
(65)【公開番号】特開2018-152587(P2018-152587A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2018年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】高橋 弘行
【審査官】 上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−510400(JP,A)
【文献】 特開2001−344964(JP,A)
【文献】 特開2010−009667(JP,A)
【文献】 特開2013−229426(JP,A)
【文献】 特開2004−069993(JP,A)
【文献】 特開2000−188382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822,21/8242,
27/04,27/108
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルアレイ領域に列状に配置された複数のメモリセルと、
前記メモリセルアレイ領域に隣接して周辺回路領域に配置された周辺回路と、
前記メモリセルアレイ領域と前記周辺回路領域の境界に設けられた第1および第2の信号線と、
を備え、
前記複数のメモリセルのそれぞれは、
第1および第2の絶縁膜を貫通するシリンダ形状を有する下部電極と、容量絶縁膜を介して前記下部電極と対向配置される上部電極と、を有する容量素子と、
前記下部電極とビット線間に接続され、ワード線の電位に基づきオンオフが制御されるスイッチトランジスタと、を有し、
前記第1および第2の信号線はそれぞれ前記第1および前記第2の絶縁膜内に形成され、前記第1または第2の信号線に接続される複数のコンタクトはそれぞれ分離して形成され、且つ、前記第1および第2の信号線には固定電位が与えられ
前記固定電位は、前記上部電極に与えられる中間電位である、半導体装置。
【請求項2】
メモリセルアレイ領域に列状に配置された複数のメモリセルと、
前記メモリセルアレイ領域に隣接して周辺回路領域に配置された周辺回路と、
前記メモリセルアレイ領域と前記周辺回路領域の境界に設けられた第1および第2の信号線と、
を備え、
前記複数のメモリセルのそれぞれは、
第1および第2の絶縁膜を貫通するシリンダ形状を有する下部電極と、容量絶縁膜を介して前記下部電極と対向配置される上部電極と、を有する容量素子と、
前記下部電極とビット線間に接続され、ワード線の電位に基づきオンオフが制御されるスイッチトランジスタと、を有し、
前記第1および第2の信号線はそれぞれ前記第1および前記第2の絶縁膜内に形成され、前記第1または第2の信号線に接続される複数のコンタクトはそれぞれ分離して形成され、且つ、前記第1および第2の信号線には固定電位が与えられ
前記第1および第2の信号線は互いに独立しており、前記第1の信号線には第1の固定電位が与えられ、前記第2の信号線には前記第1の固定電位とは異なる第2の固定電位が与えられる、半導体装置。
【請求項3】
前記複数のメモリセルのうち、前記メモリセルアレイ領域の外周辺に沿って配置された複数のメモリセルはダミーメモリセルであって、前記ダミーメモリセルの容量素子の下部電極と前記第1および第2の信号線とが基板の主面に対して平行な水平方向に隣接する、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数のメモリセルの容量素子の上部電極は互いに接続されている、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
それぞれ前記第1および前記第2の絶縁膜内に形成された第3および第4の信号線をさらに有し、
前記第1および第2の信号線は、前記メモリセルアレイ領域の外周辺の一辺およびそれに対向する辺に沿って配置され、
前記第3および第4の信号線は、前記メモリセルアレイ領域の外周辺の前記一辺と直交する他辺およびそれに対向する辺に沿って配置され、且つ、前記第1および第2の信号線に与えられる固定電位とは異なる固定電位が与えられる、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項6】
それぞれ前記第1および前記第2の絶縁膜内に形成された第3および第4の信号線をさらに有し、
前記第1および第2の信号線は、前記メモリセルアレイ領域の外周辺の一辺およびそれに対向する辺に沿って配置され、
前記第3および第4の信号線は、前記メモリセルアレイ領域の外周辺の前記一辺と直交する他辺およびそれに対向する辺に沿って配置され、且つ、相補的な電位が与えられた一対の信号線である、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、例えばCOM構造のDRAMを含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)のメモリセルの構造は、容量素子の形成方法の違いにより2つに分けられる。まず一つは、Si基板に溝を掘って容量素子を埋め込むトレンチ型のメモリセルである。もう一つは、Si基板表面に形成されたトランジスタの上層に容量素子を積み重ねるスタック型のメモリセルである。スタック型のメモリセルは、容量素子の上層にビット線が位置するCUB(Capacitor Under Bit-line)構造と、容量素子の下層(但し、トランジスタより上層)にビット線が位置するCOB(Capacitor Over Bit-line)構造と、に大別される。
【0003】
トレンチ型のメモリセルでは、トランジスタ素子近傍のSi基板に溝を掘って容量素子を埋め込む必要があるため、形状が複雑である。また、当該溝にセル容量膜を形成した後、容量素子を埋め込む前に、トランジスタ形成のための熱処理が行われるため、容量素子の特性が安定しにくい。
【0004】
スタック型のメモリセルでは、高集積化の要求に伴うセル面積縮小により、容量素子の横方向(基板の主面に平行な水平方向)の断面積が小さくなっている。それを補うように、容量素子の縦方向(基板の主面に対して垂直な方向)の長さは長くなっている。それにより、容量素子は十分な大きさの容量値を確保している。
【0005】
このとき、CUB構造のメモリセルでは、Si基板表面に形成されるセルトランジスタから、容量素子の上層に位置するビット線まで、をつなぐコンタクトの高さが高くなってしまうため、ビット線に付加される寄生容量が増大してしまう。したがって、容量素子の縦方向の長さを長くするには限界がある。そのため、近年では、例えば特許文献1に開示されているようなCOB構造のメモリセルが主流になっている。
【0006】
COB構造のメモリセルアレイ周辺のCMOSロジック領域(周辺回路領域)では、Si基板表面にトランジスタが形成され、その後、メモリセルアレイ領域においてシリンダ形状を有する容量素子の下部電極を形成する工程では、メタル配線は形成されず絶縁体で埋め尽くされ、その後の工程で、メタル配線が配置される。そのため、トランジスタからメタル配線までをつなぐコンタクトが高くなっており、その結果、メタル配線に付加される寄生容量が増大している。その影響により、周辺回路領域における論理回路の遅延劣化が無視できなくなってきている。
【0007】
このような問題を解決するため、近年では、COB構造の発展型であるCOM(Capacitor Over Metal)構造のメモリセルが実用化されつつある。ここで、COM構造とは、シリンダ形状を有する容量素子の下部電極を、上層の複数のメタル配線層の一部にまで食い込ませた構造のことである。COM構造では、容量素子の下部電極と水平方向(基板の主面に平行な方向)に隣接してメタル配線が設けられている。
【0008】
COM構造では、周辺回路領域のトランジスタからメタル配線層までの高さを、容量素子の高さに合わせて高くする必要が無い。そのため、メモリセルの容量値の確保及びトランジスタ性能の劣化防止を両立できる構造として有効であり、今後の主流になると考えられる。
【0009】
その他、特許文献2には、メモリセルアレイと周辺回路との境界部に沿ってポリシリコン膜を配置して、境界部におけるメモリセルアレイと周辺回路との高低差を緩和する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−353334号公報
【特許文献2】特開平10−284494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
COM構造のメモリセルアレイを有するDRAMでは、メモリセルアレイ領域におけるシリンダ形状を有する容量素子の下部電極と、当該下部電極と水平方向に隣接する周辺回路領域のメタル配線と、の間に発生する寄生容量の影響により、メモリセルのデータ保持特性が劣化してしまい、その結果、誤動作が発生してしまう、という問題があった。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施の形態によれば、半導体装置は、行列状に配置された複数のメモリセルを有するメモリセルアレイと、前記メモリセルアレイに隣接する周辺回路と、を備え、各メモリセルは、基板の主面に対して垂直方向に延在するシリンダ形状の下部電極を有する容量素子と、前記容量素子とビット線との間に設けられ、ワード線の電位に基づいてオンオフが制御されるスイッチトランジスタと、を有し、前記周辺回路は、前記主面に対して平行な水平方向に前記下部電極と隣接し、かつ、固定電位が与えられた信号線、又は、相補的な電位が与えられた一対の信号線、を備える。
【発明の効果】
【0013】
前記一実施の形態によれば、周辺回路から受けるノイズの影響を低減して、誤動作を防ぐことが可能な半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係るDRAMを示すブロック図である。
図2】メモリセルアレイを示す平面図である。
図3】メモリセルを示す回路図である。
図4図1に示すDRAMに設けられたCOM構造のメモリセルアレイ及びその周辺回路の境界近傍を示す断面模式図である。
図5】ワード線方向に配置された複数のダミーメモリセルと、これらに平行かつ隣接して配置されたメタル配線と、を示す回路図である。
図6】ビット線方向に配置された複数のダミーメモリセルと、これらに平行かつ隣接して配置されたメタル配線と、を示す回路図である。
図7図5及び図6に示すダミーメモリセルの等価回路である。
図8】センスアンプ部の一部を示す回路図である。
図9】メモリセルアレイ及びその周辺回路の境界近傍を示す断面模式図である。
図10】実施の形態2に係るメモリセルアレイを示す平面図である。
図11】メモリセルアレイの最外周に配置されたメモリセルと、これに近接して配置されたメタル配線と、を示す回路図である。
図12】記憶ノードに電荷が蓄えられた状態のメモリセルの等価回路である。
図13】実施の形態3に係るDRAMを示すブロック図である。
図14】実施の形態3に係るDRAMを示すブロック図である。
図15】ワード線方向に配置された複数のダミーメモリセルの一つの変形例を示す回路図である。
図16】ビット線方向に配置された複数のダミーメモリセルの一つの変形例を示す回路図である。
図17】実施の形態4に係る半導体装置を示すブロック図である。
図18】COB構造のメモリセルアレイ及びその周辺回路の境界近傍を示す断面模式図である。
図19】複数のダミーメモリセルとメタル配線との配置関係を示す平面図である。
図20】COM構造のメモリセルアレイ及びその周辺回路の境界近傍を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<発明者による事前検討>
実施の形態の説明をする前に、本発明者が事前検討した内容について説明する。
【0016】
図18は、COB構造のメモリセルアレイ及びその周辺回路の境界近傍を示す断面模式図である。メモリセルアレイ領域では、行列状に複数のメモリセルMCが設けられるともに、その外周を取り囲むように、メモリセルと同一構造の複数のダミーメモリセルDMCが設けられている。
【0017】
図18に示すように、メモリセルアレイ領域では、メモリセルアレイの最外周にダミーメモリセルDMCが配置されている。ダミーメモリセルDMCでは、Si基板表面に形成されたトランジスタTrの上層にワード線WL及びビット線BLが配置され、さらにその上層に容量素子Csが設けられている。
【0018】
より具体的には、ダミーメモリセルDMCでは、Si基板のPウェルに2つのN拡散層S,Dが形成される。2つのN拡散層S,D間のPウェル上にはゲート絶縁膜(不図示)及びゲート電極が順に形成される。このゲート電極は、ワード線WLの一部である。これにより、Si基板表面にトランジスタTrが形成される。N拡散層Sは、コンタクトCT11を介して、ビット線BLに接続される。一方、N拡散層Dは、コンタクトCT12を介して、ビット線BLよりも上層に形成された容量素子Csの一方の電極(以下、下部電極と称す)Clに接続される。この下部電極Clは、基板の主面に対して垂直方向に沿って延在し、かつ、鉛直上向きに開口部を有するシリンダ形状を有する。さらに、容量素子Csの他方の電極として、他のダミーメモリセルDMC及びメモリセルMCと共通のセルプレート電極(以下、上部電極とも称す)Cuが、容量絶縁膜を介して、下部電極Clに対向配置される。
【0019】
なお、Pウェルには、電位VBB(接地電圧GND〜負電圧VKKの範囲内の電位)が供給されている。容量素子Csの上部電極Cuには、電源電圧VDDの約半分の中間電位HVD(=VDD/2)が供給されている。
【0020】
周辺回路領域では、メモリセルアレイ領域との境界近傍において、Si基板表面にトランジスタ(ゲートポリシリコン配線GP1のみ図示)が形成され、その後、メモリセルアレイ領域において下部電極Clが形成される工程では、メタル配線は形成されず絶縁体によって埋め尽くされ、その後の工程で、コンタクトCT10が形成され、メタル配線LX10が配置される。ここで、コンタクトCT10は、トランジスタ(ここでは、ゲートポリシリコン配線GP1)とメタル配線LX10との間に配置される。
【0021】
図19は、複数のダミーメモリセルとメタル配線との配置関係を示す平面図である。
図19を参照すると、複数のダミーメモリセルDMCはメモリセルアレイの外周辺に沿って配置されており、メタル配線LX10はこれらに平行かつ近接して配置されている。
【0022】
ここで、メタル配線LX10は下部電極Clよりも上層に配置されるため、下部電極Clとメタル配線LX10との間に寄生容量は形成されない。そのため、メタル配線LX10がメモリセルMCのデータ保持特性に影響を及ぼすことはない。一方、コンタクトCT10は、下部電極Clが形成される絶縁膜と同じ絶縁膜内、もしくは、下部電極Clが形成される層と同じ高さに形成されている層内に形成される。換言すると、コンタクトCT10は、下部電極Clと水平方向に隣接して配置される。しかし、メタル配線LX10に接続されるコンタクトCT10の数は非常に少ない。そのため、下部電極ClとコンタクトCT10との間に形成される寄生容量Cp10が、メモリセルMCのデータ保持特性に影響を及ぼすことはほとんどない。
【0023】
しかしながら、容量素子Csの容量値の増大を図るためにコンタクトCT10が高くなっており、その結果、メタル配線LX10に付加される寄生容量が増大している。その影響により、周辺回路領域における論理回路の遅延劣化が無視できなくなっている。そこで、前述のように、COB構造の発展型であるCOM構造のメモリセルが実用化されつつある。
【0024】
図20は、COM構造のメモリセルアレイ及びその周辺回路の境界近傍を示す断面模式図である。メモリセルアレイ領域の構造については、図18に示すCOB構造の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0025】
周辺回路領域では、メモリセルアレイ領域との境界近傍において、Si基板表面にトランジスタ(ゲートポリシリコン配線GP1のみ表示)が形成される。その後、メモリセルアレイ領域において下部電極Clが形成される工程では、複数の絶縁膜が積層され、各絶縁膜内にメタル配線LX1,LX2が順に配置される。つまり、下部電極Clは複数の絶縁膜を貫通するように形成されており、その各複数の絶縁膜内にメタル配線LX1,LX2が形成される。もしくは、下部電極C1が形成される層と同じ高さに形成されている層内にメタル配線LX1,LX2が形成される。換言すると、下部電極Clと水平方向に隣接してメタル配線LX1,LX2が配置される。その後の工程で、メタル配線LX10が配置される。ゲートポリシリコン配線GP1及びメタル配線LX1は、コンタクトCT1を介して接続される。メタル配線LX1,LX2は、ビアV1を介して接続される。メタル配線LX2,LX10は、ビアV2を介して接続される。なお、本例では、メタル配線LX1,LX2,LX10は、何れも複数のダミーメモリセルDMCに沿って配置されている。
【0026】
ここで、メタル配線LX10は下部電極Clよりも上層に配置されるため、下部電極Clとメタル配線LX10との間に寄生容量は形成されない。そのため、メタル配線LX10がメモリセルMCのデータ保持特性に影響を及ぼすことはない。また、メタル配線LX1,LX2,LX10間に接続されているコンタクトCT1及びビアV1,V2の数は非常に少ない。そのため、下部電極Clと、コンタクトCT1及びビアV1,V2と、の間に形成される寄生容量がメモリセルMCのデータ保持特性に影響を及ぼすことはほとんどない。
【0027】
それに対し、メタル配線LX1,LX2は、下部電極Clが形成される層と同じ高さに形成されている層内に配置される。換言すると、メタル配線LX1,LX2は、下部電極Clと水平方向に隣接して配置される。そのため、下部電極Clとメタル配線LX1,LX2との間には、それぞれ寄生容量Cp1,Cp2が形成される。
【0028】
寄生容量Cp1,CP2が形成されると、メタル配線LX1,LX2の電位の変化に応じて、ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnが変化する。ここで、ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDとは、シリンダ形状の下部電極Clに相当する。ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnの変化は、ノイズとしてメモリセルMCに伝搬するため、メモリセルMCに記憶されたデータの保持特性を劣化させる。その結果、DRAMの誤動作が発生してしまう可能性がある。データ破壊に至らない場合でも、メタル配線LX1,LX2等、下部電極Clと水平方向に隣接して配置されたメタル配線、の電位変化の影響を考慮したワースト状態でのテストを追加で実施する必要があるため、コストが増大してしまう。これらの問題は、COB構造のメモリセルでは、存在しなかった問題であり、COM構造のメモリセルにて初めて顕在化した問題である。
【0029】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0030】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0031】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0032】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係るDRAM(半導体装置)11の構成例を示すブロック図である。DRAM11では、メモリセルアレイ領域に隣接する周辺回路が、メモリセルの容量素子の下部電極と水平方向に隣接し、かつ、固定電位が与えられた信号線を備える。それにより、DRAM11は、周辺回路から受けるノイズの影響を低減して、誤動作を防ぐことができる。以下、具体的に説明する。
【0033】
図1に示すように、DRAM11は、メモリセルアレイ111と、ワード線ドライバ112と、センスアンプ部116と、選択回路113と、データ読み出し部114と、データ書き込み部115と、を備える。また、メモリセルアレイ111を取り囲むようにしてメタル配線LX,LYが配置されている。
【0034】
図2は、メモリセルアレイ11を具体的に示す平面図である。
図2を参照すると、メモリセルアレイ111は、行列状に配置された複数のメモリセルMCと、その外周を取り囲むように設けられた、メモリセルMCと同一構造の複数ダミーメモリセルDMCと、を備える。
【0035】
また、複数のメモリセルMCのそれぞれの行に対して複数のワード線WL0〜WLm(mは自然数)が設けられている。複数のメモリセルMCのそれぞれの列に対して複数のビット線BL0〜BLn(nは自然数)が設けられている。さらに、0行目の複数のメモリセルMCに隣接配置された複数のダミーメモリセルDMCに対してダミーワード線DWL0が設けられている。m行目の複数のメモリセルMCに隣接配置された複数のダミーメモリセルDMCに対してダミーワード線DWL1が設けられている。0列目の複数のメモリセルMCに隣接配置された複数のダミーメモリセルDMCに対してダミービット線DBL0が設けられている。n列目の複数のメモリセルMCに隣接配置された複数のダミーメモリセルDMCに対してダミービット線DBL1が設けられている。
【0036】
以下、ワード線WL0〜WLmの総称をワード線WLと称し、ビット線BL0〜BLnの総称をビット線BLと称し、ダミーワード線DWL0,DWL1の総称をダミーワード線DWLと称し、ダミービット線DBL0,DBL1の総称をダミービット線DBLと称す。
【0037】
図3は、メモリセルMCを示す回路図である。
図3を参照すると、メモリセルMCは、容量素子Csと、トランジスタ(スイッチトランジスタ)Trを備える。容量素子Csは、記憶ノードNDと、電源電圧VDDの略半分の値を示す中間電位HVDが供給される電源端子と、の間に設けられている。トランジスタTrは、ビット線BLと記憶ノードNDとの間に設けられ、ワード線WLの電位に基づいてオンオフが制御される。メモリセルMCは、記憶ノードNDの電位Vnが電源電圧VDDの値に設定されることでデータ“1”を記憶し、記憶ノードNDの電位Vnが接地電圧GNDの値に設定されることでデータ“0”を記憶する。
【0038】
ワード線ドライバ112は、データ読み出し時及びデータ書き込み時、複数のワード線WL0〜WLm(mは自然数)のうちアドレス信号によって指定された何れかのワード線を選択する。具体的には、ワード線ドライバ112は、データ読み出し時及びデータ書き込み時、選択したワード線WLの電位を電源電圧VDDよりも高い電位VPPに設定する。なお、非選択のワード線WLの電位は、接地電圧GNDよりも低い電位VKKに設定される。
【0039】
センスアンプ部116は、ビット線BL0〜BLn(nは自然数)を伝搬するデータ、例えば、アドレス信号によって指定されたワード線に接続されたメモリセルから読み出されたデータ、を増幅する。
【0040】
選択回路113は、データ読み出し時、複数のビット線BL0〜BLn(nは自然数)のうちアドレス信号によって指定された何れかのビット線を選択し、データ読み出し部114に接続する。また、選択回路113は、データ書き込み時、複数のビット線BL0〜BLn(nは自然数)のうちアドレス信号によって指定された何れかのビット線を選択し、データ書き込み部115に接続する。
【0041】
それにより、データ読み出し時には、選択回路113によって選択されたビット線BLの電位、即ち、読み出し対象のメモリセルMCから読みだされ増幅されたデータは、データ読み出し部14に供給される。他方、データ書き込み時には、選択回路113によって選択されたビット線BLの電位は、書き込み対象のメモリセルMCに書き込むデータに応じて電源電圧VDD又は接地電圧GNDの値に設定される。
【0042】
ワード線ドライバ112によって選択されたワード線WLと、選択回路113によって選択されたビット線BLと、の何れにも接続されたメモリセルMCが、データ書き込み対象又はデータ読み出し対象のメモリセルとなる。
【0043】
データ読み出し部114は、アドレス信号によって指定されたメモリセルMCに記憶されたデータを読み出し、読み出しデータDoutとして出力する。
【0044】
データ書き込み部115は、書き込みデータDinを、アドレス信号によって指定されたメモリセルMCに書き込む。
【0045】
図4は、DRAM11に設けられたCOM構造のメモリセルアレイ111及びその周辺回路の境界近傍を示す断面模式図である。本例では、周辺回路は、ワード線ドライバ112、センスアンプ部116、選択回路113、データ書き込み部115、データ読み出し部114等、メモリセルアレイ111を駆動する回路、のことを指す。
【0046】
図4に示すように、メタル配線LXを構成するメタル配線LX1,LX2は、メモリセルアレイ111に隣接する周辺回路領域に設けられた配線であり、固定電位が供給されている。具体的には、メタル配線LX1,LX2には、中間電位HVDが供給されている。その他の構成については、図20に示す構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0047】
図2を参照すると、メタル配線LX1,LX2からなるメタル配線LXは、ワード線WLに平行に配置されている。より具体的には、あるメタル配線LXは、ダミーワード線DWL1を共用する複数のダミーメモリセルDMCに平行かつ隣接して配置されている。別のメタル配線LXは、ダミーワード線DWL0を共用するダミーメモリセルDMCに平行かつ隣接して配置されている。それに対し、メタル配線LX1,LX2と同様の階層構造を持つメタル配線LY1,LY2からなるメタル配線LY(図4において不図示)は、ビット線BLに平行に配置されている。より具体的には、あるメタル配線LYは、ダミービット線DBL1を共用するダミーメモリセルDMCに平行かつ隣接して配置されている。別のメタル配線LYは、ダミービット線DBL0を共用するダミーメモリセルDMCに平行かつ隣接して配置されている。なお、メタル配線LYにも、メタル配線LXと同じく、中間電位HVDが供給されている。このように、メタル配線LX,LYは、メモリセルアレイ111を取り囲むようにして配置されている。
【0048】
ここで、メタル配線LX10は下部電極Clよりも上層に配置されるため、下部電極Clとメタル配線LX10との間に寄生容量は形成されない。そのため、メタル配線LX10がメモリセルMCのデータ保持特性に影響を及ぼすことはない。また、メタル配線LX1,LX2,LX10間に接続されているコンタクトCT1及びビアV1,V2の数は非常に少ない。そのため、下部電極Clと、コンタクトCT1及びビアV1,V2と、の間に形成される寄生容量がメモリセルMCのデータ保持特性に影響を及ぼすことはほとんどない。
【0049】
それに対し、下部電極Clとメタル配線LX1,LX2との間には、それぞれ寄生容量Cp1,Cp2が形成される。しかしながら、メタル配線LX1,LX2の電位が固定されているため、ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnは変化しない。そのため、ダミーメモリセルDMCに隣接するメモリセルMCのデータ保持特性の劣化が抑制される。
【0050】
このように、DRAM11では、メモリセルアレイ111に隣接する周辺回路が、メモリセルMCの容量素子Csの下部電極Clと水平方向に隣接し、かつ、固定電位が与えられたメタル配線LX,LYを備える。それにより、DRAM11は、周辺回路から受けるノイズの影響を低減して、誤動作を防ぐことができる。
【0051】
また、データ保持特性の劣化に伴うリフレッシュ電流の増加を抑制したり、ワースト状態での追加のテストを不要にしたりすることが可能となる。また、メタル配線LX,LYの電位を固定するだけで良いので、回路規模の増大や設計難易度の上昇を無視できる程度にまで抑えることができる。
【0052】
(ノイズ伝搬の仕組み)
続いて、メタル配線LX,LYからメモリセルMCへのノイズ伝搬の仕組みについて詳細に説明する。
【0053】
図5は、ワード線方向に配置された複数のダミーメモリセルDMCと、これらに平行かつ隣接して配置されたメタル配線(以下、信号線とも称す)LXと、を示す回路図である。
【0054】
図5に示すように、信号線LXは、寄生容量Cpを介して、各ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDと結合している。また、ダミーワード線DWL1と記憶ノードNDとの間には寄生容量Ctが形成されている。
【0055】
複数のダミーメモリセルDMCに対して設けられたダミーワード線DWL1の電位は、接地電圧GNDよりも低い電位VKKに設定されている。それにより、当該複数のダミーメモリセルDMCは非選択状態になっている。また、各ダミーメモリセルDMCでは、メモリセルMCと同じく、容量素子Csに中間電位HVDが供給され、トランジスタTrのバックゲートに電圧VBBが供給されている。
【0056】
図6は、ビット線方向に配置された複数のダミーメモリセルDMCと、これらに平行かつ隣接して配置されたメタル配線(以下、信号線とも称す)LYと、を示す回路図である。
【0057】
図6に示すように、信号線LYは、寄生容量Cpを介して、各ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDと結合している。また、ワード線WLと記憶ノードNDとの間には寄生容量Ctが形成されている。
【0058】
複数のダミーメモリセルDMCに接続される複数のワード線WLのほとんどの電位が、接地電圧GNDよりも低い電位VKKに設定されている。また、複数のダミーメモリセルDMCに対して設けられたダミービット線DBL1の電位は、非選択のビット線BLと同様に、中間電位HVDに設定されている。さらに、各ダミーメモリセルDMCでは、メモリセルMCと同じく、容量素子Csに中間電位HVDが供給され、トランジスタTrのバックゲートに電圧VBBが供給されている。
【0059】
図7は、図5及び図6に示すダミーメモリセルDMCの等価回路である。
【0060】
図7に示すように、記憶ノードNDと信号線LX(又はLY)との間には、寄生容量Cpが形成されている。記憶ノードNDと、電位VKKを示すワード線(ダミーワード線DWL1又は非選択のワード線WL)と、の間には、寄生容量Ctが形成されている。記憶ノードNDと、電位HVDを示すセルプレート電極(上部電極)Cuとの間には、容量素子Csが形成されている。記憶ノードNDと、電位VBBを示すSi基板との間には、Si基板(Pウェル)から記憶ノードND(N拡散層)を順方向にしたPN接合ダイオードD1が形成されている。
【0061】
ここで、信号線LX又はLYから記憶ノードNDに伝搬してきたノイズは、以下の3つのパスを伝搬する可能性がある。第1のパスは、記憶ノードNDから容量素子Csを介してセルプレート電極(上部電極)Cuに至るパスである。第2のパスは、記憶ノードNDから寄生容量Ctを介してワード線(ダミーワード線DWL1又は非選択のワード線WL)に至るパスである。第3のパスは、記憶ノードNDからダイオードD1を介してSi基板に至るパスである。
【0062】
仮に信号線LX(又はLY)の電位が変化すると、それに応じて、ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnが変化する。それにより、第1のパスを介してノイズが伝搬し、セルプレート電極Cuの電位HVDが変化する。セルプレート電極Cuは、メモリセルMCによって共用されているため、セルプレート電極Cuの電位HVDの変化は、メモリセルMCの記憶ノードの電位を変動させることになる。つまり、メモリセルMCのデータ保持特性を劣化させてしまう。また、第2のパスを介してノイズが伝搬し、ダミーワード線DWL1又は非選択のワード線WLの電位VKKが変化する。ダミーワード線DWL1は、非選択のワード線WLと電源を共用している。また、非選択のワード線WLは、メモリセルMCによって共用されている。そのため、ダミーワード線DWL1又は非選択のワード線WLの電位VKKの変化は、メモリセルMCのトランジスタのゲート電位を変動させることになる。その結果、トランジスタのオフリーク電流が瞬間的に増えて記憶ノードに蓄積された電荷が引き抜かれてしまう。つまり、メモリセルMCのデータ保持特性を劣化させてしまう。
【0063】
さらに、第3のパスでは、ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnが接地電圧GND〜Si基板電圧VBBの間の値を示す場合において、信号線LX,LYのノイズが負側に発生すると、PN接合ダイオードD1が瞬間的にオンしてSi基板から記憶ノードNDに電流が流れる。電圧VBBが供給されるPウェルは高抵抗であるため、Pウェルに注入されたキャリアは隣接するメモリセルMCのN拡散層にも吸収されることになり、メモリセルMCの記憶ノードの電位変化を引き起こす。つまり、メモリセルMCのデータ保持特性を劣化させてしまう。
【0064】
上記したように、仮に信号線LX又はLYの電位が変化すると、それに伴い、ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnが変化する。このダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnの変化がノイズとして3つのパスを伝搬することで、メモリセルMCのデータ保持特性を劣化させる。このような現象は、行列状に配置された複数のメモリセルMCを取り囲む複数のダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnが一斉に変化した場合に、特に顕著になる。
【0065】
そこで、DRAM11では、メモリセルアレイ111に隣接する周辺回路の一部として、容量素子Csの下部電極Clと水平方向に隣接し、かつ、固定電位が与えられた、メタル配線LX,LYを備える。メタル配線LX,LYの電位が変化しないため、ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnも変化しない。したがって、記憶ノードNDから延びる3つのパスを介してメモリセルMCにノイズが伝搬することもない。そのため、メモリセルMCのデータ保持特性の劣化が抑制される。その結果、DRAM11は、誤動作を防ぐことができる。
【0066】
さらに、メモリセルアレイ111の外周辺に沿って配置された複数のダミーメモリセルDMCに平行かつ隣接してメタル配線LX,LYを配置することにより、複数のダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnが一斉に変化することを防ぐことができる。そのため、メモリセルMCのデータ保持特性の劣化をさらに効果的に抑制することができる。
【0067】
なお、COB構造の場合には、下部電極Clと水平方向に隣接するメタル配線は存在しない。下部電極Clに隣接してコンタクトCT10が設けられるが、ノイズ伝搬の影響を無視できる程度の少ない数のコンタクトCT10が点在するにすぎなかった。そのことが、COB構造の発展型であるCOM構造においてノイズ伝搬の影響を考慮してこなかった理由の一つと考えられる。
【0068】
また、ダミーメモリセルDMCは、メモリセルMCと同じレイアウト構造を有しているが、これ自体にデータを記憶する機能を有していない。そのため、ダミーメモリセルDMCは、周辺回路からのノイズをシールドするノイズシールドの役割を果たすと考えられていた。しかしながら、COM構造のメモリセルにおいては、上記したように、それだけでは十分でない。DRAM11は、COM構造のメモリセルが周辺回路から受けるノイズの影響を低減して、メモリセルMCのデータ保持特性の劣化を効果的に抑制している。
【0069】
本実施の形態では、下部電極Clと水平方向に隣接するメタル配線層が2階層である場合を例に説明したが、これに限られない。下部電極Clと水平方向に隣接するメタル配線層が1階層であってもよいし、3階層以上であってもよい。
【0070】
本実施の形態では、下部電極Clと水平方向に隣接するメタル配線に、セルプレート電極(上部電極)Cuと同じ中間電位HVDが与えられた場合を例に説明したが、これに限られない。下部電極Clと水平方向に隣接するメタル配線には、任意の固定電位を与えることができる。例えば、電源電圧VDD、接地電圧GND、ワード線WL活性化電圧VPP、ワード線WL非活性化電圧VKK、基板電圧VBB等の固定電位であってもよい。ただし、下部電極Clと水平方向に隣接するメタル配線にセルプレート電極(上部電極)Cuと同じ中間電位HVDを与えることにより、ノイズ位相差を小さくすることができるため有効である。
【0071】
なお、メタル配線LX,LYに中間電位HVDを与える中間電位生成回路は、セルプレート電極Cuに中間電位HVDを与える中間電位生成回路と共通である場合に限られず、ビット線プリチャージ用の中間電位HVDを生成する中間電位生成回路と共通であってもよい。この場合、メタル配線LX,LYに接続されるトランジスタがプリチャージ回路を構成するトランジスタとなるように配置することで、ノイズを抑制しつつ回路規模の増大を抑制することができる。
【0072】
本実施の形態では、メタル配線LXが、コンタクトCT1を介して周辺回路領域に設けられたトランジスタのゲートポリシリコン配線GP1に接続されているが、これに限定されない。
【0073】
また、本実施の形態では、メタル配線LX1,LX2,LX10がコンタクトV1,V2を介して互いに接続されている場合を例に説明したが、メタル配線LX1,LX2,LX10は互いに接続されている必要はない。メタル配線LX1,LX2を独立させることで、例えば、メタル配線LX1,LX2にそれぞれ異なる値の固定電位を与えることができる。
【0074】
また、ワード線WLに平行に配置されたメタル配線LXと、ビット線BLに平行に配置されたメタル配線LYとは、固定電位が与えられていればよく、互いに接続されている必要はない。メタル配線LX,LYを独立させることで、例えば、メタル配線LXに接地電圧GNDを与え、メタル配線LYに電源電圧VDDを与えることができる。この場合、これらメタル配線LX,LYを周辺回路向けの電源ラインの一部として用いることも可能である。
【0075】
また、本実施の形態では、下部電極Clと水平方向に隣接するメタル配線に固定電位が与えられた場合を例に説明したが、これに限られない。一対のメタル配線(例えば、LX1,LX2)に、例えば差動信号のような相補的な電位がそれぞれ与えられてもよい。それにより、一対のメタル配線からのそれぞれのノイズは相殺される。あるいは、メモリセルアレイ111の外周辺の一辺及びそれに対向する辺に沿って配置された一対のメタル配線に、相補的な電位が与えられてもよい。論理信号が伝搬する信号線を、メモリセルアレイ111に隣接して配置することができるため、設計の自由度が向上するとともに、回路規模の増大を抑制することができる。以下、具体例を図8及び図9を用いて簡単に説明する。
【0076】
図8は、センスアンプ部116の一部を示す回路図である。
図8に示すように、センスアンプ部116は、Pチャネル型のMOSトランジスタSDPと、Nチャネル型のMOSトランジスタSDNと、複数のビット線対に対して設けられた複数のセンスアンプSAと、を備える。なお、図8には、複数のセンスアンプSAのうち、ビット線対BL0,BL1に対して設けられた一つのセンスアンプSAのみが示されている。
【0077】
MOSトランジスタMP1では、ソースがノードSAPに接続され、ドレインがノードN1に接続され、ゲートがノードN2に接続されている。MOSトランジスタMN1では、ソースがノードSANに接続され、ドレインがノードN1に接続され、ゲートがノードN2に接続されている。MOSトランジスタMP2では、ソースがノードSAPに接続され、ドレインがノードN2に接続され、ゲートがノードN1に接続されている。MOSトランジスタMN2では、ソースがノードSANに接続され、ドレインがノードN2に接続され、ゲートがノードN1に接続されている。ここで、MOSトランジスタMP1,MN1により第1インバータが構成される。MOSトランジスタMP2,MN2により第2インバータが構成される。第1インバータの出力(ノードN1)は、第2インバータの入力及びビット線BL0に接続されている。第2インバータの出力(ノードN2)は、第1インバータの入力及びビット線BL1に接続されている。
【0078】
MOSトランジスタSDPは、電源電圧端子VDDとノードSAPとの間に設けられ、センスアンプ活性化信号SEPに基づいてオンオフ制御される。MOSトランジスタSDNは、接地電圧端子GNDとノードSANとの間に設けられ、センスアンプ活性化信号SENに基づいてオンオフ制御される。ここで、センスアンプ活性化信号SEP,SENは、相補的にHレベル及びLレベルが切り替わる。
【0079】
例えば、センスアンプ活性化信号SEPがLレベル、センスアンプ活性化信号SENがHレベルの場合、MOSトランジスタSDP,SDNは何れもオンする。それにより、センスアンプSA(及び図示しない残りのセンスアンプSA)は、増幅動作可能な状態となる。一方、センスアンプ活性化信号SEPがHレベル、センスアンプ活性化信号SENがLレベルの場合、MOSトランジスタSDP,SDNは何れもオフする。それにより、センスアンプSA(及び図示しない残りのセンスアンプSA)は、増幅動作できない状態となる。
【0080】
図9は、メモリセルアレイ111及びその周辺回路の境界近傍を示す断面模式図である。図9では、図4の構成と比較して、メタル配線LX1,LX2に中間電位HVDが供給される代わりに、相補的に電位が変化するセンスアンプ活性化信号SEP,SENがそれぞれ供給されている。このように、一対のメタル配線(例えば、LX1,LX2)に対し、センスアンプ部116の活性化を制御するセンスアンプ活性化信号SEP,SENが供給されてもよい。メタル配線LX1,LX2をノイズ対策のために用いるだけでなく、論理信号(本例では、センスアンプ活性化信号SEP,SEN)伝搬に用いることができるため、回路規模の増大を抑制することができる。
【0081】
なお、当然ながら、メタル配線LX1,LX2には、相補的に電位が変化するセンスアンプ活性化信号SEP,SENがそれぞれ供給され、メタル配線LYには、セルプレート電極Cuと同じ中間電位HVDが供給されてもよい。
【0082】
また、メモリセルアレイが複数に分割して配置される場合、それらを取り囲むダミーメモリセルDMCの数が増加するので、ダミーメモリセルDMCを介して伝搬するノイズの影響がより深刻になる。そこで、例えば、複数に分割されたメモリセルアレイの外周辺沿いに配置された複数のメタル配線のうち、一部のメタル配線の電位が変化している(即ち、信号変化している)場合には、残りのメタル配線の電位が固定される(又は、残りのメタル配線の対のそれぞれの電位が相補的に変化する)ように構成する。なお、このとき、複数に分割されたメモリセルアレイには、共通の電源から電位HVD、VKK、VBB等が供給されるように構成される必要がある。それにより、ノイズの影響を受けていないメモリセルアレイ部分を安定化容量として働かせることができるため、発生したノイズを抑制することが可能となる。これは、PN接合ダイオードD1が順方向にオンしないような条件下において有効である。具体的には、メタル配線を伝搬する信号の振幅が電源電圧VDDから接地電圧GNDの範囲内である場合等において有効である。論理信号が伝搬する信号線を、メモリセルアレイ111に隣接して配置することができるため、設計の自由度が向上するとともに、回路規模の増大を抑制することができる。
【0083】
<実施の形態2>
実施の形態2に係るDRAM11aは、メモリセルアレイ111に代えてメモリセルアレイ111aを備える。図10は、メモリセルアレイ111aを示す平面図である。メモリセルアレイ111aは、メモリセルアレイ111と比較して、メモリセルMCを取り囲む複数のダミーメモリセルDMCを有しない。メモリセルアレイ111aのその他の構成については、メモリセルアレイ111と同様であるため、その説明を省略する。
【0084】
まず、メタル配線LX,LYからメモリセルMCへのノイズ伝搬の仕組みについて説明する。図11は、メモリセルアレイ111aの最外周に配置されたメモリセルMCと、これらに平行かつ隣接して配置されたメタル配線(以下、信号線とも称す)LX又はLYと、を示す回路図である。
【0085】
図11に示すように、信号線LX又はLYは、寄生容量Cpを介して、メモリセルMCの記憶ノードNDと結合している。また、メモリセルMCでは、容量素子Csに中間電位HVDが供給され、トランジスタTrのバックゲートに電圧VBBが供給されている。
【0086】
図12は、トランジスタTrがオフして記憶ノードNDに電荷が蓄えられた状態のメモリセルMCの等価回路である。
【0087】
図12に示すように、記憶ノードNDと信号線LX(又はLY)との間には、寄生容量Cpが形成されている。記憶ノードNDと、電位HVDを示すセルプレート電極(上部電極)Cuとの間には、容量素子Csが形成されている。ここで、信号線LX(又はLY)の電位変化量をVとすると、記憶ノードNDの電位変化量ΔVnは、以下の式(1)のように表される。
【0088】
ΔVn=V×Cp/(Cs+Cp) ・・・ (1)
【0089】
式(1)により、寄生容量Cpが増大すると、信号線LX(又はLY)の電位変化に対する記憶ノードNDの電位変化量ΔVnが大きくなることがわかる。記憶ノードNDの電位Vnが大きく変化すると、メモリセルMCのデータ保持特性が劣化しやすくなる。そこで、信号線LX(又はLY)の電位変化量Vを限りなくゼロに近づけることで、記憶ノードNDの電位変化量ΔVnを小さくする必要がある。
【0090】
そこで、DRAM11aでは、実施の形態1と同様に、メモリセルアレイ111aに隣接する周辺回路が、容量素子Csの下部電極Clと水平方向に隣接し、かつ、固定電位が与えられたメタル配線LX,LYを備える。メタル配線LX,LYの電位が変化しないため、メモリセルMCの記憶ノードNDの電位Vnも変化しない。そのため、当該メモリセルMCのデータ保持特性の劣化が抑制される。その結果、DRAM11aは、誤動作を防ぐことができる。
【0091】
さらに、メモリセルアレイ111aの外周辺に沿って配置された複数のメモリセルMCに平行かつ隣接してメタル配線LX,LYを配置することにより、これら複数のメモリセルMCの記憶ノードNDの電位Vnが一斉に変化することを防ぐことができる。そのため、メモリセルMCのデータ保持特性の劣化をより効果的に抑制することができる。
【0092】
なお、図12には示されていないが、当然ながら、記憶ノードNDから寄生容量Ctを介してワード線WLに至るパスや、記憶ノードNDからPN接合ダイオードD1を介してSi基板に至るパス、を伝搬するノイズも低減することができる。
【0093】
<実施の形態3>
実施の形態3に係るDRAM11bは、DRAM11と比較して、固定電位が与えられたメタル配線LX,LYを備える代わりに、ダミーメモリセルDMCに供給される電位の設定の仕方を工夫している。
【0094】
図13は、DRAM11bを示すブロック図である。
図13に示すように、DRAM11bでは、ダミーメモリセルDMCに与える電位を生成する電源回路と、メモリセルMCを駆動する電位を生成する電源回路と、を別にしている。本例では、異なる電位を生成する複数の電源回路のうち、代表して電位VKKを生成する電源回路のみを示している。
【0095】
具体的には、DRAM11bでは、DRAM11bの外部に電源回路13,14が設けられている。電源回路13は、電位VKKをダミーワード線DWLに供給する。一方、電源回路14は、電位VKKをワード線ドライバ112に供給している。ワード線ドライバ112は、非選択のワード線WLに対して電源回路14からの電位VKKを供給する。図示されていないが、ダミーメモリセルDMCに供給される電位VBB,HVDを生成する電源回路、及び、メモリセルMCに供給される電位VBB,HVDを生成する電源回路も別にする。DRAM11bのその他の構成については、DRAM11と同様であるため、その説明を省略する。
【0096】
このように、DRAM11bでは、ダミーメモリセルDMCに与える電位(VKK等)を生成する電源回路と、メモリセルMCを駆動する電位(VKK等)を生成する電源回路と、が異なる。つまり、電源回路13により生成された電位VKKが伝搬する電源配線と、電源回路14により生成される電位VKKが伝搬する電源配線と、が接続していない。したがって、ダミーメモリセルDMCのシリンダ形状の下部電極Clに隣接するメタル配線LX,LYの電位が変動して、電位VKKが変動し、ダミーワード線DWL0にノイズが発生した場合でも、そのノイズは非選択メモリセルMCのワード線WLに伝搬しない。そのため、メモリセルMCのデータ保持特性の劣化が抑制される。その結果、DRAM11bは、誤動作を防ぐことができる。また、固定電位が与えられたメタル配線LX,LYを設ける必要が無くなるため、設計の自由度が向上するとともに、回路規模の増大を抑制することができる。
【0097】
図14は、DRAM11bの変形例をDRAM11cとして示すブロック図である。
図14に示すように、DRAM11cでは、ダミーメモリセルDMCに与える電位を生成する電源回路と、メモリセルMCに与える電位を生成する電源回路と、は共通だが、電源回路とメモリセルDMC,MCとを接続する電源配線の分岐点がメモリセルアレイ111を駆動する周辺回路の外部に設けられている。
【0098】
具体的には、DRAM11cでは、DRAM11bの外部に電源回路13が設けられている。電源回路13は、電位VKKをダミーワード線DWLに供給するとともに、ワード線ドライバ112に供給している。ワード線ドライバ112は、非選択のワード線WLに対して電源回路13からの電位VKKを供給する。ここで、電位VKKが伝搬する電源配線の分岐点SPは、メモリセルアレイ111を駆動する周辺回路(例えば、ワード線ドライバ112)の外部に設けられている。図示されていないが、電位VBB,HVDが伝搬する電源配線の分岐点も、それぞれメモリセルアレイ111を駆動する周辺回路の外部に設けられる。DRAM11cのその他の構成については、DRAM11bと同様であるため、その説明を省略する。
【0099】
それにより、ダミーメモリセルDMCのシリンダ形状の下部電極Clに隣接するメタル配線LX,LYの電位が変化して、電位VKKが変動し、ダミーワード線DML0にノイズが発生した場合でも、そのノイズが電源配線を介して非選択メモリセルMCのワード線WLに伝搬しにくくなる。そのため、メモリセルMCのデータ保持特性の劣化が抑制される。その結果、DRAM11cは、誤動作を防ぐことができる。また、固定電位が与えられたメタル配線LX,LYを設ける必要が無くなるため、設計の自由度が向上するとともに、回路規模の増大を抑制することができる。
【0100】
ダミーメモリセルDMCに与える電位を生成する電源回路として、内部の電源回路を用いずに、電源電圧VDDや接地電圧GND等の外部の電源回路を用いてもよい。外部から供給される電源電圧VDDや接地電圧GNDは、メタル配線LX,LYの電位が変化しても変動しないため、ダミーワード線DMLから非選択メモリセルMCのワード線WLにノイズが伝搬しにくくなる。そのため、メモリセルMCのデータ保持特性の劣化が抑制される。
【0101】
その他の例を図15及び図16を用いて説明する。図15は、ワード線方向に配置された複数のダミーメモリセルDMCの一つの変形例をダミーメモリセルDMCaとして示す回路図である。図16は、ビット線方向に配置された複数のダミーメモリセルDMCの一つの変形例をダミーメモリセルDMCbとして示す回路図である。
【0102】
図15に示すように、ダミーメモリセルDMCaは、ダミーメモリセルDMCと比較して、さらに記憶ノードNDとダミーワード線DWLと短絡している。また、ダミーワード線DWLには、非選択状態にするために接地電圧GNDが供給される。それにより、ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnが接地電圧GNDレベルに固定されるため、メタル配線LX,LYの電位が変化しても、ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnが変動することはない。そのため、ダミーメモリセルDMCからメモリセルMCにノイズが伝搬しにくくなり、その結果、メモリセルMCのデータ保持特性の劣化が抑制される。
【0103】
図16に示すように、ダミーメモリセルDMCbは、ダミーメモリセルDMCと比較して、さらに記憶ノードNDとダミービット線DBLとが短絡している。また、ダミービット線DBLには、電源電圧VDD又は接地電圧GNDが供給される。それにより、ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnが電源電圧VDD又は接地電圧GNDレベルに固定されるため、メタル配線LX,LYの電位が変化しても、ダミーメモリセルDMCの記憶ノードNDの電位Vnが変動することはない。そのため、ダミーメモリセルDMCからメモリセルMCにノイズが伝搬しにくくなり、その結果、メモリセルMCのデータ保持特性の劣化が抑制される。
【0104】
なお、ダミーメモリセルDMCa,DMCbは、メモリセルMCとの構造上の違いをできるだけ少なくすることが好ましい。この構造上の違いを許容できるか否かは、製造プロセスの形状安定性への影響度合いによっても変わってくるが、許容できる場合には、回路規模が増大することもなく効果的な手段となり得る。
【0105】
<実施の形態4>
図17は、DRAM11を搭載したシステムLSI(半導体装置)1を示すブロック図である。システムLSI1は、マクロ化されたDRAM11と、DRAM11とデータのやり取りを行う内部回路(周辺回路)12と、を備える。例えば、内部回路12は、DRAM11に書き込むための書き込みデータDinを出力し、DRAM11から読み出されたデータDoutを受け取る。
【0106】
システムLSI設計の自動配置配線工程では、マクロ化されたDRAM11を配置後に、その周りに自動設計により論理信号線が自動配置される。マクロ化されたDRAM11内部において、周辺回路とメモリセルアレイ111との間に固定電位を与えた信号線を設けたとしても、DRAM11の外側周辺に接してメモリセルアレイ111が設計されていた場合、メモリセルアレイ111に隣接して自動配置された内部回路12の論理信号線によりノイズが発生することが考えられる。そのため、内部回路12の配置配線を行う場合、メモリセルアレイ111の外周辺に沿って配置される信号線に固定電位を与えたり、メモリセルアレイ111の外周辺に沿って配置される一対の信号線のそれぞれに相補的な電位を与えたりする。それにより、DRAM11は、内部に設けられた周辺回路からのノイズの影響を低減することができるのに加えて、外部に設けられた内部回路12からのノイズの影響を低減することができる。そのため、メモリセルMCのデータ保持特性の劣化が抑制される。
【0107】
なお、システムLSI設計の自動配置配線工程では、内部回路12の配置配線を行う場合、メモリセルアレイ111の外周辺近傍に信号線を配置しないように制限したり、メモリセルアレイ111の外周辺近傍に信号線を配置した場合には配置配線結果としてエラーを出力するようにしてもよい。それにより、複雑かつ多様なシステムLSIにおいても高い信頼性と低コストの半導体製品を開発することが可能となる。
【0108】
本実施の形態では、システムLSI1にDRAM11が搭載された場合を例に説明したが、これに限られず、例えば、DRAM11bやDRAM11c等が搭載されてもよい。例えば、ダミーメモリセルDMCを駆動する電位を生成する電源回路と、メモリセルMCを駆動する対応する電位を生成する電源回路と、が異なるDRAM11bは、マクロ化して用いられることで、どのようなシステムLSIに搭載された場合でも、外部からのノイズの影響を低減して安定した動作を実現することができる。
【0109】
(特許文献2について)
なお、特許文献2に開示された構成では、メモリセル内の容量素子の下部電極と水平方向に隣接するメタル配線が存在しない。したがって、下部電極と水平方向に隣接するメタル配線からのノイズによりメモリセルのデータ保持特性が劣化するという課題がそもそも生じない。つまり、上記実施の形態に係るDRAMの構成と、特許文献2に開示された構成と、は全く異なるものである。
【0110】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0111】
例えば、上記の実施の形態に係る半導体装置では、半導体基板、半導体層、拡散層(拡散領域)などの導電型(p型もしくはn型)を反転させた構成としてもよい。そのため、n型、及びp型の一方の導電型を第1の導電型とし、他方の導電型を第2の導電型とした場合、第1の導電型をp型、第2の導電型をn型とすることもできるし、反対に第1の導電型をn型、第2の導電型をp型とすることもできる。
【符号の説明】
【0112】
1 半導体装置
11,11a,11b,11c DRAM
12 内部回路
13,14 電源回路
111,111a メモリセルアレイ
112 ワード線ドライバ
113 選択回路
114 データ読み出し部
115 データ書き込み部
116 センスアンプ部
BL0〜BLn,BL ビット線
Cs 容量素子
Cl 下部電極
Cu 上部電極(セルプレート電極)
CT1,CT10,CT11,CT12 コンタクト
DBL0,DBL1,DBL ダミービット線
DMC,DMCa,DMCb ダミーメモリセル
DWL0,DWL1,DWL ダミーワード線
MC メモリセル
MN1,MN2,MP1,MP2 MOSトランジスタ
N1,N2,SAP,SAN ノード
SA センスアンプ
SDP,SDN MOSトランジスタ
V1,V2 ビア
WL0〜WLm,WL ワード線
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