特許第6556305号(P6556305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556305
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】加熱基板に印刷するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20190729BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20190729BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20190729BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   B05C5/00 101
   B05C11/10
   B05D1/26 Z
   B41J2/01 301
   B41J2/01 125
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-154069(P2018-154069)
(22)【出願日】2018年8月20日
(62)【分割の表示】特願2016-35297(P2016-35297)の分割
【原出願日】2010年5月17日
(65)【公開番号】特開2018-199133(P2018-199133A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2018年8月20日
(31)【優先権主張番号】61/179,036
(32)【優先日】2009年5月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510333542
【氏名又は名称】エックスジェット・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】XJET LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】クリッチマン エリアフ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ゴタイト ハナン
(72)【発明者】
【氏名】ロズヴァル イガル
(72)【発明者】
【氏名】デビ メイア
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−342598(JP,A)
【文献】 特開2003−133692(JP,A)
【文献】 特開2007−152161(JP,A)
【文献】 特開平9−193404(JP,A)
【文献】 特開2009−136799(JP,A)
【文献】 特開平11−273557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B05C 1/00−21/00
B05D 1/00− 7/26
B41J 2/00− 2/525
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刷装置であって、
印刷プロセスの期間に加熱されるように構成される基板上に印刷フルードを印刷するように前記基板の表面から離間して構成される、複数のノズルを有する少なくとも一つの印刷ヘッドと、
前記基板の表面と前記少なくとも一つの印刷ヘッドとの間に位置し、前記少なくとも一つの印刷ヘッドの過熱を防ぐように、加熱された前記基板からの熱を妨げるように構成された熱シールドであって、前記少なくとも一つの印刷ヘッドとは別個にされ、かつ複数のスロットを含み、該スロットのそれぞれが前記印刷ヘッドの少なくとも一つのノズルに整合するように構成され、加熱された前記基板上への印刷フルードの噴出のために前記少なくとも一つのノズルから対応するスロットへの印刷フルードの通過を可能にするように前記複数のスロットが配置されている、熱シールドと、
を含み、
前記熱シールドは、前記印刷ヘッドとの間に、気流が前記スロットを通って抜け出ることができるギャップを形成すると共に該ギャップを介して少なくとも前記印刷ヘッドの壁を部分的に囲むように形成され、
印刷する際に加熱される前記基板に面する前記熱シールドの側部に設けられた少なくとも1つの空気開口及び該空気開口に連結し、前記スロットから離れた気流を含んで前記基板からのガスを収集するように構成された空気吸引装置をさらに含む装置。
【請求項2】
前記シールドは、冷却液を導くダクトを含む請求項1の装置。
【請求項3】
前記シールドの外側表面は、赤外熱放射に対し反射する請求項1の装置。
【請求項4】
前記シールドは、熱伝導材料を含む請求項1の装置。
【請求項5】
前記シールドは、アルミニウムまたは銅を含む請求項1の装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの印刷ヘッドに面する前記シールドの内側表面は、非湿潤コーティングで被覆される請求項1の装置。
【請求項7】
前記シールド及び前記印刷ヘッドの壁間の前記ギャップに接続され、前記ギャップ内で前記気流を生成するためのエアダクトをさらに含む請求項1の装置。
【請求項8】
前記複数のノズルは、加熱された前記基板上に単独のメタライゼーション線を印刷する
ために前記印刷ヘッドにおいて単列に配置される請求項1の装置。
【請求項9】
前記熱シールドは、前記スロットを前記ノズルと位置合わせできるように調整可能になっている請求項1の装置。
【請求項10】
前記スロットそれぞれの幅は、0.5mm未満である請求項1の装置。
【請求項11】
前記スロットそれぞれの幅は、前記ノズルの直径より3〜20倍大きい請求項1の装置。
【請求項12】
前記基板に対する前記印刷ヘッドの外側対向面側の前記熱シールドの部分の厚みは、0.2〜0.5mmである請求項1の装置。
【請求項13】
前記基板は100℃から300℃の温度まで加熱されるように構成される請求項1の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱基板に印刷するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、インクジェット式の印刷システム等の非接触のデポジット印刷システムは、印刷可能な電子機器の製造にますます利用されている。この種のシステムは、例えば無線自動識別(RFID)、有機発光ダイオード(OLED)、光起電性(PV)太陽電池及びその他の印刷可能なエレクトロニクス製品等の適用のため種々の基板上に導電性材料(インク)を蒸着することによる金属層が利用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、太陽電池の製造過程でのシリコンウェハのメタライゼーション等、一部の適用において、材料を熱い基体表面にデポジット(蒸着)することは望ましい。熱い基板は、ノズルプレートを意図せず加熱する可能性があり、印刷の品質に悪影響を与える場合がある。さらに、加熱された基板上へと分配される液体材料から蒸発するガスはまた、ガスが液滴の形でノズルプレート上へ凝結すると印刷ヘッドの動作に悪影響を与える可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明とされる主題は本文献の結末部分において特に指摘され、明確に請求される。また一方、添付された図面とともに読むとき、構成及び操作方法に関する本発明は、その目的、特徴及び利点と共に、以下の詳細な説明を参照することで最も理解され得る。
【0005】
図1図1は、本発明の実施例による典型的な印刷ヘッド及びシールドの概略断面図である。
図2図2は、本発明の実施例による多数の印刷ヘッド及びシールド構造を有する典型的な印刷ユニットの概略図である。
図3図3は、本発明の他の実施例による典型的な印刷ヘッド及びシールドの概略図である。
図4図4は、本発明の他に取り得る実施例による典型的な印刷ヘッドの概略図である。
【0006】
当然のことながら、説明の簡潔さ及び明瞭さのために、図面に示される要素が必ずしも正確にまたは一定の縮尺で描かれる必要はない。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするため他の要素と関連して誇張され得る。さらに、相応しいとされる参照符号は、対応するか類似した要素を示すために、図面の中で繰り返され得る。さらに、図面において表されるブロックの一部は、単一の機能に結合され得る。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次の詳細な説明において、本発明の十分な理解を提供するために多数の具体的な詳細が示される。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細なしで実施され得ることは、当業者には分かるであろう。他の例において、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、装置及び/又は回路は、本発明を不明瞭にしないために、詳述しなかった。
【0008】
本発明の実施例は、加熱基板上の材料の非接触デポジットのため、焦点を絞った粒子のエアロゾル噴流を利用している例えばインクジェット式の印刷システム又はエアロゾル噴射システム等の方法及び印刷装置を目指す。一部の実施例によれば、シールド又は冷却マスクは、加熱基板及び印刷ヘッド間のシールドを提供するためにシステムの印刷ヘッドに連結し得る。用語「材料」、「印刷フルード」及び「インク」は、明細書及び請求項の全体にわたって区別しないで用いられ得る。
【0009】
本発明の実施例による印刷装置は、印刷ヘッドを保護(シールド)すると同時に加熱基板上の印刷のために動作され得る。例えば、印刷ヘッドは、装置の熱シールドプレートのスロットを経てインクを加熱基板にデポジットするように動作され得る。水または他の冷却液は、シールドフレーム及びプレートから熱を取り除くために、シールドフレームを介して循環され得る。このように、シールドプレートは、印刷ヘッドの過熱を防止することができる。更に、シールドは、印刷ヘッドのノズルプレート上で凝縮されることから加熱基板から蒸発するガスを抑制することができる。
【0010】
加えて、吸引力又は圧力は、シールドプレート及び印刷ヘッド間の、又はシールドヘッド及び基板間の気流を誘導するように、エアダクトに印加され得る。シールド及び印刷ヘッド間の気流は、スロットを通って抜け出ることができ、そうでなければ印刷ヘッドの方向にスロットを通って入る基板から、熱気を押し退けることができる。
【0011】
例えば、印刷装置は、太陽電池の製造中、シリコンウェハへのメタライゼーションに適用するために用いられ得る。メタライゼーションは、セル(太陽電池のセル)を一つ以上の装置に電気的に接続するため、セルに電気的接点を提供することができる。したがって、材料は導電性材料であってよい(導電性インク及び基板は、半導体ウェハであってもよい)。半導体ウェハは、印刷プロセスを促進するためにデポジットの過程において、例えば、100℃〜300℃の温度に加熱され得る。一部の実施形態にしたがって、ノズルは、基板上に単独のメタライゼーション線を印刷するために、印刷ヘッドのノズルプレート上の単列に配置され得る。しかしながら、当然のことながら、本発明の実施形態は本出願に限られないものであり、他のあらゆる非接触のデポジット・アプリケーションも本発明の範囲内になる。
【0012】
図1を参照すると、それは本発明の実施例による印刷装置の横断面における概略図である。インクジェット式の印刷システムの一部であり得る印刷装置10は、印刷ヘッド12及び熱シールド14を含むことができる。印刷ヘッド12は、ノズルプレート20のノズルを通る噴出用の材料(インク)を伴う印刷ヘッド12を与え得るインク供給チューブ38に連結することができる。
【0013】
印刷ヘッド12は、噴出される印刷フルード(図示せず)が通る一つ以上のノズルの列を含むことができる。任意には、印刷ヘッド12は、印刷ヘッドの外側対向面上の一つ以上のノズルの列を有するノズルプレート20を含むことができる。本発明の一部の実施例において、印刷ヘッドは、多数のノズルプレートを備え得る。あるいは、図2で例示されるように、多数の印刷ヘッドは互いに関連して定位置に配置され得る。このような配置は、例えば、同時にいくつかの線を印刷するために用いられ得る。
【0014】
熱シールド14は、ノズルの列の反対側に配置されるシールドスロット24と、シールドフレーム14Bとを有するシールドプレート14Aを含むことができる。印刷ヘッド12は、複数列のノズルと、幅広でこの複数列全てと連携するスロットとを備え得る。あるいは、シールドプレート14Aは、ノズルの各列にそれぞれが連携し、ノズルのその対応する列がインクを基板上にデポジット可能にする複数のスロット24を含むことができる。当然のことながら、当業者にとって、ノズルの列は単一のノズルを含んでいるあらゆる数のノズルを含み得る。
【0015】
シールドフレーム14Bは、印刷ヘッド12に関連した定位置でシールドプレート14Aを保持することができる。一部の実施形態によれば、シールドプレート14A及びシールドフレーム14Bは、金属の単一片から機械加工され得る。シールド14は、冷却液が流れて循環することのできる一つ以上の冷却ダクト28を含むことができる。シールド14は、印刷ヘッド12及びシールドフレーム14B間のギャップまたはスペースを形成している印刷ヘッド12を少なくとも部分的に囲むことができる。スペースは、図3に示すように気流を促進することができ、また、シールド14の印刷ヘッド12の正確な調整を可能にし得る。ギャップはシール36によって封止され得る。例えば、シール36は、密封ガスケット又は一つ以上のシーリング材料の細片を含むことができる。シーリング材料は、封止泡、ゴム、シリコーン、コーキング材あるいは他の従来技術において公知のあらゆる適切なシーリング材料を含むことができる。
【0016】
デポジット過程においては、加熱基板(図示せず)は、ノズルの反対側に適当な距離で配置され得る。基板は、加熱プレート(図示せず)に載置され得る。本発明の実施例によれば、シールドプレート14Aは、シールド14は、印刷ヘッド12の過熱から加熱基板の発熱を防ぐことができる。シールドプレート14Aは、スロットを通してインクを基板上にデポジットするのに有効な期間、印刷ヘッドの外側対向面側を少なくとも部分的にカバー又はマスキングするマスクとして機能し得る。
【0017】
シールドプレート14Aの厚みは、ノズルと基板との間の距離によって制限され得る。例えば、要求される品質で印刷を可能にするために、ノズルは、基体表面から比較的小さい距離の範囲内で配置され得る。シールドプレートの厚みは、そのときノズルと基体表面との間の距離を増大させないように、十分に小さくなければならない。例えば、ノズルと基体表面との間の所望の距離が約1mmでよい場合、シールドプレートの厚みは、例えば0.2〜0.5mmに制限され得る。本発明の実施形態によれば、シールドプレート14Aは、構造強度と、シールドプレート又は冷却シールドフレームからの所望の熱コンダクタンスとの両方の機能を有効にするのに十分厚くてもよい。
【0018】
シールドプレート14Aのスロット24は、熱、典型的には基板によって加熱される空気による対流熱から印刷ヘッドのシールドを最大にするように狭くされ得る。さらに、狭いスロットは、被加熱基板から蒸発し、印刷ヘッドに凝縮することのできるガスから、印刷ヘッドをシールドすることができる。例えば、スロット幅は、0.5mm未満でもよい。一部の実施形態によれば、適切なシールドのために、スロット幅は、シールドプレートの一部分の厚みであってもよい。例えば、スロット幅は、シールドプレートの半分の厚み未満であってもよい。例えば、幅の狭いスロットは、スロットを通る望ましくないガスの自由流れを抑制することができる。一方では、他の考えにおいては、スロットの幅を最小限の値より広い幅に制限することができる。例えば、スロットの最小幅は、印刷ヘッドによる基板上へのインクのデポジットに支障を及ぼさない要件にしたがって決定され得る。例えば、スロットの幅は、ノズル直径より3〜20倍大きくされ得る。例えば、スロット幅は、約0.1mm〜0.2mmであってもよい。
【0019】
シールド14は、熱伝導する材料を含むように構成され得る。例えば、適切な材料は、アルミニウム、銅などの金属、又は他のあらゆる適切な熱伝導プラスチック又はセラミックを含むことができる。シールドプレート14Aは、シールドプレート及びシールドフレーム間の良好な熱的接触を提供するような方法でシールドフレーム14Bに接続され得る。例えば、シールドフレーム及びシールドプレートは、金属の単一片から機械加工され得る。あるいは、シールドプレートは、ボルト締め、溶接、はんだ付け、又は接着され得、また、そうでなければ、適当な熱伝導結合材料を使用しているシールドフレームに取り付けされ得る。シールドフレーム14Bは、シールドプレート14Aに対して機械的支持を提供することができる。さらに、シールドフレームは、シールドプレートから離れて伝導される熱のためのヒートシンクを形成するように、熱質量を提供することができる。例えば、シールドフレームの壁は、充分な機械的強度と同様に、適切な熱質量を提供するように、十分に厚くされ得る。厚い壁を設けることはまた、シールドプレートを有するジョイントから、シールドフレームに彫り込まれるか又は接続された冷却伝導の位置までの良好な熱コンダクタンスを容易にすることができる。
【0020】
例えば、冷却ダクト又は冷却液が流れかつ循環できるダクト28は、例えばダクトが印刷ヘッド12の壁を囲むことのできるシールド14内で構成可能に配置され得る。ダクトは、シールドフレーム14Bに彫り込まれてもよい。一部の実施形態によれば、シールドフレームは、冷却液流体が流動でき又は循環できる一つ以上の穴を含むことができる。例えば、水は、適当な冷却液流体としての機能を果たすことができる。循環冷却液は、シールドフレーム14B及びシールドプレート14Aに取り付けたリザーバーから熱を伝搬する、又は熱が冷却液から取り除かれる熱交換素子に運ぶことができる。
【0021】
シールドプレート14Aの一つ以上の表面は、加熱基板による印刷ヘッドの放射加熱を抑制することのできる低放射率材料で被覆又は構成され得る。例えば、シールドプレート14Aの外側対向面、すなわち、印刷ヘッドから離れ加熱基板の方へ向いているシールドプレートの表面は、基板によって放射される熱放射を反射することができる。例えば、基板が200℃〜300℃の温度まで加熱される場合、シールドプレート14Aの外側対向面は、熱赤外線を反射するように設計されていてもよい。例えば、表面またはシールドプレートは、研磨ベア・アルミニウムから構成され得る。なお、シールドプレートの内側対向面は、シールドプレート14Aによる印刷ヘッド12の放射加熱を防ぐために低い放射率を有するように設計されていてもよい。
【0022】
シールド14は、インク滴又は粒子の捕集又は集結を抑制するように設計され得る。例えば、このような設計の非存在下で、加熱基板から蒸発するインク成分を含んでいるガスは、シールドプレート14A上、シールドスロット24のスロット内、印刷ヘッド12のノズルプレート20上、又はシールドプレート14A及びノズルプレート20間のギャップ内に凝結することができる。同様に、印刷ヘッド12のノズルで出される、例えば噴霧、スプレーまたは液滴などの漂遊インクは、シールドプレート上、シールドプレートのスロット内、印刷ヘッドのノズルプレート上、又はシールドプレート及びノズルプレート間のギャップ内において収集され得る。
【0023】
シールドプレート14Aは、その表面上のインクの収集を抑制するため一つ以上の非湿潤表面を含むことができる。非湿潤表面は、例えばインクなど液体の表面への付着を抑制することができる。例えば、シールドプレート14Aの一つ以上の表面は、テフロン(登録商標)で被覆され得る。例えば、シールドプレートの内側対向面は、非湿潤表面であってもよい。シールドプレート14Aの内側に対向する非湿潤表面は、シールドプレート及び印刷ヘッド間の流体の集結を抑制することができる(同様に、印刷ヘッドのノズルプレート20の外側対向面上の非湿潤表面は、ノズルプレート及びシールドプレート間の流体の集結を抑制することができる)。同様に、シールドプレートのスロットの壁は、任意に非湿潤表面にされ得る。例えば、非湿潤スロット壁は、スロット内部の液体の集結を抑制することができる。シールドプレート14Aの外側対向面は、任意に非湿潤表面にされ得る。さらに、シールドプレート14Aの内側対向面(及び場合によっては、スロット壁)は、シールドプレートの外側対向面が湿潤している期間に、非湿潤表面にされ得る。この場合、流体は、内側対向面から外側対向面に引き出され得る。これは、シールドプレート14A及び印刷ヘッド12間のギャップを、流体を避けるように保つ機能を果たし得る。このような場合は、インクまたは流体について外側対向面を時々掃除するのに必要かもしれない。
【0024】
図2を参照すると、それは本発明の実施例による多数の印刷ヘッドを有する印刷ユニットの典型的な具体例である。これらの実施例では、単一のシールド115は、多数の印刷ヘッド12A〜12Fを収容できるように設計され得る。シールド115は、対応するノズルまたは印刷ヘッド12A〜12Fの一つのノズル列の反対側に各々配置される、複数のスロット24A〜24Fをその中に有するシールドプレートを含むことができる。典型的と考えられる実施形態は6個の印刷ヘッドを含むが、本発明の実施例がその点で制限されないことは当業者にとっては当然であり、他の実施例は複数の印刷ヘッドが対象にされ得る。シールド115は、互いに独立する又は連結する一つ以上の冷却ダクト28を含むことができる。
【0025】
図3を参照すると、それは本発明の他の実施例による典型的な印刷ヘッド及び圧搾空気源またはガスに接続されたシールドの概略図である。冷却ダクト28に加えて、印刷装置300は、インクジェット式の印刷システムの一部であってもよく、印刷ヘッド12及びシールド14間のギャップ内で気流を生成するための一つ以上のエアダクト30を含むことができる。このような気流は、印刷装置の冷却の助けとなり得る。気流は、また、自由に流体が集結する印刷装置のスペースを維持するのに役立つことができる。例えば、ダクト30は、シールドフレーム及び印刷ヘッド12の壁間のギャップに接続され得る。エアダクト30の他の端部は、ブロワー、コンプレッサ、あるいは圧搾空気又はガスのタンクのような圧力源または装置(図示せず)に接続され得る。圧力源の動作は、シールドプレートのスロット24から空気を流すようにすることができる。外側にある気流は、熱気及び/またはガスがスロットを通って入るのを防止するように働くことができる。
【0026】
一部の実施例によれば、キャップの中で誘導される気流は、基板上へノズルから出されるインクのデポジットを妨害しないようにするために、十分に遅い気流速度を有し得る。あるいは、エアダクト30からの気流は、インクのデポジットを妨害しないようにするために、印刷動作に同期され得る。例えば、インクがノズルから出されてない場合にだけ、気流は誘導され得る。エアダクト30は、ギャップを介して空気(または他のガス)の流れを誘発する装置に、印刷ヘッド12及びシールド14間のギャップを接続することができる。
【0027】
エアダクト30はまた、ギャップに気流を誘導する代わりに、印刷ヘッドが使用中でなく加熱基板から離れているときに、ギャップからのこのような空気をシールドのスロットを介して入れさせる。例えば、冷却室での空気は、印刷ヘッド12でのノズルを冷やすことを援助するために、スロット24を通って流れることができる。
【0028】
図4を参照すると、それは本発明の他の実施例による典型的な印刷ヘッド及び空気吸入装置に接続されたシールドついて示す概略図である。さらに、又は冷却ダクト28の代わりに、印刷装置400は、インクジェット式の印刷システムの一部であってもよく、加熱基板から来ているガスを収集するために空気吸引装置50を含むことができる。空気吸引装置50は、シールドプレート14Aの外側対向面上の空気開口40に連結して配置され得る。例えば、吸引が空気吸引装置50に適用される場合、シールドプレート14A及び加熱基板(図示せず)の間に位置するガスは、シールドスロット24から離れた気流を含んで空気開口40の方へ引き込むことができる。気流は、ノズル及び/またはシールドスロット24の中又は近くの流体集結を防止することができる。多数の空気開口は、シールドプレート14Aの外側対向面上の異なる場所で提供され得る。多数の空気開口がより大きな気流速度又は対称な気流パターンを可能にすることができる。
【0029】
ノズルに対向するシールドプレート14Aの表面は、非湿潤コーティングで被覆され得るか又はそうでなければ、非湿潤であるように設計され得る。非湿潤コーティングは、ノズル及びシールドスロット24の近くで流体の集結を抑制することができる。
【0030】
本発明の実施例によれば、シールドスロット24を有するノズルの配列を確実にする機構は、ネジ36及びバネ38を含むことができる。ネジ36及びバネ38は、印刷ヘッド12に対して反対の力をかけて、シールドフレーム14Bに関連する所与の位置で印刷ヘッド12を保持する。ネジ36の回転は、ネジ36がシールドフレーム14Bから内側で延長する距離を調整することができる。ネジ36がシールドフレーム14Bから内側で延長する距離を変化させることは、シールドフレーム14Bに関連して印刷ヘッド12の位置を変化させることができる。シールドフレーム14Bに関連する印刷ヘッド12の位置及び配列は、例えばスキャン方向に関連するノズルアレーの方向のような、ノズル列がシールドスロット24と合致し、他の機械必要条件によって整列配置するまで、調整され得る。
【0031】
本発明の一定の特徴が例示されて、本文献において記載されると共に、多くの変更態様、置換、変更及び等価物は、当業者には想到し得る。従って、特許請求の範囲は、本発明の要旨の範囲内に含まれるこのようなすべての改変及び変形をカバーすることを意図している。
図1
図2
図3
図4