(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記雄ねじ部と前記アーム部とは別体で構成され、前記雄ねじ部の一端には多角形状の突起部が形成され、前記アーム部の一端には前記雄ねじ部の前記突起部が嵌合する多角形状の筒部が形成されており、
前記雄ねじ部と前記アーム部との間に、前記ピンと前記アーム部とを前記雄ねじ部の方向へ付勢するばねが設置されていることを特徴とする請求項1記載のクランプ装置。
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のクランプ装置が、前記固定台が有する2つ以上の前記雌ねじ部のそれぞれに取り付けられていることを特徴とする固定設備。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るクランプ装置を2つ備えた固定設備の構成例を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るクランプ装置の構成例を示す分解斜視図である。
【
図3A】実施の形態1に係るクランプ装置が被固定物を固定した状態を示す平面図である。
【
図3B】
図3Aに示される状態のクランプ装置をA−A線に沿って切断した断面図である。
【
図3C】
図3Aに示される状態のクランプ装置を被固定物側から見た斜視図である。
【
図3D】
図3Aに示される状態のクランプ装置を被固定物とは反対側から見た斜視図である。
【
図4A】実施の形態1に係るクランプ装置が被固定物の固定を解除する途中の状態であって、ピンがピン移動溝を移動している状態を示す平面図である。
【
図4B】
図4Aに示される状態のクランプ装置をB−B線に沿って切断した断面図である。
【
図5A】実施の形態1に係るクランプ装置が被固定物の固定を解除する途中の状態であって、ピンがピン係合穴に係合した状態を示す平面図である。
【
図5B】
図5Aに示される状態のクランプ装置をC−C線に沿って切断した断面図である。
【
図5C】
図5Aに示される状態のクランプ装置を被固定物側から見た斜視図である。
【
図5D】
図5Aに示される状態のクランプ装置を被固定物とは反対側から見た斜視図である。
【
図6A】実施の形態1に係るクランプ装置が被固定物の固定を解除する途中の状態であって、回転部材とクランプ部材とが一体に回転する状態を示す平面図である。
【
図6B】
図6Aに示される状態のクランプ装置をD−D線に沿って切断した断面図である。
【
図6C】
図6Aに示される状態のクランプ装置を被固定物側から見た斜視図である。
【
図6D】
図6Aに示される状態のクランプ装置を被固定物とは反対側から見た斜視図である。
【
図7A】実施の形態1に係るクランプ装置が被固定物の固定を解除した状態を示す平面図である。
【
図7B】
図7Aに示される状態のクランプ装置をF−F線に沿って切断した断面図である。
【
図7C】
図7Aに示される状態のクランプ装置を被固定物側から見た斜視図である。
【
図7D】
図7Aに示される状態のクランプ装置を被固定物とは反対側から見た斜視図である。
【
図8】
図6Aに示される状態のピン移動溝とピン係合穴をE−E線に沿って切断した断面図である。
【
図9A】ストッパ部とストッパ溝の構成例を示す図であり、クランプ部材を
図7BのG−G線に沿って切断した断面図である。
【
図9B】ストッパ部とストッパ溝の変形例を示す図であり、クランプ部材を
図7BのG−G線に相当する位置で切断した断面図である。
【
図10A】実施の形態2に係るクランプ装置が被固定物を固定した状態を示す平面図である。
【
図10B】
図10Aに示される状態のクランプ装置をH−H線に沿って切断した断面図である。
【
図11】実施の形態2に係るクランプ装置が被固定物の固定を解除する途中の状態であって、ピンがピン移動溝を移動している状態を示す平面図である。
【
図12A】実施の形態2に係るクランプ装置が被固定物の固定を解除する途中の状態であって、ピンが溝端部に移動した状態を示す平面図である。
【
図12B】
図12Aに示される状態のクランプ装置をL−L線に沿って切断した断面図である。
【
図13A】
図12Aに示される状態からクランプ装置を若干解除方向に回転させたときの状態をL−L線に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るクランプ装置2を2つ備えた固定設備1の構成例を示す斜視図である。固定設備1の固定台10には被固定物3が置かれ、この被固定物3が2つのクランプ装置2によって固定されている。この被固定物3は、例えば、固定台10上に固定された状態で品質検査等される。後述するクランプ装置2の構成により、固定設備1は、固定台10からの高さが異なる複数の被固定物3を固定可能である。したがって、1つの固定設備1で高さが異なる被固定物3を固定して品質検査等することができる。
なお、
図1に示される固定設備1は、2つのクランプ装置2を備えているが、3つ以上のクランプ装置2を備えていてもよい。
【0010】
図2は、実施の形態1に係るクランプ装置2の構成例を示す分解斜視図である。クランプ装置2は、固定台10、回転部材20、クランプ部材30、及びピン40を含む。なお、
図2では固定台10の図示を省略している。
【0011】
図3Aは、実施の形態1に係るクランプ装置2が被固定物3を固定した状態を示す平面図である。
図3Bは、
図3Aに示される状態のクランプ装置2をA−A線に沿って切断した断面図である。
図3Cは、
図3Aに示される状態のクランプ装置2を被固定物3側から見た斜視図である。
図3Dは、
図3Aに示される状態のクランプ装置2を被固定物3とは反対側から見た斜視図である。
【0012】
固定台10は、雌ねじ部11及びストッパ部12を有する。雌ねじ部11には、回転部材20の雄ねじ部22がねじ込まれる。
図1に示される固定設備1では、固定台10は、2つのクランプ装置2の雄ねじ部22がそれぞれねじ込まれる、2つの雌ねじ部11を有する。ストッパ部12は、クランプ部材30の外周面に形成されたストッパ溝36,37に係合することによって、クランプ部材30の回転を規制する。ストッパ部12がストッパ溝36に係合することによって、
図3A〜
図3Dのように押圧部35が被固定物3と対面する位置で、クランプ部材30の回転が規制される。また、ストッパ部12がストッパ溝37に係合することによって、後述する
図7A〜
図7Dのように押圧部35が被固定物3とは対面しない位置で、クランプ部材30の回転が規制される。このストッパ部12は、例えば、スリーブ12a、ばね12b、及びボール12cによって構成されるボールプランジャである。スリーブ12aは、固定台10においてストッパ溝36,37と対面する位置に固定される。スリーブ12aの内部には、ばね12bが収容される。ばね12bは、ボール12cをクランプ部材30の方向へ押し出す。
【0013】
回転部材20は、アーム部21、雄ねじ部22、ねじ23、及びばね24を有する。アーム部21は、作業者が手で握って回転操作するための部位である。このアーム部21の下端部には筒部21aが形成され、上端部にはばね収容部21bが形成されている。筒部21aの内周面は、セレーション又は六角形等の多角形状になっている。雄ねじ部22は、固定台10の雌ねじ部11にねじ込まれる。この雄ねじ部22の上端部には突起部22aが形成されている。突起部22aの外周面は、筒部21aの内周面の多角形状に対応する、セレーション又は六角形等の多角形状になっている。また、雄ねじ部22の上端部には、ばね収容部21bを貫通した状態のねじ23が締結されている。ばね収容部21bにおいて、ねじ23の外周側にはばね24が設置されている。ばね24は、一端部がねじ23の頭部裏に当接し、他端部がばね収容部21bの底面に当接した状態で、アーム部21を雄ねじ部22側へ付勢する。回転部材20において、筒部21aと突起部22aとが嵌合した状態で、筒部21aの多角形と突起部22aの多角形とが噛み合うことによって、アーム部21と雄ねじ部22とが一体に回転する。一方、雄ねじ部22が雌ねじ部11にねじ込まれた状態で作業者がアーム部21を上方向に移動させて筒部21aを突起部22aから外し、アーム部21を回転部材20の軸周りに回転させた後、再び筒部21aを突起部22aに嵌合させることにより、クランプ部材30及びピン40に対するアーム部21の角度を変更可能である。なお、ねじ23は、アーム部21に締結されていないため、アーム部21の角度変更時に作業者がねじ23を取り外す必要はない。
【0014】
クランプ部材30は、貫通穴31、支持部32、ピン移動溝33、ピン係合穴34、及び押圧部35を有する。筒体に形成された貫通穴31は、回転部材20の雄ねじ部22を貫通させる穴である。この貫通穴31の途中に、貫通穴31の内径が大きくなった形状の支持部32が形成されている。支持部32は、雄ねじ部22の段差部25に当接することによって回転部材20を支持する。この構成により、クランプ部材30と回転部材20とは、支持部32を中心として相対回転が可能である。また、上記筒体の外周へ突き出した板状の押圧部35は、固定台10上の被固定物3を押圧するためのものである。この押圧部35の上面には、支持部32を中心とする円弧状のピン移動溝33が形成されている。図示例では、ピン移動溝33の中心角は略120度であるが、この中心角に限定されない。ピン移動溝33の溝端部33bには、ピン係合穴34が形成されている。また、上記筒体の外周面における押圧部35側にはストッパ溝36が形成されており、このストッパ溝36とは180度間隔をあけてストッパ溝37が形成されている。
【0015】
ピン40は、アーム部21に取り付けられており、回転部材20と一体に回転する。また、ピン40は、雄ねじ部22に対して上下移動するように、アーム部21に取り付けられている。実施の形態1の構成例では、アーム部21と雄ねじ部22とが別体で構成されており、筒部21aと突起部22aとが嵌合した状態でアーム部21が雄ねじ部22に対して上下移動可能である。そのため、このアーム部21に固定されたピン40も、雄ねじ部22に対して上下移動可能である。ピン40の先端部は、クランプ部材30のピン移動溝33及びピン係合穴34に差し込まれる。このピン40は、
図3A〜
図3Dのように押圧部35が被固定物3と対面する位置にある場合、ピン移動溝33の溝端部33a側に位置し、後述する
図7A〜
図7Dのように押圧部35が被固定物3とは対面しない位置にある場合、ピン移動溝33の溝端部33b側に形成されたピン係合穴34に係合する。また、ピン40がピン移動溝33内に位置しているときは、回転部材20とクランプ部材30とは相対回転し、ピン40がピン係合穴34に係合しているときは、ピン40がピン係合穴34の内周面を押すことによって回転部材20とクランプ部材30とが同期回転する。
【0016】
次に、クランプ装置2の動作を説明する。まず、被固定物3を固定した状態のクランプ装置2がその固定を解除する動作を説明し、次に、クランプ装置2が被固定物3を固定する動作を説明する。
【0017】
まず、被固定物3を固定した状態のクランプ装置2がその固定を解除する動作を説明する。クランプ装置2は、以下に説明するように、
図3A〜
図3D、
図4A及び
図4B、
図5A〜
図5D、
図6A〜
図6D、並びに
図7A〜
図7Dの順に動作する。
図4Aは、実施の形態1に係るクランプ装置2が被固定物3の固定を解除する途中の状態であって、ピン40がピン移動溝33を移動している状態を示す平面図である。
図4Bは、
図4Aに示される状態のクランプ装置2をB−B線に沿って切断した断面図である。
図5Aは、実施の形態1に係るクランプ装置2が被固定物3の固定を解除する途中の状態であって、ピン40がピン係合穴34に係合した状態を示す平面図である。
図5Bは、
図5Aに示される状態のクランプ装置2をC−C線に沿って切断した断面図である。
図5Cは、
図5Aに示される状態のクランプ装置2を被固定物3側から見た斜視図である。
図5Dは、
図5Aに示される状態のクランプ装置2を被固定物3とは反対側から見た斜視図である。
図6Aは、実施の形態1に係るクランプ装置2が被固定物3の固定を解除する途中の状態であって、回転部材20とクランプ部材30とが一体に回転する状態を示す平面図である。
図6Bは、
図6Aに示される状態のクランプ装置2をD−D線に沿って切断した断面図である。
図6Cは、
図6Aに示される状態のクランプ装置2を被固定物3側から見た斜視図である。
図6Dは、
図6Aに示される状態のクランプ装置2を被固定物3とは反対側から見た斜視図である。
図7Aは、実施の形態1に係るクランプ装置2が被固定物3の固定を解除した状態を示す平面図である。
図7Bは、
図7Aに示される状態のクランプ装置2をF−F線に沿って切断した断面図である。
図7Cは、
図7Aに示される状態のクランプ装置2を被固定物3側から見た斜視図である。
図7Dは、
図7Aに示される状態のクランプ装置2を被固定物3とは反対側から見た斜視図である。
【0018】
被固定物3の固定解除時、作業者は、
図3Cに示される矢印の方向へ、アーム部21を回転操作する。すると、
図4A及び
図4Bに示されるように、アーム部21に固定されたピン40が、アーム部21の回転に伴って、ピン移動溝33を一方の溝端部33aからもう一方の溝端部33bへ移動する。一方、クランプ部材30は回転しないので、押圧部35は被固定物3と対面する位置に保持される。
また、アーム部21の回転に伴って、雄ねじ部22が、固定台10の雌ねじ部11から抜け出す方向に回転する。これにより、雄ねじ部22による支持部32に対する荷重が無くなり、押圧部35の被固定物3に対する押圧力も無くなる。
【0019】
作業者がアーム部21を
図3A〜
図3Dに示される状態から
図4A及び
図4Bに示す状態を経て120度回転操作し終えると、
図5A〜
図5Dに示されるように、ピン40がピン移動溝33の溝端部33bへ移動してピン係合穴34に相対する。アーム部21と雄ねじ部22との間に設置されたばね24が、アーム部21を雄ねじ部22側へ付勢しているため、
図5Bに示されるように、この付勢力を受けたピン40がピン係合穴34に係合する。ピン40とピン係合穴34との係合によって、回転部材20とクランプ部材30とが同期して回転可能な状態になる。
【0020】
作業者がアーム部21を
図5A〜
図5Dに示される状態からさらに90度回転操作しようとすると、ストッパ溝36に係合していたストッパ部12のボール12cが、ストッパ溝36の縁部に押されてスリーブ12a内に入るため、クランプ部材30の回転を規制していた力が無くなる。そして、作業者がアーム部21を90度回転操作する間、ピン係合穴34に係合しているピン40が、このピン係合穴34の内周面及びピン移動溝33の溝端部33bを押すことにより、クランプ部材30が回転部材20と同期して回転する。作業者がアーム部21を90度回転操作し終えると、
図6A〜
図6Cに示されるように、押圧部35の一部が、被固定物3と対面しない位置へ移動する。
【0021】
図8は、
図6Aに示される状態のピン移動溝33とピン係合穴34をE−E線に沿って切断した断面図である。
図8の例では、ピン40の先端部が、先へ行くほど細くなるテーパ形状になっている。これにより、ピン40がピン係合穴34に係合しやすくなると共に、ピン40がピン係合穴34から抜け出してピン移動溝33に乗り上がりやすくなる。
なお、ピン係合穴34の内周面が、ピン係合穴34の底部からピン移動溝33の底部へ行くほど広がるテーパ形状になっていてもよい。この場合にも、ピン40がピン係合穴34に係合しやすくなると共に、ピン40がピン係合穴34から抜け出してピン移動溝33に乗り上がりやすくなる。
【0022】
作業者がアーム部21を
図6A〜
図6Dに示される状態からさらに90度回転操作し終えると、
図7A〜
図7Dに示されるように、押圧部35全体が、被固定物3と対面しない位置へ移動する。したがって、被固定物3を固定台10から取り外し可能となる。
また、クランプ部材30のストッパ溝37がストッパ部12と対面する位置へ移動する。すると、ばね12bにより押し出されたボール12cが、ストッパ溝37に係合し、クランプ部材30の回転が規制される。クランプ部材30の回転が規制されることにより、押圧部35が被固定物3と対面しない位置に保持される。また、アーム部21の操作荷重が大きくなることにより、押圧部35が被固定物3と対面しない位置まで移動したことを作業者に感触で知らせることができる。
図9Aは、ストッパ部12とストッパ溝36,37の構成例を示す図であり、クランプ部材30を
図7BのG−G線に沿って切断した断面図である。
【0024】
被固定物3の固定時、作業者は、
図7A〜
図7Dに示される状態において
図7Cに示される矢印の方向へ、アーム部21を回転操作する。すると、ピン係合穴34に係合しているピン40が、ピン係合穴34の内周面を押すことにより、クランプ部材30が回転部材20と同期して回転する。クランプ部材30が回転しようとすると、ストッパ溝37に係合していたストッパ部12のボール12cが、ストッパ溝37の縁部に押されてスリーブ12a内に入るため、クランプ部材30の回転を規制していた力が無くなる。
【0025】
作業者がアーム部21を
図7A〜
図7Dに示される状態から180度回転操作し終えると、
図5A〜
図5Dに示されるように、押圧部35全体が、被固定物3と対面する位置へ移動する。
また、クランプ部材30のストッパ溝36がストッパ部12と対面する位置へ移動する。すると、ばね12bにより押し出されたボール12cが、ストッパ溝36に係合し、クランプ部材30の回転が規制される。よって、押圧部35は、被固定物3に対面する位置に保持される。
【0026】
作業者がアーム部21を
図5A〜
図5Dに示される状態からさらに120度回転操作しようとすると、アーム部21に固定されているピン40は、ピン係合穴34から抜け出てピン移動溝33に乗り上がり、ピン移動溝33を溝端部33bから溝端部33aへ移動する。
また、アーム部21の回転に伴って、雄ねじ部22が、固定台10の雌ねじ部11にねじ込まれる方向に回転する。これにより、雄ねじ部22の段差部25が支持部32に荷重をかけ、押圧部35が被固定物3を押圧する。押圧部35が被固定物3を押圧する力は、アーム部21の角度によって決まるため、被固定物3を押圧する力にばらつきが無く、また過剰な力によって押圧部35等のクランプ装置2を構成する部材が破損することも無い。
【0027】
作業者がアーム部21を
図5A〜
図5Dに示される状態から120度回転操作し終えると、
図3A及び
図3Cに示されるように、ピン40がピン移動溝33の溝端部33aに当接する。これにより、回転部材20の回転が規制される。
【0028】
なお、被固定物3の高さが高いと、作業者がアーム部21を
図5A〜
図5Dに示される状態から120度回転操作する途中で、押圧部35が被固定物3を所定の圧力で押圧した状態になり、それ以上アーム部21を回転操作できなくなる場合がある。例えばアーム部21が被固定物3と対面する位置で回転操作できなくなった場合、品質検査等を行う際にアーム部21が邪魔になる。その場合、作業者は、アーム部21を上方向に移動させて筒部21aを突起部22aから外し、
図3A〜
図3Dに示すような邪魔にならない位置までアーム部21を回転部材20の軸周りに回転させた後、再び筒部21aを突起部22aに嵌合させればよい。
【0029】
また、被固定物3の高さが低いと、作業者がアーム部21を
図5A〜
図5Dに示される状態から120度回転操作し終えても、押圧部35と被固定物3との間に隙間が残る場合がある。その場合、作業者は、アーム部21を上方向に移動させて筒部21aを突起部22aから外し、ピン40がピン移動溝33の溝端部33b側にくるようにアーム部21を回転部材20の軸周りに回転させた後、再び筒部21aを突起部22aに嵌合させる。そして、作業者は、再びアーム部21を回転操作することによって、ピン40をピン移動溝33の溝端部33aへ移動させながら、雄ねじ部22を雌ねじ部11にねじ込んで、押圧部35を被固定物3に近づけ、被固定物3を所定の圧力で押圧した状態にする。
ただし、ピン移動溝33の中心角を大きくすることで、又は、雄ねじ部22と雌ねじ部11のリード角を大きくすることで、押圧部35の上下方向の移動量を増やしてクランプ装置2が固定可能な被固定物3の高さ範囲を大きくすることができる。これにより、上述したような、作業者がアーム部21を
図5A〜
図5Dに示される状態から120度回転操作し終えても押圧部35と被固定物3との間に隙間が残る事態を回避できる。
【0030】
また、
図9Aの例では、クランプ部材30の外周面にストッパ溝36,37が形成されたが、
図9Bのように、クランプ部材30の外周面におけるストッパ溝36からストッパ溝37までの間に、回転防止凸部38が形成されてもよい。
図9Bは、ストッパ部12とストッパ溝36,37の変形例を示す図であり、クランプ部材30を
図7BのG−G線に相当する位置で切断した断面図である。回転防止凸部38は、クランプ部材30の外周面から突出した形状であり、回転防止凸部38のストッパ溝36側の側壁がストッパ部12のスリーブ12aに当接することにより、クランプ部材30の、ストッパ溝37からストッパ溝36へ回転した後の更なる同方向への回転(即ち、回転し過ぎ)を禁止する。また、回転防止凸部38のストッパ溝37側の側壁がストッパ部12のスリーブ12aに当接することにより、クランプ部材30の、ストッパ溝36からストッパ溝37へ回転した後の更なる同方向への回転(即ち、回転し過ぎ)を禁止する。
【0031】
以上のように、実施の形態1によれば、クランプ装置2は、固定台10と、回転部材20と、クランプ部材30と、ピン40とを備える。固定台10は、雌ねじ部11を有する。回転部材20は、回転操作されるアーム部21と、雌ねじ部11にねじ込まれる雄ねじ部22とを有する。クランプ部材30は、雄ねじ部22を貫通させた状態で支持する支持部32と、支持部32を中心とする円弧状のピン移動溝33と、ピン移動溝33の溝端部33bに形成されたピン係合穴34と、固定台10上の被固定物3を押圧する押圧部35とを有する。ピン40は、アーム部21に取り付けられ、先端部がピン移動溝33内を移動可能かつピン係合穴34に係合可能であって、ピン係合穴34に係合している場合にピン係合穴34の内周面を押すことによってクランプ部材30を回転部材20と一体に回転させる。ピン40がピン係合穴34からピン移動溝33の方向へ移動するようにアーム部21が回転操作された場合、即ち被固定物3の固定時、ピン係合穴34に係合しているピン40がピン係合穴34の内周面を押すことによってクランプ部材30が回転部材20と一体に回転して押圧部35が被固定物3と対面する位置へ移動する。その後、ピン40がピン係合穴34を抜け出てピン移動溝33内を移動することによって回転部材20が回転し、雄ねじ部22が雌ねじ部11にねじ込まれることによって押圧部35が被固定物3を押圧する。反対に、ピン移動溝33からピン係合穴34の方向へ移動するようにアーム部21が回転操作された場合、即ち被固定物3の固定解除時、回転部材20が回転して雄ねじ部22が雌ねじ部11から抜け出ることによって押圧部35が被固定物3から離れると共に、ピン40がピン移動溝33内を移動してピン係合穴34に係合する。その後、ピン40がピン係合穴34の内周面を押すことによってクランプ部材30が回転部材20と一体に回転し、押圧部35が被固定物3と対面しない位置に移動する。このように、押圧部35が被固定物3と対面する位置に移動した状態で、回転部材20のみが回転することによって、雌ねじ部11に雄ねじ部22がねじ込まれていき押圧部35が被固定物3を押圧する。したがって、クランプ装置2は、高さが異なる被固定物3を固定可能である。
【0032】
また、実施の形態1の雄ねじ部22とアーム部21とは別体で構成され、雄ねじ部22の一端には多角形状の突起部22aが形成されている。また、アーム部21の一端には、雄ねじ部22の突起部22aが嵌合する多角形状の筒部21aが形成されている。雄ねじ部22とアーム部21との間には、ピン40とアーム部21とを雄ねじ部22の方向へ付勢するばね24が設置されている。この構成により、作業者は、クランプ装置2に被固定物3を固定させた後、アーム部21を邪魔にならない位置に移動できる。したがって、クランプ装置2は、形状が異なる被固定物3を固定可能である。
【0033】
また、実施の形態1の固定台10は、クランプ部材30の方向に突出するストッパ部12を有する。クランプ部材30は、押圧部35が被固定物3と対面する位置にある場合、及び押圧部35が被固定物3と対面しない位置にある場合のそれぞれでストッパ部12が係合するストッパ溝36,37を有する。これにより、クランプ装置2は、被固定物3が固定された状態及び被固定物3の固定が解除された状態を維持できる。
【0034】
実施の形態2.
実施の形態1では、アーム部21が回転操作されるときのトルクにより、ピン40がピン係合穴34から抜け出てピン移動溝33へ乗り上がる構成であった。これに対し、実施の形態2では、ピン係合穴34に係合しているピン40を、ピン係合穴34から抜け出す方向に押し出す構成を備える。
【0035】
図10Aは、実施の形態2に係るクランプ装置2が被固定物3を固定した状態を示す平面図である。
図10Bは、
図10Aに示される状態のクランプ装置2をH−H線に沿って切断した断面図である。
図11は、実施の形態2に係るクランプ装置2が被固定物3の固定を解除する途中の状態であって、ピン40がピン移動溝33を移動している状態を示す平面図である。
図12Aは、実施の形態2に係るクランプ装置2が被固定物3の固定を解除する途中の状態であって、ピン40が溝端部33bに移動した状態を示す平面図である。
図12Bは、
図12Aに示される状態のクランプ装置2をL−L線に沿って切断した断面図である。
図12Cは、
図12BのK領域を拡大した図である。
図13Aは、
図12Aに示される状態からクランプ装置2を若干解除方向に回転させたときの状態をL−L線に沿って切断した断面図である。
図13Bは、
図13AのM領域を拡大した図である。
なお、
図10A及び
図10B、
図11、
図12A〜
図12C並びに
図13A及び
図13Bにおいて、
図1〜
図9Bと同一又は相当する部分は、同一の符号を付し説明を省略する。
【0036】
ピン押し出し部50は、固定台10における、押圧部35が被固定物3と対面する位置にあるときにピン係合穴34と対面する位置に、設けられている。このピン押し出し部50は、例えば固定台10に形成された凹状のピン収容部50aと、このピン収容部50aに収容されたばね50b及び押し出し凸部50cとによって構成される。押し出し凸部50cは、その先端部がピン係合穴34には入るがピン係合穴34からピン移動溝33へは飛び出さない高さになるような形状であり、ばね50bに押し出されている。ばね50bの付勢力は、アーム部21を付勢するばね24の付勢力より大きくなるよう、調節されている。
【0037】
次に、被固定物3を固定した状態のクランプ装置2がその固定を解除する動作を行なっているときの、ピン押し出し部50の動作を説明する。
図10A及び
図10Bに示されるように、被固定物3を固定した状態のクランプ装置2において、ばね50bに保持された押し出し凸部50cは、ピン係合穴34に嵌り込んでいる。作業者がアーム部21を
図10A及び
図10Bに示される状態から回転操作すると、
図11に示されるように、アーム部21に取り付けられたピン40が、アーム部21の回転に伴って、ピン移動溝33を一方の溝端部33aからもう一方の溝端部33bへ移動する。一方、クランプ部材30は、押し出し凸部50cがピン係合穴34に嵌り込むことによって回転が規制されているため、回転しない。
【0038】
作業者がアーム部21を
図10A及び
図10Bに示される状態から
図11に示される状態を経て120度回転操作し終えると、ピン40が、
図12A〜
図12Cに示されるようにピン移動溝33の溝端部33bへ移動し、
図12A〜
図12Cに示されるようにピン係合穴34に相対する。このピン係合穴34には、ばね50bによって押し出された押し出し凸部50cがあるため、ピン40はピン係合穴34に係合できない。しかし、作業者がアーム部21を
図12A〜
図12Cに示される状態からさらに回転させる操作を行うと、ピン40がピン移動溝33の溝端部33bを押すことにより、クランプ部材30が回転部材20と同期して回転し、このとき、
図13A及び
図13Bに示されるようにピン係合穴34の縁部が押し出し凸部50cを押圧してピン収容部50aへ退出させる。押し出し凸部50cがピン係合穴34から退出した後、ピン40はピン係合穴34に係合する。その後、実施の形態1と同様に、作業者がアーム部21を回転操作することにより、クランプ装置2は、
図7A〜
図7Dに示される状態となり、被固定物3は固定台10から取り外し可能となる。
【0039】
次に、クランプ装置2が被固定物3を固定する動作を行なっているときの、ピン押し出し部50の動作を説明する。
被固定物3の固定時、作業者が、
図7A〜
図7Dに示される状態のアーム部21を180度回転操作すると、クランプ部材30が回転部材20と同期して回転し、
図13A及び
図13Bに示される状態になる。
図13A及び
図13Bに示されるように、ピン40が押し出し凸部50cと対面すると、ばね50bが押し出し凸部50cをピン係合穴34へ押し出すことにより、
図12B及び
図12Cに示されるようにこの押し出し凸部50cによってピン40がピン係合穴34から押し出される。その後、実施の形態1と同様に、作業者がアーム部21を回転操作することにより、クランプ装置2は、
図10A及び
図10Bに示される状態となり、被固定物3は固定台10に固定される。
【0040】
以上のように、実施の形態2に係るクランプ装置2は、ピン係合穴34に係合しているピン40を、ピン係合穴34から抜け出す方向に押し出すピン押し出し部50を備える。これにより、クランプ部材30の押圧部35が被固定物3と対面しない位置から被固定物3と対面する位置へ移動する途中、ピン40がスムーズにピン係合穴34から抜け出てピン移動溝33に乗り上がる。したがって、クランプ装置2の操作性が向上する。
【0041】
なお、実施の形態2では、固定台10がピン押し出し部50を有するが、被固定物3がピン押し出し部50を有してもよい。
【0042】
本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0043】
実施の形態1,2では、アーム部21と雄ねじ部22とが別体で構成されたが、アーム部21と雄ねじ部22とが一部品として構成されてもよい。アーム部21と雄ねじ部22とが一部品として構成される場合、ピン40は、ばね等によって押圧部35の方向へ付勢された状態でアーム部21に取り付けられることが好ましい。ピン40がばね等を介してアーム部21に取り付けられることで、ピン40が雄ねじ部22に対して上下移動できるため、アーム部21の回転操作時、ピン40がピン係合穴34に係合しやすくなると共に、ピン40がピン係合穴34から抜け出してピン移動溝33に乗り上がりやすくなる。
【0044】
また、実施の形態1,2では、固定台10がストッパ部12を有するが、ストッパ部12を有していなくてもよい。また、実施の形態1,2では、クランプ部材30がストッパ溝36,37を有するが、ストッパ溝36又はストッパ溝37のいずれか一方のみを有してもよい。
【解決手段】押圧部35が被固定物3と対面する位置に移動した状態で、回転部材20のみが回転することによって、雌ねじ部11に雄ねじ部22がねじ込まれていき押圧部35が被固定物3を押圧するので、クランプ装置2は高さが異なる被固定物3を固定可能である。