(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガス空間における被検出ガスの流れの上流側に前記ガス流入口が配置され、前記ガス流入口よりも被検出ガスの流れの下流側に前記ガス流出口が配置される請求項1乃至4のいずれか1項に記載のガスセンサ。
前記ガス流入口は、前記第1端部と前記第2端部とが並ぶ方向に対して平行に延在する開口面を有し、前記開口面が前記ガス空間における被検出ガスの流れる方向と交わるように配置される請求項5又は6に記載のガスセンサ。
前記第2端部における前記ガス流入口と前記ガス流出口との間の領域から前記ガス空間に向けて突出し、前記ガス空間における被検出ガスの流れを規制する整流板をさらに備える請求項1乃至7のいずれか1項に記載のガスセンサ。
前記光源、前記検出器及び前記光反射部は、前記距離L1及び前記距離L2の少なくとも一方が、R×0.9以上R未満、又はRより大きくR×1.1以下の条件を満たすように配置される請求項21に記載のガスセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に用いられる「第1」、「第2」等の用語は、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る恒温装置の一部分を示す水平断面図である。
図1では、ガスセンサ100を鉛直方向上方から観察したときの断面形状を図示している。本実施の形態に係る恒温装置1は、筐体2と、恒温槽4と、ガスセンサ100(100G)とを備える。本実施の形態の恒温装置1は、一例として乾熱滅菌機能付きのCO
2インキュベータである。筐体2は、恒温装置1の外筐を構成する。恒温槽4は、筐体2の内部に配置される。恒温槽4には、細胞等の培養物が収容される。恒温装置1は、筐体2に設けられる図示しない外扉と恒温槽4に設けられる図示しない内扉とを介して、培養物を恒温槽4に搬入あるいは恒温槽4から取り出すことができる。恒温槽4には、二酸化炭素(CO
2)等を含むガス(以下では、槽内ガスと称する)が収容される。
【0014】
ガスセンサ100は、恒温槽4の槽内ガスに含まれる所定のガス(以下では、被検出ガスと称する)を検出するためのセンサである。本実施の形態における被検出ガスは、一例としてCO
2である。ガスセンサ100は、被検出ガスの存在及び濃度を検出することができる。ガスセンサ100は、検出結果を示す信号を、恒温装置1の図示しない制御部に送信する。ガスセンサ100は、恒温槽4の内側と外側とを連通する貫通孔4aに挿入されて固定される。筐体2と恒温槽4との間の空間には、図示しない断熱材が配置される。
【0015】
ガスセンサ100は、ガス検出部101と、ガス通路部130とを備える。ガス検出部101は、光源102と、検出器104と、ガス導入室132と、ブラケット134とを有する。光源102、検出器104、ガス導入室132及びブラケット134は、筐体101aに収容される。
【0016】
光源102は、所定波長の光を出射する。本実施の形態の光源102は、一例として、黒体薄膜からなる熱型赤外光源であり、広い波長範囲で赤外光を出射する。赤外光源としては、高温の発熱体から赤外光が発生する熱型赤外光源が主流であり、発熱体はフィラメント、セラミック、薄膜などがある。また、光源102には、LEDを利用することもできる。光源102は、基板136に搭載され、基板136上の図示しない配線パターンに電気的に接続される。
【0017】
検出器104は、光源102の光を受光し、被検出ガスによる光の吸収に基づいて被検出ガスを検出する。具体的には検出器104は、図示しない受光素子で光源102から出射される光を受けて、被検出ガスによる光の吸収に起因した光の強度変化に基づいて、被検出ガスを検出する。本実施の形態の検出器104は、一例として、赤外光を吸収して電気信号を出力する赤外線センサである。このような赤外線センサとしては、フォトダイオードやフォトコンダクタ等の、光電変換によって信号を出力する量子型センサや、サーモパイルや焦電型センサ等の、赤外光吸収による温度変化を電気信号に変換する熱型センサ等を例示することができる。検出器104は、基板138に搭載され、基板138上の図示しない配線パターンに電気的に接続される。
【0018】
光源102と検出器104とは、光源102の光出射面102aと検出器104の受光面104eとが対向するように配置される。光源102と検出器104との間には、被検出ガスが流入するガス導入室132が配置される。ガス導入室132は、第1空間132aと、第2空間132bと、第3空間132cとを有する。第1空間132aは、光源102と検出器104とが並ぶ方向に対して交わる方向に延在し、ガス通路部130に接続される。第2空間132bは、第1空間132aから光源102側に延びる。第3空間132cは、第1空間132aから検出器104側に延びる。
【0019】
第1空間132aには、恒温槽4内の槽内ガスがガス通路部130を経由して流れ込む。第2空間132b及び第3空間132cには、第1空間132aを通過した槽内ガスが流れ込む。第1空間132aと光源102との間に第2空間132bを設け、第1空間132aと検出器104との間に第3空間132cを設けることで、恒温槽4から光源102及び検出器104までの槽内ガスの流路長を伸ばすことができる。これにより、光源102及び検出器104に接近する槽内ガスの温度が低下するため、光源102及び検出器104の温度上昇を抑制することができる。
【0020】
また、光源102と検出器104との間には、被検出ガスを測定するために所定の距離(光学距離)を確保する必要がある。第2空間132b及び第3空間132cを介さずに第1空間132aに光源102と検出器104とを接続する構造では、第1空間132aの幅を光学距離まで拡げる必要がある。この場合、ガス導入室132を画成する部材の強度を確保することが困難になるおそれがある。これに対し、第2空間132b及び第3空間132cを設けることで、第1空間132aの幅を光学距離よりも短くすることができる。これにより、ガス導入室132を画成する部材の強度をより確実に確保することができる。
【0021】
好ましくは、第2空間132bを画成する壁面、及び第3空間132cを画成する壁面には、金属膜が成膜される。金属膜は、例えば、赤外領域で高い反射率を有する金、アルミニウム、クロム等からなる。金属膜を設けることで、光源102の光が第2空間132b及び第3空間132cの壁面に吸収されることを抑制し、光源102から検出器104への導光効率を高めることができる。これにより、ガスセンサ100の検出感度を向上させることができる。
【0022】
光源102及び検出器104は、ブラケット134により支持される。ブラケット134は、第1収容部134aと、第2収容部134bとを有する。第1収容部134aは、ガス導入室132の第2空間132bに隣接して配置される。第1収容部134aには光源102が収容される。光源102は、光出射面102aが第2空間132b側を向くように配置される。第1収容部134aは、第2空間132b側に開口を有する。この開口は、第1蓋部材140によって塞がれる。したがって、第1蓋部材140によってガス導入室132と第1収容部134aとが隔てられ、第1収容部134a内への槽内ガスの漏出が抑制される。これにより、ガスセンサ100の検出精度が低下することを抑制することができる。好ましくは、第1収容部134aの開口は、第1蓋部材140によって気密に封止される。
【0023】
第2収容部134bは、ガス導入室132の第3空間132cに隣接して配置される。第2収容部134bには検出器104が収容される。検出器104は、受光面104eが第3空間132c側を向くように配置される。第2収容部134bは、第3空間132c側に開口を有する。この開口は、第2蓋部材142によって塞がれる。したがって、第2蓋部材142によってガス導入室132と第2収容部134bとが隔てられ、第2収容部134b内への槽内ガスの漏出が抑制される。これにより、ガスセンサ100の検出精度が低下することを抑制することができる。好ましくは、第2収容部134bの開口は、第2蓋部材142によって気密に封止される。
【0024】
第1蓋部材140及び第2蓋部材142は、光源102の光に対する透過性を有する(すなわち、出射光の吸収率が低い)材料からなる。したがって、第1蓋部材140及び第2蓋部材142は、光学窓を構成する。本実施の形態では、光源102から赤外光が出射されるため、第1蓋部材140及び第2蓋部材142は、例えばゲルマニウム、シリコン、サファイア等で構成される。
【0025】
光源102と、第1蓋部材140及び第2蓋部材142とは、ブラケット134を介して熱伝導可能に接続されている。これにより、光源102の熱で第1蓋部材140及び第2蓋部材142を加熱することができる。この結果、第1蓋部材140及び第2蓋部材142に結露が生じることを抑制することができる。結露の発生を抑制することで、光源102から検出器104への導光効率の低下を抑制することができる。ブラケット134は、例えばアルミニウム等の高い熱伝導性を有する材料で形成される。
【0026】
検出器104と第2蓋部材142とは、離間して配置される。検出器104と第2蓋部材142との間に空間を設けることで、第2蓋部材142から検出器104への熱伝導を抑制することができる。これにより、ガスセンサ100の検出精度をより向上させることができる。一方、光源102と第1蓋部材140とは、接触するように配置される。これにより、光源102の熱を第1蓋部材140により効率よく伝達することができる。また、光源102から検出器104への導光効率も高めることができる。なお、検出器104は、第2収容部134bの壁面に対しても離間するように配置される。これにより、光源102の熱がブラケット134を介して検出器104に伝わることを抑制することができる。
【0027】
また、光源102及び検出器104は、ガスセンサ100の外部と、ひいては恒温装置1の外部と連通している。具体的には、第1収容部134aは、第2空間132bとは反対の側にも開口を有する。同様に、第2収容部134bは、第3空間132cとは反対の側にも開口を有する。例えば、第1収容部134a及び第2収容部134bは、ブラケット134に設けられる貫通孔からなる。また、筐体101aには、開口(図示せず)が設けられる。これにより、光源102及び検出器104は、ガスセンサ100の外部及び恒温装置1の外部と連通する。このような構成により、光源102及び検出器104の存在領域を外部との間で換気することができる。この換気により、後述するパッキン120と貫通孔4aとの隙間やパッキン120とガスセンサ100との隙間から槽内ガスが漏出してしまった場合でも、漏出したガスに起因するガスセンサ100の検出精度の低下を抑制することができる。
【0028】
ガス検出部101は、ガス導入室132を加熱するヒータ(図示せず)を備えてもよい。ヒータによって被検出ガスの測定領域、言い換えれば光源102と検出器104との間に位置する被検出ガスの存在空間の温度を一定に保つことで、ガスセンサ100の検出精度を向上させることができる。また、第1蓋部材140及び第2蓋部材142に結露が生じることを抑制することができる。
【0029】
ガス通路部130は、被検出ガスを含む槽内ガスの通路であり、恒温槽4とガス検出部101との間に介在する。ガス通路部130を設けることで、ガス検出部101を恒温槽4から離間させることができる。これにより、恒温槽4の内部空間から光源102及び検出器104への熱の伝達を抑制することができる。その結果、光源102及び検出器104の熱による損傷を抑制することができるため、ガスセンサ100の検出精度の低下を抑制することができる。
【0030】
ガス通路部130は、管状部材で構成され、第1端部144と、第1端部144とは反対側の第2端部146と、第1端部144から第2端部146にかけて延在する中空部148とを有する。第1端部144は、ガス検出部101側に配置される。第2端部146は、被検出ガスの存在するガス空間側、すなわち恒温槽4側に配置される。
【0031】
中空部148の第1端部144側の端部は、ガス導入室132の第1空間132aに接続される。中空部148の第2端部146側の端部は、恒温槽4の内部空間に接続される。中空部148の第2端部146側の端部には、キャップ150が嵌め込まれる。キャップ150は、耐熱性及び撥水性を有する多孔質材料、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂材料や、金属メッシュ、パンチングメタル、エキスパンドメタル等で構成される。キャップ150の耐熱性は、好ましくは200℃以上である。キャップ150は、槽内ガスを通過させることができる。
【0032】
被検出ガスを含む槽内ガスは、中空部148を介して恒温槽4とガス検出部101との間で流通する。中空部148は、第2端部146側から第1端部144側に近づくにつれて流路断面積Nが段階的又は連続的に小さくなる形状を少なくとも一部に有する。すなわち、中空部148は、第1端部144と第2端部146とが並ぶ方向に対して垂直な断面の面積が、第2端部146側から第1端部144側に近づくにつれて段階的又は連続的に小さくなる形状を有する。
図1に示される中空部148は、流路断面積Nが第2端部146から第1端部144にかけて連続的に小さくなる形状を有する。
【0033】
第2端部146側の流路断面積Nを大きくすることで、槽内ガスを中空部148内に取り込みやすくすることができる。一方、第1端部144側の流路断面積Nを小さくすることで、光源102と検出器104との距離を接近させやすくすることができる。本実施の形態における光源102と検出器104との距離は、例えば約10mmである。光源102と検出器104との距離を接近させることで、被検出ガスの検出に必要な光源102の光度を低減することができる。すなわち、より低パワーでの被検出ガスの測定が可能となる。また、ガス検出部101の大型化を抑制することができる。
【0034】
ガス通路部130は、少なくとも一部が断熱性材料で構成される。本実施の形態のガス通路部130は、全体が断熱性材料で構成される。ガス通路部130の一部分のみが断熱性材料で構成される場合は、第1端部144から第2端部146までの間のいずれかの位置で非断熱性材料が不連続となるように、断熱性材料が配置されることが好ましい。ガス通路部130の少なくとも一部が断熱性材料で構成されることで、恒温槽4の内部空間の熱がガス通路部130を介して光源102及び検出器104に伝達されることを抑制することができる。
【0035】
例えば、断熱性材料としては、恒温槽4の内部の温度が190℃のときに、光源102及び検出器104周辺の温度が100℃以下になる材料が選択される。断熱性材料として熱抵抗の高い材料を選択することで、断熱効果を高めることができる。また断熱性材料としては、高温耐性樹脂が好適である。高温耐性樹脂は、金属に比べて加工が容易であるとともに、熱抵抗が高いためである。断熱性材料の具体例としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);シリコン樹脂;ポリアミドイミド(PAI)等を例示することができる。
【0036】
本実施の形態では、ガス通路部130と、ガス検出部101のガス導入室132とが断熱性材料で一体成形された構造を有する。すなわち、断熱性材料からなる一体の管状部材の内部に、中空部148と、第1空間132aと、第2空間132bと、第3空間132cとが画成されている。
【0037】
ガスセンサ100は、恒温槽4の貫通孔4aにガス通路部130が挿通された状態で、ガス通路部130の外側面と貫通孔4a内側面との間にパッキン120が嵌め込まれることにより、恒温槽4に対して固定される。パッキン120は、例えばシリコーン樹脂からなる。ガスセンサ100は、ガス通路部130の第2端部146が恒温槽4内に露出し、ガス通路部130が貫通孔4a内に位置し、ガス検出部101が恒温槽4の外部に位置する。
【0038】
ガスセンサ100は、恒温槽4に固定された状態で、ガス通路部130が水平に延在するように配置される。すなわち、ガスセンサ100は、第1端部144と第2端部146とが水平方向に並ぶように配置される。このように、ガスセンサ100を横置きとすることで、ガス通路部130やガス導入室132の内部にダストや液体が進入することと、進入したダストや液体が内部に溜まることとを抑制することができる。これにより、ガスセンサ100の検出精度の低下を抑制することができる。
【0039】
ガスセンサ100が恒温槽4に固定された状態で、中空部148及び第1空間132aは、水平方向で且つ恒温槽4の壁面4bの法線方向に延在する。第2空間132b及び第3空間132cは、水平方向で且つ恒温槽4の壁面4bに平行に延在する。光源102及び検出器104は、水平方向に配列される。光源102と検出器104とをガスセンサ100の側面に配置することで、光源102上あるいは検出器104上にダストや水分が溜まることを抑制することができる。
【0040】
また、中空部148は、底面が第2端部146側に位置し、上面が第1端部144側に位置する略円錐台形状の部分を有する。したがって、中空部148の鉛直方向下側の表面は、少なくとも一部において、第1端部144から第2端部146に近づくにつれて鉛直方向下方に向かうように傾斜するテーパ状となっている。これにより、中空部148やガス導入室132の内部からダストや液体が排出されやすくなるため、ダストや液体が溜まることをより抑制することができる。
【0041】
恒温槽4の槽内ガスは、キャップ150を介して中空部148に流入する。中空部148に流入した槽内ガスは、第1端部144側に進み、ガス導入室132の第1空間132aに流入する。第1空間132aに流入した槽内ガスは、第2空間132b及び第3空間132cに流入する。この結果、第1空間132a〜第3空間132cは槽内ガスで満たされる。
【0042】
光源102の光は、被検出ガスに向けて出射される。すなわち、光源102の光は、被検出ガスを含む槽内ガスが充満する第2空間132bに向けて出射される。光源102から出射される光は、第1蓋部材140、第2空間132b、第1空間132aにおける第2空間132bと第3空間132cとで挟まれる領域、第3空間132c、第2蓋部材142を経て、検出器104に到達する。この過程で、第1空間132a〜第3空間132cに存在する被検出ガスにより所定波長の光が吸収される。検出器104は、この所定波長の光の光量変化から、被検出ガスの存在及び濃度を検出することができる。
【0043】
本実施の形態では、光源102から赤外光が出射され、第1空間132a〜第3空間132cに存在するCO
2によって波長4.26μmの光が吸収される。検出器104は、光源102から出射された光における波長4.26μmの光の強度(光量)を基準として、受光素子が受けた光における波長4.26μmの光の強度(光量)に基づいてCO
2の存在及び濃度を検出することができる。ガスセンサ100が検出可能なCO
2の濃度は、例えば0〜20%である。
【0044】
本発明者らは、本実施の形態に係るガスセンサ100を用いて、CO
2の濃度を測定した。第1端部144から第2端部146までの距離は50mmとした。ガス通路部130とガス検出部101とが並ぶ方向における第1端部144から光出射面102aの中心までの距離は10mmとした。第1蓋部材140から第2蓋部材142までの距離は10mmとした。中空部148の第2端部146側の直径は20mmとした。ガス導入室132には、5%濃度のCO
2ガスを導入した。光源102には、ブロードな発光スペクトルを持つ黒体放射の赤外発光光源を用いた。検出器104の受光面104eには、波長4.26μmの光のみを透過する光学フィルタを設置した。このCO
2の濃度測定の結果、ガスセンサ100の検出感度が良好であり、高精度にCO
2の濃度を検出できることを確認した。また、恒温槽4内を190℃に加熱し、光源102及び検出器104の周辺温度を測定した。そして、当該周辺温度が100℃以下であることを確認した。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態に係るガスセンサ100は、光源102及び検出器104を有するガス検出部101と、恒温槽4とガス検出部101との間で被検出ガスを流通させるガス通路部130とを備える。ガス通路部130は、第1端部144、第2端部146、及び第1端部144から第2端部146にかけて延在する中空部148を有する。中空部148は、第2端部146側から第1端部144側に近づくにつれて流路断面積Nが段階的又は連続的に小さくなる形状を有する。第1端部144はガス検出部101側に配置され、第2端部146はガス空間側に配置される。被検出ガスは、中空部148を介して恒温槽4とガス検出部101との間で流通する。
【0046】
ガス通路部130を設けることで、光源102及び検出器104と、恒温槽4とを熱的に分離することができる。これにより、槽内ガスの温度が光源102及び検出器104の耐熱温度を超える場合や、槽内ガスが充填される空間に乾熱滅菌が施される場合等、恒温槽4の温度が高温になる場合であっても、光源102及び検出器104の熱による損傷を抑制することができる。よって、ガスセンサ100の検出精度の低下を抑制することができる。
【0047】
また、ガスセンサ100を恒温装置1に搭載することで、槽内ガスに含まれる被検出ガスの濃度を高精度に検出することができるため、恒温装置1の性能を向上させることができる。また、ガスセンサ100を取り外すことなく乾熱滅菌処理を施すことができるため、恒温装置1の使い勝手を向上させることができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、光源102と検出器104とを水平方向に配列しているが、特にこの構成に限定されない。例えば、光源102と検出器104とは、鉛直方向に配列されてもよい。この場合、光源102を下方に配置することが好ましい。これにより、光源102の熱を第1蓋部材140及び第2蓋部材142に伝えやすくすることができる。この結果、第1蓋部材140に結露が生じることを抑制することができる。
【0049】
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2に係るガスセンサを模式的に示す鉛直断面図である。
図3(A)は、実施の形態2に係る恒温装置を模式的に示す鉛直断面図である。
図3(B)は、槽内ガスの流れを模式的に示す図である。以下、本実施の形態に係るガスセンサについて実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
【0050】
図2に示すように、本実施の形態に係るガスセンサ100(100H)は、光源102、検出器104(
図1参照)及びガス導入室132を有するガス検出部101と、ガス通路部130とを備える。ガス通路部130は、第1端部144と、第2端部146と、中空部148と、仕切り部材152とを有する。第1端部144は、ガス検出部101側に配置され、第2端部146は、恒温槽4側に配置される。ガス通路部130は、中空部148を介して被検出ガスを恒温槽4とガス検出部101との間で流通させる。中空部148は、第2端部146側から第1端部144側に近づくにつれて流路断面積Nが小さくなる形状を有する。また、中空部148は、鉛直方向下側の表面148cが第1端部144から第2端部146に近づくにつれて鉛直方向下方に向かうように傾斜する。
【0051】
仕切り部材152は、中空部148を、第1領域148a及び第2領域148bの少なくとも2つの領域に区画する部材である。本実施の形態では、仕切り部材152によって中空部148が第1領域148a及び第2領域148bの2つの領域に区画されている。第1領域148a及び第2領域148bは、それぞれ第1端部144側から第2端部146側に延在する。本実施の形態では、仕切り部材152は、第1端部144から第2端部146にかけて延在する。したがって、第1領域148a及び第2領域148bは、それぞれ第1端部144から第2端部146にかけて延在する。
【0052】
また、ガス通路部130は、ガス流入口154と、ガス流出口156とを有する。ガス流入口154は、第2端部146に配置されて、恒温槽4の内部空間と第1領域148aとを接続する。ガス流出口156は、第2端部146に配置されて、第2領域148bと恒温槽4の内部空間とを接続する。ガス流入口154は多孔質部材158で塞がれ、ガス流出口156は多孔質部材160で塞がれる。多孔質部材158,160を構成する材料としては、キャップ150を構成する材料と同じものが例示される。多孔質部材158,160は、被検出ガスを通過させることができる。
【0053】
ガス流入口154及びガス流出口156の開口面は、第1端部144と第2端部146とが並ぶ方向B(
図2において矢印Bで示す方向)に対して平行に延在する。多孔質部材158及び多孔質部材160が方向Bに対して平行に延在していることからも、ガス流入口154及びガス流出口156の開口面が矢印Bに対して平行に延在することが理解できる。すなわち、ガス流入口154及びガス流出口156は、ガス通路部130の側面に配置されている。
【0054】
図3(A)及び
図3(B)に示すように、ガスセンサ100は、ガス流入口154及びガス流出口156が恒温槽4の壁面4bから内部空間に突出するようにして、恒温槽4の壁面4bに設置される。通常、恒温槽4内には、槽内ガスの流れ(ガス流れF)が存在する。ガス流入口154は、開口面が恒温槽4におけるガス流れFと交わるように、すなわち被検出ガスの流れる方向と交わるように配置される。好ましくは、ガス流入口154は、開口面がガス流れFと直交するように配置される。また、ガス流出口156は、ガス流れFの方向においてガス流入口154とは反対側に配置される。
【0055】
また、ガス流入口154は、ガス流れFの上流側に配置され、ガス流出口156は、ガス流入口154よりもガス流れFの下流側に配置される。さらに、第2端部146は、恒温槽4において被検出ガスが鉛直方向下方に向かって流れる領域に配置される。そして、ガス流入口154はガス流出口156よりも鉛直方向上方に配置される。
【0056】
恒温槽4に存在する、被検出ガスを含む槽内ガスは、ガス流入口154から中空部148内に流入し、第1領域148aを第1端部144に向かって流れてガス検出部101に到達する。これにともない、ガス検出部101に存在する、被検出ガスを含む槽内ガスは、第2領域148bを第2端部146に向かって流れてガス流出口156から恒温槽4に流出する。
【0057】
このように、仕切り部材152で中空部148を第1領域148aと第2領域148bとに分割し、第1領域148aにガス流入口154を設け、第2領域148bにガス流出口156を設けることで、中空部148内での槽内ガスの流れを整えて、対流を生じさせることができる。これにより、被検出ガスをより効率的にガス検出部101へ導入することができ、したがって、ガス導入室132内のガスを速やかに置換することができる。よって、ガスセンサ100の検出速度を向上させることができる。
【0058】
また、ガス流れFの存在する領域にガスセンサ100の第2端部146を突出させると、ガス流れFの上流側の面、すなわちガス流れFが直に当たる面にかかる圧力は、下流側の面、すなわちガス流れFが回り込んで到達する面にかかる圧力に比べて大きくなる。したがって、上流側の面と下流側の面とで圧力差が生じる。このため、ガス流れFに対して上流側にガス流入口154を配置し、下流側にガス流出口156を配置することで、この圧力差を利用して、槽内ガスを中空部148内に円滑に導入することができる。
【0059】
また、ガス流入口154は、第1端部144と第2端部146とが並ぶ方向Bに対して平行に延在する開口面を有し、開口面がガス流れFの方向と交わるように配置される。これにより、ガス流入口154にガス流れFを直接当てることができるため、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。
【0060】
さらに本実施の形態では、槽内ガスが鉛直方向下方に向かって流れる領域に第2端部146が配置され、ガス流入口154はガス流出口156よりも鉛直方向上方に配置されている。これにより、槽内ガスにかかる重力を利用して上述の圧力差をより大きくすることができる。よって、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。
【0061】
また、ガス流入口154は、ガス流出口156よりも開口面積が大きい。これにより、第1領域148a内と第2領域148b内とに、開口面積の差に起因する差圧を生じさせることができる(ベルヌーイの定理)。具体的には、第1領域148a内に比べて第2領域148b内の圧力が小さくなる。したがって、第1領域148a内に比べて第2領域148b内における槽内ガスの流速が速くなる。よって、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。
【0062】
また、本実施の形態に係る恒温装置1は、槽内ガスが壁面4bに沿って流れるように送風するファン6をさらに備える。ガスセンサ100は、ファン6よりもガス流れFの下流側に配置される。ファン6を設けることで、ガス流入口154側とガス流出口156側との間の圧力差をより大きくすることができる。よって、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。
【0063】
また、恒温装置1は、槽内ガスが流れるガス流路8をさらに備える。ガス流路8は、恒温槽4の内部空間において、壁面4bに沿って配置される。例えば、ガス流路8は、壁面4bに沿って延在する仕切り板10と、壁面4bとで画成される。ガス流路8を設けることで、ガス流れFをガスセンサ100の第2端部146により確実に当てることができる。よって、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。本実施の形態では、ガス流路8の入口近傍にファン6が配置される。また、恒温装置1は、槽内ガスを恒温槽4に導入するためのガス導入管12を有する。ガス導入管12は、好ましくはガス導入管12とガスセンサ100との間にファン6が位置するように配置される。
【0064】
実施の形態2に係るガスセンサ100には、以下の変形例を挙げることができる。
図4(A)は、変形例1に係るガスセンサを模式的に示す鉛直断面図である。
図4(B)は、変形例2に係るガスセンサを模式的に示す鉛直断面図である。
【0065】
図4(A)に示すように、変形例1に係るガスセンサ100(100H’)では、ガス流入口154及びガス流出口156の開口面が、第1端部144と第2端部146とが並ぶ方向Bに対して交わる方向に延在する。したがって、ガス流入口154及びガス流出口156は、開口面が恒温槽4におけるガス流れFに対して略平行に延在する。ガス流入口154及びガス流出口156は、被検出ガスが通過可能な多孔質部材162で塞がれる。多孔質部材162を構成する材料としては、キャップ150を構成する材料と同じものが例示される。このような構成によっても、ガス流入口154側とガス流出口156側との圧力差を利用した中空部148への槽内ガスの導入が可能である。
【0066】
図4(B)に示すように、変形例2に係るガスセンサ100(100H’’)は、実施の形態2と変形例1とを組み合わせた構造を有する。すなわち、ガス流入口154及び156の開口面は、第1端部144と第2端部146とが並ぶ方向Bに対して平行に延在する領域と、第1端部144と第2端部146とが並ぶ方向Bに対して交わる方向に延在する領域とを有する。これにより、中空部148への槽内ガスの取り込み量を増やすことができるため、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。
【0067】
(実施の形態3)
図5(A)は、実施の形態3に係るガスセンサを模式的に示す鉛直断面図である。
図5(B)は、実施の形態3に係るガスセンサの第2端部側の端面を模式的に示す図である。以下、本実施の形態に係るガスセンサについて実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
【0068】
本実施の形態に係るガスセンサ100(100I)は、光源102、検出器104(
図1参照)及びガス導入室132を有するガス検出部101と、ガス通路部130とを備える。ガス通路部130は、第1端部144と、第2端部146と、中空部148と、仕切り部材152とを有する。第1端部144は、ガス検出部101側に配置され、第2端部146は、恒温槽4側に配置される。ガス通路部130は、中空部148を介して被検出ガスを恒温槽4とガス検出部101との間で流通させる。中空部148は、第2端部146側から第1端部144側に近づくにつれて流路断面積Nが小さくなる形状を有する。また、中空部148は、鉛直方向下側の表面148cが第1端部144から第2端部146に近づくにつれて鉛直方向下方に向かうように傾斜する。
【0069】
仕切り部材152は、中空部148を、第1領域148a及び第2領域148bの少なくとも2つの領域に区画する部材である。本実施の形態では、仕切り部材152によって中空部148が第1領域148a及び第2領域148bの2つの領域に区画されている。第1領域148a及び第2領域148bは、それぞれ第1端部144から第2端部146にかけて延在する。
【0070】
また、ガス通路部130は、ガス流入口154と、ガス流出口156とを有する。ガス流入口154は、第2端部146に配置されて、恒温槽4の内部空間と第1領域148aとを接続する。ガス流出口156は、第2端部146に配置されて、第2領域148bと恒温槽4の内部空間とを接続する。ガス流入口154及びガス流出口156は、被検出ガスが通過可能な多孔質部材164で塞がれる。多孔質部材164を構成する材料としては、キャップ150を構成する材料と同じものが例示される。ガス流入口154及びガス流出口156の開口面は、第1端部144と第2端部146とが並ぶ方向Bに対して交わる方向に延在する。
【0071】
また、ガス流入口154は、ガス流出口156よりも開口面積が大きい。本実施の形態では、仕切り部材152の第2端部146側の端部152aが、多孔質部材164に埋め込まれている。そして、端部152aは、ガス流入口154とガス流出口156との境界を構成する。また、仕切り部材152は、第1端部144から第2端部146に近づくにつれて鉛直方向下方に向かうように傾斜している。これにより、開口面積の大きいガス流入口154と、開口面積の小さいガス流出口156とが形成されている。
【0072】
ガスセンサ100は、恒温槽4の壁面4bに設置される(
図1,3(A)参照)。通常、恒温槽4内には、槽内ガスの流れ(ガス流れF)が存在する。ガス流入口154は、ガス流れFの上流側に配置され、ガス流出口156は、ガス流入口154よりもガス流れFの下流側に配置される。さらに、第2端部146は、恒温槽4において被検出ガスが鉛直方向下方に向かって流れる領域に配置される。そして、ガス流入口154はガス流出口156よりも鉛直方向上方に配置される。
【0073】
恒温槽4に存在する、被検出ガスを含む槽内ガスは、ガス流入口154から中空部148内に流入し、第1領域148aを第1端部144に向かって流れてガス検出部101に到達する。これにともない、ガス検出部101に存在する、被検出ガスを含む槽内ガスは、第2領域148bを第2端部146に向かって流れてガス流出口156から恒温槽4に流出する。
【0074】
このように、仕切り部材152で中空部148を第1領域148aと第2領域148bとに分割し、第1領域148aにガス流入口154を設け、第2領域148bにガス流出口156を設けることで、中空部148内での槽内ガスの流れを整えることができる。これにより、ガスセンサ100の検出速度を向上させることができる。
【0075】
また、ガス流入口154は、ガス流出口156よりも開口面積が大きい。このため、第1領域148a内と第2領域148b内とには、開口面積の差に起因する差圧が生じる。具体的には、第1領域148a内に比べて第2領域148b内の圧力が小さくなる。これにより、第1領域148a内に比べて第2領域148b内における槽内ガスの流速が速くなる。よって、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率を高めることができる。
【0076】
また、仕切り部材152の傾斜によって、少なくとも一部において、第1領域148aの流路断面積よりも第2領域148bの流路断面積の方が小さくなっている。これにより、第1領域148a内に比べて第2領域148b内における槽内ガスの流速が速くなる。よって、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。
【0077】
さらに、槽内ガスが鉛直方向下方に向かって流れる領域に第2端部146が配置され、ガス流入口154はガス流出口156よりも鉛直方向上方に配置されている。これにより、槽内ガスにかかる重力を利用してガス流入口154とガス流出口156とにおける圧力差を大きくすることができる。よって、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。
【0078】
実施の形態3に係るガスセンサ100には、以下の変形例を挙げることができる。
図6(A)は、変形例3に係るガスセンサを模式的に示す鉛直断面図である。
図6(B)は、変形例3に係るガスセンサの第2端部側の端面を模式的に示す図である。
【0079】
図6(A)及び
図6(B)に示すように、変形例3に係るガスセンサ100(100I’)では、ガス流出口156の一部が塞がれることで、ガス流入口154及びガス流出口156の開口面積に差が付けられている。本変形例では、ガス流出口156の一部を塞ぐ部材として、フィン構造を有する整流板166が用いられている。
【0080】
整流板166は、第2端部146におけるガス流入口154とガス流出口156との間の領域から恒温槽4の内部空間に向けて突出する部材である。整流板166は、ガス通路部130側の端部が、多孔質部材164における第2領域148bと接する領域に埋め込まれている。これにより、ガス流出口156の開口面積をガス流入口154の開口面積よりも小さくすることができる。
【0081】
また、整流板166は、恒温槽4の内部空間側に突出する部分によって、恒温槽4におけるガス流れF(被検出ガスの流れ)を規制する。恒温槽4を流れる槽内ガスの一部は、第2端部146の近傍を通過する際に整流板166に当たり、進行方向がガス流入口154に向けられる。したがって、整流板166によって槽内ガスを中空部148内に誘導することができる。これにより、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。
【0082】
(実施の形態4)
図7は、実施の形態4に係るガスセンサを模式的に示す鉛直断面図である。以下、本実施の形態に係るガスセンサについて実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
【0083】
本実施の形態に係るガスセンサ100(100J)は、光源102、検出器104及びガス導入室132を有するガス検出部101と、ガス通路部130とを備える。ガス通路部130は、第1端部144と、第2端部146と、中空部148と、仕切り部材152とを有する。第1端部144は、ガス検出部101側に配置され、第2端部146は、恒温槽4側に配置される。ガス通路部130は、中空部148を介して被検出ガスを恒温槽4とガス検出部101との間で流通させる。中空部148は、第2端部146側から第1端部144側に近づくにつれて流路断面積Nが小さくなる形状を有する。また、中空部148は、鉛直方向下側の表面148cが第1端部144から第2端部146に近づくにつれて鉛直方向下方に向かうように傾斜する。
【0084】
仕切り部材152は、中空部148を、第1領域148a及び第2領域148bの少なくとも2つの領域に区画する部材である。本実施の形態では、仕切り部材152によって中空部148が第1領域148a及び第2領域148bの2つの領域に区画されている。第1領域148a及び第2領域148bは、それぞれ第1端部144から第2端部146にかけて延在する。
【0085】
また、ガス通路部130は、ガス流入口154と、ガス流出口156とを有する。ガス流入口154は、第2端部146に配置されて、恒温槽4の内部空間と第1領域148aとを接続する。ガス流出口156は、第2端部146に配置されて、第2領域148bと恒温槽4の内部空間とを接続する。ガス流入口154及びガス流出口156は、被検出ガスが通過可能な多孔質部材168で塞がれる。多孔質部材168を構成する材料としては、キャップ150を構成する材料と同じものが例示される。ガス流入口154及びガス流出口156の開口面は、第1端部144と第2端部146とが並ぶ方向Bに対して交わる方向に延在する。また、ガス流入口154は、ガス流出口156よりも開口面積が大きい。
【0086】
本実施の形態では、光源102は、検出器104よりも鉛直方向下方に配置される。また、ガス流入口154は、ガス流出口156よりも鉛直方向下方に配置される。したがって、第1領域148aは、第2領域148bよりも鉛直方向下方で延在する。ガス検出部101では、鉛直方向下方に配置された光源102の熱によってガス導入室132内のガスが温められる。これにより、光源102から検出器104に向かって上昇するガスの流れが発生する。ガス導入室132において上昇流となったガスは、第2領域148bを第2端部146側に進み、ガス流出口156から流出する。一方、第1領域148a側では、光源102の熱に起因するガスの上昇流によって圧力が低下する。このため、ガス流入口154から第1領域148aに槽内ガスが流れ込む。これにより、ガス流入口154から中空部148内に流入した槽内ガスがガス検出部101に到達し、再び中空部148内を経てガス流出口156から流出するという、槽内ガスの循環が生まれる。
【0087】
このように、仕切り部材152で中空部148を第1領域148aと第2領域148bとに分割し、第1領域148aにガス流入口154を設け、第2領域148bにガス流出口156を設けることで、中空部148内での槽内ガスの流れを整えることができる。これにより、ガスセンサ100の検出速度を向上させることができる。また、光源102の熱を利用して被検出ガスを循環させているため、ガスセンサ100の検出速度をより向上させることができる。
【0088】
また、中空部148は、鉛直方向上側の表面148dが第1端部144から第2端部146に近づくにつれて鉛直方向上方に向かうように傾斜するテーパ状となっている。これにより、ガス検出部101からガス流出口156への槽内ガスの流れをより円滑にすることができる。よって、ガスセンサ100の検出速度をより向上させることができる。また、鉛直方向上側の表面148dの傾斜は、鉛直方向下側の表面148cの傾斜よりも急である。これにより、ガスセンサ100の大型化を抑制することができる。
【0089】
また、ガス流入口154は、ガス流出口156よりも開口面積が大きい。このため、第1領域148a内と第2領域148b内とには、開口面積の差に起因する差圧が生じる。これにより、第1領域148a内に比べて第2領域148b内における槽内ガスの流速が速くなる。よって、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。また、仕切り部材152は、第1端部144から第2端部146に近づくにつれて鉛直方向上方に向かうように傾斜している。このため、少なくとも一部において、第1領域148aの流路断面積よりも第2領域148bの流路断面積の方が小さくなっている。これにより、第1領域148a内に比べて第2領域148b内における槽内ガスの流速が速くなる。よって、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。
【0090】
(実施の形態5)
図8(A)は、実施の形態5に係るガスセンサを模式的に示す鉛直断面図である。
図8(B)は、実施の形態5に係るガスセンサを模式的に示す水平断面図である。以下、本実施の形態に係るガスセンサについて実施の形態1及び2と異なる構成を中心に説明し、実施の形態1又は2と共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
【0091】
本実施の形態に係るガスセンサ100(100K)は、光源102及び検出器104を有するガス検出部101と、ガス通路部130とを備える。ガス通路部130は、第1端部144と、第2端部146と、中空部148と、仕切り部材152とを有する。第1端部144は、ガス検出部101側に配置され、第2端部146は、恒温槽4側に配置される。ガス通路部130は、中空部148を介して被検出ガスを恒温槽4とガス検出部101との間で流通させる。中空部148は、第2端部146側から第1端部144側に近づくにつれて流路断面積Nが小さくなる形状を有する。また、中空部148は、鉛直方向下側の表面148cが第1端部144から第2端部146に近づくにつれて鉛直方向下方に向かうように傾斜する。
【0092】
仕切り部材152は、中空部148を、第1領域148a及び第2領域148bの少なくとも2つの領域に区画する部材である。本実施の形態では、仕切り部材152によって中空部148が第1領域148a及び第2領域148bの2つの領域に区画されている。第1領域148a及び第2領域148bは、それぞれ第1端部144側から第2端部146側に延在する。なお、仕切り部材152の両端は、第1端部144及び第2端部146まで延在していない。したがって、中空部148内において、第1領域148a及び第2領域148bの両端部は連通している。第1端部144側での第1領域148aと第2領域148bとの接続面積と、第2端部146側での当該接続面積とは、ガス流入口154から流入した槽内ガスの大部分あるいは全てが第1領域148aを通って第1端部144側に流れるように設定される。
【0093】
また、ガス通路部130は、ガス流入口154と、ガス流出口156とを有する。ガス流入口154は、第2端部146に配置されて、恒温槽4と第1領域148aとを接続する。ガス流出口156は、第2端部146に配置されて、第2領域148bと恒温槽4とを接続する。ガス流入口154は多孔質部材158で塞がれ、ガス流出口156は多孔質部材160で塞がれる。ガス流入口154及びガス流出口156の開口面は、第1端部144と第2端部146とが並ぶ方向Bに対して平行に延在する。すなわち、ガス流入口154及びガス流出口156は、ガス通路部130の側面に配置されている。
【0094】
光源102は、光出射面102aが中空部148側を向くように配置される。すなわち、光源102は、出射する光Mが中空部148を通過するように配置される。また、検出器104は、受光面104eが中空部148側を向くように配置される。光源102及び検出器104は、光源102から出射される光Mが検出器104の受光面104eに直に照射されないよう、互いの位置関係が定められる。
【0095】
また、ガスセンサ100は、光反射部108を備える。光反射部108は、ガス通路部130の第2端部146に固定される。光反射部108は、凹面反射面108aを含む。凹面反射面108aは、中空部148を臨むように配置される。これにより、凹面反射面108aは、光源102及び検出器104と対向する。凹面反射面108aは例えば、赤外領域で高い反射率を有する金、アルミニウム、クロム等の金属を光反射部108の表面に成膜することで、形成することができる。
【0096】
光源102から出射される光Mは、中空部148内を進行して凹面反射面108aで反射され、再び中空部148内を進行して検出器104に到達する。したがって、中空部148は、光Mの通路としても機能する。中空部148を画成する壁面には、金属膜114が成膜される。金属膜114は、例えば、赤外領域で高い反射率を有する金、アルミニウム、クロム等からなる。金属膜114を設けることで、光源102の光が中空部148の壁面に吸収されることを抑制し、光源102から検出器104への導光効率を高めることができる。これにより、ガスセンサ100の検出感度を向上させることができる。また、仕切り部材152は金属からなる。例えば、仕切り部材152は赤外領域で高い反射率を有する金、アルミニウム、クロム等からなる。また、好ましくは、仕切り部材152の表面には鏡面処理が施され、光Mの反射率が高められる。これにより、光源102から検出器104への導光効率を高めることができる。
【0097】
また、ガス検出部101は、ブラケット170を有する。ブラケット170は、光源102及び検出器104の収容部172を有する。収容部172は、中空部148側に開口を有する。この開口は、蓋部材174によって塞がれる。好ましくは、収容部172の開口は、蓋部材174によって気密に封止される。蓋部材174は、光源102の光に対する透過性を有する材料からなる。本実施の形態では、光源102から赤外光が出射されるため、蓋部材174は、例えばゲルマニウム、シリコン、サファイア等で構成される。
【0098】
ガスセンサ100は、ガス流入口154及びガス流出口156が恒温槽4の壁面4bから槽内に突出するようにして、恒温槽4の壁面4bに設置される(
図3(A)参照)。ガス流入口154は、開口面が恒温槽4におけるガス流れF(すなわち、被検出ガスの流れる方向)と交わるように配置される。好ましくは、ガス流入口154は、開口面がガス流れFと直交するように配置される。また、ガス流出口156は、ガス流れFの方向においてガス流入口154とは反対側に配置される。
【0099】
また、ガス流入口154は、ガス流れFの上流側に配置され、ガス流出口156は、ガス流入口154よりもガス流れFの下流側に配置される。さらに、第2端部146は、恒温槽4において被検出ガスが鉛直方向下方に向かって流れる領域に配置される。そして、ガス流入口154はガス流出口156よりも鉛直方向上方に配置される。
【0100】
恒温槽4に存在する槽内ガスは、ガス流入口154から中空部148内に流入し、第1領域148aを第1端部144に向かって流れてガス検出部101に到達する。これにともない、ガス検出部101に存在する槽内ガス(蓋部材174に接する槽内ガス)は、第2領域148bを第2端部146に向かって流れてガス流出口156から恒温槽4に流出する。
【0101】
このように、仕切り部材152で中空部148を第1領域148aと第2領域148bとに分割し、第1領域148aにガス流入口154を設け、第2領域148bにガス流出口156を設けることで、中空部148内での槽内ガスの流れを整えることができる。これにより、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率を高めることができ、ガスセンサ100の検出速度を向上させることができる。
【0102】
また、ガス流れFの存在する領域にガスセンサ100の第2端部146を突出させることで、ガス流れFの上流側の面と下流側の面とで圧力差を生じさせることができる。ガス流れFに対して上流側にガス流入口154を配置し、下流側にガス流出口156を配置することで、この圧力差を利用して、槽内ガスを中空部148内に円滑に導入することができる。
【0103】
また、ガス流入口154は、第1端部144と第2端部146とが並ぶ方向Bに対して平行に延在する開口面を有し、開口面がガス流れFの方向と交わるように配置される。これにより、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。さらに、槽内ガスが鉛直方向下方に向かって流れる領域に第2端部146が配置され、ガス流入口154はガス流出口156よりも鉛直方向上方に配置されている。これにより、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。
【0104】
また、ガス流入口154は、ガス流出口156よりも開口面積が大きい。このため、第1領域148aと第2領域148bとには、開口面積の差に起因する差圧が生じる。これにより、ガス検出部101への被検出ガスの導入効率をより高めることができる。
【0105】
光源102から出射される光Mは、中空部148内を進行し、直にあるいは金属膜114及び仕切り部材152で反射されながら第2端部106bに到達する。そして、光Mは凹面反射面108aで反射され、再び中空部148内を進行し、直にあるいは金属膜114及び仕切り部材152で反射されながら検出器104に到達する。この過程で、光Mは中空部148に充満した槽内ガスを通過する。この際、槽内ガスに含まれる被検出ガスにより所定波長の光が吸収される。検出器104は、光源102から出射された光における所定波長の光の強度(光量)を基準として、受光素子が受けた光における所定波長の光の強度(光量)に基づいて被検出ガスの存在及び濃度を検出することができる。
【0106】
このように、槽内ガスが充満する中空部148に光Mを通過させて被検出ガスを検出する構成とすることで、被検出ガスの測定距離を伸ばすことができる。この結果、例えば水蒸気(H
2O)等の比較的長い測定距離が必要とされるガスを、より高精度に検出することができる。また、被検出ガスが微量であっても、高精度に検出することができる。
【0107】
好ましくは、中空部148は、第1端部144側の開口形状が楕円状であり、第2端部146側の開口形状が真円状である。また、中空部148は、第1端部144から第2端部146にかけて楕円から真円に近づくように徐々に変化する形状を有する。これにより、両端が真円状あるいは楕円状の中空部に比べて、光源102から検出器104への光Mの伝達効率を向上させることができる。
【0108】
中空部148の第1端部144側を楕円状とする場合、光源102及び検出器104は、光源102及び検出器104と中空部148との配列方向から見て、楕円の中心(楕円の長軸と短軸との交点)を対称点とする点対称の位置に配置されることが好ましい。この場合、例えば光源102及び検出器104の任意の一部が、点対称の位置に配置される。あるいは、光源102の光出射面102aの中心と検出器104の第2検出部104bの中心とが、点対称の位置に配置される。これにより、光源102から出射される光を検出器104へより集光させることができる。よって、光Mの伝達効率を向上させることができる。また、光源102及び検出器104は、より好ましくは楕円の長径上に配置され、さらに好ましくは光源102が楕円の一方の焦点上に、検出器104が楕円の他方の焦点上にそれぞれ配置される。これにより、光Mの伝達効率をより向上させることができる。
【0109】
(実施の形態6)
図9は、実施の形態6に係るガスセンサを示す水平断面図である。以下、本実施の形態に係るガスセンサについて実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、実施の形態1と共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
【0110】
本実施の形態に係るガスセンサ100(100L)は、光源102、検出器104及びガス導入室132を有するガス検出部101と、ガス通路部130とを備える。ガス通路部130は、第1端部144と、第2端部146と、中空部148とを有する。第1端部144は、ガス検出部101側に配置され、第2端部146は、恒温槽4側に配置される。ガス通路部130は、中空部148を介して被検出ガスを恒温槽4とガス検出部101との間で流通させる。中空部148は、第2端部146側から第1端部144側に近づくにつれて流路断面積Nが小さくなる形状を有する。
【0111】
光源102は、基板136に搭載され、基板136上の図示しない配線パターンに電気的に接続される。また、基板136には、加熱素子180が搭載される。加熱素子180は、例えば通電により所定温度まで発熱する抵抗体である。加熱素子180は、第1蓋部材140の近傍に配置され、基板136上の配線パターンに電気的に接続される。加熱素子180の熱により、第1蓋部材140及び第2蓋部材142を加熱することができる。
【0112】
検出器104は、基板138に搭載され、基板138上の図示しない配線パターンに電気的に接続される。また、基板138には、加熱素子182が搭載される。加熱素子182は、加熱素子180と同様の抵抗体で構成される。加熱素子182は、第2蓋部材142の近傍に配置され、基板138上の配線パターンに電気的に接続される。加熱素子182の熱により、第1蓋部材140及び第2蓋部材142を加熱することができる。
【0113】
加熱素子180,182で第1蓋部材140及び第2蓋部材142を加熱することで、第1蓋部材140及び第2蓋部材142に結露が生じることを抑制することができる。結露の発生を抑制することで、光源102から検出器104への導光効率の低下を抑制することができ、ガスセンサ100の検出精度をより高めることができる。また、加熱素子180,182を用いることで、ヒータを設ける場合に比べてガスセンサ100を小型化することができる。また、第1蓋部材140及び第2蓋部材142を局所的に加熱することができるため、ガスセンサ100の低消費電力化が可能である。さらに、加熱素子180を光源102と同一の基板136に実装し、加熱素子182を検出器104と同一の基板138に実装することで、ガスセンサ100の小型化や部品点数の削減が可能である。
【0114】
なお、検出器104は、周囲の温度により出力が変動しやすい機器である。例えば、検出器104の一例であるサーモパイルは、その構造に起因して出力変動しやすいことが知られている。具体的には、サーモパイルで構成される検出素子は、台座と、台座から熱的に分離された薄膜部とを有する。薄膜部は、赤外線の吸収により温度が上昇する検出部として機能する。当該検出素子は、台座を冷接点、すなわち基準温度として、薄膜部と台座の温度差による起電力を検出する。このため、台座や台座に熱的に接続された配線の温度変化が、検出素子の出力に大きく影響を及ぼす。通常この出力変動への対応として、基板と検出素子との間に断熱材が配置され、基板の熱が検出素子に伝わることを抑制している。
【0115】
しかしながら、本実施の形態では、加熱素子182により基板138を加熱している。このため、断熱材だけでは、熱による検出器104の出力変動を十分に抑制できない可能性がある。これに対し、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、加熱素子180及び加熱素子182の発熱量のバランスを調整することで、検出器104の出力変動を抑制できること見出した。
【0116】
検出器104側の加熱素子182のみを設けた場合、検出器104の信号強度が時間の経過とともに減少する傾向を示す。これは、基板138の加熱により冷接点側の温度が上昇した結果、検出部と冷接点との温度差が減少したためと考えられる。雰囲気温度の変化に起因して検出器104の出力が変動した場合、時間の経過とともに冷接点と検出部との温度差の変化が解消されるため、出力変動は解消される。しかしながら、加熱素子182による加熱は局所的である。このため、時間が経過しても冷接点と検出部との温度差の変化は解消されにくく、出力変動は維持される傾向にある。
【0117】
一方、光源102側の加熱素子180のみを設けた場合、検出器104の信号強度が時間の経過とともに増加する傾向を示す。これは、光源102側の温度上昇に起因する輻射熱によって検出器104の検出部が加熱され、冷接点と検出部との温度差が増大したためと考えられる。
【0118】
したがって、加熱素子180による光源102側の加熱と、加熱素子182による検出器104側の加熱とを組み合わせることで、加熱素子180の加熱による検出器104の出力変動と、加熱素子182の加熱による検出器104の出力変動とを相殺することができる。例えば、加熱素子180及び加熱素子182を発熱させるとともに、加熱素子180の発熱量を加熱素子182の発熱量よりも大きくすることで、検出器104の出力変動を抑制することができる。これにより、安定したガス検出が可能となる。加熱素子180及び加熱素子182が検出器104に与える熱量は、各加熱素子180,182の配置、基板136,138やブラケット134の断熱性等によっても調整することができる。
【0119】
本実施の形態では、基板136に加熱素子180を搭載し、基板138に加熱素子182を搭載しているが、第1蓋部材140及び第2蓋部材142の結露を抑制する上では、加熱素子180及び加熱素子182のうち一方のみが設けられる構成であってもよい。
【0120】
(実施の形態7)
図10は、実施の形態7に係る恒温装置の一部分を模式的に示す断面図である。
図11は、実施の形態7に係るガスセンサの構造を示す断面図である。本実施の形態に係る恒温装置1は、筐体2と、恒温槽4と、ガスセンサ100(100A)とを備える。本実施の形態の恒温装置1は、一例として乾熱滅菌機能付きのCO
2インキュベータである。筐体2は、恒温装置1の外筐を構成する。恒温槽4は、筐体2の内部に配置される。恒温槽4には、細胞等の培養物が収容される。恒温装置1は、筐体2に設けられる図示しない外扉と恒温槽4に設けられる図示しない内扉とを介して、培養物を恒温槽4に搬入あるいは恒温槽4から取り出すことができる。恒温槽4には、二酸化炭素(CO
2)等を含むガス(以下では、槽内ガスと称する)が収容される。
【0121】
ガスセンサ100は、恒温槽4内のガス(以下では、被検出ガスと称する)を検出するためのセンサである。本実施の形態における被検出ガスは、一例としてCO
2である。ガスセンサ100は、被検出ガスの存在及び濃度を検出することができる。ガスセンサ100は、検出結果を示す信号を、恒温装置1の図示しない制御部に送信する。ガスセンサ100は、恒温槽4の内側と外側とを連通する貫通孔4aに挿入されて、固定される。ガスセンサ100は、一部が恒温槽4の内部に配置され、残部が筐体2と恒温槽4との間の空間に配置される。また、筐体2と恒温槽4との間の空間には、図示しない断熱材が配置される。
【0122】
ガスセンサ100は、光源102と、検出器104と、光通路部106と、光反射部108とを備える。光源102は、所定波長の光を出射する。本実施の形態の光源102は、一例として、黒体薄膜からなる熱型赤外光源であり、広い波長範囲で赤外光を出射する。赤外光源としては、高温の発熱体から赤外光が発生する熱型赤外光源が主流であり、発熱体はフィラメント、セラミック、薄膜などがある。また、光源102には、LEDを利用することもできる。
【0123】
検出器104は、被検出ガスによる光の吸収に基づいて被検出ガスを検出する。具体的には検出器104は、図示しない受光素子で光源102から出射される光を受けて、被検出ガスによる光の吸収に起因した光の強度変化に基づいて、被検出ガスを検出する。本実施の形態の検出器104は、一例として、赤外光を吸収して電気信号を出力する赤外線センサである。このような赤外線センサとしては、フォトダイオードやフォトコンダクタ等の、光電変換によって信号を出力する量子型センサや、サーモパイルや焦電型センサ等の、赤外光吸収による温度変化を電気信号に変換する熱型センサ等を例示することができる。
【0124】
光源102及び検出器104は、基板110に搭載される。光源102及び検出器104は、基板110上の図示しない配線パターンに電気的に接続される。光源102と検出器104とは、光源102から出射される光が検出器104の受光面に直に照射されないよう、互いの位置関係が定められる。例えば、赤外光の出射方向において、検出器104の受光面が光源102の発光面よりも後方に配置される。基板110は、基板ホルダ112により支持される。また、検出器104としてサーモパイル等の熱型センサが用いられる場合、光源102の熱が検出器104に伝わることで検出器104の測定精度が低下する可能性がある。このため、検出器104と光源102との間には、断熱材が設けられることが好ましい。
【0125】
光通路部106は、光源102から出射される光の通路である。本実施の形態の光通路部106は、一例として、第1端部106aと、第1端部106aとは反対側の第2端部106bとを有する管状部材で構成される。第1端部106aには、基板ホルダ112が固定される。これにより、光源102及び検出器104が第1端部106a側に配置される。また、光源102は、出射する光が管状部材の中空部を通過するように配置される。管状部材の内側面には、金属膜114が成膜される。金属膜114は、例えば、赤外領域で高い反射率を有する金、アルミニウム、クロム等からなる。金属膜114を設けることで、光源102の光が光通路部106により吸収されることを抑制し、検出器104の受光量の低下を抑制することができる。
【0126】
光通路部106は、第2端部106bから第1端部106aとは反対方向に延出する光反射部ホルダ106cを有する。光反射部ホルダ106cは管状であり、光反射部ホルダ106cの内側に光反射部108が嵌め込まれる。また、光反射部ホルダ106cには、キャップ116が被せられる。キャップ116は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐熱性の高い多孔質材料で構成される。
【0127】
光反射部108が光反射部ホルダ106cに嵌め込まれた状態で、光反射部ホルダ106c内における光反射部108と第2端部106bとの間に、空間が形成される。この空間は、ガス空間GSを構成する。ガス空間GSは、被検出ガスを含む槽内ガスが存在する空間であり、したがって被検出ガスの測定領域である。光反射部ホルダ106cは、ガス空間GSに対応する位置に、ガスセンサ100の外部と光反射部ホルダ106cの内部とを連通する開口部106dを有する。槽内ガスは、開口部106dを介してガス空間GSに進入することができる。
【0128】
したがって、光反射部108は、光通路部106の第2端部106b側に、ガス空間GSを挟んで配置される。光反射部108は、凹面反射面108aを含む。凹面反射面108aは、光通路部106の中空部を臨むように配置される。これにより、凹面反射面108aは、光源102及び検出器104と対向する。凹面反射面108aは例えば、赤外領域で高い反射率を有する金、アルミニウム、クロム等の金属を光反射部108の表面に成膜することで、形成することができる。
【0129】
また、第2端部106bには、蓋部材118が設けられる。蓋部材118は、光通路部106の第2端部106b側の開口を塞ぐ。蓋部材118は、光源102が出射する光に対する透過性を有する(すなわち、出射光の吸収率が低い)材料からなる。本実施の形態では、光源102から赤外光が出射されるため、蓋部材118は、例えばゲルマニウム、シリコン、サファイア等で構成される。蓋部材118が設けられることで、ガス空間GSに存在する槽内ガスの光通路部106への進入を抑制することができる。したがって、凹面反射面108aと蓋部材118との間の距離が、光源102から出射される光によって被検出ガスが測定される距離(光学距離)となる。
【0130】
ガスセンサ100は、恒温槽4の貫通孔4aに光通路部106が挿通された状態で、光通路部106の外側面と貫通孔4aの内側面との間にパッキン120が嵌め込まれることにより、恒温槽4に対して固定される。パッキン120は、例えばシリコーン樹脂からなる。ガスセンサ100は、光通路部106の開口部106dが恒温槽4の内部に位置し、光源102及び検出器104が恒温槽4の外部に位置する。
【0131】
上述した構成を備えるガスセンサ100において、光源102から出射される光は、光通路部106及びガス空間GSを経て光反射部108に到達する。そして、光反射部108の凹面反射面108aにより反射されて、ガス空間GS及び光通路部106を経て検出器104に到達する。より具体的には、光源102の光は、第1端部106aから光通路部106の中空部に進入し、直に、あるいは金属膜114で反射されながら第2端部106bに到達する。そして、蓋部材118を通過してガス空間GSに進入する。ガス空間GSを進行する光は、凹面反射面108aで反射され、ガス空間GSから蓋部材118を経て再び光通路部106の中空部に入射する。中空部に入射した光は、直に、あるいは金属膜114で反射されながら第1端部106a側に進行して、検出器104に到達する。
【0132】
光源102から出射される光は、光源102から検出器104に到達する過程でガス空間GSを通過する。この際、ガス空間GSに存在する被検出ガスにより所定波長の光が吸収される。本実施の形態では、光源102から赤外光が出射され、ガス空間GSに存在するCO
2によって波長4.26μmの光が吸収される。検出器104は、光源102から出射された光における波長4.26μmの光の強度(光量)を基準として、受光素子が受けた光における波長4.26μmの光の強度(光量)に基づいてガス空間GSにおけるCO
2の存在及び濃度を検出することができる。ガスセンサ100が検出可能なCO
2の濃度は、例えば0〜20%である。
【0133】
ガスセンサ100が光通路部106を備えることで、光源102及び検出器104をガス空間GSから離間させることができる。このため、光源102及び検出器104が槽内ガスに曝されることを回避することができる。また、恒温槽4の内部空間から光源102及び検出器104への熱の伝達を抑制することができる。これにより、光源102及び検出器104の熱による損傷を抑制することができるため、ガスセンサ100の検出精度の低下を抑制することができる。
【0134】
ここで、本実施の形態の光通路部106の形状と、光源102、検出器104及び光反射部108の配置と、光通路部106の材質とについて、さらに詳細に説明する。
【0135】
図12(A)は、第1端部106a及び第2端部106bの形状を模式的に示す図である。
図12(B)及び
図12(C)は、光通路部106の形状と、光源102から検出器104への光の伝達効率との関係を示すグラフである。
図12(B)に結果が示される伝達効率の計測では、第1端部106aが楕円状であり第2端部106bが真円状である第1の光通路部と、真円管状(したがって、第1端部106a及び第2端部106bがともに真円状)である第2の光通路部と、楕円管状(したがって、第1端部106a及び第2端部106bがともに楕円状)である第3の光通路部とを用意した。
【0136】
そして、第1の光通路部については、第2端部106bの真円の直径を変化させた場合の直径と伝達効率との関係を計測した。楕円の長径及び短径は、それぞれ16mm、8mmに固定した。この楕円の大きさは、光源102の発光面と検出器104が有する受光素子の受光面を含む最小の大きさである。光源102と光反射部108との間、及び光反射部108と検出器104との間の光の伝達効率を除外して、第1端部106aを含む平面上での伝達効率のみを考えた場合、楕円の面積が小さいほど光の伝達効率は向上する。
図12(B)において、結果は実線で示されている。また、第2の光通路部については、真円の直径を変化させた場合の直径と伝達効率との関係を計測した。
図12(B)において、結果は点線で示されている。また、第3の光通路部については、楕円の長径(直径)を変化させた場合の長径(直径)と伝達効率との関係を計測した。楕円の長径と短径の比率は、2:1に固定した。
図12(B)において、結果は破線で示されている。
【0137】
図12(C)に結果が示される伝達効率の計測では、第1端部106aが楕円状であり第2端部106bが真円状である第1の光通路部と、円錐台状(したがって、第1端部106a及び第2端部106bがともに真円状)である第4の光通路部と、楕円錐台状(したがって、第1端部106a及び第2端部106bがともに楕円状)である第5の光通路部とを用意した。
【0138】
そして、第1の光通路部については、第2端部106bの真円の直径を変化させた場合の直径と伝達効率との関係を計測した。
図12(C)において、結果は実線で示されている。また、第4の光通路部については、第2端部106bの真円の直径を変化させた場合の直径と伝達効率との関係を計測した。
図12(C)において、結果は点線で示されている。また、第5の光通路部については、第2端部106bの楕円の長径(直径)を変化させた場合の長径(直径)と伝達効率との関係を計測した。楕円の長径と短径の比率は、2:1に固定した。
図12(C)において、結果は破線で示されている。第1の光通路部及び第5の光通路部における第1端部106aの楕円は、長径及び短径をれぞれ16mm、8mmに固定した。また、第4の光通路部における第1端部106aの真円は、直径16mmに固定した。この楕円及び真円の大きさは、光源102の発光面と検出器104が有する受光素子の受光面を含む最小の大きさである。
【0139】
また、
図12(B)に結果が示される計測と
図12(C)に結果が示される計測のいずれにおいても、光源102と検出器104との間の距離は10mmに固定した。また、凹面反射面108aの直径は、第2端部106bの直径の変化範囲における最大値よりも十分に大きく設定した。伝達効率は、光源102から出射された光における波長4.26μmの光の光量に対する、受光素子が受けた光における波長4.26μmの光の光量、すなわち光源102から出た光が検出器104で受光される割合(単位は任意単位:arbitrary unit、a.u.)とした。
【0140】
図12(A)に示すように、本実施の形態に係るガスセンサ100の光通路部106は、第1端部106aが楕円状であり、第2端部106bが真円状である。特に、第1端部106aの内側面(金属膜114が設けられる面)が楕円状であり、第2端部106bの内側面が真円状である。また、光通路部106は、第1端部106aから第2端部106bにかけて楕円から真円に近づくように徐々に変化する形状を有する。
図12(B)に示すように、第1端部106aを楕円状、第2端部106bを真円状とした光通路部106は、両端が真円状あるいは楕円状の光通路部に比べて、伝達効率が向上する傾向にある。また、
図12(C)に示すように、第1端部106aを楕円状、第2端部106bを真円状とした光通路部106は、円錐台状あるいは楕円錐台状の光通路部に比べて、伝達効率が向上する傾向にある。このため、ガスセンサ100の精度をより向上させることができ、また検出器104の簡素化を図ることもできる。また、伝達効率の低下を抑えながら光通路部106の直径を小さくすることができる。また、
図12(C)に示される結果から、第2端部106bの面積に対して第1端部106aの面積が小さい程、伝達効率が向上する傾向にあることがわかる。したがって、光源102及び検出器104の配置と、第1端部106aに重なる発光面及び受光面の面積とを考慮した上で、第1端部106aの面積は極力小さいことが好ましい。
【0141】
図13は、光源102及び検出器104の配置を説明するための模式図である。光通路部106の第1端部106aが楕円状である場合、
図13に示すように光源102及び検出器104は、光源102及び検出器104と光通路部106との配列方向(
図10の矢印A方向)から見て、楕円の中心P1を対称点とする点対称の位置に配置されることが好ましい。この場合、例えば光源102及び検出器104の任意の一部が、点対称の位置に配置される。あるいは、光源102の光出射部の中心P2と検出器104の受光面(例えば、光反射部108側から
図10の矢印A方向で観察して見える面)の中心P3とが、点対称の位置に配置される。これにより、光源102から出射される光を検出器104へより集光させることができる。したがって、光源102から検出器104への光の伝達効率を向上させることができる。なお、楕円の中心P1は、楕円の長軸と短軸との交点である。
【0142】
また、光源102及び検出器104は、より好ましくは楕円の長径上に配置され、さらに好ましくは光源102が楕円の一方の焦点上に、検出器104が楕円の他方の焦点上にそれぞれ配置される。これらにより、光の伝達効率をより向上させることができる。
【0143】
図14は、光源102、検出器104及び光反射部108の配置を説明するための模式図である。
図14に示すように、本実施の形態の凹面反射面108aは、所定の曲率半径Rを有する。そして、光源102、検出器104及び光反射部108は、凹面反射面108aと光源102との距離L1、及び凹面反射面108aと検出器104との距離L2が、R×0.9≦L1,L2≦R×1.1の条件を満たすように配置される。この場合、例えば光源102の光出射部の任意の一部から凹面反射面108aの中心P4までの距離、あるいは光出射部の中心P2から中心P4までの距離が距離L1とされる。また、検出器104の受光面の任意の一部から中心P4までの距離、あるいは受光面の中心P3から中心P4までの距離が距離L2とされる。
【0144】
このように、距離L1,L2を凹面反射面108aの曲率半径Rに近似させることで、光源102と検出器104とは、光が光源102から凹面反射面108aに向かう方向あるいは凹面反射面108aから検出器104に向かう方向(すなわち光の伝搬方向)で、凹面反射面108aに対して共焦点関係となる。これにより、光源102の光を検出器104により集光させることができる。その結果、光源102から検出器104への光の伝達効率を向上させることができる。
【0145】
また、光源102、検出器104及び光反射部108は、距離L1及び距離L2の少なくとも一方が、R×0.9以上R未満、又はRより大きくR×1.1以下の条件を満たすように配置されてもよい。言い換えれば、距離L1,L2の少なくとも一方(これをLと表す)は、R×0.9≦L<R、又はR<L≦R×1.1の条件を満たす。すなわち、距離L1及び/又は距離L2は、曲率半径Rの近傍であって且つ曲率半径Rと同一でない値に設定される。このように、光源102及び検出器104の少なくとも一方を凹面反射面108aの焦点位置から若干ずらすことで、距離L1及び距離L2が曲率半径Rと同一である場合に比べて、検出器104の受光面における集光スポットの径を大きくする、すなわち集光スポットをぼかすことができる。これにより、光の伝達効率を確保するとともに、ガスセンサ100を構成する各部の機械的変動等に対する検出器104の出力変動が大きくなることを抑制することができる。
【0146】
光源102及び検出器104を、第1端部106aの楕円の焦点位置に置き、且つ凹面反射面108aまでの距離L1,L2を曲率半径Rに近づけることで、楕円面内及び光の伝搬方向のそれぞれにおいて、光源102及び検出器104を共焦点関係とすることができる。これにより、光源102から検出器104への光の伝達効率を大幅に高めることができる。
【0147】
図15(A)及び
図15(B)は、光通路部106の材質を説明するための模式図である。
図15(A)及び
図15(B)では、断熱性材料で構成される部分に模様を付している。本実施の形態の光通路部106は、
図15(A)に示すように全体が断熱性材料で構成される。なお、光通路部106は、
図15(B)に示すように一部分のみが断熱性材料で構成されてもよい。この場合、第1端部106aから第2端部106bまでの間のいずれかの位置で非断熱性材料が不連続となるように、断熱性材料が配置されることが好ましい。
【0148】
光通路部106の少なくとも一部が断熱性材料で構成されることで、恒温槽4の内部空間の熱が光通路部106を介して光源102及び検出器104に伝達されることを抑制することができる。例えば、断熱性材料としては、恒温槽4の内部の温度が190℃のときに、光源102及び検出器104周辺の温度が100℃以下になる材料が選択される。断熱性材料として熱抵抗の高い材料を選択することで、断熱効果を高めることができる。また断熱性材料としては、高温耐性樹脂が好適である。高温耐性樹脂は、金属に比べて加工が容易であるとともに、熱抵抗が高いためである。断熱性材料の具体例としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);シリコン樹脂;ポリアミドイミド(PAI)等を例示することができる。なお、光通路部106を空洞にすることは、断熱効果を高める上で有効である。
【0149】
以上説明したように、本実施の形態に係るガスセンサ100は、光源102と、被検出ガスによる光の吸収に基づいて被検出ガスを検出する検出器104と、光通路部106と、光反射部108とを備える。光源102及び検出器104は、光通路部106の第1端部106a側に配置され、光反射部108は、第1端部106aとは反対側の第2端部106b側にガス空間GSを挟んで配置される。光源102から出射される光は、光通路部106及びガス空間GSを経て光反射部108で反射され、再びガス空間GS及び光通路部106を経て検出器104によって受光される。光源102から出射される光に含まれる特定波長の光は、ガス空間GSを通過する際に被検出ガスによって吸収される。検出器104は、この特定波長の光の光量変化から、被検出ガスの存在及び濃度を検出することができる。
【0150】
ガスセンサ100は、光反射部108側の先端部に被検出ガスの測定領域を有し、この先端部のみが、槽内ガスが充填された閉鎖空間に挿入される。光源102及び検出器104は、光通路部106によって被検出ガスの測定領域から離間される。これにより、槽内ガスの温度が光源102及び検出器104の耐熱温度を超える場合や、槽内ガスが充填される空間に乾熱滅菌が施される場合等、被検出ガスの測定領域の温度が高温になる場合であっても、光源102及び検出器104への伝熱を抑制することができる。このため、ガスセンサ100の検出精度の低下を抑制することができる。また、光通路部106は、少なくとも一部が断熱性材料で構成される。これにより、ガスセンサ100の検出精度の低下をより抑制することができる。
【0151】
また、本実施の形態の光通路部106は管状部材で構成され、ガス空間GS側の第2端部106bには蓋部材118が設けられる。これにより、ガス空間GSに存在する槽内ガスが光通路部106の中空部に進入することを抑制することができる。ガス空間GSにある槽内ガスが光通路部106の内部に進入すると、光通路部106の内部でも被検出ガスにより光が吸収されるため、被検出ガスの検出精度が低下し得る。したがって、蓋部材118を設けることで被検出ガスをより高精度に検出することができる。また、光通路部106内に槽内ガスが流入すると、槽内ガスの対流によって、被検出ガスの濃度変化に対する検出器104の応答速度が低下し得る。したがって、蓋部材118を設けることで、被検出ガスの検出速度を向上させることができる。
【0152】
また、光通路部106は、光源102及び検出器104が配置される第1端部106a側が楕円状であり、光反射部108が配置される第2端部106b側が真円状である。これにより、光源102から検出器104への光の伝達効率を高めることができ、よってガスセンサ100の精度を高めることができる。なお、光の伝達効率は、光路上にレンズ等の光学部材を設けることでも向上させることができる。しかしながら、光学部材の追加によって、ガスセンサ100の部品点数が増加してしまう。また、光源102が赤外光を出射する場合、赤外光を透過する光学部材は高価であるため、ガスセンサ100の製造コストが上昇する。これに対し、本実施の形態では光通路部106の形状を工夫することで光の伝達効率を向上させているため、ガスセンサ100の部品点数の増加と製造コストの上昇とを抑えることができる。
【0153】
また、光源102及び検出器104は、第1端部106a側の形状である楕円の中心P1を対称点とする点対称の位置に配置される。また、光反射部108の凹面反射面108aと光源102との距離L1、及び凹面反射面108aと検出器104との距離L2は、光反射部108の曲率半径Rの90%から110%の範囲に含まれる。これらにより、光の伝達効率をより高めることができる。また、距離L1及び距離L2の少なくとも一方は、曲率半径Rの90%から110%の範囲で且つ曲率半径Rと一致しないように設定されてもよい。これにより、光の伝達効率を確保するとともに、ガスセンサ100の各部の機械的変動等に起因する検出器104の出力変動を低減することができる。
【0154】
また、ガスセンサ100を恒温装置1に搭載することで、恒温装置1の使い勝手及び性能をより向上させることができる。
【0155】
(実施の形態8)
実施の形態8に係るガスセンサは、第1端部106a側の開口を塞ぐ蓋部材をさらに備える点を除き、実施の形態7と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係るガスセンサについて実施の形態7と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図16は、実施の形態8に係るガスセンサを模式的に示す側面図である。
【0156】
本実施の形態に係るガスセンサ100(100B)は、光源102と、検出器104と、光通路部106と、光反射部108と、蓋部材118と、蓋部材122とを備える。光通路部106は、管状部材で構成される。光源102は、光が管状部材の中空部を通過するように配置される。そして、光通路部106の第2端部106bには、蓋部材118が設けられる。また、光通路部106の第1端部106aには、蓋部材122が設けられる。
【0157】
蓋部材122は、光通路部106の第1端部106a側の開口を塞ぐ。蓋部材122は、蓋部材118と同様に、光源102が出射する光に対する透過性を有する材料からなる。ガスセンサ100が設けられる恒温装置1では、筐体2と恒温槽4との間の空間に、恒温装置1の周囲に存在する雰囲気ガスが流入する。したがって、光通路部106の第1端部106a側に蓋部材122が設けられていない場合、恒温装置1の雰囲気ガスが第1端部106a側の開口から光通路部106の中空部内に進入し得る。
【0158】
一方、恒温装置1では、外扉及び内扉が開かれると、被検出ガスを含む槽内ガスが外部に漏れ出して雰囲気ガス中に拡散する。これにより、雰囲気ガスにおける被検出ガスの濃度は変化する。第1端部106a側の開口に蓋部材122が設けられていない場合、雰囲気ガス中の被検出ガスの濃度変化によって、光通路部106内の被検出ガスの濃度が変化し得る。光通路部106内の被検出ガスの濃度変化は測定誤差の要因となるため、被検出ガスの濃度を精度よく検出することが困難になる。
【0159】
これに対し、本実施の形態のガスセンサ100は、第1端部106a側の開口を塞ぐ蓋部材122を備える。このため、恒温装置1の雰囲気ガスが光通路部106の中空部へ進入することを抑制することができる。したがって、雰囲気ガス中の被検出ガスの濃度が変化した場合であっても、ガス空間GSに存在する被検出ガスを、安定的且つ高精度に検出することができる。
【0160】
(実施の形態9)
実施の形態9に係るガスセンサは、蓋部材118に代えて、第1端部106a側の開口を塞ぐ蓋部材122のみを備える点を除き、実施の形態7と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係るガスセンサについて実施の形態7と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図17は、実施の形態9に係るガスセンサを模式的に示す側面図である。
【0161】
本実施の形態に係るガスセンサ100(100C)は、光源102と、検出器104と、光通路部106と、光反射部108と、蓋部材122とを備える。光通路部106は、管状部材で構成される。光源102は、光が管状部材の中空部を通過するように配置される。光通路部106の第1端部106aには、蓋部材122が設けられる。蓋部材122は、光通路部106の第1端部106a側の開口を塞ぐ。蓋部材122は、蓋部材118と同様に、光源102が出射する光に対する透過性を有する材料からなる。
【0162】
本実施の形態のガスセンサ100は、蓋部材118を備えておらず、第2端部106b側の開口は開放されている。このため、ガス空間GS中の槽内ガスは、第2端部106b側の開口から光通路部106の中空部に進入することができる。これにより、光源102から出射される光がガス空間GSを通過する距離、言い換えれば被検出ガスの測定距離を伸ばすことができる。この結果、例えば水蒸気(H
2O)等の比較的長い測定距離が必要とされるガスを、より高精度に検出することができる。なお、光通路部106に進入した槽内ガスは、蓋部材122によって恒温装置1の外部への漏出が抑制される。
【0163】
(実施の形態10)
実施の形態10に係るガスセンサは、仕切り部材を備える点が実施の形態8と大きく異なり、その他の点は実施の形態8と概ね共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係るガスセンサについて実施の形態8と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図18は、実施の形態10に係るガスセンサを模式的に示す側面図である。なお、
図18は、
図10におけるガスセンサ100の観察方向に対して、光通路部106の管の周方向で90度ずれた方向からガスセンサを観察した様子を図示している。また、
図18では、紙面の奥行き方向で検出器104よりも奥側に配置される光源102を破線で示している。
【0164】
本実施の形態に係るガスセンサ100(100D)は、光源102と、検出器104と、光通路部106と、光反射部108と、蓋部材118と、蓋部材122と、仕切り部材124とを備える。光通路部106は、管状部材で構成される。仕切り部材124は、光通路部106の中空部を、第1領域106eと第2領域106fとに区画する。第1領域106e及び第2領域106fは、それぞれが第1端部106a側から第2端部106b側にかけて延在する。なお、仕切り部材124は、光通路部106の中空部を少なくとも2つの領域に区画していればよい。したがって、仕切り部材124によって光通路部106の内部が3つ以上の領域に区画されてもよい。仕切り部材124は、一方の端部が蓋部材122に当接し、他方の端部が光反射部108に当接する。
【0165】
蓋部材118は、第1領域106eの第2端部106b側の開口を塞ぐ。蓋部材118は、第2領域106fの第2端部106b側の開口は塞がない。したがって、第2領域106fの第2端部106b側の開口は開放される。第1領域106e及び第2領域106fの第1端部106a側の開口は、蓋部材122で塞がれる。
【0166】
光源102は、光が第1領域106e及び第2領域106fを通過するように配置される。検出器104は、第1領域106eを通過する光を受ける第1検出部104aと、第2領域106fを通過する光を受ける第2検出部104bとを有する。第1検出部104a及び第2検出部104bは、それぞれ受光素子である。
【0167】
光源102から出射される光の一部は、蓋部材122、第1領域106e及び蓋部材118を順に通過して光反射部108に到達する。そして、光反射部108で反射されて、蓋部材118、第1領域106e及び蓋部材122を順に通過して第1検出部104aに到達する。また、光源102から出射される光の他の一部は、蓋部材122及び第2領域106fを順に通過して光反射部108に到達する。そして、光反射部108で反射されて、第2領域106f及び蓋部材122を順に通過して第2検出部104bに到達する。
【0168】
槽内ガスは、開口部106d(
図11参照)から光反射部108と第2端部106bとの間の空間に導入される。第1領域106eの第2端部106b側の開口には蓋部材118が設けられているため、槽内ガスは第1領域106eには進入することができない。一方、第2領域106fの第2端部106b側の開口は開放されているため、槽内ガスは第2領域106fに進入することができる。第1領域106eと第2領域106fとの境界には仕切り部材124があるため、第2領域106fに進入した槽内ガスは、第1領域106eへ進入することができない。
【0169】
したがって、第1領域106eを通過する光については、光反射部108と蓋部材118との間の領域がガス空間GS、すなわち被検出ガスの測定領域となる。一方、第2領域106fを通過する光については、光反射部108と蓋部材122との間の領域がガス空間GSとなる。よって、第1領域106eを通過する光は、被検出ガスの測定距離が相対的に短く、第2領域106fを通過する光は、被検出ガスの測定距離が相対的に長い。
【0170】
このように、仕切り部材124によってガス空間GSの延在範囲が異なる複数の領域を形成することで、1つのガスセンサ100で複数種の被検出ガスを検出することができる。例えば、本実施の形態のガスセンサ100によれば、CO
2濃度と湿度(すなわちH
2O濃度)とを同時に測定することができる。CO
2の好適な測定距離はH
2Oに比べて短く、例えば数mmである。一方、H
2Oの好適な測定距離は、例えば数cmである。また、CO
2の吸収波長は4.26μmであり、H
2Oの吸収波長は2.5〜2.9μm、及び5〜7μmである。そこで、第1領域106eを通過する光を受ける第1検出部104aで、波長4.26μmの光の強度変化を計測する。また、第2領域106fを通過する光を受ける第2検出部104bで、波長2.5〜2.9μmの光の強度変化を計測する。これにより、CO
2及びH
2Oの濃度を同時に測定することができる。
【0171】
(実施の形態11)
実施の形態11に係るガスセンサは、複数の検出部と複数の光学フィルタとを備える点が実施の形態7と大きく異なり、その他の点は実施の形態7と概ね共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係るガスセンサについて実施の形態7と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図19(A)は、実施の形態11に係るガスセンサを模式的に示す平面図である。
図19(B)は、実施の形態11に係るガスセンサが備える検出器と光学フィルタとを模式的に示す側面図である。なお、
図19(A)では、光反射部108及び蓋部材118の図示を省略している。
【0172】
本実施の形態に係るガスセンサ100(100E)は、光源102と、検出器104と、光通路部106と、光反射部108(
図10参照)と、蓋部材118(
図10参照)と、複数の光学フィルタ126a,126bとを備える。検出器104は、複数の検出部104c,104dを有する。検出部104c及び検出部104dは、それぞれ受光素子である。検出部104cと検出部104dとは、光源102の中心P2と検出器104の中心P3とを通る直線を対称軸とする線対称の位置に配置されることが好ましい。これにより、ガスセンサ100の各部の機械的変動や光源102の出力変化に起因する光の強度変化を、検出部104cと検出部104dとで相殺することができる。
【0173】
複数の光学フィルタ126a,126bは、複数の検出部104c,104dのそれぞれに対応して配置される。本実施の形態では、光学フィルタ126aが検出部104cに対応して配置され、光学フィルタ126bが検出部104dに対応して配置される。各光学フィルタは、各検出部の受光面上に直接、あるいは空間を隔てて配置される。光学フィルタ126a,126bは、所定波長の光を、対応する検出部104c,104dへ選択的に入射させる光学部材である。すなわち、各光学フィルタ126a,126bはそれぞれ所定波長の光のみを透過し、各光学フィルタ126a,126bを透過した光が検出部104c,104dに入射する。
【0174】
また、複数の光学フィルタにおいて、そのうち一部の光学フィルタは、被検出ガスによって吸収される波長の光を透過し、他の光学フィルタは、当該一部の光学フィルタが透過する光の波長とは異なる波長の光を透過する。
【0175】
本実施の形態では、一例として光学フィルタ126aがCO
2によって吸収される波長4.26μmの光を透過し、光学フィルタ126bが波長3.91μmの光を透過する。ガスセンサ100は、検出部104dによって波長3.91μmの光の強度変化を検出する。そして、ガスセンサ100は、検出部104cが検出する波長4.26μmの光の強度変化と検出部104dの検出結果とに基づいて、CO
2の存在及び濃度を検出する。
【0176】
波長3.91μmの光は参照光として用いられ、波長3.91μmの光の強度変化から、被検出ガスによる光の吸収以外の外乱に起因する光の強度変化を検出することができる。このように、一部の検出部で参照光の強度変化を検出し、この検出結果を被検出ガスの検出に用いることで、より高精度に被検出ガスを検出することができる。また、検出部104cと検出部104dとで、別々の被検出ガスを検出するように設定することもできる。これにより、1つのガスセンサ100で複数種の被検出ガスを検出することができる。なお、検出器104は、3つ以上の検出部と光学フィルタとを有してもよい。
【0177】
(実施の形態12)
実施の形態12に係るガスセンサは、検出器104の受光面上に光学フィルタを設けた点を除き、実施の形態7と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係るガスセンサについて実施の形態7と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図20は、実施の形態12に係るガスセンサを模式的に示す側面図である。
【0178】
本実施の形態に係るガスセンサ100(100F)は、光源102と、検出器104と、光通路部106と、光反射部108と、蓋部材118と、光学フィルタ128とを備える。光学フィルタ128は、所定波長の光を検出器104へ選択的に入射させる光学部材である。例えば、光学フィルタ128は、被検出ガスであるCO
2によって吸収される波長4.26μmの光を透過する。この結果、検出器104には波長4.26μmの光が選択的に入射される。これにより、ガスセンサ100の検出精度をより高めることができる。
【0179】
また、本実施の形態の光学フィルタ128は、透過させる波長帯域の変更が可能な波長可変フィルタである。これにより、1つのガスセンサ100で複数種の被検出ガスを検出することができる。また、所定波長の光を参照光として用い、その強度変化を検出することで、より高精度に被検出ガスを検出することができる。
【0180】
本発明は、上述した各実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、各実施の形態及び変形例を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などのさらなる変形を加えることも可能であり、そのように組み合わせられ、もしくはさらなる変形が加えられた実施の形態及び変形例も本発明の範囲に含まれる。上述した各実施の形態及び変形例の組み合わせ、及び上述した各実施の形態及び変形例へのさらなる変形の追加によって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、変形例、及びさらなる変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0181】
上述した各実施の形態及び変形例では、恒温装置1としてCO
2インキュベータを例に挙げて説明したが、恒温装置1は、被検出ガスが充填される恒温槽4を備えるものであればよい。また、上述した各実施の形態及び変形例に係るガスセンサ100は、高温環境下でのガス濃度の測定に好適に用いることができる。例えば、ガスセンサ100は、排気ガスや燃焼ガス等の測定に用いることもできる。
【0182】
また、被検出ガスは、CO
2及びH
2O以外の他のガスであってもよい。他の被検出ガスとしては、二酸化硫黄(SO
2、吸収波長:7.3μm、7.35μm)、三酸化硫黄(SO
3、吸収波長:7.25μm、7.14μm)、一酸化窒素(NO、吸収波長:5.3μm、5.5μm)、一酸化炭素(CO、吸収波長:4.2μm)、亜酸化窒素(N
2O、吸収波長:4μm、4.5μm、7.9μm)、二酸化窒素(NO
2、吸収波長:5.7μm、6.3μm)等を例示することができる。
【0183】
実施の形態1〜6において、検出器104には、実施の形態11,12のように光学フィルタを設置してもよい。光学フィルタは、所定波長の光を検出器104へ選択的に入射させる光学部材である。光学フィルタが選択的に透過する波長は、被検出ガスの種類に応じて決定することができる。例えば、光学フィルタは、被検出ガスであるCO
2によって吸収される波長4.26μmの光を透過する。この結果、検出器104には波長4.26μmの光が選択的に入射される。これにより、ガスセンサ100の検出精度をより高めることができる。
【0184】
また、光学フィルタは、透過させる波長帯域の変更が可能な波長可変フィルタであってもよい。これにより、1つのガスセンサ100で複数種の被検出ガスを検出することができる。また、所定波長の光を参照光として用いてその強度変化を検出し、この検出結果を被検出ガスの検出に用いることで、より高精度に被検出ガスを検出することができる。
【0185】
また、検出器104が複数の検出部(受光素子)を有し、各検出部に異なる波長の光を透過する光学フィルタが設けられてもよい。これにより、1つのガスセンサ100で複数種の被検出ガスを検出することができる。また、一部の検出部で参照光の強度変化を検出し、この検出結果を他の検出部での被検出ガスの検出に用いることで、より高精度に被検出ガスを検出することができる。
【0186】
上述した実施の形態7〜12において、光通路部106は中実体であってもよい。これにより、蓋部材118,122を省略することができる。この場合、光通路部106は、蓋部材118と同様に光源102が出射する光に対する透過性を有する材料(例えば、赤外光に対するゲルマニウム、シリコン、サファイア等)で構成されることが好ましい。