特許第6556303号(P6556303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556303プログラム、ゲーム装置及びゲームシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6556303
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】プログラム、ゲーム装置及びゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/73 20140101AFI20190729BHJP
   A63F 13/20 20140101ALI20190729BHJP
   A63F 13/213 20140101ALI20190729BHJP
   A63F 13/53 20140101ALI20190729BHJP
   A63F 13/55 20140101ALI20190729BHJP
   A63F 13/58 20140101ALI20190729BHJP
   A63F 13/63 20140101ALI20190729BHJP
   A63F 13/655 20140101ALI20190729BHJP
   A63F 13/75 20140101ALI20190729BHJP
   A63F 13/95 20140101ALI20190729BHJP
【FI】
   A63F13/73
   A63F13/20 A
   A63F13/213
   A63F13/53
   A63F13/55
   A63F13/58
   A63F13/63
   A63F13/655
   A63F13/75
   A63F13/95 A
【請求項の数】22
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-148629(P2018-148629)
(22)【出願日】2018年8月7日
【審査請求日】2019年1月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 剛
(72)【発明者】
【氏名】名倉 孝
【審査官】 奈良田 新一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−158932(JP,A)
【文献】 特開2015−062473(JP,A)
【文献】 特開2009−101122(JP,A)
【文献】 特開2009−273859(JP,A)
【文献】 特開2002−306840(JP,A)
【文献】 自分で描いたドット絵が最強の戦士に!?描いて戦う戦争ゲーム『お絵描き戦争』が事前登録受付中!,ゲームドライブ [online],2016年 3月 7日,2019年2月19日検索,URL,https://gamedrive.jp/news/1457351467
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24,13/00−13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品から取得した情報に基づいてゲームのプレイ体験を提供するコンピュータに、
物品に係る、第1の情報、及び前記第1の情報とは異なる第2の情報を取得する処理と、
前記情報取得がなされた物品について、取得された前記第1の情報に基づいて、適正な物品であるか否かを判定する処理と、
取得された前記第2の情報の内容を判別する処理と、
前記情報取得がなされた物品が適正な物品であると判定された場合に、取得された前記第2の情報の内容が判別可能であることを条件として、該第2の情報に対応するゲーム要素を提示する処理と、
を実行させるプログラムであって、
前記第2の情報は、画像情報を含み、
取得された前記第2の情報に含まれる前記画像情報の内容が判別対象となり、
前記対応するゲーム要素は、3次元モデルとして構成されて提示されるものであり、
前記プログラムは、前記画像情報により示されない前記対応するゲーム要素の隠面を、前記画像情報に基づいて生成する処理を、さらに前記コンピュータに実行させるプログラム
【請求項2】
前記画像情報により示されるゲーム要素の前記ゲーム上の分類が判別され、
判別された前記ゲーム上の分類に応じて、取得された前記第2の情報に基づいて前記対応するゲーム要素を構成する際に異なる方式が用いられる
請求項に記載のプログラム。
【請求項3】
前記画像情報により示される内容は、ゲーム要素に係る第1の部位と推定される第1の画像情報と、前記第1の部位とは異なる第2の部位と推定される第2の画像情報とに分けて内容が判別され、
少なくとも前記第1の画像情報の内容が判別可能であることを条件として、前記対応するゲーム要素が提示される
請求項またはに記載のプログラム。
【請求項4】
前記第1の画像情報の内容が判別可能であって、前記第2の画像情報の内容が判別不可能である場合に、前記第2の画像情報を補完して前記対応するゲーム要素が提示される請求項に記載のプログラム。
【請求項5】
ゲーム要素に係る部位ごとに、前記画像情報内の対応する領域が予め定められている請求項またはに記載のプログラム。
【請求項6】
前記対応するゲーム要素は、3次元モデルとして構成されて提示されるものであり、
前記対応するゲーム要素に係る部位ごとに、前記画像情報内の対応する領域に含まれる2次元情報を3次元モデルにする際に定義する、基準の深度方向長さが予め定められている
請求項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記画像情報により示されるゲーム要素が他者の権利を侵害するゲーム要素であるか否かが判別され、
前記画像情報により示されるゲーム要素が他者の権利を侵害するゲーム要素であると判別された場合に、前記画像情報に対応するゲーム要素とは異なる代用ゲーム要素が、前記対応するゲーム要素として提示される
請求項乃至のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記ゲームには、他のユーザと対戦するモードと、NPC(Non-Player Character)と対戦するモードとが設けられ、
前記画像情報により示されるゲーム要素が他者の権利を侵害するゲーム要素であると判別された場合に、
選択されたモードが前記他のユーザと対戦するモードであれば、前記画像情報に対応するゲーム要素とは異なる代用ゲーム要素が、前記対応するゲーム要素として提示され、
選択されたモードが前記NPCと対戦するモードであれば、前記画像情報に対応するゲーム要素が提示される
請求項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記適正な物品は、前記画像情報を書き入れ可能に構成され、
前記プログラムは、取得された前記第2の情報に有意な前記画像情報が含まれないと判別された場合、または前記画像情報の内容を判別不可能である場合に、その旨を通知する処理をさらに前記コンピュータに実行させる
請求項乃至のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記適正な物品は、ゲーム要素の外観を書き入れる領域を示す第1の枠体を有し、
前記画像情報中の前記第1の枠体内に書き入れられた情報に基づいて、前記対応するゲーム要素が提示される
請求項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記適正な物品において前記第1の枠体内には、第1の方向及び該第1の方向と直交する第2の方向のそれぞれに格子状に並んだ、複数の第1の方形が予め描画されている請求項1に記載のプログラム。
【請求項12】
前記画像情報中の前記第1の枠体内における書き入れが行われた前記第1の方形の分布、及び書き入れが行われた前記第1の方形に付された色情報の少なくともいずれかに基づいて、前記対応するゲーム要素が構成されて提示される請求項1に記載のプログラム。
【請求項13】
前記第2の情報は、文字情報を含み、
取得された前記第2の情報に前記文字情報が含まれることを条件として、前記対応するゲーム要素に係る関連要素がさらに提示される
請求項乃至1のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項14】
前記適正な物品は、前記文字情報に係る文字列を書き入れる領域を示す第2の枠体を有し、
前記画像情報中の前記第2の枠体内に書き入れられた情報に基づいて、前記関連要素が提示される
請求項1に記載のプログラム。
【請求項15】
前記適正な物品において前記第2の枠体内には、第3の方向に並んだ複数の第2の方形が予め描画されている請求項1に記載のプログラム。
【請求項16】
前記第1の情報は、前記適正な物品の識別情報を含む、1次元のコード及び多次元のコードの少なくともいずれかである請求項1乃至1のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項17】
取得された前記第1の情報及び前記第2の情報の少なくともいずれかに基づいて、前記対応するゲーム要素に関連付ける、前記ゲームの進行を制御するパラメータを決定する処理をさらに前記コンピュータに実行させる請求項1乃至1のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項18】
前記第1の情報は、情報取得がなされた物品について付与されたランクを示すランク情報を含み、
前記対応するゲーム要素に関連付けられる前記パラメータは、前記ランク情報に応じて、前記ゲームを有利に進行せしめる度合いが異なるよう決定される
請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
同一の物品に係る前記第1の情報及び前記第2の情報を複数回取得可能に構成され、
前記対応するゲーム要素に関連付けられる前記パラメータは、
先に取得された前記第2の情報に基づいて決定され、
前記同一の物品に係る前記第2の情報が後に取得された場合に、先に取得された前記第2の情報から変更されているのであれば、先に取得された前記第2の情報に基づいて決定された前記パラメータから変更される
請求項17に記載のプログラム。
【請求項20】
前記同一の物品に係る前記第2の情報が後に取得された場合に、該第2の情報と先に取得された前記第2の情報の差分情報に基づいて、前記パラメータが前記ゲームを有利に進行せしめる状態に変更される請求項19に記載のプログラム。
【請求項21】
物品から取得した情報に基づいてゲームのプレイ体験を提供するゲーム装置であって、
物品に係る、第1の情報、及び前記第1の情報とは異なる第2の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により情報取得がなされた物品について、取得された前記第1の情報に基づいて、適正な物品であるか否かを判定する判定手段と、
前記取得手段により取得された前記第2の情報の内容を判別する判別手段と、
前記判定手段により前記情報取得がなされた物品が適正な物品であると判定された場合に、取得された前記第2の情報の内容が判別可能であることを条件として、該第2の情報に対応するゲーム要素を提示する提示手段と、
を備え
前記第2の情報は、画像情報を含み、
前記判別手段は、取得された前記第2の情報に含まれる前記画像情報の内容を判別し、
前記提示手段は、前記対応するゲーム要素を、3次元モデルとして構成して提示し、
前記ゲーム装置は、前記画像情報により示されない前記対応するゲーム要素の隠面を、前記画像情報に基づいて生成する生成手段を、さらに備えるゲーム装置。
【請求項22】
ゲーム用物品と、ゲーム用物品から取得した情報に基づいてゲームのプレイ体験を提供するゲーム装置とを備えるゲームシステムであって、
ゲーム用物品は、第1の情報、及び前記第1の情報とは異なる第2の情報を有し、
前記ゲーム装置は、
ゲーム用物品に係る、前記第1の情報及び前記第2の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記第2の情報の内容を判別する判別手段と、
前記取得手段により情報取得がなされたゲーム用物品について、取得された前記第1の情報に基づいて、適正なゲーム用物品であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記情報取得がなされたゲーム用物品が適正なゲーム用物品であると判定された場合に、取得された前記第2の情報の内容が判別可能であることを条件として、該第2の情報に対応するゲーム要素を提示する提示手段と、
を備え
前記第2の情報は、画像情報を含み、
前記判別手段は、取得された前記第2の情報に含まれる前記画像情報の内容を判別し、
前記提示手段は、前記対応するゲーム要素を、3次元モデルとして構成して提示し、
前記ゲーム装置は、前記画像情報により示されない前記対応するゲーム要素の隠面を、前記画像情報に基づいて生成する生成手段を、さらに備えるゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、ゲーム装置及びゲームシステムに関し、特に物品から取得された情報に基づいた、ゲームのプレイ体験を提供するゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所望の外観を有するキャラクタを使用したゲームプレイを可能ならしめるべく、ゲームプレイ中にユーザがキャラクタを描き、着色することが可能なモードを備えるゲーム装置が存在する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−081796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるようなゲームプレイ中にコントローラ等を用いて、ゲーム用の描画オブジェクト等を構成するためには専門的な知識が必要であったり、煩雑な操作をユーザに強いる可能性があった。
【0005】
これに対し、ユーザがキャラクタを紙媒体等に描き、該紙媒体を読み込ませる手法であれば、ユーザに与える負担等を軽減できるが、読み込んだ情報の画像解析に係る演算処理の負荷を考慮すると、絵の規模や使用可能な紙媒体に何らの制限も設けないことは好ましくない。
【0006】
本発明は、処理負荷を低減しつつ、好適な興趣体験を提供するプログラム、ゲーム装置及びゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプログラムは、物品から取得した情報に基づいてゲームのプレイ体験を提供するコンピュータに、物品に係る、第1の情報、及び第1の情報とは異なる第2の情報を取得する処理と、情報取得がなされた物品について、取得された第1の情報に基づいて、適正な物品であるか否かを判定する処理と、取得された第2の情報の内容を判別する処理と、情報取得がなされた物品が適正な物品であると判定された場合に、取得された第2の情報の内容が判別可能であることを条件として、該第2の情報に対応するゲーム要素を提示する処理と、を実行させるプログラムであって、第2の情報は、画像情報を含み、取得された第2の情報に含まれる画像情報の内容が判別対象となり、対応するゲーム要素は、3次元モデルとして構成されて提示されるものであり、プログラムは、画像情報により示されない対応するゲーム要素の隠面を、画像情報に基づいて生成する処理を、さらにコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
このような構成により本発明によれば、処理負荷を低減しつつ、好適な興趣体験を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態及び変形例に係るスマートフォン100の機能構成を示したブロック図
図2】本発明の実施形態及び変形例に係るゲームカードの構成例を示した図
図3】本発明の実施形態に係るスマートフォン100において実行される登録処理を例示したフローチャート
図4】本発明の実施形態及び変形例に係るゲームカードから取得された情報に基づいて形成される3次元モデルを例示した図
図5】本発明の実施形態及び変形例に係る3次元モデル化を簡略化するための処理を説明するための図
図6】本発明の変形例1に係るスマートフォン100において実行される登録処理を例示したフローチャート
図7】本発明の変形例2に係るゲームカードの構成例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する一実施形態は、ゲーム装置の一例としての、情報を書き入れることが可能に構成されたカードから取得した情報に基づいて、ゲームのプレイ体験を提供するアプリケーションを実行するスマートフォンに、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、ゲーム用物品から取得した情報に基づいてゲームのプレイ体験を提供することが可能な任意の機器に適用可能である。
【0011】
なお、本実施形態では、スマートフォン100において実行されるゲームアプリケーションにおいて情報取得可能なゲーム用物品がゲームカードであるものとして説明するが、ゲーム要素の提示に必要な情報を付与し、取得可能に構成された物品であれば、ゲームカードに限られるものではない。例えばゲーム用物品は、ゲーム要素の提示に必要な情報をユーザが付与可能に構成された物品であれば、ゲーム要素の外観を形成可能に構成されたフィギュア、玩具、キーホルダー等の造形物であってもよい。ゲーム用物品が造形物である場合、提示に必要な情報の取得に用いられるゲーム情報は、該造形物を形成するパーツ等に内蔵された記録媒体、あるいは該造形物に付された塗装、シール等の外観の一部から取得可能であってよい。またゲーム用物品は造形物だけでなく、ゲームカード以外の紙媒体やシール等、任意の物品であってよい。
【0012】
《ゲーム装置の構成》
まず、本発明の実施形態に係るスマートフォン100の機能構成について、図1のブロック図を用いて説明する。
【0013】
制御部101は、例えばCPUであり、スマートフォン100が有する各ブロックの動作を制御する。具体的には制御部101は、例えば記録媒体102に記録されている各ブロックの動作プログラムやゲームアプリケーションに係るプログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより各ブロックの動作を制御する。
【0014】
記録媒体102は、例えば不揮発性メモリやHDD等の、恒久的にデータを保持可能な記録装置である。記録媒体102は、スマートフォン100が有する各ブロックの動作プログラムに加え、各ブロックの動作において必要となるパラメータ等の情報や、スマートフォン100が実行するゲームに使用される各種のグラフィックスデータを記憶する。メモリ103は、例えば揮発性メモリ等の一時的なデータ記憶に使用される記憶装置である。メモリ103は、各ブロックの動作プログラムの展開領域としてだけでなく、各ブロックの動作において出力されたデータ等を一時的に記憶する格納領域としても用いられる。
【0015】
撮像部104は、例えばCCDやCMOSセンサ等の撮像素子を有する撮像装置ユニットであり、本実施形態ではゲームカードに付された情報の取得に用いられる。撮像部104は、ゲームアプリケーションの実行中において、ゲームカードの所定の面を撮像することで、該ゲームカードに付された情報を含む撮像画像を出力する。撮像は、後述の解析部105によりゲームカードと推定される物品の全体が撮像範囲に収まり、適切な撮像画像が得られたと判断されるまで、間欠的に行われるものとする。
【0016】
解析部105は、撮像部104から出力された撮像画像に対して所定の画像処理を適用し、適正なゲームカードであるかの解析を行う。
【0017】
詳細は後述するが、本実施形態のゲームアプリケーションにおいて使用可能なゲームカードは、図2(a)に示されるような構成となっており、解析部105はまず、撮像画像中のコード201を検出し、該コードの撮像画像中の位置及び大きさに基づいて、ゲームカードの全体が撮像範囲に含まれているかを判断する。このとき、ゲームカードの全体が撮像範囲に含まれるのであれば、ゲームカードからの情報取得に係る適切な撮像画像が得られたとして、撮像部104の撮像を完了する制御が行われる。
【0018】
また解析部105は、撮像画像に含まれるゲームカードに係る画像情報から、コード201に係る画像情報と、後述の枠202内の領域203に係る画像情報を抽出し、前者に基づいてゲームカードが本実施形態のゲームアプリケーションにおいて使用することが可能なゲームカードであるか、即ち、適正なゲームカードであるか否かの判定を行う。なお、後者の画像情報については、判別部106に出力される。
【0019】
少なくともゲームアプリケーションに使用できるかを判定可能なように、適正なゲームカードである場合には、コード201にはゲームカードを一意に識別する、ゲームアプリケーション固有の識別情報が含まれている。本実施形態では、コード201は2次元コードであり、解析部105がコード201に係る画像情報に所定の変換処理を適用することで、コード化されている情報を復号し、識別情報を取得することができる。解析部105は、コード201にゲームアプリケーションに係る識別情報が含まれているか否かにより、撮像されたゲームカードが適正なゲームカードであるか否かを判定する。
【0020】
判別部106は、ゲームカードに付されたコード201以外の情報について、内容判別に係る処理を行う。詳細は後述するが、本実施形態のゲームアプリケーションでは、上述したようにゲームカードの枠202内の領域203に係る画像情報について所定の画像処理を適用することで、ゲームカードの領域203に付された内容の判別を行う。
【0021】
提示制御部107は、スマートフォン100におけるユーザへの各種情報提示の制御を司る。本実施形態のスマートフォン100では、ユーザへの各種情報提示の手段として、画面(ゲーム画面、その他OSメニュー画面等)表示を行う表示部110、音声出力を行う音声出力部120を有するものとして説明するが、情報提示の手段はこれらに限られるものではなく、代替あるいは追加が可能であることは言うまでもない。
【0022】
提示制御部107は、例えばGPU等の描画装置を含み、表示部110に表示させるゲーム画面を生成する際には所定の描画処理を行う。具体的には提示制御部107は、ゲームアプリケーションの実行中において、制御部101により行われた処理や命令、操作入力部108を介してなされた操作入力に基づいて、キャラクタの3次元モデルに対して適当な演算処理を実行し、ゲームに係る各種ゲーム画面を描画、生成する。生成されたゲーム画面は、スマートフォン100に設けられた表示部110に出力されて表示されることでユーザに提示される。表示部110は、例えばLCD等のスマートフォン100が有する表示装置である。本実施形態では表示部110はスマートフォン100に内蔵され、一体となっているものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではなく、例えばスマートフォン100の外部に、有線無線を問わず着脱可能に接続された表示装置であってもよい。
【0023】
また提示制御部107は、例えばサウンドボードやアンプ等の音声信号の出力/増幅を行う回路を含み、音声出力部120から出力させる音声を生成する際には所定の処理を行う。具体的には提示制御部107は、例えば予め記録媒体102に記録された音声データに基づき、同時に出力を行う音声データを確定し、これを電気的な音声信号に変換(D/A変換)して音声出力部120に出力することで、音声出力を行う。音声出力部120は、所定のスピーカ等であってよく、入力された音声信号に基づく音波を出力する。
【0024】
操作入力部108は、例えばタッチパネルやボタン等のスマートフォン100が有するユーザインタフェースである。操作入力部108は、ユーザによりなされた操作入力を検出すると、該操作入力に対応する制御信号を制御部101に出力する。
【0025】
通信部109は、スマートフォン100が有する、他の装置との通信を行うための通信インタフェースである。通信部109は、有線無線を問わず、所定の通信方式により例えばネットワークを介して外部機器に接続し、データの送受信を行う。ゲームアプリケーションのプログラムは、通信部109を介して外部機器から受信可能に構成されるものであってよい。
【0026】
なお、本実施形態では簡単のため、ゲームアプリケーションは、スマートフォン100がオフラインであっても実行可能であり、ゲームのプレイ体験の提供が可能であるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、ゲームカードに基づいて登録されるゲーム要素(キャラクタ)の情報は、ユーザを識別するユーザIDと対応付けられて、外部サーバに管理されるものであってもよいし、同様にゲームアプリケーションでのゲームプレイを行う他のユーザとの対戦ゲームを行う場合には、ゲームプレイ中に通信部109を介した外部機器(ゲームサーバや他のスマートフォン)との通信が行われてもよいことは言うまでもない。
【0027】
《ゲームアプリケーションに係るゲーム》
本実施形態のスマートフォン100においてゲームアプリケーションが実行されることでプレイ体験が提供されるゲームは、ゲームカードから取得した情報に基づいてゲーム要素(キャラクタ)の登録が行われ、登録されたキャラクタを登場させた所定の遊戯を含むプレイ体験の提供が可能に構成されるものであってよい。ゲームに登場するものとして登録されるキャラクタの外観やゲームの進行制御に用いられる該キャラクタのパラメータは、該登録に際して情報取得(撮像)がなされたゲームカードに付されている画像情報に基づいて行われる。
【0028】
なお、本実施形態ではゲームカードに対応するゲーム要素として、「キャラクタ」がゲームに登場する態様について説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。ゲームカードに対応するゲーム要素としてゲームに登場する要素は、例えば移動体(車、飛行機等)やアイテム等、他のゲーム要素であってもよい。
【0029】
〈ゲームカード〉
ここで、本実施形態のゲームアプリケーションで使用可能なゲームカード(適正なゲームカード)の構成について、図2を用いて説明する。使用可能なゲームカードは、例えば所定の取扱店や販売業者により販売されるものであり、ユーザはゲームアプリケーションとは別にこれを購入して用意する必要がある。あるいは、ゲームカードは、物品販売機において対価の支払いに応じてユーザに提供されるものであってもよい。
【0030】
解析部105及び判別部106について上述したように、本実施形態のゲームカードには2種類の情報が付与され、もしくは付与可能に構成されており、撮像によりゲームカードの全体が情報取得された後、それぞれが分離されて処理される。2種類の情報は、図2(a)に示されるようにゲームカードの1つの面に領域を分けて付されており、本実施形態のゲームアプリケーションでは、該ゲームカードを撮像することでゲームカードからこれらの情報を一時に取得し、撮像画像中の該当領域の画像情報を分離して処理することで、各々の情報を個別に取り扱うことができる。
【0031】
ゲームカードに付与される情報の1種類は、本発明に係る第1の情報としてのコード201であり、少なくともゲームカードが適正なゲームカードであるかを判定するために必要な識別情報が含まれている(コード化されている)。ゲームカードの販売時点において、コード201はゲームカードに付されており(予め印刷されており)、基本的にはユーザによって改変可能に構成されるものではない。
【0032】
後述するように、本実施形態のゲームアプリケーションでは、1枚の適正なゲームカードは、1体のキャラクタ登録にのみ用いることが可能に構成され、登録されるキャラクタには、該ゲームカードに付された識別情報が関連付けられるものとする。このようにすることで、ゲームカードの使い回し(書き直して別キャラクタとして登録する)や不正流通等を回避できる。
【0033】
なお、本実施形態ではコード201が2次元コードである態様について説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではなく、1次元コード(バーコード)や3次元以上の多次元コードであってもよいことは言うまでもない。また適正なゲームカードであるかの判定をより厳格に行うために、複数のコードがゲームカードに第1の情報として付されているものであってもよい。即ち、第1の情報としてゲームカードに付される情報は、1次元コード及び多次元コードの少なくともいずれかであってよい。
【0034】
ゲームカードに付与される情報の他の1種類は、本発明に係る第2の情報としての画像情報であり、同第1の枠体としての枠202内の領域203に係る画像情報である。本実施形態のゲームカードは、領域203はコード201とは異なり、ユーザによる情報を書き加えることが可能に構成されており、ゲームカードの販売時点においては図2(a)に示されるように何らの情報も含まない空欄となっている。この状態では、ゲームカードについて情報取得がなされたとしても、画像情報には有意な情報が付された状態ではないと判断され、コード201に基づいて適正なゲームカードを示していると判定されたとしても、ゲームカードはまだゲームに使用することができない状態であるものとして取り扱われる。
【0035】
本実施形態では領域203は、図2(b)に示されるように、ゲームカードに係るキャラクタの外観を絵としてユーザが任意に書き入れることが可能に構成されており、書き入れ後にゲームカードについて情報取得を行わせることで、対応する外観を有するキャラクタをゲームに登場させることができる。つまり、本実施形態のゲームアプリケーション用に提供されるゲームカードは、ユーザによって領域203に情報が書き加えられることによって、キャラクタの外観を確定するための情報が保持された状態となる。
【0036】
より詳しくは領域203の内部は、図2(a)及び(b)に示されるように、格子状に区切られて方眼が形成されている。換言すれば、領域203の内部は、本発明に係る第1の方向及び第2の方向としての水平方向及び垂直方向のそれぞれに、同第1の方形としての所定の大きさの方形が隙間なく並べられており、領域の全体に該方形が分布している。ユーザは、キャラクタの外観を確定するための情報をゲームカードに保持させるためには、例えば図2(b)に示されるように領域203に含まれる少なくとも一部の方形を所望の色で塗りつぶすことで、所謂ドット絵としてキャラクタの外観を容易に形成することができる。
【0037】
なお、ゲームカードに対応するキャラクタの外観を特定するための画像情報を書き入れる領域203は、該キャラクタをユーザが所望する外観でゲームに登場させられるよう、フリーハンドで描けるよう構成されるものであってもよい。即ち、領域203は、本実施形態のように方眼を形成する線が印刷されているものではなく、無地で構成され、ユーザが自由に描いたキャラクタをゲームに登場させることが可能に構成されてもよい。
【0038】
ところで、単にユーザの描いた絵を取得し、2次元のグラフィックスとして提示するコンテンツでは興趣性が低減し得るため、本実施形態のゲームではゲームカードから取得された領域203に係る画像情報に基づいて、3次元形状を有するキャラクタを構成して提示するものとする。このため、フリーハンドで描かれた2次元の絵について、その立体的形状等を推定する処理はより多くの演算を要したり、演算負荷が発生したりし得るため、ゲームアプリケーションに係る興趣体験を性能の異なる多くの機器で提供するとの観点では好適ではない。故に、本実施形態のゲーム装置100では、パターン識別や形状推定に係る演算量を低減すべく、カードに付すことが可能な画像情報は、限られた数のドットで構成されたドット絵として認識されるよう、方形群が格子状に配置されて予め印刷されている。
【0039】
本実施形態では領域203は、内部の方形群がゲームカードの水平方向(図2内における横方向)と垂直方向(同縦方向)とに並ぶように、ゲームカード内に配置されるものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。即ち、領域203は、内部のドット絵の形成用の方形群が直交する2方向に並ぶものであれば、ゲームカード内にどのような向きや態様で印刷されるものであってもよい。
【0040】
《登録処理》
このような構成をもつ本実施形態のスマートフォン100においてゲームアプリケーションの実行中に生じる、ゲームカードに基づいてキャラクタ登録を行う登録処理について、図3のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、制御部101が、例えば記録媒体102に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本登録処理は、例えばゲームプレイに使用するキャラクタの登録機能の実行が選択された際に開始されるものとして説明する。
【0041】
S301で、制御部101は、撮像部104を起動し、間欠的に撮像を行って撮像画像を出力するよう制御を開始する。
【0042】
S302で、解析部105は制御部101の制御の下、撮像部104により出力された撮像画像中にゲームカードの全体が含まれているか否かを判断する。本ステップの判断は、まず解析部105が撮像画像中のコード201を検出し、該検出したコード201の大きさ及び該撮像画像中の位置に応じて、ゲームカードの全体が含まれていることを基準に行われるものであってよい。即ち、ゲームカードにおいてコード201の大きさ及び配置位置は予め固定であるため、解析部105はコード201に対応する画像情報を検出することで、撮像画像中にゲームカードの全体が含まれるか否かを判断することができる。解析部105は、ゲームカードの全体が含まれていると判断した場合は、撮像部104による撮像を停止するよう制御し、処理をS303に移す。また解析部105は、ゲームカードの全体が含まれていないと判断した場合は、次に撮像される撮像画像中について同様の処理を行うべく、本ステップの処理を繰り返す。
【0043】
S303で、解析部105は制御部101の制御の下、情報取得がなされたゲームカードが、ゲームアプリケーション用の適正なゲームカードであって、まだキャラクタの登録がなされていないゲームカードであるか否かを判断する。具体的には解析部105は、撮像画像から取得されたコード201に係る画像情報に対して所定の変換処理を適用することで対応する情報を復号し、これに含まれる識別情報がゲームアプリケーションに対応するゲームカードであり、かつ既に登録がなされたキャラクタに関連付けられた識別情報と異なることを示すか否かを判断する。解析部105は、情報取得がなされたゲームカードがキャラクタ未登録の適正なゲームカードであると判断した場合は処理をS304に移し、適正なゲームカードではない、または既に対応するキャラクタを登録済みのゲームカードであると判断した場合は処理をS313に移す。
【0044】
なお、撮像画像にゲームカードの全体が含まれていると判断した場合に、解析部105は、上述したように撮像画像中のゲームカードの枠202(領域203)に対応する画像情報を抽出して判別部106に伝送しているものとする。以下のS304〜S309の処理に係る複数段階の該画像情報に係る判別は、適正なゲームカードから情報取得がなされたことをもって実行される。
【0045】
S304で、判別部106は、枠202に対応する画像情報が有効な情報を有しているか否かを判別する。本ステップの判別は、情報取得されたゲームカードの領域203に、ユーザにより書き入れられた情報が含まれるか否かを判定するものであってよい。判別部106は、枠202に対応する画像情報が有効な情報を有していると判別した場合は処理をS305に移し、有していないと判別した場合は処理をS312に移す。
【0046】
なお、本実施形態では、枠202に対応する画像情報が有効な情報を有しているかの判別は、ゲームカードの領域203に情報(絵)が書き入れられているか否かによって行うものとて説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、領域203において、色が付加されているドット(方形)の数が所定数以上存在する、あるいは色が付加されたドットによって閉じられた図形が存在するか等によって判別が行われるものであってもよい。
【0047】
S305で、判別部106は、情報取得がなされたゲームカードの領域203に描かれた絵によって示されるキャラクタのカテゴリを判別する。本実施形態のゲームアプリケーションでは、ユーザが使用可能なキャラクタは、人型、モンスター型、ロボット型等の複数種類に分類され、各々を3次元モデル化するに当たって、枠202に対応する画像情報をどのように処理するかが異なる。このため、本ステップにおいて判別部106は、枠202に対応する画像情報が、いずれのカテゴリに属するキャラクタを示すものであるかを、画像情報中の有色のドットの分布等に基づいて判別する。なお、本実施形態では枠202に対応する画像情報のみに基づいてカテゴリの判別を行うものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではなく、ゲームカードが各カテゴリ専用に構成される態様では、カテゴリの情報はコード201に含められているものであってもよい。
【0048】
S306で、判別部106は、S305において判別されたカテゴリに応じたテンプレートに基づき、枠202に対応する画像情報に含まれる、本発明に係る第1の部位としてのキャラクタの必須部位に係る情報が判別可能であるか否かを判断する。本実施形態のゲームアプリケーションでは、ゲームカードの領域203に描かれた絵に基づいてキャラクタの登録を行うものであるため、ユーザによっては必ずしも十分な状態の絵を領域203に書き入れることができない可能性もある。このような場合、ユーザへのプレイ体験の提供が好適なタイミングでなされないことにもなり得る。故に、本実施形態では、キャラクタが有する部位を、十分な状態の画像情報が必要な部位(必須部位)と、本発明に係る第2の部位不十分な状態の画像情報であってもよい部位とに分離し、少なくとも前者の部位の3次元モデルを構成するに十分な情報が枠202に対応する画像情報に含まれる(判別可能である)ならば、キャラクタの登録を認めるよう処理する。
【0049】
必須部位は、キャラクタのカテゴリごとに予め定義されているものであってよく、例えばユーザのオリジナリティが要求されるか否か、ユーザの意図が反映されるべき部位であるか否か等、該カテゴリの要素として重要性に応じて分類されるものであってよい。換言すれば、必須ではない部位は、キャラクタの構成要素として重要度が低いとみなされる部位であり、枠202に対応する画像情報から判別不可能であったとしても、予め用意された該当部位のパーツで代用しても支障がない。
【0050】
例えばキャラクタのカテゴリが人型である場合、少なくともキャラクタの上半身と推定される部位(頭部、腕部、胴体部)が必須部位として設定され、枠202に対応する画像情報から該部位が判別可能であることが、該キャラクタを登録可能にせしめる条件であってとなっていてよい。このとき、下半身と推定される部位については、枠202に対応する画像情報から判別不可能であっても、代用のパーツがキャラクタの構成に用いられてよい。
【0051】
判別部106は、カテゴリに応じたテンプレートに基づき、キャラクタの必須部位に係る情報が判別可能であると判断した場合は処理をS307に移し、判別不可能であると判断した場合は処理をS311に移す。
【0052】
S307で、判別部106は、枠202に対応する画像情報に基づき、キャラクタの3次元モデルを構成する。本実施形態のゲームアプリケーションでは、上述したようにゲームカードの領域203に描かれた2次元の絵に基づき、対応する外観を有するキャラクタが、3次元モデルとして構成される。3次元モデルの構成にあたっては、枠202に対応する画像情報に示されるキャラクタの外形や色の分布、及び該キャラクタの分類されるカテゴリに係るテンプレートに基づいて、キャラクタの各部位と推定される領域が特定され、部位ごとに深度方向の長さ(厚み)を含めた立体形状が設定される。また立体オブジェクトの色情報については、該画像情報の対応する位置に配置されたドットの色に基づいて行われるものとする。
【0053】
なお、ゲームカードの領域203に示されるキャラクタの外観は、平面的であり、特定の一方向から見た外観となるため、3次元モデルの構成時には、例えば背面や側面等、絵には表現されていない隠面の色情報については、枠202に対応する画像情報に基づいて推定されればよい。
【0054】
例えば、図2(b)に示したようなキャラクタの外観が領域203に描かれている場合、図4に示されるような3次元モデルが構成されるものであってよい。このとき、3次元モデルの背面は、例えば各部位の端部に位置するドットの色情報が、該部位において同一の高さにあるブロック(ドットに対応して3次元モデルに表現される立方体)の色情報に複製されることで構成されるものであってよい。
【0055】
また、本実施形態ではキャラクタ構成に自由度を持たせるべく、領域203に描かれたキャラクタの外形に基づいて3次元モデルが構築されるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。3次元モデル化に要する演算量を低減するために、例えば図5に示されるように、領域203について予め複数の部分領域501〜504を設け、各部分領域をキャラクタのいずれの部位として認識するか、また各部分領域について部位に応じた基準の深度方向の長さを定めておく構成としてもよい。
【0056】
図5の例では、人型カテゴリのキャラクタについて、部分領域501に書き入れられる情報を該キャラクタの頭部として、部分領域502に書き入れられる情報を該キャラクタの腕部として、部分領域503に書き入れられる情報を該キャラクタの胴体部として、部分領域504に書き入れられる情報を該キャラクタの脚部として認識するものとして定められている。ここで、部分領域の情報は、例えばゲームカードと共に付される説明書等によってユーザに示されるものであってもよいし、領域203自体に印刷されて示されるものであってもよい。
【0057】
さらに、3次元モデル化する際に、部位ごとに球体、柱体、直方体、あるいは折れ曲がり形状とするか等を定める態様としてもよく、該当の部分領域に描かれた部位の大きさ(部分領域に描かれた該当部位のドット数(幅や長さ))と、定められた立体形状に応じて、基準の深度方向の長さとは異なる長さを与えて構成してもよい。例えば頭部の部分領域について、球体として構成されるものとして定められている場合、枠202に対応する画像情報のうち、部分領域に含まれる有意のドットで覆われた領域の中央について、深度方向の基準長さが定義され、中央から縁部に至るにつれて深度方向の基準長さが短くなるよう構成することで、頭部について球体状の3次元モデルが構成される。
【0058】
また、深度方向の長さの定義については、予めゲームアプリケーションについて定められているものである必要はなく、例えばゲームカードが、深度方向の長さの値を記入可能に構成されることで、該値の情報を取得して定義されるものであってもよい。
【0059】
このようにすることで、枠202に対応する画像情報が取得された場合に、いずれの部位に相当するかの推定を省略し、効率よく3次元モデルを生成することができる。
【0060】
S308で、制御部101は、ゲームカードに基づいて登録するキャラクタに対して割り当てるパラメータを決定する。キャラクタのパラメータは、例えばコード201に含まれるレアリティやレベル等、ゲームにおけるキャラクタのランクの情報に応じて、ゲームを有利に進行せしめる度合いが異なるように決定されるものであってもよい。あるいは、例えば枠202に対応する画像情報によって示されるキャラクタの外観、即ち、キャラクタの外観形成に用いられているドット(色情報が付されたドット)の分布や付されている色に基づいて決定されるものであってもよい。また、キャラクタのパラメータは、コード201及び枠202に対応する画像情報に基づいて決定されるものであってもよい。
【0061】
S309で、提示制御部107は制御部101の制御の下、ゲームカードに基づいて登録されたキャラクタ及び該キャラクタのパラメータを表示部110及び音声出力部120を介して提示する。
【0062】
S310で、制御部101は、登録したキャラクタに係る各種情報(3次元モデル、パラメータ等)を、登録に用いられたゲームカードの識別情報に関連付けて例えば記録媒体102に格納し、本登録処理を完了する。
【0063】
一方、S306において、枠202に対応する画像情報に含まれる必須部位に係る情報が判別不可能であると判断された場合、提示制御部107は制御部101の制御の下、S311で、ゲームカードの領域203に描かれたキャラクタの絵が判別不可能であり、補充や変更が必要である旨を提示して本登録処理を完了する。このとき、認識されたカテゴリに応じて、必須部位に係るキャラクタの描き方アドバイス等を提示するものとしてもよい。
【0064】
また、S304において枠202に対応する画像情報が有効な情報を有していないと判断された場合、提示制御部107は制御部101の制御の下、S312で、ゲームカードの領域203にキャラクタの絵が描かれていない旨を提示して、本登録処理を完了する。
【0065】
また、S303において情報取得されたゲームカードが適正なゲームカードでないと判断された場合、あるいは既に対応するキャラクタの登録が完了しているゲームカードであると判断された場合、提示制御部107は制御部101の制御の下、S313で、ゲームカードがゲームに対応していないため、または既に対応するキャラクタが登録されているため、該ゲームカードを登録に使用不可能である旨を提示して、本登録処理を完了する。
【0066】
このようにすることで、本実施形態のゲームアプリケーションではゲームカードに書き入れられた情報に基づいてゲームに登場させるキャラクタを登録し、その後ゲームプレイを行う際に使用可能なキャラクタとしてユーザに提供することができる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態のゲーム装置によれば、処理負荷を低減しつつ、好適な興趣体験を提供することができる。なお、本実施形態では簡単のため、ゲームアプリケーションを実行するスマートフォン100において登録されたキャラクタの管理を行うものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。即ち、登録されたキャラクタの各種情報の管理は、ユーザIDに対応付けて外部サーバ等で行われるものであってもよい。またキャラクタの3次元モデルの構成についても、スマートフォン100において処理が行われるものではなく、外部サーバにおいて行われるものであってもよいことは言うまでもない。
【0068】
[変形例1]
上述した実施形態では、1枚のゲームカードは1回のキャラクタの登録にのみ使用することが可能に構成され、その後同一の識別情報を有するゲームカードからの情報取得がなされた場合には、該ゲームカードに基づくキャラクタ登録を行えないように制御するものとして説明した。一方で、登録するキャラクタの外観がゲームカードの領域203に手描きで行われるものと想定されること、及び該領域203に描かれたキャラクタに基づいてパラメータ決定を行った場合に、ユーザが所望する結果が必ずしも得られない可能性がある。
【0069】
従って、本変形例では1人のユーザについて登録されたキャラクタに対し、同一の識別情報を有するゲームカードからの複数回の情報取得を認め、パラメータの変更を可能ならしめる構成とすることで、ゲームの興趣性を向上させる態様について説明する。即ち、本変形例のゲームアプリケーションによるゲームでは、ユーザは一度キャラクタ登録に用いたゲームカードに対して、さらに書き加えた上でキャラクタの登録変更が可能となる。なお、本変形例において、スマートフォン100の構成は上述した実施形態と同様であるものとして説明を省略する。
【0070】
《登録処理》
以下、本変形例のスマートフォン100に係るゲームアプリケーションの登録処理について、図6のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。なお、本変形例の登録処理において、上述した実施形態と同様の処理を行うステップについては、同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0071】
S302において撮像画像中にゲームカードの全体が含まれていると判断した場合は、解析部105は制御部101の制御の下、S601において、情報取得がなされたゲームカードが、ゲームアプリケーション用の適正なゲームカードであるか否かを判断する。解析部105は、情報取得がなされたゲームカードが適正なゲームカードであると判断した場合は処理をS602に移し、適正なゲームカードではないと判断した場合は処理をS313に移す。
【0072】
S602で、制御部101は、同一の識別情報が関連付けられたキャラクタの情報が既に登録されているか否かを判断する。制御部101は、同一の識別情報が関連付けられたキャラクタの情報が既に登録されていると判断した場合は処理をS603に移し、登録されていないと判断した場合は処理をS304に移す。
【0073】
既に登録されたキャラクタに係るゲームカードについては、枠202に対応する画像情報が有効な情報を有しており、描かれた絵によって示されるキャラクタのカテゴリも判別され、かつ必須部位に係る情報も判別可能であるため、判別部106はS603で、枠202に対応する画像情報に基づき、キャラクタの3次元モデルを構成する。
【0074】
S604で、制御部101は、ゲームカードに基づいて登録変更するキャラクタに対して割り当てるパラメータを決定する。本ステップにおけるキャラクタのパラメータの決定は、S308と同様に行われるものであってもよいが、本変形例ではユーザのゲームに対する関心を高めるため、以下のように行うものとする。
【0075】
即ち、先に情報取得がなされたゲームカードに基づいて決定されたパラメータが、情報を書き加えて新たに取得されたゲームカードに基づいて決定した場合に、以前のパラメータよりもゲームの進行が不利な値になってしまう態様では、ユーザの関心を低減し得る。従って、本変形例では、先に情報取得がなされた状態から、書き加えられて内容が変化したゲームカードについて後に情報取得がなされた場合に、該当のキャラクタについて決定するパラメータが、ゲームの有利にならしめるよう制御する。このため、まず制御部101は、先回の情報取得時の枠202に対応する画像情報と、今回の情報取得時の枠202に対応する画像情報との差分を抽出することで情報の書き加えがなされたか否かを把握する。そして、差分が存在するのであれば、制御部101は、該当のキャラクタについて先に決定されたパラメータを、該差分に基づいてゲームの進行を有利にせしめるよう変更する。
【0076】
このようにすることで、本変形例のゲームアプリケーションでは、より興趣性の高いゲームのプレイ体験を提供することが可能となる。
【0077】
[変形例2]
上述した実施形態では、図2に示したように、ゲームカードには、ゲームカードが適正であるかを識別用のコード201と、対応してゲームに登場するキャラクタの外観を書き入れることが可能な枠202内の領域203とが設けられており、これらの情報を取得してキャラクタの登録を行うものとして説明したが、ゲームカードに付与可能な情報はこれに限られるものではない。
【0078】
例えば、ゲームカードには、図7(a)に示されるようにキャラクタの外観を示す絵を書き入れることが可能な枠202に加えて、本発明に係る第2の枠体としてのキャラクタに係る文字列を記入することが可能な枠701が設けられていてもよい。枠701内の領域702は、領域203と同様に、ゲームカードの販売時点においては図示されるように何らの文字も印刷されていない空欄となっている。枠701の内部は、図7(a)に示されるように、本発明に係る第3の方向としての水平方向に、同第2の方形としての所定の大きさの方形が隙間なく並べられており、所定の文字数までの文字が記入可能となっている。即ち、領域203の方形とは異なり、領域702に含まれる方形は、キャラクタの外観を形成するために塗りつぶされるのではなく、1つの方形に1文字を記入するよう構成される。枠701に記載する文字列は、例えばキャラクタの外観とともに登録される、キャラクタ名、技名、アイテム名等を指定するものであってよく、ゲーム中、該キャラクタの関連要素として提示される。
【0079】
図7(b)に示されるように枠701内の領域702に文字が書き入れられた状態で、キャラクタ登録用にゲームカードが撮像されると、コード201、枠202、及び枠701のそれぞれに対応する画像情報に分離されて処理がなされる。より詳しくは、コード201に対応する画像は、ゲームカードの識別情報として解析部105により処理され、枠202に対応する画像情報は、キャラクタの3次元モデルを形成するための画像情報として判別部106によって処理され、枠701に対応する画像情報は、キャラクタに係り提示される関連要素を示す文字情報(String型)に変換され、同様に判別部106によって処理される。
【0080】
図7の例では枠701に係る文字情報は、キャラクタ名と技名とを含んでおり、該当のキャラクタを用いてゲームを行う場合には、技名の文字情報に基づいて決定された属性及び内容を有する効果や演出要素が、ゲーム中にキャラクタとともに提示される。
【0081】
なお、枠701に係る文字情報は、キャラクタの外観の形成にあたって必須の要素ではないため、情報取得されたゲームカードに該当の情報が記入されていなくとも、キャラクタの登録は行えるものとしてもよい。この場合、関連要素の提示は行われなくてよい。
【0082】
[変形例3]
ところで、これまで説明したように、ユーザが任意にゲームカードに記入した情報に基づいてキャラクタの登録が可能、即ち、ゲームに該キャラクタを登場させることが可能な構成とすると、例えば既存の別コンテンツのキャラクタ等、ゲームアプリケーションのパブリッシャが版権を有していない、もしくは許諾を受けていない、他者の権利を侵害するゲーム要素がゲームに登場することになる可能性もある。
【0083】
故に、例えば他者が権利を有するキャラクタ等の情報を、スマートフォン100と通信接続可能な外部サーバにデータベースとして保持し、判別部106は、ゲームカードの枠202に対応する画像情報から判別したキャラクタが該データベースに登録されているキャラクタと同一であるかの判断を行う構成としてもよい。ここで、判別部106は、枠202に対応する画像情報から判別したキャラクタが、データベースに登録されているキャラクタと同一であると判断した場合には、該キャラクタは登録不可能であるものとして、提示に係る各種処理を行わないよう制御するものとする。
【0084】
一方で、例えばゲームカードが別途販売されるものであることを考慮すると、書き入れがなされたゲームカードについて、いずれのキャラクタも使用できない状況とすることは好適ではない。従って、枠202に対応する画像情報から判別したキャラクタが、データベースに登録されているキャラクタと同一であると判断した場合には、判別部106は、該画像情報に基づかない、代用キャラクタを用いてキャラクタ登録を行うものとしてよい。このとき、提示制御部107は制御部101の制御の下、該当のキャラクタがゲームで使用できないため、異なるキャラクタに置き換えられる旨を提示すればいい。
【0085】
なお、例えばインターネットを介する対人対戦のゲーム(他のユーザが操作するキャラクタとの間で行われる対戦ゲーム)を提供するモードでは、登録されたキャラクタが他のユーザの目に触れる可能性があるため、他者の権利を侵害し得るキャラクタを登場させたゲームのプレイ体験を提供しないよう制御する必要がある。一方で、例えば家庭用ゲームコンソールなどにおいて、対CPU戦のゲーム(制御部101が所定の処理によって行動を決定するNPC(Non-Player Character)との間で行われる対戦ゲーム)を提供するモードでは、私的な利用と捉えることができる。このため、登録するキャラクタの使用するゲームが対CPU戦のモードに限定される、もしくは該モードが選択される場合には、既存のキャラクタであるか否かに依らず、ゲームカードに対応するキャラクタをゲームに登場させられるよう構成してもよい。
【0086】
[その他の実施形態]
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。また本発明に係るゲーム装置は、1以上のコンピュータを該ゲーム装置として機能させるプログラムによっても実現可能である。該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されることにより、あるいは電気通信回線を通じて、提供/配布することができる。
【符号の説明】
【0087】
100:スマートフォン、101:制御部、102:記録媒体、103:メモリ、104:撮像部、105:解析部、106:判別部、107:提示制御部、108:操作入力部、109:通信部、110:表示部、120:音声出力部
【要約】
【課題】処理負荷を低減しつつ、好適な興趣体験を提供する。
【解決手段】プログラムは、物品から取得した情報に基づいてゲームのプレイ体験を提供するコンピュータに、物品に係る、第1の情報、及び第1の情報とは異なる第2の情報を取得する処理と、情報取得がなされた物品について、取得された第1の情報に基づいて、適正な物品であるか否かを判定する処理と、情報取得がなされた物品が適正な物品であると判定された場合に、取得された第2の情報に対応するゲーム要素を提示する処理と、を実行させる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7