特許第6556376号(P6556376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556376排気ガス浄化用触媒、および排気ガスの浄化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556376
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】排気ガス浄化用触媒、および排気ガスの浄化方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20190729BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20190729BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   B01J23/63 AZAB
   B01D53/94 222
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   F01N3/10 A
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-546387(P2018-546387)
(86)(22)【出願日】2017年10月18日
(86)【国際出願番号】JP2017037735
(87)【国際公開番号】WO2018074526
(87)【国際公開日】20180426
【審査請求日】2019年4月18日
(31)【優先権主張番号】特願2016-205510(P2016-205510)
(32)【優先日】2016年10月19日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】312016218
【氏名又は名称】ユミコア日本触媒株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】芦刈 健治
(72)【発明者】
【氏名】池田 正憲
(72)【発明者】
【氏名】南 茂和
(72)【発明者】
【氏名】中島 優
(72)【発明者】
【氏名】後藤 秀樹
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−105633(JP,A)
【文献】 特開2007−136327(JP,A)
【文献】 特表2014−522725(JP,A)
【文献】 特開2013−166130(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/033168(WO,A1)
【文献】 特表平06−506907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
B01D 53/86
B01D 53/94
F01N 3/00 − 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス浄化用触媒であって、
PrPdで表したとき、a=1〜3、b=1〜10、c=1〜6であるPd−Pr複合体と、
PdOとを含み、
当該排気ガス浄化用触媒に含まれるパラジウムに対するプラセオジムの質量比をPr11換算およびPd換算で算出するとき、該質量比が0.05〜2.0であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
【請求項2】
排気ガス浄化用触媒であって、
PrPdで表したとき、a=1〜3、b=1〜10、c=1〜6であるPd−Pr複合体と、
PdOとを含み、
X線回折分析におけるPdOの特定の回折角における強度(IPdO)に対するPd−Pr複合体の特定の回折角における強度(IPrPdO)の比Ccompoが0.04〜1.1であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
【請求項3】
上記Pd−Pr複合体がPrPdであることを特徴とする請求項1または2に記載の排気ガス浄化用触媒。
【請求項4】
ロジウムおよび白金のうち少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気ガス浄化用触媒。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の排気ガス浄化用触媒を用いて、高温領域の排気ガスを含む排気ガスを浄化することを特徴とする排気ガスの浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ガスを浄化するための排気ガス浄化用触媒、および該排気ガス浄化用触媒を用いた排気ガスの浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の排気ガス規制が強化されてきている。これに対応するために、排気ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、および窒化酸化物(NOx)などを浄化するための排気ガス浄化用触媒が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、900℃以上の高温雰囲気においても、優れた酸素ストレージ能を維持し、発揮することができる触媒として、パラジウムと酸化プラセオジムとを含んでいる触媒が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、平均粒径が1nm以上、50nm以下の酸化パラジウム(PdO)粒子と、平均粒径が1nm以上、50nm以下の希土類酸化物粒子とを担体に担持した触媒が開示されている。これにより、PdOの分解によってPdが析出される温度を高温度化し、900℃の高温環境下においてもPdの粒成長を抑制して触媒活性の低下を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国公開特許公報「特開2000−167404号公報」
【特許文献2】日本国公開特許公報「特開2007−105633号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている排気ガス浄化用触媒では、酸化プラセオジムとパラジウムとは互いに化学的結合を有さない状態で存在している。そのため、触媒が長期間高温で排気ガスに曝されると、貴金属粒子(白金、ロジウム、パラジウム)がシンタリングしてしまう可能性があり、触媒活性が充分でないという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に開示されている排気ガス浄化用触媒では、XRDの回折パターンにおいてPdOが検出されず、触媒活性が充分でないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、長期間高温で排気ガスに曝された後においても、高い触媒活性を維持することができる排気ガス浄化用触媒、および該排気ガス浄化用触媒を用いた排気ガスの浄化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る排気ガス浄化用触媒は、PrPdで表したとき、a=1〜3、b=1〜10、c=1〜6であるPd−Pr複合体と、PdOとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、長期間にわたって高い触媒活性を維持することができる排気ガス浄化用触媒、および該排気ガス浄化用触媒を用いた排気ガスの浄化方法を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の排気ガス浄化用触媒に関し、実施例1〜5、並びに、比較例1および2における触媒の耐熱処理後のPd粒子径を示すグラフである。
図2】本発明の排気ガス浄化用触媒に関し、実施例1〜5、並びに、比較例1および2における触媒に対する触媒性能評価試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。しかし、本発明は、下記説明に限定されるものではない。なお、本明細書中の「A〜B」は「A以上、B以下」を意味し、例えば、明細書中で「1質量%〜30質量%」または「1〜30質量%」と記載されていれば「1質量%以上、30質量%以下」を示す。また、本明細書中の「Cおよび/またはD」とは、CおよびDのいずれか一方または両方を含むことを意味する。また、本明細書で挙げられている各種物性は、特記しない限り、後述する実施例に記載の方法により測定した値を意味する。
【0013】
本発明の排気ガス浄化用触媒は、触媒成分として少なくともパラジウム(Pd)およびプラセオジム(Pr)をともに含み、かつ少なくともパラジウムの一部がプラセオジムと複合体(Pd−Pr複合体)を形成しており、さらに、酸化パラジウム(PdO)を含むことを特徴としている。これにより、本発明の排気ガス浄化用触媒では、長期間高温で排気ガスに曝された後においても、Pd−Pr複合体が形成されていることによりPd同士の凝集が抑制される。その結果、本発明の排気ガス浄化用触媒は、長期間高温で排気ガスに曝された後においてもPdに排気ガスを吸着させることができる(すなわち、Pdへのガス吸着量を高い値で維持することが可能である)ので、長期間にわたって高い触媒活性を維持することができる。なお、本明細書において「触媒をガスに曝す」とは、触媒をガスと接触させることをいい、触媒表面の全部分をガスと接触させる場合だけでなく、触媒表面の一部分をガスと接触させる場合も含まれる。また、本明細書では、800℃〜1200℃の高温に触媒を曝すことを「耐熱処理」とも呼称する。
【0014】
また、本発明の一実施形態における排気ガス浄化用触媒は、Pd−Pr複合体およびPdOの他に、酸素貯蔵材、耐火性無機酸化物、およびアルカリ土類金属化合物を含み、さらに、必要に応じて貴金属を含み、これら成分が耐火性三次元構造体に担持(コート)されていることが好ましい。なお、以下の説明においては、Pd−Pr複合体、酸素貯蔵材、耐火性無機酸化物、アルカリ土類金属化合物、酸化パラジウム(PdO)、および貴金属をまとめて「触媒成分」(若しくは「各触媒成分」)と総称する場合がある。
【0015】
(耐火性三次元構造体)
耐火性三次元構造体は、上記の各触媒成分を担持するための構造体である。本発明の排気ガス浄化用触媒において用いられる耐火性三次元構造体は、特に制限されるものではなく、従来の排気ガス浄化用触媒において使用されている構造体を適宜採用することができるが、好ましくは、ハニカム担体である。ハニカム担体としては、モノリスハニカム担体、メタルハニカム担体、パティキュレートフィルターなどのプラグハニカム担体などが挙げられる。ハニカム担体は、コージェライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、Fe−Cr−Al合金などの耐熱性金属などの耐熱性金属、ステンレス鋼などの耐火性の材料によって形成することができる。
【0016】
これらのハニカム担体は、押出成形法や、シート状素子を巻き固める方法などによって製造することができる。ハニカム担体のガス通過口の形状(セル形状)は、六角形、四角形、三角形、またはコルゲーション形のいずれであってもよい。ハニカム担体のセル密度(すなわち、単位断面積あたりのセル数)は100〜1200セル/平方インチ(15.5〜186セル/cm)であれば十分に使用可能であり、好ましくは200〜900セル/平方インチ(31〜139.5セル/cm)である。
【0017】
耐火性三次元構造体の全長は、好ましくは10〜1000mmであり、より好ましくは15〜300mmであり、さらに好ましくは30〜200mmである。
【0018】
(Pd−Pr複合体)
本発明におけるパラジウム(Pd)およびプラセオジム(Pr)の複合体(Pd−Pr複合体)とは、パラジウム(Pd)、プラセオジム(Pr)、および酸素(O)のうち少なくとも2つを含む化合物からなる複合体のことである。ただし、上記化合物に、酸化パラジウム(PdO)および二酸化パラジウム(PdO)は含まれないこととする。Pd−Pr複合体は、1種の上記化合物からなってもよいし、2種以上の上記化合物からなってもよい。Pd−Pr複合体は、PrPdで表したとき、a=1〜3、b=1〜10、c=1〜6であり、好ましくは、a=1〜2、b=2〜5、c=1〜4であり、より好ましくは、a=2、b=3〜5、c=1〜2であり、さらに好ましくは、a=2、b=5、c=2(すなわち、PrPd)であり、最も好ましくは示性式でPrPdである。aが3よりも大きいと高価なプラセオジムを多く使用するため好ましくなく、bが10よりも大きいと高価なパラジウムを多く使用するため好ましくなく、cが6よりも大きいと一酸化窒素の還元性能が低下するため好ましくない。一方、aが1よりも小さい、bが1よりも小さい、またはcが1よりも小さいと耐熱性が低下するため好ましくない。
【0019】
本発明の排気ガス浄化用触媒は、該触媒に含まれるプラセオジムおよびパラジウムの質量比をPr11換算およびPd換算でそれぞれ算出するとき、パラジウムに対するプラセオジムの質量比が0.05〜2.0であることが好ましく、0.05〜1.9であることがより好ましく、0.1〜1.5であることがさらに好ましく、0.2〜1.0であることが最も好ましい。パラジウムに対するプラセオジムの質量比が0.05よりも小さいとPd−Pr複合体が形成され難いため好ましくなく、また、パラジウムに対するプラセオジムの質量比が2.0よりも大きいと高価なプラセオジムを多く使用するため好ましくない。
【0020】
Pd−Pr複合体の形成の確認およびPd−Pr複合体の同定は、公知の方法を用いることができ、本明細書では、X線回折分析(XRD)により行う。なお、本明細書では、XRDのX線源はCuKα線であるとして説明する。
【0021】
上述したように、本発明の排気ガス浄化用触媒は、Pd−Pr複合体とともに、PdOを含む。PdOの形成の確認においても、X線回折分析により行うことができる。
【0022】
本発明の排気ガス浄化用触媒は、PdOに対するPd−Pr複合体の存在比が所定の範囲であることが好ましい。そこで、本明細書では、PdOに対するPd−Pr複合体の存在比を、X線回折分析におけるPdOの特定の回折角における強度(IPdO)に対するPd−Pr複合体の特定の回折角における強度(IPrPdO)の比Ccompo(下記の式(1))によって定義する。
【0023】
compo=IPrPdO/IPdO ・・・(1)
ここで、Ccompoを算出するときに用いる、PdOの特定の回折角およびPd−Pr複合体の特定の回折角は、X線回折パターンにおいてPdOおよびPd−Pr複合体の回折角が互いに重ならない回折角のうち、それぞれ最も強度が高い回折角である。例えば、Pd−Pr複合体がPrPdのみによって構成されている場合には、Ccompoは、PdOの2θ=33.29°における強度(IPdO)に対するPrPdの2θ=31.49°における強度(IPrPdO)によって算出することができる。なお、X線回折分析における回折角には誤差が含まれているため、上記IPdOおよびIPrPdOにおける回折角は誤差を補正した回折角とすることができ、IPdOおよびIPrPdOは当該補正された回折角における強度とすることができる。
【0024】
本発明の排気ガス浄化用触媒では、Ccompoは、好ましくは0.04〜1.1の範囲であり、より好ましくは0.07〜0.8の範囲であり、最も好ましくは0.1〜0.6の範囲である。Ccompoが0.04よりも低いとPd−Pr複合体の割合が低く、Pd−Pr複合体の効果が十分に発揮できないため好ましくなく、Ccompoが1.1よりも大きいとPdOの割合が低いので触媒性能が低下するため好ましくない。
【0025】
本発明の排気ガス浄化用触媒は、上述したように、Pd−Pr複合体とともに、PdOを含む。「Pd−Pr複合体とともに、PdOを含む」とは、Pd−Pr複合体粒子の表面にPdOが形成されている状態、Pd−Pr複合体粒子とは独立してPdO粒子が存在している状態、または、Pd−Pr複合体粒子の表面にPdOが形成されるとともにPd−Pr複合体粒子とは独立してPdO粒子が存在している状態であってもよいが、好ましくは、Pd−Pr複合体粒子とは独立してPdO粒子が存在している状態、または、Pd−Pr複合体粒子の表面にPdOが形成されるとともにPd−Pr複合体粒子とは独立してPdO粒子が存在している状態であり、より好ましくはPd−Pr複合体粒子の表面にPdOが形成されるとともにPd−Pr複合体粒子とは独立してPdO粒子が存在している状態である。
【0026】
Pd−Pr複合体粒子とPdO粒子の存在箇所は、例えば、TEM−EDX(エネルギー分散型X線スペクトル−透過型電子顕微鏡)、TEM−EDS(エネルギー分散型分光−透過型電子顕微鏡)などのエネルギー分散型X線検出器を備えた電子顕微鏡観察により調べることができる。具体的には、エネルギー分散型X線検出器を備えた電子顕微鏡観察における面分析において、Pdが検出された粒子と同一箇所にPrおよび酸素(O)が検出され、かつ、上記PdとPrがともに検出された粒子とは異なる粒子においてPrが検出されずPdおよびOが検出された場合は、Pd−Pr複合体粒子とは独立してPdO粒子が存在している状態である。また、Pd−Pr複合体粒子の外周部および中心部の点分析において、Pd−Pr複合体粒子の外周部のO強度がPd−Pr複合体粒子の中心部のO強度よりも高く、かつ、外周部のPr強度が中心部のPr強度よりも低い場合は、Pd−Pr複合体粒子の表面にPdOが形成されている状態である。
【0027】
本発明の排気ガス浄化用触媒は、Pd−Pr複合体が形成されていることによってPd同士の凝集が抑制され、その結果、長期間高温で排気ガスに曝された後においても、Pdに排気ガスを吸着させることができる。Pdに吸着するガス量は、O−CO−H−COパルス吸着法(参考文献;Applied Catalysis A,2005年,vol. 293)にて測定することができる。また、O−CO−H−COパルス吸着法により得られたCO吸着量から、Pd粒子径を算出することができる(参考文献;触媒,1986年,Vol. 28,No. 1)。
【0028】
本発明の排気ガス浄化用触媒における、パラジウムの出発材料(パラジウム源)は、特に制限されるものではなく、従来の排気ガス浄化用触媒において用いられている原料を用いることができる。具体的には、パラジウム源として、パラジウム;塩化パラジウムなどのハロゲン化物;硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、アミン塩、テトラアンミン塩、炭酸塩、重炭酸塩、亜硝酸塩、シュウ酸塩などの、無機塩類;蟻酸塩などのカルボン酸塩;水酸化物;アルコキサイド;酸化物などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、硝酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、アミン塩、テトラアンミン塩、炭酸塩であり、より好ましくは、硝酸塩(硝酸パラジウム)、塩化物(塩化パラジウム)、酢酸塩(酢酸パラジウム)、テトラアンミン塩(テトラアンミンパラジウム)であり、さらに好ましくは、硝酸パラジウムである。また、耐火性三次元構造体に担持されるパラジウムの量は、Pd換算で、好ましくは0.1〜15g、より好ましくは0.2〜10g、さらに好ましくは0.5〜10gである。排気ガス浄化用触媒の製造では、耐火性三次元構造体に対するパラジウムの担持量が上記の量となるように、パラジウム源が使用される。なお、パラジウム源として、1種のパラジウム源を使用してもよいし、2種以上のパラジウム源を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
本発明の排気ガス浄化用触媒における、プラセオジムの出発材料(プラセオジム源)は、特に制限されるものではなく、従来の排気ガス浄化用触媒において用いられている原料を用いることができる。具体的には、プラセオジム源として、硝酸プラセオジム、炭酸プラセオジム、酢酸プラセオジム、リン酸プラセオジム、プラセオジムゾルなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは、硝酸プラセオジム、炭酸プラセオジム、酢酸プラセオジム、プラセオジムゾルであり、より好ましくは、硝酸プラセオジム、炭酸プラセオジム、プラセオジムゾルであり、さらに好ましくは、硝酸プラセオジム、プラセオジムゾルである。なお、プラセオジムゾルは、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸などの酸を含んだ、水やエタノールなどの溶媒中に、酸化プラセオジムを分散させてなるゾルであり、好ましくは、酢酸、硝酸、または硫酸を含み、より好ましくは酢酸を含む。また、プラセオジムゾルは、pHが7〜10の範囲であることが好ましい。排気ガス浄化用触媒の製造では、耐火性三次元構造体に対するプラセオジムの担持量が上記の量となるように、プラセオジム源が使用される。なお、プラセオジム源として、1種のプラセオジム源を使用してもよいし、2種以上のプラセオジム源を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
(貴金属)
本発明の排気ガス浄化用触媒は、パラジウム(酸化パラジウム)の他に、他の貴金属を含むことが好ましい。該他の貴金属は、従来の排気ガス浄化用触媒に用いられている貴金属を使用することができるが、ロジウム(Rh)および白金(Pt)のうち少なくとも1種の貴金属をさらに含むことが好ましい。本発明の排気ガス浄化用触媒においては、他の貴金属として、単一の貴金属を使用してもよいし、複数の異なる貴金属を組み合わせて使用してもよい。また、排気ガス浄化用触媒が複数の触媒層によって構成される場合には、各触媒層において同一の貴金属を使用してもよいし、触媒層によって異なる貴金属を使用してもよい。
【0031】
本発明の排気ガス浄化用触媒に用いられるロジウムの量は、特に制限されないが、耐火性三次元構造体1リットルあたり、Rh換算で、好ましくは0.001〜1g、より好ましくは0.1〜0.5gである。また、本発明の排気ガス浄化用触媒に用いられる白金の量は、Pt換算で、好ましくは0.1〜5g、より好ましくは0.2〜4g、最も好ましくは0.5〜3gである。
【0032】
本発明の排気ガス浄化用触媒における、ロジウムの出発材料(ロジウム源)は、特に制限されるものではなく、従来の排気ガス浄化用触媒において用いられている原料を用いることができる。具体的には、ロジウム源として、ロジウム;塩化ロジウムなどのハロゲン化物;硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、アミン塩、へキサアンミン塩、炭酸塩、重炭酸塩、亜硝酸塩、シュウ酸塩などの、無機塩類;蟻酸塩などのカルボン酸塩;水酸化物;アルコキサイド;酸化物などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、硝酸塩、アンモニウム塩、アミン塩、炭酸塩であり、より好ましくは、硝酸塩(硝酸ロジウム)、塩化物(塩化ロジウム)、酢酸塩(酢酸ロジウム)、へキサアンミン塩(へキサアンミンロジウム)であり、さらに好ましくは、硝酸ロジウムである。排気ガス浄化用触媒の製造では、耐火性三次元構造体に対するロジウムの担持量が上記の量となるように、ロジウム源が使用される。なお、ロジウム源として、1種のロジウム源を使用してもよいし、2種以上のロジウム源を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
本発明の排気ガス浄化用触媒における、白金の出発材料(白金源)は、特に制限されるものではなく、従来の排気ガス浄化用触媒において用いられている原料を用いることができる。具体的には、白金源として、白金;臭化白金、塩化白金などのハロゲン化物;硝酸塩、ジニトロジアンミン塩、テトラアンミン塩、硫酸塩、アンモニウム塩、アミン塩、ビスエタノールアミン塩、ビスアセチルアセトナート塩、炭酸塩、重炭酸塩、亜硝酸塩、シュウ酸塩などの、無機塩類;蟻酸塩などのカルボン酸塩;水酸化物;アルコキサイド;酸化物などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、硝酸塩(硝酸白金)、ジニトロジアンミン塩(ジニトロジアンミン白金)、塩化物(塩化白金)、テトラアンミン塩(テトラアンミン白金)、ビスエタノールアミン塩(ビスエタノールアミン白金)、ビスアセチルアセトナート塩(ビスアセチルアセトナート白金)であり、より好ましくは、硝酸塩、ジニトロジアンミン塩である。排気ガス浄化用触媒の製造では、耐火性三次元構造体に対する白金の担持量が上記の量となるように、白金源が使用される。なお、白金源として、1種の白金源を使用してもよいし、2種以上の白金源を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
(酸素貯蔵材)
本発明の排気ガス浄化用触媒における酸素貯蔵材として、セリウム−ジルコニウム複合酸化物を用いることができる。当該セリウム−ジルコニウム複合酸化物は、ランタン、イットリウム、ネオジム、およびPd−Pr複合酸化物以外のプラセオジムなどを含むことができ、好ましくはセリウム−ジルコニウム複合酸化物、セリウム−ジルコニウム−ランタン複合酸化物、セリウム−ジルコニウム−ランタン−イットリウム複合酸化物であり、より好ましくはセリウム−ジルコニウム−ランタン複合酸化物、セリウム−ジルコニウム−ランタン−イットリウム複合酸化物である。酸素貯蔵材の添加量は、酸化物(CeO、ZrO、La、Y、Nd、またはPr11)換算で耐火性三次元構造体1リットルあたり、好ましくは5〜200gであり、より好ましくは5〜100gであり、さらに好ましくは5〜50gである。
【0035】
本発明の排気ガス浄化用触媒において酸素貯蔵材として用いられるセリウムの出発材料(セリウム原料)は、特に制限されるものではなく、従来の排気ガス浄化用触媒において用いられている原料を用いることができる。具体的には、セリウム原料として、硝酸第一セリウムなどの硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、硝酸塩である。なお、セリウム原料として、1種のセリウム原料を使用してもよいし、2種以上のセリウム原料を組み合わせて使用してもよい。セリウム原料の添加量は、酸化セリウム(CeO)換算で耐火性三次元構造体1リットルあたり、好ましくは5〜200gであり、より好ましくは5〜100gであり、さらに好ましくは5〜50gである。
【0036】
本発明の排気ガス浄化用触媒において酸素貯蔵材として用いられるジルコニウムの出発材料(ジルコニウム原料)は、特に制限されるものではなく、従来の排気ガス浄化用触媒において用いられている原料を用いることができる。具体的には、ジルコニウム原料として、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性硫酸ジルコニウムなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは、オキシ硝酸ジルコニウム、または硝酸ジルコニウムである。なお、ジルコニウム原料として、1種のジルコニウム原料を使用してもよいし、2種以上のジルコニウム原料を組み合わせて使用してもよい。ジルコニウム原料の添加量は、酸化ジルコニウム(ZrO)換算で耐火性三次元構造体1リットルあたり、好ましくは5〜200gであり、より好ましくは10〜150gであり、さらに好ましくは20〜100gである。
【0037】
本発明の排気ガス浄化用触媒におけるランタンの出発材料(ランタン原料)は、特に制限されるものではなく、従来の排気ガス浄化用触媒において用いられている原料を用いることができる。具体的には、ランタン原料として、水酸化ランタン、硝酸ランタン、酢酸ランタン、酸化ランタンなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは、硝酸ランタン、または水酸化ランタンである。なお、ランタン原料として、1種のランタン原料を使用してもよいし、2種以上のランタン原料を組み合わせて使用してもよい。ランタン原料の添加量は、酸化ランタン(La)換算で耐火性三次元構造体1リットルあたり、好ましくは1〜50gであり、より好ましくは1〜35gであり、さらに好ましくは1〜20gである。
【0038】
本発明の排気ガス浄化用触媒におけるイットリウムの出発材料(イットリウム原料)は、特に制限されるものではなく、従来の排気ガス浄化用触媒において用いられている原料を用いることができる。具体的には、イットリウム原料として、水酸化イットリウム、硝酸イットリウム、シュウ酸イットリウム、硫酸イットリウムなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは、水酸化イットリウム、または硝酸イットリウムである。なお、イットリウム原料として、1種のイットリウム原料を使用してもよいし、2種以上のイットリウム原料を組み合わせて使用してもよい。イットリウム原料の添加量は、酸化イットリウム(Y)換算で耐火性三次元構造体1リットルあたり、好ましくは0〜50gであり、より好ましくは0〜35gであり、さらに好ましくは0〜20gである。
【0039】
本発明の排気ガス浄化用触媒におけるネオジムの出発材料(ネオジム原料)は、特に制限されるものではなく、従来の排気ガス浄化用触媒において用いられている原料を用いることができる。具体的には、ネオジム原料として、水酸化ネオジム、硝酸ネオジム、シュウ酸ネオジム、硫酸ネオジムなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは、水酸化ネオジム、または硝酸ネオジムである。なお、ネオジム原料として、1種のネオジム原料を使用してもよいし、2種以上のネオジム原料を組み合わせて使用してもよい。ネオジム原料の添加量は、酸化ネオジム(Nd)換算で耐火性三次元構造体1リットルあたり、好ましくは0〜50gであり、より好ましくは0〜35gであり、さらに好ましくは0〜20gである。
【0040】
また、上述した酸素貯蔵材の結晶構造は、立方晶、正方晶、単斜晶、斜方晶などがあるが、好ましくは立方晶、正方晶、単斜晶であり、より好ましくは立方晶、正方晶である。
【0041】
(耐火性無機酸化物)
耐火性無機酸化物は、高い比表面積を有しており、他の触媒成分(Pd−Pr複合体、貴金属、酸素貯蔵材、アルカリ土類金属化合物)を担持することにより、上記触媒成分とガスとの接触面積を増加させるための担体であり、耐火性三次元構造体に担持(コート)される。
【0042】
本発明の排気ガス浄化用触媒において使用される耐火性無機酸化物は、700℃以上、好ましくは1000℃以上において比表面積の変化が少ないことが好ましい。耐火性無機酸化物のBET比表面積は、特に制限されないが、触媒成分を担持させる観点から、好ましくは50〜750m/g、より好ましくは150〜750m/gである。
【0043】
本発明の排気ガス浄化用触媒において使用される耐火性無機酸化物は、例えば、粒状、微粒子状、粉末状、円筒状、円錐状、角柱状、立方体状、角錐状、不定形状など、いずれの形状も採り得ることができるが、好ましくは、粒状、微粒子状、粉末状であり、より好ましくは粉末状である。耐火性無機酸化物が粒状、微粒子状、粉末状である場合、耐火性無機酸化物の平均一次粒径は、特に制限されないが、好ましくは5nm〜20nmの範囲であり、より好ましくは5nm〜10nmの範囲である。このような範囲であれば、触媒成分を耐火性無機酸化物上に担持することができる。なお、本発明における耐火性無機酸化物の形状または平均一次粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いる方法などの公知の方法によって測定することができる。
【0044】
また、本発明の排気ガス浄化用触媒において使用される耐火性無機酸化物は、融点が好ましくは1000℃以上であり、より好ましくは1000〜3000℃であり、さらに好ましくは1500℃〜3000℃である。
【0045】
上記のような好ましい耐火性無機酸化物としては、例えば、α−アルミナ、γ、δ、η、θなどの活性アルミナ、ランタン含有アルミナ(ランタナ−アルミナ)、シリカ、ゼオライト、チタニア、ジルコニア、チタニア、酸化ケイ素などを挙げることができる。これらのうち、好ましくは、活性アルミナである。なお、耐火性無機酸化物として、1種の耐火性無機酸化物を使用してもよいし、2種以上の耐火性無機酸化物を組み合わせて使用してもよい。2種以上の耐火性無機酸化物の組み合わせとして、例えば、アルミナ−チタニア、アルミナ−ジルコニア、チタニア−ジルコニアなどを挙げることができる。
【0046】
なお、本発明の排気ガス浄化用触媒は、他の触媒成分が担持された耐火性無機酸化物の形態であってもよいが、他の触媒成分が担持された耐火性無機酸化物を上記耐火性三次元構造体に担持してなる形態であることが好ましい。耐火性無機酸化物が耐火性三次元構造体上に担持される場合の、耐火性無機酸化物の使用量は、特に制限されないが、耐火性三次元構造体1リットルあたり10〜300gであることが好ましく、50〜200gであることがより好ましい。耐火性三次元構造体1リットルあたりの耐火性無機酸化物の使用量が10g未満であると貴金属が十分に分散できず、耐久性が十分でない場合がある。一方、耐火性三次元構造体1リットルあたりの耐火性無機酸化物の使用量が300gを越えると、貴金属と排気ガスとの接触状態が悪くなり、触媒性能が十分に発現できない場合がある。
【0047】
なお、上記の説明では、排気ガス浄化用触媒の形態として、他の触媒成分が担持された耐火性無機酸化物を上記耐火性三次元構造体に担持してなる形態を例に挙げたが、本発明の排気ガス浄化用触媒の形態はこれに限られない。例えば、本発明の一実施形態における排気ガス浄化用触媒は、他の触媒成分が担持された耐火性無機酸化物を成形することにより、成形後の耐火性無機酸化物がハニカム構造を形成する形態であってもよい。
【0048】
(アルカリ土類金属化合物)
アルカリ土類金属化合物は、高温において酸化パラジウムが金属パラジウムに還元されることを抑制するために用いられる。本発明の排気ガス浄化用触媒において使用されるアルカリ土類金属化合物は、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど)の酸化物、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩などの形態を用いることができ、好ましくは、排気ガス浄化用触媒の製造時において焼成した後に、酸化物、硫酸塩、または炭酸塩となる化合物などを挙げることができる。これらのうち、好ましくは、バリウム硫酸塩としての硫酸バリウム(BaSO)である。なお、アルカリ土類金属化合物として、1種のアルカリ土類金属化合物を使用してもよいし、2種以上のアルカリ土類金属化合物を組み合わせて使用してもよい。アルカリ土類金属化合物としてBaSOを用いる場合、BaSOの使用量は、BaSO換算で耐火性三次元構造体1リットルあたり、好ましくは0〜50gであり、より好ましくは0.5〜30gであり、さらに好ましくは0.5〜20gである。
【0049】
<本発明の触媒の製造方法>
本発明の排気ガス浄化用触媒の製造方法は、本発明の効果を得られるのであれば特に制限されず、公知の方法を用いることができるが、後述する(a)スラリー作製工程、(b)スラリー塗布工程、および(c)乾燥焼成工程を含む方法を用いることが好ましい。以下に、(a)〜(c)の各工程について詳細に説明する。
【0050】
(a)スラリー作製工程
スラリー作製工程は、後述する乾燥焼成工程後に上述した各触媒成分(Pr−Pd複合体、PdO、貴金属、耐火性無機酸化物、酸素貯蔵材、およびアルカリ土類金属化合物)となる物質を含むスラリーを作製する工程である。スラリーは、各触媒成分の出発材料を水性媒体中で混合し、湿式粉砕することにより作製される。
【0051】
ここで、上記の水性媒体として、水(純水)、エタノールや2−プロパノールなどの低級アルコール、または有機系のアルカリ水溶液などを使用することができるが、水または低級アルコールを使用することが好ましく、水を使用することがさらに好ましい。スラリーは、スラリー中の固体物の量が好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%となるように作製する。上記湿式粉砕は、特に制限されるものでなく、公知の方法を用いることができる。湿式粉砕としては、例えば、ボールミルを用いた粉砕を挙げることができる。
【0052】
スラリー作製工程においては、水性媒体に混合する前にパラジウムの出発材料およびプラセオジムの出発材料を予め混合した後、後述する複合体形成材を分散させた水性媒体に、上記混合したパラジウムの出発材料およびプラセオジムの出発材料を添加し、撹拌することが好ましい。これにより、水性媒体中においてPd−Pr複合体の前駆体を形成することができる。その結果、乾燥焼成工程において熱処理することにより、Pd−Pr複合体を形成することができ、Pd−Pr複合体粒子の表面にPdOを形成することができる。さらに、上記熱処理時にPd−Pr複合体粒子とは独立してPdO粒子を形成することもできる。上記複合体形成材としては、還元性を示す形成材が好ましく、酢酸、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、グルコースなどの還元性糖類が好ましい。なお、Pd−Pr複合体の前駆体を含む溶液を、100℃〜1000℃、好ましくは120℃〜900℃、より好ましくは120℃〜600℃、最も好ましくは120℃〜550℃で熱処理し、水性媒体などの溶液成分を除去することにより、Pd−Pr複合体を形成することができる。
【0053】
また、Pdと複合体を形成させることができるプラセオジムゾルであれば、Pd原料とプラセオジムゾルを混合し、5分間〜24時間攪拌することにより、複合体形成剤を添加せずにPd−Pr複合体の前駆体を形成させることができる。
【0054】
このようにして水性媒体中にPd−Pr複合体の前駆体を形成させた後、さらに酸素貯蔵材、耐火性無機酸化物、アルカリ土類金属化合物を添加することができる。これらの触媒成分が添加されたスラリーを5分間〜24時間攪拌した後、湿式粉砕を行うことができる。湿式粉砕を行う直前のスラリーのpHが、上記前駆体を形成させたときのスラリーのpHに対して±5以上、好ましくは±3以上変化する場合は、酢酸、硝酸などの酸またはアンモニアなどの塩基でpHを前駆体形成時のpHに対して±5未満、好ましくは±3未満に戻した後、湿式粉砕を行うことができる。
【0055】
また、別のスラリー作成工程においては、水性媒体に耐火性無機酸化物を添加し、5分間〜24時間攪拌した後、予め水性媒体において形成させたPd−Pr複合体を添加し、5分間〜24時間攪拌した後、酸素貯蔵材、アルカリ土類化合物を添加することもできる。その後、同様に湿式粉砕を行うことができる。
【0056】
なお、本発明の排気ガス浄化用触媒においては、耐火性三次元構造体に触媒層を2層(以下の説明においては、それぞれの層を下触媒層および上触媒層と称する)形成することもできる。この場合には、スラリー作製工程において、下触媒層を形成するための第1スラリーと、上触媒層を形成するための第2スラリーとを作製する。第1スラリーおよび第2スラリーは、それぞれ互いに異なる貴金属を含むことができる。具体的には、例えば、第1スラリーおよび第2スラリーの一方がパラジウム(酸化パラジウム)を含み、他方がロジウムまたは白金を含むように、第1スラリーおよび第2スラリーを作製する。
【0057】
(b)スラリー塗布工程
スラリー塗布工程は、スラリー作製工程において作製されたスラリーを耐火性三次元構造体に塗布する工程である。スラリーを耐火性三次元構造体に塗布する具体的な方法は、特に制限されるものでなく、公知の方法を用いることができる。また、スラリーの塗布量は、スラリー中の固体物の量、および形成する触媒層の厚さに応じて設定すればよく、特に制限されるものではない。
【0058】
(c)乾燥焼成工程
乾燥焼成工程は、スラリー塗布工程においてスラリーが塗布された耐火性三次元構造体を乾燥、焼成する工程であり、耐火性三次元構造体に塗布されたスラリーを乾燥する乾燥工程と、乾燥工程において乾燥されたスラリーを焼成する焼成工程とを含む。ただし、乾燥焼成工程では、耐火性三次元構造体に各触媒成分を担持することができるのであれば、乾燥工程と焼成工程とを別々の工程として区別せず、一度の熱処理工程により行ってもよい。
【0059】
乾燥工程では、空気中で、好ましくは50〜300℃、より好ましくは80〜200℃の温度で、5分間〜10時間、好ましくは30分間〜8時間、スラリーを乾燥する。
【0060】
焼成工程では、乾燥工程において乾燥したスラリーを、空気中で、300〜1200℃、好ましくは400〜700℃の温度で、10分間〜10時間、好ましくは30分間〜5時間焼成する。
【0061】
なお、耐火性三次元構造体に触媒層を2層形成する場合には、上記第1スラリーを耐火性三次元構造体に塗布し、乾燥焼成工程を行った後、さらに上記第2スラリーを耐火性三次元構造体に塗布し、乾燥焼成工程を行う。これにより、耐火性三次元構造体に下触媒層および上触媒層の2層が形成された排気ガス浄化用触媒を製造することができる。また、耐火性三次元構造体に触媒層を厚く形成する場合には、上記(a)〜(c)の各工程を繰り返して行えばよい。
【0062】
<本発明の排気ガスの浄化方法>
本発明は、本発明の排気ガス浄化用触媒を用いて内燃機関の高温領域の排気ガス中の窒素酸化物、一酸化炭素および炭化水素を浄化することを特徴とする排気ガスの浄化方法、すなわち、高温領域の排気ガスの浄化方法をも提供する。
【0063】
本発明の排気ガスの浄化方法において、排気ガス浄化用触媒を排気ガスに曝す方法は特に限定されるものではなく、例えば、排気ガス浄化用触媒を内燃機関の排気ポートの排気流路中に設置し、排気ガスを排気流路に流入させることによって行うことができる。
【0064】
本発明の排気ガスの浄化方法における排気ガスは、内燃機関の排気ガスであれば特に限定されるものではなく、例えば、窒素酸化物(例えば、NO、NO、NO)、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、水素、アンモニア、水、二酸化硫黄、炭化水素全般を任意の割合で含む排気ガスが挙げられる。
【0065】
本発明の排気ガスの浄化方法を適用する内燃機関は、特に限定されるものではなく、例えば、ガソリンエンジン、ハイブリッドエンジン、天然ガス、エタノール、ジメチルエーテルなどを燃料として用いるエンジンなどを挙げることができる。中でもガソリンエンジンであることが好ましい。
【0066】
本発明の排気ガスの浄化方法において、排気ガス浄化用触媒を排気ガスに曝す時間は特に限定されるものではなく、排気ガス浄化用触媒の少なくとも一部分が排気ガスと接触することができる時間が確保されればよい。
【0067】
上記排気ガスの温度は、特に限定されるものではないが、0℃〜800℃、つまり通常の内燃機関の運転時の排気ガスの温度範囲内であることが好ましい。ここで、温度が0℃〜800℃である内燃機関の排気ガスにおける空燃比は、10〜30であり、11〜14.7であることが好ましい。
【0068】
本発明の排気ガスの浄化方法において、排気ガス浄化用触媒は、温度が800〜1200℃である高温領域の排気ガスに曝されてもよい。ここで、温度が800〜1200℃である排気ガスの空燃比は、10〜18.6であることが好ましい。また、排気ガス浄化用触媒を温度が800℃〜1200℃の排気ガスに曝す時間も、特に限定されるものではなく、例えば、5〜500時間曝されてもよい。
【0069】
なお、上記排気ガスの温度は、触媒入口部における排気ガスの温度である。本明細書における「触媒入口部」とは、排気ガス浄化用触媒が設置された排気管における排気ガス流入側の触媒端面から内燃機関側に向かって20cmまでの部分を指し、かつ、排気管の長手方向(軸方向)の中心部分の箇所を指す。また、本明細書における「触媒床部」とは、上記排気管における排気ガス流入側の触媒端面から排気ガス流出側の触媒端面までの間の中央部分であり、かつ、排気管の横断面の中心部分の箇所(排気管の横断面が円形でない場合は、排気管の横断面の重心部分の箇所)を指す。
【0070】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0071】
本発明の排気ガス浄化用触媒の効果について、以下の実施例1〜5、並びに、比較例1および2を用いて説明する。ただし、以下の実施例は、本発明の排気ガス浄化用触媒の一例を示しているだけであり、本発明の排気ガス浄化用触媒の技術的範囲を制限するものではない。なお、以下の実施例における比は、特に断りがない限り質量比を表すこととする。
【0072】
〔実施例1〕
本実施例における排気ガス浄化用触媒の作製では、まず、硝酸パラジウム水溶液、硝酸プラセオジム、ランタナ−アルミナ(ランタナ−アルミナ中にLaとして4質量%含む、以下同様)、セリア−ジルコニア(CeO:ZrO=45:55)、および硫酸バリウムを、質量比がPd:Pr11:ランタナ−アルミナ:セリア−ジルコニア:BaSO=6:1.2:56:40:12となるように秤量した。これにより、本実施例では、Pr11とPdの質量比(Pr11/Pd)は、0.2となる。
【0073】
次に、秤量したランタナ−アルミナを純水(ランタナ−アルミナ質量の2倍に相当する量)に分散させた。この分散液にパラジウム質量の0.3倍に相当する量の酢酸を複合体形成材として添加した。次に、この分散液に、予め混合した硝酸パラジウム水溶液と硝酸プラセオジムとの混合物を添加し、10分間撹拌した。次に、この溶液に秤量したセリア−ジルコニアおよび硫酸バリウムを添加し、ボールミルにて湿式粉砕した。これにより、第1スラリーa1を作製した。
【0074】
次に、硝酸ロジウム水溶液、ランタナ−アルミナ、セリア−ジルコニア(CeO:ZrO=20:80)を、質量比がRh:ランタナ−アルミナ:セリア−ジルコニア=1:40:40となるように秤量した。秤量したランタナ−アルミナおよびセリア−ジルコニアを純水(ランタナ−アルミナ質量の2倍に相当する量)に分散させた。この分散液に硝酸ロジウム水溶液を添加し、10分間攪拌した後、ボールミルにて湿式粉砕した、これにより、第2スラリーa2を作製した。
【0075】
次に、耐火性三次元構造体としての円筒形のコージェライト担体(直径105.7mm、長さ91mm、0.8リットル、1平方インチあたり900セル(139.5セル/cm)、セル壁厚さ2.5mil(0.0635mm))に、焼成後の触媒成分の合計の担持量がPd、Pr11、La、Al、CeO、ZrO、およびBaSOの換算で耐火性三次元構造体1リットルあたり115.2gとなるように、第1スラリーa1を塗布し、150℃で15分間乾燥後、550℃で30分間焼成した。これにより、下触媒層A1が形成されたコージェライト担体を得た。
【0076】
次に、下触媒層A1に、焼成後の触媒成分の合計の担持量がRh、La、Al、CeO、およびZrOの換算で耐火性三次元構造体1リットルあたり81gとなるように、第2スラリーa2を塗布し、同様の条件で乾燥、焼成した。これにより、コージェライト担体に下触媒層A1および上触媒層A2が形成された排気ガス浄化用触媒(以下、触媒Aと称する)を得た。
【0077】
〔実施例2〕
本実施例では、第1スラリーb1を作製するときに、質量比がPd:Pr11:ランタナ−アルミナ:セリア−ジルコニア:BaSO=6:3:56:40:12となるように秤量した以外は実施例1と同様にして、コージェライト担体に、耐火性三次元構造体1リットルあたり117gの下触媒層B1、および耐火性三次元構造体1リットルあたり81gの上触媒層A2が形成された排気ガス浄化用触媒(以下、触媒Bと称する)を得た。なお、本実施例では、Pr11とPdの質量比(Pr11/Pd)は、0.5となる。
【0078】
〔実施例3〕
本実施例では、第1スラリーc1を作製するときに、質量比がPd:Pr11:ランタナ−アルミナ:セリア−ジルコニア:BaSO=6:6:56:40:12となるように秤量した以外は実施例1と同様にして、コージェライト担体に、耐火性三次元構造体1リットルあたり120gの下触媒層C1、および耐火性三次元構造体1リットルあたり81gの上触媒層A2が形成された排気ガス浄化用触媒(以下、触媒Cと称する)を得た。なお、本実施例では、Pr11とPdの質量比(Pr11/Pd)は、1.0となる。
【0079】
〔実施例4〕
本実施例では、第1スラリーd1を作製するときに、質量比がPd:Pr11:ランタナ−アルミナ:セリア−ジルコニア:BaSO=6:12:56:40:12となるように秤量した以外は実施例1と同様にして、コージェライト担体に、耐火性三次元構造体1リットルあたり126gの下触媒層D1、および耐火性三次元構造体1リットルあたり81gの上触媒層A2が形成された排気ガス浄化用触媒(以下、触媒Dと称する)を得た。なお、本実施例では、Pr11とPdの質量比(Pr11/Pd)は、2.0となる。
【0080】
〔比較例1〕
本実施例では、第1スラリーe1を作製するときに、硝酸プラセオジムを加えない以外は実施例1と同様にして、コージェライト担体に、耐火性三次元構造体1リットルあたり114gの下触媒層E1、および耐火性三次元構造体1リットルあたり81gの上触媒層A2が形成された排気ガス浄化用触媒(以下、触媒Eと称する)を得た。なお、本実施例では、Pr11とPdの質量比(Pr11/Pd)は、0となる。
【0081】
〔実施例5〕
本実施例では、第1スラリーf1の作製方法が実施例1とは異なっている。具体的には、本実施例では、まず、硝酸パラジウム水溶液、プラセオジムゾル(ゾル中にPr11換算で20質量%のPrを含み、かつ、ゾル中に180ppmの酢酸および1390ppmの硫酸を含む)、ランタナ−アルミナ、セリア−ジルコニア(CeO:ZrO=45:55)、硫酸バリウムを、質量比がPd:Pr11:ランタナ−アルミナ:セリア−ジルコニア:BaSO=6:1.2:56:40:12となるように秤量した。これにより、本実施例では、Pr11とPdの質量比(Pr11/Pd)は、0.2となる。
【0082】
次に、秤量したランタナ−アルミナを純水(ランタナ−アルミナ質量の2倍に相当する量)に分散させた。この分散液に、予め混合した硝酸パラジウム水溶液とプラセオジムゾルを添加し、10分間撹拌した。この溶液に秤量したセリア−ジルコニアおよび硫酸バリウムを添加し、ボールミルにて湿式粉砕した。これにより、第1スラリーf1を作製した。その後、実施例1における作製方法と同様にして、コージェライト担体に下触媒層F1および上触媒層A2が形成された排気ガス浄化用触媒(以下、触媒Fと称する)を得た。
【0083】
〔比較例2〕
本比較例では、第1スラリーg1の作製方法が実施例1とは異なっている。具体的には、本比較例では、まず、硝酸パラジウム水溶液、硝酸プラセオジム、ランタナ−アルミナ、セリア−ジルコニア(CeO:ZrO=45:55)、硫酸バリウムを、質量比がPd:Pr11:ランタナ−アルミナ:セリア−ジルコニア:BaSO=6:3:56:40:12となるように秤量した。これにより、本比較例では、Pr11とPdの質量比(Pr11/Pd)は、0.5となる。
【0084】
次に、秤量したランタナ−アルミナを純水(ランタナ−アルミナ質量の2倍に相当する量)に分散させた。この分散液に、秤量した硝酸パラジウム水溶液、セリア−ジルコニア、硫酸バリウムを添加し、1時間攪拌した。次に、硝酸プラセオジムを添加し、ボールミルにて湿式粉砕した、これにより、第1スラリーg1を作製した。その後、実施例1における作製方法と同様にして、コージェライト担体に下触媒層G1および上触媒層A2が形成された排気ガス浄化用触媒(以下、触媒Gと称する)を得た。
【0085】
<PrPdの形成の確認>
得られた触媒A〜Gに対してX線回折分析を行い、PdOの2θ=33.29°における強度(IPdO)に対する示性式PrPdで表されるPd−Pr複合体の2θ=31.49°における強度(IPrPdO)の比Ccompoを算出した。算出した結果を表1に示す。なお、表1には、触媒に含まれるプラセオジムおよびパラジウムの質量比をPr11換算およびPd換算でそれぞれ算出した場合の、パラジウムに対するプラセオジムの質量比(Pr11/Pd)を併せて示した。
【0086】
表1に示すように、触媒A〜D、およびFでは、PrPdが形成されたのに対し、触媒Gでは、PrPdが形成されなかった。また、触媒Eにはプラセオジムが含まれていないので、触媒EではPrPdが形成されなかった。
【表1】
<TEM−EDS分析>
得られた触媒A〜Gの触媒成分のみをコージェライト担体から剥がし取り、TEM−EDS分析を行った。触媒A〜Dおよび触媒Fでは、同一粒子においてPd、PrおよびOが検出されるとともに、当該Pd、PrおよびOが検出された粒子とは異なる粒子においてPrが検出されずPdおよびOが検出された。すなわち、触媒A〜Dおよび触媒Fでは、Pd−Pr複合体粒子とは独立してPdO粒子が存在していた。一方、触媒Eおよび触媒Gでは、PdとPrとがともに検出された粒子は観察されなかった。
【0087】
<耐熱処理>
上記触媒A〜Gに対してそれぞれ耐熱処理を行った。耐熱処理では、まず、これら触媒をV型6気筒、3.0リットルエンジンの排気口から25cm下流側に設置した。このとき、触媒床部の温度を1000℃とした。
【0088】
次に、触媒入口部のA/Fを14.6としてエンジンを25秒間運転し、続いて燃料供給を停止してエンジンを2.5秒間運転し、続いてA/Fを12.0としてエンジンを2.5秒間運転するサイクルを繰り返し、合計40時間運転を行った。
【0089】
<耐熱処理後のPd粒子径>
耐熱処理後の触媒A〜Gについて、O−CO−H−COパルス吸着法によってPd粒子径を調べた。その結果を図1に示す。図1は、触媒A〜Gにおける耐熱処理後のPd粒子径を示すグラフである。図1に示すように、プラセオジムを含まない触媒Eでは耐熱処理後のPd粒子径が40nmであるのに対して、プラセオジムを含む触媒A〜D、FおよびGでは耐熱処理後のPd粒子径が25〜38nmであった(なお、図1では、触媒G以外の触媒A〜Fは、図1に示される曲線上にある)。すなわち、プラセオジムを含む本発明の触媒A〜D、F、およびGでは、高温の排気ガスに曝されたときにPdOのシンタリングが発生することを抑制することができ、耐熱処理後のPd粒子径が触媒EのPd粒子径よりも小さくなった。
【0090】
<触媒性能評価試験>
上記触媒A〜Gに対してそれぞれ触媒性能評価試験を行った。触媒性能評価試験では、まず、これら触媒を直列6気筒、2.4リットルエンジンの排気口から30cm下流側に設置した。次に、触媒入口部のA/Fを14.6として、触媒入口部の温度を100℃から500℃まで昇温させて触媒に排気ガスを曝し、触媒出口部から排出されるガスをサンプリングすることにより、CO、HCおよびNOxの各浄化率を算出した。そして、各触媒の触媒能を、CO、HCおよびNOxの浄化率が50%に達するときの温度であるT50を用いて評価した。図2は、触媒A〜GのT50を、Pr11/Pdに対してプロットしたグラフである。
【0091】
図2に示すように、Ccompoが0.04〜1.1の範囲である触媒A〜C、およびFでは、CO、HCおよびNOxに対するT50の値が低かった。すなわち、触媒A〜C、およびFは、排気ガスを浄化する触媒性能が高いことがわかる。
【0092】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る排気ガス浄化用触媒は、PrPdで表したとき、a=1〜3、b=1〜10、c=1〜6であるPd−Pr複合体と、PdOとを含むことを特徴とする。
【0093】
上記の特徴によれば、長期間高温で排気ガスに曝された後においても、Pd−Pr複合体が形成されていることによりPd同士の凝集が抑制される。その結果、本発明の排気ガス浄化用触媒は、長期間高温で排気ガスに曝された後においてもPdに排気ガスを吸着させることができるので、長期間にわたって高い触媒活性を維持することができる。
【0094】
本発明の排気ガス浄化用触媒において、当該排気ガス浄化用触媒に含まれるパラジウムに対するプラセオジムの質量比をPr11換算およびPd換算で算出するとき、該質量比が0.05〜2.0であることが好ましい。
【0095】
本発明の排気ガス浄化用触媒において、X線回折分析におけるPdOの特定の回折角における強度(IPdO)に対するPd−Pr複合体の特定の回折角における強度(IPrPdO)の比Ccompoが0.04〜1.1であることが好ましい。
【0096】
上記の構成によれば、PdOによる酸化性能の向上、およびPd−Pr複合体による耐熱性の向上によって、高い触媒性能を長期間有することができる。
【0097】
本発明の排気ガス浄化用触媒において、上記Pd−Pr複合体がPrPdであることが好ましい。
【0098】
本発明の排気ガス浄化用触媒において、ロジウムおよび白金のうち少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。
【0099】
本発明の一態様に係る排気ガスの浄化方法は、上記の排気ガス浄化用触媒を用いて、高温領域の排気ガスを含む排気ガスを浄化することを特徴とする。
【0100】
上記の特徴によれば、長期間にわたって排気ガスの浄化率を高い値で維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の排気ガス浄化用触媒は、内燃機関、特にガソリンエンジンの排気ガスの浄化方法に好適に利用することができる。
図1
図2